PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ラプンツェルと想い出ケーキ

完了

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●むかしむかしの、たったひとつの記憶。
 あの真白い塔の上、さみしい部屋から生まれた、たったひとつの幸福。

 登った高い木から落ちそうになって、塔へ逃れてきた旅人がいたことを覚えてる。
 とてもお話が上手で、いつもわたしを笑わせてくれた旅人だった。
 かなしい夜には、寄り添ってお話を聞いてくれたお兄さんだった。
 空っぽの塔の中で、一緒に出来ることはなんでもしてくれた優しい人だった。
 お菓子作りが得意で、いつだって甘い香りがする魔法使いだった。
 いっぱい笑って、怪我が治るまでわたしといてくれた、唯一の人だった。
 大切な探し物があると、行ってしまった大好きな人。

 ──あの甘い甘い、まんまるケーキが恋しい。

●想い出探し
 その日、あなたたちを呼び出したラプンツェルは少し様子が変だった。
 もじもじ、ソワソワ。落ち着かない様子でなかなか話し出さない。
 やがて意を決したのか、顔をあげたラプンツェルはどことなく不安げだ。
「あ、あのね……、ケーキを一緒に作って欲しいんだ……!」
 頬を赤く染めて少し早口で説明するラプンツェルの話を要約するとこうである。
 実はラプンツェルが境界案内人になってきたる11月14日で1年となる。
 この世界で生まれ変わったも同然なので、誕生日も兼ねているらしく、大好きなイレギュラーズに祝って欲しいのだ。
「むかーし、優しくて素敵な旅人さんが作ってくれたケーキがあるの」
 あれのレシピを必死に思い出すべく、
実に様々な本を読み漁っていたそうだ。
 やがて1冊の絵本に似たようなものが載っていたからそれを一緒に作りたいと言う。
 絵本を胸元で抱え、ラプンツェルがあなたたちを見つめる。
「ねえ、お願い。一緒に作って……?」
 そうしてラプンツェルが示したケーキは──、大きな大きなパンケーキだった。
 大まかな材料をどういう訳か、森の中で調達できて火の妖精がいる世界のパンケーキだ。
 視線を絵本から外せば大きな目をうるうるさせるラプンツェル。
 あなたたちの答はもちろん──。

NMコメント

お久しぶりです、桜蝶京嵐です。
今回はラプンツェルの誕生日にケーキを作ろう!というお話です
●本の世界観
可愛い感じのファンタジーな森の中にあるログハウスです。
ファンタジーなので、動物が喋ったりするかも。
果物とかもあるはずです。
ちょっとくらい有り得なくてもたぶん、大丈夫。
●やること
中華鍋2つ並べたサイズのパンケーキを作ります。
●追加で出来ること
生クリームとか蜂蜜とかのトッピングを持ち込む
パンケーキと平行して別のお菓子を作る

  • ラプンツェルと想い出ケーキ完了
  • NM名桜蝶 京嵐
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月14日 22時10分
  • 参加人数2/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(2人)

フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
胡蝶(p3p009197)

リプレイ

●秋の空がキラキラ光る日
「ふたりとも、今日はありがとう!!」
 嬉しそうに叫び、車椅子の上で両腕を広げたのは今日の主役、ラプンツェルである。
 いつものドレスより腕回りがスッキリしたドレスで、頭に小さなシルクハットを被っていた。
「……えへへ、お誕生日おめでとう………ラプンツェルさん…!」
 そう言ってラプンツェルのハグを返すのは『恋の炎に身を焦がし』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)。
 今日は素敵な誕生日に出来るようにがんばるね、と告げて一旦離れる。
「ラプンツェルはんは誕生日おめでとうねぇ」
 緩やかに告げてラプンツェルからのハグを受けるのは胡蝶(p3p009197)。
 ラプンツェルの頭を優しく撫でて、特別に装飾された車椅子を押してログハウスに入る。

 ログハウスの中はリボンやお花で飾り付けられていて、それだけで賑やかだった。
 車椅子を器用に操ってラプンツェルがキッチンの脇に二人を案内する。
「せっかくだから、エプロンとかも色んなの用意してみたんだ! 好きなのあるかな?」
「……わあ、良いね…………! 可愛いエプロンの方がテンションあがるもんね……!!」
 そこには色とりどりのエプロンと三角巾に髪止めが用意されていた。
 三人とも髪が長いので、お菓子作りするにはこういったものが必需品である。
「ええねぇ。私もせっかくだから、選ばして貰おうかねぇ」
 胡蝶は服に合わせてか、青色のエプロンから順に見て、二人とも意見を交換する。
 ああやって選んだのは黒地に菖蒲が咲く割烹着。叢雲に月が覗く三角巾で前髪とサイドの髪をまとめる。
 続いてフラーゴラがエプロンを吟味する。
 髪色と同じ白を宛がったかと思えば、左右で違う瞳の中間色を取ったりしてだいぶ悩んでいるようだ。
 二人の意見と全体のコーディネートを考えて、フラーゴラはシャーベットピンクのエプロン。
 両サイドの髪を編み込んで、ホワイトブリムで前髪を抑える。
 最後のラプンツェルは「実は心に決めた一着があるの!」置かれていたエプロンを見せた。
 それは水色のエプロンワンピースだった。
 サイドの髪を結い上げて、ミニシルクハットを外してコックレベー帽を乗せる。

●甘い甘い時間の為に
 それぞれが髪を結ってエプロンを選び終えたところで、さっそく調理開始だ。
「まずは必要な分を用意せんと。ラプンツェルはん、お願いしてもええ?」
 胡蝶が計算したメモを元に元気良く返事したラプンツェルが慎重に分けていく。
 その間にフラーゴラが果物を洗って水切りカゴに入れていく。
「…胡蝶さんの持って来たイチゴ、立派だね……! 飾り用に使って良い……?」
「もちろんやよ」
 フラーゴラはラプンツェルが用意した牛乳を卵で混ぜてから、小麦粉と膨らし粉、砂糖をサクサクと混ぜる。
 ひとつ目の生地が出来て、フラーゴラがゆっくりフライパンに流し込む。
 焼けたところで皿に盛り、バナナのフランベに取り掛かる。
「ところでフランベって?」
「じゃあ……見てて。簡単だよ……」
 材料はバナナと砂糖とバター、それだけだよと告げてバナナをバターで焼く。
 それに砂糖を加えてキツネ色になれば完成だ。
 続くように隣の胡蝶が小麦粉に卵と牛乳、砂糖、少量の蜂蜜を混ぜ合わせて生地を作る。
 火の精霊に頼んでコンロを二個、同時に使わせて貰う。
 一枚目がもうすぐ出来上がるところで、ラプンツェルに蜂蜜を垂らすよう指示する。
 一枚目の中央に蜂蜜を垂らし、その上に二枚目のパンケーキを重てしっかり火を通す。
「二種類のパンケーキ食べ比べなんて、贅沢!」
 使った調理器具を洗っていたラプンツェルがニコニコと楽しそうに二人の手元を見つめる。
 胡蝶がガラスのビンに蜂蜜を入れ、砂糖と混ぜ合わせる。
 その中に一口サイズに切ったイチゴ、ブルーベリー、ラズベリーを入れてフタをする。
「ぱんけーきが出来上がる頃には、美味しいそーすになっとるやよ」
 フラーゴラもジャムを作るべく、鍋にバターをひいた後に砂糖とレモン汁でイチゴをくたくたになるまで煮詰める。
 後は焦がさないように時々、かき混ぜるだけだ。
「ワタシ、イチゴ好きなんだ……。『フラーゴラ』の意味はイチゴだから……」
「わあ、ステキな名前なんだね!」

●さあ、パーティーを始めましょう!
 胡蝶が出来上がった二段重ねのパンケーキを机に持って行こうとしてあっと声をあげた。
 釣られてフラーゴラとラプンツェルが胡蝶の視線を辿る。そこには窓の外からこちらを見る動物たちがいた。
 小さなリスや小鳥に、大きなシカに馬なんかも興味津々といった様子で三人を覗き込んでいた。
「リスさんや小鳥さんがじっとこっちを見てるね……本当に絵本の中にいるみたい……楽しいな」
「ほんまやねぇ……。こういったの、あげれんけど可愛いおすなぁ」
 三人は好奇心旺盛な動物たちに和んだようで軽く手を振り返す。

 二種類のパンケーキとバナナのフランベ、それからイチゴジャムに三種のベリーのソース。
 そこにラプンツェルが持参したリコッタチーズとドライフルーツのミックスを添える。
 それらを囲んで二人はラプンツェルにお祝いの歌と言葉を贈る。
「ありがとう! 私、とっても幸せよ!!」
 ラプンツェルが数字を象ったロウソクを願いを込めて吹き消す。
 れからパンケーキとフランベを切り分けて、三人で食べ始める。
 胡蝶の作った二段重ねのパンケーキはそのままでも甘く美味しいが、ベリーソースの酸味と相性が良い。
 フラーゴラのパンケーキはオーソドックスながら、美しい色味に仕上がったジャムと合わせて染み出る甘さが優しい。
 バナナのフランベはそのまま食べても良いのかもしれないが、二人のパンケーキに合わせて食べると更に美味しい。
 合わせる飲み物はフラーゴラが持ってきた紅茶でシンプルにストレートで淹れた。
「……ねえ、そのパンケーキを作ってくれたのってラプンツェルさんの好きな人……?」
 そういえばずっと気になったたんだとフラーゴラが聞けば、途端にラプンツェルは顔を真っ赤にして焦りだした。
「えっ、えーと……ええ……」
「そんな反応するってことは好きだったんかねぇ?」
 胡蝶も頬を突っついてからかい、フラーゴラと笑い合う。
 ラプンツェルはそんな二人に軽くムッとしてみせるが、すぐさま仕方ないなーと笑う。
「ふたりにもいる? 好きな人」
 これにフラーゴラが手を素直にあげて、わざと次のターゲットになってみせた。
 一方で胡蝶はそういう意味での好きな人はいないと、のんびり答える。
「…あのね、あんまり顔を見せてくれないんだけど……かっこいいの」
 好きな人を語るフラーゴラにラプンツェルがきゃーと黄色い歓声をあげて、胡蝶が微笑ましいなぁと笑う。
 パンケーキを食べながら、恋の話に好きなおしゃれ。
 三人は絵本の中で、たくさん喋ってたくさん笑った。
 作った生地を全部、焼いて食べてどれくらい経ったのか。
 絵本の中であっても時間は通り過ぎて行くものだ。
 気付いた頃には夜の気配がこちらを窺い見ていて、動物たちも帰る途中だ。
「すっかり遅くなってしまったねぇ」
「それだけ、楽しかったけどね……」
 三人は沈む夕日を見つめてから、きゅっと手を握り会った。クスクスと笑いあう。
ラプンツェルが二人と手を繋いだまま、両手を空にあげる。
「お誕生日ありがとう! めでたしめでたしで、帰ろっか!」
 そうして三人は甘くて楽しい絵本の世界を後にしたのだった。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM