放て！！！　己の魂を乗せて！！！

オープニング

●某魔王城にて

　そこには剣を構える青年とまがまがしい模様の入ったマントを羽織った男が対峙していた。

「ようやくここまでたどり着いたぞ魔王！　今日こそおまえを倒してやる！」
「フハハハ！　ここまで来たのは誉めてやろう勇者よ。だが、この技を受けて立っていられるかな？　くらえ！　ファイナルデストラクションエンドリバーサルターミナルオーバーロストサクリファイスエンドクラァァァシュ！！！」

　魔王の腕から禍々しい光が勇者に向かって発射される。

「ハッ馬鹿な、勇者である俺が負けるわけがグワァァァァ！」

　おぉ、勇者よ！　死んでしまうとは情けない！

●勇者の村

「クソッ！勇者である俺があんな魔王に負けるなんて認められない！」

　そう言って復活したてホヤホヤで地面にこぶしを叩きつける若者を村の人達はまたか、いう風に眺めている。
　ここは住んでいる人が全員勇者の勇者の村。そして一山超えたところにあるのが住民全員が魔王であり、魔王城という名の民家が乱立している魔王の村である。
　この二つの村では長年抗争が続いていた。しかし近頃になって魔王たちが急激に力をつけ始め、勇者たちはその力によって負け越しているのが今の現状だ。いくら勇者の力で死んでも村で復活できるといっても憎き魔王たちに煮え湯を飲まされているのは我慢ならないが対抗手段がない。

「俺に、もっと力があれば......」

●境界図書館にて
　そこでは境界案内人であるカストルが集まったイレギュラーズに依頼内容の確認をしていた。

「今回集まってもらったのはそんな勇者の村を助けてほしいからなんだ。だけど君たちが魔王たちを倒すというのはあまりいただけない。そこで勇者の村の人達に力の使い方を教えてあげてほしいんだよ」

　力の使い方を教えろとはまた難しいことをという風に首をかしげるイレギュラーズ。

「そうだね簡単に言えば必殺技とかかな。君たちにもあるんじゃないのかい？　自分の全てをかけた攻撃であったり、これが決まれば絶対に勝てる一撃だったり、そういうのさ」

　じゃあいってらっしゃい。

　

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第2章

第2章 第1節

「ふざっけるなぁ！！！！」
　魔王の村の一人がブチギレて地面にクレーターを作る。
「なんなんだ最近の勇者どもは！！」
　まともな方法でやられなかった魔王達がその言葉に強く頷く。
「まだ実力で負けたのならわかる...だが......だが......」
　やられた時の記憶がよみがえったのか大きく魔王の体が震える。
「やれ鬼は殺すだ、獣のように話の通じないやつやら......挙句の果てに焼酎だと！？　プリンだと！？」
　そこに別の魔王が話に加わる。
「しかもあいつら勇者印の焼酎なんぞを売り出しているのだぞ！　先ほど偵察に行ってきた者に話を聞くと勇者印のプリンを売り出して焼酎とのマリアージュがどうたらとか言っていた始末だ！」
「もう我慢ならん！　奴らに恐怖を刻み付けてやる！」




以下NMコメント

　はい、というわけで業を煮やした魔王達が勇者の村に攻めてきます。
　ですが恐れることはありません。逆に罠にはめてやりましょう！　なんなら反撃なんぞさせるものかと魔王の村に引き続き殴り込みに行っても一向にかまいません！
　ではよい旅路を！

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第2章 第2節

●悪夢再び
　魔王襲撃の報を聞き、迎撃の準備をする勇者の村には『シャウト＆クラッシュ』わんこ（p3p008288）と『素人に毛が生えた程度の』三國・誠司（p3p008563）が今度は迎撃の方向で指南をしていた。

●灰は灰に
「お、どうしたどうした、次は向こうから攻めてきた？」
　其れなら簡単、と誠司はキャノンをどこからか取り出す。
「これを進行ルートに並べて撃ちまくる、それですべてに片が付く。そして何より、だ」
　ニヤリと笑って勇者たちを見回す。
「こうして敵戦力が前に出てきているという事は、村のほうは手薄になっているに違いない。根絶やしにするには絶好の機会だと思わないかい？　そう！　キャノンでね！」
　自分の横に立てたキャノンを叩き、笑う。
「キャノンというのは莫大な威力、そして爆風が特徴だ。ならばキャノンを地面に打ち込んでその爆風で飛んでいくという事もできる。まぁこれはちょっと慣れがいるけどへーきへーき。頑丈そうなそこの君、やってみようか」
　そういって勇者の一人が星になった......ということはなく頭を焦がしながら落ちてきた。
「うん、筋はいいんじゃないかな。この調子でドンドン行ってみよう！」
　練習が一区切りつき、全員の頭がアフロになった頃、誠司は口を開いた。
「向こうの村に着いたら弾倉をクラスターに切り替える。戦争の基本は覚えてるね？　生かさず、殺さず、だ。そうすればおのずと進行の足も止まる。あとは皆灰にすればOK」

●塵は塵に
「流石は勇者サマ方、素晴らしい戦いっぷりデシタネ！　何か色々ありマシタガ......まあ勢いやら士気やらも大事なのでその辺は無問題デス多分！！！」
　わんこは勇者の村を見渡す。
「さて、今回は迎撃戦。魔王の村へ攻め込む時よりも、高台や遮蔽の確保はやり易い筈デス。寧ろ本番はここからデスヨ！　地の利は我々にありマス、魔王共に目にもの見せてやりマショウ！」
　勇者たちが村の門に面する場所に配置についたことを一番高所から確認したわんこは頷く。
（迎撃ならわんこも戦場に出マスガ、あくまで今回はサポーターデス。突っ込んで近接攻撃で荒らす事も出来なくはないデスガ……勇者が魔王を倒すからこそ、きっと意味があるのデスヨ）
　しばらくすると魔王の一団がこちらに向かって進軍してくる様子が見えた。
　それが見えたわんこは空に一発、弾を放つ。
「さあ、勇者の皆サマ。安易に攻め込んで来たこと、奴らに後悔させてやりマショウ！」
　その声とともに魔王達に銃弾の雨が降り注ぐ。
　わんこは「わんこフィンガー」を携え、後方からの援護射撃に徹していた。

●そして......
　焼け野原と化した魔王の村で魔王達が地面に座り込み、膝を抱えていた。
「もうあいつらヤダ」
「勇者ってなんだよ」
「もう魔王やめない？」
「そうしよう、もう関わりたくない」

　こうしてひっそりと一つの魔王の村が消えたのだった。

　めでたしめでたし？

成否

成功