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シナリオ詳細

<力の代償>箱庭学園七不思議 参

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●時計塔の幽霊
(舞白ちゃんに時計塔には行くなって言われたけど……でも、時計塔は、ともだちがいるもの。
 ひとりになんて、できないわ)
 おさげにした髪が揺れる。
 本を片手に、少女――社萌黄は、慣れた手つきで時計塔の鍵を開けて、その階段を上がる。
 時計塔の、幽霊。
 箱庭学園七不思議のさんばんめ、知らない人はいないお話だ。
『とけいとうのゆうれいはね、』
『とってもきまぐれなんだ!』
『ともだちがほしくてないてるんだよ』
『だから、ともだちのじかんをとめて』
『ずっと、ずっと、えいえんに!』
『とけいとうに、』
『とじこめちゃうんだって!』
 どこかの誰かが語っていた噂話を思い出し、萌黄は目を細めた。
(……だって、そんなのいるわけないわ。そんなのいるなら、ここに居るはずだもの)
 最上階。時計板の裏にある出っ張りに腰かけて、いつもの様に彼が来るのを待つ。
(じゃないと、私)
 こつ、こつ、こつ、と、階段を上がる音。
(彼に出会うことなんて、なかったもの)
「ごめん、萌黄。待たせたかな」
「――ううん、全然待ってないわ」
「ふふ、よかった。それじゃあ今日も、昨日の続きからはじめようか」
「ええ……魚月くん」

●ガトゥの葛藤
(……この物語は、最近様子がおかしいっす。
 第三者の介入を受けているのか……?)
 力の代償は終わったはずだった。
 舞白がイレギュラーズに救われた世界線で。
 舞白が平和に生きる世界で。
 けれど、再びこの物語は狂いだしてしまった。
 七不思議。悪さをするのも、キャラクターが死ぬのも正史ではあるが、舞白が巻き込まれるはずではなかった。
 それを理解しているからこそ、ガトゥは悩み苦しみ、葛藤を抱えていたのだが。
 巻き込まれている彼女とは別の、主人公が居るはずだった。
 その名前は――、
「……魚月黒が、いない?」
 ならば探すまでだ。
 次の犠牲者――社萌黄を見届けるためにも、そこに行かねばなるまい。
「……ひとが死ぬのは、当たり前の物語」
「だけど、見届けなければいけない時もある」
「……舞白ちゃんの、助けての声にも。全力で、答えてあげて欲しいっす」

「たすけて、ください。イレギュラーズ」

 ガトゥが振り絞るように向けた笑み。
 そこには、血塗れの黄色い封筒と。千切れたノート片があった。

『おねがい。また、また、ともだちが、しんでしまいそうなの
 どうして?』

NMコメント

 心踊る物語を貴方に。どうも、染(そめ)です。
 死ななければいけない正史。変わっていく物語。
 舞白のこころは、耐えられるのでしょうか。
 それでは、今回の依頼の説明に入ります。

●依頼内容
 社萌黄の討伐
 (サブ:魚月黒の情報を得る)

●時計塔の幽霊
 時計塔に住まう、怨嗟の幽霊です。
 取り憑いた者に恋の幻覚を見せ、次第に衰弱させ、負のエネルギーを蓄えさせ、正常な判断を失わせ、そして自殺させます。
 取り憑いた者を操り攻撃を仕掛けてくるようです。
 1度乗っ取ったものを返すつもりは、ないようです。

●社萌黄
 やしろ もえぎ
 七不思議の三番目、時計塔の幽霊に魅入られてしまいました。
 魚月くん、魚月くん、と名を読んでいますが、意識の有無は定かではありません。
 包丁やカッターをポルターガイストで操っています。 

●舞白
 幸宮 舞白(ゆきみや ましろ)
 くだものと友達が大好きな17歳の女の子。
 癒しの能力を持つ超能力者で短命、それ故に入院していました。
 虚弱ではありますが、走ったりするのは問題ありません。足は遅いです。
 サポートが必要であれば、ヒーラーとして立ち回ります。

●世界観
『力の代償』
 という物語の中。
 現代日本によく似た世界ですが、超能力者が居ることが大きな違いです。
 超能力者は二つのグループに対立していて、良いことをする超能力者と悪いことをする超能力者に別れているようです。
 超能力者はその力と引き換えに短命で、大人になることが難しいと言われています。

●注意点
 あまりにもプレイングの文字数が少ないと、描写が極端になります。
 プロフィールの一人称や口調の設定をよろしくお願いします。
 探索行動はやり過ぎでなければOKです。

●サンプルプレイング
 ぽ、ポルターガイスト……どうやって対処しようか。
 とりあえず死骸盾を使ってから、よびかけてみよう。
 ……殺さなくて済むなら、殺したくないけれど。

  • <力の代償>箱庭学園七不思議 参完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年08月02日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
マヤ ハグロ(p3p008008)
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
月錆 牧(p3p008765)
Dramaturgy

リプレイ

●「ええ、わかっているわ。だってもう、何度もお別れをしてきたから」

 時計塔の針は逆向きに回転していた。

(物語として、死ぬことが正史……あるいは、そうなる筈だった物語、か)
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)を先頭に一同は時計塔へと向かった。
 舞白から『萌黄』と呼ばれた少女は、瞳を忙しなくぎょろぎょろと動かし、宙づりになったからだから青白い四肢を覗かせていた。
 あまりにも、見ていられない。
 舞白は萌黄を直視することはなかった。
 そんな姿を見て、ジョージはそっと声を掛ける。
「舞白嬢に会うのは、三度目になるな」
「ええ、そうね……望ましくない、出逢いだったわね、ジョージ」
「……ああ。いつもの台詞になるが、」
「『下がっておいてくれるか』、でしょう? ……ええ、ええ。それが貴方の願いならば」
 ローファーの音が響く。少しずつ距離を取り、被害のないところまで下がる舞白。
 時計が秒針を刻むように、ポルターガイストとして浮かんだ歯車が少しずつ動き出す。
(正史の話はしない。今ここにいた少女は、物語のキャラクターではない。一人の少女だ。
 しかし、物語という形で世界に介入していることも事実……。全く、やり切れないものだ)
 時計塔のきしむ音――時空すらも、歪んでいるような錯覚。
 あは、と萌黄が笑う声がした。
 今の彼女は、敵である。
 ならば。
「助けると、安易な約束はできない。できるのは、七不思議から必ず解放する。そう、誓うことは出来る」
「そうねえ……前に舞白は救い出したけど、またしても厄介な問題が起きたわね。今度は人に取り憑いてその人を操る幽霊が相手。
 だけどね、敵が誰であろうと、行く手を阻む者は倒すのみ!
 海を進む海賊の戦い、よく見るがいい!」
 『海賊見習い』マヤ ハグロ(p3p008008)の声が響いた。舞白を安心させるように振り向いた彼女は、舞白に向かって頷くと、もう振り返ることはなかった。
(怨嗟とはまことに不思議なもの。
 相手の善悪、故意かそうでないかを気にしない。
 自分が正しいからといって怨嗟の思いを抱くのは正当でなく、
 相手が悪いからといって恨まれるのは当然だ、とはならない。

 ――しかしそんなものは互いの問題。恨む者と恨まれる者とで処理すればよい。
 二つの間にいる人以外を巻き込むというなら、私たちの出番なのでしょう)
 一歩。
 萌黄へと真っ先に踏み出したのは『新たな可能性』月錆 牧(p3p008765)だ。
 携えた斧を握りしめる。

 一歩。

 牧の美しい踏み込み、直後、鉄のぶつかる音が響いた!

●「こんなのって、ないわ。そう思わない? なんで私のお友達は、死んでしまうのかしら。それも、変死みたいに」

 キングと牧が距離を詰めた。
 ポルターガイストたる秒針と歯車が二人を襲う。
「下手な小細工はわたしには通用しませんよ」
「そこを通して貰おうか!」
 ギィン。
 纏わせた暗闇が歯車を落とし、それをジョージが回し蹴りで破壊する。
 飛ばすものを砕けば攻撃方法も減ると考えたジョージの奇策だ。転じて、それは良作となる。
(操るものがなければ、それは使えんだろう)
 歯がゆそうに、苦しそうに首元を掻きむしる萌黄。
 そこに彼女が人だったころの面影はないのだろう。舞白の小さな悲鳴が、やけに鮮明に響いた。
「貴方に聞きたいことがあるの。魚月黒と言う人物を知っているかしら?
 大人しく話してくれたら、命は助けてあげる」
 冷静に。
 マヤは腰に下げた銃を抜くことは未だしなかった。
「魚月とは、友人の名だろうか?
 その子と、ここで遊んでいたのか?」
 続けて、ジョージも問いかける。ポルターガイストたるしもべを失った萌黄は、もはや直接攻撃するしか手段を持たない。或いは、橙也のように、骨折り少女のように、自分からその命を絶つか。
 しかし。彼女は答えた。
「魚月くんは、友達。ともだち。トモダチ。とモだち。
 ここ。待つ。していた。コナイ、した。まつ。マツ、ずっと、ここで」
 冷静にも正気にも思えないが、しかし。彼女は答えた。
 攻撃と、共に。
「あなたは誰かのためにこんなことをしているのですか?
 直接話をつけましょう。どこにいるかお話なさい」
 新たな攻撃。空間を捻じ曲げ、五人を浮かせる。
 それはそう、空中戦のように。
 ずい、と近づいてきた萌黄が振るった長針の斬撃を、牧が受け止めた。
 問いかけに対する答えを、待つ。

「彼はもう。こない。コナイ。さよなら。サヨナラ、さヨ、ナら」

「……そう。ありがとう。私は、海賊マヤ・ハグロ!
 貴方に恨みはないけど、後々厄介になる相手なら、この私が成敗してあげるわ!」
 問いかけへの答えは得られた。
 マヤも銃を抜く。
 精密な射撃は決して萌黄を逃すことはない。
 撃つ。撃つ。撃つ。
 無慈悲な弾丸の雨が、ひたすらに、執拗に萌黄を狙う。
 ジョージや牧の間を縫うように、弾丸が駆け抜けていく。
「ギャア!」
 少女の華奢な腕を貫く。
 痛みに呻く声。その瞳は煌々と輝いて。
「これだけ痛い目にあったのだから、もう少し魚月黒について話してみたらどうかしら?
 次は容赦しないわよ? この剣で真っ二つにしてあげる」
「うしろ」
 指を指した萌黄。そこには屈託なく、悪意すら感じさせず、笑う少年の姿が『見えた』。
 後ろにあったはずの舞白の姿はない。
(七不思議のひとつ。怨嗟の幽霊だけを殺せるなら、それが最良だが……可能性があるなら不殺に賭けてみよう)
 ジョージが壁を蹴り、萌黄へと近づいた。
「すまない。萌黄嬢。
 君には負担をかけることになる」
 生存は保証できない。しかし、ジョージに出来ることは、七不思議から萌黄のそのすべてを解放することだ。握った拳が、その想いを強く強く実感させる。
 嵐の前触れを思わせる一撃。
 轟々と、轟く。
 泣きじゃくった少女のような顔を見せた萌黄は、恐らくは最後の理性を振り絞って告げた。

「ころ、して」

 ジョージはうつむいた。
 牧が斧を握りなおす。マヤは曲刀を構えた。
「――ならば、この手で、俺達の死を持って解放しよう。
 最後に、萌黄嬢。舞白嬢に伝える言葉は、あるか?
 それを、必ず。伝えよう」
「ごめん。ゴメン。ゴメン? あは、あは、アハハハハハハハ」
 狂いだした歯車を治すには、その機能を停止させるほかない。
「……さよなら」
 マヤの声は、萌黄に届いただろうか?
 三人の攻撃が、萌黄の躰を打ち付けた。
 萌黄は安らかな笑顔を浮かべて、眠るように死んだ。

 時計塔の針は、止まった。

●「三枚の封筒は、きっと。誰かが、皆の元に届けたの。なら、なんで、私のところにはこないの?」

 耳障りなサイレンの音が響く。
 時計塔の下で泣いていた舞白は、四人が萌黄の亡骸を抱えて降りてきたことを確認すると、一層泣き喚いた。
「舞白嬢」
 ジョージがそっと背を撫でた。
「泣くなとは言わない。だが、諦めることはするな。
 助けを求められたなら、必ず駆けつけると、約束しよう」
「……ええ。わたし、もう少しだけ頑張ってみるわ」
 『群鱗』只野・黒子(p3p008597)はいつものように手早く警察への報告を済ませ、落ちていたパーツを集める。
 落ちていると、不自然なもの。
 ガラス片、ダイヤモンド、ピストル、本の破れた頁。赤い糸。写真。
 そのページには、恋の物語がつづられていた。
(……彼女は魚月に、恋をしていたのだろうか)
 薄っすら頁に滲んだ水滴の跡。曲げてしまわないように丁寧に回収していると、其処に落ちていた写真に写るのが、九人の少年少女だということに気付く。
 それは、これまでの被害者の一輝や橙也、それから萌黄、そして生存している舞白も含まれていた。
 先程見えたように思われた少年が写っていた。
 それを確認した黒子は急いで舞白へと質問をしに近付いた。
「……舞白様」
「ああ、黒子……これで三度目ね。質問かしら、なんでも聞いて頂戴」
 泣きはらした目を冷やしながら、舞白は何事もなかったかのように振る舞う。今はその振る舞いに感謝しながら、黒子は問うた。
「まず、一点目。魚月黒、という人物を知っていますか?」
「え、ええ。勿論よ。だって生徒会の会長よ、彼」
「……なるほど。では、二点目。
 緑、が名前に入る人物を、しっていますか?
 名前でも苗字でも、構いません」
「……色、絡みなのかしら。
 高瀬みどり。先輩にあたるけれど、とっても親切な人よ」
「彼女の元に、封筒は?」
「……屹度、届いていると思うわ」
「じゃあ、最後の質問です。
 この中に魚月黒は、いますか?」
 先程回収した写真を見せる。舞白は彼よ、と指を指した。
 すらっとした長身の、平凡そうな、温和そうな少年だった。
「……嗚呼、そういえば。この写真、生徒会の最初の時に取ったのよね」
「え?」
「言っていなかったかしら? 私達、みんな生徒会に所属しているのよ」
 溌剌とした声が、響く。
 生徒会メンバーを傷つける七不思議の核は、生徒会長が握っているのかもしれない。
 そのことに、黒子は不安を覚えた。

●「みどり先輩の姿も見えなくなってしまったの」
 ねえ、舞白ちゃん。
 叶うのならば。
 魚月くんを、止めてくれるかしら。

 私にはきっと、できないから。

成否

成功

状態異常

なし

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