シナリオ詳細
【猫達の楽園】ヘルプ・ミー!
オープニング
●聞こえるのは
猫の声が聞こえる。それは公園の、一番高い木の上。
「にゃあ…にゃ…」
心細そうな声は、下を歩いていたもう一つの猫の耳に届いた。だが、いくら何でもその猫が乗っている枝が高すぎる。
どうしてこんなことになったのか、もうわかりはしないが、その猫は見たことがあった。
近くの猫カフェの猫だ。
「にゃー、にー」
お前、どうして外に出たんだ。
ずっと外に出ていない家猫は外では暮らしていけないだろう。外の常識を知らないからだ。甘やかされて過ごし、野生の欠片もない。
「にぃ…」
ちょっと、興味があったから…。
……それでこうなってしまったのは、何とも言えない結果だ。
仕方ない、助けを呼んでくるか…。ラビ・ミャウは助けを呼ぶために走った。
●ヘルプ
「ということで、助けろ」
集まったイレギュラーズ達にラビ・ミャウは若干上からの目線でそう言った。その様子に思わずイレギュラーズも引く。
「……木の上に乗って降りれなくなった猫が居る。このままだと疲れて落ちて、怪我するかもしれない」
この暑さで、体力は直ぐになくなってしまうだろう。知り合いの猫なだけに、なんとかしたい、ラビはそう思った。
「方法は木を斬る以外で、何でもいい」
流石に公園の木を切り倒すのは駄目だ。それ以外なら、猫を助けるためなら何をしても良い。そこらへんはイレギュラーズに任せる。
怪我をしないように、安全に、猫を助けてほしい。
「…あぁ、そうだ。その猫の名前はシャロン。いわゆるベンガル猫だ」
運動能力は高くとも、外に出たことがない猫には外の世界は危なすぎる。
「助けた後は、シャロンの住んでる猫カフェに連れて行ってほしい。…その後は…まぁ、猫カフェで遊べばいいと思うけど」
猫カフェ【猫屋敷】。地図はラビが既に用意している為、それを参考にしてほしい。
「何でその猫屋敷の猫だと分かったかは……まぁ、怪しくない程度に誤魔化せ」
ぺいっとイレギュラーズ達に丸投げすれば、たしんっと尻尾で机を叩く。
「…そこの店員の姉さん、俺の知り合いだから、優しくしろよ」
- 【猫達の楽園】ヘルプ・ミー!完了
- NM名笹山ぱんだ
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年09月03日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●ヘルプ!
にゃあ、にゃあ、木の上から声を出す。こうすればいつもならお店の人や周りの猫が助けてくれた。どうしてそんなところまで登ったのか、それはもうシャロンには分からない。
怖いのは遠い地上。そして上から声がする、自分を狙っている黒い大きな烏。きっと弱ったところをつつかれてしまうのだ。
外は大冒険の連続だった。見知らぬ世界、見知らぬ場所、見知らぬ物、それがシャロンの目にはとてもキラキラして見えた。しかし、現実は猫に厳しかった。
「シャロンさんが凄い高いところに!?猫屋敷の中でもあんな高所はないですから、相当怖いでしょうね……」
公園についたイレギュラーズ達は微かに聞こえる猫の声を頼りにその木までたどり着く。上を見上げればベンガル猫の特徴である可愛らしいヒョウ柄の模様が見えた。
『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)は思わず声を出し、シャロンの心配をした。
(ずっと猫カフェの中で生活しているにゃんこからすれば、外の世界に興味が湧いてしまうのは仕方のない事だな)
好奇心旺盛なシャロンのことだ、隙を見つけて逃げ出したのだろう。『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は小さく頷いた。
「外に出ちゃったのは仕方がないので、私達でしっかり救助してあげなければな」
このままでは何れ落ちてしまうか、野鳥か何かに襲われてしまうだろう。
『もふもふハンター』リカナ=ブラッドヴァイン(p3p001804)は木の下に水を張り、シャロンが落ちてきた時の保険をし、そこに陣取る。
(モフモフとは、即ちこのリカナ=ブラッドヴァインの世界においては絶滅しているが故に、私にモフられる運命なのよ)
リカナの世界ではモフモフは伝説で語られる絶滅した存在。それならばこの世界のモフモフも、モフモフしなければいけない。
モフモフが無事なら顔面キャッチも胸キャッチもお手の物である。顔より胸の方が柔らかいかもしれないけど。
(ネコを助けるのに4人もいらないよな。他の皆もやる気十分だしひょっとして俺のいる意味なくないか?)
『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は3人から少し後方で様子を眺めている。まぁ、猫が助かるならそれでいいだろう。
ポーとゲオルグはそれぞれの飛行能力を使い、空を翔けた。ゲオルグは自分の大きな体の人間が近づくと驚くかもしれない、と一歩分下がりつつ空から人が来ないことを確認し、シャロンが暴れて落ちた時に備え待機をした。
「シャロンさん、大丈夫ですか?迎えに来ましたよ!」
ゆっくりと、しかし迅速にポーはシャロンの元へと向かった。小さくシャロンがにゃあと鳴く。
「私達のことは覚えてくれていますかね…?」
答えるようににゃー、と鳴く。覚えているかはわからない。だが自分を助けてくれる存在だと思ったようだ。
ポーはシャロンをそっと支え、その反対側をゲオルグが支える。そーっと、そっと、地上へ降りていけば、地面が近づいたことに気付いたのかぴょーんっと二人の手の中から飛び出した。
「わぁ!?」
「きゃ!」
「うわっ」
次の瞬間リカナの顔面にシャロンの前足と後ろ足が着地し、後方に居た世界の方へと跳んだ。慌てて跳んできたシャロンを世界はキャッチをし腕の中で大人しくなった猫の姿に息をつく。
「い、痛そう…リカナさん、大丈夫ですか?」
思わず心配の言葉を投げたポーにリカナは少し赤くなった額を抑えながら満足げに頷く。
「肉球が…モフモフだったわ」
「…それは、良かったな、と言うべきか。…無事でよかった、シャロン」
世界の腕の中で落ち着いているシャロンの頭をそっと撫でゲオルグはほっと息をつく。自分たちの手の中から離れた瞬間、とてもひやひやしたのだ。
リカナは喉が渇いたシャロンに水を上げ少し荒れた毛並みを自らのギフトである『モフモフトリートメント』で綺麗に整えた。
毛並みが整ったシャロンのモフモフ具合は素晴らしく、そして愛らしい。リカナの胸に抱かれながらイレギュラーズ達はシャロンの住んでいる猫カフェへと向かう。
その道は以前その猫カフェ『猫屋敷』の宣伝を行ったポーとゲオルグが知っている。
店の前には、顔なじみの店員の女性がそわそわしながら辺りを見回している。彼女はポーとゲオルグの顔を見れば、あっと言う顔をし、リカナの腕に抱かれたシャロンの姿を見れば涙目になりながらも近づいてきた。
「先日はありがとう、ポーさん、ゲオルグさん、えっと、なんて言ったらいいの、シャロンを…シャロン、連れてきてくれたのね…!?」
「落ち着いてくれ。…見たことがある猫が外に居たからな」
「はい、外で困っていたので、連れてきました!」
「ああああ、ありがとう…!私の不注意で外に出してしまって…シャロンに何かあったらって…。とりあえず、店に入ってって、ね」
涙目になりつつも4人を猫カフェの中へと招き入れる店員。
「お帰りなさい、シャロンさんっ」
猫屋敷へと帰ってきたシャロンにポーは笑顔でそう言った。
●猫屋敷のもふもふ達
「モフモフ…」
ここはもしかしたら天国かもしれない。リカナは自分の膝の上で眠っている茶トラ猫のクレアを撫で撫でモフモフしながらその柔らかさに感嘆の声を上げた。
店内の全猫をモフモフしたい所存だが、クレアが膝の上に乗っている今それが出来ない。穏やかな顔で眠っている姿を邪魔は出来ない。だけど…。
そのジレンマに駆られつつ通りがかった白猫まるの尻尾をそっと撫でた。
世界は甘い饅頭と頼んだお茶を飲みながら一人でゆっくりしている。可愛い猫はそこらへんでうろうろしている。
別の世界でマタタビを所持していたが故に大量の猫に襲われる悲劇の記憶がフラッシュバックをする。猫好きにはうらやましい記憶だ。
だがそれはあまりいい思い出ではない。だがら遠巻きに猫達が縦横無尽に動き回る様子を眺めていた。
もぞり、膝の上に何かが乗っかった。三毛猫のめざしだ。
「まあ、別にいいかそれくらいは…」
温いかたまりをそっと優しく撫でて、反対の手で饅頭を齧った。
「あれからお客さん、いっぱい来られてますか?猫達は元気にしてます?」
ポーはシャロンの怪我が無いか確認している店員に話しかける。元気にしてるのかは今の猫達の様子を見れば一目瞭然だけれど。
「前までと比べれば、来てくれてるよ。貴方達のお陰だね。…この子たちも元気だし。…うん、怪我も無いね、毛並みも綺麗だし…誰かににブラッシングでもしてもらったのかな」
流石にリカナのギフトのことは言えないのでポーは笑顔でそれに答える。
「この子たちの居場所が無くならなくてほんとによかった。シャロンのことも、ありがとう」
彼女は心から、猫を愛していた。
クレアを膝の上に乗せながら手の届く範囲で全ての猫をモフモフしようとしているリカナはキジトラのイノと目が合った。
手の届く位置に居る。だが触ればひっかくぞと言う表情でリカナを睨んでいる。
しかしリカナは気にしない。だって――
「ここに私の求める至高のモフモフ、その答えがある気がするわ」
気がするだけ?いやいや、そんなことはない。だってこんなにモフモフが居るのだから。
「えいっ」
その柔らかい毛並みを遠慮なくモフモフ――!イノの爪は躊躇無くリカナを引っ掻こうとした。
「こら、駄目だろう」
ゲオルグはイノの前足をそっと掴みリカナからイノを離す。人を引っ掻いた、となれば例え誰かが言わなくても悪評が広まってしまうかもしれない。そうすればイノはここには居られない。
ぴょんっと飛びゲオルグの手からも離れたイノはキャットタワーの上の方で威嚇をしている。
「…イノは人間に酷い目に合わされて人間嫌いになったのだろう」
だからあまり力にモノを言わせてモフモフすればさらに嫌われてしまう。リカナは成程、と小さく頷きクレアの頭を撫でた。
「イノ。…人間は敵ではない。怖くはない」
キャットタワーの上の猫へと、ゲオルグは優しく語り掛ける。すぐにはこちらに手を伸ばさないと気づいたイノは警戒を解きキャットタワーの一番上でごろんと寝転がった。
「イノ」
名前を呼ぶたびに、耳がピクンと動く。聞こえてはいるのだ。動く気はないだけで。ならばゲオルグが動くべきだろうキャットタワーの一番上はちょうどゲオルグの頭と同じくらいの高さだ。
指を驚かせないようにゆっくりと、近くに乗せる。それに気付いたイノは少し警戒をしつつも鼻を寄せた。小さな鼻がツン、とゲオルグの指をつつく。
「…触っていいか」
そっと頭を撫でる。柔らかく吸い付くような毛並み。ゲオルグが一つ撫でればイノはキャットタワーから、壁のキャットウォークへ移動しさらに天井近くへと行ってしまった。
少しモフモフさせてもらえただけでもいい方なのかもしれない。
「皆にお土産も持ってきましたよ!じゃーん!犬型の電子ペット!」
ポーが取り出したのは可愛らしい猫型の電子ペット。スイッチを入れて床に置いてみれば…
可愛く鳴きながら前進するそれはシャロンによって倒された。倒れたそれに驚いたシャロンはポーの膝に乗る。
「まぁ……猫達が楽しんでくれるなら、それでヨシです!」
柔らかいシャロンの毛並みを撫でながらポーは微笑んだ。
「もうすぐ規定の時間になってしまうからどいてほしいんだけどなぁ」
世界は呟く。そう、もうすぐ時間が超過してしまう。時間が過ぎるとどうなる?知らんのか?追加料金が発生する。
「だから実力行使になる前にどいてくれるとありがたいんだがなぁ!」
軽くゆすればびっくりしためざしは膝から退いた。
「よしどいた!第三部完!」
そんな世界に近づくのは黒猫のだんご。ぴょんと膝に飛び乗った。
「あぁ……」
その後、しぶしぶ延長料金を支払ったのは言うまでもない。時間を忘れイレギュラーズ達は猫と戯れたのだった。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
こんにちは、笹山ぱんだです。ヘルプです、イレギュラーズ達。猫を助けてあげてください。
【今回すること】
●シャロンを助けること
●シャロンを猫屋敷へ連れ帰ること
●猫屋敷でのんびりすること
【公園】
狭い公園だが、6mほどの高い木があります。その一番高い枝にシャロンは上り、降りられなくなりました。
木を切らずに、助ける方法を考えてください。
【猫屋敷】
こじんまりとした猫カフェだが、畳があり、靴を脱いで入るタイプの猫カフェ。
猫と遊ぶ道具はたくさん。透明なプラスチックで出来たキャットウォークもあり下から猫の生態を観察することが出来る。
入口で客の対応をする担当なのが、ラビの馴染みの店員である。
カフェだが、もらえる飲み物はペットボトルのジュースである。
猫一覧
【シャロン】
ベンガル猫♀ やんちゃ
【だんご】
黒猫♂。人見知り
【めざし】
三毛猫♀ のんびり屋
【まる】
白猫♂ 人懐っこい
【クレア】
茶トラ♀ 睡眠大好き
【イノ】
キジトラ♂ 元野良の人嫌い
猫達は部屋の中でのんびり過ごしているので、見守ったり構ったりしてあげてください。
それでは、宜しくお願いします。
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