シナリオ詳細
特異運命座標とお菓子の国<HAPPY HALLOWEEN>
オープニング
●HAPPY HALLOWEEN!
「おい、カスタードまだか!?」
「もうちょっとです! パイ生地は!?」
「今、卵黄塗ってる!!」
どったんばったん。朝から腕利きのパティシエたちがあれやこれやとお菓子の準備に追われていた。
ここはスイーツランド。自然も建物もあらゆる物がお菓子で出来た不思議な国。
そして舞台はスイーツランドの中央にあるスイーツ城の厨房。
あちこちから甘い香りが漂い、オーブンからは焼きあがったばかりのマフィンが取り出される。
盛り付けには紫色のお芋のクリームにホワイトチョコはお化けの形。
そう、スイーツランドはそろそろハロウィン。
街の子供達も、お城のアイドル、ホイップ姫も楽しみにしている一大行事だ。
……が、いかんせん手がまるで足りていなかった。
昨年より子供の数が大きく増えたからだ。
それにお菓子を作った後は、お化けの仮装をして子供達にお菓子を配らねばならない。
納期を計算すると瞼の裏に金平糖がちかちか散った。
「ああーー! 誰でもいいから手伝ってくれないかなぁ!」
報酬のお菓子はたっぷりと出すから!
と、城一番のパティシエが叫んだ。
●いざ、スイーツランドへ
「よう、以前行ったスイーツランドって覚えてるかい?」
紅茶の入ったティーカップ片手に黒衣に身を包んだ境界案内人、朧が問いかけた。
「名前の通りあらゆるものが菓子で出来てるって国なんだけどな。どうやらハロウィンに向けて菓子を作ってるみたいなんだわ」」
朧曰く、スイーツランドのハロウィンは少し変わっていてお化けが子ども達にお菓子を配るというものであるらしい。
異世界にもハロウィンがあるのだなと、特異運命座標達はお互いの顔を見て楽しげに話す。
その様子を見て朧はティーカップをソーサーの上に静かに置いた。
「で、今回のオーダーだが。その菓子を作るための職人の数が足りてねぇらしくてな。お前さん達には城の厨房で菓子を作る手伝いと仮装して菓子を子供たちに配ってやってほしいんだ」
衣装は望みの物があれば朧が事前に用意してくれるらしい。
「材料や、調理器具は向こうにあるはずだが持ち込んでもらってもいいぜ。報酬は城のお抱えパティシエによる極上スイーツ食べ放題らしい」
羨ましいねぇと朧はひらひらと手を振った。
- 特異運命座標とお菓子の国<HAPPY HALLOWEEN>完了
- NM名白
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年11月11日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
お菓子の国だというのに何故お菓子をわざわざ作る必要があるのか。
「……と思ったが。よくよく考えれば周りから取ってくるってことは住む家を崩したり環境を破壊することと一緒だもんな」
忙しなくパティシエ達が駆け回る厨房を一瞥し『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)はうんうんと頷いた。
しかも今回は報酬として極上スイーツが確約されているのだ。協力しないという手は甘党には考えられなかった。強いて言うなら調理器具からも何やら甘い香りが漂うような……?
ちゃんと料理できるのか些か不安だがとりあえず今は置いておこう。
世界が選んだのはシンプルなクッキー。
作り方は数あるお菓子の中でも比較的簡単かつ、手堅い人気を誇る王道のお菓子だ。
「折角だし南瓜やお化けの形&南瓜を生地に練り込んだハロウィン仕様のクッキーとか作ってみるか。」
生地を纏め、プレーン、ココア、かぼちゃペーストを織り込んだ生地に分ける。
綿棒で薄く伸ばし、お化けやカボチャの形に繰り抜いて見た目にも可愛いクッキーに仕上げた。
後はオーブンに入れて焼きあがったら袋に詰めてパープルとオレンジのリボンでラッピングを施せば完成である。
「これをまだまだ作らなきゃいけないわけか」
若干頬が引き攣るが極上スイーツが待っているのだ。休む暇など無い。
「お化けがお菓子を配り歩くか。変わってはいるが楽しげな祭りであることには違わないか」
そこまで料理が得意、ということも無いのだがと口にしながらも慣れない手つきで包丁を握っているのは『誰かの為の墓守』グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)である。
「計量さえ守ればまともなのが出来るだろう……出来るよな?」
「大丈夫ですよ! それに手伝いに来てくださるだけでとてもありがたいです!」
グリムが作る予定の桃のタルトの材料をせっせと運びながら若いパティシエールが応えた。
「季節に合わせるなら南瓜の方がいいんだろうが仮装に合わせるのもありだろう」
グリムの仮装はキョンシーの予定であった。
ちなみにキョンシーには桃の剣が有効らしい。
「生ものだから足も速いがまあ、子供達ならすぐ食べるし問題はないだろう。取り合えず大きすぎても困るだろうし、サイズはカップケーキぐらいの大きさがいいか」
ちんまりとした可愛らしい掌サイズのタルト生地にカスタードを零さないように慎重に盛る。
「とカスタードは少なくして薄く切った桃を多めにした方が食べ応えはあるかな」
薄くスライスした桃を時計回りになる様に丁寧に並べていく。
「うん、取り合えずこんな感じでいいか」
「わぁ……とっても綺麗です!」
隣で見ていたパティシエールの賞賛にグリムは若干照れくさそうに頬を掻いた。
「お菓子の国のパティシエの極上スイーツ……。気になる。何が食べられるんだろう……。」
ごくりと喉を鳴らし、たらりと口の端から垂れた涎を慌てて拭うのは『ビビりながら頑張るニート』エミール・エオス・极光(p3p008843)である。せっかくの機会なのだから、いろんな種類をたくさん食べてみたい。だがその前に。
「まずはお菓子作りだね!」
よし、よエプロンの紐を結びなおしてエミールは材料へと向き直った。
「あたしは月餅を作るよ!」
家では怠惰を極めて召喚された後に追い出されてしまったが、実はコックになれるほど料理は得意だし大好きだ。故に今回の依頼はエミールにとってうってつけの依頼であった。
まずは生地用のシロップを作る。
鍋に砂糖、水、レモン汁を煮詰めて軽く色が着いたら火から降ろして冷ます。
冷ましている間に前もって準備してきた小豆餡とかぼちゃ餡を取り出す。
前者は粒あん、後者は裏ごししたかぼちゃと白あんを混ぜた特製の物だ。
「小豆餡は甘いけど甘過ぎない味で、かぼちゃ餡はかぼちゃの風味を大事にしたわ」
「なるほど……」
エミールの見事なお菓子作りの腕と知識に気づけばパティシエ達がメモ帳片手に集まってきていた。忙しいのは事実だが、お菓子作りの達人がいれば少しでもその知識を学びたいという職人心。厨房を取り仕切る一番のパティシエも苦笑いをしつつ強くは咎めなかった。
それぞれの生地を一口大に分けて丸めておき、冷めたシロップに薄力粉やサラダ油を入れて生地を作る。
出来上がった生地に丸めておいた餡を包んで、月餅用の型に入れて型抜きを。成型できたら艶出しの為の卵黄を刷毛で塗りオーブンで焼けば――。
「出来上がり! ああ、早く配りたいなぁ」
おおーという歓声が厨房に響いた。
「ボクはジャムパイをつくりたいな! 真っ赤ないちごジャムのパイ!」
「ジャムパイですか! いいですね、今材料を持ってきます」
『雷虎』ソア(p3p007025)の提案に賛同したパティシエが材料を並べだす。それらをふふんと満足げに見下ろしながらソアは味のイメージを始める。
「せっかくのハロウィンだから子供たちにも背伸び気分にしてみよう」
うんと甘いお菓子は食べなれているだろうし、他の仲間が作るかもしれない。それなら甘さが控えめのジャムをたっぷりと詰め込んだパイにしよう。
「さあ、たくさんジャムをつくらなくっちゃ。一度やってみたかったことがあるんだ」
「やってみたかったこと……ですか?」
きょとんとするパティシエに頷いてからソアは一旦奥へと消える。数分後、彼女はディアンドル風の可愛らしい衣装から真っ黒のワンピーススカートに真っ黒のフードローブを目部下に被っていた。
ヘタを取った瑞々しいいちごと砂糖を物語に出てきそうな黒い鍋にどっさりと入れて火にかける。
「イーッヒッヒッヒッ!」
怪しい薬を作る魔女のようにわざとらしく皺枯れた老婆の声でソアの背丈ほどもある巨大な掻きまわし棒でゆっくりと混ぜ始めた。
「これやってみたかったの!」
「は、はあ……」
目を丸くしているパティシエを他所に。次はパイと、ソアはミトンを嵌めてオーブンにあらかじめ入れておいたパイ生地を取り出した。
サクサクに焼きあがったパイの形は猫やコウモリ、カボチャ、お化けとハロウィンの夜にぴったりな可愛らしいものばかり。
そこに出来上がったジャムをたっぷりと注いで敷き詰めて少し冷ませば、少し背伸びをした大人な味わいのジャムパイの完成である。
さて、お菓子が出来たら――待ちわびている子供たちの元へ向かおうではないか。
●
「ハッピーハロウィン! ハッピーハロウィン!」
さぁ、お化けが来たぞと先頭の死神仮装のパティシエが高らかに宣言すれば我先にと家から飛び出してくる子供たち。
「がおー、キョンシーさまのお通りだぁ。噛まれたくないならこのお菓子を受け取るがいい」
「桃のタルトだ! 僕これ大好き!」
「そうか、一応足が早いから早く食べるように、破ったらキョンシーの呪いで腹がいたくなるぞぉ」
「きゃー!」
少し脅かしてやれば嬉しそうに燥ぐ子供に少し恥ずかしさを覚えながらもグリムはにこりと微笑んだ。
「お菓子をもらってくれなきゃ、悪戯しちゃうぞー!」
一方くるくると如意棒を振り回しながら月餅を配るエミールは子供に声を掛ける。アクロバティックな動きとここでは珍しいお菓子に子供たちは夢中であった。
「私にも頂戴!」
「かぼちゃの味だ―!」
頬の周りに食べかすをくっつけながら無邪気に月餅を頬張る子供たちにエミールはにっと笑顔を見せた。
世界の仮装はフランケンシュタイン。
言わずと知れた継ぎ接ぎだらけの怪物……なのだが。
「……いかん、どこぞの無免許医みたくなってしまった」
オリジナリティーを出そうと髪を半分白くしたせいで手術費に億単位の金を要求しそうな姿になってしまった。勿論そんなことはしないが。
「しかしこうしてお菓子を配るのは新鮮な気分だ。普段は貰うか購入するばかりだったからな」
「お兄ちゃん、お菓子頂戴!」
「はいはい、食い過ぎるなよ」
クッキーの入った包みを渡してやれば喜んで友達と見せ合いっこをし始めた。
道を歩いているときに子供からお菓子をくれと強請られることは多かったが、こうして配り歩くのも悪くないものだなと世界は思った。
「ハッピーハロウィン! さぁて、お菓子が欲しい子はよっておいで!」
魔女の姿から今度はマントを翻し、格好良く男性のフォーマルスーツに着替えて髪を後ろに流してばっちりと決めたソア。自前の牙と併せればもう吸血鬼にしか見えない。手にしたバスケットの中には可愛いラッピングに包まれたジャムパイがぎっしりと詰まっていた。
ソアのふかふかの手が珍しいのか物珍しそうにふにふにと触ってくる子供達。
「こら! 吸血鬼さんに失礼でしょう!」
「いいよ! 気にしないで!」
母親が子を叱るが可愛らしい悪戯にふふっと笑みが零れる。抱かれた赤子がソアの尻尾をむんずと掴むと思わず声が上がった。
「ふふ、悪戯が過ぎる子供はおしりに噛みついちゃうからね!」
手を構えてがおがおと脅かすと赤子はうきゃと喜び笑った。
こうして夜の街を練り歩きお菓子を配り終えた一行はスイーツ城へと戻っていった。
「ああ! おかえりなさい!」
城の前には今回の依頼主であるパティシエが四人を出迎えるべく待っていた。
「本当に助かりました、ささ。こちらへどうぞ!」
彼の案内に従い城の庭へと進むとジャック・オー・ランタンの橙の光で照らされた薔薇が咲き誇り、ハロウィン仕様に飾り立てられていた。
その中央に真っ白なテーブルクロスが掛けられた長机。
さっくりと焼きあげたパンプキンパイ。生クリームにチョコペンで顔を描いたお化けのカップケーキ。カラフルな目玉ゼリーとたくさんのフルーツが浮いているちょっと不気味なフルーツポンチ。
その他あらゆるスイーツが所狭しとテーブルの上に並んでいる。
「感謝の気持ちを込めて腕によりをかけてお作りいたしました!」
さぁ、召し上がれ! ハッピーハロウィン!
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
初めましての方は初めまして。
そうでない方は今回もよろしくお願いします、白です。
そろそろハロウィンですね。私はハロウィンだとジャック・オ・ランタンが好きです。
後甘い物が合法的に食べられるんですよ、最高ですよねハロウィン。
素敵なハロウィンシナリオ見てたら白も出したくなりました。てへぺろ。
というわけで、今回はスイーツで出来たお菓子の国へトリップしていただきます。
●世界説明
スイーツランド
OPのとおりすべてがお菓子で出来た王国です。
建物はもちろん自然だって食べられちゃう。
拙作『特異運命座標とお菓子の国』にて登場しました。
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/3844/2#replay
もちろん上記のラリーに不参加の方でもお気軽にどうぞ。
スイーツ城
前半のお菓子作りの舞台です。
調理器具や材料など、殆どはこちらに揃っています。
道具や材料に拘りがある方は持ち込んでいただいても構いません。
街
スイーツ国にある大きな町です。子供達がお菓子を配りに来るお化けを楽しみに待っています。
●NPC
パティシエ達
スイーツ城お抱えの素晴らしい腕のパティシエたちです。
猫の手も借りたい状態なので手伝いに来た特異運命座標達を温かく迎えてくれます。
なお報酬は城一番のパティシエによる極上スイーツ食べ放題らしいですよ。
●目標
前半:スイーツ城の厨房でお菓子を作る
後半:お化けの仮装をして子供達にお菓子を配り歩く。
●サンプルプレイング
なんのお菓子を作るか、どんな仮装にするかを記載してください。
指定がない場合お菓子は白が。仮装は朧が選びます。
前半
作る物:パンプキンパイ
ふふん、これでもスイーツづくりには自信があるの。任せて頂戴!
やっぱりハロウィンならかぼちゃ味は外せないわよね~。
ということでオーブンを借りてパンプキンパイを作るわよ!
後半
仮装:魔女(ミニスカートでフリルたっぷりの奴)
仮装ね……うん、やっぱり王道の魔女になるわ!
朧さんに頼んで用意してもらったけど……結構可愛いじゃない?
「ハッピーハロウィン! 魔女様のお通りよ!お菓子が欲しい子は並びなさい!」
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