PandoraPartyProject

シナリオ詳細

とどけ! 波のあっちまで!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ある商人の災難
「おとどけものなのです! 海の向こうへ! とどけるのです!」
 海賊っぽい帽子を被り、オモチャの剣を掲げた『わたしはぎるどのおかねをないないしました』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は関係の無い看板をまだ首からさげつつ、ローレット前の街角へ飛び出してきた。
 彼女の声に反応した町の人々。その中に混ざっていたイレギュラーズは、8人か10人か。
「イレギュラーズ航海便、出航なのです!」

 今回の依頼主は商人のジョンポール・ジョンソン氏だ。
 彼は幻想東のバルツァーレク領と南西の島を行き来する商人だったが、あちこちで起きた蜂起事件のあおりをうけて船を出すことができなくなってしまったのだそうだ。
 彼自身は船の経験はあるが、これもまた事件のあおりで怪我をして満足には動けないという。
「そこで、商人さんに代わって南西にある島まで船を出すのです。
 最近は途中に海賊も出るそうなので、撃退するパゥワーも大事になるのです! ふんす!」
 ずりおちそうになる帽子をなおして、ユリーカはオモチャの剣を掲げた。

 さて、そんなユリーカがゲットしてきた海賊の情報がこちら。
「この航路を荒らしてる海賊。その名も『アマデウス』!
 船を寄せてきて、射撃やロープによる乗り移りによって乗組員を殺して積み荷を奪うそうなのです。
 でも商人さんだって護衛をつけますし、撃退できることもあるそうなのです。
 彼らは不利になると見ればすぐに撤退するそうなので、『一人残らずちまつりだー!』ってしなくても大丈夫そうなのです」
 それよりも、と語るユリーカ。
「商人さんは港町での商売をしそこねているのです。
 もしよかったら、商品をある程度売ってお金に換えて届けて欲しいと言っているのです。
 棒で叩くだけじゃないのがローレットの味! どうか、よろしくなのです!」

GMコメント

【オーダー】
 最低成功条件:南西の島に船を出し、荷物を届ける
 オプションA:物資を港町で販売し、お金に換える
 オプションB:航海に必要な物資を安く手に入れる

 船にのって南西の島(小さい町)へ届けます。
 船には商人が届ける筈だったアレコレが積まれているので、これを届けることになります。

 オプションAとBはスルーしてもOKですが、仮にやるなら担当をそれぞれ分けたほうがよいでしょう。プレイングリソースの問題でどっちつかずになるリスクを回避できます。

【オプションA】
 島から買い付けた物資を港町で売るというものがあります。
 販売する品は島で作られた食品や工芸品です。売り上げは依頼主の商人へ渡され、最終的に島の人々へと還元されます。彼らの暮らしに重要な要素なのです。
 ※船は港にいる船番業者に預けています。保険付き有人駐車場みたいなやつです。

 売る商品は主に以下の三種
 ・ピーナッツ(例の豆! 普通より大きくて濃厚)
 ・ラピスガラスのコップ(美しい銀細工の施されたガラスコップ)
 ・サエモン醤油(コクの深い醤油。結構な高級品)

【オプションB】
 船は貸し出されておりますが、船旅は数日かかり食料その他の消耗品が必要になります。
 これらは港町で一通り買いそろえることが出来ます。安く買い付けることで余裕ができ、船旅を快適にすることができるでしょう。

【海賊とのバトル】
 途中、海賊『アマデウス』が現われます。
 昼間に襲撃をかけ、戦闘をしかけてくるでしょう。
 揺れる船の上の戦闘なので『命中-20』の補正がついたバトルとなります。
 相手の戦力は不明ですが、PCの皆様がよほどサボるようなことがなければ撃退することができるでしょう。
 海賊の戦闘方法は主に『船を近づける』『ロープやかぎ爪で固定する』『射撃をしかけたり、船に乗り移ったりして戦う』です。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • とどけ! 波のあっちまで!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月24日 20時55分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
幽邏(p3p001188)
揺蕩う魂
佐山・勇司(p3p001514)
赤の憧憬
九条 侠(p3p001935)
無道の剣
ファリス・リーン(p3p002532)
戦乙女
アカネ(p3p004246)
散っていった数多の魂達よ
クォ・ヴァディス(p3p005173)
ポストランナー

リプレイ

●船を出すそのまえに
 すぐそばを飛ぶカモメの声と、連なり重なる波の音。
 その当たり前さが、ここがバルツァーレク領の港町であることを再確認させた。
 行き交う種族は様々だ。スカイフェザーにディープシー、ブルーブラッドにカオスシード。
 海風が強く、高所に船用のロープを張る影響からか一応のマナーとして高高度を飛行している者はいない。『揺蕩う魂』幽邏(p3p001188)もそれに習ってか、足で桟橋を渡っていた。
 船はジョンポール・ジョンソン氏から借り受けたジョンポール号。
 『散っていった数多の魂達よ』アカネ(p3p004246)は船の柱をコンコンとノックした。
「立派な船じゃないか。さぁて、久しぶりの航海! 今日はどんな船旅になるかね」
「海の上なら俺の出番だ!」
 『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)は船の甲板へ出ると、慣れた調子で帆の上へとのぼっていった。
 さすがはバルツァーレク領。商人が元気な土地。港町には無数の露天が並び、商売を目的とした船も無数に停泊している。
 ふと船首側を見ると、『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)が船首の先端で微妙にふわふわと浮いているのがわかった。
(海での依頼は初めてになるかしらね。海底に沈められた記憶があるからあまりいい思い出はないのだけれども)
 一方で、『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)が船のあちこちを見て回っている。
 表情はまるで変わらないが、動く髪に感情が如実に表われていた。
「そういえばまだこのワールドのシップには乗った事がなかったな! シーの向こうの人の子達の為にもこの役目、引き受けた! ビッグシップに乗ったつもりでいるがよい!」
 樽の上に立ち、両腕を広げてゴッドのポーズをとるゴッド(豪斗)。
「シーのウィングもゴッドに味方している……」
「…………」
 コメントしても仕方ないなという顔で横に立っていた『銀翼の歌姫』ファリス・リーン(p3p002532)は、船の倉庫から醤油の瓶を持ってきていた。
「依頼内容は航海と船の護衛だけでしたが……やるのでしょう?」
 瓶を小さく持ち上げて周りを見るファリス。いつもより少し張り切っているようだ。
 それまで樽に背をもたれて腕組みしていた『無道の剣』九条 侠(p3p001935)がぱちりと目を開けた。
「護衛依頼は何度か受けた事があるが商売をするってのは初めての経験だな。やろう」
(俺らの世界じゃ仕事なんて斬ったか張ったかくらいなもんだったからな。こっちに来てから色々経験する事が増えて大変さ半分、楽しさ半分ってとこか)
 言葉には出さないが少しわくわくした様子でファリスから瓶を受け取る侠。
 『ポストランナー』クォ・ヴァディス(p3p005173)が天をあおいで高く鳴いた。『ま、ぼくちゃんとしても、やるだけやるけどねー』という気持ちのようだ。
 クォの背を叩いて横に並ぶ『GEED』佐山・勇司(p3p001514)。
「俺たちは買い出しに行ってくるぜ。アカネ、必要なものを教えてくれ」
 あいよ、と言ってメモを取り出すアカネ。
 十人はそれぞれ役割を決めると、荷物を持って船を飛び出していった。

●ローレット商店
 威勢のいい露天の呼び込み。値切り客と店のバトル。騒がしくも元気の出る港町に、突如ソプラノボイスが響き渡った。
 波の音も野太い男たちの叫びも覆い、それでもなお美しく胸に響く声に、人々がつい足を止めた。
 皆の注目を集めると、木箱の上に立ったファリスは次に皆の気持ちが楽しくなるような歌を歌い始めた。
 注目を集めてアピールする。基本中の基本だが、それができてこその商売だ。少なくとも、路上で突如品物を売りさばこうとするなら、この方法が分かりやすい。
「おっ、そこに道行くお父さん。このピーナッツなんてどうだい?酒のつまみにでも一つ。なんといっても、粒が通常の品種より大きいし、何より味も濃い!試しに一つ買ってみないか?」
 島でとれたピーナッツの袋を手にとって、侠が粋な調子で語り始めた。
 売る品物に限りはつけない。あるもの全部大放出の構えだ。
「こちらに並ぶのはラピスガラスのコップ。職人が繊細な細工を施した美しい代物だ、使うもよし、飾るもよし。値段も品物の質にしては決して高い訳じゃあない、どうだい?そこのお若い男女のお二人さん。二人でお揃いのコップなんてのは」
 慣れない商売ではあったが、思い切ってみるのはいいもので、ファリスの歌声に立ち止まった人々が近づいて商品をまじまじと観察し始めた。
「さあ、こっちはサエモン醤油!そんじょそこらの醤油と一緒にしちゃいけないぜ。なにせこの醤油は他の物よりコクが強い!その分お値段も少しばかりしちまうが…どうだい?そこの味の解りそうな奇麗なお姉さん。偶の贅沢だと思っておひとつ!」
 こんな調子で通りがかる個人を相手に、侠たちは商品を売りさばいていった。

 今回の販売担当チームの方針は『通りがかりの個人にまんべんなく』だ。
 高級な工芸品であれば近くの貴族に直接売りつけたり、ピーナッツのような食材であれば飲食店にごっそり売り込んだりといったやり方もできるが、ターゲットにマッチした通行人が訪れる運に駆けるというのもまたスタイルの一つだ。
「案ずるな、ゴッドはゴッドである故ビジネスのブレスも授けてきた! ユー達とパゥワーを合わせればソールドアウトも目前よ! ファイブセンシズに訴えるのだ!」
 ゴッドは木箱の上に立つと、背景に謎の文様を浮かべてキラキラしはじめた。
「ロードを行く諸君! ウェイブの向こうより来たりしマーチャンダイズを御覧じろ!」
 ゴッドの独特な喋りときらめき、あと謎の自信によって人々はうっかり足を止めた。
 両隣の露天商まで口を開けて注視するほどの注目度である。
「このピーナッツ、実にビッグ!そして、リッチでデリシャス! どれ、そこのユー! 一つテイスティングしてみるがよい! このソイソースもまたGood(ゴッド)! 特にバーニングと共にウェイクアップせしこの香り! ユーのハートを掴んで離さぬだろう!? そしてこのカップだ! ウォッチ、タッチ、ユーズしてよし! これはゴッドが使えばホーリーグレイルとなってしまうな!」
 マシンガントークならぬゴッドトークにより道行く人がノリで買っていく。
 テント(?)の設営にあたっていたカイトも梱包を手伝って、ガラスのコップや瓶をしっかり袋や緩衝材に包んでいった。
「割れ物だから注意するんだぞ? ピーナッツの湿気対策はちゃんとするんだぞ」
 一方で、エクスマリアは台を首から下げるようにして持つと、ピーナッツを小分けにしたものを乗せて港町を歩いていた。
「どの品も、味や彩りで普段の食卓をより良くする、買って損のないものばかりだ」
 といって、話を聞いてくれそうな人へピンポイントに話しかけてこまめに商品を売り込んでいった。
 と、こうした具合でジョンポール号の積み荷は在庫をあまり残すこと無く売りさばくことができたのだった。

●ローレット買付代行
 長い船旅、物資はあればあるほどよいものだ。しかしお金には限りがある。
 そこで、必要物資を値切るテクニックが必要になってくるのだった。
「こういうのって、色々と必要だからねー。山でもー、平原でもー、必要なのは取っておかないとねー。キャベツとか、生で喰える野菜を買っていくよー」
 クォは野菜を沢山購入しては箱に詰めていく。
「まっ、こういった機会もあんま無かったし何事も経験だよな」
 荷物の沢山つまった箱を担ぎ上げる勇司。
 できる限りの価格調査をして安いところから買い付けていた。
「うん、良いものを扱ってるじゃないか。どうだい、あたしの行商船にテナントを出してみないか? 月の利用料は売り上げの3%で、あんたのとこの商品を遠くまで運んで売ったげるよ」
 ここでの値切る担当はアカネだった。技術と言うより人柄で交渉を持ちかけているようだ。
「まぁ、そのかわり、といってはナンだが……ちょっと長めの船旅をすることになっててね。向こうであんたの店の事をよく言うから、気持ちをつけてもらえんかね?」
「ふむ……」
 ここの商店は義理堅く、逆にいえば立てた義理は何が何でも果たすクチのようで、『くれぐれもよく言ってくれ』と値段をおまけしてくれていた。
 その一方、幽邏は珍しく情に訴えるタイプの値切り交渉に出ていた。
「大家族で……貧乏だから……」
「えー……困ったなあ……うちも商売だし……」
「少しでいいから……」
「少しだけだぞ?」
 といった具合に、貧しい家を装ってギリギリ値段を下げさせていた。
 ……ように見えるが、実はこの店に値切り交渉をしかけたのは三度目である。
 一度素直に交渉してみて、相手の性格を判断したあとじーっと見つめて記憶や感情をリセット。二度目に相手が怒るくらい踏み込んでみて、デッドラインを見極めてからリセット。
 三度目に丁度いいところでブレーキをかけるというタイムリープチキンレースみたいなことをしていた。
 そういう目的のギフト能力ではないのだろうが、結構便利に使っている幽邏である。
 便利に使うと言えば、レジーナである。
「まとめて買う代わりに相応に安くしてちょーだい? できないの? なら他の商人に頼むだけだけれども。あっちではこのくらいで取引してくれるそうよ? ふむまだ少しいけるのではなくて?」
 一般的な値引き交渉をもちかけつつ、レジーナはコインを取り出した。
「ギャンブルはお好き?」
「なんだって?」
「賭けをしましょう。コインを投げて裏表を当てるゲーム。もしアナタが勝ったら相場より高く買い取りましょう。我(わたし)が勝ったらもっと安くしてくださる?」
 レジーナが取り出したのは裏表が簡単に入れ替わるイカサマコインだ。
 店主は腕組みをして、『いいだろう』と頷いた。
「ただし使うのは俺のコインだ。イカサマされちゃかなわないんでね」
「仕方ないわね。ならあなたが投げて、私が押さえる。それでいい?」
 といった具合に、店主の投げたごく普通のコインをレジーナがキャッチして、台の上に伏せた。
「表よ」
「裏だ」
 開いてみると、見事に表。店主は自信あったのにという顔で目を覆っていた。
 が、きわめて目の良い者なら気づいたかもしれない。レジーナが『ひとりでに動くコイン』を手首に忍ばせて、本来のコインと入れ替えていたことに。
 商品を大量に安く買い付けて、レジーナは店に背を向けた。
「そちらもイカサマコインを使おうとしたのだもの。おあいこね」
 ピンとコインを手の中で回すレジーナ。店主の出してきたコインは、両面にも裏面模様が刻まれていた。
 さて、こんな具合で物資も潤沢になった一行は、改めて船で海原へと飛び出したのだった。

●こうなりゃ海賊なんぞオマケじゃオマケ!
「それにしてもー、海の上って、何か、落ち着かないよねー。やっぱり、動きたい気分なんだよー。ところで、今って、何日目だっけー??」
 船の上で落ち着かなそうにしているクォ。
 買い付けた野菜をもしゃもしゃやりながら遠くの海を見つめていた。
 ふと、目を細める。
 空を飛ぶ鳥が声を上げ、レジーナの手元へと戻ってくる。
「例の海賊が近づいてきてるみたいね」
「え、海賊が来たのかよー!」
 起き上がって戦闘態勢をとるクォ。
 ファリスが笛を吹き鳴らしてから、勇壮のマーチを歌い始めた。
 船室で休んでいたカイトが飛び出してくる。
「とうとう来たか! 向きは!?」
「南南西。風読み頼むよ!」
 このとき舵を取っていたのはアカネだった。カイトと交代で安全な航路を進んでいたが、どうしても避けられない場面が今やってきたのである。
「あの人が愛した海を荒らすヤツは蜂の巣さ! メアリアン号の船長をナメんじゃないよ!」
 一方でカイトは飛行とロープたぐりの両方を使って素早く見張り台に上ると、翼を広げて風をよみはじめた。
「いい風だ。こっちから突っ込んでペースを崩そう」
「よしきた!」
 船が強く風を受ける。
 それまで大きく揺れていた船が、奇妙に安定したペースをとりはじめる。
 小さかった海賊船の船影がくっきりと見えてくる。情報にあった『アマデウス』だ。
 タイミングを見て船を近づけようとしていたアマデウス海賊団は、逆に船を猛スピードで近づけてくるアカネたちに慌てている様子だった。
「商船だと思って甘く見たね――!」
 ギリギリで舵を切る。まるでドリフトするかのように強引なカーブラインを作り、アマデウス海賊団の船側面を掠っていく。
 そのタイミングを待っていたのはエクスマリアたちだ。
 髪の内側に仕込んだ武器や角からエネルギーを放ち、かぎ爪縄を構えてあわをくっている相手の船員へとマギシュートを打ち込んでいく。
「シーは善い。そしてそんなシーのピースを乱すもの…オーヴァールックするわけにはいかぬな! しかしリペント……悔い改めるならばゴッドがそのライフを預かる!」
 ゴッドが輝きを増し、ゴッドのオーラを次々とキャノンしていく。
 船室の窓を開き、対物ライフルを突き出す幽邏。
 勇気を出して縄をひっかけてきた海賊めがけて絶妙な狙撃をしかけた。
 空中で被弾し、悲鳴をあげながら海へ落ちていく海賊。
 それでも何とか船を近づけようと併走をはじめ、ついにロープがわたされていく。
 それを待っていたかのように、レジーナが空を手でひと薙ぎにした。
「天鍵、開錠――射貫け【緋璃宝劔天(カタス・アポカリファ)】!」
 軌跡を追うかのように無数のカードが空中に現われ、その全てが魔術効果を発動させていく。
 乗り移ろうとした海賊たちが途中で迎撃され、海へと落ちていく。
 一方で、乗り込み組のリーダーと思しき海賊がロープの上を駆け抜けるようにして船へ飛び移ってきた。
「そら、出番だよ!」
 舵をとりながら片手間に射撃するアカネ。
 カイトもそれに伴って焔を纏った旋風を飛ばしていく。
 が、最後に物を言うのは剣だった。
 魔術やオーラの射撃を仕掛けながら相手に詰め寄った勇司と侠が、同時にふたふりの剣を叩き込んだのだ。
「我ら最強海賊アマデウス! 命惜しくば積み荷をグアアアアアアアアア!?」
 勇司と侠の剣はクリティカルに相手の身体を打ち、まるでベースボールの打球がごとく海へと飛んでいったのだった。
 一方で、遅れて船にのりつけてきた海賊たちをクォが『ぶるあぁああああっ!』とかいいながら蹴り飛ばし、ファリスが歌いながら蹴り飛ばし、それこそサッカーボールのごとく海へ落としていった。
「……あっけなかったな」
「船の揺れが思ったよりも少なかった」
 剣を納める勇司と侠。
「それだけじゃない」
 幽邏はリンゴジュースを手に甲板へと上がってきた。
 物資が沢山あったおかげで、長旅の疲労が戦闘に出なかったのだ。海賊は限られた食料をギリギリでしのぎながら獲物を待っていたはずだ。体調管理のできたこちらに分があるのは当然のことだろう。
「うむ……」
 ベリーゴッド! と叫んで両手を掲げるゴッド。
「今行くぞヴィレッジの者たちよ! ゴッド達のフレンズ、ジョンポールに代わってウェイヴの向こうよりデリバリーである!」
 こうして、イレギュラーズたちは無事に荷物や資金を離れた村へ届けることができた。
 そのスマートな仕事ぶりに、海の商人たちから信頼が寄せられたのは言うまでもなかろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズの皆様。
 皆様の活躍で物資は無事に届けることができました。
 商品もそれなりに売りさばくことができたようで、依頼主ジョンポール氏もお礼に報酬ゴールドを上乗せしてくれています。

PAGETOPPAGEBOTTOM