PandoraPartyProject

シナリオ詳細

雪の日の願い事

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■それは小さな、大きな願い事。
「えー、サンタクロースなんていないよー」
 とある世界の都市部に存在する大病院。ここには難病を患い、病気と戦いながらも日々を逞しく生きる少年少女達がいる。
 時はもうすぐ12月25日。この世界にはクリスマスという行事がある。サンタクロースという聖人が、子供達にプレゼントをくれるという伝説だ。
 しかし全ての子供達がサンタクロースを信じている訳ではない。中にはこういう意見も出てくるのだ。
「あ、そうか。君は夏にここに来たから知らないんだね」
「他の街ではどうか知らないけど、この街にはね」

 本当にサンタクロースがいるんだよ。

 サンタクロースにほしいものをお願いする、手紙を書こうというイベントの時。皆が皆、何をお願いしたか笑顔で問いかけては秘密と返す微笑ましい光景。
「ねぇ、何をお願いしたの?」
「そ、それは……早く病気がよくなりますように、だよ」
 それは、サンタクロースなんていないと言った少年。目を背け、手紙を隠しながらそう語る。
「そんなの願わなくても大丈夫だよ」
「そーだよ、ここの病院はえらい先生がいっぱいいるんだよ」
「いいんだよ、こんなのお遊びなんだから」
 その様子を見ていた、少年の母は涙する。彼を病弱に生んでしまった事に対する罪の意識に苛まれ。そしてどうか願い事を叶えてあげてください、と。
「あら、お母さん。あの子の願い事知らないの?」
 涙を流し、一人独白していたところをナースに見つかり話しかけられる。それは病気のことでは? と首を傾げる母親に、ナースは少年の書いた手紙を見せる。
「これ……あの子が?」
「うっわ……これは本当にサンタさんじゃないと無理だわ」
「大丈夫よ。この街にいるサンタさんは、本物なんだから」

■サンタクロースの正体
「……という少年少女達の願い事があるんだけど、皆、どうかな。やってみない?」
 境界案内人のカストルはイレギュラーズ達を、含み笑いを浮かべながら見渡す。
「この街にいるサンタクロース、その正体は宅配業者なんだ」
 こっそり子を持つ親よりプレゼントの依頼を受け、サンタクロースに扮してクリスマスの夜に子供達の前に現れるという。その活動の為に、この街の子は皆、サンタクロースの存在を信じているのだ。
「その宅配業者の一員となって、子供の願い事を叶えるんだ。……ちょーっと難しいお話だけどね」
 その子供の願い事とは。
 『クリスマスにお母さんと一緒に雪が見たい』

NMコメント

 夏なのに冬の話ってどうなんだろう以下略です。
 いいねん、異世界やから。ということで今回のオーダーですが、具体的には『大型冷凍庫を積んだトラックに乗り、北国へいって雪をかき集め帰ってくる』です。
 以下注意点など

■トラック
 大型冷凍庫搭載です。なので雪は溶けずに目的地までたどり着けます。
 ナビもついておりますので道に迷う最悪の事態は避けられます。運転も問題なくできるものとします。もちろん、相応の非戦スキルがあれば効率はアップします。
 また特定のアクティブスキルがあれば、冷凍庫の中に入って雪の面倒を見る事ができます。
■北国
 雪の積もった山国です。積めるだけ積んじゃって下さい。時々野生動物が邪魔しようとしますが、イレギュラーズの敵ではないので適当に追い返して下さい。殺しちゃダメよ。
 追い返さないと荷台に乗り込んだり、熊が冷凍庫壊しちゃったりします。それだけは避けて下さい。
 
■往復の高速道路
 なんでかヒャッハー! してるモヒカン暴走族とか、暴走車とかがいます。
 運転技術に自信があればぶっちぎってやってもいいですし、そうでなければちょっとイレギュラーズの力見せつけてやってください。
 ギャグキャラ補正があるので多少派手にやっても死にません。大事になってもモヒカンに押し付けちゃえばいいのです。
 応戦しない場合、追いつかれると冷凍庫の壁が破壊され大惨事になります。それだけは避けて下さい。

■街中
 ナビゲーター役の人の本領発揮。
 道を間違えたりすると大幅に時間を消費してしまいます。なるべく早く子供達のところへたどり着けるように心がけてください。
 同じことをしている同業他社のトラックとも合流できるかもしれません。その場合は頼ってしまってOKです。

■サンタさん
 参加者の皆様にはサンタ衣装を着て頂きます。オーソドックスなものです。小さな子供達が相手なのでセクシーすぎるものはないです。ないんですよ?

 以上となります。
 サンタさんを信じて待つ子供達の為に、一肌脱いで頑張ってみませんか?

  • 雪の日の願い事完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月16日 22時01分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

フィオナ=バイエルン(p3p001239)
牛柄ガーディアン
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
鵜来巣 冥夜(p3p008218)
無限ライダー2号
ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)
流星の狩人

リプレイ

■混沌は夏でもここは冬
「うっひゃあ、この世界は寒いねー」
 『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)がトラックに乗り込みながら、息を手に吐きかける。
 混沌世界では夏真っ盛りといった季節だが、この世界ではまるっきり逆の冬なのだ。夏服で来てしまえば寒いのは仕方ない。
「冷えてしまったならコンポタ缶をどうぞ」
 そんなアウローラに『Black rain』鵜来巣 冥夜(p3p008218)は人のいい笑顔を向けながら、まだ熱の残る缶を手渡す。
「あ、私も欲しいですー」
「俺ももらおうかな」
 『牛柄ガーディアン』フィオナ=バイエルン(p3p001239)と『弓使い(ビギナー)』ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)もコンポタ缶をいただきながら、トラックに乗り込む。大型の車両なので、搭乗席は四人分くらい余裕があるのだ。
「あら、いきなりなくなってしまいましたね出発前なのに」
 道中の食事代とかは頂いたのでいいですけど、と冥夜は呟き運転席に乗り込む。

■カーチェイス
 下道を安全運転で走り、高速道路へと。ナビを務めるミヅハが大きく息を吐く。一度乗ってしまえば目的地近くの降り口まではほぼ一直線だ。
 何も問題なくつけるはず、なのである。何も……。
「それではそろそろ……」
 冥夜がメガネを外す。視線が鋭く光を放つ。隣でその様子を見ていたミヅハも、後部座席にいたアウローラとフィオナも、何事かと彼に視線を集める。
 その瞬間、トラックがグン、と加速した。いきなりの加速で中にいた冥夜以外の三人が反動で後頭部を座席にぶつけるほど。
「アクセルは……全ッ開でベタ踏みしてカッ飛ばす!!」
 人格すらも変わったかのような冥夜が、本当にアクセルを踏み抜きそうな程に力を込めていた。当然トラックはどんどん加速していく。
「ちょ、アンタ前見ろ……あれ、例の奴らじゃないか!?」
 衝撃に舌を噛みそうになりながらも、ミヅハの鍛えられた視力が前方に走るバイクや車を見つける。そこにいたのは、いかにも世紀末してそうな格好と車体の者達。高速道路に屯するという暴走族で間違いないだろう。
「暴走族だか何だか知らねぇが、このMr.ノーブレーキこと鵜来巣サマをナメてんのか、あァン? そんならいっちょ、ヤキ入れたろうぜお前達!」
「ヤキ、入れるも、何も……っ!」
 さらなる加速を狙う冥夜の言葉にたじろぐミヅハ。
 それもそうだ。速度はそろそろ140キロをオーバーしようとしている。そんな速度で窓から身を乗り出し、弓矢で狙いを定め放つ事などできるであろうか?
 アウローラやフィオナにしても同じである。試しにアウローラが窓を開けて顔を出してみるが、風圧に身体が持っていかれそうになった。
「あ、あぶなーい!」
 慌ててフィオナがアウローラの身体を支え、事なきを得る。
「あ、ありがと……そのまま支えてて!」
 下半身をフィオナに預け、アウローラは窓から上半身を乗り出した体勢のまま自身の身体の魔術回路を起動し始める。やがて、合わせた手のひらから一筋の、いいや、大筋の奔流が迸る!
「うぉぉぉ!?」
 その一撃でバイクに乗った暴走族は吹き飛ばされ、転倒する。一瞬命が心配になったが、すぐに立ち上がった辺り大丈夫なのだろう。バイクが爆発したが、多分大丈夫なのだろう。
 残った暴走族達はアウローラの一撃にも怯まずトラックを追いかける。チェーンのようなものを振り回しながら、まだまだやる気のようだ。
「ちぃっ! 流石にこのスピードだと矢が流される!」
 なんとか狙いをつけて矢を放つミヅハだが、普段どおりの正確な狙いをつけても風圧で矢がブレて威嚇射撃にしかならない。それでもやらないよりはマシと数発撃ち続ける。
「……なぁ、アウローラ。今さっきのも一発イケるよな?」
 スピードメーターを見ていた冥夜が、何かを思いついたらしく怪しい笑みを浮かべる。
「へ? う、うん、アウローラちゃんは大丈夫だよ」
 窓から頭を引っ込めて返答をするアウローラ。風圧で髪はボサボサになっているが。
「よーし、構えろ。次のカーブで勝負をかけるぜ!」
 フルスロットルのままカーブへ突っ込む車体。このままのスピードでは曲がりきれなずガードレールにぶつかる。そう思いきや。
「ぐ、ぬぬぬぅぅー!!」
 アウローラが放った魔砲の反動を利用し、強引にカーブを曲がり切る。彼女の下半身を抑えていたフィオナも強い衝撃に歯を食いしばる。
「む、無茶するぜ……っておい、冥夜!? そっちは崖!」
「俺を誰だと思っていやがる。果てまで続け俺達のロード。俺の道は俺が作るッ!」
 ほっとしたのもつかの間。ミヅハの言葉通りに車体は壁すら無視し崖へと飛び立とうとしている。それでも冥夜はブレーキを踏まず、ハンドルを切らず。
「うわぁぁぁあああ!!」
 トラックが宙へ。ここでもアウローラの魔砲を使い着地の衝撃を緩和した為に大破には至らずに済んだ。本来こんな使い方はできないはずなのだが……異世界だからだろうか。

■雪の国から
「……死ぬかと思ったぜ」
「おやおや、鍛え方が足りないんじゃないですか?」
 雪山に辿り着いた頃には、冥夜以外の三人がグロッキー状態であった。無理はない。
 冥夜本人だけはいつの間にかメガネをかけ直し、しれっとしているが。さておき、彼に恨めしい視線をぶつけながらも少しの休憩をした後、四人揃って荷台に雪を詰め込んでいく。
 すると、キツネや兎がひょっこり顔を出す。愛らしさもある彼ら彼女らだが、何故かトラックに興味津々で中に入ろうとするのが困ったものだ。
「だめですよー、美味しいエサもないから森におかえりー」
 フィオナが丁寧に抱き上げては山に返す。何度かそういった作業が繰り返された後、今度は大きな影が荷台に差し込む。
 熊だ。体格は今ここにいる誰よりも大きい。彼もまた荷台に入り込もうとして……。
「ダメだっていってるんですよー!」
 フィオナにスープレックスを決められていた。雪に頭から突っ込まれる熊という絵面も中々にシュールである。
 暫く突き刺さっていた熊だが、やがて山に逃げ帰った。牛相手なら勝てると思ったのに、負けたのがショックだったのだろうか。フィオナはカオスシードだけど。

「さて、こんなところかな」
「冷凍庫のスイッチも入れたよー」
 雪をかきこむ作業で身体が温まった一行は、上着を脱いでいた。荷台いっぱいに積まれた雪を見て満足そうにミヅハは笑う。
 アウローラがスイッチを入れると大きな音を立てて冷凍庫が動作し始める。これなら大丈夫そうだ。
「それでは行きましょうか」
「……またキミの運転ですか?」
 フィオナがゲンナリするのも仕方ない。ここまで来た道と同じことがまた起きるのかと思うと……。
「大丈夫ですよ、今度は安全運転を心がけますから」
「信用ならねぇ」

■子どもたちの笑顔
 道中で再び暴走族の妨害にあった一行であったが、今度はトラックから降りて実力排除。すっかり怯えて逃げていったので当面暴走行為は起こさないであろう。
 なんとか最初の街にまでたどり着き、後は目的地の病院に向かうだけである。
「あっれ、おっかしいな」
 ミヅハが地図を手に首を傾げる。トラックに備え付けられたナビも起動して道を確認するが、異常はない。なのに、車が前に進まないのだ。止まってしまっている。
「事故でもあったのかなぁ?」
 地図を後ろから覗き込むアウローラが誰にともなくつぶやく。いつの間にかサンタコスチュームに着替えているのは誰にも突っ込まれなかった。
「後ちょっとのはずなんですがー」
 同じくフィオナも着替えていた。色々際どい気もするが、体格の差ということにしておこう。
 さておき。もう少し直進すれば目的地というのに、渋滞に巻き込まれ動けずにいる。
「ミヅハよぉ、なんか他に道ないのか?」
 なんとか暴走せずに抑えている冥夜が、苛立ちを含ませながら問いかける。このまま時間が立つのはまずいと思ったミヅハが必死に模索し……。
「次の道を左だ、そこからなら迂回していける!」


「わー、雪だー!!」
 目的地の病院に辿り着いた時には、他の会社のトラックも到着していた。そして一斉に雪を荷台から降ろしていく。
「皆の願い事も、雪を降らせてだったよね。降らせていないけど、いいかな?」
 白ひげをたくわえてサンタに扮した会社の社長が、集まった子どもたちに語りかける。もちろん、オッケーと元気な声と共に、子どもたちは雪遊びに夢中になった。
 アウローラやフィオナは子どもたちにまぎれて共に遊び。ミヅハは荷台の上に乗り、周囲の景色に目を配りどこか懐かしさを感じていた。
「俺の故郷に似てるんだよな……」
「おにーさんも遊ぼうよー」
「ん、よっし。いくぞー!」
 アウローラの手引でミヅハに声をかけてきた子供に応え、彼も荷台から雪の山へと飛び降りる。
 そんな光景を微笑ましく思いながら、冥夜は一人空を見上げ、息を吐く。
「……雪は、苦手ですね……思いだしてしまいますから」

成否

成功

状態異常

なし

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