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シナリオ詳細

死したるモノと癒しの歌

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●死したるモノ
 その世界ではとあるウイルスが広がり、人類は元々の人口の半分に減らされていた。
 通称ゾンビウイルス。体液から感染すれば見境なく人を襲う化け物となってしまうのだ。 
 人々は化け物――ゾンビを恐れるようになり、避難し閉じこもるようになった。
 
 そんなゾンビパンデミックから2年が経過していた。
 ようやくゾンビを倒せるものが見つかったのだ。

 それは歌だ。

 ゾンビの目の前に立ち、歌とダンスを披露する。そうすればゾンビたちはその歌に感化され人の心を取り戻し、浄化されていくのだ。
 しかしゾンビたちの目の前に行く、その行為は危険だ。近づく前に己が襲われてしまうかもしれない。
 倒せるものが見つかっても、結局は人の生活は変わらないのだ。これからも、ずっと。
 人々はゾンビを恐れる生活を続けるしかない。

●とある猫の話
「…まー、そういうこと」
 ゾンビなんてものが存在する世界でゾンビを倒せばいい、とアメリカンカール…ラビ・ミャウはボールに前足を乗せ乍ら言う。
「ゾンビの特徴は…まぁ、皆が想像するやつで大体合ってる」
 体液により感染し、人を襲い、感染を広げる。頭を潰しても何故か動き全体的に潰して動かないようにさせないと倒せない。
 ただ一つの弱点が歌だ。それに上手か下手かは関係ない。それを聞き最後に人の心を取り戻し、浄化され倒れるのだ。
 最後に人の心を取り戻す、と言っても命はそこまでだ。
「今回は、ゾンビの集まってるとこ、2か所ほど見つけたから行ってくれ」
 一つは昔の小学校だった場所。もう一つはスーパーだった建物だ。
「一つでもその拠点を潰せばいい。だから一つだけ行くって選択でもいーぜ。その方が危険が少ないし」
 そこらへんはイレギュラーズに任せる、とラビは言う。
「ま、イレギュラーズならなんとかなるだろ、頑張って」
 くわぁ、と大きく欠伸をしてからラビは彼らを見送ったのだった。

NMコメント

●こんにちは、笹山ぱんだです。今回の敵はゾンビです。よろしくお願いします。

●今回皆さんに行ってもらうことは
ゾンビを倒すこと
です。
また、一つの弱点として歌を提示していますが、普通にゾンビを倒すのも問題ありません。
効果がある歌は音響を通していない生の歌のみです。

●世界
現実世界のパラレルワールド。
二年前にゾンビウィルスが拡散され人類の半分はゾンビになってしまいました。
ネット環境は壊され、人間達に残された情報ツールはラジオのみとなっています。

●小学校
ゾンビの拠点。昔に小学校だった建物。3階建てで一棟しかありません。
色んな教室や、廊下にゾンビが居ます。
また体育館と運動場にもゾンビは潜んでいるようです。
学校にあるようなものを使い戦うのも良いでしょう。

●スーパー
かつてスーパーだった建物。一階建て。広々とした売り場と、こじんまりとしたスタッフルームがあります。
大きな棚や、レジ、腐った食品やらが放置されています。
ゾンビはそういうものは食べませんがたくさんスーパー内で徘徊しています。
スーパーにありそうなもので戦うのも良いでしょう。

1人につき攻略できる拠点は一つのみ。
1つの拠点を全員で攻略するのも、分かれて2つの拠点を攻略するのも良し、です。
また倒し損ねたゾンビは拠点を離れ人の拠点へと向かってしまう場合がある為残らず倒してしまう方が良いでしょう。

それでは、宜しくお願いします!

  • 死したるモノと癒しの歌完了
  • NM名笹山ぱんだ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月15日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

エト・ケトラ(p3p000814)
アルラ・テッラの魔女
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
鵜来巣 冥夜(p3p008218)
無限ライダー2号
ヴァイス・ヴァイス(p3p009232)
罪の檻

リプレイ

●チャイムは鳴らず
 静かに存在する昔は子供たちが通っていた小学校も今は登校する姿は無い。
「ゾンビ……、わたくしの元いた世界にもまつろわぬ死者…アンデッドはいたけれど、それとはまた毛色が異なる様ね」
 浅黒い肌にボロボロの衣服を着たゾンビたちを見つめエト・ケトラは呟いた。
「彼等には魂があった、怨念があった。けれどゾンビ達は…何だか空虚に感じるわね、まるで瞳のない人形と相対しているかのよう」
 ゾンビである彼らに意志は無い。あるのは同じ存在を増やそうとする本能だけ。己の子孫を増やそうとするのは生きてるものの本来の使命だろう。
 だがそれに巻き込まれるのは人間だ。被害、とも言える。生きるもの全ての性質とはいえ、人間が絶滅するのは避けなければいけない。人間が生きてさえいればまだ救いはあるのだから。
「良いわ、かつては聖者であった身として…貴方達を楽園に導きましょう。この世界の神が息をしていれば良いけれど、ね」

「……私のことは……肉壁として、使い倒して、構いませんから……」
 凛とした口調で言うエトとは反対に瞳を伏せ呟くように言うのはヴァイス・ヴァイスだ。
 罪人の魂を持つ人形は罰を受けるのが当然だと思っている。痛みを全て引き受けるのも、それもまた罰なのだ。
 2人は校門から入り、まずは運動場に居るゾンビたちへと視線を向ける。そしてヴァイスは引き寄せるのだ、ゾンビを。
 蠱惑的な息、被虐的な視線、身体中からあふれ出るのは敵を引き寄せる香り。
 それはゾンビたちを惑わせ、引き付ける。気付いたゾンビ達はヴァイスへと襲い掛かった。
 不気味な声を上げながら黒く淀んだ色の腕を振り下ろし、ヴァイスを傷付けようとする。ヴァイスは防御をしその攻撃に耐えた。
「大丈夫…です…。これも、私への、罰…。お気遣いは…無用…です」
 ゾンビウィルスがヴァイス達イレギュラーズに効果があるか、それはわからない。だがゾンビになってしまったら堪ったものではないだろう。
 ヴァイスへと攻撃が集中しているゾンビ達へエトは聖なる光を浴びせ滅する。初めて浴びた攻撃にゾンビ達は倒れた。
「せめて光が貴方の慰めになれば良いわね」
 神聖な光が彼らの救いになるかはエトにも解らない。だがそうなれば良い。
 ゾンビ達の一匹の防御力はあまりないようだ。ただ、数が多く運動場のゾンビを倒しても、校舎に居る彼らの様子を窓から見ることが出来た。

「子どももそうでない者もいる…避難者の成れの果てか、或いは記憶がそうさせたのかしら」
 エトが呟く。学校だから、だろうか。子供の姿のゾンビも多い。ただ大人の姿のゾンビが少ないわけではない。かつてはここも避難場所として使われていたのかもしれない。
 入口から校舎へ入る途中、襲い掛かるゾンビ達へヴァイスは意を決したように口を開いて音を奏でる。
 それは郷愁、懐かしい過去、幼い頃の思い出、過去を振り返る歌
「~~♪」
 ゾンビ達は歌を聞くと立ち止まり、涙を流した。歌を聞き、何か人間であった過去を思い出したのだろうか――。
 ぽろり、流れる涙は綺麗でゾンビが流しているものには見えなかった。彼らはその後、砂の様に崩れ消えていく。
 涙も全て、彼らの居た痕跡は無くなってしまったのだ。
 倒したゾンビの死体が残るようなら運び出して葬りたかったヴァイスはその様子を見、目を閉じた。
 少しだけでも、彼らに黙祷を。
「これが…少しでも、贖罪となるなら…」
(…いえ…そう思っているうちは…未だ、贖罪を果たす日は…遠いのでしょう…)
 贖罪を望むうちは、まだ。ヴァイスは小さく息をついた。

 ヴァイスの歌を背中にエトは廊下を走り、階段を駆け上がる。
「ごめんなさいね、わたくし儚いのは見た目だけなの」
 淡い茶色の髪を翻し、裁きの光をゾンビへと降らせる。開いている教室へ身体を滑らせれば扉を閉める。
 そこはかつて子供たちが勉強をしていたと思われる部屋。たくさんの机が並び、黒板の前にはひとつ、教卓が置かれている。
 窓へと歩み寄り下を覗けば、ゾンビが歩いているのが見えた。傍にあった机を持ち上げ、開け放たれた窓からその机を落とす。
 ぐしゃり、醜い音がしてゾンビの潰れる音がした。
(…良心が傷みはするわね)
 だが倒すべき敵であることには変わりはない。

 探していたガソリンも拡張器の類も見当たらない。エトは音楽室、と書かれている教室へ入れば黒く大きなグランドピアノが目に入る。手入れがされていないので埃被るそれを軽く撫で蓋を開ける。
 短く音を奏でればちゃんと鳴る。椅子に座れば音楽を奏でる。
 それは鎮魂歌。エトの世界の、魂を静める曲。
「眠りなさい、全ての子らよ
 憎しみも、悼みも全て置いて
 愛する人の待つ場所へ」
 その歌声を、音を、聞いたゾンビ達は動きを止め、静かに音楽に聞き入り、やがて砂のように消えていく。
 そうして、二人が学校の中のゾンビ達を殲滅していくのだった。

●客は来ず
 一方その頃のとあるスーパー。静寂に包まれた店内ではゾンビが徘徊していた。
 回言 世界は思い出す。己が小学生のころ、ゾンビを武器で倒していくゲームをしたことがあった。
 つまりは今回はそんな要領で倒していけばいいというわけだ。 問題は肝心の武器が無いということ。だがスーパーならいくらでも調達が出来るだろう。
(……なんて思っていた時期が俺にもありました)
 想定していたのはホームセンターやら百円ショップなどがくっついている大型のモール。目の前にあるのはこじんまりとした…、地域密着型のスーパーだ。
 だが嘆いていても仕方がない。世界達の姿がいつゾンビに見つかり、攻撃の対象にされるのか分からないのだから。
「古くから鎮魂の歌はありますし、陰陽師の扱う祓えの言も歌に通じる物がある。この依頼もまた陰陽師としてひと皮剥けるための修行ですね」
 鵜来巣 冥夜は細い縁の眼鏡のフレームをくいっと上げた。陰陽師として作られたレガシーゼロの冥夜はやる気充分とばかりに世界へと声をかけた。
「私はあえて歌の力で奇跡を起こしてみせますとも。今回はメガネ二人ですからユニット名は……」
「…いや、普通に戦うけど」
 珍妙なユニット名を付けられたらたまらない、と世界は持ってきていた精霊爆弾を仕掛けようと手に持った
「えっ」
「え?」
 顔を見合わせ数秒間、沈黙が流れた。

 スーパーに入れば即座に気付いたゾンビ達が寄ってくる。世界は気付く、精霊爆弾を仕掛ける必要もない、と。
 襲い掛かりに寄ってくる彼らに効率よく放り込む方が簡単だろう。投げるとボンっと小さな爆発音がしてゾンビ達が倒れていく。
 店内を駆けゾンビを一つの場所に集めるように、誘導すれば反対の棚を身体でぐっと押す。ぐらぐらとそれが音を立て崩れるように倒れる。
 そうすれば数体のゾンビ達はぺしゃんこに潰れてしまった。変な腐った匂いがするがそれがゾンビなのか、腐った食材の匂いなのか…確認するのは止めておこう。

 黒髪黒スーツのホスト風の男が店内を走っていく。それは冥夜の式神の蓮だ。彼は放送室を探し、店内を探し駆ける。
 冥夜は世界が戦っているのを横目に店のカートや籠でバリケードを張っていく。
 スタッフルームへ入り、誰も居ない放送室の扉を開けた蓮は電源を付け持ってきていた音楽を流す。それは一定のテンポを刻むリズム。
 エンターテイナーである冥夜が披露するのは即興のラップ。迫りくるゾンビに同じ曲ばかり聞かせるのは気がひける。即興こそ、今しかできない音楽なのだ。
「さぁ、バイブス上げて参りましょう!」
 Put your hands up!音楽がこの場を支配するのだ。

「♪ Check it out! いま世界の闇払うアンセム、紡ぎ出すぜ輝きのライム!」
 ゾンビ達は驚いたように動きを止め、冥夜の方を向く。それはまるでラップを聞いているかのよう。
「♪眠り誘う陰陽、混沌から参上! 鵜来巣の家に恥じぬ熱い歌でノックオン!韻を踏んで印を結び陰を祓うホスト 雨の様に紡ぐ言葉逃げられんぞ雑兵!」
 戦場に響き渡る音、言葉、それらはゾンビ達の耳に届く。ゾンビ達はそのリリックを聞き感動したかのように涙を流した。
 そしてその身体は砂のように崩れ消えていく。
「……くぅーっ!気持ちいですねこの修祓。祝詞を唱える時とはまた違う高揚感があります」
 まだ音楽は流れている。それならばまたするのも良いかもしれない。
「戦場がスーパーなのですから、リリックに店内の物を使うのも面白いかもしれないですね」

 缶詰やそういう保存食はまだ食べられるだろうか。まだここに食料を確保する人間がいるかもしれない。なら一応置いておこう。
 世界は棚に並んでいた肉を掴む。これはもう駄目だろう。何かもう変な液体出てるし、カビてる。匂いも駄目だ。気持ち悪くなりそう。
 とりあえずゾンビ達に投げてみるが足止めにはならないようだ。
 冥夜がその即興ラップでゾンビを消しているのを見る。その様子に目をぱちくりと瞬きさせた。
「…本当に歌で倒れたりするのか」
 世界はとりあえず店内の奥の方へと移動し、周りを確認する。うん、ここならば誰にも声は聞こえないだろう。
「…………あー、あー、おほん」
 軽く咳ばらいをして口を開く。
「ひーろーいーうーちゅーうーのー かーずーあーるーひーとーつー」
 とある恋の歌を歌う。それはアカペラだったがゾンビ達に届く、彼らはその歌声に心を惹かれたらしく、世界の歌声を一通り聞いた後、拍手をして砂のように消えていった。
 ゾンビが歌を聞き、消えていく。その様子はなんとも言えない光景だ。だが悪い気はしない。

 彼らはそうして、店内のゾンビ達を倒していくのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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