PandoraPartyProject

シナリオ詳細

にゃんとすてきなゆーとぴあ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●猫の楽園
「今日もありがとうございました。お陰で癒されました!」
 そんな言葉を受け取り、男は笑顔を浮かべた。
「是非、またいらしてください」
「はい! 今度は美味しいお菓子を差し入れしますね」
 家を訪れた客人を見送った彼は踵を返し、家の扉を開ける。家に入ると、にゃあ、と足下から鳴き声が聞こえた。視線を向ければ、そこには一匹の猫。それを合図のように、わらわらと十数匹の猫が集まってくる。男は表情を緩め、足に擦り寄る猫の頭を撫でた。
「お腹が減ったかい? ごはんにしようか」
 ごはん、という単語を拾った猫たちは途端に嬉しそうに尻尾を振り始める。そんな愛らしい姿を見て、男は微笑まずにいられなかった。
 猫たちの食事の準備をしようと足を踏み出せば、猫たちは雛鳥のようにちょろちょろとついてくる。戸棚から餌の袋を取り出し、餌の器を並べていくと、猫たちは自分の定位置を心得ているかのように、器の前に座した。そして男が最後の器を並べようとした時、あることに気付いた。
「――ポルタ?」
 器が、かしゃん、と音を立てて落ちる。猫たちはその音に驚き、尻尾をぶわっと逆立てた。
「ポルタ!」
 男が呼んだのは猫の名前――ごはんの時間と知れば真っ先に駆け寄ってくる、灰色の毛並みと緑の瞳が美しい成猫の名前だ。
 彼は猫の名前を呼びながら家中を探したが、見つかることはなかった。

●如何にして猫は消えたのか
「皆さん、猫さんはお好きですか?」
 ギルドの一角にて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、羽根をぱたりと揺らして、集まった冒険者たちに訊ねた。今回の依頼は猫が関係するらしい、ということが窺える。各々の返事を聞けば、ユリーカは依頼の内容を話し始めた。
「依頼人のお名前は、ピエットさんというのです。彼は無類の猫好きさんで、猫さんをたくさん飼っているのです。住居の一室を猫さんのためのお部屋にしています」
 と、そこで彼女は目を閉じる。猫が一室に集まっている様子を想像しているようだ。
「……なんてしあわせなくうかん」
 ぽつり呟き、一度咳払い。
「ピエットさんは、時々猫さん部屋を開放してお客さんを招いているのです。そこで猫さんと戯れるお客さんをおもてなしするのが、ピエットさんの楽しみだそうです」
 けれど、とユリーカは眉を下げて悲しそうな表情を浮かべた。
「愛猫の一匹である、ポルタさんがいなくなってしまったそうです……」
 今回の依頼は、いなくなってしまった猫の捜索だ。ポルタは灰色毛で緑目が特徴のオス猫。ポルタがいなくなった日も、ピエットは猫部屋を開放していた。しかし人の出入りには普段から細心の注意を払っている。加えてポルタは臆病な性格なので、勝手に外に出ていくのは考えにくい。つまり――
「誰かに連れ去られた可能性が高い、というわけなのです!」
 しかし、猫部屋への出入りは自由。誰にでも犯行は可能。これは家主のピエットや街の住人にも詳しく話を聞く必要がある。
「あ、手がかりになるかはわからないのですが、猫部屋にこんなものが落ちていたみたいです」
 ユリーカが皆に見せたのは青いビーズ玉。玄関に転がっていたのをピエットが拾ったらしい。
「それと……ピエットさんは事態を大きくしたくはないそうです。犯人さんを見つけても見逃してあげてほしい、と。ポルタさんが戻って来てくれたらそれで構わないと仰っていました」
 お力を貸してほしいのです。ユリーカは小さく頭を下げた。そしてぱっと顔を上げ、明るい笑みを見せる。
「無事解決した暁には、お礼を兼ねて、皆さんを猫さん部屋にご招待してくださるそうです!」
 魅力的な言葉で、依頼の説明は締め括られた。

GMコメント

初めまして、文灯と申します。猫愛を前面に押し込みました。
探偵さん気分で聞き込みや探索を楽しんでいただけたら、と思います。

●成功条件
犯人を見つけ、ポルタを保護すること。
なお、ピエット氏は事態を大きくしたくないので、犯人に危害を加えないようにしてください。

●ピエット氏のご招待
無事に解決した場合、ピエット氏から猫部屋に招待されます。
猫好きな方は是非楽しんでいってください。
猫の数はポルタを入れて二十匹。
種類は様々なので、『こういう猫と遊びたい』という希望があったら嬉しいです。
希望が特になければ、文灯の趣味が爆発します。

●以下読まなくてもいいピエット氏の情報
幼い頃に両親を亡くし、飼っていた猫だけが彼の家族でした。
悲しい時、辛い時、愛猫が寄り添ってくれた。
そんな彼が猫好きになるのは当然です!(力説)
一匹、また一匹と猫は増え、気付けば数は二十を超えていました。
野良猫を見ると放っておけないらしく、まだまだ増えそうな気配。


どうぞ宜しくお願いします。
皆様のプレイングをお待ちしております。

  • にゃんとすてきなゆーとぴあ!完了
  • GM名文灯
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月20日 21時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談10日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベルジュ・ランカスタッド(p3p001234)
ロウ・イーター
陽陰・比(p3p001900)
光天水
エーラ・アルブム・ビィストール(p3p002585)
駄めいど
シャルロッタ・ブレンドレル(p3p002596)
ジェリクル
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
御幣島 十三(p3p004425)
自由医師
クロエ(p3p005161)

リプレイ

●猫は今、何処
 全員が現場であるピエットの家の前に到着すると、既に彼はそこで待っていた。イレギュラーズが駆けつけてくれるのを、心待ちにしていたようだ。
 ピエットはイレギュラーズを視認し、深々と頭を下げる。
「皆さん、私と……ポルタのために、ありがとうございます」
 その表情は疲れた様子が滲み出ていた。ポルタの安否が気掛かりなのだろう。一刻も早く彼を見つけ出して、ピエットの不安を払拭せねばならない。
「誘拐とは穏やかではないな」
 そう呟いたのは、クロエ(p3p005161)だ。艶やかな黒い尻尾をゆらゆら揺らして、要求が来ていないだけマシかもしれない、と内心で思う。
「ま、しっかり探させてもらおう」
「……猫さんの捜索依頼。聞いた事がありますわ。優秀な探偵さんは必ずといっていいほどこの依頼をこなした事があると」
 ふふん、と口角を持ち上げる『灰かぶりのカヴン』ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)。
「わたしなりに、力を尽くさせていただきますとも。ええ、ええ。犯人への攻撃行動には十分気を払っておきますわ」
 イレギュラーズの言葉に安堵したのか、ピエットはようやく柔らかい表情を浮かべた。
「ふむふむ、誰にでも犯行が可能という事は、逆に言えば中々犯人が絞れない難事件とも言えるのだ」
 『ジェリクル』シャルロッタ・ブレンドレル(p3p002596)は顎に手を当てながら、うんうんと頷く。彼女の瞳は、きらりんと輝いた。
「これはじっくり腰を据えて調査をする必要がありそうなのだよ、ワットスン君」
 誰に言うでもなくビシッと決め台詞。
「面倒事は苦手だけど、ぬこ好きとして今回の事件は立ち上がらざるをえないからね」
 『四眼ノ従医』御幣島 十三(p3p004425)は視線を下に向ける。彼の足下には猫が五匹いる。ピエットの家の猫ではない。彼に縁がある猫だ。それぞれの名前を呼べば、にゃーん、と返事が返ってくる。彼らもやる気充分な様子。
 かく言う『白き歌』ラクリマ・イース(p3p004247)も、猫が大好きだ。
「あのたるんだお腹のお肉に顔を埋めてもふもふするだけで嫌な事をすべて忘れ、幸せな気分になれます」
 ここまで一息である。猫愛がひしひしと伝わってくる。
 誘拐されたかもしれない猫の捜索。ないとは思いたいが、猫が酷い目に遭っていたら、と不安が過る。『駄めいど』エーラ・アルブム・ビィストール(p3p002585)は、猫に危害が及ばぬようにと祈るばかりだった。
「必ずポルタを見つけ出そうね!」
 不意に響いた明るい声は、『光天水』陽陰・比(p3p001900)が上げたものだった。前向きな言葉に士気も上がる。ピエットは、再び深く頭を下げた。
「私にできることなら、何でもします。皆さんのお力を貸してください」
 無論とばかりに頷くのは『ロウ・イーター』ベルジュ・ランカスタッド(p3p001234)。彼はよく、近所の住人に猫探しを頼まれる。今回は一風変わった形だが、それは些末な問題だ。やることは普段と変わらないだろう。
「ご安心を。ピエット殿の大事な家族は、必ず連れ戻します」
 彼は仲間を振り返り、「参りましょうか」と声を掛けた。

●ポルタを探せ!
 捜査のため、イレギュラーズは複数のグループに分かれて行動することになった。
 ピエットの家で発見された青いビーズ玉。それを事前にケミストリーで調べた十三は、調査結果を全員に通達する。
 青いビーズ玉からは、いくつか指紋が検出された。手袋をつけて犯行に及んだ可能性を懸念していたが、その形跡はなさそうだ。つまり計画的な犯行ではないということがわかった。
 指紋が照合できるよう、他グループに簡易キットを配布して情報共有を終え、集合時間を決めて捜査が開始される。
 比とエーラはピエットに家を案内してもらうことにした。比は案内を元に簡易図を作成する。同時に、何か妙なものが落ちていないか確認。しかし、特に目新しいものはなかった。
「ポルタがいなくなったことに気付いた時の、最後のお客さんは誰だった?」
「近所に住んでいるナナセさんです。彼女を見送って戻った時には、ポルタは見当たりませんでした」
 なるほど、と比はひとつ頷いた。続いての質問は常連客についてだ。何人かの名前を聞いてリストアップする。その中で、ポルタを気に入っていた客はいたかどうかを重ねて訊ねる。
「あの子は大人しい子なので……特にお子さんにはよく好かれていたと思います」
 その後、比はいくつか質問し、情報共有できるようにまとめておく。
 比が聞き込みをしている間に、エーラはポルタの好物のおやつを用意した。そして、ピエットへの聞き込みを終えた比と共に街へ出て住人たちに聞き込みを行く。
 街を歩いている人を呼び止めては、
「灰色の毛並みの猫をご存知ありませんか? ピエットさんのお宅の猫が迷子なんです」
 大事にしたくないと言ったピエットの考えを配慮し、エーラは慎重に話を聞く。
 猫部屋では、ミディーセラとクロエが猫から話を聞いていた。
「少しお話を聞かせていただけますか?」
 しゃがみ込み、猫たちと視線を合わせるミディーセラ。数匹の猫が近寄ってきて、にゃあと返事をする。
「ポルタがいなくなったのは知っているだろう? ピエット氏が席を外した時、おかしな言動をしていた者はいなかったか?」
 クロエが訊ねれば、猫たちは顔を見合わせ、にゃーにゃーと話し始めた。
 そういえばいつの間にかいなくなっていた。どこにいるのかな、心配ね。最後に見た時は子供と一緒だった気がする。
「子供?」
「にゃー」
 そうだよ、と返事が返ってきた。
「子供ですか……。ピエットさんに詳しく聞いてみましょう」
 猫たちに礼を言い、ふたりは猫部屋を出てピエットを探しに行った。
「地道な捜査こそ事件解決への近道なのだ。張り切っていくのだよワットスン君」
「ええ。小さな情報でも集まればきっと有効な物になると信じ頑張りましょう!」
 こちらはシャルロッタとラクリマのふたり。事前に聞いた情報を元に、猫部屋を訪れた客人に事件当日の様子を聞き込みに向かった。
「ふんふん……。特に怪しげな人は見ていないのだね?」
「えぇ。……というか、その、猫たちに夢中だったから、あまりよく……」
「あぁ、そうですよね。あのもふもふを目の前にしたら誰だってそうなりますよ」
 力強く頷くラクリマ。青いビーズ玉についても念のために確認してみると、女性は首を傾げ訝しげな表情を浮かべた。
「……あら? そういえば何だか心当たりがあるような。確かあの日、見かけた気がするわ」
 誰が持っていたかしら。眉間に皺を寄せて考えるが、結局思い出せない様子だった。
「ってことは、やっぱり犯人の持ち物なのだな」
「何か思い出したことがあったら教えてください。俺たち、まだこの辺りにいますから」
 客人からの聞き込みの他に、ラクリマは軒先の植物や街路樹から意思疎通を図り、ふたりは手分けして情報を集めていく。
 ベルジュと十三はペアを組んで聞き込みを行っていた。
 ベルジュの情報網を駆使し、ピエット家近くの店を訪れる。幸い客は少なく、店主に話を聞くことができた。
「ポルタって猫を探してるんだけど、何か知らないかな?」
 店主に猫の特徴を伝えると彼は、あぁ、と声を上げた。
「ピエットさんとこの猫か。いなくなっちまったのかい?」
「姿が見えなくなったようで……ご存知ないですか」
「……そういえば、この間来た客で最近猫を飼ったって嬉しそうに話してる子がいたな」
 ふたりは顔を見合わせた後、店主を見つめる。

●発見、そして――
 彼らは聞き込みの結果を報告し合う。すると浮かび上がってきた――容疑者の影。
 更にその人物の行方を捜索すると、ピエットの家から大分離れた人気の少ない公園に行きついた。
 ひとりの少女が、植え込みにしゃがみ込んでいる。その傍らには段ボール箱が転がっていた。
「アンナ」
 凛としたクロエの声が、少女の名前を呼んだ。
 少女が振り向けば、植え込みに灰色の毛並みと緑瞳の猫――ピエットの飼い猫・ポルタの特徴と一致する――がいた。
 イレギュラーズの存在に気付いた少女……アンナは、慌てて小さな腕でポルタを抱きかかえた。彼女の左腕に、青いビーズで作られたブレスレットが揺れている。
 じり、と地を踏み締める音が聞こえた。逃げる気だ。しかし、素早く十三が動く。アンナの後ろに回り込むと、幼い表情がくしゃりと歪んだ。
「依頼主は事を荒立てたくないと言っています」
 なるべくアンナを怖がらせないよう、落ち着いた声でベルジュが諭す。彼女は俯き、ポルタに顔を押しつけた。彼は、にゃあと鳴き声を上げる。
「……猫、好きなのだ?」
 うちの見立てでは無類の猫好きなのだ、と続けてシャルロッタは彼女に問う。怯えた表情のまま、アンナは小さく頷いた。
「それなら、こんなことはやめようよ」
 猫が好きなら。本当に猫を想うのなら。こんなことをしてはいけない。比の言葉に、アンナは瞳に涙を溜める。
「ポルタ君の鳴き声が、本当の飼い主を呼んでいるように聞こえない?」
 何も答えない少女。十三はポルタを見遣った後、またアンナを見つめる。
 もしもそうなら、彼女もポルタも心の痛みを引きずって暮らすことになる。そんな生活は、苦しいに決まっている。
 アンナはぐずぐずと鼻を鳴らした。少女の瞳から涙が溢れ落ちるのも、時間の問題だ。
「……どうして、こんなことを?」
 きっと彼女にも何か事情がある。そう考えたラクリマは、ぐずるアンナに訊ねた。
「猫、ほしかったの……。パパ、猫いやだから……。ママと初めてあのおうちに行って、この子がアンナにすりすりしてくれて……」
 そこからは嗚咽まじりだった。初めて猫に触れて嬉しかった。離れたくなかった。一緒にいたかった。身勝手だが、とても純粋な理由だった。
「悪いことだというのは、わかっていますか?」
 ミディーセラは静かな声でアンナに問うた。アンナの大きな瞳から、ぼろぼろと涙が溢れる。
 いけないことだと、彼女もわかっていたようだ。わかっていて、ポルタを連れ出してしまった。
 アンナはぎゅっとポルタを抱き締め直す。離したくない、離れたくない。その気持ちが見てとれる。そんな彼女の様子に、クロエが首を振った。
「君はピエット氏から家族を奪おうというのか? 家族を失う哀しみを、もう一度彼に味わえと?」
 嗚咽が漏れた。声をしゃくり上げ、咳き込みながらも、アンナは口を開く。
「っ、なさ……、ごめん、なさいぃ……!」
 堰を切ったように、彼女は大声を上げて泣いた。
「ポルタを返してくれますか?」
 エーラが手を伸ばすと、アンナは泣きじゃくりながらポルタを解放した。彼を抱きかかえ、怪我がないことを確認して息をつく。
「ポルタさんが『泣かないで』って言ってますよ」
 涙するアンナと目線を合わせるように屈み、ラクリマはポルタを見上げる。にゃあ、と鳴く彼の背は、少女の涙で濡れていた。

●ゆーとぴあ!
 ピエットが開放する猫部屋は本日貸し切り。客人はもちろん、今回事件を解決したイレギュラーズだ。
 クロエはピエット家の猫たちと戯れて楽しむことにした。部屋を駆け回ったり、猫じゃらしを口に咥えて遊んであげたり。
 ひとしきり遊んだ後は、一緒にごーろごろ。至福な光景である。
 その様子を眺めていたミディーセラは、自身も猫に構いにいく。部屋の隅っこで香箱座りをしている猫を見つけ、頭の辺りをつんつんつつく。だみ声でにゃーと不機嫌に鳴く猫。そういう素直な反応が彼女は好きだったりする。
「おおおお……!」
 感嘆の声を上げたのはシャルロッタ。長毛の毛並みがさらさらの猫を見つけて瞳を輝かせる。とてもゴージャス!
 うちにぴったりなにゃんこ! と彼女はいそいそ長毛猫に近寄り頭を撫でる。さらっさらふわっふわな手触りに思わず表情が緩んだ。
「はい、どうぞ。たんと召し上がってください」
 エーラは猫部屋に来る前に猫のおやつレシピを調べ、彼らが好きそうなごはんを作ってきた。器に入れてあげると、猫が集まってくる。手作りの猫ごはんは大盛況だ。
 動物が好きなベルジュも、この時間を楽しんでいる。猫のおもちゃを使って、集まってきた猫と戯れているところだ。
 しかし遊んでいるうちに、短毛キジ猫が膝にのってきてしまった。おもちゃを頭上に掲げると、それを追いかけてのぼってくる。キジ猫の爪が、彼の顔面を襲う――!
「あっ、顔は、顔はおやめください」
 そんなベルジュの近くでは、ラクリマが猫のお腹に顔を埋めていた。無言である。しかも埋め時間が長い。呼吸ができているか心配なところだ。
 静かな彼と対照的に、比は猫たちに追い掛け回されている。比の手には紐が握られており、その先にはネズミのおもちゃ。猫たちはこぞってそれを奪おうとしている。
「ほらほら、こっちだよ!」
 賑やかな声を聞きながら、十三は自身の猫とピエット家の猫たちがじゃれている姿を見つめていた。
 にゃーにゃー。にゃんにゃん。愛らしい鳴き声と仕草に、彼の顔がでれっと緩んでしまう。
「もうたまんニャイね~! ハジメ、丈ニ、三廻部、四季、誠吾……みんな可愛いニャ~」
 猫をだっこして、膝にのせる。一緒にお昼寝でもしようかニャ、なんてでれでれになりながら。

 後日、アンナと彼女の母親がピエットの家を訪れた。今回の件を謝罪に来たらしい。
 心からの謝罪と猫を想う気持ちに、ピエットはアンナを咎めることはしなかった。何より、大事な家族が戻ってきてくれた。それで充分だった。
「猫を愛する人に、悪い人はいませんよ」
 そう笑って、また来るようにとアンナと母親を歓迎する旨を伝えたという。

成否

成功

MVP

御幣島 十三(p3p004425)
自由医師

状態異常

なし

あとがき

この度はご参加ありがとうございます。
初めてのシナリオでドキドキでしたが、楽しみながら執筆させていただきました。
心に残る物語の一端となれたら幸いです。

今後ともどうぞ宜しくお願いします。

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