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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 第十一幕》狐人達の新年

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■新年早々、早速面倒事です
「あけましておめでとうございます!」
「ああ、皆。去年一年ご苦労だった。今年もまた、平和である為に皆の尽力に期待する!」
 狐人を中心とした城塞都市にも新年がやってきた。この街を護る騎士団は、毎年こうして団長にして都市のトップであるスーラクに挨拶をするのが恒例である。
 現在騎士団に勉強という名目で滞在している少年、ギルも例外ではない。流石にこういう時くらいは真面目に、礼儀正しく過ごす。
 が、堅苦しいのはあまり長く続かない。ギルとスーラクは縁故関係にあるのだから。
「ところで、お年玉とかあんの?」
「お前な……まあ、ないとは言わんが」
 現在実家から離れて過ごしているギルだ。騎士団から若干のお金は出ているとはいえ、滞在費にほぼ消えている。そのため自由に使えるお金はほとんどないのだ。
 とはいえ、近頃新しい剣がほしいとか物欲が強いのがこの年頃。そして親戚の大叔父ともいえるスーラク相手なら強請れると思っていたのだ。
 簡単にいくはずもないが。
「郊外に下水道を作る計画があっただろう?」
「住民が増えたからって緊急で可決した奴だっけ?」
 上水、下水の整備は大事である。人が多ければ多いほど余計にだ。
「うむ。工事は順調だったのだが。汚水を餌とするスライムが棲み着いてしまってな」
「げっ」
 にやにやと笑いながら話すスーラクに顔を歪めるギル。話の展開がもう見えた。
「そう強くない相手だ。腕試しついでに退治してこい。そうすれば報奨金を満額、お年玉としてやろう」

■うまい話には裏がある
「……スーラクさんってほんと、悪巧みっていうか、そういうの似合うわよね」
 見慣れた本を手に、呆れたとばかりにため息を吐くのは境界案内人のポルックスだ。もはや慣れたと言いたげなイレギュラーズもいる。
「ま、まあ。今回は彼は素直に、ギル君にお年玉をあげる口実として簡単な依頼を出したのよ。ほら、身内だからって贔屓したら駄目じゃない?」
 確かに。他の団員達の目もある為に堂々とはできないであろう。しかし、これならばギルの腕試し兼試験として言い渡し、きちんとこなせば報酬としてお年玉を渡せる。理にかなっている。
「ところが……スーラクさんも知らなかった事なんだけど、このスライム、数が多いのよね……」
 陳情書に抜けがあったらしい。こればっかりは責められない。すぐに手助けをお願いするわ、と締めくくりイレギュラーズを送り出す。

NMコメント

 新年あけましておめでとうございます。以下略です。
 まだ明けてない? いいんだよ、出発日は新年だから。な精神です。
 今回は狐人の少年、ギルと共にスライム退治です。オーソドックスな依頼ですが、油断はなさりませんように。
 以下概要。
■見習い騎士、ギル
 二刀流に憧れる少年。勇者の素質があるのだが、若干魔法が苦手な為にまだ開花していない。
 物理・魔法攻撃。回復スキルとバランスよく習得しているが、魔法力は低め。前衛としての能力はそれなり。

■汚水スライム×?
 結構な数がいます。軟体生物な為に単純な物理攻撃は若干威力を軽減します。
 体当たりや、粘液飛ばしで攻撃してきます。そんなに威力はないですが、数が多いので一度に狙われると大変かも。
 また下水に棲み着いたせいか、臭いです。いやほんと。

■フィールド、下水道。
 整備を進めていた下水道。元からあったものと合流し、処理施設へと流れていく。つまり稼働はしているので、臭い。水に落ちると大変な事に。なんらかの対策があるほうがいいかも?

 以上となります。
 難しいことを考えずに、適当に暴れるだけでも達成できますが、臭いオチが待っているのは覚悟してください。
 もちろんきちんとした対策があれば綺麗なまま終わります。

 それではよろしくお願いいたします。

  • 《狐の嫁入り 第十一幕》狐人達の新年完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月09日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤

リプレイ

■新年一発目が下水道って嫌じゃない?
「いや、なんか悪いな。無理言っちまって」
 さすがのギルも申し訳ないと思ったのか、集まった四人に対して真っ先に頭を下げる。それもそうだ。誰だって新年早々下水道で臭い思いなんてしたくない。
 けれども、仕事とあれば。依頼とあれば集まるのがイレギュラーズなのである。例え異世界であろうとも。
「新年あけましておめでとウ、から始まる下水道任務ってのはインパクト的には花丸だネェ〜……」
 葉巻を吸って気分を切り替えようとする『風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)の、指が震えている気がするのはきっと気の所為である。
 入り口のここですら結構臭うのだ。中はどんな地獄絵図が繰り広げられるのやら。考えるだけで嫌になるってものである。
「うん、ここは無理。さっさと終わらせて帰りましょ」
 『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)も顔を顰める。地下遺跡で流れる水だけを頼りに暮らした事があるという彼女も、流石に下水は勘弁願いたい。
 それでも旧知のギルの為にとやってきたのであった。
「ああ、そうだな。早く終わらせないと新年会に間に合わないし」
「え、何それ。初耳なのだわ」
 『自堕落適当シスター』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)が新年会という単語に食いついた。恐らくは酒が飲めると勘違いしたのであろう。
 だが、騎士団所属のギルが言うのだ。新年会と言う事は騎士団の集まり。つまり酒が飲めるのかというと……飲めるのだ。騎士団長がアレなので。
「はぁ、会長汚れ仕事嫌いなんだよねー。好きな人居ないだろけど」
 大きなため息をつく『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)の衣装は純白の僧衣。汚れたら一大事である。ため息が出るのも仕方ない。
 なんで下水道に。上水道に棲み着いてくれれば、と一瞬考えたものの。タンクいっぱいなスライムを想像してしまった茄子子は一人げんなりする。想像してはいけない。
「ま、弱いって話だし。さっさと終わらせちゃおうぜ」
 ランプに灯をともして先頭きって下水道へと入っていくギル。彼は、彼らは知らない。スライムは一匹ではないという事を。

■新年早々大惨事
「オ、いたネ」
 狩人のセンスが活きるジュルナットがスライムを見つける。ぷるぷるしている茶色のスライムである。なお、ジュルナットは嗅覚まで優れている為に既に精神的ダメージを負っている事を追記しておく。
 濡れた布を鼻にあてておけば匂いが遮断できると聞いていたものの、スライムに近づくにつれて貫通するようになってきたのだ。
「ああ、しっかり見えるね」
 戦闘モードに入ったコルネリアが、ガトリング砲を構える。暗いところであろうと彼女の眼から隠れる事は難しい。
「それじゃギルくん、前よろしくね」
「ったく、しょうがないな」
 見た目美少女な茄子子に頼られ、文句を言いながらもまんざらではない様子のギル。二刀を抜いて、一息にスライムに斬りかかる。
 ぽよん。
 そんな擬音が下水道に響いた、気がした。決してギルの持つ剣が鈍らだった訳ではない。だが、相手はスライムなのだ。ただの斬撃では受け流されてしまう。
「こういう時は、私達の出番よね」
 数歩前に出たセリアが、手にした書物より眩い光を放つ。下水道を一瞬明るく照らしたその光は、的確にスライムを貫いていく。
 ぷるぷる。
 効いているのかどうか見た目ではわかりづらい。どうも痺れたらしく輪郭がトゲトゲしくなっているのだが。
「声も顔もない獲物はわかりづらいネ」
 そう口にしながらも、ジュルナットは矢の雨をスライムの周囲に降らせる。何本かはスライムの身体に刺さるが、すぐに抜け落ちていく。やはり単純な物理攻撃は軟体故に効きづらいらしい。
 しかし、効果はゼロではない。スライムの身体が崩れている。
「それじゃ、トドメしちゃうね!」
 茄子子が放つのは運命改変の力。対象の意識を書き換え強引に信徒にするというもの。……スライム相手だけど。
 それでも威力はたしかなもので。その一撃でスライムは完全に汚水へと還っていく。
「うへぇ……あんなの見たくなかったわ」
 視力が良すぎたコルネリアが吐き気を催す……も、次の瞬間にその眼が役に立つ。
「って、ギル! 後ろ!」
「え?」
 一匹のスライムが倒れた事で完全に油断していたギル。仲間の元へ戻るべく振り向いた瞬間に、背後の下水道が盛り上がったのだ。
 そこから姿を見せるのは先のスライムと同じ姿のものたち。集団での登場である。当然、臭う。
「くっさ!?」
 登場の勢いで巻き上げられた下水を浴びてしまったギルが悲鳴をあげる。熟成された下水だ、相当のものである。
 その余波は直接浴びていない四人にまで及ぶ。ジュルナットに至っては鋭い嗅覚が災いし顔面蒼白である。
「とにかく、倒すわよ!」
 ギュルン、とコルネリアのガドリングが唸る。火を噴く銃身から放たれるは氷の弾丸。スライムの身体を貫通していき、穿った穴を凍りつかせていく。
「ギルくん、大丈夫かい?」
 茄子子がギルに癒やしの力を飛ばす。もちろん臭うので射程ギリギリの位置からだ。仕方ない。
 多少ギルの精神は癒やされたが、臭いは落ちない。ダメージじゃないもの、仕方ないね。
「ギルクン、まだやれるカイ?」
 牽制の矢を放ちながらジュルナットが問いかける。僅かに頷いたギルが剣を構え直し、横薙ぎにスライム達を切り払おうとするが、やはりただの剣術では効果は薄い。
「ギル、あなたも魔法使えるんでしょう!?」
 再びの眩い光でスライムの群れを貫きながらセリアが叫ぶ。地面が汚れてきたので触れないようにペンダントの魔力を使い浮いている。
「あ、ああ……でも、俺は」
「いいから、やってみな!」
 何事か渋るギルを、ガトリング砲を操作しながらコルネリアが叱咤する。
 覚悟を決めたギルが剣を収め、両の手から花弁のような狐火を生み出す。その炎は徐々に強くなり、スライム達の身体を包んで焼き払っていく。
「ヒューッ、やればできるじゃないカ」
「すごーい! そんな隠し玉あるんだったらもっと早く使ってよー」
 ジュルナットと茄子子の褒め言葉に、照れくさそうに笑うギル。
 しかし、彼が使うのを渋っていた理由は一つ。真面目に魔法の修行をしていなかった為に、威力が低いのだ。
 焼け焦げたスライムの山、一体のスライムが生き残りギルに飛びかかる。
「ツメが甘いわよ!」
 しかしそのスライムは、いち早く反応したセリアの十八番。精神の弾丸に撃ち飛ばされ、水しぶきを上げて下水に散っていった。
「ま、これからも精進だわね」
 コルネリアの言葉に、力強くうなずくギルであった。

■対策はしていたけども……
 スライムの群れを倒し、一通り下水道を見渡してから帰還した五人。人間の嗅覚とは不思議なもので、一定時間同じ場所にいるとどんな臭い臭いにだろうが慣れてしまうのだ。
 この五人も例外ではなく。汚水はかぶらないようにしていた為にギル以外に被害はないものの、衣服への臭い移りは避けられなかった。
 でも、本人達はわからない。同じ場所にいたから。
「団長、討伐終わったぜ!」
「おお、ご苦労。友人殿達も済まなかった……くっさいなお主ら!」
 一瞬きょとんとし、そして思い出す。そうだ、下水道にいたのだった、と。
 道理で道行く人達が眉を顰める訳だ。気をつけていたのに、慣れとは恐ろしい。
「風呂をすぐに用意させるから入っていくと良い」
「ありがとう、助かるわ」
 女性陣三人にとっては朗報である。流石に花も恥じらう乙女達が下水道の臭いをいつまでも漂わせているのは、絵面的に悪い。
 コルネリアは礼を述べ、早速と向かおうとする。茄子子も後をついていき、セリアも……と思ったところで振り返る。
「ないとは思うけど、スーラクさん? 覗きは駄目よ?」
 さしもの騎士団長も一目おく威力の精神の弾丸をちらつかされては、引きつり笑いを浮かべるしかない。やる気だったなこの男、とため息一つ残してセリアも二人の後を追う。
「それじゃおじいちゃんも……お、そうだギルクン」
「ん、なんだ?」
 首を傾げるギルに、一つの包みを渡すジュルナット。
「少ないけど、お年玉サ。やっぱりおじいちゃんだからネ」
「お、おお。サンキューな!」

成否

成功

状態異常

なし

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