PandoraPartyProject

シナリオ詳細

伝承の大傾奇者を成敗せよ!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■それはたわけ者のお話
 世は戦国時代。幾多の英雄達が人々の平和への願いを胸に。或いは己の野望を胸に領土を争う世界。
 そこの生まれ落ち、育った一人の男がいた。
 彼を言葉で表すならば、お調子者。たわけ者。傾奇者。
 人をからかい、悪く言うことが好きで。血縁の者からはしょっちゅう説教を食らっては反省したフリだけを見せ。また悪行を繰り返す。
 ある時など、叔父を騙して水風呂に入れ。その隙に叔父の愛馬をかっぱらい逃げ出したという。
「叔父貴、良い湯加減でしたぞ」
 そう言って、湯加減を確かめてから浴室を出たと見せかけて叔父を誘い入れ、実のところは水風呂だったというお話だ。
 これには叔父も堪忍袋の尾が切れたが時既に遅し。男は愛馬を奪って土地を抜け出したとさ。
 しかしてその力はすさまじく。一度戦場に出ればまさに無双。向かうところ敵なし。
 それが為に男は益々調子に乗り、身内の死を皮切りに己の力を試す為に城を捨て放浪の旅に出る。

 旅はいつしか終わりを迎え、心許す親友の下で再び戦場を駆け巡り功をあげ。晩年は意外に静かに過ごしたとも、結局死ぬまで性格は治らなかったともいう。

 そんな彼だから、死してなお現世にとどまるのは当然だったかもしれない。
 誰から望まれた訳でもなく、世に人に未練がある訳でもなく。
 ただ一つ。強い者と戦って負けるまでは死ねない。その思いだけを抱いて。

 そして、幾多の英雄の霊を倒す強者の噂を聞きつけてしまったが為に。

■とんでもない招待状
「皆、何人もの英雄の魂を救い、あるいは倒してきてくれてありがとう。……ところが、ね」
 境界案内人のカストルが、これは想像していなかったなぁとぼやきながら、一冊の本のページを捲る。
「あろうことか一人の英雄の霊が皆の噂を聞きつけてね、招待状をよこしてきたんだ。果たし状ともいうね」
 そのページには、『貴殿らの首もらいうける。よく洗っておくが良いぞ』と書かれていた。

NMコメント

 段々ここに書くネタ切れです以下略です。
 さておき、いつもの強敵との戦闘シリーズです。毎度の如く、強いです。
 以下敵詳細
■傾奇者×1
 大型の二股の槍を持った大男。髪は金に染め顔には朱を塗り派手な見た目をしております。
 そしてそれが示すかのように、全ステータスがとてつもなく高いです。但しいくつかのパッシブスキルによりダウン補正は受けております。

P虎が強い理由:通常攻撃に【レンジ2】【防無】【貫通】【万能】追加。デメリットとして回避が0固定。
P大傾奇者:戦場にいる全員に毎ターン開始時【怒り】判定(抵抗判定で弾けます)デメリットとして防技が0固定。
P文化人:【精神無効】CT微増。抵抗大増加。
A虎の咆哮:神秘自分中心範囲攻撃。【崩し】【体勢不利】【ブレイク】
Aただ強く!:物理攻撃。使うごとに威力上昇。
A天下御免:物理攻撃。高CT。
EX虎は元々強いからよ!:単体攻撃。【必中】【強制的に残HP1】HP半分以下で使用解禁。但し以降EXAは0になる。

 戦場は人気のない街中。江戸時代辺りの町並みを思い浮かべて貰えばOKです。
 ほぼ障害物はありませんが、彼は目立ちたがり屋なので突拍子もない行動を取るかもしれません。

 以上となります。
 天下無敵の傾奇者。ぜひに説教してやってください。

  • 伝承の大傾奇者を成敗せよ!完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月01日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
シグレ・ヴァンデリア(p3p006218)
紫灰簾の徒
ディアナ・リゼ・セレスティア(p3p007163)
月光ミセリコルデ
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い

リプレイ

■目立ちたがりの型破り
「やぁやぁそこ行くお嬢さん方!」
 人一人いない町並みを警戒しながら歩むイレギュラーズ。そんな彼女達の頭上から、大きな声が降り注ぐ。
 その声に視線を向けると、建物の屋根の上に一人の大男が立っていた。髪を金に染め顔に朱を塗っている事から、今回の討伐対象に間違いないだろう。
「果たし状なんてもらっちゃったら、答えないわけにはいかないわね」
 シグレ・ヴァンデリア(p3p006218)が不敵に笑うと、大男も豪快に笑って返す。
 大きな槍を肩に担ぎ、片手で挑発をする姿はまさに傾奇者。
「英雄とは言え霊体から果し状とはね」
『そういった境界世界だ、不思議な事があっても可笑しくは無いだろう』
「それはそうなんだけど、『神様』を……まあいいや。死者は死者らしくとっとと眠ってもらおう」
 『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)とその内に宿る『神様』が、男を見つめる。
 その格好が示す通りに、とんでもない型破りだ。幾ら異世界とはいえ死者から果たし状が届くなど、普通では考えられない。
「強敵と戦えるんは楽しみやわぁ。どんな形であれ、正々堂々戦えるんは楽しみやわぁ」
 ティアとは対照的に、心底楽しそうな笑みを浮かべるのは『呪刀持ちの唄歌い』紅楼夢・紫月(p3p007611)だ。今にも斬りかかりそうに、刀の鯉口を切る。
 そんな彼女を屋根の上から見つめ、男はまたも笑う。これはいい相手がかかったもんだ、と。
「死して尚、戦う事をずっと考えていらっしゃるのでしょうか……?」
 『月光ミセリコルデ』ディアナ・リゼ・セレスティア(p3p007163)がおずおずと問いかける。
「戦う事ばかりって訳じゃあないがな。ただ、あんな噂話を聞いてしまったら、我慢できなかったんだよ!」
 槍を頭上で一回転、そして屋根に突き刺しながら男は叫ぶ。
「俺達英雄に勝てる程の実力者がいるってんなら、死合ってみたいだろうが!」
「あぁ、わかるわぁ」
 その叫びに同意を示すのは紫月一人だったというのは、この際置いておこう。四人が戦闘態勢に入る。剣気が高まる。
「簡単には倒れてくれるなよ? 天下無敵の傾奇者の大立ち回り、最後まで見てくれよな!」

■斬り逢い
 どすん、と土煙を上げて男が屋根より大地に降り立つ。
 土煙の中を、ティアと紫月は駆け抜け傾奇者の左右より同時に斬りかかる。
 似たような軌跡を描く二人の斬撃。それを傾奇者は身じろぎ一つせずに身体で受け止める。
「いいねぇ……いい一撃だ!」
 反撃とばかりに男が吼える。その声は衝撃波を伴い、二人の女に打ち付けられる。
 ただの声、ただの音だというのにこの威圧感、衝撃。それは正しく男が只者ではないと示す証左。
 しかしその声を真っ向から切り裂く風の刃が一つ。
「この距離からなら、どう!」
 シグレの描く魔法陣より放たれた刃は、確実に傾奇者の身体を切り裂き血を吹き出させる。
 それでも男は笑みを崩さない。
「近寄るのは危ない気もしますが……」
 一歩前に出たディアナは傾奇者との距離を図りつつ、声を張り上げる。
 彼女の声は福音となり、ティアと紫月の受けたダメージを癒やしていく。
「ほう、ほほぅ。回復術士たぁ、面倒だな」
 どこか感心したかのように、顎を手で撫でながら傾奇者はディアナを見つめる。それから再び槍を両手で担ぎ上げ、余裕をアピールするかのように無防備を見せつける。
「さあ、もっと来いよ。まだまだこんなもんじゃないだろう!?」
 その声に触発されたかのように、三人が飛び出す。ティアが、紫月が、シグレが目の色を変えて走り出す。
「余裕ぶってられるんも、今だけやでぇ?」
 紫月の妖刀が煌めき、傾奇者の首筋を狙う。かと思いきやその切っ先が実際に食らったのは腕。
 首筋には峰を当てるだけに留め、すぐさまに剣筋を変えて深く斬りつけたのだ。
「こっちを忘れないでね」
『二人分の力だ、受け取れ』
 紫月の逆からもティアが斬りかかる。彼女が狙うのも首筋だ。
 しかし、二度首筋を切られてなお、その首は繋がったままだ。刃が深くまで突き刺さらない。どんな鍛え方をしたというのか。
「そう、もっとだ!」
 至近距離にいる二人に、男は槍の柄で殴りつける。一度目はティアに、二度目はより強き力で紫月を。
「こ、のぉぉ!」
 怒気を含んだ声とともに、シグレが氷の鎖で傾奇者の身体を締め上げる。一度は絡みついたその鎖だが、傾奇者が力を入れるだけで砕け散った。
 無傷という訳ではない、ただ強引に氷を砕いたのだこの男は。
「皆様、大丈夫ですか?」
 再びのディアナの声が、皆の傷を癒やしていく。彼女だけは男の挑発に乗る事なく、平静を保つ事ができたのだ。
「ご、ごめん。ありがと」
「助かるわぁ」
「なるほど、なるほど。さあ、もっと楽しもうぜ!」

■強き者
 イレギュラーズの四人は強かった。ティアと紫月の、類を見ない程の胆力。ディアナの献身的な癒やしの力に、まさしく魔女と呼ぶべきシグレの攻防に力を発揮する魔術。
 しかしそれを一身に受けてなお、傾奇者は全身から血を流しながらもなお、笑う。
「なあ、お嬢ちゃん達よ。強さとは何だと思う?」
 どっしりと前傾姿勢を崩さぬまま、男は突如問いかける。声が終わるとともに、紫月へ力いっぱい上段からの振り下ろしを見舞う。
「……っ! そ、れは……私にはわからんよ!」
 振り下ろされた槍を妖刀で受け止めた腕が痺れる。全身に衝撃が響き渡る。
 それでも、せめてもの反撃とばかりに傾奇者の腹を蹴り飛ばしながら、紫月は答える。
 彼女の道はまだこれから、まだ未来がある。故に、その先で強さは見つければ良い。
「私にも強さはわからない……けど、きっとそれは」
『一人じゃ到達できない高みにあるんだろうな!」
 紫月を助けるべくティアの刃魔、一体となった一撃が傾奇者を殴り飛ばす。
 ティアと『神様』、不思議な共存関係だからこそここまで来た。そして、この先も『二人』でならまだ強くなれるはず。
「私もまだわからないわ、でもきっと、そこへ到達してみせる」
「私だって……まだ、まだ癒せるはずなんです!」
 ディアナとシグレの癒やしの魔術が、深い手傷を負った紫月を癒やす。同時に、己の「強さ」を見せつける。
 例え道半ばであろうとも、諦めない心こそが。運命を変えていくイレギュラーズの強さだと。
「は、ははは……いいねぇ、その若さ故ってやつ」
 ティアの一撃を受けてよろめいていた傾奇者が体勢を立て直す。口元から流れる血を拭い、まだ、不敵に笑う。
「けどな、お嬢ちゃん達よ。虎はなんで強いと思う?」
 傾奇者の目つきが変わる。今までのどこか遊んでいた目ではない。それは、捕食者の目。最上の獲物を逃さぬといった目だ。
「虎はな……元々強いから強いんだよ!!」
 咆哮と共に大地を蹴る。その勢いは正しく猛獣。標的は、幾度食らっても食い足りぬ、女。
 紫月が防御の構えを取るのも強引に力でねじ伏せ、襟首を掴み地面に叩きつける。
「がっ!?」
 意識が飛びそうな程の衝撃、息が漏れ血の味が広がる。
 しかし無慈悲にも、紫月の腹に槍の柄が殴りつけられまだ体力を削り取っていく。
 余りにも無慈悲、凄惨。一瞬の出来事に他の三人は反応が遅れるが、すぐに我を取り戻す。
「早く回復を!」
「は、はい!!」
 怒りよりも恐怖が上回ったのか。冷静に動く魔術師二人の回復魔術が紫月の身体を包む。
「そこを、避けてぇ!」
 叫ぶティアの刃魔の一撃が、傾奇者の意識を引き寄せようやく紫月は解放される。バラバラになりそうな程の衝撃であったが、ディアナとシグレの癒やしが効いたか立ち上がる。
「流石に、効いたわぁ……なるほど、なぁ」
 数度、手を握り開いてを繰り返し感覚を取り戻す。傾奇者の体力はティアの連撃により削れている。なれば、どうするかは決まっている。
「その強い虎さんを、退治できれば強いってことやよねぇ!」
 傾奇者の意識外より奇襲のごとく、首筋に刃を立てる。一度で刺さらずとも、二度、三度。身体が動く限り繰り返す!

■決着
「いやー、今回は俺の負けだ」
 全身血だるまになりながらも、男はどっかと地面に座り込み豪放磊落に笑う。両手を挙げて降参の意を示す。
「はぁ、はぁ……デタラメな強さ、だよ」
『虎ってのは言い得て妙だな』
 精根尽き果てたティアも、へたりと座る。よく見れば紫月も流石に動けなくなっているようで、まだシグレとディアナの回復を受けている。
 それも仕方ないだろう。大半の攻撃は紫月に向けられていたのだから。
「これで、満足頂けました?」
「おー、とりあえず腹八分ってとこだな」
「そこなしなの……?」
 ディアナの問いにもまだ余裕と言った様子で返す傾奇者に、シグレは冷や汗をかく。
 腹八分ということは、まだやろうと思えばやれるという事だ。本当にとんでもない英雄である。
「……そしたら、また今度やりあってみるんもええねぇ?」
「お、そうだな。そん時は酒か茶でもあるとよりいいな」
 紫月の提案に食いつく傾奇者。霊だというのにそんなにぽんぽん出てきていいのだろうか。

「俺は虎、孤高の存在だ。友なんて死ぬ間際にちょっといたくらいだ」
 最後に、しみじみと思い出すように傾奇者は言葉を残す。
「お前達は忘れんな。仲間と友ってのは、とってもいいもんだぜ?」

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM