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シナリオ詳細

<奇神封紀>行逢岬総倣の行

完了

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オープニング


 べべんっ。
「ゆきあいみさき そうならえのぎょう――。
 ――最早この名も、なつかしき」

 べん、べんべん。
「世の果て、とも評される岬あり。
 申国(しんこく)の北端、伸び上がりの坂を鋭角にズバッ、ズバッと二度、巨大な刃物をもって切り落とした……かのような景色のある、断崖絶壁である。
 その頂へ至る坂には、左右、色々の地蔵が置かれておる。
 今際の際を悟った戦士がまさに、まさにそこで死んだ証だ。
 奴原めいめいに地蔵を担ぎ、行き倒れ、野晒し、風に転がる骨と成り果てる。
 故に、世の果て、え、ええエエーーーーーー………………」
「(よのはてより みまもりましょう ひとのよのすえ かみのよのすえ)」

 べべべんっ。
「サテ世の果てには、あやかし、なかんづく奇神の棲むという。
 山の上には日の神、匹津布四(ひつぶし)。
 湖の底には月の神、御絹の方(みきぬのかた)。
 そして岬の頂には、いくさの神、兜雛(カブトビナ)。
 奇神の棲むところには、霊験が湧く。
 ここ行逢岬の兜雛様と言えば、里の、イヤサ申国の信仰殊更に篤く、その神体を一撫で、一見するのみで、無双の智慧と無敵の剛力賜ると言うではないか。
 しかし誰一人、誰一人とその神威を身に受けたものはおらぬ。
 なんとなれば、ああ、あああアア、お、オ、あーあァーーーーーー………………」
「(しんい まことなれば ひとのよに ひとのみに あまりしもの)」

 ――べんっ。
「誰もその真実を知らぬがゆえに、いくつもの伝説が生まれた。
 曰く地蔵が鬼となりて、登山者を必ずたたっ殺す。
 曰く兜雛様の御力にて、参拝者を忘我境へとすっ飛ばす。
 真実を知るは、ただ物言わぬ地蔵どものみ。
 かような有様が百年、千年と続き、ついに兜雛様、身罷られる時が来た。
 奇神の御身支えうるは民の強き信仰のみ。しかしもはや、申国の知る兜雛様は、兜雛様にあらず、まじないの護符に描かれる一筆に他ならぬ。
 まあ引きこもりもGENKAITOPPAするとこうなるって良い教訓だよネ♪」
「(……あ、あの? 琵琶奏者さん? 事実ですがその、敬意を、ですね)」

 べん、べべべべん。
「かくして神力の守護を失いし行逢岬は、その真実を知らぬ民をおいて、その真実を知った荒神にこそ、今! 攻め入られんとす!
 荒神らは兜雛様の玉体より御力を奪い、刃と為し、人の世を覆うであろう!
 さすれば申国も歴史の終わり、人天覆滅、混沌と破滅が訪れる!
 ――そのような。
 そのような果てを、兜雛様は求められてはおりませぬ。
 おりませぬゆえ、古来の儀式を、今こそ復古なさる。
 儀式の名を、行逢岬総倣の行。荒武者ども扮する地蔵の鬼が、登らんとする若武者を挫き、その鼻っ柱を折る習わし。
 此度は皆々様に鬼となられ、暴れ来る荒神らを調伏していただきたく!
 不肖琵琶奏者、名を皐月彦といいますが、付してご助力、願い申しあげる!」
「(さつきひこは その 演奏とバリア特化でして いずれ げんかいが)」
「それ以上申されるとボクでも怒りますよ、兜雛様」
「(はぁい)」


「要は拠点防衛戦だ。
 最奥には、兜雛様の霊体と玉体――ご遺体のことだ――が安置されている。
 一昼夜も経てば、霊体と玉体の接続が復活して、めでたしめでたし、世は事もなし。
 けどそれまでに荒神が一体でも彼女に触ってしまったら、アウト。<奇神封紀>の世界がとんでもないことになっちゃう。
 お付きの取り子、皐月彦君は、専らその手前で兜雛様の守護を担っている。
 琵琶の演奏と、荒神を遮断する結界を張るのが得意だが、その力にも限度がある。
 まあ三百柱もとりつかれれば、パリーンってバリアが破れるだろう。
 そうなる前に……ローレットの出番だ。
 諸君には迎撃に出てもらい、敵の進行を防いでほしい。
 敵となる荒神は、『現時点では』数を頼りに攻めて来る小物だらけだ。物理であれ魔法であれ、干渉すれば掻き消されてしまうような現象に過ぎない。
 それらは三々五々、いわゆる戦力の逐次投入状態で攻めてくる。範囲攻撃でも単体攻撃でも、問題なく防衛できるだろう。
 ――ただ、数は多い。やたら多い。それだけは覚えておいてくれ。
 作戦があるならば、皐月彦君を動かしてもいいが、基本的に彼女はゴールキーパーだ。前線に出させるのはやめたほうがいいだろうね、と。
 期限は一昼夜。夜明けから夜明けまでだ。
 では、人知れず世界を救いに行ってもらおうじゃないか、得意運命座標」

NMコメント

 こんにちは、はじめまして。
 ノベルマスターの君島世界です。
 今回は、<奇神封紀>という異世界にて、拠点防衛線を行いましょう。
 現時点で(含みのある言い方ですね?)わかっている情報はオープニングの通りですので、若干の補足情報を。
 なお、同じ<奇神封紀>のシリーズとはあまり関係がありません。ここからでも問題なくご参加いただけます。

 それでは、皆様のオフェンシブデフェンスだったりディフェンシブオフェンスだったりするプレイングをお待ちしております。

●補足情報
兜雛:いくさの神です。外見は妙齢の……こちらの言い方ですと「年齢Unknown」に相当する女性です。が、自分にものすごい神威があることを弁えており、得意運命座標にも、皐月彦にすらその姿を見せることはありません。

皐月彦:兜雛付きの取り子です。千年前にうっかり兜雛の姿を見てしまったため、ものすごい量の神威を付けられましたが、その力のほとんどを『兜雛の姿を記憶する』ために費やしているため、攻撃能力は皆無です。女の子です。

  • <奇神封紀>行逢岬総倣の行完了
  • NM名君島世界
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月22日 17時33分
  • 章数1章
  • 総採用数2人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補


「まずは、大技から」
 青葉茂る神域の林に、『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)が自然体に構える。
 淡く燐光纏い、三昧に開いた目に、すると坂を駆け上がる荒神らの姿が映り込んだ。
 掌を立てる。指の隙間透かし、セリアは討つべき神を大雑把に捉えた。
「まっすぐは、まっすぐで塗り潰しましょうか」
 ……光、爆。乾いた地殻の捲れる音が、それに続く。
 セリアは前に出た。左右を見る。
 先の魔砲より運良く逃れていた、荒神が2。飛びかかってくる――。
 ――ので、左右両腰から分厚い書をX字に引き抜く!
「物理からーーー!」
 十分に強化された背表紙の角が、額をひとつ砕いた。
 打ちもらしは気にせず、くるり持ち替えて、書を拓く。
「神秘ーーーっ!」
 対に掲げた『寓喩偽典ヤルダバオト』が暗く光り、セリアを含めて一帯に球形の影を架した。
 そして上方、葉脈より染み出すように、黒犬――ブラックドックがこぼれ落ちる。
 すたん、という聞き慣れた足音に、セリアは懐かしさを感じた。
「異世界にもちゃんと来てくれるのね。いい子」
 下げたセリアの手のひらに、すり寄る犬耳のしなやかさ。
 ぴすぴすと動く鼻先は、どうやら荒神らを嗅ぎつけているらしく。
「さあ、とってきなさい!」
 セリアはそちらへ向けて、『星夜ボンバー』を投げつけた。
 パパパパパパン!
 炸裂音が消える前にこそ、ブラックドックは駆けつけ――荒神の喉を食い千切る!

成否

成功


第1章 第2節

オラン・ジェット(p3p009057)
復興青空教室


 燃えるような橙色が、木々のあいまを過ぎるたびに、幾柱かの荒神が撲殺されている。
 走る挙手、滑る投足。
 狙いは曖昧、撃たれる方も頭と言わず胴と言わず、つまり身体のどこかという有様だ。
 それを、『期待の新人』オラン・ジェット(p3p009057)は恥じはしない。
「~~~~~~~~ッ!」
 逆だ。楽しんでいる。誇りにも思っている。
「何もかも、俺の思い通り!」
 目玉が、角が、握った拳が、その剛力を存分に、『作戦として』奮えるこの場にいることを!
 ――と。
「(おーい、聞こえてるかオラン・ジェット)」
「皐月彦か! どうした!?」
「(どうしたもこうしたもないよオラン・ジェット。言ったろ、前に出過ぎるなって。
 そろそろ戻らないと、本当に囲まれるぞ)」
「げ、マジか! そうならねえよう、気ィ付けてたんだけどなー」
 オランは息を吐いた。自らの状況を確認する。再確認する。
 ……良し。
「――オラン・ジェット、一旦戻るぜ」
 踵を返し、坂を駆け上がる。
 坂の構造は、頂上に向けて次第に狭くなっていくものだ。なので、どこかで仲間が討ちもらした荒神が、登るオランといずれ並走することとなる。
 当然――!
「っっしゃらあああああ!」
 ――踏み殺した!
 ブーツの底にこびり付く残滓を、幹に擦り落とし、次の荒神へと跳ぶ。
 背中を見せているそれを。
「【鬼眼判官】で見えてんだよ! テメエらの死に様がな!」
 過たず、撲殺した。

成否

成功


第1章 第3節

 

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