PandoraPartyProject

シナリオ詳細

寝過ごしサンタのプレゼント

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●寝坊助なサンタクロース

「ぁあああっっ!!!!」
 そんな少女の声が早朝から叫び声が響き渡る。ここは夢と希望がプレゼントされる世界『永遠のクリスマス』。
 が、それも危機に面している。主にこの少女の仕業で。
「やっちゃった……やっちゃった……やっちゃった!! 今日は26日。26日になっちゃってる!!」
 ヤバいヤバいヤバいと少女は頭を抱える。表情を青くし、それはもうこの世の終わりとでも言うような……そんな絶望的な様子だった。
「サン、お前……」
「し、師匠……!」
 少女……サンの叫び声を聞いて駆けつけてきた老人がサンの部屋の外から厳しい視線を送っていた。
「25日にプレゼントを配る事を忘れるサンタが何処にいる!!!!」
「ひぃぃいいいぃぃぃっ!!」
 そう、サン……そしてこの老人はこの世界で言うところのサンタ族で、夢と希望をプレゼント「する側」なのである。
 その「する側」としての仕事をサンはすっかり寝過ごしてしまったのであった。
「どれだけの人々がワシらに希望を抱いていると思っているんだ。……やはりお前には重い仕事だったのか?」
「や、そ、そんな事!! い、今から行ってくるって!!」
「朝に行くサンタがあるか!! もうクリスマスは終わってしまったんだ『永遠のクリスマス』が保たれていたこの世界ももう終わりよ」
「待って待って待ってったら!! どうしたらいいわけ?! どうにかする方法くらいあるでしょ?!」
 こんな寝坊ぐらいで世界が滅びるわけがないと思っているサンに、老人は更にキツく睨みつける。
「25日を取り戻す……それが出来ればいいが。26日以内にプレゼントの欠片を探し出せば、25日に巻き戻れる。……それが出来なければこの世界は崩壊へ進むぞ」
「え? ええ????」
 そんなまさかとサンは思ったが、老人はその厳しい表情を崩す事はなく、そうなんだ……と更に表情を曇らせる。
「プレゼントの欠片って……どういうのなの……?」
「簡単に言えば人々の願いだ。白い光がふよふよと風に流れるように浮いている。だがそれに触れるとその者の弱きものが見える……いわば弱点じゃな。それを見る覚悟はあるか……? まぁ、他の友人と協力してもいいが……お前にサンタ族の友人がいた記憶はないな?」
「い、居るってば!! もう……協力してそのプレゼントの欠片を探し出してやるんだから!!」
 老人の挑発にそのまま乗ったサンは勢いよくその家を飛び出して、老人は深いため息をついた。



「大変大変!! とあるサンタさんの世界が滅びちゃうよ!!」
 慌ててやってきたのは境界案内人のセイジ。
「あるサンタさんが25日にプレゼントを配る予定だったんだけれど、寝過ごしちゃったんだって。そのせいで世界が滅びるかもしれないんだ」
 その世界は『永遠のクリスマス』と呼ばれていてこの世界で言うシャイネン・ナハトが毎日来る世界なんだけど、プレゼントを配らなかったせいで26日になっちゃったんだって。永遠が崩壊して、世界も亡びの歯車が回ってしまった。セイジは慌てつつも冷静にそう説明した。
「救う方法はただ一つ、プレゼントの欠片を探し出す事……でもちょっと二癖あるみたい」
 それでも行ってくれるかい? 不安げな表情を浮かべながらセイジは君達、特異運命座標の顔をジッと見つめた。

NMコメント

 月熾です。
 ちょっとOP長くなってしまいましたがクリスマス関係です!

●世界説明
 サンタ族という人々が魔法のソリで夢と希望を配り歩く世界。
 サンタ族以外の人々は普通の人間です。
 永久的に25日しか来ない世界でしたが、プレゼントを忘れた事により26日になってしまい世界が滅びそうな状況です。

●目標
 プレゼントの欠片に触れ、自分の弱さを知る

●詳細
 胸に秘めていた弱さ、実はこれに弱かった、この人には頭が上がらない
 そんな弱さをPCに落とすキッカケになればと思います。

 書いて頂きたい事は
・どんな弱さか
・どんな風に思ってるか
・今後どうしたいか
※参加者以外のPCの名前は出す事が出来ません

 を、最低限書いてください。

●サンプルプレイング
弱さ】辛いのが苦手
思考】別に辛いものぐらい食えないやついるっしょ!
どうしたいか】
まぁでもさ、なんでも食えた方がいいんだろうなぁ……
気長になりそうだがぁ……ここで乗り越えるのも一興か?

 それではご参加、お待ちしております。

  • 寝過ごしサンタのプレゼント完了
  • NM名月熾
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月03日 22時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
エシャメル・コッコ(p3p008572)
魔法少女

リプレイ

●サンタさんのリベンジ

「『永遠のクリスマス』、ねぇ……なんというか、聞こえは良いがサンタにとっては過酷すぎないかそれ?」
 呆れ顔でそう呟くのは『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)。
「メリークリスマス、なんて聞こえるとつい振り返っちゃうんだけど……それがここでの挨拶なのね?」
 『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)はふうん? と興味がなさそうに。
「ずっとシャイネン・ナハトなんて最高だね! 毎日プレゼントもらえるじゃん! 会長も欲しいや! そんな素敵な世界を取り戻すために、いっちょ会長の弱いとこでも思い返そうかな!ㅤ……嫌だな!!」
 『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)はと言えばヤダヤダと如何にも嫌そうな様子。
「コッコッコー♪ サンタさんのヘルプを聞きつけてやってきたなー……って、あれ? プレゼントを配るんじゃないな? てっきりコッコ、サンタさんと手分けしてプレゼント配るものと思ってたな。なんだかビミョーに違うっぽいな?」
 はて? と言った様子なのは『魔法少女』エシャメル・コッコ(p3p008572)。
 それぞれがそれぞれの思いを抱きながら……さぁ、この世界を救う為にプレゼントの欠片を集めよう!



「プレゼントの破片の回収だったな。二癖あるとか言ってたが一体どんな癖なのやら……」
 それにしてもだ、と物思いにふける世界は空を見上げる。
「毎日プレゼントを配るたぁとんでもない世界だな」
 この世界の人々にとっては日常的な事も、世界を含む特異運命座標にとってはきっと珍しい事で。毎日プレゼントを配るという大仕事に関心を持つ。
「っと、これか?」
 雪の街を歩いていた世界は何やら白い光の『それっぽい』ものを見つけた。そこから世界は勢いよく飛び上がり……その白い光を掴んだ。
 ──すると。
「な、なんだ……?」
 その瞬間景色は一変する。
 気づけばそこは室内で、小さな机がいくつか並べられた部屋……ここは、教室と呼ばれる場所。
「……異世界から異世界……か? それにしても人が多いな……」
 別に苦手程度なだけれど。教室のガヤガヤと煩い空間に少しだけどうしたらいいか世界は悩む。人の集まり、集団と言うものが苦手な世界は珍しく少しだけほんの少しだけ戸惑いを見せていた。
「別に嫌いじゃないんだ、集団行動なんて。……けどね、俺はどうやら生粋のロンリーウルフって奴だと思うんだよなぁ?」
 特にこれを『弱さ』だとは思ってないが。
 どうしたいか、と聞かれたところで答えは変わらず『これ』こそが、そう考えた結果……今なのである。
「まぁ誰も来ない廃墟に住むとか極端にも程があるが、そう簡単に克服できるモノでもないし……別に不自由も感じてないしな。……いや、街まで遠いのは不便過ぎるがそこは気にしたら負けだ」
 ……本当はもっと根本の何かが見えた気もしなくもないようだが彼はいつだって秘密主義者。何が見えたのかは彼にしか解らないが、彼は底意地悪く誤魔化していくのだ。
(秘密があってこそミステリアスは演出できるものだからな。え? 俺にミステリアス要素なんて無い? さいですか……)
 ……いや。単なる芸人気質が見えなくもない気が……おっと。

 世界の心は苦手ではあれど『結論』は出ている。その瞬間この架空世界はヒビ割れを起こし粉々になった。
「さて、次探すか」
 ぽつりと呟いた世界はまたどことなく白い光を探しに歩みを進めた。





「はぁ……プレゼントの欠片なんてどこにあるのかしら」
 雪積もる街に音がない中、メリーの声だけが響いてしまう。真っ白い世界の中でどうやって白い光なんて……と思いながらも周りを見渡してみる。
「あ、これ……?」
 丁度よく目の前をふよふよと飛ぶ白い光があった。これなら触れるわね、とメリーが何の警戒もなく触れると
「え。な、何……」
 辺りは真っ黒な世界へと変わる。
「こ、こんなの……知らないっ! ……死んだりなんて……しない、わよね?」
 確かに境界案内人は『二癖ある』みたいな事は言っていたが。メリーが訳もわからず焦っていると段々と見えてきたものがある。
 それは大きなスクリーンと一人用の椅子。
「ここに座れって事……?」
 スクリーンがあって椅子があるのなら流れ的には座る事はごく自然な事で。メリーがそうして椅子に座ると、スクリーンにパッと映ったのは……自分だった。
「わたし……」
 メリーの映像は自分の傲慢な行いばかりの映像だった。そんな映像にメリーはすくっと立ち上がる。
「何よ! 我儘を直せって言うの?!」
 彼女の弱点は元の世界で人の迷惑を省みずやりたい放題やって生きてきた為に、自制心が弱く思いやりの心にかける。社会的規範が守れない。他人に配慮できない。
 そんな自分だったのだ。
「わかってる、わかってるけど……でもやっぱりわかんない!!」
 これがいいあれがいい、そんな自分の気持ちを抑えるのにどんな意味があるのだろう? 彼女にはまだまだ理解するのは難しい。
 何せ、11歳の子供なのだから。

 叫んだメリーを合図に暗闇の世界が粉々に割れた。





 ──ああ! 会長だ!
 ──会長! 我らが会長!
「あぁ……」
 茄子子の世界は既に暗闇で包まれていた。聞こえる声は自信を褒め称える声……の、筈なのだが。茄子子は聞きたくなさそうに耳を塞いでいた。

 ──会長、もっとこの教えを広めましょう! 会長なら絶対成し遂げられます!
 ──信者を一人でも多く……会長の声をどうか!
「あぁ……!」

 わかっている。
 わかっている。わかっている。わかっている!!

 同じ事を何度も言わないで欲しい。茄子子は次第に縮こまり、苦しそうに息を吐いた。
 彼女の弱さはいい子で居なくてはいけない事。頑張るのも、皆の期待に応えるのも、本当はとても苦手な事で嫌いな事で面倒くさい事だった。
 それでも『脅迫的に思ってしまう』のは、周りの人々が『会長』を慕ってくれるから。この野望を叶える為に……信用信頼は必要不可欠なのだから。

 そんな事、簡単に手放す事も出来る。出来る事なら頑張らず、一日中寝て過ごしたいし、子供のように自由に遊びにも行きたい。
 そう言うのではなくても、普通にふらっと陽の当たる草原とかに行って、のんびりお昼寝でもして過ごしたい。……けれどその後に『無理だろうなぁ』と言う結論が茄子子には見えていた。
「それは……それは私が私を許さないから」
 ぽつりと呟いた言葉は誰へのものでもない自分への鎖。それも強固な鎖だ。自分が許せないと言う鎖なら他人どころか自分にだってどうにも出来やしない。そもそも自分で決めた事なのだ、途中で投げ出すなんて……そんな事、彼女にとって以ての外なのである。
「……それに、まだ頑張れるはずだから」
 こう思えているうちは……まだきっと、大丈夫なはずだ。茄子子はキッと視線を鋭くさせると暗闇の世界がピキピキと割れ出した。
(まぁ『どうしたいか』、なら……そうだなぁ。出来うるなら私は、羽衣教会会長なんか辞めて自由になりたいとかなんだろうな。……なんつってね!)
 勿論冗談だ。冗談に決まってる。
 自らの野望を心半ばのまま放棄する気は茄子子には全くないのだ。
「いやぁ、会長今日も頑張ってるなぁ!ㅤ会長えらい!ㅤ天才!ㅤ疲れた!ㅤ帰りたい!!」
 そう、まずは早く帰る為に……茄子子は再び白い光を求め雪の街に消えていった。





「……っ!」
 白い光に触れたコッコの目の前はセピア色。そこに見覚えがあったのは自分と姉の姿。

 ──なんで、なんで……これはゼリーなんだな!!
 ──ええ? そんなはず……ちゃんとプリンの材料で作ったよ、私知らない!!

 九歳の誕生日……コッコにとってトクベツな日だ。そんな日に姉と言い争いになった。
 それはコッコが姉にトクベツなバースデープリンケーキを作ってもらったのだが……それが、ゼリーになっていたと言う一大事だった。
「コッコ、ゼリーは嫌いな」
 大好きなものを大嫌いなものに変えられた彼女はカンカンに怒り、姉を酷く問い詰めたがその姉も『ちゃんとプリンだった』と言い争う事になってしまった。
 困惑するコッコ。そんな彼女の元に現れたのは……プリンをゼリーに変えた鳥のアクマ、その名もドン・ゼラチナス。
 ゼリーの国からやってきたゼリー怪人の目的は、この世のぷるぷるしたものを全部ゼリーに変えてしまうというとんでもないアクジ。
「そんなの、許さないんだな!!」
 コッコは迷う事なく立ち向かう。セーギの魔法少女として、ひとりのプリン好きとしてとても許せるショギョーではなかったから。
 その戦いは熾烈をきわめた。……コッコのひよこ魔法とゼラチナスのゼリー魔法が何度もぶつかり、コッコの魔法少女人生最大のバトルが繰り広げられたと言う。
 結局決着はつかないまま、コッコは高笑いして逃げるアイツを見送るしかできなかった。

 そしてわかる、この世界にアイツはいる!
「今度こそ悪しきゼリーのアクマを倒して、全てのインネンに決着をつけるな!」
 コッコの強い意志がセピアの世界に日々を入れる。プリンへの強い思い(ぱわー)とゼリーへの強い憎しみ(ぱわー)でこの屈辱の過去に決着をつけてみせると、コッコは気持ちを新たにした。





「はぁ、はぁ……師匠……」
「サン……」
 サンは特異運命座標が成り代わっていた友人の力も借り、プレゼントの欠片を老人の前に差し出す。
「ほら欠片! ねぇ、これで大丈夫?!」
「ふん、全部集まったか」
 老人は自身の立派な白髭に触れながら、欠片に触れパズルのように組み合わせていった。そう組み合わされた欠片は包装されたプレゼントのような形になる。と、気づけば今日の日付が『25日』に変わっていた。

「……よく頑張ったな、サン」
 世界は守られたぞ。老人の言葉にサンは思わずボロボロと泣き出した。

成否

成功

状態異常

なし

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