PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ポー式ダンジョンアタック~暴力はいいぞ~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●幻想国内で悪いと称されることは大抵やってるような所謂「あくのそしき」の根城を見つけたが、突入しようにも多種多様なトラップが配備されており近付くだけで命の危機に直面するとんでもないダンジョンと化しているが実は今晩には首魁その他がここを引き払うという噂が流れているため解除を悠長に行う暇はないため力押しで全てを突破する他はない
「――ってのが現状だよな! 間違いないよな!」
 コラバポス 夏子 (p3p000808)は一同に再度確認をとった。彼らしい超絶早口そして女性陣へ適度に「俺ってデキる男だろ?」オーラを飛ばすその姿はウザいんだが状況把握能力は的確だった。
「正確な分析だな。なに、ここに集まった面々なら力押しに終始してもそう後れはとるまい。期待している」
「僕達に期待してくれた依頼主の方のためにも、ここは足踏みしている場合ではありませんね! 一気に攻略するのが最善です!」
 ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)と日車・迅 (p3p007500)は居並ぶ面々と同様に、仲間達を信頼している。背中を預け、自らの力で切り開くというこの状況に至上の喜びを覚えているのは確かである。
「とにかく、ここを壊して悪人を捕まえればいいんだよね!」
「HAHAHA、ミー達にかかれば建物ごと壊すことだってお手の物だぜ! それをやっちまうと逃げられたときに困るんだけどな!」
 ローレット・イレギュラーズの中でも屈指の突破力を誇るソア (p3p007025)と郷田 貴道 (p3p000401)が言うと冗談に聞こえないし、制限がなければやりかねないだろう。それは自信の有無というより、結果への確信というべきか。
「ああ、無理に壊して逃げられることは避けたい。それに、夏子さんが説明してくれた事態……逃げようとしてる、っていうのが罠の解除に時間を割かせない為のブラフの可能性もあるよね」
 ルチアーノ・グレコ (p3p004260)は貴道の言葉を肯定しつつ、尤も重い懸念を口にする。罠に自信があるなら河岸を変える選択肢そのものが怪しい。逃げる気なら、今以上の隠密性か防御力を備えた場所じゃなければ意味がない。どちらも、あまり現実的ではないと思えた。
「でも、本当に逃げそうなら早く捕まえないと、また多くの人に迷惑がかかるよね……他の皆を呼ぶ時間もないし、ここは私達で突破しなきゃ……!」
 ノースポール (p3p004381)は強い正義感そのままに、夏子が告げた情報も仲間達の懸念も疑うことがない。そして、若い感性ながら『どちらも正なれば頼るべきは自分自身』であることを熟知している少女である。
「ナーちゃんたちがタテモノもワルモノもアイしてあげればいいんだよね?」
 ぶんぶんと得物を振り回すナーガ (p3p000225)は、細かい理屈や駆け引きというものを知らない。知っていても気にしない、というべきだろうか。
 要は、「強行突破して自分たちのリスクをとるか」「安全策を講じて逃げられ、多くの人に累が及ぶリスクをとるか」。そんなもの、イレギュラーズが採る選択肢はひとつだろう。
「悪人のアジトを見つけたからには放ってはおけません! 全員捕まえてしまいましょう!」
 ノースポールの言葉に、異論をさしはさむ者はいなかった。

GMコメント

 過密スケジュールって言葉がこれほど現実味を持つなんて知らなかったよ。リクエスト有難うございます。
 細かいことは脇において、暴れると良いと思います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●達成条件
 建物を過剰に損壊することなくアジト深部に到達する。
 「ファミリー」の壊滅

●「ファミリー」のアジト
 所謂悪の組織の根城です。
 非常に多種多様な罠と防御機構を備えており、解除しながら進もうとすれば時間が果てしなくかかる上にほぼ間違いなく察知されます。アジトを引き払って逃げるという噂も、OP通りブラフの可能性があります。
 複雑な設計なので「罠解除」で解除はできません。ただし罠系非戦で「こう突破すればいい」という閃きを得ることがあります(なくても攻略できます)。
 一般的な罠は以下。
・壁からの矢や槍:多数襲いかかる為回避に減衰が入ります。高回避の人が避けて穴をぶち壊せば大丈夫です。
・吊り天井+行き止まり:天井が迫ってきます。防技高めの人二人で受け止めることで進行を抑えられます。毎ターン防技判定に邪道5ずつ累加され、判定失敗ごとに徐々に押し負けます。対処不能になる前に壁に高火力で集中攻撃を叩き込み、破壊しましょう。
・不動の扉:取手などがない扉です。「一撃の威力が」強烈な攻撃を叩き込まないと突破できません(直前に恍惚付与などのセットプレーは可能)。
・スイングハンマー:通路を振り子のように往復するハンマーです。タイミング(反応)とミート力(命中)を備えた一撃で破壊可能。十分でないと、攻撃に対して「棘」相当のダメージが返ってきます。
・転がる鉄球:とにかく叩いて叩いて叩いてぶっ壊せ! (猶予2ターン、全員の全力攻撃で最高火力を狙いましょう)
 ……etc、多種多様な罠があり、「こうやれば突破できる」という説得力でなんとかなるはずです。皆イレギュラーズだからね。

●「ファミリー」
 とっても悪い奴らです。そこまで凶悪じゃないけど種類豊富なBSを付与するナイフで襲ってくる部下が20人ほど、指揮役と治療を兼ねる幹部が3名、超範囲の行動統制(ドクトリン)を操るボスの計24名が相手となります。
 戦場となるフロアは四方60mはある広大な空間のため、部下達との密着の問題さえクリアできれば移動に融通がききます。当然、密着されて自然とマーク(ブロック)状態になる可能性は高いです。
 中央密集陣形で周辺から処理していくか、飛んだりはねたりして空間を使って戦うかは任意です。

 力押しってこうですか? わかりません!
 兎に角楽しめればいいなと思います。

  • ポー式ダンジョンアタック~暴力はいいぞ~完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ナーガ(p3p000225)
『アイ』する決別
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神

リプレイ

●まあそういう話なのさ
「よし! 行くぞ! 我が旗を見よ! 突撃!!」
「チョット待って下さいよもう少し前置きと言うか余韻というか意気込みみたいなものがですね、ステイ! ベルフラウさんステイ!」
 夏子は引き絞られた矢の如く突っ込んでいこうとしたベルフラウを慌てて引き止めた。しかし手を掴んだりはしない。紳士なので。でもそうだよね、もうちょっと前置きとかほしい……ほしくない?
「何? 依頼に対しての心情や想いなどがあるだろうと? ぬるい!!!!! 最後に飲もうと思って残しておいた結果ぬるくなってしまった味噌汁よりもぬるいわァ!」
 やめろよ。前置きとか心意気をきちんとなんかしておかないと壊す為の説得力足りなくなるんだぞ。
「流石幻想指折り巨悪の組織OF組織。悪そうな奴は大体ここ出身とまで聞く……一筋縄じゃ引き千切れてしまう事だろう」
「ファミリーか、懐かしいね」
 気を取り直して(?)夏子がごくりと息を呑むのと、ルチアーノの極めて軽い口調とでは、態度に大きな開きがあった。噂でしか知らぬ者と、以前に――例えば恋人を拉致したので壊滅させた某集団とか――関わりがある者の覚悟の違いというやつだろうか。
「ワルを『わからせる』……うんうん、とってもわかりやすい。ナーちゃんのアタマでもよくリカイできる、ステキなミッションだね!」
「オーケーオーケー、とにかくパワーで押しまくれば良いんだな? HAHAHA、シンプルで良いじゃないか、たまにはこういうのもアリだな!」
 ナーガと貴道はこのシンプルな状況がひどく気に入ったらしい。
 そりゃそうだ。この二人の専門は力による突破、罠を力づくで解決するという今回の趣旨にうってつけの二人なのだ。
 なんでこんな相手を敵に回したんだろうなあこの組織。
「どんな罠がきても、私達が協力すればどうにでもなります!」
「かつて我が師は仰いました。『鍛え抜かれた暴力は全てを解決する』と!」
 ノースポールが仲間を強く信頼しているのがよく伝わってくる。根っからの善人でもなくばこうはいくまい。……迅の師の教えが非常に脳筋感溢れるものなのは仕方のないことだが。
「逃がすわけにはいかいないよね!」
「我々イレギュラーズが交渉を行わず暴力のみに訴えかけた結果どうなるか、教えてやろうではないか!! だから突撃だ突撃!」
 誰だよこの適材適所甚だしい脳筋卿をこの依頼に呼び出した奴は。ダンジョンアタックに時間を割けってか。そういうことか。
 ともあれ、一同は今や遅しと待ち構えていた勢いそのまま、ファミリーの味とに突貫したのであった。

●罠! 暴力! 罠!
「皆さん、ここで止まって下さい。……私が前に出ますっ!」
 暗い通路を進む一同は、ノースポールの声に即座に足を止めた。本人はずんずんと前に出て、足元の敷石を確認する。
「ちょちょちょっとノッポちゃん単独行動はマズいんじゃないの罠とか罠とか罠とかで! 大丈夫? デーt」
「大丈夫ですよっ、あとルーク以外とはお断りします!」
 焦りを含んだ夏子の言葉を、しかしノースポールは半ばで遮った。遮られた方は異国映画さながらに大袈裟に肩をすくめる。緊張感どこに置いてきたんだよ。
「多分、これがスイッチで……っと」
 ノースポールが敷石の一点を踏むと、彼女の位置へと左右から矢やら槍やらが降り注ぐ。ここで尋常ならざる観察眼をお持ちの方なら気づこうものだが、左右それぞれに空を切った得物を回収する孔があるのだ。何たる精密精と武器再使用頻度と回転力を上げた巧妙な罠か!
 だが、ノースポールを見て頂きたい。横殴りの雨もかくやという勢いで飛び来るそれらを軽快なステップで避け、返す刀と突き出した短剣は刃部が虚無の刃を纏い、伸び上がったそれで発射機構を叩き壊したではないか!
「……せいやーーッ!!」
「ガガピーッ!」
「せいやーーッ!」
「ガピーッ!」
 攻撃! 破壊! 攻撃! 破壊! 次第に減りゆく武器など避ける必要すら皆無! ノースポールは、次々と発射機構を破壊していく!
「あれが発射機構ですね! では、一撃を見舞いましょう!」
「殴ってぶっ壊せるなら何でもイケるさ、HAHAHA!!」
「ポーに手を出すなんて不埒な罠だ。壊してしまおうか」
 迅と貴道は己の拳を頼りに、ルチアーノは己の得物を銃へと変え、狙いすました一撃を発射機構へそれぞれ叩き込む。
 ノースポールが己が身を的にかけているうちに、男性陣の目覚ましい活躍が奏功した格好である。
「さあ、次へ行きましょうッ!」
「フフ、私が庇い立てする必要もなかったようだな……頼もしい限りだ!」
 罠を抜け、意気揚々と向かおうとする姿を見て、ベルフラウは頼もしさに舌を巻く。だが、彼女とて得意分野はある。まだまだ本番はこれからなのである!
「ンッンー……このあからさまな行き止まり感、そして天井! これは……アレだね?!」
「夏子! 男を見せる所だな!? 見せる相手がいるのかは甚だ疑問ではあるが!」
「ベル貴婦人、それは……いま言わなくていいやつじゃない……?」
 両腕を回しながら準備体制に入った夏子に、ベルフラウの辛辣な一言が飛ぶ。あからさまにテンサゲの夏子は多分邪道30はカタい状態だが果たして問題はないのだろうか?
「このクソスr天井は任せてやれーーーっ!」
「私は二人分、夏子と合わせれば200人分だぞ、200人! 10倍だぞ10倍!」
 全然問題なかった。メンタルの問題は脇においといて夏子もベルフラウもめっちゃ有能だった。どのくらい有能かっていうと何処かの世界のプロ格闘家っぽいことを言い出す程度には。
「ふふっ、この壁抜けそうだね!」
「それじゃあ、ナーちゃんがアイしてあげるねっ!」
「私も、一発ガツンといってみましょう!」
 今度は、女性陣が力を振るう番だ。
 ナーガの脅威の一撃で生まれた隙に、ソアの強烈な雷撃が叩き込まれる。更にノースポールが光輝の銃弾を立て続けに打ち込めば、たちどころに崩壊は進む。最後を飾るのは、やはり貴道の鍛え抜かれた拳だ。
「シンプルに、アメイジングに、インクレディブルパワーでぶち抜いてやるぜ!」
 頼もしい声とともに振るわれた一撃は半壊だった壁を完膚なきまでにぶち破り、仲間達が進む隙を生む。天井を支えていた二人は、そのまま殿として脱出……ここまで、被害をほぼ出さずにクリアしていることになる。
「二人共流石だね。この調子でどんどん行こう。僕も出来るだけ手伝……」
「っと、もう次の罠ですか! 『ファミリー』の皆さんはせっかちですね!」
 ルチアーノが話そうとしたタイミングで、次の罠、つまりは鉄球が迫ってくる。迅はいち早く反応すると、速度に乗った拳をまっすぐに叩きつける。
「やっぱりあったー!」
 ある種の定番、とばかりに目を見開いたソアは、一気に距離を詰めて渾身の一撃を放つ。僅かに動きの鈍ったそれに、貴道の拳が更に食らいつく。
「HAHAHA、こういう手合はミーの出番だぜ!」
 腰を落とし、極限の集中に身を投じた彼の拳が、不規則な軌道から叩き込まれる。前進する勢いが削がれ、運動エネルギーが一瞬、消える。
「テッキューをアイしてテツクズにしちゃってもイイんだよね! じゃあ精一杯アイしてあげる!」
 そして、ナーガは機械戦斧を振り回し、自らの傷を厭わぬ猛攻で攻め立てる。見る間にひび割れる鉄球は、押し潰す能力など残っていない。
「ウワー! マジ同じ知的生命体の繰り出す破壊行動かよー!?」
 夏子のヤケクソ気味のカウンターがきれいに入り、なんとか鉄球が吹っ飛ぶ! 残骸が足場を悪くするが、一同は気にすること無く乗り越えていく。
「素晴らしい! この調子なら敵陣まですぐだな!」
 ベルフラウは非常に嬉しそうに手を叩くと、次へ向けて大手を振って歩きだす。この潔さは見習いたいものである。
 そして、一同の前に現れたのは……3つ4つと道沿いに配置されて往復ビンタよろしくスイングするハンマー! ハンマーが所謂ネイルハンマーではなくセットハンマーの類……当たれば無事では済まない!
「僕やソア殿の出番ですね、おまk」
 迅が自信ありげに前に出ようとしたのを、しかし夏子は手を伸ばして止めた。わずかに振り向いた彼は、ソアへと目配せをする。よしやるぞ、いいとこまた見せるぞと腕を振り上げた彼の腕が空振る。
「ダメだ……! 俺の力じゃ……クソ! ココまで来てダメなのか!? ダm」
 ガツン。そこで一時的に夏子の記憶は途切れた。
「面白そうっ!」
 ソアを突き動かしたのはその振り子構造。彼女の本能に働きかけるそれは、思わず無計画に飛びつきたくなるほど。……だが駄目だ。確実なタイミングを見極めねば、傷つくのは己だ。
 徐々に彼女の瞳が細まり、腰を沈めた獣の姿勢へと変化していく。そして、何度目かの振り子運動の瞬間、彼女の動きとそれが同期し――ハンマーの中心を、その爪が撃ち抜いた。
「お美事! 次は僕の出番ですね!」
 迅は拳を構えると、前に構えた左手から引き絞った右手に至るまでを一本の矢の如くに、水平に構える。深い吸気が続いたかと思えば、鋭い呼気と共に右拳が迸り、振り子のハンマーを2つ同時に弾き、吹き飛ばした。それらは、あまりに大きな鉄扉に弾かれ、地面へと転がり落ちた。
「次がラストトラップか? ここはミーが一発キメるぜ!」
 貴道はその鉄扉……不動の扉の間合いに踏み込むと、一瞬の集中を交え、死角から振り上げる一撃を叩き込む。鉄同士が打ち合うような壮絶な音を経て、しばしの静寂……破壊には至らずか。
「チッ、ブレイクにはインスフェションか……! だがノープロブレムだぜ! 行け!」
「いいよもう、何回だって壊してやるんだから!」
 貴道は諦めに至ったのではない。彼の全力の攻撃すら、ソアの一撃に繋ぐセットプレーだったのだ。……必然、彼女の爪は貴道が拉げさせた部位を貫き、最後のトラップを破壊するに至ったのである。
「えぇ? 本当にジャンル同じ生き物なのぉ?」
「ゲゲェーッ!? 正面突破でトラップ全部壊されたのか? 馬鹿な!!」
 夏子、まさかの敵リーダーと同じような感想を抱いてしまう。まあ人間種と精霊種だからジャンルは違うぞ。
「もう逃げられないよ、観念なさい!」
「稚拙だね。統率に自信がなかったから、罠に頼ったんだ?」
 ノースポールとルチアーノは口々に『ファミリー』のボスを挑発すると、集まっていたメンバー全員が一同を睨みつけた。
「密すぎる! もっと広い場所に陣取らぬか!」
 そしてそのタイミングでベルフラウが威風堂々に謳い上げれば、雑多な面々に抗うことなど敵わない。そもそも論として、ベルフラウの言葉が全面的に正しいのも事実。押し寄せる面々の感情を制御しようと声を張る幹部達は、しかしノースポールの呪術とソアの雷に打ち据えられ、動きが乱れる。
「あはっ! テーマパークに来たみたい! テンション上がるゥ!」
「目標は全滅だ、デッドオアアライブ!!」
 貴道は正面切って拳を叩き込み、拳圧でもって真正面から制圧にかかる。曲芸じみて飛び散る部下たちは、尻餅をついてから立ち上がれる胆力のある者は殆どいない。
「まだまだ体力は残っていますから……一気にブチ抜きます!」
 迅は近付いてきた相手に片っ端から三連突きを叩き込み、次々と昏倒させていく。一歩間違えば命も危ういが、不殺の誓いを立てたわけでもなし、そうなったらそうなったまで、と割り切ってぶちのめす。
 より謙虚な敵意を振りまくナーガに比べれば、まだかわいいものである。
「ナーちゃんの『アイ』をゾンブンにとどけるね!」
 なお、ナーガに言わせれば「アイ」なのでぶっちゃけその先で死のうが生きようが相手の胆力次第、なのだが、容赦する道理もないのでそんなものだ。
「ヘイヘイパスパース! 逃げ道なんて無いから吹っ飛べやルァーっ!」
 夏子は槍を振り回し、豪快な爆裂音と共に部下ごと幹部を薙ぎ払った。威力は脇においても、次々吹っ飛ぶその豪快さは雑なように見えて、一箇所にまとめようとする意志が垣間見える。
「ファミリーは一蓮托生だよね? 今ここで散りなよ」
「冗談ポイだぜ、こんなところでやられてたま」
「覚悟が足りなすぎるわァ! あくのそしきなら暴力で来い暴力で! これでは我らが暴れ損ではないか!」
 ルチアーノの挑発にすら反応が薄かったボスは、しかしベルフラウのさらなる挑発(?)の前に冷静さを失う。多分、複数回挑発されたのと勢いのせい。連携の結果だと思います。
「畜生、こうなったら死なば諸共――」
「I'LL NAIL YOU!!」
 苦し紛れにダイナマイトを取り出したボス目掛け(性格にはその手のライター目掛け)、貴道のロシアンフックが唸る! 中手骨粉砕骨折! 無惨! ダイナマイト点火せず――!

「いやホント、やり直しなね? でなきゃまた……こんな目に合うよ?」
「できるなら更生した方がいい。日の当たる世界で足掻く方が、人生楽しいよ」
 戦闘終了後。不幸にも何名かは(主に数名の破壊力で)命を落としたが、大多数が生存していたのは僥倖というべきだろう。夏子の親身な説得と、ルチアーノの経験者の言葉に、リーダーは肩を落とした。
「こんなに凄いアジトを作れるんですから、もっと良いことに使いましょうよっ。アトラクションを作るのとか、どうですかね?」
 ノースポールは、首を傾げながらそんな提案をした。……流石にこの言葉を想定していた者はいなかったらしく、なるほどと手を打つ一同であった。

 ……まあ罪を償った結果生き残ってればアリだな!

成否

成功

MVP

ソア(p3p007025)
愛しき雷陣

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 トラップ案は結構ポンポンでましたけど、実際に突破されてくと本当に痛快ですね。
 お見事でした。
 MVPはトラップ突破率とか諸々上手いこと回っていた貴女に。
 また機会があればよろしくおねがいします。

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