PandoraPartyProject

シナリオ詳細

エピローグの先

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●蒼穹のスクリーン
 
 世界から、物語の紡ぎ手が失われて久しい。
 その切欠はなんだったか、今では知るよしもない。
 誰かの指先が動いたからか、はたまた蒼白の騎士の審判が下ったか。
 いまでは純然たる事実、覆せない現実として、壊れた今がそこにあるのみ。

 眼下に広がる光景はひたすらに荒れ果てた文明の残骸。
 ひたすらに荒野が続く中、ところどころに乱立する廃墟群。そこかしこに散らばるスクラップの山。
 混沌世界の住人であれば、その廃墟にどことなく練達に似た印象を受けるだろうか。
 もしくは一部の旅人はそれを”ゲンダイニホン”のようだと表現するかもしれない。
 元は背の高い建築物だったであろうそれらの廃墟は、その身を半ば以上破壊されているようだ。
 そして空を見上げれば、禍々しい程に輝く太陽が――時折、奇妙な色を滲ませながら――沈む事無く、世界を照らしている。
 灰色の世界を満たす異様な輝きは、ここが異世界である事を実感させるには充分だ。
 唯一、空の色だけは。抜けるようなその蒼穹だけが、過去の世界より変わらぬ色を残している。

 だが、そんな世界にもいくばくかの住人が残っているらしい。
 瓦礫の中をさ迷い歩く機械の群れ。
 何処からか無数に湧き出るそれは、動くモノを――指揮系統を違えば例え同類でさえ――殲滅せずにはいられない、意思など介在しようのない狂った兵器。
 元来にその素質を持ちえたか、もしくは旧の文明の名残か――壊れ、捻じれた世界に適応してみせた植物、昆虫、小動物の類。
 最も、この世界のこれらに一般的な言葉を当てはめるのはいささか以上に不適当である事は間違いない。
 この世界のそれらは、生存本能に従い他者を蹴落とすのみの小さな怪物達だ。
 いずれにしても共通している点がある。彼らは壊し、殺し、喰らうだけの存在。この世界において物語を紡ぐ存在では、ない。

 すでにこの世界に名などない。その名を繋ぐ者はもういないのだから。これは終末を辿りつつある世界の一つ。
 紡ぎ手の無くなったこの世界は、その動きを止めた。風は無く、音も無く、沈まぬ陽。
 それは凪とでもいうべきか、淀んだ空気の中にただ静穏が満ちている。
 言うまでもなく、現在のこの世界はヒトという脆弱な種族が生き延びるには厳しい環境だ。

 それでは、なぜ。まだこの世界は、残されているのだろう?

●hello, World!

「ハロー、イレギュラーズ!」
 その日、図書館に集まった特異運命座標達へ声がかけられた。
 声の主は境界案内人であるナヴィ・フーリエ。ふよふよと浮かぶキューブを片手に、もう片方の手元にはタイトルの無い一つの本。
 その本の装丁はそこかしこが解れ、損傷の激しい様が遠目からでも見て取れる。
「集まってくれてありがとう。今回はこの世界を訪れて欲しくって!」
 彼女がいうには、この世界は物語が紡がれなくなってしまった世界なのだという。
「そこで、我らがイレギュラーズの出番!きっとまだ、この世界は終わりきっていないと思うから」
 目指すは、世界の再起動。とはいえ、やらなければならない事は単純らしい。
 強い可能性を持つイレギュラーズが世界を訪れれば、なにかしらの動きがでるのではないか、とナヴィは語る。
「あっ、でも。間違っても安全な世界ではないですからね、準備は万端にしてお願いしますっ!」

NMコメント

よろしくお願いします、イレギュラーズ!
ちょっとした続き物を意識したシナリオです!

●目的
「名前のない世界」を訪れる。

※訪問するだけで目的は達成できますが、十中八九この世界の住民が襲いかかって戦闘に陥ります。
その後の行動は自由です。この世界を探索するもよし、生存者を探してみるもよし、この世界の住民を倒して回るもよし。
イレギュラーズが取る行動によって世界の行く末に影響があるでしょう。

●シチュエーション
現代風の世界が滅んだ後の世界です。
その殆どが廃墟と化していますが、いわゆるオタカラも沢山眠っているでしょう。

●エネミー

・自律機械
多種多様な自律機械の兵士です。
およそ一つから二つの役割に特化しており、大型の種類ほど強く、小型の種類ほど集団行動をする傾向があります。
指揮機を中心に小隊単位で行動する事が多いようです。

・獣の群れ
野生化した野犬などの群れです。
動物と侮るなかれ、この世界に適応した動物は驚くほどの連携を発揮して獲物を追い詰めます。
単一の戦闘力はさほどでもないですが、数が多くなるほど戦闘力を向上させます。

・???
”謎の存在”です。広い影響力を持つ怪物ですが、指定が無い限りは今回は登場しません。
とても危険。もし挑むのであれば、複数人での対処を推奨します。

●最後に
エネミーに関してはプレイングで指定があれば、そのような傾向のエネミーが登場します。
ご気軽にお参加頂けると幸いです。改めて、よろしくお願い致します!

※相談期間が短めです。ご注意ください。

  • エピローグの先完了
  • NM名だめねこ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年06月05日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

イースリー・ノース(p3p005030)
人護知能
アデライード(p3p006153)
移動図書館司書
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
ハンス・キングスレー(p3p008418)
運命射手

リプレイ

●Reboot/Ready

 彼らは群れで獲物を狩る。嗅ぎなれぬ匂いには違和感を覚えるものの、この世界での彼らに付き纏う飢えと、群れを成しているという優位そのものが彼らに撤退を選ばせない。瓦礫の影より様子を伺う彼らの視線の先には、4人の人影。名もなき異世界へと降り立ったイレギュラーズ達。
 世界の調査を行おうとする彼らに対して世界の住民➖➖獣の群れが、まずはその牙を向ける。
 野犬の成れの果てとでも言うべきか、凶相を顕にする群れの一匹が獲物を追い立てるべく身を翻し……その身体に拳を受けて、宙を舞った。
 
『何事も一歩から』日車・迅(p3p007500)の尋常ならざる反射神経と速度を前に、野の獣程度が不意を付けるはずもなく。
 そもそも迅はその嗅覚をもって群れの存在をとうの昔に察知し、他のイレギュラーズにも伝えている。
 予想された襲撃に対して防御を固め、堂々と名乗りを上げるのは『未来が為に』イースリー・ノース(p3p005030)。
 その名乗りの意味を理解したワケでは無かろうが、さりとて獣の意識はそちらにひきつけられる。
 戦闘には慣れていないと自称する『強者食い』ハンス・キングスレー(p3p008418)も、気を引かれた獣へとその拳撃を叩き込んだ。
「熱烈な歓迎」とは『移動図書館司書』アデライード(p3p006153) の言だが、布陣の後方より俯瞰する彼女の袖口が閃き、その銃撃が群れの一匹を撃ち抜く。
 それは司令塔の役を果たしている古強者の獣。その獣は身を翻し、辛うじて銃弾を回避した。
 だが、その銃弾は目的をしっかりと果たしている。弾丸の指し示す先、即ちリーダーの獣へと圧倒的な速度を誇る迅の拳が一閃。抗う間も無くその意識を刈り取る。
 司令塔を失った事で混乱する群れがイレギュラーズ達の障害となるはずも無く……しばらくの抵抗の後に、方々へと散っていった。

●Reboot/Search

 獣の群れを追い払い、本格的にこの世界の調査を始めたイレギュラーズ達。
 幸いにして、近場に拠点➖➖上半分の溶断された建築物➖➖を見つけ、そこを中心として調査を行う事となった。
 弾痕らしき痕跡もそこかしこに残されているものの、当座の拠点には問題ないだろう。

「……さて! それでは探索を始めましょうか!」
 先刻と同じような襲撃があるかどうかを警戒しつつ、その嗅覚を活かして調査を行う迅。
 この地に生きる命、この先に紡がれるはずの物語……その希望となるものをと、迅は次の廃墟を覗き込む。
「僕らが訪れる、それだけで何かしらの後押しができるのなら……そうするのはやぶさかでは無い、かな」
 共に周辺の捜索を行うハンスも、油断なく探索を進めている。その翼で障害物を乗り越えられるのは、ハンスにしかないアドバンテージだ。
 この世界の在り方、それそのものには酷く不快な感覚を覚えるものの──廃墟で宝探しというシチュエーションには、好奇心を隠しきれないようだ。
 両者はともに「捜し物」に長けるものの、今の所その成果は芳しくない。
 あたりには、無機質な金物の匂いに混じり、微かだが硝煙や焼け焦げた何かの……平穏ならざる香りが漂っている。
 

「この物語に「この先」があるなら、きっとどこかに人類がいるはずですから!」
 同じくノースも、生存者を探して調査を行っている。
 人助けセンサーにも反応は無く、人類の痕跡は――その末路を示すような痕跡しか見当たらない。
 それでも、この光景がエンドロールで無いと知っているから。その手を止める事はなく、歩みを緩める理由にもならない。
 そしてノースの得た情報を元に、アデライードがその知識を活かしてこの世界に何が起こったかを辿ってゆく。
「この世界がどのような世界で、何故今へと至ったのか。そして、世界が再び物語を紡ぐ為には何をすべきなのか……」
 知識を活かして、集められた情報を元に――それはまるで、”あらすじ”を読み解くが如く。
 生活の痕跡、荒廃の具合、それらの位置関係…… 残されたモノを集め、編纂していくのだ。
 
 それぞれの想いを胸に、世界の探索を進めるイレギュラーズ達。
 共通している事は、誰一人として諦めてはいないこと。
 ならば、きっとそれは。奇跡ではなく、必然だったのだろう。

 迅とハンスは、ある廃墟の中で一冊の手記を見つけ出した。
 それは生存者の存在と――希望の在り処を示す手記。この世界に、確かに紡ぎ手が生きていると。
 物語を繋ぐ可能性。二人が示したそれに応えるように、世界に一陣の風が吹く。
 それは未来を示す可能性。
 
 アデライードとノースは、一つの結論へたどり着いた。
 世界が滅んだ理由、そして荒廃の原因と思わしき存在。
 この世界に残る障害。この世界が、そして物語の紡ぎ手が、乗り越えなければならない障害。
 二人が探しだしたそれに応えるように、世界の時は動き出す。
 それは未来へ繋ぐ可能性。

●Reboot/Delete
 
 イレギュラーズ達の行動により、再び世界の「物語」が紡がれ始める。
 吹き始めた風、沈み始めた太陽。まるで、世界が再び色づいたかのように。
 しかし当然というべきか、それを歓迎しない住民が、この世界にはまだ存在する。
 それはこの世界が滅んだ直接の原因ではないものの、今なおこの世界において跳梁跋扈する機械の兵士達。
 何処からか現れ集う、鋼鉄の削除者達。
 
「残骸しか残っていませんが、それでもすごい技術ですね。ですが!」
 ――それを真っ向より打ち砕く、彗星が双つ。
 盾を構えた防御役らしき機兵が反応するよりも早く、一際目立つ大型の機体が吹き飛んだ。
 元より、長期戦は得手ではない。故に狙うべきは、少しでも手強い敵を。
 数は手数で補える。迅はその速度を十全に活かし、瓦礫の合間より現れでる機兵をねじ伏せていく。
 世界が続いているというのなら、まだ紡がれる物語があるはずだから。
 その希望を、この拳で守れるというのなら――それは、嬉しいですね!
 
 先陣を切り敵陣に飛び込む迅よりも少し後ろに位置するのはノース。
 両の手を刃として切り込んでくる大型の機兵の前へと飛び出し、その前進を食い止める。
 守りを固め、癒やしを施し、そしてその戦意を高めるノースをいくら機兵といえども無視する事はできない。
 文字通り、機械の如き連携で襲いかかる機兵の圧力は、相当な殺意となって感じられる。
 それでも。困っているなら――いいえ。そうでなくとも、助けたいのです!
 この機械の兵士達はきっと、人類を脅かすものだから。
「皆さんを、人類を必ずお守りしてみせます!」
 
 そうした機兵達へ、アデライードの援護射撃が襲いかかる。
 袖口より閃く遠距離攻撃は的確に敵の足を止める勘のいい遠距離射撃。
 ちらと、彼女は機兵達が現れたその先へ視線を見やる。
 アデライードの導き出したあらすじ……それが正しいならば、この機兵達は『原因』そのものではない。
 では、その『原因』とは。――そこまで辿った思考を追いやり、もう一度彼女は援護射撃を行う為に、戦場を俯瞰する。
 少なくとも、今はまだ。その『原因』に、手出しをするべきではないのだと、そう思う。
 この世界と歩み続けるのは彼女イレギュラーズ達ではなく、この世界の彼らだからだ。
 
 ハンスは上手く障害物を活かし――また、機兵の隠れる障害物を看破してゆく。
 自らが囲まれぬよう、また味方が孤立しないよう。
「バグと生存反応だけの相手に遠慮なんて要らないでしょう?」
 おりゃおりゃ!と繰り出された我流殺法は、的確に機兵を各個撃破していく。
 この世界の在り方はともかくとして、後押しができるのなら、それはやぶさかではないのだ。
 もちろん、危なくなったら仲間を頼る心積もりもあるものの――僕は、この世界を紡がせたい。その想いに、嘘は無い。
 その翼を広げ、ハンスは次の機兵の潜む瓦礫を飛び越えた。

●Reboot/Prologue

 その日、地下シェルターに暮らす一人の少女アンは夢を見た。
 そっとシェルターの扉を抜け出して、恐ろしい機械達に見つからないように廃墟の中を辿ってゆく。
 壊れかけたオートマトンから、そっとその日の食料――今日は嫌いな味の缶詰だ――を抜き出して。

 そうして、帰りの路で。

 人の形をした彗星が地上を駆けて、恐ろしい機械の長を穿つ。
 彼女とそう変わらぬ年嵩の少年が、光を纏って機械の群れを押し留め。
 大きなネジマキを生やした少女が腕を振るえば、機兵の頭部に光が弾け、打ち倒す。
 どことなく心を誘う翼を持つ青年は空を舞い、果敢に機械の兵へ立ち向かう。

 それは地上を追われ、地下暮らしを強いられている今の人類にとっては夢物語に等しかった。
 一つの希望。先人の残した「何か」が地上には存在するというが……今の人類に、地上を探索する余力は、無い。
 辛うじて食料を産み出すオートマトンや製造設備を頼りに、その日を生きるのが精一杯だ。
 早鐘を打つ胸を抑え、アンも――諦観と共に、その光景を夢だと思った。
 時折鳴り響く、機兵達の爆ぜる音を背中に、巧妙に隠された地下への扉を潜り。
 はたと、空の色を微かに思い出して――青くなかった気がする。まるで、夕焼けみたいな。
 それでも、きっと夢なのだと言い聞かせ、自らに割り当てられた寝床へと潜り込んだ。

 次の日、アンはもう一度地上へ出た。
 激しい戦いを見たその場所で、壊れ果てた機兵達の末路を知った。
 そうして、それが夢では無いと知った。
 そうして、イレギュラーズ達が見つけ出した希望への道筋を見た。
 そうして、イレギュラーズ達が見出した世界の超えるべき障害を知った。
 
 こうして、止まった世界は動き出す。
 混沌より訪れた可能性、イレギュラーズ達の後押しを受けて。

 hello World!終わりゆく世界は、エピローグのその先へ。
 

成否

成功

状態異常

なし

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