シナリオ詳細
街を駆け回って害獣討伐!
オープニング
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混沌の大陸北部にある広大な領土を誇る軍事国家、ゼシュテル鉄帝国。
この国において、他国のような複雑な政治性などは存在しない。
力こそがこの国において全て。
大闘技場ラド・バウにおいて力を示した者に、名声だけでなく地位まで与えられるまさに鉄帝国の象徴である。
それもあり、鉄騎種ばかりである鉄帝民の自力は他の国民に比べて遥かに高い。
多少の事件なら力で解決してしまうこともしばしば。
例えば、こんな事件ならば自分達で解決しようとする者達も……。
ローレットから派遣されたイレギュラーズ達は、鉄帝の首都スチールグラードまでやってくる。
そこには、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がメンバーの到着を待っていて。
「お待ちしていました。急いで現場へと向かいましょう」
事件が起きているのは、首都から少し離れた街。
そこでは今、大変な事件が起こっているのだとアクアベルは言う。
「その街の近くに古代文明のものと思われる遺跡があり、魔物が発生していたということで、近場に住む鉄帝民が駆除に当たったそうです」
魔物の強さもピンキリだったようだが、弱い魔物はだいたい駆除する形で対処できていた。
しかし、さすがに凶暴なレベルの相手はそうもいかない。
痛み分けしてなんとか倒したり、弱った相手を生け捕りにするなど対処したりした魔物もいたのだという。
「その凶暴な魔物、練達の研究者が興味を示したそうで、生け捕りにした相手のみ引き渡しを希望したのだそうですが……」
馬車で輸送する段になって、傷の癒えたその魔物達が纏めて暴れ始め、街中へと逃げ出してしまったのだそうだ。
数は8体。熊型、獅子型が3体ずつと、怪人型2体。
いずれも力で攻め来る獣達であり、すでに近隣住民がその討伐に乗り出しているのだが……。
「血気盛んな鉄帝の人達の中には、力の差も考えずに向かっていく無謀な人もいるようです」
死傷者が出る前に、ローレット勢で手早く街で暴れる討伐したいところではある。
ただ、住民の中にはイレギュラーズ顔負けの手練れもおり、協力できれば非常に心強い相手となる。
「手練れの住人の機嫌を損ねぬよう上手く協力出来たらいいですね」
残っている魔物の数は馬車の付近にいる練達の研究員だけでなく、住民達から情報を集めることで把握は可能だ。
ところで、研究員達も被害が大きくなるくらいであれば、討伐して構わないとのことだが、彼らとしてはやはり数体でも魔物を持ち帰りたいと希望しているはずだ。
「できるなら生け捕りにしたいですが、そちらは努力目標程度でいいとは思います」
状況としては以上で、ともかく手早い対処が必要だ。
全ての魔物が住民と交戦中というわけではない。おそらくまだ野放しになっている魔物もいるはずだ。
住民達との協力体制もある程度大切だが、最優先は魔物を討伐して被害を軽減することだと認識したい。
「それでは、よろしくお願いいたします」
すでに慌ただしい街へと到着した一行。
現場となる街へと駆け出すイレギュラーズ達を、アクアベルは頭を下げて見送るのだった。
- 街を駆け回って害獣討伐!完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年06月20日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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鉄帝へと駆けつけたイレギュラーズ達はすぐさま現場となる街に急行する。
「街中に魔物が放たれた!?」
大柄な鉄騎種の青年、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)が驚く。
害獣となる魔物は大きく3種。熊型と獅子型、それに怪人型。
いずれも人間種かそれ以上の体格を持ち、基本的には力技で攻め、街を破壊しようとしている。
「大変な状況じゃないの!」
黒目・黒髪の眼鏡っ子、『二人でひとつ』藤野 蛍(p3p003861)がその事態に慌てる。
何せ、避難誘導をと行うべき市民までも戦っているというのだから。
「逃げた魔物を急ぎ対応……している、のですか?」
その蛍の相方、『二人でひとつ』桜咲 珠緒(p3p004426)は自分を顧みずに魔物に立ち向かう鉄帝民に流石と言うべきか、無茶ですと言うべきか戸惑ってしまう。
「腕っぷしが自慢のお国柄が此処の魅力ですが、今回はちょっと困ったことになりましたね……!」
無造作ヘアのお兄さん、『悲劇を断つ冴え』風巻・威降(p3p004719)は普段は柔和な笑みを浮かべるが、今回の事態は笑ってもいられず、如何にすれば被害が軽減できるかと頭を悩ませる。
「うふふ、面白い騒ぎね? こういった戦闘は、この国ではお祭り騒ぎなのかしら?」
一方で、自称狩人、小柄で色白な白髪少女、『断罪のナイフ』トモエ・アストラルノヴァ(p3p008457)はこの状況に心躍らせる。
天義の貴族出身である彼女は、くだらないダンスパーティーや眠たくなるようなお茶会などよりも果てしなくこの身だと瞳の奥にその本性を覗かせて。
「混ぜてくださらない? その弾丸に刃交わる舞踏会へ、ねっ?」
トモエはじっとしていられず、すぐにでもこの騒動に身を投じたいと考えていたようだ。
血気盛んな鉄帝民もこの事態に血を滾らせており、実力が伴わずに向こう見ずに飛び込む者も少なくない。
「この国の人達なら怪我は勲章とか言いそうですが、やはり痛い事は少ない方が良いでしょう」
威降の言葉に、鉄帝民であるオリーブが同意する。
「このままでは何らかの悲劇が起こるかもしれないと話す。迅速に対処しなければ!」
「いくら鉄帝って言っても町中にモンスターはヒガイが大きくなるかもシレナイね。手早く片付けようか!」
元拳闘士である長い銀髪を後頭部で三つ編みにした筋骨逞しい『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は、鉄帝の街で起きている魔物騒動に黙っていられず、解決に乗り出す構えだ。
「と、ともかく一刻も早く事態の収拾を!」
蛍の言葉に頷くメンバー達は、魔物を取り押さえるべく街へと散開していくのだった。
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街中を駆けていくローレット勢。
すでに、あちらこちらで鉄帝民と魔物達のバトルが始まっていたが、メンバーは基本的に劣勢となっている部分に参戦する構えでいた。
数減らしをと考えるトモエも、明らかに優勢と感じた場所は敢えて放置する。
「ま、そういう勝ち戦に混ざっても面白くないですしね」
それが彼女の性分なのだとか。
ともあれ、必要なのはどこでどのような戦闘状況になっているか、イレギュラーズとしては情報が欲しいところ。
空を飛べるものは飛行、あるいは建物の屋上へと飛び上がり、その把握を急ぐ。
「……あぁ、とんでもなく足が速い人、心当たりがあります」
情報伝達の為にと、遅れてやってきたのは、機械の猫耳とコンセント状の尻尾を持つ鉄騎種の女装少年、『ステンレス缶』ヨハン=レーム(p3p001117)。
彼が連絡を取っていたのは、自身の父、バルド=レームで、機動力の高さを活かして斥候、野次馬の保護隔離に当たってくれている。また、事後の魔物処理にも動く予定だ。
ヨハンはその情報とペアを組むオリーブの集めた情報を元に、そちらの戦場へと向かう。
逃げた魔物は元々ダンジョンから研究資料として練達に運ばれる予定だった個体。
一行の総意として、できるだけ生け捕りにとのことだが、四肢と体の一部を機械化した尖った耳を持つ『イカダ漂流チート第二の刺客』エル・ウッドランド(p3p006713)は確実に不殺ができない状態にある。
「出来る限り、手加減して捕まえます……出来たらですけど」
あとは、各自で街に散り、手が足りないところに加勢と言った形。
「できるなら、手伝ってほしいですけれど……」
エルは助勢を求めるべく、鉄帝にいるはずの妹へと連絡を取ることにしていた。
「無理が出そうなところから、抑えましょう!」
魔物の捕獲に強い意欲を見せる珠緒は飛行し、街を俯瞰して確認する。
さすがに、魔物との交戦がある場所は逆らうような人の波、戦いによる大きな動きがあって分かりやすい。
珠緒はペアとなる蛍や他のメンバーと分担して情報収集、そして手早く周辺地図を見ながら共有する。
「……では、私達はこちらから」
普段からペアを組む2人だ。
一緒に飛べば、街中でも遠距離でも最短で向かうことができるし、多くを引き受けられる。
「……恋人の珠緒さんがいてくれるなら百人力の心強さだもの。ボクだって同じだけ頑張れるから、二人で二百人力ね!」
とは、感情探査で細かい場所を探る蛍の弁。それがまた珠緒にはたまらなく嬉しい。
さて、街を駆け抜けるトモエは早くも目視で住民達が不利な現場を発見し、その場へと飛び込んでいく。
人助けセンサーを駆使して、状況確認していた威降。
彼は自らのギフト、軽身功を使って建物の屋上に向かい、そこから騒動の場所をいくつか探って。
「危機を感じている場所は、2、いや3……」
すでに、仲間が向かっているのは3ヵ所。
比較的目に付く大通り3ヵ所はかなりの鉄帝民が集まっており、乱戦となっている。まず負けはないだろう。
対して、残る2ヵ所、袋小路、裏道、そういった場所からSOSが発せられている印象だ。
もっとも、ほとんどの鉄帝民は相当の傷を負っても簡単には背を向けはしないだろうと、威降は彼らの闘争に対する気構えを汲み取る。
ジェットパックで空を飛び、建物の上を飛ぶイグナートも、騒ぎが大きい場所ほど鉄帝民が集まることを察し、裏手に向かう。
「あのバショ……」
威降が示した2ヵ所の片方、ほとんど人気のない路地の袋小路で1人、怪人型と奮戦して家族を守るまだあどけなさも残す少年が。
これを見逃すことなく、イグナートはその戦いへと介入することにしていた。
「あちらですね」
ヨハン、オリーブは情報を元に、鉄騎種の人々が苦戦する熊型と対する。
グガオオオオオッ!!
「ぐわああああっ!!」
些か劣勢な鉄帝民のうち、中年男性がベアハッグされてしまう。
周囲にいる3人の鉄帝民も熊型に拳や刃を叩きつけるが、相手は放そうとしない。
相手は単体。魔物に締め上げられる男性を救う為、近づくことにしたオリーブは相手の不意を突けるように背後から神速に迫る。
そのオリーブのサポートの為、ヨハンはギフトの電光を空に打ち上げ、応援を呼ぶことにしたのだった。
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鉄帝の街の魔物事件。
それを力任せに鎮圧しようとする鉄帝民のなんと頼もしいことか。
あちらこちらに、闘技場参加経験者が住んでいるらしく、ここぞと自らの力を示そうと躍起になる者もちらほら。
ただ、蛮勇で相手する者も少なくなく、力なき者はあっさり劣勢に陥って。
裏路地で危機に瀕した夫婦の手前へと飛び込むトモエが具現化したナイフを手にした相手は、獅子型だ。
ガアアアォォオオオ!!
素早い身のこなしで魔物ののしかかりを避け、鋭い刃で連続攻撃を叩き込んでいく。
たまたま、狙いが同じになった威降も駆けつけ、生命力で作った妖刀で獅子型に切りかかる。
上手く相手の気を引くことができたトモエ、威降。鉄帝民の夫婦がサポートに回る中、獅子型の討伐を目指す。
サポートと言えば、空へ光を放ったヨハンと熊型を抑えるオリーブ。
比較的近い場所で交戦していた鉄帝民援護にと彼らは駆けつけ、熊型の背後へと回り込んだオリーブが長剣に炎を纏わせ、一気に斬りかかる。
回り込みながらも、気を高めていたオリーブの一撃は火焔となり、熊型を襲う。
グアアアアッ!!
身体についた火の熱さに悶える魔物がよろけ、ベアハッグを受けていた男性が逃れる。おそらく、肋骨を数本折られたようで、傷は浅くないと感じていたようだ。
そこに、ヨハンが近寄り、調和の力で癒しに当たる。
「大丈夫ですか?」
「……助かった。嬢ちゃ……いや、兄ちゃんか?」
反論しかけたが、戸惑う中年男性に説明する暇はないと判断するヨハン。熊型は健在なのだ。
「一緒に戦いましょう。援軍も駆けつけるはずです!」
ヨハンはこの場の鉄帝民に対し、号令を上げて。
「「おおおお!!」」
名もなき民兵に力を与えたことで、周囲で戦っていた人々が武器を握りしめて攻撃を再開する。
熊型はそれらを払いのけながら、強く気を引くオリーブへと噛みつこうと大きく口を開く。
オリーブはそれを受けつつその胸部に強烈な一撃を刻み込むが、熊型の戦意は衰えない。
少なくとも、この場の鉄騎民だけで勝てる相手出ないのは明らか。オリーブの危機を察したヨハンも前に出て、敵のブロックに当たる。
短期決戦は苦しいかと思われたその時、先程のヨハンの光を受け、力を持て余した鉄帝民達が駆けつけてくる。
「武器を手に取れ! フライパンだろうがすりこぎ棒だろうが僕が最善の勝利を導いてみせよう!」
「「うおおおおおおお!!」」
勢いに勝る鉄帝民達の拳やポールによる殴打、斧や剣の斬撃、槍や弓の刺突。
オリーブも至近から敵の突撃を食い止め、返す刀で胸部に斬撃を刻む。
「叩き回せ! 可能であれば命までは奪うなっ!」
ヨハンの声に、人々は加減しながらも銘々に自らの得意とする攻撃を行う。
全身から血を流す熊型がようやく恐れをなし、囲いを強引に突破すべく手足をばたつかせる。
鉄帝民を振り払い、魔物はこの場から逃げようとダッシュし始めた。
「手負いの獣は何をするか分かりません」
鉄帝民数人が矢を射て追撃をかける中、オリーブが熊型の背後から追いかけ、長剣を振り下ろす。
白目をむいて倒れる熊型。仕留めてしまったとオリーブも感じたが、言葉通り手負いとなった魔物が街の脅威となるくらいであればやむを得ない。
「……次こそは」
少し悔しがるヨハンは、渋々雑用に回る父バルドから次なる情報を仕入れ、オリーブと共にその戦場へと向かっていく。
威降、トモエが相手をする路地の獅子型。
こちらは、威降が相手を抑えながら、今度は己自身に妖刀の如き性質を持たせて百錬手甲で殴り掛かる。
素早い獅子が多少鋭い爪で引き裂いて来ようとも、威降は体力を吸収して継戦が可能だ。
また、トモエが相手の不意を突き、ナイフを深々と突き入れて体力を削り、魔物を追い込む。
凶暴性を増していた獅子型だったが、獣の本能か深手を負い始めると攻撃の手が鈍り始める。
「生け捕りにしましょう」
威降は相手の頭を強く蹴りつけて脳を揺らし、昏倒させようとする。
そこで、サポートの夫婦がそれぞれ手にする鈍器を叩きつけていくと、逃げられず、命の危機と感じた敵が最後の力を振り絞る。
ガアアアオオオオオ!!
「天にまします我等が神よ、哀れな獣に天罰を下しましょう」
底力を見せて威降を喰らおうとした獅子型へ、トモエが一気に仕留めにかかって。
「さあ、天誅! 悪は残さず刃の鯖となれ」
掌に小型の気功爆弾を造り出したトモエはそれを獅子型へと撃ち込み、敵上半身を爆発してしまう。
アァァォォォ……ン。
体を焦がし、倒れ込む獅子型。残念ながらもう息はない。
威降は小さく首を不利ながらも魔物の遺体を鉄帝民に託し、次なる敵を探して建物の上まで跳躍していった。
順調に魔物の対処に当たるメンバーの一方、苦しい状況を強いられる者も。
威降が示した2ヵ所の片方、ほとんど人気のない路地の袋小路で1人、怪人型と奮戦して家族を守るまだあどけなさも残す少年が。
その場に飛び込んでいたイグナートは残念ながら、この場には戦える鉄帝民も仲間もいないことを確認して。
自らが丈夫だと自負するイグナートはそのまま単独での勝負に臨み、機械の腕で正義の拳を打ち込んで応戦を続けることにしていた。
別所のエルも、深手を負った鉄騎女性の代わりに、孤軍奮闘していた。
すぐに動けないとの妹の答えに、エルは少し泣きそうになりながらも別の怪人型を片手銃で牽制しながら動きを止める。
怪人型は力で攻めるだけでなく、時に炎や氷など簡易魔法を飛ばしてくるから油断ができない。
(イル……)
涙をこらえつつも、エルはさらに銃砲を撃ち込み、魔物を弱らせていくのである。
●
各戦場を確認しながら、最も遠い場所に向かっていた珠緒、蛍ペア。
蛍の感情探知を受け、2人は獅子型が暴れ回っている現場へとやってくる。
すでに、数人の鉄帝民が血を這っており、周囲の人々が避難させようとするが、獅子型が威嚇して近寄れぬ状況だった。
そこに現れる珠緒、蛍。
「ローレットです」
「怪我人は下がって、戦える人は協力を」
力強い彼女達の登場。続き、蛍がこの場で戦っていた鉄帝民の勇敢さを讃えて『英雄叙事詩』を歌い、戦う鉄帝民に力を与える。
その間に、珠緒が全速力の光術を撃ち込み、強烈な光で獅子型を混乱させてしまう。
(やはり、この一撃では終わりませんか)
相手はまだ体力を残していることを、珠緒はすぐ察する。
鉄帝民らも続いて近づき、手にする武器を叩き込んで一気に魔物の体力を削ぎ落とすが、相手が我を取り戻すとやや腰が引けていたようだ。
そこで、蛍が引き付け役となり、満開の桜の結界を展開していく。
それに視線を泳がせていた獅子型が蛍へと飛び掛かろうとすれば、珠緒が殺傷性の低い威嚇術で敵を弱らせに当たる。
しばし、交戦を続け、自分達の力を示す2人。
「お願い、場所を空けて!」
蛍の頼みを受けて鉄帝民が獅子から離れると、そのまま蛍が戦場に桜吹雪を巻き起こす。
呆けた獅子型へ、珠緒が威嚇術によって往復ビンタを叩き込んでいく。
そこに駆けつけるオリーブとヨハン。
しかしながら、彼らが手を貸す間もなく、勢いに勝るその場のメンバーが獅子型を叩き伏せてしまっていた。
息もあるようで、鉄帝民が獅子型の体をきつく縛り付けていたのだった。
怪人型と応戦していたエル。
相手の魔法の後、殴打を受けてパンドラを使う羽目になっていた彼女だが、数度攻防を繰り返すうちに割って入ってきた影が。
エルに似た容姿をした長耳の女性イルは、至近に迫って怪人型へと短剣で切りかかる。
その登場にエルは破顔して。
「ありがとう」
「暇になったから来たの」
だが、その存在だけでも、エルにとっては百人力。
イルに敵のマーク、白兵戦を任せて、エルは片手銃で相手の手足を撃ち抜き、その動きを止めようとする。
そこへ、さらにトモエが参戦して。
「かなりの腕ね。勝負しませんこと?」
トモエが勝負を吹っ掛けるのに、イルは少々困った顔をしながらも交戦を続ける。
至近距離から斬撃を繰り出す2人を援護する形で、エルは射撃していくと、瞬く間に怪人型は追い込まれていく。
文字通り、魔物は手も足も出せぬ状況になっていたようだ。
逃げようとする怪人の足をイルが切り裂き、エルが逆の足を撃ち抜いたところで、怪人型は抵抗を止めた。
「残念、興が冷めちゃったわね」
それでも、鉄帝の強者と肩を並べたことに、トモエは少なからず満足していたようだった。
別の怪人型と交戦していたイグナート。
怪人型は他2体に比べれば身体能力は劣るが、その分知能があるらしく、簡易術で攻め立ててイグナートの身体に異常を引き起こそうとする。
体力を削る炎、動きを鈍らせる氷、そして、抵抗力を下げる雷。
絡め手で相手を弱らせ、持ち前の腕力で殴りつけてくるのが怪人型の戦闘スタイルだ。
自身の状態を整えつつ攻めるイグナートにとっては、十分相性はいい相手だが、ほぼタイマン勝負となっている状況ではさすがに厳しい。
徐々に防御に回るイグナート。
そこで、彼の援護に駆けつけたのは、傍にいた鉄騎の少年の気持ちを感じ取った威降だ。
「今度こそ、捕獲したいですね」
ともあれ、イグナートもまだ体力が持つ状況とあり、一気に怪人型を攻め落とすべく攻撃を続けて。
威降が敵を引きつけ、体力吸収して継戦する間に、イグナートが一気に怪人型の体力を削る。
「オレのジモトで好き勝手はさせてやれないよ! 悪いけれどオリの中に戻ってもらおうか!」
握りしめた拳に僅かな慈悲の気持ちを込め、イグナートは相手が死なない程度に殴りつける。
「オオォォーーゥ……」
力なく昏倒する怪人型。今度は息があったようで、威降も安堵するのだった。
●
あらかた暴れる魔物を押さえつけたローレット勢と鉄帝民。
イレギュラーズ達の活躍もあり、半数を生け捕りにして事態を収拾することができた。
「ふう、いい運動だったわ」
クールダウンしたトモエも、魔物達の運搬の手伝いに当たる。
近場には妹と会話しつつ、縛り上げた怪人型を輸送するエルの姿があった。
表通りには威降の姿があり、特に多くの鉄帝民が集まった場所を中心に、魔物が暴れて破壊した場所の片づけを手伝う。
対して、オリーブは裏通りに向かい、ケガした住民を探す。
医療技術や回復スキルの無い彼は珠緒と連絡を取り、癒しに当たってもらっていたようだ。
「もうひと踏ん張りだね」
その傍らにいた蛍の呼びかけに頷く珠緒は彼女の手を取る。
しばらく、2人は街の戦後処理の為、仲間と共に尽力するのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開中です。
MVPは人助けセンサーを働かせ、最適な状況判断を行っていた貴方へ。
ともあれ、鉄帝の街を舞台とした魔物討伐、お疲れ様でした。
ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
鉄帝某所の街中で逃げ出した魔物達の討伐を願います。
●敵……魔物
鉄帝国内のダンジョンから研究資料として練達へと運ばれる予定だったダンジョン内で魔物と化した害獣達です。
いずれも凶暴性が高く、街で暴れて人を襲う為、駆除を願います。
○熊型×3体
体長2.5mほど。毛むくじゃらでずんぐりむっくりとしたクマを思わせる魔物で、四つ足で走り、二足でも戦闘を行うことが可能です。
ベアハッグ、突撃、噛みつき等、膂力を使った攻撃を行います。
○獅子型×3体
体長2m程度。ライオンを思わせる姿をした雄々しき獣です。
瞬発力に優れ、相手を警戒する注意深さも持ち合わせております。
のしかかり、食らいつき、引き裂きを使いますが、攻撃力は熊型に劣ります。
○怪人型×2体
体長1.7~1.8mほど。一見すれば、ゴリラを思わせる姿をしており、二足歩行で飛び跳ねながら相手へと襲い掛かります。
素手で相手を掴んだ叩きつけ、握りつぶす、殴りつけ、ドロップキックなどを行いますが、それ以外にも、炎や氷、雷など簡易魔法を使える知能があるようです。
●NPC……鉄帝、鉄騎種の皆さん×多数
力自慢の人々が野次馬のように魔物達の取り押さえへと当たります。
強さはピンキリで、2,3人で互角に戦える手練れの者から、全く歯が立たずに大怪我をする者までいます。
基本、闘技場に出場経験がありそうな男女ばかりですが、中にはフライパンを持った主婦なども戦っているようです。
●場所
鉄帝の街中に逃げ出した魔物達の討伐を願います。
街中は首都とさほど変わらぬくらいにごみごみしており、住民達も出歩いていますので、遠距離、超遠距離攻撃は使いづらいと思われます。
街に害を及ぼす獣なので、討伐しても構いませんし、依頼者もそれを望んではいますが、元々は研究資料だった為、生け捕りにしたのであれば、さすがローレットと喜ばれるかもしれません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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