シナリオ詳細
PPPダービー 第一回皐月杯(ロバ・ヒツジ・ヤギ)
オープニング
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新緑の風吹き渡るさわやかなある日、1人の貴族が国王フォルデルマン三世に対して反乱を起こしたが捕らえられ、領地と爵位を没収されて死んだ。これはのちに、『幻想蜂起』と呼ばれる幻想国全土で起こった暴動のうちの一話だ。
この事件には後日談がある。
国王フォルデルマン三世はこの貴族が所有していた各レース場を、『幻想蜂起』鎮圧の細やかな礼として、ローレット――イレギュラーズたちに奇妙な体型の管理人とともに賜下されたのである。
無事、幻想楽団『シルク・ド・マントゥール』の一派を殲滅した祝いに、ここでイレギュラーズたちと幻想国国民の友好を深めるイベントを開催してはどうだろうか。
若き国王のお言葉に対してレオンは、「それでは一度やってみましょう」と頭を垂れ、その場を辞した。
かくして――。
●
「パンパカ、パ~ン♪」
突如、ローレットに鳴り響くファイファーレ。
イレギュラーズたちが何事かと振り返ると、ギルドの片隅で卵のような奇妙な体型をした男が声をあげていた。
「――というわけで、第一回ローレット皐月杯を行うことになりました! 馬、犬、猫、その他もろもろ、飼い主さんのエントリーをお待ちしております!」
詳細は張り紙を見てください、と男は勝手に壁にポスターを張り、その前に机を立てた。卓上に羽ペンと、『受付』と書かれた紙製の三角錐を置いて机を離れ、満足げにうんうんと頷いている。
そして、突然、くるりと後ろをふりかえり――。
「そこの貴方。そう、そこの貴方です。もし馬を飼っているならどうです、レースに出てみませんか?」
卵男は近くにいたイレギュラーズにかたっぱしから声をかけ始めた。
「ささやかではありますが、参加者全員に賞金が出ますよ! もちろん、優勝と準優勝には別途、入賞賞金が用意されています」
賞金は、当日に購入された『賭け券』の儲けから運営費を差し引いて、分配するのだという。
そういうことならやってみるか、とエントリー用紙に記入するイレギュラーズが現れた。
「そうそう、ご挨拶がまだでしたね。わたくし、ローレット競技場の管理運営責任者のダンプPと申します。お気軽にPちゃんとお呼びください」
この催しが好評であれば、他の種目での開催も検討することになっている。海や空のレースや、バイクなどの乗り物を使ってのレースなどなど。あくまで計画でしかないのだが……。
「そーなんですよ。評判が悪ければ残念無念、今回限り……なので、みなさんこぞってご参加くださいませませ!」
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_icon/9124/83a368f54768f506b833130584455df4.png)
- PPPダービー 第一回皐月杯(ロバ・ヒツジ・ヤギ)完了
- GM名そうすけ
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2018年07月21日 22時20分
- 参加人数10/10人
- 相談10日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
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<「第一回PPP皐月杯、最終レースです。陽が傾いてきましたが、まだまだ暑い。レースも負けずに熱くなりそうだ。あ、最終レースもハンプPが実況を担当いたします」>
観客席の前で『夢は現に』ディエ=ディディエル=カルペ(p3p000162)はスタッフにルールを確認していた。
「じゃあ、別にいいんだね? クイックアップをかけても。……なるほど、気の問題か。フッ、行くぞ絶影。間もなく始まる。たった一つの頂点を奪う戦いがな!! ククク、強敵を打ち破り共に頂を目指そうではないか!!」
ディエは絶影の首をゲートへ向けた。
一心不乱に釣り竿に美味しい草をぶら下げているのは、『魔法騎士』セララ(p3p000273)だ。食いしん坊な羊のドンキホーテの鼻先で揺らしてのんびり屋を走らせる、馬にニンジン、もとい羊に美味しい草作戦だ。
騎士ドンキホーテが跨るのはロバのロシナンテだが、羊のドンキホーテは背に魔法騎士を乗せて走るのだ。
「うむむ……ニグラスⅧ世は惜しくも上位入賞を逃したが、この資本主義世界の豚で巻き返しじゃ!」
『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)は続いての参戦だ。砂まみれのまま、豚――肥田・勝(ひだ・まさる)とともに草のコースに挑む。
ちなみに肥田52歳は、混沌世界で自身のギフトにより豚の姿に見えている。見えているだけだ。
叩かれてアヘアヘ喘ぐ中年太りのオッサンにまたがる、ムチを振るう砂まみれ汗まみれの美少女……アブナイ。めちゃくちゃ絵面がアブナイ。まだ日は高いというのに、表にだしていいのだろうか?
シュールさでいえば『聖なるトリ』トリーネ=セイントバード(p3p000957)とこけこけ号も負けてはいない。
カウボーイハットをバッチリ決めたこけこけ号の背でキラリ、トリーネの尾につけられたシェリフバッチがまだまだ燃える太陽の光を弾いた。
鶏ガンナーを称するトリーネは、背後の、まだゲートに入っていない他の選手に向けてパイナップルの種を飛ばしている。
……といってもパイナップルの小さな種だ。当たったところで大したことはない。むしろ、パイナップルの種に当るなんて、貴重な体験だろう。
夢中でタネを飛ばしていると、こけこけ号の背中から滑り落ちてしまった。
「きゃあ!? ダメよ、こけこけ号。大丈夫、私は自分で――あー、れー」
こけこけ号は口から涎を垂らしながら、トリーネの言い分を無視してくわえあげた。
スタッフの一人があわてて駆けつけ、半ば食われかけているトリーネを口からトリ外してくれた。
(「ああ、また。ありがとう、ジョン君(仮名)……」)
実はゲート前でもう三回、これを繰り返していた。そのたびにジョン君(仮名)は、このクソ暑い中を遠くから走ってきてくれているのだ。鶏でなくてもこれは惚れる。
「……スタッフも大変ね。あ、レダとラクダのイスカンダルよ。よろしく。コレでも、本気出したら結構早いし、ロバよりはやる気出してくれると思うわ」
となりでおすそ分けのおいしい草を食むロバと騎手に、下を向いて話しかけるのは『森羅万象爆裂魔人』レナ・フォルトゥス(p3p001242)だ。
ラクダって奴は結構体高がある。フタコブラクダはサラブレットよりも大きいのだ。隣はロバ……故に自然とレダの顔も下を向く。
「ところでその草、美味しいでしょ。イスカンダルも【おいしい草】は大好きなのよ」
イスカンダルはむしゃりむしゃりと口を動かし続けている。少しでも油断していると、隣のロバがみんな食べてしまいそうな勢いで口を動かしているだからだ。
「本気出したら早いか……でもラクダの乗り心地は最悪だときくぞ。その点、我が相棒は乗り心地満点。しかも早い。荒野の弾丸、という異名は伊達ではないでござるよ」
『ダークネス †侍† ブレイド』Masha・Merkulov(p3p002245)は、バルトロメオの背の上でムホホホッ、と笑った。
「……ていうか自称でござるか? まことに呼ばれておるの?」
バルトロメオは草を食むのをやめて、顔をあげた。イスカンダルの上のレナに向かって、ニヤッと草のついた歯をみせて笑いかける。
それからいきなり、首を横に回した。
「ねぇねぇ、教えておくれよー拙者との仲であだだだぁ! 噛まないでーでござるッ!」
このふたり、仲がいいのか悪いのか……。
「あはは、おもろいな~。レース前に笑わさんといて。腹が痛くてレースに集中でけへんようなるわ。なあ、トモォ?」
『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361) は丸っこいピンクの餅に長い耳が生えたような、奇妙な生物の上でポヨンポヨン体を弾ませた。
「てか、その生き物は一体何でござる?」
「え? トモォってどんな動物かやって? 俺の地元にはようけおるんやけど、正式名称は「コントンオオトモクレ」とか「ブロマンス・コノミ・クサレガミ」やったっけ」
大召喚が起こるずっとずぅっと前に異世界から流れ着いてきたらしい、という。
「普段はイモとかモモとか好きでよう食べはるんですけど、一番の好物は名前の通りトモ、友情なんよね。メッチャかわいいやろ?」
めぇぇぇーという鳴き声が上がった。
観戦客だけでなく、選手たちの視線もある一角に集まる。
牛のレイチェル・花子の背に、羊の神ギスカンが無理やり『農家』ノゥカ(p3p002762)を押しのけて乗ろうとしていた。大人二人ぐらいは楽に乗せられそうだが、さすがに騎手の他に乗せて走るわけにはいかない。
「あとでね。レースが終わったら乗せてあげるから」
ノゥカは神ギスカンの尻に抱きついて、花子の背から無理やり引きずり下ろした。
「諦めて~」
やってきたスタッフに頭を下げ、神ギスカンを預けた。そんなノゥカの足のあたりを、つぶらな瞳をした花子が念入りに踏んで固める。
(「いくら僕の足が無いからといって、入念に僕の足元を踏もうとするクセは治してほしいなぁ……これが終わったら抗議しなきゃ」)
『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)は、まるで市場に売られていくような悲壮感を後姿に漂わせる神ギスカンを遠くで見送った。
同時騎乗がむりなら、並んで走るぐらい許してやればいいのに。でも、隣を走ってうっかり錐の角で怪我させちゃったら大変か……体格の大きなラクダもいるしなぁ。
などなど、ぼんやりと錐の立派な角に触れながらゲートに向かう。体が大きいと言えば錐だって、ヤギにしては大柄なのだ。
「がんばって走ろうね。今日のご飯は豪華にするから期待していいよ!」
威降の横で錐が嬉しそうに鳴いた。
さて、ここに異色のコンビがもう一組……。
「がんばれロリババア! みんなのロリババア!! わたしのロリババアは世界一の美しさ!!」
テンション高く観客席に向かってアピールしているは『脳内お花畑犬』ロク(p3p005176)だ。
尻尾フリフリ、ぴょんぴょん跳ぶロクの様はさながら犬。コヨーテだけど犬。そんなロクに競技スタッフが迫る。
「美しい双眸に宿る……老婆ような眼差しィイイーーー!! やだ……嗤い声が不気味……なんてこと!! なんてすてきでおどろおどろしいしゃがれ声!! 美声!!」
スタッフの一人、トリーネにジョンと勝手に名前をつけられた青年が、後ろからロクを抱えあげた。
すでにほかの選手たちはゲートインしており、あとはロリババアとロクだけなのだ。スタート予定時間を大幅にすぎても一向にゲートインする気配を見せない彼らに痺れを切らして、強制的に騎乗させにきたのだ。
「……え、彼女に乗らなきゃいけないの!? え、死んじゃうよ!? 他のロバとか羊さんとかに挟まれたら骨バキバキってなるよ!?」
ロクは抵抗した。実はロリババアには乗らずに、横について走るつもりだったのだ。
「見て、この身体を!! あばらどころか全身の骨が浮いてる……こんなによろよろしちゃって……要介護!! すてき!! 要介護ロリババアすてき!!」
脳内に花が咲き乱れまくっていてもう何を叫んでいるのかワケワカメ。介護が必要なのはロバのロリババアではなくて、むりやり騎手のロクのほうかもしれない。
熱気で時空が歪んでしまったかのような、一種異様な雰囲気の中、全選手がようやくゲートに収まった。
まもなく逢魔が時――いや、ちがった。レーススタートだ。
●
<「さあ、ようやくゲートが開いた! 各選手、一斉にゲートから飛び出していきます」>
ダンプPがあえぐように声を出す。長かった。ちゃんとレースができるのか危ぶまれるほど、ゲートインまでの時間が長かった。
<「どの選手もものすごく個性的な走りで……す……ね。わたくし頭痛がしてきました」>
一番は絶影。クイックアップをかけたディエが巧みな綱捌きでベストポジションを取った。
(「気やすめ? そんなことなかったじゃない」)
いいえ、クイックアップは影響していません。気休めです、本当に。
続いてドンキホーテ、ほとんど並んでバルトロメオ。コースに出た直後にこけこけ号を抜いて資本主義世界の豚が四位につける。レイチェル・花子も負けじとついて行き、第二集団を形成した。
老骨に鞭打って、というよりも背中のロクを振り落とそうとして、ロリババアがイスカンダル、錐とともに先頭集団を追いかける。ちょっぴり遅れてトモォ。
<「序盤は無難なレース展開。各選手、まだ様子見。第一ストレートを走り終え、集団を維持しながらコーナーを曲がっていきます」>
ノゥカはレイチェル・花子の首筋を優しくなでた。もう少ししたら気合いを入れてもらうために、大きなお尻をぽんぽん、ぽんと叩こう。ムチを入れるなんてとんでもない。
(「誰だって痛いのは嫌だもんね」)
一位になれれば嬉しいけれど、こうして参加したことに意味があるのだ。
(「そうだ、皆に終わったら牛乳をあげよう。花子の出してくれたヤツだよ。口許に白いヒゲをつけて笑い合えたら最高の思い出だよね」)
ノゥカは牛体の上で体を弾ませながら、ふふふ、と笑った。おやつに持ってきたたくあん漬けとおにぎり、そして牛乳。レースが終わったら神ギスカンと一緒に食べよう。
――めぇぇぇぇっ!!
「聞こえた、花子? 神ギスカンも大きな声で応援してくれているよ。ものすごく近くでって……わぁ!?」
スタッフの手を振り切って、神ギスカンがコースに出てきていた。
「危ない、危ないよ。戻ってー、お願い!」
巨体に挟まれでもしたら大けがをする。もうレースどころじゃない。ノゥカはずるずるとレイチェル・花子のペースを落とした。
代わってこけこけ号が前にでる。でたはいいが、こちらもなんだか走りが危なっかしい。前に出たはいいが、第二ストレートで再び順位を一つ落とした。
――というのも。
「あああ、待つのよこけこけ号! 後ろを振り向いて私をくわえようとしないで! 失格になりそうだから! スタート前にくわえられていたのを助けてくれた係員のジョン君(仮名)の優しさが無駄になっちゃうから!」
敵は目の前というか、すぐ足の下にいた。
このまま猛スピードで走り続けていると、いつかトリーネを落としてしまう。そう思ったかどうかは動物疎通をもってしてもわからないが、こけこけ号は隙を見ては首を後ろに回し、トリーネに噛みつこうとしていた。
「はっ! よっ!」
華麗に背中の後ろの方に逃げて事なきを得る……。ふっ、さすが私。クールだわ。クールにわとり。
(「それにしてもこけこけ号、坂でもちゃんと走るわね。のんびり屋さんなのに。これは私もしっかり応援しなきゃ!」)
と思いつつ、ジョン君(仮名)を探して視線をあちらこちらに彷徨わせる。落ちないように気をつけてね。あと、噛まれないように。
レナとイスカンダルは要介護、走りのラインがまったく定まらないロリババアの後ろに甘んじていた。
鈍臭そうなロバよりは、確実に入賞できると思っていたのにどうしてこうなった?
「なぜ? なぜなのイスカンダル? ……はっ、まさかこのあたしが普段運んでいる荷物よりも重いっていうんじゃないわよね」
仮にそれが事実だとしても、予想される未来が恐ろしくてとても言えない。かのアレクサンダー(イスカンダル)大王本人だったとして、きっとうんとは言わないはずだ。
第2コーナーから第2ストレート後半まで、トップは変わらず絶影。続いてドンキホーテ、バルトロメオの順で抜けて行った。
一馬身差……と言う例えもおかしいのだが、ちょっぴり遅れて第二集団がついていく。ばらけだした第3集団の一部を取り込み、中で細かく順位を入れ替えながらの疾走だ。
トモォ、錐が第2ストレート後半に入った時にはもう、絶影が第5コーナーを曲がろうとしていた。
●
<「二番変わらずドン・キホーテ、その後ろからSMの女王さまと豚オヤジぃぃぃぃー! ご褒美をねだる泣き声が実況席にも聞こえてきます。よい子は見ちゃダメ!」>
コーナーを曲がりきったところで、デイジーはムチを構えた。
「何か雑音が入ったようじゃが、こっちのレースでも妾の華麗な騎乗スキルを見せつけてやるのじゃ。鞭でたくさんしばくと良い感じに走ると聞いている故、基本的に多めに叩いておくかの」
ソニックムーブを起こして唸る鞭の音が鋭く響く。柔らかく白い資本主義世界の豚尻に赤い筋が浮き上がった。
――ブヒィィィィ(はーと)。
「ほれ、抜かんか! 抜くのじゃァ!」
ヤバイ。その台詞は違う意味に聞こえてめちゃくちゃヤバイ。
「バルトロメオ、後ろがヤバイでござる!」
Mashaは首を前に戻した。顔が綾くなっているのは抜かれる恐怖ではない、万が一、後ろからぶつかられたら……豚の子を孕んでしまうのか、バルトロメオ?!
背の上で気持ちの悪い事考えるなよ。とは思いつつ、バルトロメオはこっそりコースを外へ取った。
「あ、何をしとるか。……怖気づくな、荒野の弾丸バルトロメオ! 封印を解くでござる!」
掛け声とともにMashaとバルトロメオは激しく首を振って眼帯を外した。ダークパワーに覚醒する、という設定をレース前に打ち合わせていたのだのだが……スピードは上がらなかった。
最後方では最下位争いが熾烈を極めていた。
「ほら、見えるかトモォ。応援席でパダッセさまもロイヤルに応援してくれてるで。いっちょ、カッコイイところ見せたらんとね。ここでがんばったら同人誌買ってやるからなあ」
腐れ神が喜ぶ……どんな同人誌だ。は……腐だけにBLか、BLものか!?
ブーケにご褒美をちらつかされたトモォ。俄然張り切って回転数を上げだした。しかし、移動方法が他の出場選手たちと違っていささか効率悪い。これがジャンプの高さを競う競技であれば、かなりいい成績も狙えそうなのだが……。
「そうや、その調子。がんばれトモォ!」
ともかく、最後にはならずにすみそうだ。
「……すごいな、錐。たまに散歩の時に乗せて貰った事はあるけどまさか走れる程だとは思ってなかった」
威降は思いやりを込めて錐の首筋を叩いた。
「そしてこんなに頑張ってくれるとは。ありがとう錐。 今日のご飯は豪華にするから期待していいからね!」
ピンク色の大きな餅――トモォとブーケの背が遠ざかっていく。うん、完走できればいい。初めてのレースだ。錐が人を乗せてこんなに早く走れることが解っただけでもすごいじゃないか。
「……おっと。ゴールが見えてきたかな」
さあもうひと踏ん張り。最善を尽くそう。
ブーケはギフトを発動させた。錐に負荷をかけていた体重が0になる。これで荷物も背負ってないも同然。
「よし、最後まで全力で駆け抜けるぞ!」
意外と楽しかったな。ブーケは錐の上で微笑んだ。
「駆けよドンちゃん!疾風の如く!」
釣り竿から下げられた美味しい草が激しく揺れる。
「ドンちゃん、ゴールしたらいっぱい食べさせてあげるからね。ファイト!GOGO!」
あっという間に 美味しい草が無くなった。セララは器用に走るロバの上でエサを……らぶりーな雌羊の写真に付け替えた。
「頑張れドンちゃん!優勝したらモテモテのハーレムだよ!いっけぇ!」
最後の最後でセララはドン・キホーテにムチを入れ、歌いだした。ゴールはもう目の前だ。
♪もこもこ羊のドンちゃんと キュートな騎士のセララちゃん~♪
♪挑むはダービー 皐月杯~♪
「いえーい! 準優勝だ、最高!!」
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<「ロバらしからぬ圧倒的なオーラを放ちつつ、向こうからググッと絶影がやってくる! 体が大きい、大きい。大きく見えるぞ、絶影! キミはほんとうにロバなのかァ!」>
ディエは今回の皐月杯に向けて作った特注の鞍から尻を浮かせた。自身のギフトによる本当に特別な鞍だ。
(「キミの身体になるべく負担がかからぬよう、良い道具を用意するのも相棒であるボクの仕事だからな」)
ディエの思いに応えて絶影は脚足を速めた。ムチを入れてもらうまでもない。もうトップが変わることはないだろう。
「ククク! ツワモノどもよ! 誉れ高き名をその魂に刻むが良い! 絶影とディエの名を!」
<「来た来た、来た! 幻想レースファンの夢を乗せて、絶影が栄光のゴールを駆け抜ける――ッ! 優勝は絶影、『夢は現に』ディエ=ディディエル=カルペだァ!!」>
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
レース結果は以下の通り。
優勝 絶影
騎手:『夢は現に』ディエ=ディディエル=カルペ(p3p000162)
【順位経過】1→1→1→1→1→1→1→1→1→1
準優勝 ドンキホーテ
騎手:『魔法騎士』セララ(p3p000273)
【順位経過】2→2→2→2→2→2→2→2→2→2
3位 バルトロメオ
騎手:『ダークネス †侍† ブレイド』Masha・Merkulov(p3p002245)
【順位経過】3→4→4→3→3→3→3→3→3→3
4位 こけこけ号
騎手:『聖なるトリ』トリーネ=セイントバード(p3p000957)
【順位経過】7→6→6→5→4→5→5→5→4→4
5位 資本主義世界の豚
騎手:『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
【順位経過】4→4→5→6→4→4→4→4→5→5
6位(同着)レイチェル・花子
騎手:『農家』ノゥカ(p3p002762)
【順位経過】7→5→5→4→5→6→6→7→6→6
ロリババア
騎手:『脳内お花畑犬』ロク(p3p005176)
【順位経過】5→3→3→4→5→5→6→6→6→6
8位 イスカンダル
騎手:『森羅万象爆裂魔人』レナ・フォルトゥス(p3p001242)
【順位経過】5→4→6→7→6→7→8→8→7→7
9位 トモォ
騎手:『兎身創痍』ブーケ ガルニ(p3p002361)
【順位経過】6→4→7→8→7→8→7→9→7→8
10位 錐
騎手:『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)
【順位経過】5→7→8→9→8→9→9→10→8→10
個性豊かな出場者で大変賑やかなレースになりました。
面白かった……。
またのご参加、おまちしております。
GMコメント
【!依頼内容】
・レースに出場し、楽しむ。
※『ロバ』または元『ロバ』専用のレースです。
※優勝号(と騎手)、準優勝号(と騎手)にはそれぞれ入賞の記念品が送られます。
【!エントリー条件 必読、要注意!】
・アイテム『ロバ』、または元『ロバ』(羊、ヤギ、牛など)を所有していること
・きちんと装備していること。または本人
※本人以外で『ロバ』、または元『ロバ』アイテム装備していない人は、
出走前に失格となりレースに出られません。失格理由はGMがでっち上げます。
※本人が走る場合は、必ず動物形態で!(NPC騎手が騎乗します)。
※馬以外でヒツジ、牛、ダチョウ、……人が乗れて、飛ばない生き物ならOKです。
※馬は別レースにご出場ください。
【!書式 必読、要注意!】
※書式が守られていない場合、レースに失格になります!!
・1行目:ひらがなまたはカタカナで、五文字以上、七文字以内のおやつ1つ
※とくに指定がない限り、リプレイでおやつを食べるシーンは描写されません。
※今回、ドリンク類は除外します。
例1)ホットケーキ
例2)いしやきいも
・2行目:奇数が好き/偶数が好き ……どちらかを選んでご記入ください。
・3行目:鞭入れポイント選択。1~10の数の中から1つだけ選んでください。
※騎手に『騎乗』スキルがあれば+2、なければ+1されます。
・4行目:どのシーンを描写して欲しいか。下記から選んでください。
1>ゲートオープンから第1ストレート前半 ……ゆるい上り坂
2>第1ストレート後半 ……前1/3が急な下り坂
3>第1コーナー ……フラット
4>第2コーナー ……少し登り気味
5>第2ストレート前半 ……フラット
6>第2ストレート後半 ……後1/3が急な登り坂
7>第4コーナー ……少し登り気味
8>第5コーナー ……フラット
9>最終ストレート前半 ……ゆるい上り坂
※10、最終ストレート後半からゴールまでは描写指定できません。
※コースは『芝』です。
・5行目:以下、自由記入。
ペット(友?)にかける声とか、ペットの容姿やチャームポイントとか、
なんでも自由にご記入ください。
同位・同着の場合、プレイングの文字数で判定します。
※他の選手たちにギフトや攻撃スキルを仕掛けてレースを妨害することはできません。
てか、やめましょう。やっちゃダメ。
やればもちろん失格です。
【プレイング記入例】
・ねぎやきそば
・偶数が好き
・9
・最終ストレート前半
駝鳥のロードランナー号に騎乗するオレは狼ガンナー。
カウボーイハットにシェリフバッチで決めて、荒野ならぬ芝のコースを駆け抜ける。
最終ストレートに入ったら情熱の鞭を一発入れよう。少しでも前へ、1つでも順位をあげるんだ!
「かっ飛ばせ! ロードランナー!」
【!その他】
名前がないアイテム『ロバ』のままだった場合は、単に番号で呼ばれます(悲)。
以上、よろしければ相棒とともにご参加くださいませ。
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