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シナリオ詳細

にゃんにゃん王国とモグラ叩き

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ぽかぽかした陽気に包まれた暖かな城内の王座で寛いでいた王様は、ふと騒がしくなった廊下の音にピクリと耳を動かした。
 わたあめのように純白でふわふわの毛並がゆっくりと背筋を伸ばすのに合わせて重厚なマントが揺れる。
『失礼いたします!』
 バタンと大きな音を立てて開かれた扉から鎧を身に付けた毛玉が飛び込んでくるなり、肩で息をしながら火急の用を口早に告げた言葉に王様も王座を降りた。
『数十年に一度現れるという例の魔物が現れました! 西の森近くに広がる畑が被害に合い、現場は穴だらけとなっております!』
『なんだと!! すぐに術士を集めて勇者召喚の儀式を! 宝物庫も開けて聖なる武器を用意しろ!!』
 
 にゃーにゃーにゃー!
 にゃーにゃーにゃー!
 
 すぐに厳戒態勢が敷かれた王国の西側で。
 畑に空いた大きな穴からぽこんと魔物は顔を出していた。


「異世界の危機にハッピーエンドを綴る為! 境界案内人・子羊、参上!」
 カウンターの上でビシッとポーズを決めた子羊が、10秒ほど静止したあと無言でカウンターを降りる。
 そうして何事もなかったかのような顔をして一冊の本を取り出した。

「今回のお話は、とある王国で数十年に一度現れる魔物の退治だよ。その国はこの世界でいう猫によく似た種族が暮らしているから、好きな人にはたまらないかもね!」
 手にした表紙には肉球がついたハンマーのようなイラストが描かれている。
「みんなが向かうのは魔物が発生している西の森近くの畑。結構広いけれど、一角だけ穴だらけで荒らされてる部分があるからすぐに分かると思うよ。みんなには王国から聖なる武器が貸し出されるんだけど、それでしか魔物を倒す事が出来ないんだって。」
 そういって子羊は誰もが一度は見たことあるような気がするおもちゃのハンマーを取り出した。
 叩くとピコン!と音がなるアレである。
「魔物は草食だから攻撃はしてこないんだけれど、放っておいたら畑の作物を全てダメにされちゃうんだ。だからみんなはこの聖なる武器で叩いて追い払って欲しいんだ! 穴はいっぱいあって数もいっぱいいるから大変かもしれないけれど、やりきったら国民から盛大に感謝の抱擁が貰えるよ!」
 モフモフからの抱擁という報酬。
 俄然やる気の湧いたイレギュラーズの一人がふと手を挙げる。
「もしかしてその魔物って、モグラに似てたりする?」
「大正解!」
 ウインクと共に子羊がカウンターをハンマーでピコン!と叩く

 あ、これモグラ叩きゲームだ。
 誰かがしみじみ呟くのを聞きながら、子羊はよろしくお願いしますと笑顔で頭を下げた。

NMコメント

桃缶です。
どうぞよろしくお願いします。

◆依頼内容
貸しだされたハンマーで穴から顔を出すモグラに似た魔物を叩いて追い払う。
モフモフと戯れる。

◆場所
みなさんは既に武器を受け取った状態で畑に到着した所から始まります。
穴だらけの畑は作物が荒らされているので走り回っても問題ありません。

◆魔物
モグラによく似た姿をしていて、穴から顔を出します。
全部で9匹いますが、どの穴から出てくるかは分かりません。
叩いたらいなくなるので全部叩くまで頑張りましょう。

◆プレイング例
行動:どの穴から出てくるか分からないから畑の中を走り回ってモグラが出てくるのを待つよ!
全然叩けなかったら仕方ない!穴の近くに落ちてた作物を置いて誘き出す!
「いたー! くらえー!」

魔物退治が終わったらモフモフタイムだー!猫そっくりでかわいいなー!


以上となります。
みなさまとハッピーエンドを綴れますように。

  • にゃんにゃん王国とモグラ叩き完了
  • NM名桃缶
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月19日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼

リプレイ


 にゃーにゃーにゃー!
 魔物に荒らされた畑を見守るように、召喚した勇者たちの姿を見守るように、まだ無事な畑の中で可愛らしい国民たちの大合唱の声が響く。
「なんだあのけしからんもふもふはじつにけしからん…!!」
 まるで猫そっくりな国民たちがもふもふと身を寄せ合っている姿に心臓を抑えて捲し立てる『協調の白薔薇』ラクリマ・イース(p3p004247) 。
 厳粛な白いスーツを纏ったいかにも理性的で清冽そうな金髪の美青年ではあるが、今は湧き上がる衝動に早鐘を打つ鼓動のようなテンポで言葉を吐き出している。
「さてとモグラに似た魔物退治でしたよね。
 叩いて追い払うとか、本当にこんな追い払い方でいいのかと些か心配ではあるのですが。
 これじゃないと倒せないと言うのでしたらやるしかないのです。
 魔法タイプなので武器の扱いは得意ではないのですが……頑張りますか。」
 手には聖なる武器ですと王様だという真っ白なもふもふから恭しく渡されたどうみてもピコピコハンマーにしか見えないハンマーを持ち、逆の掌に叩きつけてピコピコしていた。
「王国ではモグラの季節ですか。畑が穴だらけにされるのは困りますよね。分かります!
 モグラにも生活があるのでしょうが、ここは王国の皆さんの大事な畑。他所へ行って貰いましょう。
 この畑をこれ以上穴だらけにはさせません!お覚悟願います!!」
 隣に並んで意気込み高らかに声を上げた『何事も一歩から』日車・迅(p3p007500)が金色の瞳をキラキラと輝かせながら畑の穴を見つめた。
 黒髪からピンと伸びる狼の耳もまた、一つの音も聞き逃すまいと畑の方へ向けられている。
「にゃんこさん…とは厳密には違うのかもしれないけれど、可愛い事には変わりない!
 だったら!にゃんこの味方!にゃんこ至上!
 にゃんこの勇者たる私が立ち上がらない訳にはいかないね!
 にゃんにゃん王国のみんなの為にも、畑は絶対に守ってみせるよ!」
 更にその隣に並んだ『蒼銀一閃』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332) がピコピコハンマーを剣の如くに両手で構えた。
 夏の青空を彷彿とさせる清涼な青い髪を靡かせて見守る国民へと振り返ってウインクを決めれば、まるで歓声のようににゃーにゃー!と声が響く。
「でも……あっあっ、遠巻きにしてらっしゃる、この世界のかたがたが……
 わたしを、なんだか、興奮してらっしゃるような目で、見ているような、気がしますの。
 ご覧になってらっしゃるのは……もしかして、わたしの、つるんとしたゼラチン質のしっぽでしょうか?
 透明なしっぽは、わたしの、自慢ですから……注目されるのは、恥ずかしいと同時に、誇らしくて、嬉しくもありますの。」
 ぎゅっとピコピコハンマーを抱きしめるように身震いする『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062) の美しい尾が揺れるたびに国民から熱い視線が注がれる。
 その意味を彼女は痛いほど理解していた。
「でも……この目は、違いますの……この視線は……獲物を見つけたときの目、ですの!!」



 とにもかくにもまずは魔物退治だ!と4人は一斉に穴だらけの畑へと飛び込んだ。
 視線を一瞬交わして頷き合えば、示し合わせたかのように畑の四方へと散っていく。
 足音で警戒されないように、風を纏って軽く飛行したシャルレィスはスッと視界を閉ざして静寂を身に纏う。
 気配や音に意識を研ぎ澄まし、土の中を移動する魔物が出てくるであろう穴目掛けて両手に握りしめたピコピコハンマーを振り下ろす。
「そこだぁーーー!!!」
 ピコン!と確かな手ごたえと共に軽快な音が鳴り響き、今まさに顔を地面から出した魔物は叩かれた事を理解するなり涙目になって穴の中へと消えていった。
「えっ、泣いた!? あのっ、もぐらさんも悪気はないんだろうけど……
 ごめんね、ここはにゃんこさんたちの大事な畑だから他の場所に行ってくれるかなっ!」
 これは依頼だと自分に言い聞かせ、魔物の涙を振りきるようにシャルレィスは次の穴を探しに行く。
 対して迅はここと決めた穴に狙いを定め、【気配消失】で魔物が現れるのを待った。
 走り回る仲間たちの足音を警戒したのかこちらは安全だと察した魔物が土の中を移動する気配にピクリと耳が動く。
「隙ありー!!」
 ピコン!
 まるで電光石火の反応と機動力で振り下ろしたピコピコハンマーが魔物の頭に鋭い一撃を見舞う。
 更に続いて少し離れた穴から顔を出した魔物へと飛ぶように急接近する迅。
「あっ!」
 だがあまりの速さに勢いが付き過ぎた体は穴を通り越し、驚いた魔物は穴の中へと逃げていった。
 まさに一撃必殺と言わんばかりの二人とは違い、ラクリマは深緑育ちのハーモニアの野生の勘をフルに発揮して畑を走り回っていた。
 具体的に言えば両手に構えたピコピコハンマーを穴を見つけるたびに手当たり次第に振り下ろしていた。
 いっぱい叩いていればいつか当たる!!って勘でも何でもないけど一生懸命さは伝わってくる。
「必殺!! ピコピコアタック!!」
 左右に揃えた面を受けから地面に叩きつける攻撃!(上から叩くだけです)
「必殺!!ピコピコスラッシュ!!」
 軌道がクロスを描くように穴の上を薙ぎ払う攻撃!(横から叩くだけです)
「奥義!!ピコピコストーム!!」
 激しいビートを刻むように交互に叩きつける攻撃!(両手でいっぱい叩くだけです)
「真剣必殺!!ピコピコk」
 ピコピコピコピコ…
 何度叩いても手応えの感じない音が響くばかりだが、ラクリマの目は諦めない。
 ピコン!
 「当たったああああああ!!!!!」
 それは勝者の雄叫びだった。
 そうして3人が順調に魔物を追い込む中、ノリアは一人畑の中央へと追いつめられていた。
「前門のモグラ、後門のネコ…わたしはどうやら、絶体絶命のようですの。」
 国民たちの熱い視線から逃げながら、仲間と探索範囲が被らないよう畑を泳ぎ回り、何故か穴から顔を出した魔物が尻尾に噛み付こうとするのから慌てて逃げる。
 手にしたピコピコハンマーを振り下ろそうとすれば別の穴から魔物が顔を出して口を開け、見守っているはずの国民たちが何故か姿勢を低くして細く長い尻尾を揺らして見ているのだ。
「こうしては、いられませんの……逃げないと、食べられてしまいますの……
 わたしは、おいしくなんて、ありませんのに……でも、お仕事を忘れるわけには、ゆきませんの。」
 勇気を持って叩かなければ魔物は退治出来ない。
 決意を新たにピコピコハンマーを握り直し、顔を上げたノリアはハッと気づいた。
 周囲を囲むように開いた穴、今まさに飛びかからんと顔を出す魔物たち。
「これは……チャンスですの!」
 魔物を退治し国民が歓喜に沸けばきっと興味は薄れてくれる!
 一番近くの魔物目掛けて振り下ろした一撃はピコン!と高らかに鳴り響く。
 だが数が武器とばかりに距離を狭めてくる魔物にノリアは絶体絶命のピンチ!
「ノリアさん! 助けにきたよ!」
「今こそ最終究極秘密兵器の出番ですね!」
「さあ、これで最後です!」
仲間のピンチに飛び込んできたシャルレィスが、ラクリマが、迅が舞うように軽やかにピコピコハンマーを奮い魔物たちを叩いていく。
「みなさん、感謝しますの。これで……トドメですの!」
 ピコン!
 ノリアが振り下ろした一撃が最後の魔物を叩いた。



 見事魔物を退治した勇者たちを祝福しようと国民たちが畑に雪崩れ込んできた。
 にゃーにゃー!と愛らしい声でお礼を言い歓声を上げ、もふもふと体を擦り寄せて感謝を示す姿にシャルレィスとラクマリはご満悦に表情を緩ませる。
「お礼だなんてそんな、当然の事をしたまでだよ……って、う、う、もう我慢できなーい!」
 ふるもっふタイムだぁー!!とピコピコハンマーを投げ捨てたシャルレィス。
 開いた両手に飛び込んでくる毛玉の塊。
「もふもふ!もふもふ!もふもふもふもふもふもふ!!!!!
 ふにゃぁああああ!みんな可愛い…!!
 もふもふ幸せ…!もうこのままここで暮らしたい…!」
「べ、べつにモフモフにつられてきたわけじゃないんですから!!」
 なんて言いながら、ラクリマも両腕にもふもふの塊をめいっぱい抱き込む。
 しかししゃがみ込んだ膝に軽やかに乗り上げられた途端、酷使した筋肉が悲鳴を上げた気がした。
「日頃武器なんて使わないので、きっと筋肉痛なのです……。」
 くたくたの様子でモフモフタイムを満喫しながらラクマリはちょっとだけ遠くの空を見上げる。
 その後ろでまだまだ元気そうな迅は国民からの熱い抱擁を喜んで受け止めていた。
「皆さんふわふわでもふもふですね!
 これはシャルレィス殿も大喜びで……あっ凄いはしゃぎっぷり。流石です。。」
 みんなが楽しんでいる姿に今は休息の時だとのんびりしながらも、一頻り遊んでもふもふ堪能した後は畑のお手伝いでもと考える。
 「わたしは! たべものでは! ありませんの!」
 と別の意味で大人気なノリアの声を遠くに聞きながら、迅は凛々しい表情を残したまま笑った。
「また何か困った事があれば呼んでください。どこに居ようとこの足で駆け付けましょう!」


 こうしてにゃんにゃん王国に平和が訪れ、4人の勇者は様々な形で語り継がれていく。

成否

成功

状態異常

なし

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