PandoraPartyProject

シナリオ詳細

花迷宮の猛獣

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 微かに漂う紅茶の様な香り。柔らかなアプリコットカラーのバラ達に出迎えられた、少年と少女は迷宮へと足を踏み入れた。
 迷宮の入り口で入場者を見張る大人も、見回りの大人も今はいない筈と知っているのに、思わずこそこそした動きになるのは悪い事をしていると分かっているせい。
「姉ちゃん、こんなの泥棒と一緒だよ……」
「しー! こうでもしなきゃ、入れないんだから」
 柔らかなオレンジ色はいくつかの角を曲がる内に、薄ピンクのバラとなり、入り口で感じた香りもいつの間にか消えていた。
 遠くから何かの鳴き声がしたのはきっと怖いからだ。
 月明かりとランプの光で周囲を照らしながら、薔薇の迷宮を二人で彷徨いながら進んでいく。
「ここの青いバラをリリット様に届けるんだー! って、言ってたのはリューの方でしょ」
「だけど……」
 大人たちが噂していたのだ。
 この迷宮の中心、噴水のある広場に珍しい青いバラがあるのだという。
 そして、その花を見てみたい。そう言ったのは、弟の初恋相手だった。
 何度か行き止まりと出会いながらも、入り口で匂った香りに導かれて辿り着いたのは、ひっそりとした噴水の広場であった。
 いくつかのワゴンが隅に置かれ、誰も座っていないベンチが広場の周囲にいくつも置かれている。日中であれば迷宮の中心に辿り着いた者達が一休みをする場所であったのであろうが、今は誰もいない。
 かさり、と葉と葉が擦れる音がした。
「青いバラはえっと、……あっちね」
「待って、姉ちゃん」
 看板を見つけて先に進もうとした少女を、少年が引き留めようとした。
 何か音がする。
 ――…足音だ。
 それが獣の足音だと気づいた時にはもう遅かった。


「ヴォルテールな気持ちになる事件よ」
 各地で起きている暴動とは関係の無い依頼よ、と『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー (p3n000004)は前置きをして、テーブルを囲むイレギュラー達の顔を見遣る。
「幻想の国境近くにスエリアという町があるの。そこでは毎年春に薔薇の迷宮が作られるのだけど……知っているかしら?」
 幻想と海洋の境目となるあたりに、小さな花の町スエリアがあった。
 スエリアの薔薇迷宮と言えば、植物好きであれば一度は聞いた事があるであろう。
 美しく、デートにも最適なその場所で先日、事件が起きたのであった。
「夜の間に迷宮に忍び込んだ子供達が獣に襲われたの」
 忍び込んだ二人の子供は、迷宮の中心に位置する噴水のある広場で死体となって見つかったのだという。
 それはまるで獣が食い散らかした様に。
「調べてみたら、事件の数日前から複数の狼を見たって言う人がいたみたいね」
 目撃情報は全て夜。日中に狼を目撃する事は無かったため、町では夜間の外出を禁止しつつ、どうすべきかと対策を考えている間にこの事件は起きたのだという。
「一度獲物を得てしまったもの。狼はまた迷宮に現れるでしょうね」
 これ以上、悲劇を重ねる訳にはいかないわ。
 サックス・ブルーの瞳を細めプルーは依頼の詳細をイレギュラー達に伝えるのであった。

GMコメント

 こんにちは。未森シキです。

・成功条件
 薔薇の迷宮に現れる狼達を討伐する。

・狼
 全部で10頭。腹ペコなせいか狂暴な状態です。
 7頭は餌を求めて迷宮の中や迷宮付近に。
 薔薇の茂みの下をくぐる事が出来る為、どこから現れるか不明。
 噴水の広場には特に狂暴で力の強い3頭が潜んでいます。

・薔薇の迷宮
 道に迷ったとしても入り口から出口までは30分程で辿り着きます。
 迷宮の中央には噴水のある広場があり、この広場を通らずに出口まで向かう事は不可能です。
 今年はラピスラズリの様な真っ青な薔薇が目玉となっている様です。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  • 花迷宮の猛獣Lv:4以下完了
  • GM名未森シキ(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月13日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

アムネカ(p3p000078)
神様の狗
セアラ・シズ・ラファティ(p3p000390)
flawless Diva
エト・ケトラ(p3p000814)
守護者の盾
リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)
咎狼の牙
芦原 薫子(p3p002731)
デッドマン=ネームレス(p3p002867)
亡者の群
ティアブラス(p3p004950)
自称天使
フォリアス・アルヴァール(p3p005006)
彷徨う焔

リプレイ


 浮かぶ月は柔らかな光で薔薇の迷宮を照らし、涼やかな夜風は繁る薔薇の葉をざわめかせている。穏やかな春の夜であるというのに、迷宮の側から聞こえる音と小さな閃光の瞬きはまるで雷を思わせるものであった。
「ふふ。……逃がしませんし、楽しませてくださいね……?」
 艶やかな黒髪を靡かせながら『雷迅之巫女』芦原 薫子(p3p002731)は眼前の狼へと大太刀を振るう横で、『亡者の群』デッドマン=ネームレス(p3p002867)が飛びかかってくる狼の身体を大盾で受け止めると、その勢いを利用して獣の身体を地へと叩きつけた。
「いち、にぃ、さん、しぃ……これ以上は来ない感じでしょうかねぇ」
 魔弾を放ちながら『自称天使』ティアブラス(p3p004950)は、姿を見せた狼達の数を数えていく。聞いたのは十頭。うちの三頭は迷宮の中央に。その他の七頭は迷宮の中か、イレギュラー達が現在位置している迷宮の周辺にいると聞く。
 ティアブラスの言葉に『空白グリモアール』エト・ケトラ(p3p000814)は頷いた。
「この騒ぎなら中の狼にも聞こえている筈。これでも来ないのなら中で待つという事だと思うわ」
 わたくしたちを。
 何を思ってそうするのか。ここの狼に抱く興味は尽きぬものではあるけれども、とエトは赤い瞳を獣達へと向ける。
「先祖を同じくしていたかも知れない者達だとしても、余りにもお粗末としか言い様がありません」
 『咎狗の牙』リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)が目の前の一頭を見定め、一歩踏み込みその勢いのまま薙ぐようにハルバードの刃を狼に向けた。腕に伝わる確かな手ごたえと同時に、引き裂いたのは獣の胴体から脚に掛けて。灰色の毛皮の下に流れる鮮血がその刃を赤く染め上げる。
「待ってたよ。ミスタ・ヴェクサシオン」
 リュグナートの攻撃に合わせたかのように、遠方から放たれた弾丸は狼の頭部を正確に穿てば、倒れる狼を中心に広がる赤。
 弾丸は気配を消した『彷徨う焔』フォリアス・アルヴァール(p3p005006)の物。ライフルに新たな弾を込めるとフォリアスは再び、瞳を細め共に戦う者達の方へと視線を向れば、見えるのは丁度狼へと大盾を振るい強打するデッドマンの姿。その隣では『神様の狗』アムネカ(p3p000078)のダガーが狼の身体を引き裂くも同時に、肩に走る熱さと痛みに思わず眉間にしわが寄る。
「脚の方じゃないだけマシかな」
 丈の短いシスター服。すらりと伸びる足に纏う漆黒はとても薄いのだから。
「これで半分ですか」
 神秘への親和性を高めてから放った魔弾。地に伏した狼が動かない事をティアブラスが確認する最中、傷ついた身体を癒す呪術は『flawless Diva』セアラ・シズ・ラファティ(p3p000390)から。
「ティアブラスさま、恐らくこれで終わりですよ」
「おや」
 セアラの視線の先にあるものをティアブラスもその瞳で辿っていけば、そこには大太刀を握り固まって動いていた狼達へと駆け出す薫子の姿。動きが大胆となる得物であっても、その動きに無駄は一つも無い。向かいかかる狼へ薙ぐような一閃。そのまま回転し勢いをつけると、飛びかかってきたもう一頭へと大太刀を振り下ろす。美しい刀から伝わる生命を絶った感覚。夜空に響く銃声は共に来た者達のもの。どさり、と背後から獣の身体が地面に落ちる音がした。
「ばっちりのタイミングでしたね」
 ずれかけていた眼鏡の位置を戻しながら頭を上げた薫子の側には、狼達の亡骸が横たわっていた。


「ここも出入りしてるみたい」
 そこだけが妙に折れた枝や葉が散っている繁みの一角を見てみたアムネカは、また一つ息を吐き出した。
 これ以上迷宮の外に狼はいないであろうと判断したイレギュラー達は、隊列を組んで迷宮の中へ。迷宮を作り出す薔薇の繁みを見てみれば、あちらこちらに狼が出入りをしているらしい、跡が残っている。
「大きさ的にはさっきの狼が通れるかどうか位かな」
「ふむ。……見ている感じだと一頭ずつしか出入りしてないみたいだし、……ここから急に二頭出てくる、っていうのは無いと思うよ」
 アムネカの隣で口を開いいたのはフォリアスであった。
 異世界からこの幻想に来た身であるも、まさかマタギの様に獣を狩る日が来るとは。己の状況を思えば、全く驚くばかりである。
 迷路自体の規模はそれ程大きくないものの、いくつもの分かれ道に行き止まりと丁寧に作られている。
 イレギュラー達が曲がり進んだ道は行き止まりに通じていたもの。これ以上進むことの出来ずに引き返そうとしたセアラの耳に届いたのは、微かであるも獲物を求める荒い吐息で。
「皆様、待ってください。……微かですが呼吸音が聞こえます」
「数は――複数かと。向こうから来て貰った事ですし、」
 セアラと同じく周囲に注意を払っていたリュグナートがおもむろに足を進めていく。注意を払っていなければ、周囲に繁る薔薇達の葉が擦れ合い生まれる騒めきしか聞こえないであろう。しかし、リュグナートの耳は確かに、こちらに向かってくる音をとらえていた。微かな狼の足音からは余裕さえ感じられる。
「……身をもって知って貰いましょうか」
 一線を踏み越えたモノが迎える結末を。
 それまでの忍ぶ様な足取りから一転、勢いをつけるための数歩を力強く踏みしめたリュグナートは角を曲がった瞬間、ハルバードを振り下ろす。
 リュグナートの側まで歩を進めたアムネカの前には二頭の狼。リュグナートの攻撃で、一頭は既に前足を負傷している。そうしてもう一頭――。
「――ッ!! ここは通さないよ!」
 アムネカに噛みつこうと飛びかかってきた獣を振り払うように、ダガーを持つ手で薙ぎ払えば刈り取ったのは少しばかりの毛皮の先。
 着地した狼は低く喉を鳴らしながら、アムネカに向ける視線には敵意と共にどこか焦りが感じられる。
 紅のオーラを纏う薫子の斬撃に、続くのはエトの攻撃術式。
「迷宮探索に狼さんは不要ですからねぇ」
 ティアブラスが狙うのは、より離れた距離にいる狼。
 迷宮探索を楽しみにしていたのは事実であるが、この狼達がいる限り不穏なものにしかならぬであろう。
 本来ならばある程度距離を取えいたいものであるが、迷路内である事、加えて行き止まりという場所が悪かった。
「当たってくれよ」
 標準を定めるフォリアスの気配は陰に紛れる様に無いに等しい物であった。
 引き金をひく瞬間、背後に圧し掛かった重さ。痛みと同時に感じたのは獣の匂い。
「奇襲か!」
 背後からの狼の襲撃に真っ先に気が付いたのはデッドマンであった。
 フォリアスに噛みつき離れない狼に大盾を振るいぶつければ、獣の身体は側の繁みの中へ。その姿は再び繁みの闇へと隠れてしまう。
「嫌な流れ……。いえ、流石と言うべきかしら」
 群れで行動する狼は仲間と連携を取って狩りをし獲物を捕るのだと言う。
 思案をしながらもエトは手にする宝珠を光らせ、籠めるのはより一層強い癒しの力。
「けれども負ける心算は一切無いの」
 敵に挟まれた形になった事に焦りはあるが、先の二頭は既に手負いと考えればまだ余裕はある。
「そっちは任せるよ」
「任されました。……見えますか?」
 奇襲を仕掛けた狼へと、駆け出すアムネカの言葉に頷いたリュグナートは目の前の狼の頭をハルバードの斧で叩き割る。青い瞳で一瞥した先にあるのは、暗がりとなっている後方。
「アムネカさま。これなら見えますでしょうか?」
 イレギュラー達の傷を癒していたセアラが差し出したのは持って来ていたカンテラで。警戒されるからと、迷宮内での使用を控えていたものの暗い繁みの中に再び隠れた狼を探すには使えるであろう。
「あんまり近づいてストッキングを破るなんて事は、したくないんだけどね……」
 セアラからカンテラを受け取ったアムネカが躍り出るのは薔薇の繁みの前。
 どこから出てきたとしても、マークする準備は整っている。
「あなたもこれでお仕舞ですよ」
 薫子が手負い狼へ大太刀の一閃を浴びせれば、傾ぐ獣の身体はそのまま地へと崩れていく。
 この行き止まりでの戦いで終わりではない。これから控える三頭より強力なモノ達であると知っているから。
「これなら、回復も追いつきそうですね」
 力の配分を行いながらセアラは、仲間たちへの治癒を施していく。
 狼達がいる限り、この迷宮が開かれることは無いであろう。
 珊瑚の槍を握る手には自然と力が籠められる。
「いい所に出て来てくれましたね。でしたら、ちゃっちゃと倒しちゃいましょうかねぇ」
 あなたで最後ですし?
 どこか浮世離れした口ぶりで、ティアブラスは繁みから出て来た狼を視界の中央へと捕らえた瞬間、狼の身体は歪に跳ねた。
 詠唱の一音も、指を動かす些細な動作も無く、ティアブラスがした事はただ見つめただけ。ただそれだけでも、魔法の弾丸を作り出すことも、癒しの術を放つことだって出来るティアブラスにだけに齎された恩恵。
「さてと。行きましょうか」
 亡骸となった最後の一頭を確認すれば、ティアブラスは共に来たイレギュラーズ達の方へと振り向いた。
 

 イレギュラーズ達の士気を高める旋律が響いた、迷宮中央の広場から聞こえるのは乱戦の音であった。
 いくつもの剣戟が振るわれ、ハルバードはいく度も狼へと叩きつけられた。その間を縫うようにして弾丸が飛び交うも、未だ狼達は三頭とも立ち上がりイレギュラーズ達へと襲い掛かる。
「……く」
 何かを誰かを守護する事を使命とする骸骨兵が守らんとするのは後方の同行者達。前方からの攻撃が一瞬止んだ瞬間、顔を上げたデッドマンのすぐ側を軽やかに狼が飛んでいく。
「何だと……!?」
 振り向いた瞬間、デッドマンの身体に叩きつけられた衝撃は重く、崩れ行く身体。そんな身体を地へと埋め込むように上からの衝撃を加えられれば聞こえてきたのは骨が軋む音。痛みと共にデッドマンの意識は闇の中へと薄れ消えていった。
「……回復を。早く態勢を整えましょう」
 一頭がデッドマンの注意をひきつけ、前衛達を抜いた一頭がその背後から襲撃を掛ける。連携であるのか偶々攻撃が集中したのかは彼らにしか分からないであろう。
 時間が止まった様な一瞬。好ましくない流れを阻んだのはエトであった。
 力を込めた宝珠の輝きは月光の様に淡く柔らかい。
「親子……いえ。双子とその番かしら?」
 獣の習性からはあまりない事かもしれないが可能性は零では無いであろう。疲労の色を見せ始めている狼達を観察して、エトは一つの予想を立てるも、緩やかに頭を振り思考の海へとその予想を流した。どちらにせよ、獣達は倒すべき存在であるのだから。
 防御に集中しつつもティアブラスとセアラが仲間達を癒す中、最も遠い距離にいるフォリアスは己の背中がじとりと湿り気を帯び始めていることに気が付いた。
「このままだと洒落にならないかな」
 前線から一番離れているからこそ、戦況を最も把握することが出来る。
 状況はイレギュラーズ達の方が有利とは言え、迷宮の外と迷宮内、そしてこの場所と行ってきた戦闘数が多い上に、思いの外倒すまでに時間が掛かっている。
「消耗戦はごめんだからね」
 緊張で早くなる呼吸。狙いを一頭に定めれば、フォリアスは僅かに呼吸を止めた。
 ほんの少しのブレさえも命とりとなるであろう。
 ライフルの引き金を引いた瞬間、身に掛かる反動。狙うは当たり所の大きく、獣の動きを阻害できる脚の付け根。
 弾丸は薫子とアムネカの前に立つ狼を穿つ。
 その一瞬を二人は見逃さなかった。
「少々ばちりと来ますのでお気をつけくださいね」
 身にまとう紅のオーラを大太刀へと収束させはじめた薫子にアムネカはこくりと頷いた。
 手にしたダガーを握りなおせば、軽やかに地を蹴り目の前の標的へ。
「先にいくよ。こんな獣狩り早く終わらせよう」
 人を狩るか、獣を狩るか。どちらが楽かと問われればアムネカは前者を選びたい心境で。
 動けなくなった狼をダガーで切りつけ、その胴をグリップの底で殴り離れれば、続くように薫子が大上段から大太刀を振り下ろす。狼の身体に刻まれた赤い線。そこから広がる赤色は薫子の紅とよく似ていた。

「数の上ではこちらが上回っているのに離れようとはしなかった」
 鋭い獣の爪はリュグナートの片腕の裂くも、得物のハルバードを手放すことは決してない。
 広場に足を踏み入れたイレギュラーズ達を待つ様に襲い掛かってきた狼は、事前に聞かされていた通り他の七頭よりも力を持つ個体であった。
「相応の自負を持っているにも関わらず、今の環境に甘んじている」
 狼は元来狩猟を行い獲物を得る。それをせず、この迷宮に留まる狼達に向けるっリュグナートの視線は鋭さを帯びていく。
「貴方方の中には、追い立てるモノとしての誇りはもう無いという事でしょう」
 振るうハルバードが狙うのは、狼の後ろ脚。刃を持つ爪で捕ええると、巧みな捌きでリュグナートはそのまま狼へと斧を振り下ろす。

 ――きゃい、と獣の鋭い鳴き声が響く。穏やかな春の夜を、霞む空をも切り裂くが如きその声音を耳にしてフォリアスは倒れ往く獣の姿をその両眼に映しこむ。
 ラピスラズリを思わす花弁を夜露に濡らした薔薇は美しき花の姿で惨状を悲しむ様に俯いていた。
「あー……やっぱり破れたよストッキング…」
 はあ、と深くため息ついてアムネカは空を仰ぐ。春の月は煌々とこの迷宮を照らしていた。凪ぐ風の音色に合わせ、口にするは哀悼と美しさを讃える賛歌。
「綺麗な歌ね。まるで、この夜を祝福するかのようだわ」
 セアラの唄声を聞きながらエトは小さく呟く。ようよう仰ぎ見れば、気付けばそこは迷宮の出口であった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お世話になっております。Re:versionです。
 この度は返却まで長らくお待たせし申し訳ございません。

 ※本リプレイは未森シキGMのリプレイ(途中)にシナリオディレクター夏あかねが加筆・修正したものです。

PAGETOPPAGEBOTTOM