シナリオ詳細
赤い夕焼けと黄昏の学校
オープニング
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「はぁ、終業式の日に忘れ物をしちゃうなんて……ごめんね、シノちゃん。わざわざつき合わせちゃって」
「いいんだよ、カナちゃん。それに、アカネちゃんも忘れ物をしていて学校に来るみたいだから、あの子とも合流していこう」
終業式が終わり念願の夏休みに入ったカナたちだったが、宿題を終わらせるため勉強会をしようと思った矢先、カナが忘れ物をしたため一度学校に戻ることになった。
「それにしても真っ赤できれいな夕焼けだね」
「そうだね、とっても真っ赤な夕焼け……明日はすっごく晴れるよ!きっと!」
しかし彼女たちは気づかなかった。この真っ赤な夕焼けこそが、災いの合図だということを……
「あら、あなたたちも忘れ物を取りに来たのかしら?」
「はい、そうです。赤北先生、学校に入らせてもらえないでしょうか?」
まずカナたちは職員玄関にきて、日直であろう赤北先生に学校に入れるようお願いした。
「ええ、かまわないですよ」
「ありがとうございます。あなたたちも、ってことはもしかして他にも忘れ物をした人が来ているんですか?」
「うん、そうよ。確かアカネちゃん、だったかしら。とはいえ、最近の子はすごいわね。赤い夕焼けが出ているのに学校に来るなんて……」
赤北先生のつぶやきにシノが問いかける。
「えっと……夕焼けが出ているときに学校に来るとどうなるのですか?」
「あっ……いいえ、なんでもないですよ。こっちの話ですから。それより、早く行きましょー。忘れ物を見つけたらまたこっちに来てくださいね」
しかしシノの質問を赤北先生は答えをはぐらかして、二人を学校内に進めていった。
「よかった、忘れ物が見つかって。シノちゃん、ついてきてくれてありがとうね」
「いいよ、カナちゃん。それよりも、早く帰って勉強会の続きをしようね」
そう言いながら二人で並んで歩いていると、赤北先生とは別の先生がやってきた。
「よかった。二人もまだ無事なようね」
「桜森先生!それよりも、まだ無事って……」
現れて早々二人の無事を確認する桜森先生にカナは不信感を抱く。
「ゆっくり話すわけにはいかないから、簡単に言うわよ。
二人とも、すぐに体育館の出口を使ってこの学校から脱出して。決して職員玄関や生徒玄関は使わないことよ。それと、赤北先生を見つけたら、すぐに逃げて。そうしないと、あなたたちはヒトではなくなるわ」
「桜森先生、冗談にしてもちょっと言いすぎじゃ……」
「あなたたちは知らないでしょうけど、あの赤い夕焼けが合図なのよ!とにかく、ここから早く逃げるわよ!」
桜森先生に連れられて体育館へと向かうカナとシノ。しかし彼女たちを追う存在は赤北先生だけではなかった……
「はぁ、この町に長くいる桜森先生には流石にバレてしまっていたようですね。どうしますか?すぐに始末しますか?」
「そうですね……桜森先生は貴女たちが始末しても構わないけど、ほかの子たちは私が手をかけます。これでも【サンタ】ですから、彼女たちにヒトならざる力を与えてあげないと」
「わかりました。では私たち【メイド】は桜森先生の始末と逃走の妨害に専念しましょう」
「ええ、頼みますね。私のかわいいメイドさんたち」
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「さて、ここで君たちイレギュラーズには桜森先生と三人の生徒の逃走の手助けを依頼しよう。手助けの方法に関しては、体育館への案内や生徒たちの合流だけじゃなく、メイドやサンタとの対決も含まれるから、自分の得意な方法で彼女たちの逃走を手助けしてほしい。では、君たちの活躍を祈るよ」
- 赤い夕焼けと黄昏の学校完了
- NM名桃山シュヴァリエ
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年09月10日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
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境界図書館から夕暮れの学校へ転移したイレギュラーズたち。四人はそれぞれ別々の場所へ転移され、学校内を散らばって行動していた。
「でも、特別な力が手に入るっていうならもらったほうが得だと思うんだけどね……まあ、逃がせっていうならその通りにするけど」
『躾がなっていないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)は依頼内容に少々疑問を抱きながらも超聴力を使いながら校舎を探索していた。
「とはいえ、それらしい会話は聞こえないわ。サンタとメイドは別々に行動しているのかしら?」
「そいえばココって学校だよねぇ。けどこの状況は学校の七不思議っていうよりは秘密結社的なアレソレな気がするんだけど」
『電子の蒼海』鮫島 和真(p3p008994)もまたメリーとは別で依頼内容に疑問を感じていた。
「まっ、とりあえず道をふさいでおきながらセンセたちを探していこっか」
和真はロッカーなどを倒して、そこに式神をつけてから走っていった。
その頃『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611)は超聴力を使って単体で動いている音を聞き分けていた。すると……
「へぇ、隠れているような音の近くに近づく音かぁ。他はあんま変わった動きがあらへんみたいやし、ちょっと行ってみようかねぇ」
こうして紫月が向かった場所はとある教室。そこにはアカネともう一人の人物がいるのであった。
「転移された場所が保健室のすぐそばでよかった。これで包帯とかも調達できたし、ここから行動開始だね」
『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は保健室で応急処置に必要なものを持って行ってから行動を開始した。まず彼女は人助けセンサーでカナたちの居場所を探った。すると……
「あー、これはちょっと遅かったかもね……急がないと!」
秋奈は急いでカナたちのもとへ向かった。
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ここで視点はイレギュラーズたちからカナたちへ向かう。秋奈が人助けセンサーを使う少し前のこと……
「この道なら体育館まではすぐです。急ぎましょう!」
「先生!前に人がいます!」
「なんだか学校の制服じゃないようですけど……」
焦る桜森先生とそれについていくカナとシノの三人の前に現れたのは、ロングスカートのメイド服姿の女の子であった。見た感じの年齢はカナたちと同じくらい、というよりは……
「あっ、シホちゃん!こんなところでどうしたの?私と同じで忘れ物しちゃったの?」
その姿はカナと仲が良いクラスメイトとそっくりであった。カナはメイド服姿の彼女に近づくが……
「ご主人様からの命令です。あなたたちをここで始末します」
シホ、いや【メイド】の一人はカナに向かって包丁を構えて刺そうとし……
刃が当たる直前でメイドの動きが止まった。
急な展開に三人が振り向くと、そこには偶然その場を目撃していた和真が立っていた。
「どーやら間に合ったみたいだね。っと、遅いですよ。悪いですがこいつはオレがやります」
「あちゃー、ちょっと遅かったみたいだね。けどまあ、けが人が出る前に助けてくれたみたいだからありがとうね。それじゃ、三人は私が守るから、メイドの相手はお願いね」
そうして三人と秋奈は共に体育館へ向かい、和真とメイドは対峙した。
「言っとくけど、人ならざる力って『ただじゃない』んだよね。だから、今のうちにいっぱいお支払いしてもらいたいんだけど……その前に少し聞いていいかな?」
和真は結界術をいつでも放てるよう構えながらメイドに聞いた。
「どうぞ、構わないですよ」
「それじゃあ聞くけど、アンタのご主人様、恐らくサンタとやらは何を企んでいるんだ?」
和真が聞いたのはこの一件がどんな目的で起こったかによるものだった。学校の七不思議のようなものと感じられなかった和真らしい質問だったが、それに対しメイドは……
「はぁ、あなたの質問にはいくつか間違いがありますね」
あきれていた。
「間違い、か。どういうことだ?」
「それはもういろいろと。まず、私たちは別に何かを企んでこんなことをしているわけじゃありません。敢えて言うなら、これは動物の狩りみたいなものです。こうやって私たちは生きてきているんです」
メイドからの回答は、和真にはわかりづらいものではあったが、どうやら大きな組織がかかわっているようなものでは無いことはわかった。
「それともう一つ。私のご主人様はサンタではないです。現在ご主人様は動けないので、仕方なしにサンタに従っているだけです」
しかし、この言葉には和真も驚きを隠せなかった。なにせサンタやメイド以外にもヒトならざる存在がこの世界にいることが分かったからだ。
「まさか、ほかのやつらは……」
和真の焦る様子を見て、メイドは言葉をつづける。
「さっきも言いましたが、私のご主人様は今は動けないのでこの場に現れることはないです。ですが、いずれ回復したらこんなのじゃ終わらせないですからね」
そう言い残すと、メイドは消えていなくなっていた。メイドのいた場所には、動けないご主人様のもとへ戻ることが書かれているメモだけが残っていた……
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和真とメイドとの対峙が始まったころ、校舎内の別の場所では……
「アカネちゃん、私についていって赤北先生のいる生徒玄関に行こう」
「わかったよ、ミナちゃん。早くこの学校を出ないとね」
アカネが同じクラスのミナに連れられて生徒玄関へ向かっていた。
「けど、本当に生徒玄関まで行けばあの人をなんとかできるの?」
アカネがいうあの人とは紫月のことだ。まあ、妖刀と銃を持ってよくわからない服装をしていれば、何も知らない人はそっちに恐怖を持つだろうが……
「しかし、本当の敵はミナって子なのにねぇ。でも、二人がそばにいるこの場で撃つと場合によってはアカネにあたるかもしれないからなぁ。どうしようかぁ」
そうやって紫月が悩んでいる間にも、二人は赤北先生、サンタがいる生徒玄関に近づいていき、
瞬間、激しい光が全体を覆った。
そして光が収まると、遠くでサンタのコスプレのような服を着た赤北先生とミニスカートのメイド服を着たミナが膝をついて倒れていた。突然倒れた二人を見てパニックになりかけているアカネだが、すぐに紫月が飛刃六短でミナの首を切ったことでついに意識を保てなくなり気絶。結果、この場で意識を保っているのは紫月とサンタ、そして光を放った張本人のメリーだけとなった。
「ところで、実はわたしはサンタに言いたいことがあるからできれば殺さないでほしいんだけど、いいかしら?」
「そうだねぇ。私としては戦えればそれでいいから、そんでもええよぉ」
「あら?二人がかりとはいえ私相手に手加減しようなんて考えているのかしら?なめられたものね……その態度、後悔させてあげますよ」
すると、サンタの纏うオーラが強力なものとなった。
「どうやら、自分自身にさらに力を与えたみたいやねぇ」
「でも、殺すんじゃないわよ。あいつにはいい利用方法があるんだからね」
こうしてメリーと紫月は手を組んでサンタと戦うことになった。
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サンタとの戦いが始まる少し前。カナ、シノ、桜森先生、秋奈の四人はまだ学校に残っているアカネを探すために、しかしサンタやメイドに見つかった対策でまとまって校舎を歩いていた。
「そういえば、桜森せんせー。赤い夕焼けっていったい何なの?」
歩きながら秋奈は桜森先生に質問した。
「そういえば、私たちもそれについてはあんまりきいていなかったね」
「秋奈ちゃんの話じゃさっきの男の人みたいに強い人たちが赤北先生たちを止めているみたいですし、ここで一度説明してもらえませんか?」
カナとシノからもお願いされ、ついに桜森先生は赤い夕焼けについて語った。
「赤い夕焼けはこの地域だけで起こる現象なんだけど、昔からこの夕焼けが現れたときに忘れ物を取りに行くとヒトでなくなり消えてしまうって言い伝えがあるの。ただ、最近ではその言い伝えはあまり信じられていないわ。ただ……」
「ただ?」
「この学校の校長と赤北先生。この二人なんだけど、実は長い間姿が変わらずにずっとこの学校にいることを知って、私は何か怪しいものを感じてね。もしかしたら赤い夕焼けとあの二人には何か関係があるのかと思っていたんだけど、赤北先生のほうはそうだったみたいね」
「ということは校長先生も」
「とはいえ、私でもわからないことはいっぱいあるし、校長先生の正体についても確証が持てないから……この話はほかの人には内緒よ」
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そして生徒玄関に視点は戻る。サンタは自身に強化を施したものの、強力な戦闘力を持つイレギュラーズを前では逆転は無理だった。
「さて、わたしはあなたには言いたいことがあるのよ」
ボロボロになったサンタを前にメリーは聞いた。
「それはどんなことですか?」
「特別な力が欲しいならヒトじゃなくても構わない人間なら世の中には大勢いるはずよ。だから、力が欲しいって人にだけ与えればどうかしら?」
メリーがしたことはサンタに対するある種の提案であった。しかし、
「残念ながら、世の中はそう簡単にはいかないものよ。魔法使いちゃん、そんなことができたら数十年前からやっているわよ」
そう言い残してサンタは倒れ、メリーはやるせない気持ちを魔弾に込めてサンタの心臓を貫いた。
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こうしてサンタとメイドが撃破されたことで事件は解決した。しかし、赤い夕焼けそのものはまだ終わりではない。次なる犠牲者はいつ出てくるのだろうか……
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
お久しぶりです。桃山シュヴァリエです。最近はご無沙汰でしたが、これからは少しばかり頑張れそうです。頑張ります!
今回の目的
今回の目的はカナとシノ、桜森先生、彼女たちとは別の場所にいるアカネの救出です。しかし、行く手にはサンタや二人のメイドが待ち構えているので、戦うなり逃げるなりして対応してください。
舞台について
このシナリオの舞台は学校となります。学校の施設を利用するプレイングを書くといいかも……
登場NPCについて
サンタ(赤北先生)
謎の多い人物。対象にヒトならざる力を与えれるみたいだが、イレギュラーズ相手には使わずに格闘術で戦う。
メイド
二人いるサンタの手下のメイド。一方は包丁を、もう一方はナイフを持って戦う。包丁は至近物理のみ、ナイフは至近と中距離の両方の物理攻撃を使い分ける。
カナ、シノ、アカネ
何も知らない女子高生。もちろん戦闘能力はない
桜森先生
赤い夕焼けのことを知っている人物。三人と同じく戦闘能力はない。
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