シナリオ詳細
猫達の楽園
オープニング
●とある店員の愚痴
「それで、聞いてくれる?」
「にゃあ」
女性は原っぱで見つけた子猫に話しかける。何度もその子猫とは出会ったことがあり、ここら辺で飼われている地域猫なんだと、女性は思っていた。
人懐こくはないが、仕事の話を聞いてくれている気がするのでつい、ここで愚痴ってしまうのが時々の日課となってしまった。
「私の職場…猫カフェだっていうのは言ったけど、最近お客さんが来なくて…。あんまり来なかったら店を潰さなきゃいけないんだって」
「にゃー?」
「そう!カフェの猫さんたちがどうなるか、私にはわからないんだよー!」
どうしよう、そうなってしまったら猫たちはどこへ消えるのだろう?悲しいことになるのではないか。そうなってしまったら後悔でしかない。
「にゃあ…」
「…誰かお店の宣伝とか、してくれないかな…。お客さんを増やしたら、きっとお店も潰さなくて済むと思うの。…ごめんね、こんなこと愚痴って」
子猫の頭をそっと撫でて女性は立ち上がり、ばいばいと手を振る。
「なるようにしか、ならないよね。うん、私も頑張らなきゃ」
それは空元気にしか、見えない。子猫はにゃあん、と小さく鳴いた。
●ラビの話
「…ということだよ、イレギュラーズ。猫カフェの宣伝に行ってほしい。もちろん行ってくれるよね?」
子猫――ラビ・ミャウは机に乗って集まったイレギュラーズに話しかけた。
「店の名前や場所は解ってる。どんな店なのかも」
店の名前は『猫屋敷』 和風の名前の通り、お座敷に上がり、自由に遊んでる猫達と戯れる猫カフェだ。
場所についてはラビが口にペンを咥え書いた地図が机の上にある。
ラビは言う、宣伝方法は任せる。街中でのビラ配りや口コミ、その他色々。通信機器を使うのも良いだろう。
「その後は…猫屋敷でのんびり過ごすといいよ」
宣伝をしても一日目にはそんなに客は来ないだろうし、猫達とのんびり過ごせることだろう。
「言っておくけど…猫カフェの猫はボクみたいに喋らない普通の猫だから、虐めないことだね」
虐めたら猫アタックが待ち受けている。いたい。
「…それじゃ、よろしく。あ、店員にボクが喋ったとか、言わないでよね。秘密なんだから」
きっと、出勤をしているラビのなじみの店員。喋れることは秘密なのだ。…知られたらきっと、引かれるだろう。
「ほら、猫達のために働きなよ」
- 猫達の楽園完了
- NM名笹山ぱんだ
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年07月28日 22時15分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●猫達の楽園
ラビの依頼によりイレギュラーズはこの世界へと訪れた。依頼は、そう…猫達の楽園を救うこと。
「こんなに素敵なお店がなくなってしまうのは悲しいです。店員さんと猫達のためにも、頑張ります!」
オレンジ色の瞳に決意を込めて『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)はぐっと拳を握る。
「猫さん達のお家を守るお仕事なのね。ええ、とても頑張りがいがあるわ!」
ふわりとしたゴスロリ衣装に身を包んだアシェン・ディチェット(p3p008621)は居場所を奪われるかもしれない猫達を想い頑張ろうと思った。
「無くなってしまったらもふもふ好きもにゃんこも困ってしまうだろう。なんとかお客さんを呼べるように頑張らなければな」
威圧感のある見た目とは裏腹に、その表情に慈しみを籠め『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は猫達を想う。
「みゃーん」
3人の傍らで鳴く『じゃいあんとねこ』陰陽丸(p3p007356)もまた、猫達の居場所を守るため奔走することを誓うのだった。
●プロデュース
3人と1匹はまず、お店の宣伝をする為に猫カフェ『猫屋敷』へと向かった。宣伝をするためにはまず、色んなことを知らなければいけないからだ。
「いらっしゃいませー!…あら?」
猫屋敷へ着くと、入口の店員がイレギュラーズを出迎えた。髪の毛を後ろに束ね、すっきりとした印象をしている。彼女はイレギュラーズがただの客じゃないことを察した。
だって、猫と戯れに来ている人はそんな瞳をしていないから。
「原っぱの猫さんから、お姉さんがお困りと聞いて手伝いに来ました!こちらの陰陽丸さんは猫の言葉が分かるのです」
「みゃーん(猫達の居場所が無くなるとラビさんに聞きました!)」
ノースポールは店員の女性へと話しかける。そして傍に居る陰陽丸を指して言う。
「なぁん、にゃぉ(あ、ラビさんというのはお姉さんが話しかけていた子猫の事です。原っぱの)」
「え、ええぇ?原っぱの、あの子が…?そうなの、ちゃんと…聞いてくれていたのね…」
最初は驚いていた彼女も話していれば打ち解ける。
「この場所を無くさない為に、宣伝をしたい。協力してもらえるだろうか」
ゲオルグの言葉に彼女は頷く。彼らが無償で宣伝してくれるというのはありがたい、だが…
「え、えぇ、勿論。…本当に、いいの?」
「…私たちはその為に来たのよ」
アシェンが是と答える。そうすればお願いします、と彼女は頭を下げた。
店員は猫スタッフ達の性格や行動を事細かく教えてくれた。可愛らしい写真を動画を撮り、拡散すればきっと客は増えることだろう。そう店員に言えば店舗用のデジタルカメラを貸し出してくれた。
まず、ゲオルグは店内の間取りや設備の写真を撮っていく。キャットタワーや、キャットウォーク、たくさんの玩具、猫達が休むクッション…。
猫達は突然現れたイレギュラーズのことなど気にせず、のんびりと過ごしている。アシェンはそんな猫達の写真を撮っていく。もちろん内装や雰囲気も伝わるようにそんなアングルの写真も。ほんわかとした雰囲気が写真へと保存されていく。
「にゃっにゃっ、みゃん!」
陰陽丸は写真を撮っていることや、良い感じのポーズを取ってもらうように猫達へと伝えていく。中にはそんなことどうでもいい、と無視を決め込む猫も居たが楽しいことが大好きなやんちゃな猫は色んなポーズを取ってくれた。
おもちゃを持ち、良い表情が取れるようサポートしているのはノースポールだ。お眠の茶トラ猫、クレアに釣り竿型の玩具を垂らし、動かせば少し気になるのか手だけをぺしぺしと動かしている。
アシェンはそんな、ベストショットとも言える写真をどんどん増やしていく。猫達が動く様子を動画に収めているゲオログはまったりと過ごしているのを切り取って手の中のデジタルカメラへと収録していった。
(にゃんこをもふもふすることだけが猫カフェの楽しみ方ではない。とはいえ、勿論醍醐味はにゃんこ達とのふわもこな触れ合いにあると思うのでもふもふしている所も撮りたい)
白猫のまるへとアプローチをかければゲオルグの手へとすりすり頬ずりをしてくる。どうやら撫でろ、と言っているようだ。柔らかいその毛並みは普段からよくブラッシングをしていることが伺える。思わず心が弾んだ。
写真を動画を撮影すれば、店の内装や猫達の写真と簡単なプロフィールを宣伝のビラに乗せる。可愛くてわかりやすいそれは気軽に行きかう人に手を取ってもらえることだろう。
ノースポールのお友達、白と黒ののんびりとしたくまさんの客寄せパン太にも渡し、お店の前で配ってもらう。そうすれば人達は、何事かと集まり、ビラを持っていってくれた。
「みゃーぅ、にゃぉ」
作ってもらった看板を首から下げて、周辺を歩き回る陰陽丸だ。大きい猫の存在はさすがに目立ち、それだけでも充分な注目を得ることになるが、さらに首から下げた宣伝に目を引かれ記憶に残ることは当然だった。
ビラを一枚一枚配り、丁寧に猫達の話をするのはアシェンだ。色んな猫達が居て、のんびりできる。それは癒しの空間だ。
「お座敷でのんびりと出来る、猫カフェ…あなたもどうかしら?」
きっと、誰かは来てくれることを信じて。
ノースポールと猫…三毛猫のめざしや、クレアと遊んでいる様子を撮影したゲオルグはそれをSNSに投稿し、バスらせる。
可愛らしい猫と、可愛らしい少女が遊んでいる様子は、反響を呼んだのだった。
●ふわふわ
のんびりお眠の茶トラ猫クレアと三毛猫めざしの間に収まるのはシマエナガの姿にになったノースポールだ。ふわふわな柔らかい二匹の身体は最上級のお布団のよう。
「ぬくぬく、ふかふか……いい気持ちです~♪」
めざしはノースポールの頭を優しく舐め毛づくろいをする。どうやら仲間だと、認識したらしい。そして眠りの世界へと旅立った。
陰陽丸は大きい体を丸くしてすやすやしている。後から来たお客には期間限定猫としてそのもふもふの身体を使い接客をした。もちろん他の猫達のフォローも。
「にゃー、なぉん」
黒猫のだんごはそんな陰陽丸の上に陣取り、前足を動かしてはふみふみした。どうやら陰陽丸に甘えているらしい、軽く毛づくろいをすればだんごは、くわぁ、と大きくあくびをしてお休みモードへと移行した。
キャットウォークを歩き、元気に動きまわるのはベンガル猫のシャロンだ。しなやかな身体を生かし、いろんなところへと跳び回る。その様子がとても可愛らしい。
アシェンはそんなシャロンの様子をじぃっと見ている。構うより、見ていたい派のアシェンは跳び回るシャロンがとても面白く見えた。シャロンはついてい来る存在にはなんとも思っていないらしく自由気ままに動き回った。
しかしそれもつかの間、一つ仕事を終わらせた後の疲れが出てきてしまう。クレアとめざし、そしてシマエナガの姿のノースポールが穏やかに眠っている様子を見れば小さく欠伸をして、その隣へと身体を横たえる。
「帰るときに起こしてください!」
そう、言い残して。
「…皆寝てしまったな…やれやれ」
お休みモードに入った皆を眺めながらゲオルグは苦笑する。そんな彼の視界に居るのはキジトラのイノだ。イノは捨てられていた所を保護され、この店に来た元野良の猫だった。
イノはその経歴からか人が嫌いらしく、常に人に触られることの無いよう、天井近くの箱の中へ引きこもっていた。
(これからお客さんがくるようになったら嫌でも触れ合うようになるだろう。それまでに人嫌いを少しでも解消しておかないとな)
店員の彼女もイノにはあまり接することが出来ていないらしく、困っている様子だった。誰もが腫れ物に触れるように扱ってしまうと
逆に心を閉ざしてしまうかもしれない。それを危惧し、ゲオルグはイノに語り掛ける。ここは安全な場所で、皆良き人ばかりなのだ、と。
(いや、そりゃあこういう子の方が心を開いて懐いてくれた時に、めちゃめちゃ甘えてきてくれて可愛いというのはあるが)
うん、可愛い。とっても。想像するだけで癒される。
真剣にイノの事を考えての行動なのだと、信じて欲しいとイノに伝える。
どうせ皆寝ているのだから、この店に居る時間はゆっくりと、語り掛けていこう。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
こんにちは、笹山ぱんだです。
今回は猫カフェを宣伝した後、猫カフェを楽しんで頂くシナリオになります。
宣伝方法は書いてある通り、自由です。
世界は現実世界の日本に似た、どこかですので、ネット回線やらも整っています。
【猫屋敷】
こじんまりとした猫カフェだが、畳があり、靴を脱いで入るタイプの猫カフェ。
猫と遊ぶ道具はたくさん。透明なプラスチックで出来たキャットウォークもあり下から猫の生態を観察することが出来る。
入口で客の対応をする担当なのが、ラビの馴染みの店員である。
カフェだが、もらえる飲み物はペットボトルのジュースである。
猫一覧
【だんご】
黒猫♂。人見知り
【シャロン】
ベンガル猫♀ やんちゃ
【めざし】
三毛猫♀ のんびり屋
【まる】
白猫♂ 人懐っこい
【クレア】
茶トラ♀ 睡眠大好き
【イノ】
キジトラ♂ 元野良の人嫌い
猫達は部屋の中でのんびり過ごしているので、見守ったり構ったりしてあげてください。
それでは、宜しくお願いします。
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