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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 異聞録肆》畑の異変

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■それは城塞都市の離れから
「え?芋畑が荒らされてる?」
「ああ」
 オークロードとの戦争から早数年。城塞都市に住まう獣人達と、オーク達の間にあったわだかまりもほぼ消えて至って平和な日々が流れていた。
 そんなある日。始めは流れに流されオーク族のまとめ役となっていたミルディンだが、今ではすっかり族長として板についている。そしてその娘の、一見人間の美少女に見えるティティスとの会話から今回の物語は始まる。
「犯人の目星とかは?」
「それが人のいない夜に荒らされているようでな。ちょっと騎士団の手も借りれないかと思案してるのだが……」
 むぅ、と腕組みをして唸るミルディン。というのも彼個人として、一度大迷惑をかけた以上これ以上世話になるのも申し訳ないという気持ちがある為だ。
 本来ならばオーク族だけで片付けたい問題だが、かといって今は夏に向けて作物を育てる土壌を作らなければいけない時期。余り人手は裂きたくない……と目の前のティティスを見る。
「そうだティティス。お前、ちょっと手を貸せ」
「え、えぇ? ボクが何かできると思うの?」
「威張るなそんな事」
 この引っ込み思案で臆病なところは治らないものかと、別の問題に頭が痛くなる父であった。
「何もお前一人でとは言わん。ほら、領主様の孫娘とお前は仲が良いのだろう?」
「そ、それこそ迷惑じゃんかぁっ!?」

「……という訳なんだけど、カイちゃん……」
 翌日。いつもの待ち合わせ場所で領主の孫娘、カイと合流したティティスは恐る恐ると話を切り出す。話を聞いたカイはしばらく空を見つめ何か考え……。
「あ、無理だったらいいんだよ?お父ちゃんには言っとくし」
「いえ、構わないわ。手伝うわよ」
「え?」
 予想外の返答に、ポカンとするティティス。対するカイは笑って見せて。
「ティティス一人だと、何かあった時に困るでしょ?用心棒よ、用心棒」
「……あ、あーっ!? ば、馬鹿にしてぇっ!!」
 きゃいきゃいと楽しげに騒ぐ二人の少女。でも、二人でってのも心細いなと段々変化して……。
「あ、そうだ。お父様のお友達にお願いしましょ。きっと手伝って下さるわ」

NMコメント

 また外伝作品になってますね。以下略です。
 狐の嫁入りシリーズです。これもまた本編に影響を与えるかもしれません。どうなるかは皆様次第です。
 今回のオーダーは畑の異変を調査する事。とざっくりですが、下記は登場人物詳細。メタ情報含みます。

・味方NPC
■カイ・ルークス
 領主の孫娘。ホーリーメイガス相当の強さ。
 スキルとしてメガ・ヒール、魔力撃、天使の歌、ブレイクフィアー、毒耐性、火炎耐性、肉体言語を持っています。
 そこそこ程度には強く、前衛でも戦える能力。母親の影響か少しずつ気が強くなってきている模様。

■ティティス
 オーク族の族長の娘。魔生乱破相当の強さ。
 スキルとして斬神空波、アビス・ロブ、クリティカルスナイプ、多重影、狙撃戦闘熟練、二刀流、罠設置、陣地作成、変化を持っています。また通常攻撃が毒付与されています。
 ダガーとクロスボウを使い分け、遠近両方で戦うスピードファイターですが、臆病な性格が災いしFBは少し高め。

・敵NPC
■モグラ獣人×???
 夜になると畑に出てきます。普段は地下深くに住んでいる模様。
 地面を掘って暮らしているからか、筋骨隆々です。但し眩しい光には弱い模様。ランプやランタン程度なら平気。
 彼らとどう付き合うかは皆様次第です。

 以上となります。
 予定では昼に罠などを用意し、夜になんらかのアクションとなっております。子供達が夜に寝てしまわないようにサポートしてあげても良いかもしれません。
 さてはて、一体モグラ獣人の目的とはなんでしょう?よろしくお願いいたします。

  • 《狐の嫁入り 異聞録肆》畑の異変完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月18日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ガーベラ・キルロード(p3p006172)
noblesse oblige
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)

リプレイ

■畑の調査
「オーホッホッホ!畑の異変と聞いて私、アーベントロート派キルロード男爵家が長女、ガーベラ・キルロード参上! ですわ!! 畑は大事な食糧事情を支える物! これを荒らす不届きものなど私が懲らしめてやりますわ!」
 高笑いを叫びながら畑を耕す『noblesse oblige』ガーベラ・キルロード(p3p006172) に、カイとティティスは一瞬頼む人を間違えたかも、と頭を抱えた。
 現に彼女は「罠の事なんてわかりませんから、私は畑の手直しをしますわね」と言い出したのだ。しかしその手際は良く、ますます彼女の事がよくわからなくなった二人である。

 さておき。残りの三人のイレギュラーズは荒らされた畑を見直していく。
「これ、大きい穴だね」
 畑からほんの少し離れた木々の間に、大の男一人はゆうに入れる程の穴を見つけた『雷虎』ソア(p3p007025) は身を乗り出して中を覗いてみる。
 穴の中は深く、太陽の光が届かない奥の方はまったく全容が見えない程であった。
「これは……食べ散らかした跡か」
 その穴のすぐ近く、芋の破片が飛び散っているのを拾う『天戒の楔』フレイ・イング・ラーセン(p3p007598) が鋭き視線を周囲に巡らせる。
 食べ物の破片はあれど、野生動物ならばあるべきアレがない。ということは……?
「野生動物じゃねぇなコレは」
 『凡才』回言 世界(p3p007315) が顎を撫でながら思考をフル回転させる。掘られた穴は世界でも余裕で入れる程大きく、そして野生動物であればあるはずの『アレ』もない。そうするとこれは人間の手で行われた犯行であると推測できる。
「ティティス、この穴の周囲に罠を作れるか?」
 フレイに呼び出されたティティスがバタバタと穴に近寄る。周囲を見渡し、考えて。
「そうで、すね……鉄線を黒く塗って、穴の周囲に張っておく……とかでしたらすぐにできる、かと思います」
「よし、それなら俺達も手伝えそうだな」
「あ、私も手伝います」
 子供達二人とイレギュラーズ三人の手による共同作業で、すぐに罠は張り巡らされる。黒に塗られた鉄線は夜の闇の中では見えない。よって足を取られる。
 ティティスは更にその鉄線を二重三重に張り巡らせ、鳴子も器用に括り付けていた。
「こうしておけば、犯人が引っかかる確率は増えるはず、です。それに派手な音が鳴るから私達にもわかりやすいですし……」
「へー、勉強になるなぁ」
 ティティスの作業を背中越しに見ながら、ソアはじっと作業を覚えるべく記憶領域を働かせる。これもまた人の営み、人の知恵だと。

 一方、ガーベラはどうしているのかというと。
 罠の作成場所が畑より離れていると見るや、農作業にまた戻っていた。その手慣れた鍬……細剣……鍬の扱いは、本業農家も舌を巻くほど。
 鍬、いや細剣が泣いているように見えるのはきっと気の所為であろう。そうきっと。

「俺達は一眠りするか」
 世界の提案に、少女三人はすぐに乗る。畑のすぐ隣に作られた小屋に仮眠用のベッドがあるとの事なので、少女たち三人は中へと。
 流石に混ざって眠るのはまずかろうと世界は小屋の外で、壁に背を預け眠る事にした。
「これはサボってる訳じゃないからな?」
「わかっている。俺もガーベラを少し手伝ってから休むとする」
 言い訳じみた物言いをする世界に対し、口の端で笑いながら応えるフレイ。
「……あいつ、すごい体力だな」
「オーホッホッホッホ!」

■捕物劇
「それで、皆様? 好きな殿方とかいらっしゃるんですの?」
 日が沈み辺りを夜の闇が包み始める。いつ犯人が現れるかもわからない状況で。それでもずっと気を張り詰めているのは疲れるからと交代制をとった六人。
 今はフレイと世界が小屋の外で見張り番をしている。女性陣は小屋の中で軽めの食事を摂っていた。そこでガーベラが緊張をほぐすべく、あるいは自身の趣味か。恋愛話を振ってみた。
「え、え? 私は、いないですよぉ」
 ティティスが手に持ったパンごとブンブンと振り回す。彼女の場合照れ隠しなどではなく、臆病な性格故に父親以外の男性が苦手だからなのだが。
「私もいないですね。ギルはまだまだ子供っぽいし……ギルダス君は頼りになるけど、何か違うし……」
 従兄妹の顔と、その親友の顔を思い浮かべ応えるカイ。どちらも恋愛対象にはならないなぁといった感じである。
「え、ボク?ボク……」
 ガランガラン!!
 ソアが語りかけたその時、けたたましい鳴子の音が響き渡る。同時に外にいる男二人の叫び声も飛んできた。
「来たぞ! 皆早く!」
「いいところでしたのに……!」
 ガーベラの愚痴も置いて、全員が小屋の外。昼間見つけた例の穴の近くへと駆け出していく。

「いたた……な、なんだこれは!?」
「お前達を捕まえるトラップだよ」
 3人の人影が倒れ込んでいる。そこへフレイが、黒の焔を剣とし、影へと突きつける。冷たく宣告するフレイの目は闇の中にあって尚、鋭い。
「オーホッホッホ! そこまでですわ! 我が名はガーベラ・キルロード…畑の守護者ですわ!」
 そこへ謎の光を発しながら高笑いをあげるガーベラが到着し、3人の姿をあぶり出す。
 彼らの姿は筋肉たくましい上半身に鋭き爪。小さな目と不釣り合いな少し伸びた鼻を持つ者達。3人共ガーベラの放つ光に目がやられてしまったようでうずくまってしまう。
「うわぁぁあ!! そ、その光はやめてくれぇ!!」
「やめるかどうかは、あなた達次第だよ?」
 返答次第では……と、ソアが両腕に雷を纏わせ威嚇する。これもまた3人には効果覿面で。すっかり怯えた声をあげている。
「まあ落ち着け。そこのあんた達、態度次第じゃ荒事にはしないんだぜ?」
 世界のかけるぶっきらぼうな声に、おそるおそると顔を上げる三人。だが、やっぱりガーベラの発する光に蹲ってしまい。
「すまん、ガーベラ。話が進まないからその光はやめてやれ」
「あ、はい」

「ところであなた方……確か、鉱石を卸して下さるモグラ族の……」
 ようやく落ち着いた三人の顔を見て、カイが何か思い出したように話し始める。城塞都市の領主の孫娘である彼女は、父や祖父について公的事業に顔を出すこともある。その中で出会ったのだろう。
「お、おお……お嬢様」
「カイちゃん、知り合いなの?」
 ティティスの問いに一つ頷くカイ。しかしそうすると、また謎が一つ増える。
 何故彼らは、取引のある城塞都市の田畑を荒らしたのか。自分達が不利になるような事をしてまで……。
「何でこんな事をしたんだ?」
「それは……」
 フレイの問いかけに、モグラ族の男達は語り始める。
 本来彼らは山付近で地面を掘り、鉱石を採っては売りさばき生計を立てている一族だと。
 だが最近、鉱石の採掘場に謎の魔物が棲み着いてしまい仕事にならず。蓄えも底をついてしまい、やむを得ず犯罪に身をやつしたと。
「……そのような事情がありましたか……えいっ!」
「あだっ!?」
 モグラ族の話を聞き終えたカイが、3人の頭を手にした杖で叩いて回る。
「カ、カイさん? どうしたの急に?」
 突然の奇行に驚くソアだが、当のカイはあっけらかんと、「お仕置きです」と返した。
「これがあなた達の罪に対する罰と致します。そしてその魔物の事ですが……」
「どうするんだ? 流石に今から討伐とかは用意ができてないだろ?」
 世界の問いに、頷くカイ。暫く考えてみるがいい考えは出ず。
 そこでガーベラが助け舟を出す。
「ここはやはり、お祖父様である領主様にお話してみるべきでは?」
「そうですね……私の方から話しておきます」
 先に報告に行くとの事で、カイは一礼を残し城塞都市へと帰っていく。
 後に残され形見の狭い思いをしているモグラ族を見下ろし、ソアはティティスに向けて。
「この人達はどうする?帰ってもらう?」
「えーっと……お父様にお話して、畑仕事手伝って貰います、ね。荒れちゃったから人手は必要ですし……」
「魔物の討伐に向かうとなれば、道案内も必要だろうしな。いいんじゃないか?」
「俺達は、お前達の考えに任せるぜ」
 ティティスの言葉に、フレイも世界も静かに頷く。
 
 こうして一仕事……小さな仕事であったが終えたイレギュラーズ達。
 彼らの元に次の一報が届くのは、いつの日だろうか?
 

成否

成功

状態異常

なし

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