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シナリオ詳細

永劫回帰神話

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『守護四神決定戦』とは
 毎年一回、多神教世界ホラディタで行われる今年の代表守護四神を決める祭事。年の始めに行われる。
 神の代わりに信徒一名が説教を行い、今年最も熱くなると判断され選ばれた四神が東西南北の守護神の座に就く。
 なお神は実在してもしなくとも良い。
 敬虔な信者にとっては信仰心を表明する場であり、メジャーな宗教にとっては新年の挨拶を行う場であり、マイナーな宗教は知名度を上げるビッグチャンスであり、ちょっとアレな信者にとっては一年に一度の晴れ舞台となっている。
 なお昨年の守護四神は「豊穣神ヴァプマ」「零玻璃天帝主」「映画の最中にスマホいじる奴をホラーゲームの世界に閉じ込める神」「ムヒトナマヅミノカミ」が選ばれている。(horapedia)
 
「という訳で、今年は他の世界の信徒の話が聞けたら面白いな~と思って招待状を出してきました。来てくれるか分からないけど歓迎してあげてください」
「今なんて?」
 ホラディタの主神に名前はない。
 普段は市民に溶け込み生活をしているが、この時期になると守護四神を決めるため主神らしさを少しだけ発揮する。
「新年早々、事後報告の極み」
「過酷労働環境撲滅神、生まれないかな……」
「ネェネェ、どんな人がクルノ!?」
 守護神引継ぎのために集まっていた三柱の眼が死に、新神一柱(映画の最中に以下省略神)だけが無邪気に喜んでいる。
「ははは、そんなに警戒しないでくださいよ。何事も勉強って言うでしょう? 人類の性癖進化のため、新しい刺激が必要だと思っただけです」
「今なんて?」
 なおホラディタの主神は愉快犯の神でもある。
「それじゃあ、今年もはりきっていきましょう! どんな子が来ますかねー?」
 主神に合わせて、四神も拳を掲げる。
 どうかどうか無事に引継ぎができますようにと願いながら。


「明けましておめでとうございます! あの、お年賀のハガキが来ていましたよ?」
 境界案内人TECが首を傾げながら一枚の派手なハガキを差し出した。

『当選おめでとうございます! 
 あなたはホラディタ守護四神決定戦、シード枠に選ばれました。
 当世界では熱烈信仰愛を求めています!
 貴方の神、信仰を広めてみませんか?
 詳しくはこちら↓ (採用担当神:お電話番号xxxx-xxx-xxxx)』

NMコメント

 明けましておめでとうございます。駒米と申します。
 愛や信仰や怨念を語り、ホラディタの守護神となる新しい神を生み出してください。

●目標
 守護四神決定戦にエントリーし、自分の愛するモノや信仰について語ります。
 愛や信仰や恨みつらみが深ければ深いほど神格の高い神が生まれるでしょう。
 なお生まれた神は混沌世界のものと同一ではなく、ホラディタナイズされた存在となります。

●世界
 人間や獣人と混じって神が生活の一部に溶け込んでいる和洋折衷闇鍋のような世界です。
 文化や科学的側面は現代日本に。様々な生命や宗教が混在している所は混沌世界に通じるものがあり東西南北によって文化には多少の差があります。
 全体面積はオーストラリアほど。国としては大きく、世界としては狭いです。

  • 永劫回帰神話完了
  • NM名駒米
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月17日 22時00分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
謡うナーサリーライム
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者

リプレイ

●中央実況席
『お待たせしました。生死・聖悪・神人獣に森羅万象のみなさま』
 グワンと揺れるマイクのハウリングがホラディタ中央街を駆け抜ける。アナウンスを聞いた信徒たちは目を輝かせ、屋台のテント前から巨大なコロシアムへと移動をはじめた。
 色鮮やかな紙吹雪と歓声は耐えず、多神教世界ホラディタにとって一年で一番のお祀り騒ぎが始まる事を示している。
 今年は異世界からゲストが参加すると言う事もあって観客の興奮も注目度も例年とは桁違いだった。
 コロシアムの座席は満員御礼。ホラディタ中央街は主神の直轄領ということもあり守護神戦は行われないが、主神の解説付きということで席の人気は高い。
 舞台の上に浮かぶ巨大なパネルには各地の様子がリアルタイムで中継され、実況席と書かれた長机には四神と主神が座っている。

『今年の守護四神決定戦には何と、異世界からゲストにお越し頂きました。それではご紹介しましょう。まずは北神エントリーから! 現会長という肩書きが裏打ちされた実力を物語る! 立てば免罪符、座れば会長、歩く姿はぬばたまの夢。手繰り纏う言霊は、抜けば玉散る氷の刃! 『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)ォォー!!』
「へくちっ」
 割れんばかりの拍手と声援がコロシアムに轟いていた頃、北の大地にいる茄子子は口元を手で覆って小さなくしゃみをした。何やら変な寒気がするような。はてなと振り返るも舞台の様子は変わらない。
『茄子子様は自ら強信者集う北神戦に立候補したと言う事ですが、どう思いますか。零玻璃天帝主さん』
『北の環境は過酷。されど美麗にして厳格。守護する神には信念、力、自信、あらゆる強さが必要也』
『見所ありという事ですね。ありがとうございます! 続いて東神! 儚く華奢な身体に祈りを宿し、世界を巡る献身花! 胸に宿るは金剛石の信仰心。遍く全てを包む慈愛の精神は他の追随を許さない。『受理教使徒筆頭』江野 樹里(p3p000692)ィィー!!』
「?」
 樹里もまた誰かに呼ばれた気がしたがスタッフに勧められ戸惑い顔で控室の椅子に座る。
『樹里様は東へ向かう途中で様々な困難に見舞われたそうですが、信仰力で海を割り根性で馬車酔いを我慢したとの情報が入っております……え、海?』
『東を選ぶなんてセンスがあるわ。東は黎明を司り、守護神には希望が求められる。そうそう、乙女のセンシティブ情報を口にした罪で主神はあとで断罪しておきますので安心なさい』
『断頭台が運び込まれてきましたが次は南神! 森の魔女が弟子にしたのは見目麗しき白銀の鹿! トコラトコラと芽ぐみ恩む優しさは宵森の恩寵か。金色砂の妖精クララシュシュルカ・ポッケもセコンドとして参戦だ! 『謡うナーサリーライム』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)ゥゥー!!』
「見たことのない眼ねえ。いったいこれは何かしら?」
 鹿と金色妖精。霧色と太陽色の大きな瞳がじっと虚空を見つめている。ついでに通りすがりのヤドカリ一行も一緒に宙を見つめた。
『動物の勘には不可視の神眼も形なしですね。カメラ的には美味しい画が撮れています』
『南はネー、暑いケド自由!』
『南は面白い神が生まれますよね。ポシェティケト様にも期待が高まります。最後は西神! 無明を照らすは叡智の光! 燕の如き自由な純粋さ。黒き眸が見つめる先は好奇心か無謀さか!? 挑戦者にして冒険者『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)ォーーおっ?』
『誰もいないね……』
『おかしいですね。気配遮断スキルを重ねがけでもしていない限り、映るはずなんですが』
「にゃー」
『猫がいる。……飼ってるのかな?』
『ムヒトナマヅミノカミ的には好感触なようです。西は薄暮も司るせいか独特で中庸的な信仰が推されがちですが、これがカイン様に吉とでるか凶とでるか! それではホラディタ守護四神決定戦、開始です!!』


●北神戦、覇者
「翼とは大空の象徴であり、届かぬ頂きの象徴である」
 その始まりはあまりに唐突だったので、観客も信者も声を忘れて演台を見た。
「これは私が紹介する宗教、羽衣教会の聖典、その第一節に記載されている言葉です」
 見られる事には慣れていると言わんばかりの冷静さで少女は言葉を続ける。
 その姿の何と清らかなることか。
「羽衣教会は翼を得るために修練を積む宗教。しかし、それは翼のみを求めるものではありません。羽衣教会の本質は挑戦! そしてそれによって夢は必ず叶う! という教えを説く宗教なのです」
 あるモノはその声に陶酔し、あるモノは身を強張らせた。
 声の抑揚、緩急、滑らかな所作は明らかに見せる事を意識して研鑽された物だ。茄子子の説教練度は並大抵の物ではない。
 教祖力が高いッ!
 他教に衝撃を与えている間にも、茄子子は羽衣教会開祖カロス・メナイサについて語り続ける。
 翼を持たないカロスは、常識や定められた遺伝子に抗う事を選んだと。
 いつか夢は叶う。そして、それはいつかではなく今なのだと。
「何時しか、彼の背には純白の翼が生えていました。そうして産まれたのが現人神、カロス・メナイサその人であり、羽衣教会という宗教なのです」
 広場には静寂と滂沱の涙を流す人の群れしかいない。ただ一人、壇上の勝者だけが心の中でニヤリと笑う。
「以上、羽衣教会、現会長の楊枝 茄子子でした」
 空からは純白の羽が奇跡のように降りそそいでいた。

●東神戦、神が受理されました。
「どうも、受理教です」
 たおやかな女性の登壇に力強い歓声があがる。異世界から来た美しい布教者の説教や奇跡を一目見ようと東には数多くの聴衆が集まっていた。
「受理教は受理を何よりも尊ぶ教えです。何なら私のギフトで受理させます。これを施しと言います」
 こくりと幼気な顔で頷いた樹里に合わせて聴衆も頷いた。この場にいる誰もが受理の意味を理解していないが、受理という単語を聞くたびに不思議と心が高揚する。
「受理教とは受理こそが全てという教義。受理とは即ち、受け入れられ認められる自我の承認。しかし全てが不受理となる。そのような困難に出くわした時に人は魂を歪ませずにいられるでしょうか」
 無理だと悲痛に叫んだ誰かに、樹里は手を差し伸べる。
「受理教はその苦しみ、叫び、全てを受け入れ飲み干しましょう。そして空っぽになったその心をまた、新しい何かで埋めるのです」
 樹里は世界へ告げた。
 受理教は、受理の前に立ち塞がる全ての困難を薙ぎ払うと。
 そして全ての生きとし生ける者達の受理を願うのだと。
「授けましょう。求めましょう。受理という言葉が内包するその全てを、私達が司りましょう。さぁ、受理を求めて祈りなさい。さすればきっと齎されるでしょう。いと尊き受理のまにまに其は見居たりて微笑まん」
「アーメン」
 後光と共に受理教ホラディタ支部が成立する。そこには無形の神が存在していた。

●西神戦、大勝利
「冒険者も信仰するのですか?」
「勿論! 冒険者には熱烈な信仰心を持つ者が少なくないのさ。何を隠そう僕もその一人だからね」
 参加者からの不躾な質問にも、カインは明るく笑って片目を瞑ってみせた。
「だから今日は闇の神ミアン(仮称)について紹介しようと思う」
 戸惑いと恐怖混じりの騒めきが会場を包みこむ。
 闇の神とは即ち光の対極に位置する存在。全てが覆い隠され見ることの出来ない未知は、完全なる漆黒を象りカインの背に顕現する。
「分からないものは怖いよね。でも考えても見て欲しい。何もかも詳らかに明らかにされた世界を。する事為す事全ての結果が分かり切った世界を。そこに挑戦し探究し究明し、冒険するために必要なものはある?」
 答えは否。
「真理も無い、謎も無い。IFすら起こりえぬ開陳された世界に『挑戦』する者は居ると思う?」
 答えは否。
 カインは静まり返った会場を見渡して楽しげに笑う。
「暗闇がある。だからこそ僕は奮起するんだ。闇の中で僕自身の力がより輝くために」
 何故を説いたその一言が、不安の中で一際輝き証明する。
「つまり、ミアン(仮称)は僕らが挑むべき物の象徴で乱数や好奇心といった大いなるモノなんだよ」
 ――汝の信仰、承った。ところで我が名の仮称はいつ取れる?
「取れないよ。名前が分かったら未知じゃないし」
 ――そうか……。
 生まれた神はやや寂しげに闇に溶けた。

●南神戦、大金星
「みなさんのかみさまがとっても素敵で鹿も信仰の仲間に入らせてもらいたい気持ちだけれど」
 ポシェティケトとクララはココナッツジュースの最後の一口を飲みこんだ。空に浮かんだモニターには各地の様子が映っている。
「それじゃあ、だめだものね」
 クララと一緒に頭を並べて捻っていっぱい神様を考えてみたけれど、時計の針は全然待ってくれない。ちくたく回ってあっという間に出番ですよと手招きした。
「楽しくて優しくて、たっぷりとひとのお役に立つような。やっぱり、あのかみさまかしらね」
 舞台袖では金色砂のセコンドも『それが良いです』とキラキラ光って太鼓判。
 それではご紹介しますねと、舞台の真ん中で鹿は白いスカートを帆のように広げた。
「ここぞのかみさまはね、決定的な最悪をちょっとだけずらせる、かみさまなのよ」
 ここぞのかみさま。
 それは小さな小さな運命神。
 待ちかまえている矢印を、ちょっとだけ成功へ軌道修正してくれる。
「その幸せは誰も気づいてないけれど、ちょっとずつ積み重なったパンケーキみたいな幸せを沢山の人に贈るのよ」
 合わせた掌がチューリップのつぼみのように花咲けば。
「だから。どうぞよろしくね、ワタシとあなたたちの、かみさま」
 そこから飛び出したのはパンケーキ色の小鹿たち。赤いリボンのついた首と綿毛の尻尾をぴるぴると元気に揺らした。
 ――まかせて! 悪い運命なんて吹き飛ばしちゃうんだからっ。


成否

成功

状態異常

なし

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