シナリオ詳細
<虹の架け橋>パンツを奪われた者は戦闘不能となる
オープニング
●スライム退治のはずが……
「パンツオイテケェ……パンツオイテケェ……」
「な、何だこいつらは!? ただのスライムじゃないのか!?」
『大迷宮ヘイムダリオン』のとある領域に足を踏み入れた冒険者達のパーティーは、目の前に現われたスライムの群に困惑した。口々に「パンツオイテケェ……」と冒険者達の方に迫ってきたからである。
「くっ、ただのスライムじゃないのか!? ともかく、こいつらをどうにかしないとこの先には進めない。行くぞ!」
リーダーらしき男が、その様に気圧されつつも号令をかけ、戦闘を開始した。
――結果。
パーティーの男女六名中女性二名が戦闘不能に陥り、リーダーは撤退の判断を余儀なくされた。
戦闘不能に陥った二名は外傷はなかったものの、パンツと衣服を喪った……。
●ヘイムダリオンの先に進むために
「……ええ、と。今回は、『大迷宮ヘイムダリオン』で、ちょっと……かな、その、変わったスライムの討伐をお願いします」
『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)が、困ったように所々口ごもりながら目の前のイレギュラーズ達に向けて、依頼について話していく。
『大迷宮ヘイムダリオン』は、妖精郷アルヴィオンと迷宮森林とを繋ぐ大迷宮である。通常、妖精郷の妖精達はヘイムダリオンではなくアーカンシェルという門を通って迷宮森林に来ている。しかし、魔物達がアーカンシェルを突破・破壊してしまったことにより、彼らは故郷であるアルヴィオンに帰れなくなってしまったのだ。
そこで、妖精郷の妖精達からヘイムダリオンの攻略が依頼された。この迷宮は各領域にて『虹の宝珠』を手に入れることで次領域へ挑戦と言うものだが、ある領域の攻略に向かったパーティーが撤退を余儀なくされたと言う。
「そのパーティーが撤退せざるを得ない理由を作ったのが、先に言った、ちょっと変わったスライム、です。何でも、『パンツ置いてけ』と口々に言いながら迫ってきたとか……」
急にざわめきだすイレギュラーズ達。無理もない。
「そのスライム……『パンツ置いてけ』と仮称しますが、交戦した『パンツ置いてけ』は下半身……と言うよりも下腹部を集中的に狙って取り付き、鎧や衣服を溶かしてパンツを奪う、とのことです」
そして、パンツを奪われた対象は同時に気絶し、戦闘不能になる。さらにざわめきだすイレギュラーズ達。無理もない。
「……で、えー、実際に戦闘不能に陥った人にその時の話を聞いてみましたが、パンツを奪われたと思った瞬間、『失格』と言う声が頭に響いて意識を失ったそうです」
ざわめきにブーイングじみたものが混じった。何を期待していたのかとは思うが、それはそれで無理もない。でもPPPは全年齢対象のPBWだからね、是非も無し。
「……と、まあ。あまり相手したくないかもしれませんが、この『パンツ置いてけ』をどうにかしない限りヘイムダリオンの先に進むことは出来ないので、一つよろしくお願いします」
最後まで困惑した調子で締めながら、勘蔵はぺこりと頭を下げた。
- <虹の架け橋>パンツを奪われた者は戦闘不能となる完了
- GM名緑城雄山
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年05月29日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●パンツは通貨?
「パン……ッ!? な、なんでよ! おかしいでしょ!」
「ぱんつを奪うって、なんっつーヘンタイスライムなの!?」
パンツを奪うスライム、仮称『パンツ置いてけ』の存在を聞かされれば、『緑雷の魔女』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)や『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)のような反応をするのが普通であろう。
「すごい!えっちなスライムだ!いいね! ただ倒すだけじゃもったいない、愉しんで倒そう!」
少なくとも、『最強砲台』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)のように快哉を叫ぶのは、少数派だと思われる。
だが内心は如何であれ、この『パンツ置いてけ』を殲滅しなくてはヘイムダリオンの先へは進めない。イレギュラーズ達はそれぞれの思いを抱えながら、問題の領域へと向かっていた。
「何が、ガブリエル様がスライム食べたがってるだ……! くそっ! ユリーカころすユリーカころすユリーカころす……」
ユリーカに乗せられたと言うべきか、図られたと言うべきか、「ご愁傷様」と言いたくなるような経緯で依頼に参加することになった『旋律を知る者』リア・クォーツ(p3p004937)は、ぶつぶつとつぶやきながらユリーカへの怨念を殺意のレベルにまで高めていた。
「『パンツ置いてけ』、ですか。気になる存在ではあるのです。――これって、下着を穿いていなかったらどうなるんでしょうか?」
『黒鉄波濤』ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)が、疑問をふと口にする。一行の間の空気がざわめき、視線がヴィクトールに集まる。
「……あっ、は、穿いてますよ! 穿いてますからね!?」
(こいつ、穿いてないのか)と言わんばかりの視線を受けて、慌ててヴィクトールはその視線に込められた疑惑を否定する。
(えええええ、ぱんつってズボンみたいに穿くものなの!? 闇市の高額アイテムと交換するための専用通貨じゃなかったの!?)
ヴィクトールの言葉に、『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)はカルチャーショックを受ける。まぁ、セリアがそう誤解するのも混沌の現状を考えれば無理はない。
「そうよね。もちろん、穿いてるに決まってるわよね!? ところで、ちょっと待ってて……」
慌てて物陰を探すと、そこでセリアはパンツを穿いた。
相手がパンツを奪うとわかれば、相応に対策を立ててくる者もいる。
(迷宮ヘイムダリオンの探索は、今回が初めてっす!)
その一人、『ぱんつコレクター』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は、これから待受ける『パンツ置いてけ』との戦闘に心を躍らせる。
(『パンツ置いてけ』達からは、なにやら物凄い執念を感じます。これは、迂闊に挑むと危ないですね……ですが今回は、我に秘策あり、なのです!)
『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)も、『パンツ置いてけ』への危険は感じつつも、「秘策」に自信を持っていた。
彼女達の対策が通じるかどうかは――戦ってみればわかるだろう。
●秘策、破れたり
「パンツオイテケェ……パンツオイテケェ……」
イレギュラーズ達が問題の領域に入ると、『パンツ置いてけ』達は一斉にざわめきだした。そして、イレギュラーズ達に迫る。
「ここは清楚アイドルとして負けるわけにはいかないっ、守れアタシとみんなの清楚っ!」
へそを出したチューブトップにローライズのホットパンツと言う出で立ちをしているミルヴィは、囮役を努めるべく『パンツ置いてけ』達が迫るのに合わせて前に進み出た。
(う、うわああああ、すっげー嫌な旋律……! あああああ、ホントもう最高にくそったれな状況じゃねーか!!)
リアも、『パンツ置いてけ』達のざわめきに堪え難い嫌悪を覚えながら、前衛へと進み出る。
リディアも同様に前に出る。これで、『パンツ置いてけ』を迎え撃つ陣容は整った。
(そもそも、下半身が機械の鉄騎種男性のパンツ(ヒモ)に意味があるのかはわかりませんが……。ボクとムスティ様以外の方々はうら若き女性の方々ですからね。ボクがどんな目に遭おうと構いません、必ずや……御守りします!)
ヴィクトールは確たる決意を固めながらラブポーションを呷り、味方の盾として『パンツ置いてけ』達の攻撃に備える。
「このド変態スライム! 黒焦げにしてやるわ! バリバリ撃ちまくってやるから、覚悟しなさいよね!」
次いで、アルメリアが動く。小魔女の強壮薬を飲むと、滅殺術式アナイアレイトを『パンツ置いてけ』の一体に放つ。雷が『パンツ置いてけ』を捉えその身体を焦がす、のだが……。
「嘘でしょ? ……気をつけて、こいつら相当タフよ!」
手応えはあった。直撃であり、並の敵ならこの一撃で終わっているはずだ。だが、身体の半分以上を蒸発させながらも『パンツ置いてけ』は蠢いている。アルメリアは一瞬だけ唖然とし、すぐに仲間に警告を放った。
「みんなを、守るっすよー!」
レッドはキャッスルオーダーで防御を固め、ヴィクトール同様味方の盾として『パンツ置いてけ』達に備えた。否、スキルで防御を固めているだけではない。防具には重防具を選択し、何とパンツを五枚重ねて穿いている! いわば、防具とパンツによる縦深防御だ。
(少なくとも、スライム共を最低三体倒せばこっちの全滅は免れられる……!)
手負いの『パンツ置いてけ』に、リアはスターゲイザーからのスター・ドロップを叩き込む。最大火力を叩き付けて、手早く数を減らす目論見だ。
ぐちゃ! 『パンツ置いてけ』の身が派手に飛び散るが、それでも『パンツ置いてけ』は動きを止めない。これでもまだ倒れないのか、とリアは顔をしかめた。
「じゃじゃーん! そこの愚かなスライム達! これがそんなに欲しいなら、取ってみるが良いのです!」
リディアはドヤ顔で『パンツ置いてけ』達に『リディアのぱんつ』を見せつける。しかしこのパンツ、実は闇市で買った同名別人のリディアのものなのだ!
(他人の物なので、仮に取られても私に害はないって訳です! 完璧な作戦です!)
パンツを奪われるにしても他人の物とは酷い作戦ではあるが、その作戦を行うに当たり手紙を送って承諾を得ているところは律儀と言うべきか。――だが、その秘策は通じなかった。
「えええええええっ!?」
『パンツ置いてけ』の一体がリディアのぱんつをスルーして、リディアの腰を触手で絡め取ったからだ。策が外れたのは予想外だったか、リディアは回避に失敗した。
一方、ここに脱がせやすいのがあると言わんばかりに、ムスティスラーフは『パンツ置いてけ』に腰を振ってみせて触手を伸ばすようアピールする。同時に、既にダメージを受けている『パンツ置いてけ』にチェインライトニングを放って撃破。
そのムスティスラーフに『パンツ置いてけ』の一体が触手を伸ばすが、これは外れた。
ミルヴィは、紅の眼のミルヴィとイシュラークの加護で自身を強化する。ミルヴィの瞳が緋色に染まり、明星の剣イシュラークに宿る義賊アルフレッドの魂がミルヴィを守る。
ここでまだ動いていない『パンツ置いてけ』が一斉に動く……のだが、セリアを庇ったレッドとアルメリアを庇ったヴィクトールに攻撃が命中したのみに終わる。
(……あれ? こっちに集まらないで、みんなを均等に狙ってきてる?)
『パンツ置いてけ』の行動を、ミルヴィは訝しんだ。刺激的な格好をした囮役である自分に攻撃が集中せず、全員が最低一度ずつは狙われているからだ。心当たりとしては半数以上がラブポーションやそれに近い薬を飲んでいることであるが、そうであれば薬を飲んでないセリアやレッドまでが狙われたのは不可解である。
(……こいつら、エッチな目的からパンツを奪うわけじゃない……?)
そんな思考が、ミルヴィの脳裏をよぎった。
「落ち着いて、リディア! 抜けられない触手じゃないよね?」
リディアを捕えている『パンツ置いてけ』にファントムチェイサーを放ちつつ、セリアはクェーサーアナライズでリディアを脱出させようと試みる。
「ありがとうございます! 助かりました!」
ファントムチェイサーでの援護が功を奏してか、リディアは絡みつく触手からの脱出に成功した。
●斃れゆく『パンツ置いてけ』
戦闘は、イレギュラーズ達が『パンツ置いてけ』にダメージを重ねるも倒すまでには至らず、『パンツ置いてけ』もイレギュラーズ達を触手で執拗に狙うものの下半身に取り付くまでには至らない、と言う流れで推移していた。
「いい加減、これで倒れろ! クォーツ式ドロップキーーーック!!」
自身を狙う『パンツ置いてけ』に対し、リアがスターゲイザーからのスター・ドロップを放つ。先にもスター・ドロップを受けていた『パンツ置いてけ』は、今度は直撃をまともに受けて、ぐちゃっ! と弾け飛んだ。
「もう一丁!」
勢いに乗ったリアは、リディアを触手で捕えている『パンツ置いてけ』に駆け寄ると、再度スター・ドロップを食らわせてもう一体撃破する。これで全滅することはなくなったと、リアは安堵して一息ついた。
そして、ここから戦いの流れは加速していく。
リディアにはまだ触手が絡みついていたが、セリアのクェーサーアナライズがリディアとムスティラーフを触手の戒めから解き放った。そのままセリアは攻撃を仕掛けるが、これは外れてしまう。
「そんなに集まってたら、格好の的よ!」
ヴィクトールの前に集まっている『パンツ置いてけ』に、アルメリアはチェインライトニングを放つ。蛇のようにうねる雷撃が三体の『パンツ置いてけ』を捕え、うち既にムスティスラーフのチェインライトニングを受けている二体を動かなくした。
「本っ当に、タフッスね!」
レッドは味方の防御をヴィクトールに任せ、自身の前の『パンツ置いてけ』に対して攻勢に出ていた。レジストクラッシュで軽槍グロリアスを『パンツ置いてけ』に叩き付け、その身を大きく削り取る。
反撃とばかりに、『パンツ置いてけ』の触手がイレギュラーズ達へと伸びる。
「おおっ、また来たよ! さぁ、早く僕の股間に飛び込んでおいで! あっ、君はそっちに行っちゃうのかい!?」
わざと捕まっているわけではないはずだが、ムスティスラーフはそんな『パンツ置いてけ』を歓迎するかのような声を上げる。これまでムスティスラーフを狙っていた二体の『パンツ置いてけ』のうち一体が、新たにアルメリアの方を狙い始めた。
「……不覚です!」
アルメリアに迫る新手に気が付くのが遅れたか、これまで『パンツ置いてけ』の触手には被弾しても拘束されることなく巧みにしのいできたヴィクトールが、その四肢を拘束されてしまう。
「んっ…ヤダ、ポーションのせーで身体が熱くなってきた……。んぁっ……やーよ、アタシはそーいうのは好きな人としかしないの♪ テクニックもないDTスライムはお呼びじゃないの!」
ラブポーションによる身体の火照りを覚えつつも、ミルヴィは悠然と『パンツ置いてけ』の触手を回避する。それだけではなく、嵐のような剣捌きで『パンツ置いてけ』を斬り刻んだ。
「うぐっ……どんな状況に陥ろうと、ボクは負けていられないのです! それで守れるのならば、それが誰かの為になるのならば。ボクは絶対に負けない、絶対に折れません!」
四肢に触手が絡みつき、常人なら動くことすら出来ないであろう束縛の中、ヴィクトールはなお仲間達の盾たらんとして身体を強引に動かす。
「だから、かかってきなさい。ボクが相手をします……! 大事な『モノ』を守るのが、ボクの今ここにたっている理由なのですから!」
毅然と、ヴィクトールは言い放った。
「どんどん行くっすよー!」
目の前の『パンツ置いてけ』を片付けるべく、レッドはレジストクラッシュを連続で叩き込む。倒すには至らなかったものの、その身を大いに飛び散らせ、削ぎ取っていった。
「……ごめん!」
セリアはクェーサーアナライズでヴィクトールとムスティスラーフを触手の拘束から解き放とうとするが、発動を焦ったか失敗。主にヴィクトールに向けて謝りながら、ヴィクトールの状況を少しでも楽にしようとチェインライトニングを放ち、二体の『パンツ置いてけ』に強かにダメージを与えていく。
「ヴィクトールさんは、それ以上やらせないわよ!」
ヴィクトールを拘束している『パンツ置いてけ』を、リアはスターゲイザーからのスター・ドロップで勢いよく蹴る。『パンツ置いてけ』の身体が、半ば近く飛び散らされていった。
(――それにしても、よ。凄い光景だわ。男も女も等しく触手は襲い掛かるのよ。とても口には出せないけれど、これは眼福なのではないかしら?)
戦闘中ではありながら、アルメリアはそんな雑念に囚われる。
(ムスティスラーフなんて、明らかに期待してない? これ助けた方がいいの? ……そんなにイイの?)
ごくり、と生唾を飲み込んだところで、ハッと我に返るアルメリア。
(あっ、駄目よ! 目的は妖精郷にたどり着くことなのよ! ……撃ちなさい、アルメリア! 撃って!!)
だが、雑念が強すぎたのか、チェインライトニングはヴィクトールから明後日の方向で発動してしまった。
「これで、倒します!」
セリアとリアによって立て続けにダメージを受けた『パンツ置いてけ』を仕留めようと、リディアは『パンツ置いてけ』へと猛進すると、あらん限りの力でメテオライトソードを大きく振りかぶり、勢いよく振り下ろす。
ぐちゃっ! メテオライトソードで真っ二つに両断された『パンツ置いてけ』は、それきり動かなくなった。
「悪いけど、いつまでもアンタの相手だけしてられないの!」
リディアに続くように、ミルヴィは目の前の『パンツ置いてけ』を仕留めにかかる。先の十六夜で呆けたようになっている『パンツ置いてけ』は、さらに連続して十六夜を受けて、その場にべしゃりと崩れ落ちた。
『パンツ置いてけ』の反撃が始まる。ヴィクトールとレッドは触手を回避したものの、ムスティスラーフは下半身に取り付かれてしまう。
「ああー、いよいよだね。このスライムに僕が作った『ラブポーション』を混ぜて、さらにチェインライトニングで電撃を浴びせれば……来たよ、超☆快☆感!!」
\テーレッテレー!!/ 何処かの世界の、駄菓子のCMのような効果音が、ムスティスラーフの脳内で響く。雷撃を受けてぶるぶると震えるスライムの滑りと振動が、媚薬によって増幅された快感がムスティラーフの下腹を包む。
●奪われたのは、ふんどしでした(某お茶のCM風)
残る『パンツ置いてけ』は三体。しかも全て、既に無視出来ないダメージを受けている。こうなると戦闘の終焉は目に見えており、事実二体まではイレギュラーズ達の集中攻撃を受けて倒された。
いよいよ最後の一体となった時に、ムスティスラーフが懇願する。
「待ってよ。僕はまだ、この快感を楽しんでいたいんだ」
その言葉に、他のイレギュラーズ達の間に(まぁ、ムスティスラーフが望むならいいか)と言う空気が広がる。かくして、事実上戦闘は終結した。
(この快感を終わらせちゃだめだ! できる限りふんどしを死守して長引かせないと……ああ、でも耐えようとして身を捩ると……擦れて気持ちいいぃ!!)
既にむっちえくせれんとを溶かしてしまい、ふんどしを奪おうとする『パンツ置いてけ』に、ムスティスラーフはパンドラまで使って抵抗して快感を長引かせようとする。
だが、諸行無情盛者必衰。ずっと味わっていたい快感にも終焉は訪れる。
「あっ……最後の一瞬は、儚い(穿かない)」
抵抗虚しくふんどしを奪われた瞬間、ムスティスラーフの脳裏に「失格」の声が響く。ばたり、とムスティスラーフは倒れたが、その表情は至福そのものと言った様だった。
なお、他のイレギュラーズはムスティスラーフの様子を見ないよう背を向けていたが、一人だけちらちらと視線を投げて胸をドキドキさせていた者がいたことはここに記しておきたい。
ともあれ、ムスティラーフの黄ばんで雄臭いふんどしを奪った『パンツ置いてけ』は全速力で逃走し、イレギュラーズが入ってきたのと逆側の扉から消えていった。
と、ゴゴゴゴゴ……と言う音が響くと、床の中央が開き、そこから台座がせり上がる。その上には、虹のように七色に輝く宝珠が載っていた。
「これが、虹の宝珠……」
セリアは台座に歩み寄ると、虹の宝珠を手に取る。すると、『パンツ置いてけ』が逃げていった扉の向こうが、イレギュラーズを誘うように明るくなる。この領域が攻略され、次の領域が攻略可能となったのだ。
とは言え、一人欠けた状態で次の領域に挑むわけには行かない。大した被害もなくこの領域を攻略出来たことを喜びながら、イレギュラーズ達はヘイムダリオンから引き上げていった。
――なお、レッドが採取した『パンツ置いてけ』の残滓からは、特にパンツの香りがすることはなかった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
シナリオへのご参加、ありがとうございました。
リディアさんがリディアのぱんつを持ってきたのは、盛大に笑いました。理由があって通せませんでしたが、大変面白かったです。
何方も活躍が素晴らしくて迷いに迷いましたが、MVPはヴィクトールさんにお送りします。「たとえ下着を失おうとも、尊厳を失おうとも――」の心意気で、実際にセリアさんアルメリアさんをきっちり守り切ったのが決め手でした。
GMコメント
こんにちは、緑城雄山です。
久しぶりのシナリオになりますが、よろしくお願いします。
●成功条件
仮称『パンツ置いてけ』の殲滅
●ロケーション
40メートル✕40メートルの石畳の部屋。高さは5メートルほど。
うち一つの壁の中央にイレギュラーズ達の入ってきた扉があり、その対面の壁の中央に先に進むための扉があります。
●特殊ルール
この部屋においてパンツを奪われた者は、気絶して戦闘不能となります。
この効果は残HP、防御力、特殊抵抗の如何を問わず100%発動し、アイテム、スキルの効果などで回避することは出来ません。重傷のパンドラ減少は入りませんが、戦闘不能のパンドラ減少は入ります。
EXF判定に成功するかパンドラを費やした場合、パンツを奪われずに耐えたことになります(ただし再度パンツを奪われる危険性は当然残りますが)。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●仮称『パンツ置いてけ』 ✕10
人の気配を探知すると「パンツオイテケェ……」と迫ってくるスライムです。色は緑色。
命中自体はそこそこですが、触手に関しては多重影が、取り付きに関しては変幻があるため、結果的に高いものとなります。パンツを奪うことに特化しているので、攻撃力はありません。
回避、反応、防御技術はほぼ皆無です。特殊抵抗はそこそこですが、一部の精神に作用するBSは無効となります。
生命力は、先に撤退したパーティーが1匹も倒していないため不明です。
・攻撃手段など
触手(短)(アクティブスキル) 物中単 【無】【多重影3】【呪縛】
触手(遠)(アクティブスキル) 物超単 【無】【多重影3】【呪縛】
取り付き(アクティブスキル) 物至単 【無】【移】【万能】【変幻30】【災厄】【停滞】【呪い】
衣服溶解(アクティブスキル) 【必中】【無】 服や鎧を溶かします。
パンツ奪取(アクティブスキル) 【必中】【無】 パンツを奪います。
【封印】無効(パッシブスキル)
【怒り】無効(パッシブスキル)
精神無効(パッシブスキル)
・攻撃パターン
1:触手で敵を絡め取ります(BS【呪縛】の付与でこの状態を表現しています)
2:次のターン、絡め取った敵が触手を振り切っていなければ(【呪縛】が解除されていなければ)、本体を触手の方に引き寄せて、敵の下半身を覆うように取り付きます。(※)
3:敵の下半身への取り付きに成功したら、1ターンかけて(重防具装備の場合は2ターン)、敵の鎧や衣服を溶かしていきます。装備への攻撃であるため、特殊抵抗での抵抗は出来ません。
4:敵の鎧や衣服を溶かしたら、パンツを奪います。
5:パンツを奪ったら、全力で戦場から離脱します。なお、敵の下半身には『パンツ置いてけ』の残滓がこびりついているため「見えません」。
※この状態になった『パンツ置いてけ』への攻撃は、取り付かれた味方に当てないようにする必要があるため、命中、威力共に半減するものとします(誤爆しても構わない、と言うなら別ですが)。
なお、【識別】がある範囲攻撃に関しては、この限りではありません
●備考
このシナリオではイレギュラーズの『パンツ』が、敵に採取される可能性があります。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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