PandoraPartyProject

シナリオ詳細

うわばみのもり

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●どこかで見た冒険者
 なんの変哲もない、という表現をすれば、そこで暮らす村の住人には失礼にあたるだろうか。
 しかし真実、村そのものには何もおかしいところなどないように思えるのだ。
 野盗や理不尽な権力にさらされることもなく、子どもたちは元気に駆け回り、大人は仕事に勤しんでいる。日が暮れれば村にひとつだけの酒場に集まり、その日の苦労を分かち合うのだろう。
 しかし、夜間には賑わう酒場も、昼間とくればてんで客が寄り付かず、今は他所から来たという冒険者染みた四人が席を囲むばかりであった。
 そのひとりが、ぐっと拳を握りしめて声を荒げている。
「あの時は油断しちゃったのが悔しくって。またあの森に行って秘密を解き明かしたいので、どうか手伝ってください!」
 息巻いているから何事かと、ウェイトレスが厨房から顔を出したが、どうやら近くの森のことを言っているようだ。口ぶりからすれば、あの森に入って何か痛い目にでもあったのだろう。あのような恐ろしいところに行って、よく出てこれたものだ。
 あの森は、人を化かす。化かして、騙して、連れ去ってしまうのだ。
 そのような森に、もう一度行こうなどと。いや、そう言えば何人かは見覚えのある四人組ではなかろうか。以前にも、あたりのことを尋ねられたことが、あった気がする。
「……あの、ごめんなさい。声が大きすぎましたか?」
 どうやら、顔を出したのを見咎めているのだと思われたらしい。言葉も物腰も丁寧で、冒険者と言うと粗野なイメージを持っていたのだが、どうやら認識を改めるべきであるようだ。
「いえいえ、夜になればもっとはしゃぐ大人でいっぱいですから。それよりも、話が気になっちゃって」
「話……化かす森のことですか?」
 化かす森。なんともストレートなネーミングだが、名前がないのだからそれでも問題はないだろう。必要がないので、村の誰も、それに名付けることなどしてこなかった。
「ええ、そのことで。ひとつ謝らないといけなくって」
「……何のことですか?」
「あの森は夜になると化かす、だなんて。ごめんなさいね、昼日中だって騙されたでしょう?」
 冒険者の女性が、頭に疑問符を浮かべている。こちらの言葉の意味を測りかねているのだろう。
 だから、もう少しだけ踏み入ることにした。
「ねえ、こんぺいとうは美味しかった?」
 一瞬の間。その後、膨れ上がる警戒心と緊張感。
 ああ、ようやく気づいてくれただろうか。わかってくれたのだろうか。
「『黄泉つ竈食い』って、知ってる?」
「……何の話?」
 こちらの言葉に訝しげにしつつも、警戒を解いてはいない。それはそうだろう。荒事に慣れた冒険者に睨まれて、平然としているウェイトレスなど、怪しいことこの上ないのだから。
「異界で煮炊きしたものを食べると、元の世界に戻れなくなることよ。ねえ、シチューは美味しかった?」
 指で空になった器を示してやると、慌てて口に手を当てる冒険者達。その様子がおかしくて、ついころころと笑ってしまった。
「嘘よ、嘘。私達はそんなことしないわ。だから安心して、あのこんぺいとうも、何も入ってなかったから」
 誰かが何かを言う前に、次の句を口にした。
「私達はいつも、迷い込んだ人を化かして、騙して、連れ去ってしまうだけ」
「もう、馬鹿されないよ。あの森がどういうものか、身を持って知ったからね」
 冒険者のひとりが口をっ開いた。その顔にも覚えがある。そう言えば、真似をしてやったっけ。
「もう私達の中にいるのに?」
 言葉と一緒に、酒場を装っていた壁が木々のそれに変わっていく。どうして顔を真似られたのか。簡単だ。この村も、森の中であるのだ。
「ルールを決めましょう」
 立ち上がり、周囲を伺う冒険者たち。天井はなく、周囲は木々で覆われ、除く空すら夜のもの。
「立ち止まらずに、森から抜け出すこと。そうしたら返してあげる」
 身を乗り出して、耳元に口をやって、ささやくように布告する。
「絶対に逃さねえからな」
『私』も木々に戻り、殺到すれば、彼らは手にした鉄で私を切り払い、たまらず飛び出した。

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

人を化かして連れ去ってしまう森に迷い込みました。
無事に脱出してください。

【シチュエーションデータ】
■化かす森
・入ったものを化かして帰れなくし、連れ去ってしまう森。
・森全体が意識を持っており、入ってきたものを食らう食虫植物のようなもの。
・かつて近くにあった村も取り込んで同化しており、内部で人を見かけたとしてもすべて森が模倣したものです。
・毎ターン特殊抵抗で判定を行い、分断させ、方向を見失わせようとしてきます。これはターン経過ごとに難易度が上がりますが、行動によって判定値に増減ボーナスが発生します。この判定を無効化することは出来ません。
・立ち止まると戦闘不能に陥ります。常に移動し続ける必要があります。
・誰か一人でも森を抜ければ全員が脱出可能です。


・はぐれないでください。

  • うわばみのもり完了
  • GM名yakigote
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月11日 22時31分
  • 参加人数4/4人
  • 相談8日
  • 参加費200RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
※参加確定済み※
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
※参加確定済み※
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
※参加確定済み※
タイム(p3p007854)
揺れずの聖域
※参加確定済み※

リプレイ

●伝う蔦う
 入ってはいけないエリア、というのは世界中で幾つも確認されている。そこは危険な生物が闊歩していたり、多くの種族にとって毒素となる成分が空気中に多量に含まれていたりと様々であるが、その全てを網羅できた情報というのは、度の国も所有できていない。また、各地方でもその場所を禁忌として指定するにとどまり、明確な調査など行われていないというのが現状である。

 見渡す限り人々が行き交うような活気はないけれど、皆が笑顔と活気で溢れていて、空はどこまでも広がるように青く、澄み渡っている。太陽が程よく照りつけ、大地が温められて心地よい。
 さっきまではそうだった。
 飛び出すと、風景が一変していた。木々が生い茂り、見通しが悪い。時間すら変わり夜間となり、空の殆どは草木で覆われている。道なりも記憶とはまるで異なり、どちらに向かえば出口であるのかも見当がつかない。
 それでも、走り出すしか生き残るすべはなかった。
 ここはとうに森の中。得体のしれない何かの腹であるのだ。
「人を化かして連れ去る、か……」
『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)は顔をしかめて頭を掻いた。
「遊んで欲しいから一時付き合って欲しい。ぐらいなら良いが、このまま連れて行かれるのは困る」
 連れ去って、どうなるのだろう。隠してしまって、どうなるのだろう。伝承とは大体そうだ。隠してしまって、そこからは誰の口にも語られない。
「みんなこの森の外に帰る場所や帰りを待っている人がいるんだ。みんなで一緒にここから出よう!」
「この森に閉じ込められるわけにはいかない」
 同意見だと、『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は頷いた。
 帰りを待つ人も、生きていて欲しい人も、やり残したことも数え切れないほどにある。こんなところで、こんな悪意しか無いものに捕まるわけにはいかなかった。
 だからそれは鼓舞というより、決意に近いものだ。
「例えばこんぺいとうのように。美味しいものは、外の世界にしかない。なんとしても脱出しよう」
「しかし本人……本体? が近くにいるとは考えていなかったよ!」
 それでも、合点がいったと『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)は胸中で納得していた。
 以前に、この森は自分を模倣したことがある。どうしてと疑問に思っていたが、つまるところ、あれらはこの村を真似たもので人間を観察していたのだろう。
「気に入らないがルールには従わねばどうしようもないな」
 今は立ち止まらず、走り続けねば。
「なにあの言い方! ……うー怖かった!」
 ぎゅうっと両耳を抑えて、頭を振る『優光紡ぐ』タイム(p3p007854)。優しそうに見えたウエイトレス。急に声が変わって、男とも女とも、木々の擦れ合いともとれる奇妙な音になっていた。
「前に酷い目にあったし、今度こそはって思ってみんなで来たのに。むう~~~!」
 全身力を入れてから、大きく深呼吸。
「まんまと化かされてこんなことになっちゃったけど、無事にここから抜け出さなきゃ!」

●根管から
 中でも稀有な例として、地域一帯そのものが敵性存在ということもある。木々も、大地も、特には空間や時間でさえ、何もかもが侵入者を襲うのだ。過去に、そういったエリアを焼き払おうとした試みもあったそうだが、資料によれば、直様降り出した雨によって、遠目には煙のひとつも確認することは出来ず、火を放った者の消息も絶たれたようだ。どの国の、どの場所で、というのはどこにも記されてはいなかった。

 唯一絶対のルール、足を止めないこと。
 よって立ち止まることは出来ず、ポテトは走り続けながら思考を繰り返していた。
 いったい、いつからだ。
 鬱蒼と生い茂る木々は道の体を成しておらず、小枝や草を払いながら進むしか無い。木の幹ひとつで立ち止まることもできないため、思考に割けるリソースは限られてくるが、それでも考えなければならない。
 一体何時、自分は仲間から逸れてしまったのかと。
 互いをロープで結んでいたはずだ。前を走るリゲルの姿は見えているが、先程から声をかけても何の返事もない。音が遮断されているのか、偽物であるのか。一度森に入ったという仲間から聞いた話を考えれば、おそらく後者だろう。
 そして、後ろを走る筈のふたりからは、葉と木の擦れ合う音しか聞こえてこなかった。
 一体。いいや、思考の割き方を変えよう。どの道、立ち止まることも引き返すことも難しいのだ。
 ポテトがそれを取り出したことにぎょっとしたのか、前を走るリゲルの姿をした何かから声がかかった。
「……私達を焼き尽くすことは出来ないぞ」
 手にとったのは携帯式対戦車擲弾発射器。所謂パンツァーファウストである。だが残念、用途は彼らが考えるものとは異なっている。
「これは、こうやって使うのさ」
 前方上空に向け、発射。
 小気味良い音とともに打ち出されたそれは、しかし暴力を見せるでなく、激しく光り、森全体に轟音を響かせた。
 さて、これで気づいてくれるといいが。

 意外とわかるものだなと、ランドウェラは胸中で頷いていた。
 前を走るタイムは偽者だ。何か確認をとったわけではないが、やはり普段見知ったタイムと比べると、一挙一動に違和感があるのだ。
 二度の観察を得たとしても、親しい知人を騙せるほどの精度はないのだろう。全くば越の生物であるがゆえに理解が及ばないのか。それとも、単に嗜好と本懐が別であるのか。
 そういえば、タイムが以前、この森でランドウェラの偽者に出会ったときも、自分と知り合う前であった。やはり近い人物に化けるとぼろが出るのか、それとも。
 ランドウェラは顔をしかめて首を振った。緑の匂いが濃い。酒場に居た際には気づかなかったが、森の匂いは時間が立つに連れ、濃く、深くなっている。
「感覚が狂いつつあるね。このままひとりは不味いか……」
 その時だ。進行方向とはややズレた前方で鳴り響く轟音。意識して足を進めなければ立ち止まっていたかもしれない。
 その意味を理解すると、ランドウェラは唇の端を吊り上げ、前を走る何かに声をかけた。
「ねえ、この間の指輪。大事にしてくれてる?」
「―――もちろん。せっかくのプレゼントだもの」
 ほら、やっぱり。
 自分たちを繋いでいるロープを切ると、自由になった身で音のした方へと駆け出していく。
 後ろから、驚愕の声が聞こえた。
「そっちはダメだよ! どうして―――!?」
「僕があげたものは、それじゃないんだよね!!」

●幹と枝と
 これらの特定、対処を意見陳述として提出したが、即日、理由付けもなく否認されたことを記しておく。私の考(ここより先の頁は破り捨てられている)

 響いた轟音が、ただ足を止めるだけの策略であった可能性が捨てきれるわけではない。
 しかしリゲルは直感的に、それが誰の手によるものかを感じ取っていた。
 音のする方へ、木々を切り開いて進めば、そこには愛しい姿があった。
「ポテト!」
 その姿は、4つ。
 自分たちの居ない間に化けたのだろう。ポテト=アークライトの姿をした4人がそこにいた。
 どれと、迷うつもりはない。森の匂いが意識を惑わせるせいか、見た目での判別はつけられそうにない。それでもリゲルは確信を以てそれを口にした。
「ポテト! 愛してる!!」
 ―――空気が固まったのを感じた。
 その瞬間は木々の音も聞こえず、森の匂いもしなかった、ように思えた。
 で。
「~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
 本物が見つかった。
 真っ赤になってリゲルをぺっちんぺっちんしているポテトが本物だ。
「うわー。謎の敗北感……!」
 遅れて合流したランドウェラが、何か甘ったるいものを感じたのか、どんよりした顔で口を抑えている。
「えーっと、愛は偉大……?」
 タイムもまた、音を聞いて駆けつけたのだろうが、場の空気に自分もあてられ、染まった頬を掻いていた。
「~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」
 ぺちぺちが強くなった。痛い、ちょっと痛い。
 と。森の匂いが一気に濃くなったのを感じた。
 振り向くと、木々が騎士の形を取り、列を成している。
 なりふり構わなくなってきた。ならもう、出口も近いのだろう。
「ここは俺に任せて先に行け!」

 走る。走る。必死に走っている。
 わかったことがある。この森全てが自分たちにとって敵性であるのは間違いない。しかし、森の方も、その全てを自在に動かせるというわけではないようだ。
 それができるのならば、籠のように自分たちを閉じ込めてしまえばいいのだから。
「来てる来てる来てる来てる!!」
 追いかけてくる、騎兵隊のような何か。
 こんな森の中で馬なんてと思いはしたが、それらは枝にも幹にも足を取られることなく向かってくる。
 ポテトは、リゲルと残ったようだ。大丈夫、自分たちが逃げ切れれば、全員が助かるのだから。
 手ごろな枝を手に取る。一瞬、これも動き出しやしないかと警戒したが、杞憂だったようだ。
「ウェラさん、乗って!!」
 低空飛行。追いつかれる前に、短距離を一気に駆け抜けるのだ。
「僕があげたものは!?」
「イヤリング!!」
「大正解!!!」
 飛び乗るランドウェラ。さあ、こんな森から抜け出してやろう。
「方向だけ教えて!」
「あっち!」
「じゃあ、あとは―――」
「あとは?」
「しっかり掴まっててえええええええええええええ!!」
 加速する。騎兵の腕が肩を掠めたが、それだけだ。
 一瞬だけ振り向くと、そこにはもう騎兵の姿はなく、ただ無数の絡み合った枝と幹が、生物の触手のように押し寄せてきていた。
 まっすぐ、まっすぐ。
 ただ出口に向かう。
 枝のほうが自分たちよりも早く、やがては前を向いた自分の視界に入り始め。
「やぁだ、帰らせてー!!」

●花々しく
 彼もまた、私達であるというのに。

 ざああ、と。
 視界が晴れてみれば、そこは原っぱだった。
 勢い余ってブレーキがうまく行かず、その場でごろごろと転がってしまう。
 やっと止まって、仰向けに見上げた空は、また昼のものになっていた。
 あの景色すら、偽物だったのだろうか。
 身を起こして振り返れば、森の姿はない。あれだけあった木々の匂いもまるで、どこにもありはしなかった。
 少し離れて、仲間が転がっている。
 なんだかホッとして、思わず胸を撫で下ろしていた。

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

まるのみ。

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