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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 第九幕 前編》獣人達の運動会

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■得難き友情
「やっとるようじゃなぁ」
「おや、トート殿。こちらへ来られるとは珍しい」
 獣人達の世界で行われている運動会は昼休憩を迎えていた。それぞれが昼食を思い思いにとってる中において、城塞都市の長スーラクの下に現れたのは大賢人と讃えられる亀人トートであった。
「なに、噂で楽しそうな事をやっとると聞いての。……皆、仲良く競っておるようで何より」
「ええ。戦争など諍いもありましたが……こうして今は、なんとか丸く収まっている。これも『彼ら』のおかげでしょうな」
 二人の脳裏に思い浮かぶのは先の獅子戦争。その背後にあった黒き影。その2つの影響が後々にまで禍根を残してはならないと思い、こうして交流の機会を作っているのだ。
 もっとも、表向きにはそんな素振りは感じさせていないのだが。これもスーラクの普段の行いといえるだろう。
「『彼ら』はどこの誰かもわからぬが……本当にありがたい事じゃの」
「得難き友人殿、です。これからも我らの良き友人でありますよう願いたいですな」
 彼らの眼前では種族の垣根を越えて笑い合う人々の姿が見えていた。その中には、いつ、どこから現れたのかもわからない、『友人殿』の姿も……。

■白熱の運動会
「皆、お疲れ様。いつもの獣人達の世界のお話だけど、今回は長丁場のいち日みたいね」
 集まったイレギュラーズ達の顔を見回し、協会案内人のポルックスが笑う。中には既に疲労を顔に浮かべた者もいるが致し方なし。
 今回は運動会の一日、の物語なのだから。幾ら普段から戦闘や訓練、その他の雑事で体を動かしているイレギュラーズと言えど、疲れるものは疲れるのだ。
 しかしそれはただの疲労ではなく、どこか心地よいものであった。
「何はともあれ、午前の部は皆のおかげで無事に終わったみたいよ。これからは午後の部。今回も命の危険はないはずだから、思いっきり楽しんできてね」
 運動会なんだから、乱闘ごとは駄目だからね、と念を押して。向こうには好戦的な種族もいるのだから、余計な事はしないのが吉である。
「いつもと違う、平和な『戦い』。頑張ってね!」

NMコメント

 実際運動は苦手な以下略です。運動会自体は好きだったんですけどね。
 さておき、運動会シナリオ後編です。前編にご参加頂いた方も、そうでない方も是非ご参加下さいませ。
 今回のオーダーはただ一つ。目一杯運動会を楽しむ事です。
 以下午後の競技紹介
■二人三脚
 基本【反応】【機動力】勝負ですが、相方とステータス傾向に差がありすぎるとマイナス補正がかかります。逆に近いとプラス補正がかかります。
■障害物(破壊)競争
 廃屋を壊すスピードを競う勝負です。【物理攻撃力】【神秘攻撃力】【命中】【CT】が高いと有利になります。この競技のみアクティブスキル使用可能です。
■負荷競争
 徒競走ですが、重しをつけた状態で行われます。【HP】【AP】【EXF】【EXA】が高いと有利になります。
■城塞都市一周リレー
 これに参加するイレギュラーズは最終走者となります。全てのステータスのうち一番自慢できる項目をあげて下さい。それによってプラス補正がかかります。

 以下参加NPCと種族特徴
■狐人
 イグニス、ギル、カイを始めとする狐人達。全能力値が平均的。個体差で僅かに得意不得意がある程度
■オーク
 ティティス率いるオーク族。意外に器用で、また体力に優れています。一方で魔術は苦手。なおティティスのみ例外でスピードに優れています
■猿人
 ギルダスjr率いる猿人の若者達。フィジカル特化。若干不器用で魔術はほぼできない。
■土竜人
 穴掘りが得意な一族。その為か力が多少強く、採掘に魔法を使うので魔術もやや得意。しかしスピードは遅い。
■兎人
 クロードが代表を務める事になった兎人達。スピードに優れ、補助魔術が得意なので魔力も高め。但しフィジカル方面は苦手。
■獅子人
 アシュトン率いる元レジスタンス。パワー特化。器用さも高め。但し魔術は苦手で意外にも防御方面もやや低い。

 プレイングには参加する競技と味方する種族を表記して下さい。後は競技への意気込み、NPCとの希望の絡み等ご記載下さいませ。

 それでは二話に渡ってしまいましたが、10月の風物詩完結編。どうかお楽しみ下さいませ。

  • 《狐の嫁入り 第九幕 前編》獣人達の運動会完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年10月31日 22時12分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アイリス・アニェラ・クラリッサ(p3p002159)
傍らへ共に
セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
溝隠 瑠璃(p3p009137)
ラド・バウD級闘士

リプレイ

■第五種目
 賑やかな、それでいて平和な昼休憩が終わり運動会が再開される。午後の部最初の競技は二人三脚。それぞれの部族達が二人一組となって足を結び繋げ、肩を組む。
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は久方ぶりに立ち寄ったこの世界において、偶然にもこの運動会に居合わせ。半ば狐人の少年、ギルに引き摺られて参加していた。
「運動とか超絶ウルトラ面倒で嫌いなんだが。運動会とか人多いしもっと最悪なんだが」
「何言ってんだよ。あんた結構動ける方じゃないか」
 心底めんどくさそうに顔を手で押さえる世界。彼の背中をバンバンたたきながらギルは屈託なく笑う。
 大きなため息を一つ吐いて、仕方ないなと覚悟を決める世界。スタートラインに立ち、ギルと肩を組む。時の流れが違うのか、以前出会った時より大きくなった少年は世界と同じくらいまでになっていた。
 スタートの合図が鳴らされる。他の走者は同じ種族同士だったのもあり、スタートダッシュから勢いが違った。
 一方の世界とギルは、最初の数歩こそ戸惑うも次第に息が合い始める。
「もう、声は、いらない、か!」
「ああ、なんとか、な!」
 少しずつ少しずつ。勢いを増していく二人。それでも先頭を走る兎人には追いつけなかったが、成果は上々といったところだ。
 ゴールし終えて、足を結ぶ紐を外す。
「悲惨な結果だけは避けれたか」
「へへ、俺の目に狂いはなかっただろ?」
 恥をかかずにすんだと気を抜く世界に、まだまだ少年といったギルが笑う。思わずその頭をくしゃっと撫でて、世界も笑った。

■第六種目
 特設会場から少し離れ、廃屋が立ち並ぶ都市の一角に連れてこられた者達。メルティが「お義父様ったら、面倒事をどさくさ紛れで処理しようとして」と文句を言っていたが、参加者には関係ない事だ。
 腕自慢の参加者達が、思いっきり暴れられると聞いて今か今かと開始を待つ中に『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)の姿もあった。
「いきなり支柱壊すのは避けたいわね。倒壊に巻き込まれそうだし」
「それでは外壁から順にいきますか? その分時間を食いますが」
 斧を担いだオークが問いかける。確かに彼の言う通り外側から順番に行えば時間はかかるだろう。しかしそこは魔術師たるセリアだ、考えはある。
 開始の合図と共に、一斉に参加者達がそれぞれの廃屋へと集まっていく。武器で斬りかかる者、魔術を放つ者。各々の得意な技術で建物の壁を剥がしていく。
 セリアとオーク達も例外でなく。壁に斧で殴りかかるオークの後ろから、攻撃用の妖精をけしかけていく。
 すぐに壁は崩壊し、建物の中の様子が見て取れるようになる。
「皆、もう離れててちょうだい。本気出すわ」
 そう語るセリアの両手には、彼女最大の技たる精神力の弾丸が生み出されていた。それも特大の。
 それを支柱にぶつけ、一気にへし折ってしまう。人に当たっていればタダでは済まなかったであろうその威力は、たった一撃で建物だった物を瓦礫の山へと変えてしまった。
「ふぅ……これでいいでしょ。私は少し疲れたし眠るわね」
 そう言ってテントに戻り、昼寝を始めるセリアであった。支柱のなくなった廃屋は、オーク達があっさりと倒し終え、この競技の白星を勝ち取る事になる。

■第七種目
 再び特設の会場へ戻ってきた選手たち。次の種目の選手たちが集まる前に、様々な重しが与えられる。公平を期すように腕力自慢の者には大きな鉄輪を、非力な者には小さめの鉄輪を。
 『ラド・バウD級闘士』溝隠 瑠璃(p3p009137)に渡されたのは大きめの鉄輪。それを渡されるくらいには能力を評価されたということだろう。
「ふらっと来ただけなのにこのお出迎え! これは張り切っていかないとね!」
「あ、あの大丈夫なのですか?」
 鉄輪を見てやる気を漲らせる瑠璃に、兎人のクロードは心配そうに話しかける。本来であれば彼が走る予定だったのだが、突然現れた瑠璃に押し切られる形で交代したのだ。
「いいのいいの。兎さんって可愛いからね、味方させてよ!」
「は、はぁ……」
 生返事をしながら下がるクロード。一方の瑠璃は手足に鉄輪を装着し、スタートを待つ。
 他の走者達を横目で観察しながら、内心皆可愛いなぁと頬を緩ませながらも。彼女の類まれなる感覚は開始の合図を聞き逃さない。
「これ、は……思ったよりきつい、けど!」
 一歩足を進める度に4つの輪が体に負荷をかける。しかし瑠璃には強い精神力と、溢れる活力があった。他の走者、体力自慢の者でさえ苦戦している中少しずつリードを広げていく。
 それに瑠璃は最初から全力を出していなかった。他の走者が追い抜けるであろう程度に手を抜いていた。それでいて負けすぎないように。全ては最後の一瞬に賭ける為。
「ここから、が勝負だよっ!」
 眼光鋭く、獲物を狙う狩猟動物が如く。本気を出した瑠璃は一気にゴールまで走り抜け、走者をごぼう抜き。逆転勝利を演出してみせた。

■最終競技
 広い広い城塞都市。その外周付近の街並みをリレー形式で走り抜ける最終競技。一般人の観戦客も増えるこの競技では、プレッシャーに負けない心も必要となる。
 それだけでなく、バトンを受け渡す時の呼吸の合わせ方など。ただ走ればいいというものではない。それでも『傍らへ共に』アイリス・アニェラ・クラリッサ(p3p002159)の心はいつもどおりであった。
「お腹空いたなぁ~……お昼美味しかったから余計にお腹が空いたぁ……」
 走る前からこれである。最初の徒競走ではダントツの速さを見せつけた彼女故に、今回味方する狐人以外の種族からはマークされているのだが、全く意に介してはいない。そんな彼女はアンカー、最終走者である。
 最終競技、スタートの合図が放たれる。狐人以外の種族は最初から全力疾走。その理由は言わずもがな、最後のアイリスが圧倒的すぎるからである。その意図に気付くのが遅れた狐人達は出遅れる事になり、前に進もうにも他の走者が壁となり前に出られず順位が上がらない。
「あら~……これはどういう事なのかなぁ……?」
 アンカーで待つアイリスだが、狐人が最後尾である事に首を傾げる。それでも彼女は慌てない。ありのままである。
「すい、ません、遅くなりまし……」
「大丈夫、任せて~」
 狐人の少女、カイからバトンを受け取り。即座にトップスピードまでギアを上げるアイリス。先程までののんびりした少女はそこにはおらず、ただ一陣の風が居た。
 まだまだこれからだと思っている。もっと疾く、遠くへ走れると感じている。けれども、今この瞬間だけは自分にできる全力を。
 走者も、観客も。アイリスという少女の本気を『見る事』叶わず。感じる事しかできなかった。
 そしてその走りは伝説となる。

■閉会式
「よぉ、皆。お疲れサンだ!」
 特設会場に集められた選手一同。セリアは昼寝から起こされたところなのか寝ぼけ眼。瑠璃は兎人達と仲良くなろうと話しかけて回っている。世界とアイリスは菓子を両手に持ち込んで食べていたがさておき。
「それじゃ、総合優勝の発表……っていきたいとこだが。すまんな、この運動会。そんなもんはない!」
 そう言い切った城塞都市の長、スーラクに対しブーイングの雨嵐が飛ぶ。それもそうだろう、ここまで全力でやりきって疲れもした。なのに表彰の一つもないとはどういう事だろうか。
「まあそう怒るなって。今回の運動会はな、皆の交流、結束を強めるのが一番の目的だったんだよ」
 最初に騎士団のたるみが気になるとか言っていた気がする、とは誰の言だっただろうか。彼が気にするはずもないが。
「ここ最近、色々あった。特に黒い影関連で色々と、な。振り回され、傷つけられ、憎しみ合った事すらあった。けどよ、そんなもんに俺達の世界は負けねぇ! そうだろ?」
 力強く拳を握りしめ、そう吼え、笑うスーラク。一瞬きょとんとした選手たちだが、お互いに顔を見合わせて、同じように笑う。
 誰も傷つかないやり方で競い合って、認めあって。姿形、種族は違えど、手をとりあって生きていける。それを証明する為に、スーラクはここに皆を集めたのだ。
 そこにはもちろん、この世界の住人ではないイレギュラーズ達も含まれている。
「友人殿達も済まなかったな。今日も付き合って貰ってよ」
「別に構わないわよ、楽しめたし」
「うんうん、皆仲良しが一番!」
「……運動はかったるいけど、まあたまにはな」
「お菓子美味しい~」
 一人、全く違う感想を持っているのは置いておこう。そもそも彼女が食べている者も、狐人達からの差し入れ、交流の結果であるので主旨からは外れていない、はず。
「おう、これからも遊びに来てくれよ。いつでも歓迎するぜ!」

 こうして、長い長い一日は終わりを告げる。
 この後、宴会と称してスーラクのポケットマネーで食事会が催されたが……約一名の存在により彼のへそくりが全て吹き飛ぶ事になったのはまた別の話。
 それもまた、後の笑い話である。

成否

成功

状態異常

なし

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