PandoraPartyProject

シナリオ詳細

メカユリーカの逆襲

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●第17次報告
「こ■ら、■■■、■度はど■■」
「只今、調整中。繰り返されたし」
「感度はどうか」


「……上手く同調できたようだ。では、第17次報告を上げる。外見の複製は完了。現在は行動学習の最終段階だ。終了次第人工知能の微調整を行い、最終試験フェーズに移行する」
「対象者の絞り込■はできて■るのか。選定は慎重を期すように。万一にも失敗は許さ■な■」
「境界図書館へ帰還する直前の者からとりあえず最大で4人を予定している。……通信が乱れてきた。数日中にまた連絡する。吉報を待て」

 操作盤のスイッチをやや苛立たしげに跳ね上げ、巨大モニターの映像を落としたのは、身体にぴったりした銀色の宇宙服を着た類人猿といった風情の奇怪な男。

「ふん。本部は相変わらずですな」
 隣にいた副官らしき男が不満げに鼻を鳴らす。こちらも見た目は操作盤前の男と同じで、外見上は全く区別がつかない。
「この計画が成功すれば、立場は逆転する。“特異運命座標”どもは希少能力の宝庫だ。彼奴等を捕獲、洗脳し、連れ帰る事ができれば、我々の覇権は一層揺るぎないものとなるだろう」
「我々の立場も、ですな」
「そういう事だ」


●第18次報告
「進捗は■■か」
「本日、最終試験を実施。対象者を最低1人捕獲の予定だ。……本部へ挨拶せよ」
 男が肩を引いて半身になると、水色の髪の小柄な人類女性がモニターの前に進み出た。

「……こ■人選の■拠は?」
「無辜なる混沌の外に出た“特異運命座標”どもの精神に接触し、最も警戒されないであろう者を奴らの記憶から再構成した。短時間なら気付かれない程度の再現性はあるはずだ」
「……宜しい。検討を祈る」

 本部からの映像が落ちると、ひとつ息を吐いた司令官に副官が遠慮がちに声を掛けた。
「実は、小官も多少の不安が」
「おまえもか。心配いらん。……頼んだぞ、新米情報屋殿」
「ボクにまかせるです。やつらをはんごろしにして、つれてきてやります」
 頷いたユリ―カ・ユリカの目が赤く妖しく光った。

NMコメント

 どうも、かそ犬と申します。
 何処からやってきたものか、何者かの魔の手が秘かにイレギュラーズに迫っていたようです。敵の目的はイレギュラーズの捕獲ですので、不意討ちを逃れたら反撃し、殲滅して下さい。
 誰かに似ているような気がするでしょうが、相手はメカです。気にしないで下さい。メカユリーカですから!

●プレイング
以下の2項目を記入して下さい。

①【奇襲】
 PCは1人でライブノベル世界(深い森の中で、日中ですが見通しは悪いです)での任務を果たしたところです。他にも仲間が来ていて戦っていたのは気付いていますが合流はできませんでした(だからこの機会を狙われたのです!)。戦闘でHPは減り、APも枯渇寸前、いくつかのBSを受けているような状態で、「ばったりと」ユリーカに遭遇します。
 ユリーカは「こ、ここはどこなのです?」「図書館の人に会って、いつのまにかこんなところにきていたです」と半泣き状態です。

 そこでユリーカへの対応を書いて下さい。
 口調、外見共に、ぱっと怪しいところはありません。メタ的に、とりあえず捕まってみてもいいよーという方はそれも書いて下さい。
 ユリーカは捕獲用の光球を放ってきますが、閉じ込められても中から一定のダメージを与えれば壁を破壊し脱出できます。光球は誰かを捕獲すると光学迷彩状態となり、中身ごとほぼ透明化します。中から叫んでも声は聞こえませんが、光球の外は見えますし、テレパシーやギフトなどは通る可能性があります。

②【反撃】
 ユリーカは1人ずつイレギュラーズを捕えようとしてきます。上手く警告が届く、あるいは何かのアクシデントによってユリーカの正体が人造の偽物だと気付けば、いよいよ反撃のターンです。光球は外から攻撃しても破壊できます(威力があり過ぎるのは危ないですが)ので、捕まってる仲間を見つけたらまずは救出し、攻撃に移りましょう。
 メカユリーカは中距離貫通あるいは範囲攻撃(ビーム、ミサイル等)で一帯を埋め尽くすような飽和攻撃を仕掛けてきます(弾切れは期待できません)。森の樹々が遮蔽に使えるでしょう。半透明のエナジーフィールドを「筒状に」展開して防御面も鉄壁ですが、近接格闘能力には乏しいので近付けば攻略の糸口があるかもしれません。
 
 この項目では、自分が囮になって攻撃を引き付ける、囮役の支援に回る、力押しでフィールドを破壊しにかかる、接近して弱点を探す等、立ち回り方を書いて下さい。イレギュラーズは前の任務で消耗しているので、行動失敗の確率が多少は上がっています。
 
 仲間を救出し、メカユリーカを打倒できれば、境界図書館へ帰還できます。
 
 筆者の傾向としてアドリブが多めとなります。
 ご縁がありましたら宜しくお願いいたします。

  • メカユリーカの逆襲完了
  • NM名かそ犬
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月14日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

咲々宮 幻介(p3p001387)
刀身不屈
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
ソーニャ・カリーニナ・デグチャレフ(p3p008582)
アンブレイカブル

リプレイ


 森の中をゆらりと歩くは、乱れ髪に草臥れた白衣の男。先程までの任務での消耗もあってか、顔色は冴えない。


「この男は」
「ハッ。個体識別名、回言世界と推定されます」
 画面上の『貧乏籤』回言世界(p3p007315)をねめつける司令官に、副官が手元の端末を操作しながら答える。
「む、当初の計画と違う個体だな」
「ハッ。確かに予定とは違いますが、この男のデータもあります。只今、人口知能にユリーカとの遭遇をシミュレートさせています」
「よし。モニターに出せ」


「……さん。世界さんなのです?」
 青年は聞き覚えのある声、そしてこんな場所で聞くはずのない声に思わず振り返った。
 空色の髪にちょこんと乗せた帽子。華奢といえば華奢、つるぺたと言えばつるぺたな身体つきは見間違えようもない。いつもはくるくると表情が変わる娘だが、今世界を見詰める緑の瞳は不安に満ちていた。
「ん? ……ユリーカか? 何でこんなところに……」
「はいです! ぼくなのです! 助けて下さい! 道に迷っておかしな図書館に行」
「いや、待て! 待て! おまえ、ユリーカじゃないだろう?」
「え! いや、ぼくはぼくなのです。みちにまよ」
「問答無用!」
「ああ」


 モニターの中で世界がユリーカに襲いかかるのを見て、司令官は目を閉じ、ひらりと手を振った。
「止めろ。……とりあえず保留だ。次の者も想定外か?」
「ハッ。個体識別名、メリー・フローラ・アベル。キャッチコピーは“いい子でいるって難しい”」
「うん? 難しい……難しい?」
「モニターに出します」


「ユリーカ? え、ユリーカが何でこっちに来ちゃってるの?」
『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)は、自分よりも少し背の高い少女へ眉根を寄せて振り返った。迷子のような情けない顔で近付いてくるユリーカへSっ気が疼く。
「そ、それはぼくにも分からないです。気がついたら、この森だったのです」
「ふうん。私にも境界図書館への帰り方なんて分からないわよ。案内人にお任せだし。ま……でもひとつ確実な方法があるわ。死ねばいいのよ」
「メリーさんが帰るとき、いっしょにいれば帰れ……え?」


 モニターの中でメリーがユリーカに襲いかかるのを見て、司令官は再び手を振った。
「止めろ! 止めろ! なんなんだこいつら、サイコパスなのか?」
「あくまでシミュレーションではございますが」
「奴らは擦れ過ぎてる。もっと初々しいのはいないのか」
「ハッ。最終候補者であった者が2名、移動中です。現在位置も先の2名とは離れており、最終試験対象としても適任かと思います」
 司令官は、ううんと唸り、一旦背凭れに身体を預けた。
「……そろそろ結果を出さねばならん。構わん、その2名で実行せよ」
「ハッ。承知いたしました!」



『アンブレイカブル』ソーニャ・カリーニナ・デグチャレフ(p3p008582)は軍人である。小躯故、その軍服姿は時に揶揄の対象となるが、彼女の機械の両脚を見れば、言葉を失い目を逸らす者も多い。
 境界案内人の回収を待っていた彼女は、味方と合流した方が良いものかと考えながら森を歩くうちに、ふいに背後から呼び止められた。
「ソーニャさん、なのです?」
 幼女軍人が振り向けば、そこには空色の髪で臍出しの少女。
「はて、貴官は? 小官は貴官と初対面だと思うのだが?」
「ぼくはユリーカ・ユリカなのです! ソーニャさんのことはローレットで一度お見かけしたです。ぼくは看板娘で! 腕利き情報屋の!」
 ソーニャは内心首を傾げた。ユリーカという名は知らぬ。しかしローレットを出すという事は、この娘が同行の仲間なのだろうか。
 
 ソーニャは無遠慮に近付こうとするユリーカへそこで止まるのだ、と片手を翳してびしりと静止した。
「貴官は、何故此処に?」
「じ、じつは間違ってこの世界に来たみたいなのです。図書館でのてちがいというか、です」
 何か引っかかる、と思ったソーニャだが、何分彼女も新参の身で判断材料に乏しい。
「……では、回収が始まるまで同行しよう。貴官は前を歩いてはくれぬか。小官は後を警戒する」
 頷いて前に立ったユリーカとの間合いをソーニャは慎重に計った。おかしな真似をすれば、すぐ組み伏せられる距離――――しかし、そこでユリーカの頭部が180度回転し、ソーニャへ向く!
 幼女軍人は驚き、そして反射的に飛びかかったが、この高反応が裏目に出た。ユリーカが両目から放った光へ、自ら飛び込む形となってしまう。
「何! 貴官はやは」ソーニャの声は、形成された光球に途切れて消えた。


「やったぞ!」モニターを注視していた司令官が快哉を叫んだ。
 最終試験は成功だ。これで本部の連中の鼻を明かす事ができるだろう。画面の中のユリーカもドローンカメラを見上げ、さすがぼくです、たたえるがいいのです、などと抜かし、ふんぞりかえっている。
 まぁいい、確かにユリーカのお陰である。「試験は一旦終了。撤収させろ」と言いかけた司令官の言葉を、副官の緊張した声が遮った。
「もう1名の対象者が急速接近。10秒以内に遭遇します!」
「何だと?やむをえん。ユリーカにそいつも捕獲させろ」
「ハッ!」



「む……ユリーカ殿?」腰の刀を押さえながら声のする方へと走ってきた『咲々宮一刀流』咲々宮幻介(p3p001387)は、遠くに知己の少女の姿を認めて歩みを落とした。
「幻介さん、なのですね。よかった。誰もいなくて不安だったのです」
 ホッとしたように表情を緩めるユリーカを、しかし幻介は訝し気に見詰め返した。彼女が混沌世界の外に出るなど聞いた事がないが、現実にこうしている以上聞いた事がないだけかもしれない。
「1人で御座るか? 大きな話し声が聞こえた故、駆け付けたのだが?」
「ええと、ぼくの他にソーニャさんがいたです。図書館へ戻れないので、他に誰かいないか探しに行ったです。あ……あそこで手を振ってるです」
 少女が指差した先を、釣られて幻介も見た。「ん、何処で御座る? 某には見えないが……」
(かかったな、です!)
 ユリーカは口元を歪ませながら、幻介の背中へ捕獲光線を放った。光線が弾けて対象を中心に光球を形成する、その瞬前――刀の柄に手をかけながら、剣豪は大きく飛び退いて振り返った。
「な、何事で御座る!?」
 幻介の視線の先は、ソーニャを閉じ込めた光球。光学迷彩効果でほとんど不可視なのだが、中で幼女軍人が暴れているらしく、光がゆらゆらと怪しく揺らめいて見えたのだ。さらに空振りとなった光球がふわふわと漂っていて、最早説明のしようがない。
「これは一体? まさか、お主、ユリーカ殿ではないな!」


 一方、任務を終えたメリーは、案内人の回収が始まらない事に苛立ち始めていた。まだ誰か戦っているのかと考え、助けを求める者を異能で探ってみると確かに反応がある。
「まったく、何をもたもたしているのよ!」
 走り出した彼女が程無くして見つけたのは、遠くで言い争う幻介、そしてユリーカ。
「え、ユリーカ? 何であなたが来てるのよ?」
「おお、お主はメリー殿で御座ったな! ユリーカ殿が某に攻撃を」
「だ、だから、誤解なのです! あれは、その」
 駆け付けたメリーへ、両者は共に助けを求めるような表情。ぽかんとして2人と何だか宙できらきらと蠢く空間を見比べたメリーは、急に悪い顔で笑った。
「要はユリーカが怪しいという事よね? 見分ける方法はあるわ! 殺して境界図書館でまた会えれば本物」
「なるほ、え?」
 メリーの手から迸った無数の魔弾が残らずユリーカの頭部を直撃。ぎゃっと悲鳴を上げ、自称ユリーカは逃げ出した――――光球を引き連れて。
「逃げたわ!白黒つくまで追うわよ!」


 ●
 回収が始まらないので仲間を探していた世界は、こちらへ向かって走って来る少女へ気付き、そして訝しんだ。
「せ、世界さん! 助けて下さい!」
 聞き覚えのある声――だが、声の主、ユリーカ・ユリカと顔が一致しない。
 メリーの魔導で人工皮膚の歪んだユリーカの顔はまるでデフォルメされたようになっていたのだ。
「待て! おまえ、ユリーカじゃないだろ! ほぼユリーカのナントカワイフじゃねえか!」


 問答無用で世界が攻撃を始めると、そこへメリーと幻介が追い付く。
「その怪しい揺らめき。誰かを捕えているので御座ろう!」
 飛翔斬を不可視の光球に浴びせた幻介は、その空の刃を追い、さらに“弐太刀不要”で切り裂いた!
「友軍か!助かる」走った裂け目を蹴破って広げたのは機械の足。「ユリィィカ!! 小官に虜囚の屈辱を与えた罪、償ってもらおうか」
 
 飛び出してきたソーニャを含め、4人にじりりと包囲され、ユリーカはキレた。
「もう、こうなったら全員殺すです! ころすデス。です、デス、DEATH」
 彼女の頭部と腰部がいきなり高速回転し、全方位にビームやミサイルがばら撒かれた。
 弾幕は凄まじく濃密。大木を遮蔽に逃げ回る4人を嘲っていたユリーカだが、徐々に動きが鈍ってゆく。
「いつの間に? この蛇!」
 気付けば足元に絡み付くのは、世界の黒き呪たる白蛇。 
 力を吸われてよろめけば、ソーニャのミサイルで障壁を破壊され、顔の外皮も剥がれ、幻介には左腕を斬り落とされた。幻介の背をバールで殴ろうとするとソーニャに腕を掴まれ、そこへメリーの神気閃光を浴びて、遂に機械のユリーカは膝を突く。

「む、ねん、なのです。くっころ。くっころです」
「おい。おまえを作ったのは誰だ。何が目的だ」
 世界が尋問しようとすると、メカユリーカは口をくっと動かした。多分嘲笑したのだ。
「言うか、ばかめ、です。一緒に死ぬがいいの、です」
 拙い、と4人が飛び退くと、ユリーカは盛大に自爆した。

 ひとつの陰謀が此処に破れ――――やがて、メリーがぽつんと言った。
「帰ったら……ローレットでユリーカを尋問しよう……」

成否

成功

状態異常

なし

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