PandoraPartyProject

シナリオ詳細

勇者進水GC:悪魔の遺産、ザブノティカ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●悪魔の遺産
 当初それは、座礁した船だと思われていた。
 そうではないと知ったときには、既に手遅れだったのだが……。

「グッドクルーザーさん、見てください。あの紋章、間違いない……『メガロビア』ッス」
 青いクルーザー船のデッキから携帯望遠鏡を用いて遠くを観察するリサ・ディーラング(p3p008016)。
「ついに見つけましたね、希望の戦士リサ!」
 その声を受けて、船を操縦していた秘宝種グッドクルーザー(p3n000117)は目をキラリと光らせた。
 ここは『静寂の青』。かつては絶望の青と呼ばれ、世界の端とまで言われた海域である。
 しかし冠位魔種アルバニアを撃破したことで海を閉ざしていた最大勢力は潰え、歴代の挑戦者たちを苦しめた廃滅病も消え去った。
 攻略の功績を得た海洋王国は突如として拡大した領海の調査と拠点建築に大忙し……なのだが、リサたちの活動目的は少し違う。
 途中で乗り合わせた海洋海軍のデリンジャーに、リサは振り返って説明した。
「『メガロビア』は、海の底から現れた秘宝種と巨大兵器で構成された部隊ッス。
 彼らの目的は人類の抹殺。いくつもの島を襲撃して一般市民さんたちをピンポイントで殺していった連中ッス。
 私たちは最初に遭遇したメガロビアの巨大殺戮兵器を破壊した際にデータを回収して、他にも同じような兵器がないか探していたッス」
「それが今、結実したのです。彼らはまだ非活性状態にありますが、近隣の島に人類の拠点が建設されたと知れば活性化し襲撃をしかけてくるでしょう。
 そうなる前に、当機たちの手で破壊しなければなりません」
 付け加えるように語るグッドクルーザーに、デリンジャーは小刻みに頷いて返した。
「なるほどな。海が開けて万々歳ってわけにはいかねえか。オーケー、それなら手っ取り早く破壊しちまおうぜ!」
「了解ッス! グッドクルーザーさん、希望合体(パンドラフュージョン)承認ッス!」
 古代船クルーザーの操作盤とグッドクルーザーのコアが呼応するように点滅し、リサは操作盤に現れた赤いスイッチを殴るように押し込んだ。
 するとまばゆい光と煙に包まれた船とグッドクルーザーが空へと飛び上がり変形合体。
 巨大な人型兵器ビッグクルーザーとなった。
 背部より青いジェットを噴射して海上を飛行する小型船級秘宝勇者『ビッグクルーザー』。
 自分の船へとワイヤーガンによって飛び乗ったリサは備え付けのレールガンで援護射撃を開始。
「クルーズブラスト!」
 拳を船首に見立てたビッグクルーザーのパンチが船へとたたき込まれた――その時。
 船の各所から黒い闇のような光が無数に漏れ出した。
「これは……マズいッス! メガロビアが活性状態に入ったッス!」
「ぐう……!?」
 咄嗟のことで防御をとりそこねたビッグクルーザーに巨大な拳が直撃した。
 バラバラに分解された船が再結合し、まるで腕のようになってビッグクルーザーを殴りつけたのだ。
 合体状態が解け、海へと落下するグッドクルーザー。
「グッドクルーザーさん!」
 船はさらなる変形をかけ、無数の砲台を形成。助けに入ろうとするリサの船へと絶え間ない砲撃を仕掛けてくる。
 それだけではない。船の中に格納されていたであろう大勢の秘宝種『メガロビア歩兵部隊』が封印の眠りから覚め、飛行パーツを用いて次々に飛び上がっていったのだ。
 空に描かれる何本もの煙の線。デリンジャーが非戦闘調査員を別の船にのせて撤退を開始するなか、それすら逃すまいと歩兵部隊が両腕や腰の射撃パーツを展開。構えた――その時!
「――またせたな!」
 そう、あなたたちが、到着したのである!

GMコメント

 『静寂の青』にて発見したメガロビア巨大殺戮兵器。
 破壊作業中に不幸にも活性化してしまったこれに対抗すべく、結集したイレギュラーズたちの戦いが始まります。

■シチュエーションデータ
 静寂の青海域のとある小島。
 発見した巨大破壊兵器が砲台群と化し、飛び出した無数の歩兵部隊がデリンジャー及び非戦闘員へと銃を向けています。
 猛スピードをだした船でかけつけたあなたは、デリンジャーたちを助けメガロビアを無事破壊することができるのか……!

 特別にリサさんは最前線で船にのって戦闘中。グッドクルーザーは海に落ちましたが水中行動スキルと飛行スキルがあるため泳いで(?)自力で復活できます。

■エネミーデータ
●エネミー
・メガロビア歩兵部隊
 静寂の青にて非活性状態のまま封印されていた秘宝種の部隊。
 しかし廃滅病による変異によってコアは死に、かわりに球状のモンスターを核にして動いています。実質的なアンデッドモンスターと考えてください。
 計上は様々ですが統一して飛行スキルを持ち、開始当初は高高度からの射撃を仕掛けてきます。
 もちろんこれが不利だと分かるのでこちらの船に乗り込んで格闘パーツなどを用いて戦い始めるでしょう。

・砲台群
 巨大兵器から形成された砲台です。こちらの船を破壊しようと次々に打ち込まれています。
 ランダムかつ継続的に物理ダメージが入り、これは回避困難です。
 また砲台は現状破壊が難しく、よほど戦闘に余裕がないかぎりは後回しにしたほうがいいでしょう。

●ボスエネミー
 歩兵部隊をすべて倒しきったとき、すべての残骸が巨大破壊兵器に吸収され、砲台群はひとつの移動兵器モードへと変形します。
 ものすごい強敵ですが、ファイナルパンドラフュージョンによって打ち払いましょう!

・ザブノティカ
 海上移動能力をもつアンコウ型巨大殺戮兵器。
 無数の砲台とビーム砲撃を可能とする超巨大主砲が武器。

■最終希望合体(ファイナルパンドラフュージョン)
 希望の戦士イレギュラーズから勇気と正義を教わり真の勇者へと覚醒したグッドクルーザーにアンロックされた秘められし力。
 イレギュラーズたちが己の勇気や正義を示すことで発動します。
 古代船クルーザーの他、イレギュラーズたちが持ち寄った小型船たちを変形合体させることでごくわずかな時間だけ巨大ロボット『ファイナルビッグクルーザー』へと変身できます。
 このときの彼は内部に乗り込んだイレギュラーズたちの戦闘スタイルを反映させた合体攻撃が可能となります。
 冠位魔種すら退けた希望の戦士たちが力をひとつにしたならば、きっとどんな敵も必ずや討ち滅ぼすことができるでしょう。

■船について
 1PCにつき1隻まで小型船系アイテムを装備していた場合に限り自分の船を持ち込むことが可能です。
 誰も持っていない場合グッドクルーザーの船に乗り込むことになります。
※もし装備しているアイテムが未特殊化アイテムだったとしても、『俺の船はこういうデザインだぜ』とプレイングで主張してかまいません。是非キャラを出していきましょう。

■グッドクルーザー
 このシナリオにはNPCグッドクルーザーが同行します
 専用のクルーザーを相棒とする正義のスーパー秘宝種ロボットです
 https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3n000117

・これまでの勇者進水グッドクルーザー
 https://rev1.reversion.jp/scenario/replaylist?title=%E5%8B%87%E8%80%85%E9%80%B2%E6%B0%B4

  • 勇者進水GC:悪魔の遺産、ザブノティカ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年11月06日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
リサ・ディーラング(p3p008016)
特異運命座標
三國・誠司(p3p008563)
一般人
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女

サポートNPC一覧(1人)

グッドクルーザー(p3n000117)
勇者進水

リプレイ


 揺れる船の甲板に立ち、『青樹護』フリークライ(p3p008595)はぼんやりと水平線の向こうをながめていた。
 肩から生えた青い花が風に揺れ、近くへとまった小鳥がきょろきょろと首をめぐらせている。
 横では釣り糸を海に垂らした『白い死神』白夜 希(p3p009099)がぼんやりとしていた……が。
 突如として響いた砲撃の音に、希は身体に染みついた反射で動いた。
 釣り竿を置き懐に手を入れ素早く身を伏せる。
 一拍遅れてフリークライが振り向いた方向では、謎の爆発と煙があがっていた。
「戦闘」
「こんな場所で? けど、あれって確か……」
「丁度良いところにいた! 手伝ってくれ!」
 『解放者』三國・誠司(p3p008563)が小型戦艦『みくに』を操縦しながら希のシールドタートル(仮)の横へつけてきた。
 ロールした依頼書をポイッと投げ、それをフリークライがキャッチ。肩にとまっていた小鳥たちが戦いの気配を察してどこかへと飛び去った。
「仲間が調査中に小隊規模の兵力に襲われたらしい。詳しいところは後で聞こう」
「……仕方ないな」
 希は釣り竿をしまい、代わりにライフルを取り出した。
「船を出してくれ。私たちも急行する」

 『ザ・ハンマーの弟子』リサ・ディーラング(p3p008016)は次々と飛来する砲撃から船を反転させて回避行動をとっていた。
「あれ、もしかして私の船、最前線? もしかして、的扱いっす?
 ……やってやろうじゃねえか!」
 おりゃあと言って舵を切ると、魔導蒸気機関船『タービン』が激しく蒸気を吹き上げて内部の歯車を猛烈に回し始める。
 スクリュー回転によって加速した船が砲撃をギリギリで回避し、あがる水柱と波による転覆を気合いでこらえた。
 水面を破って空中へと飛び出してくるグッドクルーザー(p3n000117)。彼が甲板に着地すると、空に向けて信号弾を発射した。
「応援が駆けつける筈です、希望の戦士リサ!」
「駆けつけるっていつ――ハッ!」
 砲弾に混じって鋭く飛来するメガロビア歩兵部隊。バックパックからのジェット噴射で加速すると、両腕をマシンガンに変えて射撃を仕掛け始めた。
 包囲されての直撃コース……かと思いきや。
「またせたな!」
 得意の追い風加速法で『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)が割り込み、射撃を船体で弾いていく。
「ようクルーザー船長! 久しぶりだな! まーた苦労してるみたいだし、風読禽、いっちょ鳥肌脱いでやるぜ!」
「オイオイオーイ、俺を忘れて貰っちゃ困るぜ」
 『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)がDJブースを備えたゴキゲンな『マイティクルーザー号』のボンネット(?)に寝そべり顔をクールに歪ませた。
「メガロビアの祭りは伊達通せや」
 直撃コースの砲弾を慌てて回避し運転席へ転がり込み、『おひさ!』と言いながら手を上げる千尋。
「こういう時にタイミングよく駆け付ける俺って正義だろ?」
「カイトさん! Go To HeLL!のひと!」
 リサがほっと息をつくと、そこへ二隻の船が追加応援に現れた。
「オレたちは友のピンチを見捨てない! 助けを求める声があるとき現れる!イレギュラーズ見参!」
 仙術によるフィールドを展開しながら滑り込む改造仙術船『鉄仙』。その運転席でビッと構える『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。
「またせ――いやまぁ、俺は別に待っちゃいなかったんだがね、この手の出番は。
 ノリが悪いって? 仕方ねぇだろ、そう簡単に気合いが入るほど若く……」
 改造漁船『蒼海龍王』を運転する『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)……の脳裏に突如響く『ドドン』という太鼓の音。
 急いでそれをかき消すと、十夜はハンドルに身を乗り出した。
「……ま、ちっと前にやり合った縁もあるしな。あの連中の厄介さを身をもって知ってる以上、無視するわけにもいかねぇさ」
「その通り。罪なき人々を傷つけるカイジュウ『メガロビア』よ! 貴様の進撃もここまでだ!」
 ビシッと決めたイグナートに続く形で誠司と希の船も到着し、ザブノティカに対抗するための船団が完成した。
 脚を肩幅に開き大砲を身体正面に立て、両手でやわらかく押さえるエレガントな立ち姿勢でニヤリと笑う誠司。
「状況は理解した。まずはあの飛んでくる連中を打ち落とせばいいわけだな!」
 誠司が両手にグッと力を込めると、キャノンの先端が足下に開いた接続口へと連結されハンドルへと変形。
「三國ボーイ!」
 二つに開いた甲板から飛び出した巨大なキャノンが飛行歩兵部隊へ向いた。
「早くあいつら落として早く三國ボーイ!」
 片腕を水平に払うようにすると連動したように砲撃が始まった。
「そのキャノンは飾りかボーイ!」
「うるせえよ!」

 \キャノン/ デーデーデーデッデデッデデー デデデデッ

 謎の立ち上がりテロップを無視して大砲を連射。
 ザブノティカから飛来する砲弾を受けるも、ハンドルを握りしめてこらえた。
 いいぞ三國ボーイ! と親指をたてた千尋もそこへ参戦。彼の船を沈めようと歩兵たちが次々と甲板へ着地してくるが、千尋はハンドルを縄で縛って周回運転させると斬りかかってくる歩兵の攻撃を回避。伸ばした縄を腕や首に巻き付けて船外へ蹴り飛ばすと、振り回された形になった歩兵がジェット噴射を乱しながら暴れた。
 その横を船で強引に駆け抜け、歩兵を撥ねていく希。
 鋼の破壊音と爆発を背に聞きながら、『リライラ』を首にさして投与。ライフルを飛行する歩兵へと向けた。
「ようやくコンセントレーションが上がってきた。五月蝿いハエは駆除しなきゃ、ってね……!」
 船へ接近し乗り込んでこようとする歩兵を空中で次々に狙撃。爆発し墜落する残骸が船へと降るが、近くのレバーを下ろすと半透明なシェルターが船上部を覆った。
「……。メガロビア 破壊者。略奪者。
 ケレドモ 死者。
 フリック 墓守。
 死者 弔ウセズ 亡骸 モンスター 寄生 使用 戦力 利用 見逃セナイ」
 運転を代行していたフリークライはリサの蒸気船付近へと船を寄せると、胸のコアを強く発光させて癒やしのフィールドを展開しはじめた。
 そんなフリークライへ空中から射撃を浴びせてくる歩兵部隊。
 密集した彼らへフリークライは目を強く光らせた。
「今 主ノタメダケデナク ココニ 花 捧ゲル」
 目から放たれた細長い光線が空を薙ぎ、メガロビアの歩兵たちをたちまちの内に焼き切っていく。
「皆が来てくれたおかげで助かったッス!」
 被弾した船の各所をファーストエイドツールでテキパキ修繕すると、船備え付けのレールガンへと飛びついた。
「敵はどうも戦いには不慣れっぽいッス! 不利になるのに空中からの射撃を続けてるのがいい証拠ッスよ!」
「言われてみれば……彼らの戦闘プログラムは活用されていないようですね」
 グッドクルーザーの肩キャノンと協力した射撃によって次々と打ち落としていくリサ。
 彼女の言うように、歩兵たちは高高度戦闘によるペナルティを一方的に抱えた状態のままこちらとの戦闘を続けていた。
 それゆえこちらからの攻撃は当てやすく落としやすく、すぐに墜落して海に沈むがさらなる追撃で撃沈させるのも容易だった。
 厳密には彼らがメガロビアではなく、その素体を利用したレガシーゼロ・アンデッドであるからだろう。だとしても、戦闘センスはお粗末極まるが。
「聞こえるかいガラクタども! グッドクルーザーの戦友、希望の戦士イグナートここにアリ! 死にたい者からかかって来なよ!」
 撃墜された歩兵たちを挑発するイグナート。
 甲板へ這い上がってきた彼らが腕をヒートアックスにして切りかかるが、イグナートはそれを手刀で器用に払うと鋼よりも固くした拳で相手の胸を打ち抜いた。コアを直接破壊され、爆発を起こす歩兵。
 そこへ支援攻撃を仕掛けようと泳いで接近する歩兵たちを、『澪標』の術が阻んだ。
「連中を引き受けてくれて助かるぜ。こちとらかさむ修繕費で懐が寒いんでな」
 いつもの調子で軽薄に笑うと、十夜は腰から『ワダツミ』を抜いた。
 斬撃――が跳び、歩兵たちを一息に切り裂いていく。
 その一方で空へ舞い上がったカイトが三叉蒼槍を振りかざす。
 飛行していた歩兵達を次々に迎撃して墜落させると、すぐに船へ戻って砲撃の雨をドリフト走行によって強引に回避していく。
 最後の歩兵を打ち落とすと、ふとザブノティカのほうへと意識を向けた。
「おい見ろ、あのデカブツ、周りの残骸を食い始めたぞ!」

●ファイナルビッグクルーザー
 ピースをかき集めた立体パズルのように、ザブノティカが巨大なアンコウ型殺戮兵器へと変化していく。
 リサが力強く汽笛を鳴らした。
「この進路、アクエリア島基地へ向かうつもりッス。そんなことはさせられないッスよ!」
「ああ、ってことは出番だなグッディ!」
 千尋はビッと親指を立て、海中から浮上したブルークルーザーへ飛び乗ったグッドクルーザーは点滅するコアとクルーザー操作パネルをリンクさせた。
 立場は様々。目的も様々。世界を凝縮したような自由さをもった彼らでも、いまはたった一つの理由で戦えた。
 それを人は、正義と呼ぶ。
「希望の戦士イレギュラーズ――ご唱和ください!」
「「最終希望合体(ファイナルパンドラフュージョン)!!」」
 グッドクルーザーを核にして変形合体するビッグクルーザー、青い光によって繋がれた仲間達の船――
 ――蒼海龍王
 ――紅鷹丸
 ――鉄仙
 ――マイティクルーザー号
 ――タービン
 ――みくに
 ――シールドタートル(仮)
 実に七つの船が加わり変形合体を始めた。
 屈強な両腕、頑丈な脚、広げた翼と輝くボディ。両手に握った武装と頭に被った海王のようなカブトが煌めき、両目を強く発光させた。
 勇気と正義の巨大ロボット『ファイナルビッグクルーザー』の完成である!

 口を大きく広げたザブノティカが巨大なビームを発射するも、シェルターを展開したタートルシールドで防御。
「そりゃー盾に使われますよねー!? いいけどさ!」
 分割コックピットでパネルを操作すると希は複数のレバーを親指でカチカチ引き上げていくとレバーを握ってトリガースイッチを押し込んだ。
 シェルターが開き盾から無数のマイクロミサイルが発射。
 更に脚部の紅鷹丸から飛び出したポールが巨大三叉蒼槍へ変形。先端に紅蓮の炎をまとうとザブノティカへと投擲した。
「てめぇは網の中だぜ! ってうお!?」
 直後、紅鷹丸の一部と合体してブーストウィングパーツとなったマイティクルーザー号を操作する千尋が急上昇。猛烈なスピードでバレルロールをかけはじめる。
「スピード出すなら任せときな! 舌噛むなよ! おりゃあああ!」
「ったく、メチャクチャな加速しやがって、俺の腕に感謝しな?」
「おうよ! 魂の特攻(ぶっこ)み食らえボケェ! 『MUGEN ROAD』!」
 超加速急降下パンチが繰り出されようとしている。
 それもただのパンチではない。
 イグナートの鉄仙が変形した右腕に雷が走り、猛烈なオーラがFBクルーザーを覆う。
「パンドラパワー全開! 吼えろ絶招! 雷吼拳!」
 緊急回避をかけるザブノティカ。
 側面を大きくえぐり取ったが、それだけだ。反撃のミサイルが大量に浴びせられるが、フリークライが展開したフィールドが表面装甲を着弾のたびにパージさせながら再生成。リサはここぞとばかりにタービンが変形した左腕からサブアームを展開した。
 パタパタと砲門が開き、無数に空へ発射されるミサイル。
 弧を描いてザブノティカへと集中するなか、千尋が立体ウィンドウへと叫んだ。
「おい三國ボーイ! キャノン出せキャノン! ゼロ距離射撃すっぞ!」
「ボーイじゃねーよ!! 誠司だよ!! 覚えろや!!」
「やれやれ、時間は俺が稼いでおいてやるかね。とっておきの起死回生、ぶちかましてやってくれや!」
 追加装備として腰から抜かれた蒼海龍王の剣がザブノティカへと突き刺さり、至近距離で誠司のみくにが変形したボディからキャノンが露出した。
「逃がしゃしない、消し飛べ……っ!!」
「「『Traffic Light』!」」
 ザブノティカを貫いてまっすぐ走る巨大な三色光線が、空の雲をかき分けていく。
 直撃を受けたザブノティカはがらがらと崩れ落ち、海の底へと沈んでいく。
 両腕をおろし見栄を切ったFBクルーザーはゆっくりと上向き、無数の光の塊となって分離、光はすぐにそれぞれの船へと戻っていった。

 船をあらためて島へとつける。
 リサたちは残骸含めて綺麗にさらっていってしまった場所を散策していた。
「殆どザブノティカに持って行かれちまったな」
「あーあー、今じゃ海の底か」
「いや、そうでもなさそうだ」
 カイトや千尋がやれやれとしていると、誠司が鉄の箱を拾い上げた。
 結構な重量があり、物理ロックもかけられているが、開くことはそう難しくない。
 ややあって開いてみると……。
「なんだ、これは」
 薬が切れてダウナーになった希が、開いた箱に目を細めた。
 それは箱と呼ぶにはあまりにぎっしりとしていて、中身は大きなモニターと等間隔に並んだボタンだけでできている。
 ノートパソコンという異界のアイテムに、それは似ていた気がした。
 十夜が煙草を片手に振り返る。
「グッドクルーザー、お前さんは分かるかい?」
「いや……しかし、私と共に眠っていた古代船の操作パネルに似ている気がします」
 気になってグッドクルーザーが近づいてみると、胸のコアとモニターが連動するかのように同時発光。
 モニターには

 >MEGAROBIA system v0.98
 >boot...   OK

 以上の文字列が表示されたのち、立体海底地図とマーカーが表示された。
 説明のために流れる文字列。
 それは、太古の眠りについていた海底基地を示すものであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 >MEGAROBIA system v0.98
 >boot...   OK

PAGETOPPAGEBOTTOM