シナリオ詳細
なんだかもうとっても疲れて飲まなきゃやってられないので一杯やりたいお話。
完了
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オープニング
●もうまじ無理なんだが
仕事じゃいい所だけ持ってかれて俺はその下準備をして大した成果も出せないやつってことにされて。
家庭内じゃ俺の洗濯物は避けて現れる。娘が高校生になるとこういうときに大変だとは思ってたが、疲れている俺の心には鋭いナイフのように突き刺さる。
「ただいま……お、ドラマを見てるのか。最近のは何が流行ってるのか、」
「うっさい。今いいところだからどっかいって」
「……そうか、すまん」
最近妻は忙しいのか、昔のように出迎えてくれることはなくなって。帰ってきたら布団で寝ている。その寝顔は穏やかだ。
俺は大切な家族のために働いている。
そのことはすごく誇らしい。
だけど。
「飲まなきゃやってらんねえよ〜〜!!!!!」
日付も跨ぎ午前一時。行く宛もないのに、俺は家を飛び出し――そして、
「おっさん、腹減ってんの? うちで食ってけよ、損はさせねえぜ」
口の悪い大将と、出会ってしまった。
●大将〜聞いてくれよォ〜!
「はぁ〜〜もう大将! 聞いてくれよ!」
「おう、どうした」
「娘が最近冷たくてよお!」
「おー」
「さびしい!」
「娘さん何歳だ?」
「17……」
「あー、思春期だな。嫁入りの時にはどうにかなってるだろ」
「俺の娘は誰にもやらん!!!!
それによぉ、カミさんがよぉ、俺のおこづかい10000にしたんだわ!」
「おー」
「俺キャバにも行けねえし、なんなら弁当20回買って終わっちまうよ!」
「どんだけ使うつもりなんだよおい!!
まあ、お前のこと好きで結婚してんだからさ、カミさんのこと大切にしてやんなよ」
「うっ……確かにその通りだ、大将〜おかわりっ!!」
「おー飲め飲め、お前が飲むだけで俺の稼ぎになる」
「大将ってそこら辺抜け目ねえよな」
現代日本的な世界。夜の街に手押しの屋台が現れる。
その店主――大将と呼ばれる男は、年齢不詳、口もあまり良い訳ではなくどちらかと言うと悪い方。しかしながら、持ち前の達者な語り口と、美味しいご飯で溜まりに溜まったもやもやを晴らしてくれるのだとかなんとか。
そして今宵も、疲れた誰かが、赤い暖簾を潜るのだ――。
- なんだかもうとっても疲れて飲まなきゃやってられないので一杯やりたいお話。完了
- NM名染
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年09月13日 14時16分
- 章数1章
- 総採用数5人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「はぁーあ、今日も疲れた……!」
銀糸と微かな炎揺らし、ユーリエは夜の街を歩く。
(なんだかどこかで羽を伸ばしたい気分。ん?あれは…)
視界に映る赤。
間違いない。きっとあれは――、
「こんばんは~……やってますか?」
「お。若い子が来たな、いらっしゃい。
まだやってるぜ、いっぱいやっていくか?」
「あ、お酒はごめんなさい! まだ19歳なので一応未成年です!
匂いだけ楽しめればっ!」
「お、そうか、悪かったな。じゃあソーダで我慢してくれ」
手招く大将に頷いて、ユーリエは暖簾を潜り椅子へと腰掛けた。
「んく…ぷぁ…はぁ。疲れた体に炭酸が染み渡りますね……」
「なんだかお疲れなんだな、何かあったのか? ああ、言いたくなけりゃ言わなくていい」
「……なんだか、最近色々あんまりうまくいかなくって。
大将さん、こういう時はがむしゃらに頑張るしかないのでしょうかぁ…?」
ふむ、と頷いた大将。
ガラスのグラスに、こぷこぷとソーダを継ぎ足して、はにかんだ。
「頑張ってるな。おつかれさん。
頑張れるってのは、できない悔しさを知ってるからだ。
だけど無理しちゃいけねえぜ。我武者羅になる前に、まずは元気をチャージしていきな」
ほらよ、と差し出された焼き鳥。ユーリエは手を伸ばし美味しそうに頬張った。
「焼き鳥、おいしい……! 明日からも頑張れそうです、大将さんありがとうございました!」
「おう。オーバーヒートしねえようにな」
成否
成功
第1章 第2節
「も゛でだい゛っ゛っ゛!」
「わかる」
乾杯、とジョッキを上げて酒浸り。二人して飲んで飲んで飲みまくれば――普段は吐露せぬ本音も漏れ出すというもの。
容姿端麗なオトナもアルコールの力を借りれば、素直な男に早変わり。冥夜はテーブルに顔を伏せ、けれどジョッキは離さず飲み続けていた。
「苦労はあれど概ね順風満帆、大して気にしていなかったーー否、気付かないフリをしていた事があるんです!」
それがつまりは冒頭の一言に帰結する。
おー、と適当に返事を返す大将。泥酔しているとわかっているからこそなのだろうがなかなか塩対応。
「両手に華と欲張りはしませんから、ただ一度でも真っ当なお付き合いをしてみたいのです。
なのにこれまで連戦連敗」
「うわっつら」
「いい感じになった友人への告白は玉砕し、可愛い情報屋さんにも逃げられ、挙句既婚者のライバルにはあざ笑われる始末……嗚呼、私がDTと分かったら配下のホスト達にどれほど見下されるでしょう。考えただけでも胃痛が……」
「Daikon Tikinな、おーけーおーけー」
「ちょっと大将、ちゃんと聞いてます? いっそ大将が付き合ってくれてもいいんですよ!?」
「えっ何おにーさんそんな趣味あんの? 俺ちょっと掘られるのは勘弁だわ」
「そういうわけじゃあありません! ただ私は真っ当な恋愛を――」
「うん、わかった、よし、タクシー呼ぶわ」
「ちょっとぉ!?」
この後めちゃくちゃやけ酒した。
成否
成功
第1章 第3節
「……ひっく、はぁ……あん? 飲みすぎじゃないかって?
むしろ足りないくらいだ、今はとにかく飲みたい気分なんだよ」
「いやーでもオッサン髪の毛みたいな色してんぞ顔。俺こえーわ。タクシー呼ぶ?」
「うるせぇ……ひっく、まだいい」
「……なんか嫌なことでもあったのか? 俺酒と飯しか出せねーけど、聞くぜ?」
ほらよ、と差し出されたのは状況に不釣り合いな肉じゃが。サービスじゃがと名付けられているようだ。
酒の力もあり、するりするりと言葉が解れ、零れるのは本音。
「嫌なことで別に、生きるのって大変だよなとか、人生折り返したおじさんに社会は優しくないとか今に始まったことじゃないし、正直そこまでダメージはないが。
……ただ、そうだな」
「ただ?」
「近頃妙に昔のことを思い出すんだ。
気分のいい思い出じゃない。だから、どこか良くない予感というか、胸騒ぎがしてるような気がして――って違う違う!
そういう話がしたいんじゃない。とにかく今日は飲むんだよ!」
「……おー、そーか。じゃあ飲め。ただし金は払え」
こぷこぷと注がれるビール。満たされるコップ。
思いを沈めればいいという訳では、ないけれど。
「ってあ、こいつ寝やがったな……? しゃーねー、タクシー……」
背を向けてスマホを取りだし、タクシーを手配する大将。
すやすやと眠るランデルブルクの寝顔は、切なげで。
「……すー……ま……くれ……アンネマリー……エルンスト……」
成否
成功
第1章 第4節
「すっかり遅くなってしまいました……おや、美味しそうな匂い? あの屋台でしょうか?」
疲れた、と肩を落としていたアルンの鼻腔を擽ったのは優しい煮物の香り。釣られるままに暖簾を潜り――、
「こんばんは、まだやっていますか?」
「えっと、まだ未成年なので炭酸でお願いします。
オススメは…肉じゃがですか? ではそれも!」
「ゆっくり食えよな?」
ことり、置かれた炭酸と肉じゃが。ノルンはコップを掴むと、一気に飲み干した。
「んっ…んっ…ぷはぁ…! ご飯もおいしーですね!」
「お? 嬉しーこと言ってくれんじゃん。……で、なんか悩み事か。おにーさんに話してみたっていいんだぜ」
な?と目線を合わせ、カウンター越しに笑いかける大将に、ノルンは頷いた。
「……毎日お仕事貰えてるのはとってもいいことだってわかってるんです…!
でも、イレギュラーズになって確かに身体能力はあがりましたけど、まだ10歳の子供なんです。
大人の人に囲まれて、遠慮せずに話したりなんてできるわけないじゃないですか…!」
「10歳で頑張ってんのか……偉いな。無理すんじゃねえぞ?
小さいうちから色んなことに触れて、考えて、知って……それができるのはいいことだ。迷惑かけたって誰も怒らねえから、大人を頼ってもいいんだぜ」
こくり。小さく頷いたノルンは、はにかんだ。
「……全部話したらすっきりできました…明日からまた頑張ります! ごちそうさまでした!」
成否
成功
第1章 第5節
「お、屋台かぁ……たまにはいいかも。こんばんは、やってるかな?」
「おーやってるぜ、いらっしゃい。酒でいいか?」
「お酒? ボクはお酒は飲まないんだ……そうだね、お茶がいいかな」
「おう、わかった」
今日の透夜は一日雇われメイドだった。けれど、ちょっぴりお疲れ気味の様子。
「うーん、今まで冗談のつもりだったけど本当に欲しくなっちゃったかもなぁ、『ご主人様』ってやつ……」
なんて悩みながらもしっかりメニューは眺め、腹ごなしをしっかり行う様子。
「あ、大将、オススメは?……肉じゃが! いいねー、一つお願いするよ。
よくおふくろの味と言われるけど大将のお母さんの味なのかい?」
「ん? あーこれは、そうだな……母さんの味だぜ。上手いだろ?」
「うん。うちは鶏肉を使うけど、これも美味しいね」
パクパクと食べ進める様子には大将もにっこり。ふう、と一息ついたところで、なあ、と声をかけられるのだけれど。
「……さっきの。ご主人サマ、って……欲しいのか? 雇い主」
「……さっきの? あはは、聞かれてたか。ちょっとした気の迷いだよ。
それにボクだって半人前だからね。誰か一人に生涯を誓うようなこと、起こったとしても先の話さ」
はは、と笑い飛ばして。赤い瞳がグラスに揺れる。
いつか出会う最良の縁に夢を見て――今宵は、乾杯。
成否
成功
NMコメント
心踊る物語を貴方に。どうも、染(そめ)です。
ビール入ったジョッキをカーンってやりたい気持ちと割れたら嫌だなって気持ち。
やさぐれたり疲れたり、いつも頑張る皆さんを労う場所があったっていいじゃない。
そんなシナリオです。
●ロケーション
あーもう無理!無理です!おつかれさまでした!解散!
そんな気持ちを持っている貴方。
仕事が疲れたのでしょうか。
依頼でおしりを叩かれたのでしょうか。
はたまた、最近恋人と喧嘩して仲直りの仕方がわからないのかもしれません。
そんな少しブルーな貴方の元に、手押しの屋台が現れます。
大将と呼ばれる男に不満や想いを吐き出しつつ、一杯ぱあっとキメましょう。
●注意事項
未成年の方にはそっと炭酸やお好みのドリンクが差し出されます。
unknownの方は自己申告で。
●大将
ズボラで口の悪い男です。ツッコミ気質。
見た目は若い男のようですが、話してみると案外歳をとっているのかと思うことでしょう。
●店のメニュー
お魚だったりお肉だったり、野菜だったり。
お酒のラインナップも豊富です。
大将のオススメは自分が好きだから肉じゃが。
皆さんの好きな食べ物を言ってみると、出してもらえるかも知れません。
第1章のみで終了を予定しています。
皆様のご参加をお待ちしております。
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