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シナリオ詳細

バトル・オブ・アストラークゲッシュ

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●デュエル!
 アストラークゲッシュ――それはカードバトルの一種。
 多くの『キャラクターカード』を用い、あるいは『魔法カード』などで強化し。
 相手の持つ『ポイント』をゼロにするルールを持つカードゲームである。
 これだけを述べるとやる事は単純……の様に見えるかもしれないが、その実、数多無数のカードが存在し奥が深い。このカードはこのカードを相性が良く、このカードはこう組み合わせる事で上位のカードを打ち破れる――などなど。
 一枚だけを見て判断など一切出来ない。強いカードばかり揃えた者が勝つ訳でもない。
 多くの戦術が開発される程に愛好者は世界に多く。そして――

「やぁ今日はよく来てくれたね!! アストラークゲッシュ大会も毎回大盛況!!
 今回は一体誰が優勝するのか――さぁとくと見て行ってくれ!!」

 そして――大会の中にて声を響かせるはクラルス・アルカナム。
 幻想貴族の養子になった『旅人』であり、このアストラークゲッシュ大会を主催する人物でもある。いや。カジノ、ゲーム、スポーツ競技、保養施設……諸々を含めた複合アミューズメントパークを経営し、その利益によって練達とアストラークゲッシュ――のレプリカを共同開発したある意味『創設者』と言うのが正確だろうか?
 ともあれ今宵開かれているのはそのアストラークゲッシュ大会である。
 混沌世界各地より集いし愛好者達……その手に持つは努力の結晶。
 ある者は自らが作り上げた組み合わせの強さを見るべく。
 ある者は自らが作り上げた組み合わせを実戦にて楽しむべく此処へ。

 ――試合形式はトーナメント方式だ。
 一度負ければそのまま敗退。勝者だけが常に前へと進む。

 一戦一戦に注力せよ。勝ち昇りたければ魂を込めてカードを引くがいい。
 時の運とは引き寄せるモノである。自らを信じ、戦え。
「アストラークゲッシュは常に進化している! カードは増え、環境は変わる!
 一つ前の大会の勝利者が、次の栄光を掴めるとは限らない……故に!」
 カードの強さが勝利を決めるのではなく。
 カードを使う者の強さこそが勝利を決めるのだとクラルスは言う。

 ――さぁ今宵の栄光は一体誰が掴むのか――

「では、ここに宣言するよ! アストラークゲッシュ大会――その開催を!!」
 客席の熱狂高らかに。
 選手入場。デュエル――スタンバイ!

GMコメント

 リクエストありがとうございました!
 完全に某カードゲームを思い浮かべております……よろしくお願いします!

■依頼達成条件
 アストラークゲッシュ大会を楽しもう!

 アストラークゲッシュとはカードゲームの事です。
 また特に今大会では混沌世界を元にしたカードが多く存在し、それを組み合わせて『デッキ』を作ります。強力な『キャラクターカード』を『魔法カード』などで強化し、相手を倒しましょう!
 また相手の妨害を行う『罠カード』なども存在しています。
 うまく組み合わせると非常に強力な事も……!?

■今大会のはどういうルールなの?
・何十枚かのカードを組み合わせた『デッキ』があります。
・毎ターン、一枚引いて自分のターン。攻撃などが終われば相手のターン。
・それらを繰り返し、相手のライフポイントを0にした方が勝利。

 基本はこれだけです。あとは、半ば言ったもん勝ちですが……あらゆる『単語』を組み合わせてプレイングを作成してみてください。『単語』とは混沌世界に存在する固有名詞だったり、或いはイレギュラーズの『名前』などでも構いません。もっと言うと自分でオリジナルの単語を作って頂いても構いません。
 例えば。

 例:<<暗殺令嬢>>で敵を攻撃!
 例:<<暗殺令嬢>>に<<薔薇十字騎士団>>をセットし強化!!
 例:敵のキャラクターに<<ザントマン事件>>を発動! 人身売買で場から除外!

 などなど。
 細かいルールは問いません。『言ったもん勝ち』の精神でカードゲームをしているようなプレイングを記してください。後は任せろ!!!!!

 ちなみに。全くカード特徴の情報が無いというのもプレイングが作りにくいかと思いますので『今大会で』使用されているアストラークゲッシュカードシリーズの基本特徴を以下に記してみました。プレイングの際の一助になれば幸いです。

・幻想デッキ
 スタンダードな能力を持つあらゆる場面に対応が強いシリーズ。
 カード枚数も多く、様々な特化コンボが常に生み出されている。
 特に『暗殺令嬢』コンボは大会優勝経験が圧倒的に多いのだとか……

・天義デッキ
 補助能力が強く、地力が非常に強い。コツコツと組み立てた後の制圧能力は随一。
 『天義事変』シリーズ以降更に強化されているので愛好者も多いのだとか。
 反面即時展開能力はそこまで高くないと言われている。

・鉄帝デッキ
 とにかく攻防に優れたキャラクターカードが圧倒的に多い。
 殴り合いでは最強。反面、敵のトラップ系統のカードや絡め手には弱く、場への展開も一度止められてしまうと勢いを失ってしまう事も……

・海洋デッキ
 とにかく手札の枚数をじゃんじゃん増やすことが出来る。
 常に選択肢が多い事が特徴のデッキ。
 反面、攻防や補助で『強い』という印象は薄いのだとか。

 しかし最近『海洋王国大号令』シリーズが新発売されたらしく、強化されている。

・傭兵デッキ
 手札以外から特殊召喚する手段が多い展開力の非常に強いデッキ。
 手札一枚からでも逆転できる素質を秘めているのだとか……?
 実は深緑デッキと多くのシナジーを持つらしい。

・深緑デッキ
 補助、トラップ部門ナンバーワン!
 あらゆる魔法系カードにより自分に有利を、敵には不利を与える特徴がある。
 ただしキャラクターの展開速度は速い訳では無いし、殴り合いには弱い様だ。

・練達デッキ
 ハマると強いがハマらないと一番弱いとも言われているトリッキーデッキ。
 他の部門には無い独自な効果を持つカードが多い。

・覇竜デッキ
 全体的に滅茶苦茶強いカードばかりだが、コストが滅茶苦茶重すぎて現状では実用性が微妙とも言われている。カード自体も少なく、これをデッキとして組んでいる人物はごく少数との事。

・豊穣デッキ
 最近見つかったという新天地デッキ。
 判明しているカード自体が少ないため、実力が未知数。

■その他
 基本的に『○○さんと試合をします』もしくは『メンバーの誰かと試合をします』と言うような指定が無い場合、カード愛好者達(モブ)との戦いが描写されます。お任せいただいた場合はプレイングを見ながら掛け合わせる事になると思います。
 恐らく一戦か多くても二戦を集中して描写する事になると思います。

  • バトル・オブ・アストラークゲッシュ完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月30日 23時15分
  • 参加人数7/7人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
札貫 リヒト(p3p005002)
タロットも任せとけ
プラック・クラケーン(p3p006804)
昔日の青年
物部・ねねこ(p3p007217)
ネクロフィリア
ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼

リプレイ


 歓声響く。誇る熱は天へ轟く程に。
「TCGの大会か……はっ、いつ振りだったかなこの空気もよ」
 その中で『タロットも任せとけ』札貫 リヒト(p3p005002)は煙を揺蕩せていた。
 馳せる思いは過去へと。若かりし頃は縦横無尽に暴れまわったものだが――『あの日』を境に全ては変わった。しかし、へし折られてひん曲がったプライドだって。
「まだ錆び付いちゃいねぇんだ……ベテランゲーマーの実力見せてやるよ!」
 その手に所有するは幻想と――新しき素材たる豊穣を兼ね合わせたデッキだ。向かい合う、その先に居たのは『TACネーム:「ハンター」』ルクト・ナード(p3p007354)で。
「……私は、あまり娯楽に触れたことがないから……少し、楽しみ」
 指先に感じる感覚は真新しい。それは紙の質という意味ではなく、己が感情の感覚としてだ。
 カードを組み合わせるに思案した。デッキを造り上げた時に込み上がった感情は何か。
 ――あれは『楽しい』と言う事であったのだろうか?
「……是非、手合わせ願いたい」
「はっ――加減はしねぇぞ!」
 しかし馴染みが薄かろうとベテランだろうと、一度戦場に上がったのならばリヒトもルクトも全力だ。先行はリヒト。ドローする手の仕草は慣れたモノである。見据えた視線、そこに在るカードは。
「行くぜ……手札より《練達上位式・狗神》の効果を発動!」
 式神のイラストが描かれた一枚。普段使用する小さくてゆるい豆狸とは異なる。
 これは自分の場に何もカードがない時に手札から一枚特殊召喚する事が出来る能力を秘めているのだ。しかしこれだけでは終わらない。続くは魔法カード――貴重な空中神殿属の《此岸ノ辺》!
『むぅ、アレは新カードだね! 最近発見された豊穣の……!』
「そうさ。使わせてもらうぜ――こい、俺の相棒!!」
 デッキをめくり、至ったキャラクターカードを特殊召喚!
 クラルスのマイクの声に応える形でリヒトが顕現させるのは――《式神・豆狸》である。
 彼を慕う式神達――おやびん、おやびんと鳴いてくる相棒たちよ。
『おっと!? これは驚いたね、そのカードは――』
「そうさ。環境に追いついてない古いカードさ。んな事ぁ俺も知ってる……」
 だがな。
「それでも俺はコイツを信じてる。さぁ来な、ターンエンドだ! こいつらの力を見せてやるよ!」
「――」
 ルクトの眼に映るリヒトの視線には力が籠っている。
 虚偽ではない、虚勢でもない。油断すれば飲み込まれようその気迫に。
「……私のターン、ドロー」
 彼女は真正面から立ち向かう。組んだカードは――傭兵と鉄帝を混ぜ合わせたコンボデッキ。
「……『空戦部隊』第一陣を召喚。同時に……『急降下爆撃』を使用する、よ」
 それは彼女の在り様を体現したかのようなカード群。
 デッキを組んだ時に自然と手が伸びた先にあったのが自身の戦闘スタイルでもあったのは――魂の共鳴でもあったのか。専用のサポートカードと盤面の制圧を狙うカードを中心に組んだデッキはスタンダードなデッキではない。言うなれば一風変わったデッキだろう。
 しかしだからこそ強みというものを理解している。デッキの強みを、自らの強みを――
「この効果は1ターン1体に限り、トラップを受け付けないカード……豆狸を攻撃」
「ぬ――ぐっ!」
 散る豆狸。反撃を封じた上で、更に。
「『緊急発進』を手札より使用……敵を一体破壊した時、更に場に『空戦部隊』の第二陣をデッキ、もしくは手札から召喚する」
 ――増やしていく。見る見るうちに。まるで後方から援軍が現れるような様は軍隊の如く。気付けば盤面を制圧されそうな勢いを秘めており。
「……デッキは……自分で組んだ……私らしく、作れたと思う」
「はっ、いいんじゃねぇか? だがもう少し――楽しそうにするべきだとは思うがな」
「……楽しんでるように見えない?」
「ああ。もうちょっと顔に出してみるべきだぜ」
 ターンエンドを宣言する彼女にリヒトは言葉を紡いで。
 しかし――彼は分かっているのだろうが――ルクトは決して楽しんでいない訳ではない。ただ、表情を出し辛いのだ。笑うとか、感情を表に出すのがどうしても慣れず苦手。
 でも。
「……勝つ。……空は、私の居場所。カードゲームでも、それは同じ」
 内に秘めし気迫は決して誰にも負けるものではないと。
 瞳に確かな意志を携えて。
「おおよ、その意気だ――俺のデッキもここからだからな! 『黄泉津の宝札』に『ないない』を発動……! 手札から一枚捨てる事によりデッキから二枚カードをドローする!」
 墓地に魔法カードを溜め続ける。このデッキの神髄は後半戦。
「来たぜ――『執念深き火狐』を発動! これにより墓地から狐を召喚!」
 場に揃う狐、狗、狸の名が付く者達。
 これらを召喚し導き出す『孤高の札使い・狐狗狸』の召喚へと繋げる事こそ勝利が見える時! 今こそ役者が揃ったならば神秘の業火で軍隊を焼き尽くそう!
 リヒトのターンが巡って来る。
 周囲の熱狂。指先に込める魂の感覚――
 ああ懐かしいものだと、思考しながら。


「カードゲームか――偶にはわるくねぇっスね。こういうのも」
 ルクト達の激戦が繰り広げられている中――隣の場では同じく『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)の戦いが繰り広げられていた。眼前。いるは傭兵のデッキを駆使する愛好家だ。圧倒的な特殊召喚の多さにキャラクター達が次々と展開されている。
 カードゲームと言えば葵はやり込んでいた訳では無い。あくまで暇つぶしで嗜んでいた程度だ。
「でも、やるからには全力っスよ。手を抜いて負けるのは性に合わないっス」
 組んだデッキは攻防ともにバランスの取れた集合体――故に。
「『A・S(エース・ストライカー)葵』を召喚。効果を発動するッス!」
『むむ! あのカードは――特殊効果を持つカードだね!?』
 そうっスよとクラルスの言葉に呟いて、狙い定めるは傭兵の一枚。
 このカードは戦闘を行えない代わりにこのカードよりも弱いキャラを破壊する力を秘めているのだ。傭兵は展開が早い代わりにステータスはまちまちなカードが多く――故に刺さる。
 場に残り続ければ残り続ける程に厄介なカードだ。
「おのれ……ならばすぐさま破壊してくれよう!」
 だからこそ相手もあえてそのカードを残させたりはせぬ。
 相手より弱いカード破壊に特化したカードなら、強い者で蹂躙すればよいのだと――
「おっと甘ぇっスよ。『D・B(デンジャー・ブロック)空太郎』の効果発動!」
 手札より発動したそれは、攻撃に転じた者の攻撃を無効化し、守備表示に変えるモノ。
 対策が一枚でもないと思ったか。先述した様に葵とて手を抜いてここに来た訳では無く。
「更に『機動力』を発動するっスよ! 効果による破壊を速度で回避――無効にするっス!」
 おおお! と観客席より歓声が。
 幾度もの破壊をも乗り越え、自身の場を常にそこに在り続けさせれば。
「そしてこれが真骨頂っス! 行くっスよ……手札の『ギルオス』と『パンツ』カードを捨てて特殊召喚! ――『P・C(ぱんつ・これくたー)ギルオス』!!」
 ちょっと! なんだいそのカードは! と言うどっかで聞いたような声が観客席から飛んでくるが、多分気のせいなので無視しておこう。うん。ともあれこのカード、ステータスは最底辺だが――
「効果発動っス! 召喚時にデッキからパンツカードを3枚まで手札に加え、ターン開始にパンツカードを1枚手札に加える。ギルオスを体現したこのカード……これだけだと説く意味はないっスが! ここで『A・S葵』の効果が活きるんす!」
 もう一つの効果――手札を三枚捨てる事で戦闘を行えない代わりに、相手の魔法と罠を同じ枚数だけ破壊する! ぱんつと引き換えに戦場をズタボロにし、そして攻撃を通らせるのだ。これが葵のデッキ――如何なる状況でも安定した力を出し、攻撃を防いで相手のカードを除去。
 じわじわと攻め落とす事が主体! さぁ挽回などさせず攻め落とそう!

 ――同時。また別のフィールドで熱を籠らせているのは。

「来たぜ……来たぜ! あのアストラークゲッシュの大会!!
 あぁこの熱狂の中に入れるたぁ胸が躍るぜ……行くぜ俺の相棒『初代蛸髭』!!」
「うふふ~プラックさんよろしくお願いしますね」
 一人は『蛸髭』プラック・クラケーン(p3p006804)。
 もう一人は『ネクロフィリア』物部・ねねこ(p3p007217)であった。
 特にプラックは感極まって微かに涙を――いや男が涙を見せてなるものか――
「ああ宜しくな――ドロー!
 俺が召喚するのは『初代蛸髭』!! 召喚時――コイントスを実行!」
 目端を拭って相対す。コインを振るえば表が出て、出る効果は『海賊行為』
 相手の手札をランダムに選択して自身の手札へ加える収奪だ――!
「更に『海洋王国大号令』発動! デッキより二枚ドローし、ターン終了時に二枚捨てるぜ! 更に『海賊ドレイクの帰還』を発動! 1ターンだけ海洋王国大号令の効果を二倍にする!」
『おお、アレは供給と消費を加速させる新カードだよ!』
 海洋で固めたデッキは次々と手札が舞い込んでくる。
 プラックはソレに魔種属を混ぜ合わせ蛸髭を中心としたデッキを組んでいるのだ――
 あとは『クリミナル・オファー』さえ来れば――ッ!
「成程……プラックさんのデッキはそういう傾向なんですね……」
 しかし、ねねこは笑みを見せる。
 初手から凄まじい進撃を見せているプラックなのだが――いや。
 先程ねねこから奪ったカード、これはッ――!!
「では行きますよ。魔法カード『月光人形』を発動し、デッキの一番上から三枚のカードを墓地に捨てる事によって、トークンを二体場に召喚します。更にこのトークンが場に出た事によりフィールドカード『天義事変』を発動」
『なッ! こ、これは――ネクロフィリアデッキかい!?』
 クラルスは驚く。ねねこが使うはゾンビやミイラ――そう。アンデッドを中心としたデッキである。ゾンビ系は必ずしも強い個体達で構成されている訳では無いが……
「更に永続魔法カード『嘆きの谷』を発動します。これは――フェイズ開始と同時に、デッキから二枚墓地に捨てる事によって、フィールドにゾンビトークンを1体常に供給するのです」
 その展開力たるや傭兵デッキに劣らない。
 今の所出ているのは天義系だけだが、これに加えねねこは海洋の『幽霊船』や『悪性ベノム』をも加えており、圧倒的増援展開デッキと化していた。プラックは蛸髭を主軸に手札を充実させているが、ねねこはフィールドを十全させ圧し潰すつもりだ。
「ねねこさん……アンタ、慣れてやがるな!?」
「ふふふ、カードゲームはこの世界に来る前はちょっとだけやってたのですよ!」
 そして要素を揃え、天義系デッキ最強カード『七罪ベアトリーチェ・ラ・レーテ』が召喚されれば――プラックは詰む! 出れば勝ち確定とも言われる最強核の一枚……
「だけどよ……分からないもんだぜ!」
 最後の一枚を引くまで、勝負は!
 そちらが魔種を持つというなら――こちらも魔種で対抗するのみ!
 ねねこが場を完成させる前に突破口を得る。
 ネクロフィリアデッキは墓地にカードがある事が前提のデッキ……充実する、その前に!
「力を貸してくれ――蛸髭ェ!!」
 指先に魂を。心の臓が脳髄にまで響いて。
 こちらにも切り札は在るのだ。初代・蛸髭を『クリミナル・オファー』に応えさせてデッキ・手札・墓場から『三賊』を除外する事により『不変の白鎧・蛸髭』と化せば、逆転の眼はある!
 血を沸かせる。たった一枚のカードで天国を視るかそれとも地獄を見るかッ――!
 さぁいまぞディステニードロー! そのカードや、如何に――ッ!!


「――汝(あなた)とは何らかの形で対峙したいと考えていたのだわ」
「そう、それは――光栄だわ。ご期待に沿えればいいけれど」
 渦中。出会うは『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)と『黒焔纏いし朱煌剣』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)の両名である。
 逃れ得ぬ戦い。雌雄を決すべき一戦――先手はアリシア!
「カードゲームの経験はあまりない――のだけどね。何故かしら体が覚えてるのよ」
 【半身】がよく通っていたからだろうかと思考し、ドロー。
 彼女がルール確認し造り上げたデッキは天義+幻想のミッドコントロール型である。手堅く盤上を握り相手を制圧する。それまでに敵に飲み込まれぬようにする必要はあるが――一度陣地を造り上げたのならばそう易々逆転はさせない。
「『幻想一般騎士』を召喚し、同時に『鶴翼の陣形』を発動。
 発動している限り防御力を上昇させるわ」
 更に控えさせるは『内偵の密告』……相手の効果を一度だけ無効化する罠カードだ。
 何が来ようと押し切らせるものか。万全整えアリシアはレジーナを見据えて――

「ふふ。残念だけど――それだけじゃ薄いわね」

 それでもレジーナのドローに迷いはない。
 無為である。如何に雑魚を揃えようと、真の強さの前には全てが瓦解する!
「魔法カード『薔薇と十字』を発動! 手札のモンスター1体を効果を無効にする代わりに無条件で特殊召喚するわ――現れよ『善と悪を敷く天鍵の女王』」
「な、に――」
 効果を無効化して召喚――それでは『内偵の密告』は効果を表さない。
 攻撃されれば『幻想一般騎士』は成す術なく破壊され、しかし。
「そしてターン終了時この効果で召喚されたカードを墓地に送るわ――
 一枚伏せてターンエンドよ」
 終わった。それだけだ。
 随分と――大人しい――?

「……いや」

 レジーナにはまだ手札が残っている。
 そして今伏せた一枚もある。
 ――呑まれる。
 大丈夫だったと油断すれば次には首元に届いているかもしれない……!
「天鍵様」
 唾を呑み込み。一枚引いて。
「――全力で、挑ませてもらうわ!」
 召喚せしは『天義魔術師』。序盤の有利不利に関わらず中盤からがこのデッキの真の力。
 時を経るごとに強くナウ。幻想の騎士は上級騎士に。天義の者は聖銃士に!
「続いて『コンフィズリーの不正義』を発動し、コンフィズリー族を墓場に送る事により――『枢機卿『カーディナル』・アストリア』を特殊召喚! 効果で味方ユニットとして『天義聖銃士』を特殊召喚し――更にその能力を強化!」
 終盤に近くなればその力は更に増す。
 アストリアは強力な魔種属でありそうそう容易くは打ち破られぬ者――!
「アストリアの『十字砲火』で攻撃!」
「させないわ――『無謀な駆け落ち』発動! デッキから二枚墓地に送り、十字砲火を不発!」
 それでもレジーナの護りも盤石たる。アリシアに決定的な一撃を撃ち込ませずして。
「更に速攻魔法『ノーブル・レバレッジ』! 通常召喚を割り込ませるわ!」
「くっ――!? なら『天義探偵の召喚』を発動! 手札を一枚捨てる事で、デッキより『『聖都の探偵』サントノーレ』を召喚し――場に存在する限り、対象の強化系効果を永続封印!」
 展開に次ぐ展開。どちらが押し切るか、どちらが先に崩れるか。
 一手を間違えればそこから突き崩されるよう――観客達も息を呑む展開。
 有利なのは――アリシアか? アストリアは強力で、フィールドは安定している様に見えるが。
「良くやるわアリシア……やはり汝との戦いを待ち焦がれただけのことはある……!」
 それでもレジーナは崩れない。
 彼女もまたカードを得手とする者である。場には『女団長クラリッサ』、『女王様率いる盗賊団』、ノーブルレバレッジで召喚した『善と悪を敷く天鍵の女王』……そして彼女のターンへと至り。

「――さぁ。汝(あなた)に神を見せてやりましょう」

 空気が、変わった。
 何かが来る――そう思った時には既に彼女の指は手札に伸びていて。
「罠カード発動! 『青薔薇迷宮』! 場のモンスター1体を生贄、LPを半分払い――
 手札の『暗殺令嬢』を召喚条件を無視して特殊召喚!!」
 高レベルキャラクターが三体――まさか――
「……しまったッ!」
「場の三体を生贄に――顕現せよ!」
 アリシアは気付く。しかし何もかも手遅れ。
 これが天義を震えさせる最強カード。
 幻と言われた最高位の――『破壊神』
「我のターン――破壊神で枢機卿を攻撃!」
「くっ! 枢機卿の効果を発動! 天義聖銃士を特攻させ相手モンスターを……」
「無駄よ。破壊神の特殊効果は枢機卿の効果を無効化する! 何より――」
 そう。
 破壊神はモンスターではない。
「神だ!!」
 言い放つ。
 枢機卿に破壊神の腹パンが直撃――効果によりダメージが二倍――

『決まった!! これで……レジーナ・カームバンクルの勝利だ!!』

 クラルスの声が鳴り響く。
 敗因は――さて、なんだったか。枢機卿を出した事か、それとも経験の差か?
「……ふふ。また、やりたいわね」
「ええ――汝なら歓迎よ」
 それでも敗北に怒りはない。全てを出し切った結果だ。
 握手を交わし、されば観客席からは万感の拍手が舞い散って。

『さぁ今宵の大会はまもなく終焉だが――皆、最後までどうか楽しんでくれ!』

 熱狂は鳴りやまない。アストラークゲッシュを愛する者が居続ける限り。
 この熱はきっと――誰にも伝播していくのだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 カードゲーム。
 トランプでもなんでも、したことのある触った事のあるかつての日々。
 ――楽しい一時を描けたのなら幸いです。

 ありがとうございました。

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