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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 第十幕》ティティスの春?

完了

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■父と娘のすれ違い
「はい、お父さん。今日のお弁当」
「うん、ありがとうな。毎日美味い物で嬉しいぞ」
 狐人の治める城塞都市。そこに同居する事になり長くなるオーク族達。彼らは毎日農耕や工芸に精を出し今では狐人との蟠りは一切ない。平和そのものである。
 そんなオーク族の族長ミルディンとその娘のティティスは仲の良い父娘。娘は自分の容姿に自信がなく常に狐人の少女に变化しているが……父は少々もったいなくも思っている。オークとしてみれば元の姿も可愛いのだが、と。
 そんな父の内心は今回関係なく。いつもの朝、父が娘から弁当を貰うシーンから始まる。
「最近弁当を多く作っているが、カイ様のかい?」
「う、うん、そんなとこ」
 気になっていた事を突いてみる父。それは近頃娘の作る弁当の量が多い事だ。育ち盛りの年齢とはいえ、娘が一人で食べるには多すぎる。しかし夕方見る時には空になっている弁当に疑問を持っていた。
 今回指摘してみるが、妙にはぐらかすだけの娘。その事がとても気になる父。

「……ということなのですが、どう思います?」
「どうって……いや、カイはいつも家で昼は食べているぞ?」
 ミルディンが話を切り出したのは、娘の友人、カイ。彼女の父であるイグニスである。しかし、彼の説明では、カイは自宅で父や母と共に食事をする事が大半だという。
「……まさか、私に隠れて恋人ができたとか……!?」
「いや、それは別にいいことだろう?」
 勢いよく立ち上がるミルディンを宥めるイグニスだが、もしカイが同じような事をすればどうだろうかとふと考える。
 確かに目の前のオークと同じように、冷静でいられないだろう。いつの時代、どこの世界でも娘を持つ父は似たようなものなのだ。
「……友人殿を頼ってみるか」

■これっとストーカーじゃない?
「……うん、皆の言いたい事はわかるわ。でも、当人達は真剣なの」
 困ったような、なんとも言い難い表情のイレギュラーズと、同じ表情をしている協会案内人のポルックスが顔を突き合わせる境界図書館。
 イレギュラーズの大半は、放っておけばいいじゃないというのが感想である。
「ま、まあ。ほら。皆ももしかしたら娘ができたら同じ気持ちになるかもしれないし、ね?」
 イグニスからの依頼は、ティティスの行動を探ってその真相を突き止めて欲しいという事である。
 一歩間違えれば犯罪じゃないのか? そういう意見もあるが……依頼は依頼なのだ。

NMコメント

Q.なんですかこの依頼は?
A.ようは探偵の素行調査です。以下略です。
 私には子供がいませんが、娘を持つ父ってこんなんなんでしょうか?
 さておき今回のオーダー。オーク族長の一人娘、ティティスの隠し事を突き止めて下さい。もっとも、真正面からぶつかっても彼女ははぐらかすか、逃げるかするでしょう。
 或いは気づかれないように尾行し、或いは街の人々から情報収集をし。最終的に言い逃れできない「何か」を見つければ達成です。
 以下は現在の城塞都市や登場NPCの情報です。
■ティティス
 今回のターゲット。狐人の少女に变化してるオーク族。
 人見知りしますがイレギュラーズには好意的です。ですが、直球の質問には答えてくれません。また、逃げ足が速いので追いかけるのは大変でしょう。彼女の暮らす街ですので裏道等も詳しいですので。
 最近は料理を作る量が多い。毎日楽しそうにしている等々の情報が有り。
■カイ
 ティティスの親友の少女。二人一緒にいる姿をよく見かけられる。イレギュラーズには好意的ですが、友人の秘密は守る子。知っているかは別ですが。

■ギル
 ティティスの友人の少年。普段は森の中で暮らしているが今は騎士団で修行中。色々鈍いところもあるので質問しても役に立たない可能性大

■街の人々
 店を営む人や、騎士団などなど。ティティスとも仲良し。断片的にですが彼女の行動を知っています。聞けば教えてくれるでしょう。

■城塞都市
 至って平和そのもの。騎士達が日課の巡回をしているが大きな異変はない。ただ近頃、怪しい鳴き声がするとか、小さくすばしっこい生き物がいるとか、捨てるはずの物が消えているとか……事件でもないですが不審な点がいくつかある様子。

■???
 現時点では謎の存在。小柄ですばしっこい。危険性はない模様


 以上となります。いくつかの非戦スキルがあれば調査は楽になるかもしれません。
 それでは娘を思う父の心。拾うかどうかは皆様次第ですが、よろしくお願い致します。

  • 《狐の嫁入り 第十幕》ティティスの春?完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月18日 22時15分
  • 参加人数3/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(3人)

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
回言 世界(p3p007315)
狂言回し

リプレイ

■調査という名のストーキング
「気持ちは分かるがやはり親と言えどこれは過干渉過ぎるのでは……」
 髪をボサボサかきながら、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)はティティスの父、オーク族の長のみルディンから話を聞いていた。
 娘がどこか悪い男に捕まっていないかとかまくしてたてているが……世界が知っているティティスは人見知りのする少女だ。そう簡単に知らない男についていくとは思えない。
 やる気の起きない世界だが、仕事は仕事だ。意識を切り替えて聞き込みを続ける。
「そういえば、弁当箱はいくつ作ってあったんだ?」
「私のを入れて3つ、だな」
 その答えを聞いて世界は悩む。2つしか作っていないのならば、1つはティティス自身のだろう。それならば何も問題はない。だが、2つあるという事は誰かに作っているということだ。
 顎に手を当てて考え込む世界を見て、再び動転し始めるミルディン。騒がしくなってきた為に考えがまとまらない世界は、その場を一旦離れる事にする。
「とにかく一度調べてみるから、落ち着けって、な?」
「これが落ち着いていられますか!」
 世界がその場を離れる事ができたのは、一時間後である……。

「娘が何をしているのかが解らない状態というのも不安だろうな」
 騎士団に出向いていたのは、混沌世界において騎士を務める『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)だ。
 彼は若いとはいえ妻のいる身。将来的にはミルディンと同じ立場になるかもしれない男だ。それ故かミルディンの心配する気持ちもわからないではない。それ故に非常に協力的、意欲的であった。
 もっとも、異世界の騎士との交流を心待ちにしていた、という面もあるのだが。今も狐人の騎士と打ち合い、模擬戦闘を一つ挟んで汗を流したところだ。
「魔法とのコンビネーションを一人でできる、か……」
「あなたこそ剣一筋に鍛えた故の真っ直ぐな力が伝わってきますよ」
 魔法にも武術にも素養を持つ狐人はほぼ全員が魔法剣士と言っていい。剣一筋に生きたリゲルにとって、多少は羨ましく見えるところもあるのだ。だからといって自分の道が間違えているという訳ではないが。
 さておき、手合わせを終え歓談も挟み。なんとはなしに空気が和らいだところでリゲルは本題を切り出す。ティティスの事だ。
「ティティスお嬢様ですか?」
「ああ。最近何か変わった事とかないだろうか」
 誰から、というのは伏せたが直球すぎる質問だ。幸いこの騎士は訝しむ事もなく、素直に口を開いてくれたが。
「いえ、特には。ちょっとお買い物をしている姿を見る事が増えたかな、程度です」
「それなら日常の範囲かな。後、噂で小さくてすばしっこい生き物がいると聞いたけど」
「ああ、アレでしたらまだ何もわからないのですよね。これからまた巡回に向かいますが……」
 よかったら一緒に行きます? と申し出る騎士に、勿論、と返すリゲル。ついでに街の人たちにも色々聞いてみる事に。

「まあネコよねぇ。こういう時の定番って」
 町中をぶらつきながら『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)は考える。混沌世界ででも似たような話は聞いた。捨て猫をこっそり世話している子供の話だ。
 その子は親にきちんと話せば許しを貰え、その後幸せに一緒に暮らしたという事だが。ミルディンとて堅物ではない、ティティスが話せば許してくれそうなものだ。
 そんな風に考えながら、セリアは街の人々に話を聞く。果物屋でりんごを一つ買いながら、女主人に問いかけると面白いくらいに語ってくれた。
「ティティスちゃんかい? 最近毎日楽しそうにしてるわよね。……ああ、そういえば。あの子いつもお肉買ってるんだけど、魚を買ってる事が増えたわね」
 魚、という単語にこれはビンゴね。と内心ほくそ笑むセリア。しかし、そんな彼女へ横槍を入れる者がいた。通りすがりのおじいさんだ。
「ワシはあの子が女の子向けの服を買うのを見たぞい」
「ティティスも年頃なのだから、普通では?」
 りんごを齧りながら反論するセリアに、おじいさんは首を振って返す。
「いや、あの子じゃ着れないくらいに小さい服じゃよ」
「あれ、ティティスちゃん妹いないわよね」
「一人っ子じゃのぅ」
 女主人とおじいさんの話を横に、セリアは再び悩みこむ羽目になった。小さい女の子向けの服を買っていたということは、弁当を贈る相手とは猫ではないのか、と。
 しかしここは獣人の世界。或いは……。

■小さい厄介者
「あら、あなたね」
「おう、セリアさんか」
 路地裏を歩いていたセリアと世界はばったり出くわす。セリアは街の人からの情報、世界は直感に従い裏路地へやってきたのだ。【謎の小さな生き物】を見つけるべく。
 その前に。情報のすり合わせを行っておく。何か見落としがあるかもしれないからだ。
「女の子向けの服、か」
「お弁当はたしかに多く作られている、ね」
 と、なると。ティティスが弁当を贈っている相手は小さな女の子である、と考えるのが自然だろう。ひとまずミルディンが考えているような事態ではないはずだ。
 はた、と二人は同じ可能性に思い当たる。わざわざ弁当や服を用意しているくらいだ。【謎の小さな生き物】とはティティスが隠している何かではないか、と。
 二人して周囲に存在する精霊に呼びかける。精霊達は何も知らないと語ったが、捜査には協力してくれるようだ。少し落ち着き息を吐く二人だが、大声が響き渡る。
「こら、逃げるんじゃない!!」
 セリアと世界が声のした方向に振り返ると、リゲルが慌てた様子で走っていくのが見えた。これは何かあったかと感じ、二人もリゲルを追いかける。
「リゲルさん、どうした?」
「ああ、世界君にセリア君。あの、怪しい生き物っていうのを見つけたんだよ」
「あ、曲がったわ。アレがそうね」
 三人の目の前で小さな後ろ姿が角を曲がる。かろうじて見えた後ろ姿は確かに人の子供ほど小さく、そして猫のような尻尾が見えた。
「獅子人の子、かしら?」
「わからない。話を聞こうとしたら逃げられてね」
「なるほど。見失わないようにしないとな」
 三人が全力で走り、かろうじてついていくのがやっとなスピードを誇るその生き物はやがて開けた地で立ち止まる。
 息を整えながら周囲を見渡すセリアは、その場所に見覚えがあった。
「ここって、この間の運動会で壊した廃墟……」
 その廃墟の中に、謎の生物扱いをされていたもの……猫の尻尾の生えた少女は立っていた。三人に対し警戒心とも敵対心ともとれる視線を向けて。
「俺たちは敵ではない。話をしたいだけなんだ」
「知らない! ミャーコ、何も知らない!」
 リゲルが危害を加えるつもりはない、と帯刀していた剣を手放すも。少女は牙を剥いて叫び威嚇する。
「ミャーコ、と言ったわね。あなたはここで何を……」
「ここにいればお姉ちゃんが来るんだ!」
「お姉ちゃん……って」
 セリアの質問に、断片的にだが応えるミャーコと名乗った少女。世界は彼女の返答に何かを感じ取る。目前にいる少女より、件のティティスは年上に見える。魚をよく買うようになり、弁当を余分に作り、そして女の子用の服を買っているという少女。
 そして……。
「あ、あれ? 皆さんどうしてここに?」
 三人のイレギュラーズの背後から現れた少女の事を、だ。
「お姉ちゃん!」
 猫の少女がティティスに駆け寄り飛びつく。少し困ったような、それでいて楽しそうに小さな体を受け止めるティティスの顔は、姉のようで。
「ティティス、その子は一体?」
「見つかっちゃったなら仕方ないですね……この間の運動会のちょっと後に出会ったんですけど……迷子らしいんですよ」
「山猫族のミャーコだぞ!」
 セリアの問いかけに応える二人。この世界に長く関わったセリアや世界でも山猫族というのは聞いたことがない。名前からして山に住んでいるのだろうかと予想する。
「それでミャーコ。君はどうしてこの街に?」
「この前のお祭りの時に、馬車に隠れて乗ってきたんだぞ! ……帰り道がわからなくなったぞ」
 そう、運動会の時に。彼女はこっそりと誰にも秘密でやってきたのだという。その結果帰り道がわからなくなり、乗った馬車も見つからず。途方に暮れていたところでティティスが見つけたということだ。
「そういう事ならば騎士団に報告して、迷子ということで保護してもらえば……」
「嫌だぞ! ミャーコはお姉ちゃんと一緒がいいのだ!」
 リゲルが対応策を考え述べるが、ミャーコはティティスにしがみつき強く拒絶する。ティティスの方も困ったように笑い、頬を一掻き。
「こうなっちゃいまして……」
「だからって、親に内緒にしているのは感心しないな」
 世界に諭されると、流石にティティスも弱ったようでしゅん、と縮こまる。そこへセリアが助け舟を出す。
「あのお父さんなら素直に話せばきっとわかってくれるわよ。私達も手伝うわ、ねぇ?」
 男二人にどこか有無を言わさない笑顔を向けるセリア。一瞬気圧される男二人であったが、すぐにうなずく。

 その後。三人とティティスの説得により心動かされたミルディンは。養女という形でミャーコを家族に迎える事になったという。
 そうでもしないと、騎士団の方に強制送還されそうだったからなのだが。里に帰らなくていいのか、という確認に当のミャーコは
「こっちの街の方がご飯美味しいからいいのだ!」
 と笑顔で言い切ったそうな。
 そんな彼女の笑顔を見て、イレギュラーズ達はまたひと悶着ありそうだなと思ったという。

成否

成功

状態異常

なし

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