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シナリオ詳細

大森林の三頭蛇退治

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鬱蒼とした森林部を猟師風の服装をした男の四人組が歩いていた。
 ぎゅっぎゅっと足元の雪を踏みしめ、男の一人が上を見上げる。
「はぁ、にしても全く。全然日が届きゃしねえ。今何時だったかな? 腹減ってきたぞおらぁ」
 手と手をこすり合わせて白い息を吹き付け、ぼやいた。
 密集した葉によって閉ざされた空は、入ってきたころの天候を考えればきっと晴れ渡った美しい青の空だろう。
「っと……あぁ、どうやらもう昼時みてぇだな」
「はぁ……でも、こんなとこまで子供らが来たんかねえ」
 時計を取り出した一人に対して、もう一人がため息を吐く。
「全くだな……そろそろ昼飯にしたいけど、一息つくような場所もないなこりゃ」
 彼らは捜索隊だった。昨日、森の外にある村から消えた齢7歳ほどの兄妹が、森へと消えて帰ってきてないのだ。
 ただの捜索程度なら地元の男達だけでなんとかなるさと、それどころか誰かに依頼してたら子供らの命が危ないと。男達は森の中へと足を踏み込んだ。
 しかし、奥へ行けども子供たちの痕跡など皆無で、それどころか足元の雪を考えれば、凍えて死んでしまっている可能性すらある。
「心配でなんねえ。兄貴の方もよく働くし妹の方は本当に可愛らしかったんだ」
 ぽつりと漏らすのは件の兄妹の近所に住んでいる男だった。
「そうは言ってもよぉ。この雪じゃあ子供らの痕跡なんてほんと見つからないぞ?」
「そうだな……うん? おい! あれこっち来てみろ!」
 一人が走り出したかと思うと、他の三人を手招きする。そこには煌々と太陽の光が帳となって降りていた。
「……なんでぇこれ……この森にこんなとこあったか?」
 半径約10メートル。綺麗とは言えないが、ほぼ円形に作られた草原のような場所に、雪が積もっている。男たちの記憶ではそんなものを見た覚えはなかった。
「新種の魔獣だかでも出てるんじゃあねえだろうなぁこれ……」
 人の手ならまだいい。だが、人の手ならばもっときれいに円を作るだろう。まるで――そうまるで、これでは適当に動いた動物が根こそぎ此処にあったものを踏み更地に変えたような、そんな類のものだ。
「こりゃあ、俺たちだけで対処すんのはあぶねえんじゃあ」
 誰かが、ぽつりと言う。ごくりと、誰かが唾をのむ。
 そして――それに気づいたのは誰だったか。
 ――――しゅるしゅるしゅる。
「――っ!? なんでぇ今……いたっ!?」
 一人の男が叫んだ。ぎょっとした様子でそいつは振り返り――一同の間を通って円の中央へと叫びながら走っていく。
「おっ、おい待てよ!!」
 そんな声を一人が上げたのに従うように男が動きを止め――いや、震え痺れるように倒れ伏した。
「お、おい、う、後ろ……」
 また一人が、そんな声を上げた。
 それに続くように、あとの二人も後ろを向いて――驚愕に目を見開いて、その白っぽい鱗状の皮膚をそうように上を見上げ、今度は戦慄に声を失った。
 ぎらつく六つの目が、逆光の中で男達を値踏みするように輝いていた。
「ひっ、ひぃぃぃ!?」
 一人が慌てた様子で鉄砲を放つ。しかし、慌てていたが故か、その弾丸は蛇の首と首の間をするりと抜けて消えていく。
 男達は必死に小さく固まりながら、蛇から距離を取りつつ広場へと下がっていく。
「おい、おい!! 大丈夫か!?」
 倒れた仲間に問いかけてみるも、そいつはびくびくと震えながら、口だけを動かす。
 ――逃げろと。そう、口が言っているのが、誰の目にも分かった。
「う、うそだろ、おいおいおい! うぅ、おえぇえぇ」
 ほかの一人が震えながら声を出し、何かを指さした。
 その方向にあったのは、一本の足。広場にて太陽に照らされながら、引きちぎられたように転がる、一本の足。その足が履いている靴は、見覚えのあった。
「う、うああああ!?」
 発狂し、一人が弾丸を蛇へと向けてぶちまける。それが理由か、蛇は威嚇せんばかりに大口を開けた。
「逃げるべ!!」
 すべての弾をぶち込んで、しかしそのほとんどを外してしまった男を引っ張って、男達は一目散にその場を走り出した。


「よう、お前達か。そうだ、腕試しがてら、魔獣討伐なんてどうだ?」
  レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)はローレットに集まっていたイレギュラーズを数人見つけて声をかける。
「オマエ等の中にもいるかもしれねないが、古来よその世界では蛇も竜も似たようなもんだったらしい。今回の依頼は竜――じゃねえが、まぁ、でかい蛇の魔物なんだが」
 レオンの説明を聞きながら、興味を持った数人がより詳しく聞こうと歩み寄る。
「幻想の南の方にある森林部の程近くにある村でな。子供達が迷子になった。んで男衆が探しに行ったら――いつの間にか森の中に蛇の魔物がいたって話だ」
 レオンは言うと、男衆からもらい受けたらしい蛇の絵らしきものをイレギュラーズへと見せる。
「身長はざっと2~3メートル。まぁ、普通にいてもおかしくないサイズだが。問題はそこじゃない。なんとこいつは頭が三つもある。どうにも麻痺効果のある毒も持ってるみたいだな」
 図体の合流もスムーズで、全体的にひょろりとしている。
「男衆は何とか一人を除いて逃げられたみたいだが、こいつにパクっと首をやられた男衆が一人、死んでる。こいつを退治してくれってのが依頼だな」
「なるほど……うん? ちょっと待ってくれ」
「なんだ?」
「その子供たちはどうなったんだ」
「……子供らの両親のためにも、そいつを殺してこい」
 そのレオンの声がローレットに静かに残った。

GMコメント

宜しくお願いします!
春野紅葉です!

とかなんとか元気よく行きましたが元気よくやれる内容ではないですね。
それでは、さっそく補足説明に入ります。

●達成条件
蛇の退治

●敵
・三頭蛇
2~3メートルほどの大きな蛇。ただし頭部が3つ。

・攻撃方法
噛みつく:物至単 【麻痺】
突進:物近単
尻尾(というか下半身)での薙ぎ払い:物近範

あくまで蛇なので火を噴いたり飛んだりはしません。

・特殊ルール
三つの首がそれぞれ機能している間は一ターンにそれぞれの首が行動する判定になります。なので、中央の首を攻撃しているときに右の首がかばってくる、中央の首が防御しているときに右の首から噛みつかれるなども起こりえます。

それぞれの首を何らかの方法で縛ったり注意を引いたりして動きを止めておくか、集中攻撃をしてサクッと切り落とすことをおすすめします。

●情報確度
 Aです。つまり想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。

  • 大森林の三頭蛇退治完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年02月01日 20時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

世界樹(p3p000634)
 
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
マテリア・ライク・クリスタル(p3p002592)
水晶の様な物体
プリーモ(p3p002714)
偽りの聖女
クロウディア・アリッサム(p3p002844)
スニークキラー
ミランダ=グラディウス(p3p002905)
無双の老剣士
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ノブマサ・サナダ(p3p004279)
赤備

リプレイ


「たしか、森のこの辺りだったはずだぁ」
 依頼を受けたイレギュラーズ達は森に入る前に村に訪れ、男衆達から話を聞いていた。脳天から掌サイズの葉っぱが生えた、小柄な女性――『散歩する樹』世界樹(p3p000634)は男衆の指し示す場所に丸を付ける。
「んでもなぁ、ここの辺、この地図じゃぁこうだけんど、実際には円形に剥げちまってたぞぉ」
 もう一人の男衆が言う。たしかに、手渡された地図を見れば、そこも鬱蒼と茂る気を示す緑で塗りつぶされている。
「なるほど……ありがとうなのじゃ! 子供を丸のみにするような魔物の大蛇では、手に余るじゃろう。その無念、わたい達がキッチリ引き受けるぞよ」
 世界樹が胸を張って言うと、男衆達がありがたそうに拝みだした。

 「奪われた命は取り返せない。けれどやり場のない感情は、仇を返すことでしか発散できいない。まったく、人間ってのは厄介な生き物だな」
 『罪狩りの聖女』プリーモ(p3p002714) はその場でそう呟く。
「そもそも縄張りに踏み入ったこっちに非があるわけだが……。仕方ないね、悩める子羊を救うのがシスターのお仕事なので」
 そんなことを言いながら、にやりと口角をつりあげる。シスターなのかと疑うような悪人ヅラだった。

「人里と生存圏が重なっちゃったのが不幸だったね……被害も出てる以上、私にできることって討伐することくらいしかないんだけど」
 プリーモと同じような考えをしつつも、『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)は別のことにも注目していた。けれど、もしものことを考えるのは、退治してからでもいいはずと、意識を切り替えた。
「普通の蛇ならまだしも、頭が三つもある大蛇というのはちょっと異常です」
 そう言って頷いたのは、偶然ながら近くにいた『木漏れ日の妖精』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)だ。森より出てきた幻想種(ハーモニア)の少女は、村人たちが安心して暮らせるようにしようと、やる気十分だ。
「人の味を覚えた獣を、放っておくわけにはいかないねぇ……」
  そう言ったのは170センチを超えた目つきの鋭い老婆、 『無双の老剣士』ミランダ=グラディウス(p3p002905)だった。
  一見すると骨と皮だけのような姿であるが、その肉体は無駄な肉を限界まで削ぎ落した結果の到達点であるかのようだ。
「弱肉強食は自然の摂理だが、危険な生物を放っておく訳にもいかない。彼には悪いが、駆除しよう」
 ミランダの言葉に続くように中性的に見える人型の何者か―― 『水晶のような物体』マテリア・ライク・クリスタル(p3p002592)が言う。
 魔物とはいえ本能で生きる動物である以上、人がやりすぎたのが原因。だとしても、、人に危害が及ぶ以上は駆除しなくてはならない。それは参加する者の多くが共通して達した結論だ。

 クロウディア・アリッサム(p3p002844)は、今回が初陣だった。性別不明のクロウディアは、初陣に対する緊張よりもむしろ報酬をいただければ真っ当なご飯が食べられることの方が重要だった。
 戦争孤児を産まれとするクロウディアにとっては、緊張よりも空腹の方が大事なのだ。
「おなかがすいたのであります……」
 ぎゅるると音を立てて鳴った腹に反応したのか、村人から差し出された差し入れをありがたくいただき、ほうと一息入れる。
 
 そんな落ち着いたクロウディアとは対照的に、赤い甲冑をまとった少年 『赤備え』ノブマサ・サナダ(p3p004279)――は深呼吸を繰り返していた。
 ノブマサもまた、初めての実戦だ。少しの緊張とほんのちょっとの恐怖。それらを振り払うように深呼吸をして、少しずつ体の震えを止める。
 遠く故郷のラサを、そして両親を思ってごくりと息をのんだ。


 イレギュラーズは情報の収集を終えると、すぐさま出立し、目的の場所にたどり着く。
「ここみたいじゃの」
 世界樹はサークルの中心まで歩みを進めると、そう言った。
「ここまでくる間、植物からはあまり情報を得られませんでした」
 リディアはそういいながら、道中で見つけた綺麗な花を保管すると、今度は武器である短めの杖を構える。
 ここが恐らくは三頭蛇の狩り場。今は見当たらずとも、いつかどこからか現れる。他の面々もそれぞれがそれぞれの武器を構えたときだった。
 ――ざわり。ざわり。
 最初にそれを感じ取ったのは、リディアと世界樹。
「来る」
「そのようじゃ」
 感じたのは、蛇のそれではない。植物たちから感じ取った、ある種の悲鳴。嘆きのようなもの。
 やがてそいつは、イレギュラーズが入ってきた小道に、右手の木々の間からするりと現れた。
 三つの首をそれぞれに動かし、8人を目踏みするように眺めると、猛スピードで突っ込んでくる。
 ミランダがその肉体からは信じられぬ俊敏性で爆ぜるように動く。
「さぁて、覚悟はいいかい三頭蛇。ヒトの都合で悪いけど……その三つ首、落とさせてもらうよ」
 右の頭部めがけて繰り出されるは振るうの物が身の丈ほどの長大なる剣とは思えぬ多段攻撃。強かに撃ち込まれた攻撃は、蛇の頭部を大きく跳ねさせる。
 かつては死神と謳われたその腕から放たれる剣閃は、かつてのそれから大きく落ちたとしても、伊達ではない。
 しかし、蛇とて黙っているつもりはない。打ち込まれた右の頭部に対する報復をせんと、中央の頭がミランダに向けて打ち込まれ――るその前、防御体勢を取ったイリスが間に割り込む。
「君の相手は私だよ」
 防がれた衝撃に頭を震わす蛇へとそう宣言し、そのままシールドを叩きこんだ。
 ノブマサはそれを横目にすると、剣を思いっきり左側の頭部に向けて叩き込んだ。
 浅い手ごたえ。しかし、蛇が大口を開けて威嚇してきていることを見れば、自分の役目はできているらしい。
「お前、の相手は、ボク、だ……!」
 視線を合わせると、少しばかり恐ろしく思えるが、剣を握る腕は震えていない。ぎゅっと土を踏んで、真っすぐに敵を見る。相手が違うところに意識を行くのをさえぎるために。
「残念じゃが、今回狩られるのはおめぇさんの方じゃ、バケ蛇!」
 そんな声と共に、鮮やかな火花が蛇の後ろから舞い上がる。いつの間にか蛇の尾の方へと移動していた世界樹の攻撃だ。それにたまらず蛇が打ち震えるように上に顔をあげた。

 プリーモはその様子をやや後ろから眺めながら、右の頭部へと狙いを定めていた。
「さて、貴様に神のご加護をくれてやろう」
 引き金を引き、爆音と共に砲撃が火を噴いた。ミランダから離れるようにして顔を大きく上げていた右の頭部に、その集中砲火が撃ち込まれる。
 綺麗に撃ち込まれた弾丸は、蛇をのけ反らせ、その鱗に傷をつけた。しかし、まだ足りない。鱗の下の肉にはまだまだ削り切れないらしい。
 視線の先、肉薄したクロウディアが追撃とばかりに手甲を打ち込んでいく。激しい音と共に撃ち込まれた衝撃で、蛇が頭をくらくらと動かした。
 それに続くように、左の頭部に向けて横からマテリアの放つレーザーの様な物が照射される。左の顔も、それを受けてやや煤けたように見える。

「尻尾を振りかぶった! 薙ぎ払い来るぞよっ!!」
 イレギュラーズが一通り初手を蛇に打ち込んだ直後、世界樹が叫ぶ。
 一気呵成の攻撃ゆえに苛立ったのか、その場で蛇が胴体ごと尻尾を走らせた。
「くっ!!」
 回避に失敗したイリスが全力での防御で何とか耐える。しかし、それを隙と見た首が、大きく口を開け、彼女の左肩から胸元にかけてを食らいつく。
「――っ!!」
「聖なる光よ……」
 それを見たリディアが、祈りをささげると、イリスを温かい光が包み込み、毒気を抜いていく。
「ありがとう!」
 振り返ることなく、イリスはそう告げて、再び立ち上がり踏み込むと、お返しとばかりに盾を叩きこんだ。

「お前、は、強い、けど、父さんも、みんなも、もっと強い!」
 大きな口を開け、自身へと噛みつこうとしてくる蛇の口に盾を当て、ノブマサは踏ん張っていた。くわっと大きく目を見開き、雄たけびと共に渾身の剣を振るう。
「だから、怖くなんて、ない、ぞ……!」
 熱くなってきた身体と共に、ひたすら敵と相対する。一歩も引くつもりなどなかった。


 それからいくらか時間が経った。
 イリス、ノブマサ、世界樹、マテリアの牽制が続く中、集中的に攻撃を加えていた右の頭部。それは今やいくつもの剣と弾、それに打ち込みによって既に鱗は砕け、肉と血で赤く染まり、だらりと垂れていた。
「いいかい蛇畜生。その三つの頭にたっぷり恐怖を刻んでから……死にな」
 ミランダの鋭い眼光がなお鋭く、一気に右の頭部から胴へつながる接続面へと入り込み、すでに柔らかくなっていた蛇の肉に、すっと分け入っていく。
 やがて、脈から噴き出した血が、ミランダとクロウディアを濡らし、大きな音を立ててその頭部が大地へと落ちた。
「まずは一本でありますな」
 ぴくぴくと震える断たれた頭部に一応とばかりに拳を打ち込んで、小さくクロウディアが息を吐く。
「すぐに治します」
 そんな声と共に、ミランダとクロウディアを緑色の光が優しく包み込み、その傷をいやしていく。
「さて、次に行こうかね」
 剣を担ぐように持ってミランダは言うと、その視線を中央の頭部へ向けた。その直後、すさまじい数の弾丸が中央の頭部へと吸い込まれるように放たれた。
「少し下がって回復を受けた方がいいであります」
 砲撃の追撃とばかりに蛇の頭部へ手甲をぶち込んだクラウディアが声をかけると、それまで中央の蛇の注意を引いていたイリスがやや下がり、すぐに緑色の輝きが少女を包む。
 形勢の傾きが、徐々にイレギュラーズへと動き始めた。蛇は敵愾心を露わにぎょろりと未だにイレギュラーズを見据え続ける。
 しかし、そうは言っても既に中央の頭部はイリスが注意を引くために行った攻撃とマテリアの後方支援射撃によってある程度の傷を負っていたこともあり、最初の一よりも早くその動きを止めた。
 そこへイリスの剣が閃き、すぱりと叩き落とした。血の線を引きながら体を揺らし、蛇が最後の頭部をイレギュラーズ達にぎょろぎょろと動かし、最後にミランダを見ると、ぶるりと体を震わせ――次の瞬間、飛び出すように彼女へと突撃する。
「まだそんな元気があるのかい!」
 少し驚き交じりに笑うと、ミランダはその突撃に剣を合わせる。ガキンッと音を立て、剣が蛇の口を塞ぐも、ミランダの体はその勢いに押され、やや後ろへと下がった。
 ミランダが蛇を押し戻すとともに、イレギュラーズは再び蛇を囲むと、一斉に攻撃を再開する。3つの首を持った蛇は、既にやや左側に首が生えただけの蛇でしかなくなった。
 イレギュラーズの猛攻を受けた最後の一本は、力尽きると共に、胴体ごと大地へと倒れ伏す。ずしんという、重たい音と共に、戦いは終わりを告げた。


 蛇退治を終えた後もイレギュラーズ達はまだ森の中にいた。
 イリスとマテリアを中心に、遺留品や蛇の卵などがないか、捜索を開始した。けれど、少しばかり時間が経ってしまっているからか、遺留品の類は見つからず、卵や幼生もまたどこにも見当たらないまま、陽射しは傾き夕焼け色を描く。
「これ以上探すと夜になってしまいます。そろそろ帰りましょう」
 リディアの返答に頷いて、探し物を続けたイレギュラーズ達は綺麗な小さな花を森から貰ってその場を後にする。
 何もないよりは、何かを送ろう。そんな気持ちの者が多かった。
 後にはひっそり、物言わぬ大蛇の亡骸が静かに森の中央部で倒れるだけだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お世話になっております。
春野紅葉です。

リプレイの納品、遅れてしまい申し訳ございませんでした。
言い訳になってしまいますが、少し病気になってしまい、
体力が回復するまで作品に取り掛かれなかったのが原因です。

今後はこのようなことがないよう気を付けてまいります。

楽しんでいただければ幸いです。

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