PandoraPartyProject

シナリオ詳細

クッキーが食べたいのっ!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●食べたいんだからしょうがないじゃん!
「クッキーが、死ぬほどクッキーが食べたい!」
 小さな小屋の中で一人の少女がキレ気味にオーブンへクッキー生地の乗ったプレートを突っ込んだ。
 予熱は180度、事前に用意しておいて、いれたら後は12分焼くだけ♪
 ――なんて今すぐにでも食べたい少女が我慢できるわけもなく。
「もう待てな……まっずっ!!!!!」
 オーブンに入れたばかりのクッキー生地を手づかみで口に運ぶとすぐに吐き出したのであった。火傷しなくてよかったね。

 ここは少しばかり変わった世界。
 川は水の代わりにジャムが流れ、木にはクッキーが生り、小石はよくよく見るとチョコチップ。
 空からは雨の代わりにはちみつが降ってきて、地面はいろんな種類のクッキー生地、ちょこちょこ地面を歩く虫っぽいそれはジンジャーマンクッキー。
 コケコッコーと鳴く鶏がクッキーを産み、小麦は小さなクッキーを実らせてしなり、クッキーを嘴いっぱいに詰め込んだペリカンが湖から飛び立つ。
 クッキー多くないかって? 気のせいだよ気のせい。

 とにかく、そんな甘い香りに包まれた世界に一人暮らしている少女には今すぐに叶えたい願いがあった。
「あーあ、誰か私のために食べきれないほどのクッキー用意してくんないかなー」
 その辺を歩いてたミニジンジャーマンクッキーをとりあえず口に投げ込みながら少女はため息をつくのであった。

●クッキーを手に入れよう(入手方法は問わない)
「みんなクッキー好き? 今日はねー、そのクッキーを……」
 イレギュラーズ達を前にしてにこにこ話す『ホライゾンシーカー』ポルックス・ジェミニ。盛り上げるつもりなのか地味に溜めてる。
 食べるんだろうか、と聞いていた一部のイレギュラーズは思った。
 珍しいクッキーでも確保するのだろうか、と別のイレギュラーズは思った。
「じゃーん! 山ほど作ってもらいまーす!!!」
 そっちかー、とがっくりきたとかこなかったとか。

 ポルックスの説明によればこうである。
 なんでもクッキーを死ぬほど、飽きるほど食べたい少女がいるらしくその少女を満足させてほしいとのこと。
 これだけ聞くなら簡単そうな依頼である。たくさんクッキー生地を用意してたくさん焼けばいいのだから。
 だがそれではダメなのだとポルックスは首を横に振る。
「その子ねー、クッキー焼く十分ちょっとも耐えられない子で。というより一秒に最低一枚はクッキーを口に入れてたいタイプの子なんだよね?」
 どんなタイプの子だよ、というツッコミは無視された。
 まぁつまり焼き上がるまで少女は待てないだろうというのだ。
 ならばどうしたらいいのか。尋ねたイレギュラーズにポルックスはにこにこ笑顔を崩さずに言った。
「世界がクッキーみたいなものだから集めてきたらいいんだよ」

 何でもこの世界、地面はクッキー生地だし植物の実りは全部クッキーだし虫っぽい生き物もクッキーだしなんなら動物はクッキー溜め込んだりしてる。
 すべての法則ははクッキーのために働いているのか、地面は少し掘るだけで掘られた生地が焼かれる前のクッキー生地の大きさになり、それを火の中に投げ込めば焼かれて出てくるらしい。まさかの直火OK。

「実ってるクッキーをたくさん運んでもいいし、クッキー溜めてる動物さんから失敬してもいいし、生地掘って焼いてもいいし、いろんな方法があるよ」
 ちなみに基本的にはプレーンクッキーばかりらしい。川のジャムや小石代わりのチョコチップなどを組み合わせれば他のクッキーにもできるそうだが任せるとのこと。
「とにかく、もうしばらくクッキーは見たくない! ってレベルまでめいっぱいクッキーを渡してあげて」
 がんばれー、というポルックスの応援を受けてイレギュラーズ達は(主にクッキーで)甘い香りの世界へ旅立つのであった。

NMコメント

 心音マリと申します。ライブノベルの2作目をお届けします!

 ぶっちゃけて言いますとギャグです。もうOPの雰囲気でわかるかもしれませんがギャグです。
 ただただいろんな方法でクッキーをこれでもかとばかりに持ってきて少女に与えてください。一生クッキーが見たくなくなるぐらい持ってきてください。

・舞台について
 地面がクッキー生地でできていて、クッキーが実っていたり、動物がクッキーを生み出したり溜め込んだり、ジャムの川やチョコチップの小石があったりするお菓子好きの人歓喜の世界です。
 小屋の中にはクッキー生地を作るための素材と大きめのオーブンが一台あります。また少女はこの中でうだうだしています。
 小屋の東側には牧場があり、クッキーを生む鶏とクッキー生地を出す牛がたくさんいます。
 小屋の奥にはクッキーを実らせた小麦畑が広がっており、さらに奥にジャムの川とクッキーをどっさりつけた木があります。動物もいそうです。
 小屋の西側は小高い丘になっていて、プレーンとチョコのクッキー生地が入り混じっています。掘りやすそうです。

 世界の法則はクッキーのために収束しているので、適当な大きさのクッキー生地をオーブンで焼こうが直火で焼こうが魔法で焼こうが美味しくできます。
 そのため壊滅的に料理が下手な人でもクッキーが焼けます!
(ただし思ってたのと違うクッキーができます)

 例1:料理全然できないけどクッキー焼いてみよう!
 →なにもいれてないはずなのにジャムクッキーになってる?!

 例2:たき火を作って、掘った生地を投げ込もう!
 →焼けたクッキーがたき火から飛び出してきた!?

・登場人物について
 少女:クッキーを食べたくて食べたくてしょうがない子。名前はないですが『クッキーちゃん』と呼ぶと明確に反応します。
 一秒に一枚はクッキーを口に入れていたい系女子です。口に入れるクッキーが多ければ多いほど幸せです。
 無限の胃袋かってぐらいたくさん食べるので持ってきてくれたクッキーは全部食べちゃうことでしょう。
 マイブームはプレーンクッキー。

・イレギュラーズについて
 少女は『クッキーを用意してくれるいい人』と認識しており特別なにも疑いません。ただただ与えられるクッキーを食します。
 前述の通り全ての法則がクッキーのために収束しているのでクッキーを焼く、作る、手に入れるという意思があればすべてプラスに働きます。

 それでは皆様のご参加と素敵なプレイングをお待ちしております。
(そろそろクッキーがゲシュタルト崩壊しそうな心音マリでした)

  • クッキーが食べたいのっ!完了
  • NM名心音マリ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年10月31日 22時12分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
カジミェシュ・ボレスワフ・タルノフスキ(p3p008553)
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ

リプレイ

●お菓子なクッキー世界へようこそ!
「なるほど、よくわからんがクッキーにまみれた世界みたいだな」
 きょろりと辺りを見渡した『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は鼻をくすぐる甘い匂いに微妙な顔をした。
 別に世界はクッキーが嫌いではない。それどころか甘味は何でも好きだ。だがそんな世界でさえクッキーまみれの世界はさすがに飽きると思うわけで。
「このまま行くと、クッキーで発電やらもしそうではあるな」
「クッキーで発電してクッキーを焼くならなんだかやりかねないよね!」
 カジミェシュ・ボレスワフ・タルノフスキ(p3p008553)の呟きに反応して『雷虎』ソア(p3p007025)が言う。
 クッキーを焼くためにクッキーで発電するならそれはプラスなのかマイナスなのか。そもそも燃料のクッキーが先なのか食べるクッキーが先なのか。
 考えるだけで頭痛くなりそうな問題であるが考える方が間違っている気もする。 
「クッキー!おれも食べたい!」
 その辺りに咲いている花(という名のクッキー)を摘んでは口に投げ入れていた『よく食べる』トスト・クェント(p3p009132)が言った。なお食べつつも彼のバッグには道すがらに集めたクッキーが詰まっている。
「言いながらすでに食べているではないか」
「つまみ食いくらいなら許してくれるっしょ」
 へへーと笑ったトストに味が気になったカジミェシュと世界が手を伸ばして木になっていたクッキーを口へ投げ入れる。
「なるほど、これはなかなか」
 世界はなるほどと頷く一方で、
「……いかん、長居しすぎると太りそうだ」
 カジミェシュは一瞬の沈黙の後で首を振った。
 大変美味だったという。

 そんなやり取りをしながらイレギュラーズは件の少女のいる小屋へとやってきた。
 扉を開けると半分死んだ目で少女ことクッキーちゃんが小さなジンジャーマンクッキーをつまんでいる。
 試しにソアがその辺りで拾ってきたクッキーをポイポイポイと投げてみると、ものすごい勢いで顔を上げパクパクパクと空中キャッチからのインお腹。
 反応速度といい丸のみといいクッキーに対する執念を感じる。
「どーお、もっと食べたい?」
「嫌になるぐらい食べたい!」
 ものすごい勢いで首を縦に振るクッキーちゃん。
 それどころかトストが持っているバッグに目を付けている。
「とりあえずこれ、ここまでに集めてきたクッキーなんだけど……」
「いただきます!」
 目を付けられたことを察してバッグを差し出すと目を輝かせてものの数秒でクッキーを完食。おかしい、バッグ一杯のクッキーだったのだが。
 あまりの速度に『うわぁ』となる空気の中、ソアだけが満面の笑みを浮かべている。食べっぷりの良さに気持ちよくなってきたようだ。人を愛し食事を好む彼女ならでばの視点なのかもしれない。
「よしよし、今からボクが美味しいの山ほど作ってあげる」
 飛び出したソアに続いて空になったバッグを抱えてトストも頑張って集めねばと外へ。
 残った世界とカジミェシュもそれぞれ少女のために動き始めたのであった。

●クッキーとビスケットとパンとクッキーの間の子と
 さて、と残った世界は自身のポケットに手を触れる。
 彼女には大きな問題があることに世界はとっくの昔に気づいていたし、それを憂いてもいた。
(焼いてる時間すら我慢できない我が儘ぶり。俺達が取ってくるとしたらおそらく確実に彼女は愚行と悲劇を再び繰り返すだろう)
 多少集めてきたぐらいではすぐに食べきってしまうのは目の前で見た通り。つまり全員でクッキーを集めるとしても焼くとしてもその間の時間でまた悲しいことになる可能性が非常に高いのである。
 だからこそ世界は他の仲間がクッキーを集めてくるまでの時間稼ぎを選んだ。そのためのお菓子もポケットに忍ばせている。それは1枚のビスケット。
 はいそこ! ビスケットとクッキーは違うんじゃないかとか言わない!
 そもそもクッキーとビスケットの違いは世界や国によって違うんだからセーフ! 似たようなもんだからヨシ!
 ちなみによく旅人から聞く日本というところでは糖分と脂肪分が合計40%以上で手作り風のものがクッキーと呼ばれるらしいぞ。
 ともかく、ぽむっとビスケットの入ったポケットを上から叩く。そしてポケットから取り出したのは2枚のビスケット。
 あれ、増えた? 増えてる?!
「ほら」
 声をかけてクッキーちゃんに向かって渡せばぱくりと一口。
「おいしい~♪」
 もぐもぐ食べるクッキーちゃんを前にして、またビスケットを叩く。増えたビスケットを渡す。叩く。渡す……。
 なんで増えているのか不思議だが、そういう何の変哲もないビスケットなのだから仕方ない。まぁ幻みたいなものだし。

 そうこう世界が時間稼ぎをしている間にカジミェシュは小屋の中を物色していた。
「いくらでも材料があるのは幸いではあるな。こんなものだろうか」
 どん、と目の前に置いたのはライ麦粉と小麦粉、蜂蜜の瓶にシナモン、ジンジャーやクローブといったスパイス。探してみればあちらこちらから出てくる出てくるクッキーの材料がこれでもかとばかりに詰まっている。
 あるのだろうかと思った素材すら全てあることに感謝すればいいのか呆れたらいいのかさっぱりわからなかったが、おかげで作りたいものは作れる。
「ここはひとつ、ピェルニクでも焼いてやろう。クリスマスも近いことだしな」
 ピェルニク、ポーランドでは古い歴史のある冬には欠かせないお菓子である。
 ライ麦粉と小麦粉に蜂蜜を練って生地を作り、そこにスパイスをたっぷり加える。分類としてはジンジャーブレッドにあたるが、作り方や材料によってパウンドケーキから硬いクッキーのようになったり意外と表情が多い。
 つまり固く作ればクッキー(っぽく)なるのだ!
 腕まくりをしたカジミェシュはその見た目に反して手際よく材料を混ぜ合わせ、生地を作って焼いていく。
 焼き上がったものから世界と入れ替わるようにクッキーちゃんに与えれば、少女は躊躇うことなく焼きたての(アツアツである)ピェルニクを口に運んではバキバキとなかなかクッキーでは聞かないような音をたてながら食べていく。
「ちょっと硬いけどおいしー!」
「やはりすごい食べっぷりであるな?」
 大食い自慢の野郎でも勝てそうにない勢いにカジミェシュは呆れた声しか出なかったという。

●収穫、たき火、それと雷焼き
 さて一方のトストは外の小麦畑で小麦(という名のクッキー)を収穫していた。小屋の外に置かれていた手押し車をごろごろ押して、刈った小麦からクッキーを脱穀して集めていく。
 なお、念のため手押し車を洗おうと蛇口をひねったら透明なシロップが出てきた結果、シロップ洗いされた甘い香りのする手押し車である。
「へい、クッキーちゃんお届けだよ!」
「や~~~った~~~!!!」
 手押し車ごと小屋の中にお届けすればポリポリと音を立てて食べ始める。というか手押し車に顔を突っ込まん勢いで食べてる。
 そんな姿を見たトストは取って返して今度は牧場へと向かっていった。

 視点は変わってこちらはソア。一番に小屋を飛び出していた彼女はその身に宿した雷の因子を存分に使いあちこちに雷を落としまくっていた。
 何事って思うじゃん? 雷を落としてるの、このクッキー世界に。神秘攻撃力で言えば1000越えてそうな雷がたくさん。
 んで一般的に言えば雷が落ちるとその付近は燃えたり抉れたりするものだけど、ここは全てがクッキーに収束するので……。
「大漁だー!」
 あちらで落ちた雷からチョコクッキーが飛び出してきて、こちらからはマーブルクッキーがコロコロ転がって、直撃した木は細長いクッキーに焼かれて分裂して崩壊し、付近からは焼き立てクッキーのいい匂いが漂う。
 そしてそれを片っ端からソアはバスケットに詰めて、意気揚々と戻ってはクッキーちゃんの口に(文字通り)流し込んではまた詰めに戻る。なんて作業をしている。
 いや、作業を作業とも思っていないのだろう。なにせクッキーちゃんの食べっぷりがあまりに気持ちいいのだ。流すようにバスケットを傾けると口を開けてそのまま全部いっきで食べてしまうし、咽る様子もなく美味しそうに食べてくれる。
 これは普通に、間違いなく、楽しい。
 そして次にソアが目を付けたのは牧場だった。

 牧場の入り口でバッグ一杯に生みたてクッキーを詰めたトストはたき火を起こしていた。クッキーを焼こうというのである。
 生地は牛の生み出したものと合間合間に丘から運んできたやつを適当に混ぜ合わせたもの。
 一枚を適当な形にしてたき火の中に入れてみる。
 数秒たってポーンと投げ返されるように飛び出してきたのはチョコチップクッキー。どこかにチョコチップでも混ざっていたのかどうなのか。
 続いてもう一枚。今度飛び出してきたのはジャムクッキー。ジャムはどこから出てきたんだ……。
 次、シナモンクッキー。さらに次、ココナッツクッキー……以下省略。
「ハハハ、なんだこれ、ランダムクッキー食べ放題じゃん! 最高だな!」
 そうしてると焼いていることに気づいたソアがやってきて全部焼いちゃえ! と雷ドーン!
 飛び出す種類様々なクッキーたち!
「ねぇクッキーちゃん、次は何が出ると思う?」
「生態系以前にどうして使って無い材料も必要なクッキーができてるんだ……」
 小屋に向かって手を振ったトストがそう笑えば、事態に気づいた世界もカジミェシュもやってきて、牧場の入り口でいろんなクッキーで出来上がった山をみんなで運ぶのであった。

 その後しばらくして、4人の前には幸せそうな顔をしてお腹を膨らませて転がるクッキー少女の姿が。
「もうお腹いっぱいー。一週間ぐらいはクッキー見なくてもいいかなー」
 一週間かよ! と思ったかはともかく。
 少女はみんなの協力でようやく満足したのでした。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM