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シナリオ詳細

帰ってきちゃった!遅延探偵イレギュラーズ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●列車は事件を乗せて
「これは一体……」

 事の始まりは列車が駅を出てすぐのことだ。
 乗客の一人である、一式・風鳴(いっしき・ふうめい)が客室で倒れているところを発見されたのだ。

「わかりません。悲鳴のような声が聞こえて、慌てて飛び込んだらこの状況で……」

 一式の友人、護摩樫・照(ごまかし・てる)は客室の中、一式の傍らに立ち尽くしてそう述べた。
その目は何かを誤魔化すように泳ぎ、着ている服のポケットは不自然に膨らんでいる。

「そうか、私も悲鳴を聴いて駆けつけたのだが……何もわからんか」

 そんな護摩樫の様子を疑う様子もなく、妻鹿臥・杏奈(めがふし・あんな)は腕を組んで唸る。
 彼女も、一式の友人である。一式、護摩樫、妻鹿臥の3人で旅行のためにこの列車に乗り込んだ。その矢先の悲劇である。

「一式のやつ、この旅行で私に伝えたいことがあると言っていたが……聞けずじまいになってしまったな」
「えぇ、伝えられずに終わって良かったです」
「なにか言ったか?」
「いえ、何も」
「そうか……」

妻鹿臥は護摩樫がなにか誤魔化そうとしていることに気が付かない。

「ここは、最近の一式に不審な行動がなかったか思い返してみるか……どうにも最近、私によく話しかけてきていたな」
「そうですね、度し難いことに」
「なにか言ったか?」
「いえ、何も」
「そうか……」

 目が節穴にもほどがある気がするが。
 ともあれ、事件を乗せて、列車は次の目的地へと向かう。

●目的地は茶番劇
「動機は痴情のもつれみたいだね」

 境界案内人、カストルはいきなりそんなことを宣う。

「まぁ、そんなことはあんまり重要なことじゃないんだ」

 そんなことで流して良いのだろうか。

「良くはないかもしれないけれど、もっと大事にことがこの事件にはあるんだ」

 真剣な目でそういうカストル。イレギュラーズはそれに耳を傾ける。

「この事件、妻鹿臥さんには全然犯人がわからないみたいだけど、騒ぎを聞きつけて人が集まったら、一瞬で犯人が判明するんだよね」

 まぁ、でしょうね。

「そうなるとちょっと困ったことになるんだ」

 困ったこととは?

「なんやかんやでこの世界が滅びそうかな」

 なんやかんや、とは。

「なんやかんやは、なんやかんやだよ」

 左様ですか。

「左様だよ。だから、君たちにはこの事件に乱入して、なんとか犯人が判明するのを引き伸ばしてほしいんだ」

 どのくらいの間引き延ばせば?

「そうだね、3~4千文字ほど引き伸ばしてもらえれば、なんやかんやで世界の滅びは回避されるはずだよ」

NMコメント

 こんばんは、小柄井枷木です。

 帰ってきちゃいましたね。
 前回のライブノベルが好評だったかは怖くて聞けませんが、遅延探偵イレギュラーズの第2弾シナリオとなります。

 オープニングを見てもらえればわかるかと思いますが、コメディシナリオになります。ちょっとメタネタもあり。
 事件の犯人は一目瞭然ですが、すぐに見つけるわけには行かないので探偵に扮したイレギュラーズの皆さんの介入で、状況を引っ掻き回して解決の引き伸ばしを図っていただきます。

 的外れな推理を披露したり、関係ない関係者を連れてきたり、証拠を捏造してみたり、幽霊の仕業だと言い張ってみたり、思いつく限りの手段で事件を撹乱してください。

・事件の状況について
 現場は旅客列車の客室内です。ちょっとしたホテル程度の広さ、宿泊するためのベッドやなんかの設備は一通り揃っています。
 列車は全部で10両編成程度で、設備もそこそこ豪華、と言った規模を想定していますが、イレギュラーズがそうだと言えば、もっとたくさんの車両が連なっていますし、なんか変な設備もあるでしょう。乗客も、居ると言えばなんか変な人が乗っている可能性もあります。

・事件関係者
 一式・風鳴(いっしき・ふうめい):被害者です。意識不明です。自分にあてがわれた客室内で倒れているところを発見されました。この旅行で妻鹿臥に告白するつもりでした。

 護摩樫・照(ごまかし・てる):犯人です。なんとか誤魔化そうとしていますが、正直ボロッボロです。妻鹿臥好意を持っており、一式を恋の鞘当ての末にやっちまいました。ポケットになにか隠しています。凶器です。

 妻鹿臥・杏奈(めがふし・あんな):二人のことは友人以上には思っていません。他人の言うことを鵜呑みにする傾向にあり、明らかに嘘とわかることでも信じてしまいます。よく今まで生きてこれたなと思います。

 概ねこんな感じの状況ですがイレギュラーズがこうだと言えばいくらでもそうだったことになりますし、モブなんかも生えてきますし、列車の行き先も変わったりします。

 それでは、皆さんのご参加お待ちしております。

  • 帰ってきちゃった!遅延探偵イレギュラーズ完了
  • NM名小柄井枷木
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月10日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星

リプレイ

●迷探偵参上
「とにかく、」

 衝動的にやっちまった護摩樫。この場をなんとか誤魔化すため、妻鹿臥に何かを話しかけようとしたその時。

「はなしはこのウサ耳で全て聞かせてもらったよ…!」

 バリーィンッ!と勢いよく客室の窓が突き破られた。
 1カメ、2カメ、3カメとカットを変えて、スローモーションで飛び散るガラス。

「ぎゃあああ?!」

 不意打ちで砕けたガラスを浴びて血まみれになる護摩樫。なんかこんなん前も見たな。
 だが今回はコレで終わらない。

「とーう!」

 ガッシャァーンッ!と今しが割られた窓とは逆側の窓が勢いよく突き破られた。
 飛び散るガラス。血まみれが加速する護摩樫。
 そんなサスペンスを生み出したのは。

「うさ耳探偵、コゼットさんじょう!」
「私の名は!逆転探偵ウィズィニャラァム!今日も逆転の発想で難事件を解決です!」

 そのさんじょうは参上で良いんですかね?惨状じゃないんですか?
 さておき。

「ちょっとウィズィさん。入ってくる窓が打ち合わせと違うんだよ」
「おっと、思わず違う窓から入ってしまいましたね……」

 さておいたんだから話を進めさせてほしい。

「む、探偵だと?丁度いい。困った事態が発生していてな……」

 妻鹿臥さんは少しくらい血まみれでのたうち回っている護摩樫に気を向けてあげてもいいと思う。
 まぁ、それはさておき。さておくぞ?いいな?

 窓から乱入してきた二人の探偵の名は、コゼット(p3p002755)とウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)。
 ここからが茶番の本番である。

●探偵の数を絞ればいいというものでもない
「ちょ、ちょっと待ってください……!」

 と、ここで血まみれの護摩樫がインターセプト。彼からすれば部外者に見られたら絶体絶命の状況であるため、口を挟まないわけにはいかない。しかし。

「あなたも被害者だね…!なんてひどい!!血まみれじゃない」
「は?」

 という、コゼットのセリフは、流石に予想外であった。

 確かに被害者ではある。一式が意識不明になってるのとは別の案件だが。
 しかもそれの犯人からそんなことを言われたら、今回はやっちまったものの、どちらかと言えば控えめな性格の護摩樫も「は?」って言ってしまうというものだ。

「安心して!あなたをそんな風にした犯人も、絶対に突き止めてみせるんだよ!」
「いや、コレやったのは、」
「私達に任せてほしいんだよ!あなたは休んでいて!」
「そうだぞ護摩樫。その傷で無理をするものではない。専門家も来ていることだしな」

 妻鹿臥にまでそう言われたら黙るしか無い護摩樫。それに、捲し立てるコゼットの言葉は、自分が犯人からは外されているようである。なら、ここは黙ったほうが得策であると判断した。してしまったのだ。

「えぇ、もう大丈夫ですよ。安心してください、杏奈さん」

 護摩樫がそんな間違った決断をしていた横で、今度はウィズィが妻鹿臥に声をかけていた。

「うむ。心強いな。……?名前を教えていたかな?」
「ええ。あなたのことならば名前どころか、何もかも知ってますよ……」

 珍しく鋭いところに気がついて首を傾げる妻鹿臥に微笑みかけるウィズィ。なんか風向き変わってきたなと訝しむ護摩樫。

「何故なら私は、……あなたのフィアンセだからです!!」
「何を言っているんですかあなたは!?」
「なんと、そうだったのか!?」
「そんなワケ無いでしょう妻鹿臥さん!?」
「そんなこと言わせちまってごめんな……」
「だからあなたが何を言って……なんですかそのキメた顔腹立つな!?」

 ウィズィの爆弾発言に驚く妻鹿臥、喚く護摩樫。彼の犯行動機を思えばこんな事言われたらうろたえるのも仕方ないのだが。
 しかしウィズィにそんな事情は考慮に値しないので話は進んでいく。

「杏奈さんは風鳴さんがあんな事になって悲しんでいる……。ここで逆転の発想です」
「逆転?」
「えぇ、つまり私が杏奈さんを幸せにしてあげればいいのでは?私にはそれが出来ます。いいえ、幸せにしてあげなければならないのです!」
「な、なんと情熱的な。ガサツな女だが、私でいいのか……?」
「いいわけないでしょう!いや、妻鹿臥さんが駄目とかではなく、事件の最中になにをプロポーズし始めているんですか!?」

 極まっとうなツッコミであった。

「えっ、事件?あー……はいはい」

コレにはウィズィもちゃんと推理を、おいもう少しやる気出して。仮にも探偵名乗ってるんだから。

「えー、コゼットさん、何かあります?」

 人任せにしないで。

「ふふふ、そういうと思って秘密兵器を用意したよ……!」

 ウィズィに声をかけられ、フフフ……と笑いながらコゼットが取り出したのは、分厚い本であった。

「これは、時刻表!列車の事件には時刻表トリックがつきもの…!ということは、この事件にも時刻表がつかわれたのは、ほぼ確実と言ってもいいね」

 本当にそうか?
 しかしてコゼットは自信満々に時刻表をパラパラとめくり。

「なにこれ、どう読むの???」

 そんなこったろうとは思いましたが。
 そんなことを宣ったコゼットは周囲の、と言っても面子がウィズィに妻鹿臥なので護摩樫くらいのだが、冷たい視線もどこ吹く風で時刻表をパタンと閉じて。

「うん………まあ、凶器とかかな? 重いし角で殴ると痛そうだし」
「ほほう、コレは有力な説が出てきましたね」
「何がですかよ」

 だんだん語彙が荒くなる護摩樫。ツッコミが彼一人しか居ないので大目に見てあげてほしい。犯人だけど。
 と、ついでに肩で息をし始めた護摩樫に、救いの手が差し伸ばされる。

「おや、そんなに声を荒げて疲れませんか?お茶でもどうです?」

 そう言いながら入口の扉から姿を表したのは、橋場・ステラ(p3p008617)である。言葉通り、その手には湯気の立つカップを載せたお盆を持っていた。

「え?あ、コレはどうも……」
「おっと、手が滑りました」
「アッチャァ!?」

 なお救いの手は幻覚である。ものすげーわざとらしいセリフとともによろめいたステラは護摩樫に思いっきりお茶をぶちまけた。

「な、何をするんですか!?」
「おぉ、コレは失礼。濡れてしまいましたね。乾かすので上着を失敬」
「ちょ、ちょっと!?」

 当然ながら怒る護摩樫。この人犯人とは言え散々だな。
 ステラはまぁそんな事を気にもせず、護摩樫から上着を剥ぎ取る。
 もちろん、護摩樫を気遣ってのことではない。こいつがいつまでも上着のポケットに突っ込んでる何かを処分するためだ。とりあえずコレがなくなれば、他の誰かが見ても即断定されることはないだろう。

「おや、窓が開いてますね。ここで乾かしましょう……あ」
「ちょっと!僕の上着飛んでいってしまったんですが?!」
「すいません、手が滑りました」

 とりあえずブツだけ叩き壊しても良かったが面倒なので上着ごとさよならバイバイすることに。護摩樫も、怒りたいが、ポケットの中身に困っていたことは確かなので、強く言えないようである。

「と、とにかく、あなたは誰なんですか?」
「あぁ、どうもこんにちは、偶然乗り合わせた特別捜査官です」
「え」

 護摩樫フリーズ。急に警察が来たので。まぁ勿論ステラの嘘なのだが、頭に血が上ってる護摩樫は気が付かないし、妻鹿臥はいつもすぐに騙される。

「おぉ、なんと警察まで!頼もしいな」
「えぇ、実はそちらの探偵さんたちとは知り合いでして」

 そんな会話は聞こえていない護摩樫であるが、警察が来たらもう終わり、いや本当にそうか?証拠はすでに隠滅済みだ、そこの警察が。何だこいつ。みてーな思考を経てなんとか復帰する。

「そ、それでは、あなたは今までどこで何を……?」
「えぇ、車掌さんなんかに話を聴いていたんですが」

 そこでまた護摩樫の肝が冷える。車掌にこの事件がしれたら大騒ぎになって、犯人が特定されてしまうかもしれない。

「この辺を誰か通ったか聴いて、何人書いたみたいなんでそれが犯人かと思ったんですが。違ったみたいですね。人騒がせな話です」

 大丈夫かもしれない。護摩樫はちょっと元気になった。そしてちょっと不安になった。警察がこんなんでこの国大丈夫なのか?

「しかしこうなると事件は振り出しですね。逆転の発想で考えてみましょうか」
「うーん、ここはやっぱり時刻表なんだよ!」
「所でお腹すきませんか?」

 そのとき、唐突に入口の扉が勢いよく開かれる。
 バーン!という音に全員の注目が集まる中、そこに立っていたのは、回言 世界(p3p007315)であった。

「済まない……実はその事件の犯人は。…………俺なんだ」

 ここでアイキャッチとか入ります。

「済まない……実はその事件の犯人は。…………俺なんだ」
「すいません、なんで2回言ったんですか」

 護摩樫の疑問は虚空へ流される。

「そ、そんな……!見知らぬ人、なんで一式を!」
「見知らぬ時点で多分違うって気付きましょうよ、ねぇ」
「俺がコイツを殺そうと決心したのは……もう1年も前の事だった……」
「嘘でしょここで回想入るんですか!?」

【一時間ほどの語り】

「あ、すまん。コレ全く関係ないやつだった。忘れてくれ」
「そこまで語っておいて!?」

 何だったんだ今の、って顔をする護摩樫。
 と、そのとき、コゼットが声を上げる。

「ふふふ、実は今の時間を使って犯人が特定できたんだよ!」
「な、なんですって!?」

 驚く護摩樫。ドヤ顔でなんか箱を掲げるコゼット。

「……なんですかそれ?」
「投票箱だよ。誰が犯人だと思うか乗客皆に聞いてきたんだ」
「え」
「さぁ、お待ちかねの結果発表なんだよ!」
「ちょ、待」

 犯人は無事逮捕された。一式も殴られてはいたが息はあった。まぁ死んでなかったんで護摩樫もそんな重い罪にはならんだろう。これにて事件は解決である。

 というわけで。

「ではそろそろ食堂車に行きましょうか」

 尽力した探偵と、警察と、自称犯人はささやかな旅行を楽しむのであった。


成否

成功

状態異常

なし

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