PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ヤクザとダンジョンと子供とオネエ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■天を貫く塔
 とある異世界にて。有名な塔があった。
 古代の超魔法の産物、あるいは超科学の産物も呼ばれる一つの塔。空を突き抜け雲を貫き、果ての果てまで続いていそうな頂の見えない塔。内部は不可思議な力で見た目以上に広く、多数の魔物とお宝が眠るいわゆるダンジョンと化していた。
 当然、一攫千金、名声、強敵などなどを求めて集まる冒険者で賑わい。塔の近くでは大きな宿場町ができていた。
 親切な事に五階層ごとに現れるボスを討伐すると、その階層までのパスが貰え。それを入り口で翳すと続きから挑戦できるというシステムまであった。パスを持っていれば同じ階層を行き来し鍛錬する事も可能。しかし、内部で力尽きればそれまで。故に無事に戻れたものは武勇を讃えられ、戻らぬ者はやがて忘れ去られる結末。
 それでも今日も、その塔周辺は賑わっていた。
 今現在、最高の頭頂記録は五十階。その前人未到の記録を成し遂げたのは……。
「組長、今日も決まってますね!」
「あらーん、ありがとうねー」
 ヤクザであった。しかも、普通のヤクザと違い。長はイケメンマッチョのオネエであった。
 ヤクザを名乗っていても人に乱暴は働かず。もっぱら塔へのアタックを続けるだけの組。その一方で困っている人を見逃せない性格でもあり、故に人望も厚い。
「親父、調子に乗ってんなよ」
「お姫ちゃんったらヤキモチ? 大丈夫よー、私の愛はあなたのモノ」
「それをやめろって!」
 隣に立っているのは一見美少女。しかし、彼はれっきとした長の息子、若頭。女にしか見えない顔と、非力な体がコンプレックスで。それでも父親には負けたくないと魔道の道を志した青少年である。

 そんな組に、突然の知らせが舞い込む。
「兄貴、大変でさぁ! 塔に子供が迷い込んじまったそうだ!」
「なんですって!?」
「しかも目撃者の話によると、俺たちの荷物に忍びこ……ゲハァ!?」
「なんで荷物を確認しなかったこのスカタン!」
 話の途中で長に殴り飛ばされる子分。ともあれ、事情を聞くと。子分達は次のアタックに備え五十階のワープ先へ道具を運んでいた。その箱の中へ子供が忍び込んだのに気づかず、運んでしまい……。
 塔から戻ったところで人々が慌てているのに気づき、情報を集めていると……との事である。
「桜姫、準備しな! すぐにいくぞ!」
「おうよ!」

 仁義に厚い親子の人助け。イレギュラーズ達の選択は如何に。

NMコメント

 夢で見た話をネタにするシリーズ、以下略です。
 OPには書ききれなかったのですが、参加者の皆さんはたまたまこの親子と塔の入り口で出くわし、話を聞いて同行を申し出た形になります。親子も快く同行を受け入れてくれますので、協力して子供を救出してください。
 以下シチュエーション等。
■組の長:明
 ヤクザの長で、イケメンマッチョでオネエ。オネエなのはキャラ作りな為なので普通に女性が好き。
 この街周辺では伝説的な喧嘩屋であり、腕っぷしはめちゃくちゃ強いです。素手なのに魔物と余裕でやりあうフィジカル。
■長の息子:桜姫
 おひめ、と名前は読む。どこからどう見ても女性のようだが、男。本人の心意気も男。名前の由来は、娘が欲しかった父親が生まれる前からコレしか考えてなかったが故に。
 父親と違い貧弱な体がコンプレックス。しかし努力の末に魔道の道に目覚めた努力家でもある。
■長の弟分:キヨとピコ
 本名がキヨヒコな二人。兄弟でもなんでもなくたまたま名前が一緒なだけ。長とは昔からの付き合い。
 ヒコじゃなくピコなのは、長がその方が可愛いから、と呼び始めた模様。刀と銃を持っています。
■子供×1
 塔に事故で運ばれてしまった子供。五十階層には間違いなくいますが、歩き回っている為発見には時間がかかるかも。あまりにかかりすぎると魔物に見つかってしまいます。
 今は幸運にも見つかっていない模様。

■猿の魔物×?
 何匹いるかわからない、猿型の魔物です。結構強い。
■森のフィールド
 塔の中なのに森林です。故に猿の魔物は神出鬼没となります。

 以上となります。
 子供さえ保護できれば魔物の殲滅はしなくても構いません。セーブポイントまで戻り脱出してください。
 余裕があれば、長からなにか話が聞けるかも……?
 それではよろしくお願い致します。

  • ヤクザとダンジョンと子供とオネエ完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年10月07日 22時50分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
豪徳寺・美鬼帝(p3p008725)
鬼子母神
砧 琥太郎(p3p008773)
つよいおにだぞ

リプレイ

■早く、疾く!
 異世界に向かったイレギュラーズ達は、塔の入り口に入ろうとしていた一行を見つけ出し協力を申し出る。一瞬面食らった顔をした男達だが、すぐに笑顔で手を差し出す。
「おう、なんだか知らねぇけど人手は多い方がいい。俺は明だ、よろしくな!」
「義弘だ。仲間のジョージと琥太郎、み……ミキティだ」
 厚い握手を交わしながら『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)は皆を紹介する。『鬼子母神』豪徳寺・美鬼帝(p3p008725)の要望で彼なりに可愛らしく呼んだ努力は認めてあげて欲しい。
「さて、急ごうか。子供に説教する為にも無事助け出さなくてはな」
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)はコートの裾をたなびかせながら、塔の入り口へと足を踏み出す。その仕草に少年・桜姫は目を輝かせていた。
「かっこいいな、アンタ」
「そうだろ、そうだろー。オレの事も頼るんだぞー」
 小柄な桜姫より更に小さな『つよいおにだぞ』砧 琥太郎(p3p008773)はアニキカゼを吹かせていたが、通じたのか通じなかったのか。「ああ、そうだな」と曖昧な返事だけが帰ってきた。
「さ、いっくわよん。子供達の為に頑張らなきゃね」
 美鬼帝が言う子供には救出対象だけでなく、琥太郎や桜姫。もしかしたらジョージ達も含まれているのかもしれないが……。
 全員が塔の入り口へ乗り込んだのを確認し、明がカードを掲げる。
「ちょっとばかし眩しくなるぜ」
 その言葉通り、8人は光に包まれ。塔の入り口から姿を消す。

 光が消え、視界が蘇ると目に入ってきたのは草木生い茂る森林。塔の中へ入ったはずなのに、野外にいるような錯覚にイレギュラーズ達は面食らう。一方のヤクザ組はなれた様子だが。
「不思議なものだな……どうなっているんだ」
「俺にも詳しい事はわかんねーけど、古代技術の結晶らしいぜ」
 辺りを見回しながら呟くジョージに、桜姫がそれとなく説明する。彼も詳しい原理などは一切わからないゆえに、漠然とした説明しかできないのが少し歯がゆいらしい。
「呆けるのは後にしようや。早くガキンチョを見つけないとな」
 外で見せるオネエモードではなく、ヤクザの頭モードの明が腕を回しながら告げる。その言葉にイレギュラーズ達も各々気合を入れ直し、それぞれができる事を行い始める。
 琥太郎は全身の神経を研ぎ澄まし、助けを求める感情を探す。ジョージは発達した嗅覚で子供の僅かな匂いを嗅ぎ分け、義弘は聴覚を駆使し声を聞き分ける。
 美鬼帝は数瞬無防備になる仲間を守る為に、敵対心を持つものを見分ける事に注力。即席のパーティーとはいえ、コンビネーションは抜群だった。
「だめだー、オレのセンサーにはかからないぞー」
「匂いは僅かだがするな。こちらの方向だ」
「声も微かに聞こえるな。あっちだ」
 琥太郎が肩を落とすと同時に、ジョージと義弘が正反対の方向を指差す。どういうことだと顔を見合わせる二人に、明が地図を片手に説明する。
「この階は歩ける場所がこう、ぐるっと円形に広がっているからな。歩き回っているんだろうよ」
「それなら、義弘君の声が聞こえたって方向に向かった方が良さそうだわね」
 幸いこの近くには魔物はまだいないみたいだし、と付け加える美鬼帝に頷きを返し。先頭きってあるき始める明。後ろにイレギュラーズが続き、最後尾はキヨとピコ、桜姫が続く。

■猿と子供
「ここ、どこぉ……おかあさぁん、おとうさぁん……」
 一方の子供はといえば。はじめの頃は未知の領域の探検に心ときめかせていたものの、だんだんと一人が心細くなり、歩みが止まりかけていた。
 更に間の悪い事に、魔猿達が子供に気づき徐々に包囲網を完成させつつあった。どん、と一匹の体躯の大きい魔猿が子供の前に降り立つ。
「ふえっ」
「キキーッ!」
 腕を振り上げ、子供に襲いかかろうとする魔猿。
「そうはさせねぇ!」
「こっちよ!」
 振り上げた腕を明とジョージが殴りつけ、その隙に美鬼帝が子供を大きな体躯の影に隠す。間一髪間に合ったのだ。
「随分でかい猿だな」
 指の骨をポキ、と鳴らしながら義弘も猿の前へと歩み出る。三人の大男に囲まれる形になった魔猿は大きな雄叫びをあげた!
「グ、キッキーッ!!」
 その雄叫びに合わせ、周囲の木々から大小様々な猿の喚き声が立ち始める。
「なるほど、こいつがボスか。ちょうどいい」
「お前、よく無事だったなー。頑張ったなー」
 不敵に笑うジョージの後ろで、琥太郎は子供に法被を着せて安心させるべく頭を撫でてやる。一瞬穏やかな笑みを浮かべた少年は、すぐに戦士の顔へと変貌する。
「ミキティ、子供は頼んだぞ!」
「はいはい、お任せね」
 安心したことで力が抜けたのか、へたり込んだ子供を背中におぶり美鬼帝は後ろへ下がる。
「全部を倒す必要はねぇ、撤退するぞ!」
「おう!!」
 明の声に全員が応え、同時に猿達も獲物を逃がすまいと殺到する。

「貴様らの相手はこの俺だ! 死にたいやつから掛かってこい!」
 メガネを胸ポケットにしまいながら、ジョージは猿の声にも負けないように大声を張り上げる。人語を解したかどうかは定かではないが、猿達は声の主たるジョージへと殺到する。
 しかしそれこそが彼らの狙い。ジョージの左手側には義弘が、右手側には琥太郎がそれぞれ待ち構え。
「そっちは任せたぞ、義弘!」
「おう」
 二人が放つは荒れ狂う暴風。武器を持つか持たないかの差はあれど、鍛え上げた胆力で腕を振るうは同じ構え。あるいは殴りつけ、あるいは衝撃波のみで弾き飛ばし。ジョージに殺到しようとした猿達を跳ね除ける。
「油断しちゃ駄目よ、ボスは真正面だわ!」
「わかってらぁ! 桜姫、キヨ、ピコ、後ろは任せた!」
 一際大きな体格の魔猿と真っ向から組み合いつつも、指示を忘れない明。その豪腕と勇猛にはイレギュラーズ達も感心した。
「雷よ我が声に応え詠唱破棄の五!」
 杖を振り上げながら呪文の詠唱文を口にする桜姫。彼の声に合わせ、木々の合間をすり抜けて天より落雷が降り注ぐ。
「こっち、だ。早く行くぞ!」
「ええ……大丈夫、きつそうだけど」
「詠唱破棄は結構負担でかいんですよ、姫は無茶するから……」
 たった一度の詠唱で足元がふらつく桜姫を、美鬼帝は子供を背負ったままで心配する。キヨが銃で猿を威嚇しながら説明をし、なるほどと合点がいった。ただでさえ体力がない彼が、体に反動のある詠唱破棄を行使するとは、相応の覚悟と義侠心がなければできない事だ。
「やっぱり親子、なのね」

「明、俺たちも下がるぞ!」
「おうよ!」
 魔猿とやり合いながら、ゆっくりと後退していく前衛組。幸いにもジョージと明の体力と防御技術が高く、深手は負っていないが。時間をかければスタミナ切れで痛手を負いかねない相手なのも事実だ。
「一瞬、そいつの動きを止めてくれ!」
「任されよう!」
 琥太郎の声に合わせ、義弘が自らの生命力を犠牲に毒手を猿の胴体に打ち込む。その威力に魔猿が一度体を揺らめかせ、その隙を突いて琥太郎の戦鎚が頭蓋を叩き割る!
「これでもくらえーっ!」
 多重に体を蝕む衝撃に、さしもの魔猿も膝をついた。その間にさっと一行はセーブポイントまで戻り、猿の追跡を振り切って入り口へと帰還する。

■親心
「ほら、この子は無事よ」
「ありがとうございます!」
 塔から出た明はオネエモードに戻っており、子供の両親に笑顔で無事を報告していた。先程まで子供を背負っていた美鬼帝の背には桜姫がおぶわれている。
「桜姫も凄いんだなー、あんな凄い魔法を使えるなんて」
「でも、姫はその度に気を失ったり血を吐いたりしてるんでやすよ」
 気を失った桜姫に、羨望の眼差しを向ける琥太郎に。重々しい口調でピコが告げる。彼の努力と、その代償を。
「この子くらいの歳だと、親に無性に反抗したくなるものだからね」
「そんなものなのかー?」
 美鬼帝の、どこか懐かしむような口ぶりに首を傾げる琥太郎。一方の義弘とジョージはかつての自分を思い起こしていた。
「皆、協力感謝するわー。本当助かっちゃった」
「あ、ああ。このくらい大したことはない」
 オネエモードの明に礼を言われ若干たじろぐ義弘。この変貌ぶりに慣れるには少し時間がかかりそうだ。
「ご飯食べに行きましょ。お礼に奢るわよ」
「む……ならば言葉に甘えるとしよう」

「そういえば明ちゃん。貴方はどうして塔を攻略しているの?」
 明に誘われるままに入った食堂で、豪勢な食事を振る舞われながら美鬼帝は疑問をぶつけた。ヤクザだという彼らが冒険者の真似事をしている理由が気になったのだ。
「あー……ほら。ワタシ達ってまともな職につけなかったのよね。それなのに女作って粋がって、子供ができちゃって……一度はまともになろうとしたけどなれなかった」
 懺悔するような、後悔を滲ませたその口調に義弘は僅かばかりに同感する。彼もついぞ、人に自慢できる生き方をしてきたとは思えないからだ。
「で、おひめの母、ワタシの女が逃げちゃって。なんとかして生きなきゃいけなくなった。どうすればって考えた末に、喧嘩しかできないなら喧嘩すればいいって、ね」
 先程とは打って変わって、ちょっとお茶目に笑ってみせる明。琥太郎は難しい話はわからないけども、それでも明が今を後悔していないのは理解できた。
「いいと思うぞー。姫も、きっとそんな明の事が好きなはずだからなー」
「だといいんだけれどね」
 未だに気を失ったままの桜姫の頬を撫でる明の顔は、父親でもあり、母親でもあった。
「……ミキティ、アンタに似ているんだろ?」
「ちょーっとタイプは違うかもだけど、ね」
 水を一口含み、湿らせてから小声で語るジョージに。彼もまた明と似たような微笑みを浮かべながら答えた。

成否

成功

状態異常

なし

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