シナリオ詳細
ドキドキ♡聖ネメシス学院!
オープニング
●チェルシーの提言
「って言うタイトルなの!」
と、元気よくチェルシー=コールドストーンが言うので、リゲル=アークライト (p3p000442)は小首をかしげながら、チェルシーの言葉を復唱した。
「『ドキドキ♡聖ネメシス学院!』……かい?」
にこりと笑うリゲルであったが、その頭上には疑問符がいくつか浮かんでいる。
――順を追ってはなそう。
天義の復興の具合を確認するため、天義に存在するローレットの拠点に顔を出していたリゲルは、そこで情報屋見習いであるチェルシーに声をかけられたのである。
「あ、リゲル! ちょうどよかった、お願いがあるの!」
「チェルシー? お願いって?」
「うん、天義復興にお手伝いに関する、重大な話! ついてきて!」
――と、手を引っ張られてついていってみれば、そこは廃校になった学校を、そのままイベントスペースとして貸し出している建物であった。
「実はね、この学院を舞台とした、ビデオゲームを作ってて……あ、ビデオゲームってわかる? 練達で流行ってる、テレビに接続して遊べるものなんだけれど」
「何となくは……って、ゲームを作るのか? チェルシーが?」
「私は制作会社にお願いしただけ……資金とかは、実家のコネとか使って調達したけど。それはさておき、ゲームを作ってるの。今流行りの乙女ゲーだよ! その名も――」
――『ドキドキ♡聖ネメシス学院!』
「って言うタイトルなの!」
チェルシーの言葉に、リゲルは小首をかしげた。
「『ドキドキ♡聖ネメシス学院!』……かい?」
タイトルを復唱してみたものの、分からないことだらけである。そもそも、乙女ゲー……とはいったい何なのか。リゲルが尋ねると、チェルシーは「そうだよね」と苦笑しながら、答えた。
「うーんとね、基本的には、女の子を主人公にして、かっこいい男の子――練達ではイケメンって言うらしいんだけど、とにかくイケメンといろんなイベントを経験して、最終的には結ばれる……そう言うのを疑似体験できるゲームなんだよね」
どこかうっとりとした様子でチェルシーが言うのには、恋に恋する乙女の年頃であるゆえんか。何にしても――とにかく、そう言うゲームを作りたい、と言うのは分った。
「それでね、ゲームの売り上げを、天義の復興資金に寄付したいの。それに、ゲームの舞台になった所には、観光客が押し寄せるんだって! 聖地巡礼? って言ったかな?」
「聖地……確かに、天義は信仰の聖地だ。なるほど、天義の信仰の布教にもなるんだな……」
リゲルは納得した様子で頷いた。少し会話がずれている気がしないでもない。
「それで……俺は何を手伝えばいいんだい?」
尋ねるリゲルに、チェルシーは笑う。
「実は、ゲーム内のイベントがまだ全然足りなくて! リゲルってほら、やっぱりかっこいいし! かっこいい友達もたくさんいるでしょ? だから、リゲルたちに、いろんなイベントを再現してもらって、それを取材して、参考にしてゲームに落とし込みたいの」
「俺はそんな、自分がかっこいいなんて思ってないけれど……」
苦笑するリゲル。
「でも、確かにローレットには、他にもかっこいい人たちはいるね。そう言った人たちに声をかけて――学生生活を演じてもらえばいいのかな?」
「そう!」
チェルシーは笑った。
「普通の学生生活じゃ起きない、ちょっと突飛な事でいいんだよ。例えば、生徒会と対立したり、女の子を守るために悪い人と戦ったり……」
チェルシーが、指折りイベントの例えを語っていく。なるほど、最終的に、プレイヤーたる女の子がドキドキするならば、多少派手な事をしても問題ないらしい。
「なるほど。じゃあ、他のメンバーに声をかけてみるよ」
リゲルの言葉に、チェルシーは頷いた。
「うん! 実際には、この学校を再現したVR空間で取材するから! 服はこっちで用意するね! 白いブレザーの、かっこいい奴だよ!」
チェルシーはそう言って、楽し気に手を振って去っていく。その後ろ姿を見ながら、リゲルはどこか楽し気に、微笑んで見せる。
――さて、どんなメンバーが集まってくれるかな。
リゲルは胸中で呟くと、さっそくローレットへと戻っていった。
- ドキドキ♡聖ネメシス学院!完了
- GM名洗井落雲
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年10月22日 22時01分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費200RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●プロローグ
私、「チェルシー=コールドストーン(デフォルトネーム。貴女の好きな名前を入力してね!)」。今日から聖ネメシス学院に通う事になった普通の女の子。聖ネメシス学院は、ちょっと厳格な所もあるミッション系の学校で、制服のデザインがかっこよくて有名なの。私も、制服にあこがれて入学した……なんて、不真面目だよね。
でも、せっかく入学できたんだから! 今日から勉強に……それから、出来れば恋にも! 頑張りたいと思います!
●『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)ルート~スイーツ・スイート~
春は出会いの季節、なんていうけれど。私にはそんな縁がないまま、入学からしばらく時間が経過していた。今日はついてない、ちょっと遅刻しそう。裏門の方が寮の部屋から近いから、少しショートカットする。裏門には、とてもきれいな花壇が合って、毎日いろいろな花で通る人楽しませてくれるから、私は好きなんだよね。
――そんな花壇の中に立っていたのは、どこか中性的な雰囲気を持つ、かっこいい男の子だった――。
手にしたものは、近隣の、美味しいお菓子のお店が特集された雑誌。甘いもの好きなのかな。私がきょとんとして、でも目を奪われていると、彼は顔真っ赤にして、こう言ったんだ。
「男が甘い物好きで悪かったな……」
それが、花壇の主、スイートな彼。ポテトとの出会いだったんだ。
男の人が甘いもの好きなのが、恥ずかしかったみたい……私も甘いもの好きだし、恥ずかしくなんてないよね。だけど、これはポテトとの、二人だけの秘密。そんな秘密を共有して、私達は少し仲良くなれたの。
夏休みにも、偶然逢ったりして。ケーキを一緒に食べたんだけれど、その時ポテト、突然、わたしにケーキを差し出して、あーん、なんて……もう、びっくり!
そんな風にして、私達の距離は、少しずつ縮まっていった……いつか私も、彼のこと、好きになっていったんだ。
シャイネン・ナハトの夜……二人っきりで過ごす時間。
「君といると自分を隠さなくて良いし、凄く楽しい」
気づいたら、いつも二人でいた。楽しい時も、悲しい時も……一緒に過ごしていた。
「これからも僕と一緒にいてくれる?」
ポテトが、少しだけ不安そうに、首をかしげた。ちょっとだけ意地悪して。「友達として?」なんて聞いてみると、彼は顔を真っ赤にしたんだ。
「友達としてじゃないよ! ……好きだよ」
私達は聖夜の星の下、確かにその手と、絆を結んだんだ――。
●『蛇に睨まれた男』蛇蛇 双弥(p3p008441)ルート~二人の科学部~
双弥は不思議な科学部員。出会ったのは校庭で、不思議な実験をしているのを見かけたのが切っ掛け。
「あぁ? 何してるのかって? 雨を降らせたいんだよ」
ぶっきらぼうに言う彼。空を見上げてみても、雨が降るようには見えない。
そんな彼に興味を持って、私は科学部の部室に足を踏み入れた。乱雑に詰まれた色々な本と実験器具。
「科学部は、俺一人しかいねぇんだよ。でも、俺は部長じゃねぇ」
三年生になるのに、部長ではなく、一部員だという――彼は、その理由を教えてくれなかったけれど。そんな彼に何処か惹かれてしまった私は、何度も科学部に足を運ぶことになった。
いつもビーカーに注がれたコーヒーを手渡してくれる双弥。彼の研究は雨を降らせること。私も解らないなりに、色々調べて、手伝う事にしたんだ。
積み上げ有られる、資料と実験器具の数が増えていく。そのたびに、私達の声が、科学部に響き渡る。
いつしか、一人だけの科学部は、二人の科学部になって行って――。
「俺が雨を降らせたい理由はな。先輩に――部長に、約束したからなのさ」
どこか懐かし気に、そう言う双弥。二年前、初めて科学部に入部した時に、部長とした約束。その夢を、彼はずっと、追い続けていたんだ。
秋。降水確率0%。そんな日に、私達は最後の実験を行う。私達の思い出を燃料にして、化学薬品の雲が空に手を伸ばす。
ぱたぱたと落ちてくる、空からの水。瞬く間に曇る空。降り注ぐにわか雨――今までは憂鬱だったかもしれないけれど、今は祝福だ。
「はは! やったぞ! 降った! 降らせたんだ!」
雨の中びしょぬれで喜ぶ私達。いつしか、私達は見つめ合っていた。
「お前がいなきゃ、ここまでこれなかった……だから言う。俺はロクな奴じゃねえが、お前を想う気持ちはマジだ! 理屈はいい、俺ンとこに来い!」
返事はもちろん――雨音に消えないように、大きな声で頷くんだ。
●『雨夜の惨劇』カイト(p3p007128)ルート~仮面・舞踏会~
カイトの声を聴いたのは、夕暮れの校舎でのこと。芝居がかった口調が廊下に響いて、のぞき込んだ教室――そこは、演劇部の部室だったんだ。
「――なぁに、演劇に興味があるのか?」
そう言って、皮肉気に笑う、演劇部の部長。誰からも慕われる、でも少し斜に構えたその姿が、白い制服と相反するようで――私は直感的に、言ってしまった。「まだ演技は続いているんですか?」と――。
カイトは一瞬――本当に一瞬だけ、驚いた顔をしてから、いつもの皮肉気な笑みを浮かべて。
「おもしれー女」
そう言った――。
毎日のように、演劇部の部室に足を運ぶ。部員になったわけじゃない。でも、カイトが気になって――って言うと、なんだか不純かな。でも、本当に、気になったんだ。
彼が被っている、皮肉屋の仮面。その奥の素顔――。
「お前な、邪魔すんなら来るなよ」
いつしか、彼の言葉に――普段とは違う、口の悪さみたいなものを感じるようになった。でも、悪意があるんじゃない。遠ざけたいんだ――その仮面に手を伸ばそうとする、私の事を。
彼はきっと、とても臆病。仮面が無ければ踊れない位に。でも、私は見てみたい。貴男の素顔を――。
何度も遠ざけられて。そのたびに一歩近づいて。
「――ったく、お前が来ると稽古に身が入んないんだよなァ」
いつしか、その仮面の下が見えるようになった時――彼は時折、私から目をそらすようなしぐさを見せた。照れているんだ。可愛い。
「……でもさ、お前が見てくれねェと。次の文化祭……多分俺がスネるからなァ」
気恥ずかしげに笑う。仮面の下の素顔――私だけを見てくれる、演劇部の部長ではない貴男。
文化祭当日――不在の姫君役。でも公演は始まって――何故か、スポットライトは私に向いた。
驚く観客席から私を連れ出して、アドリブで連れ去るようにして、カイトは耳元で囁く。
「――何言ってんだ。俺のお姫様は最初から『お前だけ』に決まってンだろ」
そう言ってくれたから――私は貴男だけのお姫様になれるんだ。
●『煌希の拳』郷田 貴道(p3p000401)ルート~真っすぐに、行こう~
貴道は、クラスでも中心になるくらい、皆と仲良くできる人。どこにでも顔を出すし、だれとでも仲良くなれる、フットワークの軽さが魅力。それだけじゃない凄く真っすぐで、真面目な人だって事はよくわかってる。
――毎朝早く。近くの河原でロードワークしてる彼を見ることができる。それを発見したのは本当に偶然で、奇跡的に私が早起きをしたからなんだけれど。それが気になって、最近はずっと、早起きして彼の事を見てる。
「なんだい、見られてたのか? なんだか恥ずかしいな!」
いつしか、私はそんな彼の応援をするようになった。朝早くから走る彼に、ドリンクを差し入れたり。それまでも、友人として仲は良かったけれど、そこから一歩だけ、進めたような気がする。
仲がより深まったのは、他校の生徒に絡まれていた私を、貴道が助けてくれた事件からかもしれない。それから、彼は私を守るみたいに、一緒にいてくれるようになった。
……彼は真っすぐだ。でも、壁はそんな人だからこそ、その前に現れる。
鉄帝学園の最強チャンピオン、ガイウスとの試合に臨み、負けた彼は、今までの彼が嘘みたいに沈んでしまっていた。真面目に打ち込んできたからこその挫折――。
「なぁ? なんでキミは、負けてしまった俺の側に居てくれるんだい? 俺は……君を守れない……」
気弱にそう言う彼に、私は言った。「好きだから」「でも、今の貴男は嫌い!」。
――言い過ぎたかもしれない。でも、信頼もあった。彼はきっと、立ち直れるって。
二週間後。ガイウスとの再戦の時。貴道は私の前に現れて、最高の笑顔をくれた。
「俺は欲張りでね。ベルトも欲しいが……何よりキミが欲しいんだ。キミが好きだ、これからも……俺と一緒に居てほしい」
私は頷く。彼も頷いて、
「勝ち取って来るぜ!」
その背中に、私は精いっぱいのエールを送った――。
●『森の善き友』錫蘭 ルフナ(p3p004350)ルート~二人の異文化コミュニケーション~
聖ネメシス学院には色々な場所からの入学生がやって来るけれど、国をまたぐとなると少し珍しい。
ルフナはそんな「別の国からの入学生」。閉鎖的な森から飛び出してきたって言う彼は、物珍し気に学院や、天義の文化を勉強している。
でも、彼にそんなことを言うと、
「言っておくけど、きっと僕は君の祖父よりも歳上だ」
……なんて、ムッとした顔で言われるけれどね。実際、長い時を過ごしているみたいだけれど、私達とあんまり変わりは感じられない。だから、私は天義の文化の案内もかねて、彼とよく遊んだりするようになったんだ。
天義の文化、なんて難しい事を言ったけれど、その実態は何でもありで、例えばカフェでケーキを食べたりなんてのも、立派な異文化研究になる。
「ふふっ、クリームが鼻についてるよ。子リスみたい」
楽しそうに、そう言って一緒にケーキを食べる彼は、なんだかとても可愛い。
――でも、楽しい時間は長くは続かなかった。森を出ることに反対していた彼のお兄さんが、ルフナを連れ戻しにやってきたんだ。
「兄様のいう事は絶対に正しかった……だから……」
外への興味と、兄との関係。それに板挟みになったルフナは、少しずつ弱っていった。意を決して、私は尋ねる。「ルフナの本当にしたいことはなに?」って。「私はそれを応援するし、味方になるよ」って。
彼は、私の言葉に決意を固めてくれたみたい。――翌日。ルフナは私と手を繋いで、お兄さんと対決に向かう。
「兄様はいつだって正しいんだ。そのはずなのに……」
ルフナは、頭を振って、私に微笑んでくれた。
「ありがとう、チェルシー……一緒に、来てくれるかい?」
もちろん。私は笑って頷く。
大好きな人を、私だって失いたくない。そう告げると、ルフナは顔を赤らめて、頷いた。
「本当に、ありがとう」
それだけで――私達には、無限の力がわいてくるんだ――。
●『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)ルート~我が剣は君のために~
リゲルとは、小さな頃からの幼馴染だった。ずっと一緒に過ごしてきた、大切な友達。
その関係が変わる時が来るなんて、思いもしなかった。
「ああ……今日も君に会えたね」
毎朝、公園までの道をランニングしている彼は剣道部員だ。小さなころからずっと剣道を続けてきていて。今度大会があるんだって、張り切っている。
私はそれを、ずっと応援していた。でも、子供の頃とは違う、真っすぐでキラキラした瞳に、私はいつしか心惹かれていたんだと思う。
慣れない早起きなんてして、お弁当を作ってあげる。それを手渡して、応援していることを告げると、リゲルは屈託のない笑顔で、
「ありがとう。君の友情に感謝するよ」
なんて言ってくれる。友情じゃないんだけれどなぁ。でも、リゲルって鈍い所があるし。
……そんな時に、私は他校の不良グループに襲われてしまった。颯爽と助けに来てくれたリゲル……でも、彼はその騒動で深い傷を負ってしまって、大会には参加できなくなってしまった。
私のせいで、彼に迷惑をかけてしまった……落ち込む私に、彼は、
「ほら……泣かないで」
そう言って、私の涙を指で掬ってくれる。
「試合には出れなくなってしまったが、君を守る事が出来て、本望だよ」
大会には出れなくなってしまったけれど、その埋め合わせみたいに、私達は一緒に過ごした。罪悪感はあるけれど、リゲルと一緒に過ごせることが、たまらなく嬉しかった。そしてますます――彼の事を、好きになっていった。
シャイネン・ナハトの夜。学院の時計塔を前に、私達は降る雪を楽しむ。
今は、二人。きっと気持ちは、同じはずだった。
「気付けば君は、いつも傍に居てくれた。君のいない人生はもう、考えられない」
そう言って、リゲルは赤い薔薇の花束を掲げてくれる。
「……君が、好きなんだ。俺と……付き合って、頂けませんか……?」
答えは、もちろん――!
●『亡命の王子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)ルート~私の王子様~
「コールドストーン、また君か。今回で何度目の遅刻だと思っている……罰則だ」
校門で、ベルフラウにそんな声をかけられるのは、本当に、何度目かな。二年生ながら風紀委員長を務めるベルフラウは、毎朝ここで、遅刻者のチェックをしている。
どこか苦手な人……そんな印象だったんだけれど、夏休みに、本屋でたまたま出逢った時。
「なんだ、君も参考書を? ……ふん、良い心構えじゃないか。どれ、教科は? 一緒に選んでやろう」
そう言って少し下手に微笑んで、参考書を探してくれた時に、彼の本心に少し触れた気がした。
彼は厳しい。でもきっと、本当は――優しい。そこからだ。私はなんだか、彼の事が気になってしまって……よく話すようになった。
「コールドストーン、君は、よく私に話しかけてくれるな……何故だ?」
不思議そうに小首をかしげる彼。でも、私にもよくわからない。よくわからないから、私は素直にそう言った。彼は不思議そうに、
「変わった子だな、君は」
そう言ったんだ。
ベルフラウは何方かという奥手と言うか、自分から相手を誘ったりするタイプじゃないみたいで、私は積極的に彼の事を誘った。彼は驚き、時には怒りながらも、でも私を拒絶することは無かった。それがとても嬉しくて。私達は仲を深めていった。
文化祭の日――一緒に文化祭を回ろうと、彼と約束した私は、突如謎の男たちに、体育倉庫へと連れ込まれてしまう。
そこで知らされたのは、ベルフラウに対する驚愕の真実だった。
ベルフラウは、某国の王子であり――荒れる国内の情勢からアストリア学院長のつてを頼り、ここまで逃げてきたのだという。
謎の男たちは、ベルフラウを狙ってやってきた、某国のエージェントなんだ! 私は驚き、そして命の危機を感じていた――。
「何処に居るのかと思えば……言っただろう、次に遅刻したら反省文では済まさないと」
響く声――そこには、ベルフラウの姿があった。次々と、男たちを撃退していくベルフラウ。彼は、助け出した私を抱きしめて、言った。
「チェルシー……君は本当に私の心をざわつかせてくれるな……言った通り、遅刻した罰だ」
そう言って、優しく口づけをする彼。私はそれを、瞳を閉じて受け入れる。
「私の隣に居ろ。これからもずっと」
そう言って、私の王子さまは、照れくさそうに笑ったんだ。
●『電子の蒼海』鮫島 和真(p3p008994)ルート~不正義な二人~
気づけば傍にいる、と言うのが和真への周りの評価で、彼は気づいたら、傍にいて笑っている。そんな人だ。
誰とでも、どこにでも、付き合える――でもそれは、彼なりの処世術のようなものなのかもしれない。
浅く、広く付き合う。その代わりに、深くは付き合わない。
……そんな彼に、興味を抱いてしまったのは何故なんだろう? 私は誰かに導かれたみたいに、気づけば彼の姿を追っていた。
「……俺なんかの後ろにくっついてきて大丈夫? なんか川のほとりで暗黒物質でも見つけて来たのん……?」
そう言って、苦笑する彼。じゃけんにするでもなく、でも、何となく自分には深くかかわらせない……そんな態度。
私も私で、むきになって追いかける。逃げる彼。追いかける私。ずっと続く、奇妙な追いかけっこ。
「分かった。降参、降参」
いつしかネをあげたのは、彼の方だった。
「変な子だね。なんで俺なんかに……」
分からない。でも、気づいたら、好きになっていた。ずっと、ずっと追いかけていたんだ。
彼は、学院でのはみ出し者だったから、彼と親密になるって事は、大人たちからの受けは悪くなる。
学院の『不正義』……いつしか、大人たちから、私達はそんな風に呼ばれていた。
けれど、それってなんだか素敵じゃない?
不正義な二人。それが私達の関係。いつまでも続けたくて、私は今日、彼に告白をする。
「――今更、逃げるつもりなんて、ないよね。じゃあ、今日だけ、『悪い子』になろっか」
そう言って、和真は私を抱きしめてくれた。
ずっと続く、二人の関係。それが不正義だったとしても、私にはきっと、構わない。
●
さて、イレギュラーズ達の協力を得、本作は無事に発売される運びとなった。
イレギュラーズ協力との事で、乙女ゲーながら異例の話題作となった本作はかなりの売り上げを記録したそうだ。
販売会社は、第二弾の作成も期待しているという事だが、それはまた、別の話である。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リクエスト、ご参加ありがとうございました。
ちなみ本ゲーム、ベルフラウルートが非常に人気らしく、なんでも「ステータスシートや称号まで使った細かく凝った設定にMVPをあげたくなる」という評価との事です。
また、本ゲームには一つ、噂がありまして。
なんでも、一人で大量購入をなされたリゲルさんっぽい方がいて、そのリゲルさんっぽい方が様々な施設に匿名で寄付していたとの事です。
誰でしょうね、リゲルさんっぽい方。
GMコメント
お世話になっております。洗井落雲です。
此方は、チェルシーからのお願い(リクエスト)により発生した依頼となります。
●成功条件
乙女ゲーの攻略キャラを演じ、チェルシーに資料として提出する。
●状況
天義復興のため、乙女ゲーを作り、その売り上げの一部を天義に寄付したい、と告げたチェルシー。
チェルシーのお願いを聞いたリゲル=アークライト (p3p000442)さんは、自分が手伝う事はもちろん、皆さんにもお手伝いのお願いの声を掛けました。
オーダーは単純です。VR空間に再現された『ドキドキ♡聖ネメシス学院!』の舞台で、イベントスチルになりそうな、色々な出来事を演じて欲しいわけです。
イベントになりそうな出来事とは、例えば初めての出会いのシーンや、告白シーンと言った重要な所から、攻略キャラの意外性を見せるシーン、主人公の女の子(どこにでもいる平凡な女の子、という設定です。イメージが難しい場合などはチェルシーが代役してくれます)と共に敵と立ち向かうシーンなど。色々あります。
兎に角皆さんは、『これは面白いんじゃないか』と言う花のあるイベントになりそうな出来事を、攻略対象キャラとして演じて欲しいわけです。
なお、攻略対象キャラは基本的に男性です。女性も、中性的な男性として扱わせていただきます。
●『ドキドキ♡聖ネメシス学院!』について
全寮制の、ネメシスらしい格式高い学院が舞台です。
男子生徒は白のブレザー。イケメンが着るとよく映えます。女子も同様に、白を基調としたブレザー制服です。
学院なので、生徒会や学園祭などもありますし、生徒に無理解な、格式だけを押し付ける先生とかもいます。
乙女ゲー的なものは大体あります。
学院的なものも大体あります。
●登場NPC
チェルシー=コールドストーン
リゲルさんの関係者にして、今回の依頼者。
基本的には皆さんの活躍を見守っていますが、チェルシーを主人公として見立てたい場合など、要望があればなんでも手伝ってくれます。
以上となります。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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