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シナリオ詳細

再現性東京2010:希望ヶ浜学園 【ご登録ありがとうございます!!!】

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●架空請求
差出人:ppp@xxxxxxx
題名:【利用料金請求】
本文:
 お客様がご使用のaPhoneより以前に登録された『学園娘、独占動画!』にて利用料金10万が発生しており、現状長期未納の状態となっております。
 
 本通達から本日の正子(24時)までにお支払いいただけない場合、サイトの利用規約を元に下記の手続きに移行いたします。

 このまま放置されますと身辺調査及び弊社回収員による訪問、または弊社による『しかるべき処置』の強制執行となりますのでご了承下さい。

 退会処理・ご利用状況の詳細につきましては、下記にお問い合わせ下さい。

 営業時間 10:00~20:00(年中無休)
(※電話対応は上記の時間に限ります)
 電話番号:0120-××××……
 ××株式会社
 住所:×××-××-××


 希望ヶ丘の学生……ここは『Hくん』と呼んでおこう。
 Hくんは新しく手に入れたaPhoneで、インターネットの海でいろんな調べた。
 流行りのゲームの攻略情報、女の子にモテる方法、コンビニの美味い弁当。
 あとは……怪しいえっちなサイトとかもね。

【ご登録ありがとうございます!!!】

 君達イレギュラーズがそういう事を知っているかは置いておくとして、こういう怪しいサイトにはワンクリック詐欺、架空請求というものがつきものだ。
 インターネットに疎いHくんは、よく分からずメールアドレスを登録して、数分とも経たない内に架空請求のメールを受け取って誰にも相談出来ずにいた。
 もちろん、学生のご身分で10万なんて払えるはずもない。
「ははは、わざわざ回収に来るわけがないじゃないか……馬鹿馬鹿しい」
 こういう詐欺ってのは数打ちゃ当たる方式で、騙されてさっさと振り込むヤツをターゲットにしている。
 実際、Hくんの判断は正しかったと思う。そこが『再現性東京でなければ』。
 ……この架空請求を受け取ったのはHくんだけじゃなくってね。受け取った学生達の間に「払わなければ化け物みたいなヤツが回収に来る」「臓器を抜かれてヤクザに売買される」なんて噂話が広がっていた。いわば都市伝説さ。
 火のないところに煙はたたぬ。夜妖はそういうところからも湧き出る存在。
 その後、彼の身に何が起こったのか詳しい事は分かってない。本人に聞こうにも無駄さ。
 なにせ、鍵が掛かった自室の中だというのに『臓器を全て抜かれた状態で死亡していた』からね……。

●ギルドローレットにて、作戦会議
 ……『黒猫の』ショウ(p3n000005)は、まるで怪談話をするかのように事の顛末を話した。
「それで、キミ達の出番さ。その夜妖を倒して、二度とHくんのような被害者を出さないようにしてほしい」
 死体の損壊状況から夜妖について推察出来る事も多く、どのような強さを持った個体かショウは意見を述べてくれた。万事を期す為にイレギュラーズ複数人であたった方が良い相手ではあろう。
 そしてもう一つ、と付け加えるようにイレギュラーズへ問いかける。
「こっちは、あくまで副目標と頭に入れて欲しいんだけどね。君達が何か思いつくなら、さっきの話に出た架空請求のメールを送っている業者に泡を吹かせて欲しい」
 この者達は夜妖が発生しているなど露ほども知らず、架空請求を送り続けている。ショウも念のために架空請求に書かれた住所に行ってみたが、机だけが置かれた無人のオフィスだったようだ。
 事の発端である為、懲らしめるべき相手なのだろうが身元を割り出すのは少々難儀だ。下手をすれば夜妖以上に作戦を考える必要もあるだろう。もちろん『イレギュラーズは夜妖だけ倒して、後の事は現地人に任せておく』といった態度でも構わない。
 その上で、ショウは「もし彼らの事も懲らしめてくれたら報酬に少しイロをつけるよ」と、期待するような笑みを浮かべていた。
 

GMコメント

●目標
・夜妖『回収員』の討伐
 以上を達成すれば依頼成功です。副目標として架空請求の業者を懲らしめる事も求められており、そちらは報酬が微増します。

●エネミー情報
夜妖『回収員』
 正体不明の怪物。見た目などは不明だが、ショウの話曰く以下の事が推察される。
・異常なほど力強く、近接戦を得意ととする
・大型かつ鈍重、体力が多いが回避力は低い
・「誰かがaPhoneで架空請求に引っかかれば呼び出せるんじゃないかな」

●架空請求の業者について
 彼らは未だ架空請求のメールを送り続けています。ショウがメールに書かれた住所にいってみたところ、無人のオフィスだったようです。
 事の発端が彼らなだけに、非戦スキルやギフトなど考えつく限りの手段で彼らの身元をあぶり出して懲らしめる必要もあるでしょう。
 おそらく一般人である事から、あぶり出してしまえすれば戦闘面は警戒する必要はありません。

  • 再現性東京2010:希望ヶ浜学園 【ご登録ありがとうございます!!!】完了
  • GM名稗田 ケロ子
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年11月02日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
すずな(p3p005307)
信ず刄
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
ビスコ(p3p008926)
軽快なネイキッド

リプレイ

●啓蒙活動
「躍進! ビスコちゃんねるー!!」
「……えーっと。いぇーいみんな見てるー? ……え、いえ。てれびに映ったらこう言えってクラスメイトが……」
 依頼受託後、『アデプト・ニューアイドル!』ビスコ(p3p008926)は早速希望ヶ浜地域に赴き、自前のaphoneを使ってインターネット生配信を行っていた。
 『蒼騎雷電』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)はゲストという体で無理矢理巻き込まれている。
「今日は希望ヶ浜警察署よりお知らせがありまーす」
「て、典型的な架空請求詐欺……」
「そう! 今週は架空振り込め詐欺グループ撲滅週間です。振り込め詐欺の手口は巧妙化しています。あなたも騙されるかも!? 気になる情報は最寄りの警察かKBH放送まで情報提供をお願いします!!」
 ビスコ達はそのように言いながら、視聴者に向けて注意喚起や情報収集の提供を呼びかけた。
「架空請求業者に対するアプローチは様々あるけれども……まぁ、キャンペーンを大々的に打ち出すのは良いアイデアかも知れないわね」
 放送の様子を眺めている『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)。上手くやるものだと関心しながらも、配信への参加を促されて丁重に遠慮した。
「まったく、人遣いが荒くてこまっちまいますにゃぁ。まぁお金貰えればあたしは満足ですけどにゃー?」
 レジーナの同行者である阿玲星は配信カメラを回しながら、わざとらしく愚痴を漏らす。
「調べたり根回ししたりするのには人手がいるわ。それは情報屋である貴方が一番よく分かっているでしょう?」
 レジーナの言葉に、阿玲星は隠す様子もなく大きな溜め息を吐いた。

 イレギュラーズの行動方針としてはこうだ。
 まず、希望ヶ浜の市民と連携を取る。拒絶されないか不安はあったが、特に騒動は起こしていないのでその手の問題は起きなかった。
「青少年の心を弄ぶ豚はオシオキしませんとね……いひひひ……! まずは捨てアドを片っ端から……」
 希望ヶ浜学園に登校中の美男子達に視線を持って行かれている、『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)。
 問題が起きないのであらば、あとは各自考えた方法で市民から情報を集める。
「ビーガシャ ビーガシャ。詐欺 許サナイ。詐欺撲滅ロボ イザ参ル!」
 『此岸ノ辺の墓守』フリークライ(p3p008595)は、『いかにも作り物のロボット着ぐるみ』を演じながらビスコのゲリラ配信に追従する。この演技は希望ヶ浜の住民に拒絶されない為らしい。
 ビその姿振る舞いはエンターテインメントか何かに受け取られている。街ゆく人からその撮影風景は衆目は浴びるも、騒ぎになる事はなかった。

 事態が動いたのは、配信を続けて昼になった頃合いである。
『闇に隠れる悪を発く愛と正義の閃光! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参!』
 フリークライやビスコを交えて、ヒーローショーが如き撮影をしている『魔法少女インフィニティハートD』無限乃 愛(p3p004443)。
 そんなやり取りの最中、十二歳かそこらの年齢であろう学生服の少年がビスコ達を遠巻きに見つめていた。学園の方から昼休みの合間、抜け出してきたのだろうか。
「あ、さっきの美少ね……じゃなかった、希望ヶ浜学園の子」
「どうしたんだい?」
 ひとまず、彼女達の代わりに応対をする利香とキールズ。少年は挙動不審に顔の向きを右往左往させていたが、しばらくしてバツが悪そうに自身の携帯画面を見せつけてきた。

『お客様がご使用のaPhoneより以前に登録された『学園娘、独占動画!』にて――』

 この少年も架空請求の被害者というわけか。メールが送られた日付を見るに、それは随分と以前の事らしい。少年が無事な理由は夜妖の発生前だったからだろうか?
 利香はそのよう推察を思い浮かべながらも、彼の相談を促すようにお姉さんぶった態度を取った。
「この架空請求、コンタクト取ったりした? オネエサンに教えてくれないかなぁ」
 その少年が先ほどよりも挙動不審になった気がしたのは何故だろう。
 それはともかく、彼からは非常に有用な情報が得られた。
 彼は自身の携帯に届いた架空請求に驚いて、送信してきたアドレスに直接質問文を送り返したらしい。すると、業者から応答があったそうだ。
 キールズがそれらのメールを読み解いてみると、個人情報を聞き出そうとする事から始まり、丁寧じみた恫喝だとか。金銭の要求だとか。正直、見るに堪えない。しかし、これは上手く利用出来るかもしれない。
「こんな悪人は許しておけない。僕も協力しなくては」
 打てば反応があると確信したキールズは、直接電話したりメールを送信したりする事を思案した。ちょうどヒーローショーも終わったのか、愛も話に加わる。
「話は聞けた?」
「あぁ、藁は掴めたと思う」
「そう……じゃあ、わらしべ長者と行きましょうか」
 魔法少女としての営業スマイルから、真顔になる愛。活路が定まったイレギュラーズは、各々得意分野を発揮しようと別々の場所へ散開していった。

●二枚舌
「よもや、私達以外に夜妖の被害者が出るなんて事はないわよね」
 情報提供してくれた少年を学園に送りつつも、一般人がやらかす事を警戒するレジーナ。
 実際、『絶対有り得ない』とは言い切れない。やらかすのはごく少数だろうが、そのごく少数が傍らに居るのだ。
 ……それを考慮してみると、フリークライやビスコ達が打ってくれた配信が民衆に警戒心を植え付けてくれた事は、上策だったか。
「行き過ぎた忌避は逆に神秘を呼び起こす。何とも、この場所では皮肉な話ね」
 そう溜め息をつきながら、少年の方を見た。震えている。羞恥心からではなく、怯えているらしい。「何を怯えているの?」とレジーナが尋ねる。
「……このメール受け取ったヒト、殺されたって聞いた」
 おそらくショウが話していた『Hくん』の事を言っているのだろう。事実、このメールを受け取った後に残虐な方法で殺されたと聞いている。
 その案件が推測や噂を経て、学生達に巡り廻りこの子に伝わったのだろう。阿玲星と顔を見合わせて「どうしたものか」と思いつつ、レジーナは一つ案を思いついた。
「臓器を無理矢理取りに来る回収員の話よね?」
 レジーナがそういうと、少年はこくこくと頷いた。それを見て話を続けるレジーナ。
「その回収員ね。業者に約束の金を払ってもらえなくて、未払いの人じゃなくて業者の臓器を抜こうとしているそうよ」
「ホント?」
「えぇ、この情報屋さんが言っているのだから確かな情報よ」
 急に話を振られて驚いた顔をする阿玲星。彼女は乾いた笑みを浮かべながらその話を肯定する。
 少年が物の見事信じ切った様子を見て、思いついた事をこの場で試し始めるレジーナ。
「だから、そう。学生が殺されたって噂している子にこの話を――」

「ほらほらイルミナの目をちゃんと見てお話するッス! 詐欺撲滅の為ッスよ、ご協力お願いするッスー!」
 配信組はあれからもう少し放送を続けて情報を募り、「元架空請求業者をやっていた」とのたまう一般人を飛び入りゲストという形で現場に呼び寄せた。
「人を騙し、不安に陥れ、害を与える。悪の組織も同然だとは思いませんか!!」
 ゲストを目の前に、演説じみた台詞を述べるイルミナや愛。開口一番、何処ぞのドキュメンタリーのインタビューが如く相手を煽っている。
 ゲストから「騙される方が悪い」だとか、「情報提供者に対してその態度はなんだ」とか煽り返されるが、場が熱くなってきたところで愛は話を切り替えた。
「ところで、業者側はどうやってお金を振り込ませるのでしょうか。そういうサイトに引っかかるのは未成年なども多いと聞きますし、銀行は使い難いでしょう」
「銀行なんてもうとっくの昔の話さ」
 ゲストは彼女らを見下しながら、少々得意げに言った。話を聞いてみると、最近は足が着かないように電子マネー……要は「番号だけで受け渡し出来る金券」が主流だという。成る程、それなら未成年からも搾り取れるだろう。受け渡しも電話だけで済む。
 愛はゲストとの話をそれとなく打ち切り、多少申し訳なさそうにキールズの方を見た。対して、彼は悠々と笑い返す。
「お金には余裕があるんだ。任せてくれ」

 『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)。彼女は、仲間から聞き及んだ情報を活用して直接架空請求の業者に電話をする事にした。
「もしもし……あの、楊枝 茄子子って言います。えと、なんかよく分からないけどサイトに登録しちゃったみたいで……できれば解除して欲しいんですけど……」
 情報提供してくれた少年の携帯を借りて、「随分と前に引っかかって今更払いたくなった健気な女学生」という体だ。少々不審がられたが、キールズに借りた少額をいきなりぶっこんで電話口の相手に面を喰らわせた。
「あ、あぁ。支払い確認出来ました。ですが、これでは少々足りませんね……」
 業者はわざとらしく、困った風に言ってのける。当たり前だ。提示額全額払ってやるつもりはないし、払ったとしても遅延料だとか理由を付けて額を増やすに違いない。
「……どうすればいいんですか?」
 しかし、払いたいという姿勢を見せておく必要がある。冗談にしてはかなり高めの金額を既に払ったのだから、ひとまず悪戯とは受け取られず話は進んだ。そしてその上で、今度は動画配信やマスメディアの取材だと勘違いされない必要がある。されたが最後、電話は切られるだろう。幼稚すぎても、流暢すぎてもいけない。
「なんで茄子子さんあんな上目遣いな表情しているんッスか……?」
「分かってないわね。儚き花の美学というヤツよ」
 ひそひそと話し合う女性陣。茄子子は今現在あくまで「気弱な儚き美少女」。そういう役になりきっていると、電話口から悩ましげな声が聞こえてきた。
「……そうですね。追加でお支払いをいただければ」
 声色からして、若干疑われているであろう。茄子子はこの時ばかりは「発言が嘘と思い込まれやすくなる」という自身の性質を疎ましく感じた。
「疑うクセに金は欲しいって? 面倒ね……」
 茄子子と利香は目を見合わせる。そうしてお互いを窺っている内に、なんやかんや妙案を思いついた気がした。

「さっきの子供、結局どうしたンすか」
 架空請求業者の事務所――ただ電話、パソコンといった必要最低限の備品がある簡素な部屋に、ガラの悪い男達が数人いるだけだが――にて、茄子子の対応をした者とそれ以外で会話が交わされていた。
「ん、あぁ。それが直接金を渡しに行きたいとか言い出してな……」
「それってマスメディアのヤツじゃ? まさか、場所教えたンすか」
 対応をしていた男は頬を掻いた。理由を問いただされると、携帯の写真付きメールを見せる。
『直接払いに行きますから、どうか許して下さい』
 その写真には、気弱な女学生――を装った利香が扇情的なポーズで大金を見せびらかしていた。

●因果の徴収
「業者の人、羽衣教会とか興味無いですか! 入信したら翼とか生えてくるとっても素敵な宗教なんですけど!」
「うわ、なんだこのちんちくりん!!」
「罪の精算とかしませんか!ㅤ……誰がちんちくりんだッッ!! おら!ㅤ入れッ!! 乙女の事をバカにした事を贖え!!」
 本拠地を突き止めてからは、事態が進むのは早かった。相手側はイレギュラーズを殴り掛かってわからせようとしたが、ビスコが速攻で不殺範囲技の神気閃光を撃ち放って逆にわからせた。
「ガサ入れの時間でーす。ローレットの方から来ました。人を食い物にするのは絶対に許さないよ!!」
 訓練積んでないチンピラ相手に高レベルのイレギュラーズ八人突っ込めば、そりゃそうなる。
「暴行 現行犯逮捕! コレニテ 一件落着!」
 未だ配信を回していたフリークライ。映像があるのだから、彼らを警察に突き出す大義名分に十分だろう。
「架空請求って……なんでこんな混沌でまでやるんですか……同じ日本人として恥ずかしいんですが! その上、女にまで殴り掛かろうとするだなんて……」
 彼らに対して説教を並べ立てる、『血雨斬り』すずな(p3p005307)。彼らの行動が遠因で死人が出ているのだから、笑うに笑えない。
 事務所の中を見回しても、夜妖はおらぬ。やはりこやつらは直接は関係していないらしい。
「巻き込んでやるのもいいけど、死体を増やすのは趣味じゃないわ」
 そういって、利香はひとまず仲間をその場に残して表に出た。

 空を見上げてみれば街角は宵闇。例の架空請求には作戦開始の直後には捨てアドで引っかかってある。
 受け取ったメールに書いてあった通り、未払いと見做されるのは二十四時を回った時だろうか。
 利香は制服姿に竹刀入れ。左手にはスマホで夢中……といった学生を装い、回収員とやらが来るの待った。
 手元のaPhoneで表示される時間は23:59。周囲には誰も居る気配がなく、利香は「もしかしてしくじったかしら」と首筋に汗がつたう。aphoneに表示される時間がちょうど0:00になった時、その画面が切り替わって包帯だらけの大男の画像が映し出された。
「……ッッ!!」
 何が起こったのかは利香もよく分かっておらぬ。携帯画面から目に痛い光が走ったかと思えば、次の瞬間には大男の腕に首根っこを引っ掴まれていた。
 この巨体が携帯から這い出て来たとでもいうのであろうか。利香は竹刀入れに隠しておいた剣を咄嗟に抜いて、大男の腕を突き貫く。
「ウガアァァア!!」
 獣の雄叫びのような声が市街に鳴り響く。それを聞いた仲間達は、大急ぎでその場に集結した。形勢有利とみて、利香は不敵に振る舞う。
「ここ足りてないんじゃないです? 女の子がこの手のにひっかかるわけないじゃないですか!」
 その挑発に乗ったのか、大男は利香に突進を繰り出し始めた。利香がそれらを武器で受け止めながらも体力を削られているところに、ビスコやフリークライの支援が飛んで来る。
「泣キ寝入リ 終ワラセナイ チャージ! 金銭ダメージ 回復 ビーム!」
 コテコテな台詞の理由は、配信をまだ続けているのか?
 利香と大男が一合、二合を終えた隙を突いて後続の仲間達が攻撃の構えをみせ始める。
「まずは小手調べに……」
 レジーナは召喚術の類で片手剣を喚びだし、真正面から斬りに行く。大男は手のひらで剣を掴み上げようとするが、レジーナは途中で剣を放り投げて、中空に浮いたそれを魔術で操った。
「剣の鋭きこと魔性の帯びたる刃にて、相合わさり双び撃つ!」
 掴もうとした剣は手を掠め、大男の腹部に深々と突き刺さる。初見でこれは見切るのは難しい。大男は臓器ごと串刺しになっていたが、構わず利香を狙い続けた。
「あら、しつこい男は嫌われるわよ?」
 彼女のテンプテーションに罹っているのであろう。利香に負担が掛かる攻防が繰り替えされるが、そのおかげで皆も攻撃に注力出来た。
「今回はヒーラーいっぱい居るから、ある程度は持ちこたえられるわ! 男ったらやーねー!」
 自分には見向きもしない大男に、先ほどの捕り物劇を思い出す茄子子。ヤツは利香の胸やら腹やらを弄ろうとしているに違いない。
 茄子子が茶化すように観戦していると、利香のみぞおちに大男の拳がめり込んだ。
「おっぶぇ……っ」
 利香は悪寒がして咄嗟にその場を飛び退いた。負傷したみぞおちを確かめてみると、薄く皮が抉られている。
「マトモに喰らったら臓器を文字通り回収されかねないわね。気をつけて?」
 淡々と言ってのけるレジーナ。利香は思わず冷や汗を掻く。消耗戦が続こうかといったところで、イルミナが叫んだ。
「臓器動いてるのと動いてないのあるみたいッス!! 右胸がウィークポイントっす!」
 戦闘中に弱点を探していたらしく、仲間達に指示を向ける。それを聞いてすずなが動いた。
「説話ありきの妖ならば、そういう法則に縛られましょう……全力を以ってお相手致します」
 その言葉通り、すずなは前のめりで刀を大きく斬り、払い、突く。だが刃先をしくじったか、相手が上手く防いだか、刀を流され彼女の細腕が腕がその勢いに引っ張られた。
「まだですッ!」
 大男が安堵したように腕を構え直そうとしたのも束の間、すずなは驚くべき速さで刃を返す。今度は研ぎ澄まされた剣筋が、大男の右胸ごと横一閃に断ち切る。
「アァァァアア……!!!!!」
 大男の低い断末魔が鳴る。すずなは、それに怯む事なく愛刀の竜胆を鞘に収めた。
「……決して、怯えは致しません。妖退治は、私の本業なのですから」
「魔法少女インフィニティハート! お仕事完了!」
「羽衣教会もヨロシク!」
「詐欺 撲滅完了! 正義ハ 勝ツ!」
「……これ私達もやらなきゃいけない流れかしら」
 一連をフィクションのヒーロー番組として配信する組と、それ以外の組で温度差があったが。なんにしても、回収員の大男は、その噂と共に夜の露と消えていくのである。

 これで一件落着といったところだが、縛っておいたチンピラの一人が騒がしすぎる外の様子を目に入れた。
 チンピラと回収員の目が合う。消えていく回収員の口から憎々しげに「報酬をもらっていない」だとか「いつかお前の臓器をもらいに行く」だとか慟哭が漏れる。
 チンピラは恐怖のあまり卒倒し、イレギュラーズは目を丸くしていたが、レジーナだけは「成る程、こういう風になるのね」と上機嫌に笑んでいた。
 

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

差出人:hieda@xxxxxxx
題名:【依頼成功】
本文:
 いつもご利用いただきましてありがとうございます。稗田ケロ子です。

 このたびは「ご登録ありがとうございます!!!」に、ご参加くださいまして誠にありがとうございました。
 今回は『追加目標達成』となりましたので、追加のゴールドを獲得出来ます。
 ゴールドの獲得につきましては、以下のゆーあーるえるからウンヌンカンヌン――

称号獲得:
雨宮 利香(p3p001254)⇒『詐欺殺しの』

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