PandoraPartyProject

シナリオ詳細

儚き瞳の幻想曲-ファンタジア-

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 見られている。君たちはそう思った。鬱蒼としたこの森で。ローレットの依頼をうけて、この森の調査をすることになった。調査結果はハズレ。依頼者が求めていたものは其処にはなかった。だから彼らは報告をするためにローレットに戻ろうとした矢先だった。
 何もなかった森の奥から彼らを見ている視線があった。気のせいだとは思えない程の物理的な質量をもった視線が彼らを舐め回す。
 その不快感に声をあげたのは誰だったろうか?
「――っ!!」
 世界が揺れた気がした。貴方は周りを油断なく見回す。
 先程までの森ではない。

 ――其処は……。


 ノルニルの瞳。
 そは、未来を見つめる瞳、現在を見つめる瞳、過去を見つめる瞳。
 その瞳に見つめられたものは己が強く思う「時代」を夢見る。
 遠き過去、果敢なき未来、そして現在。
 ノルニルは涙を零す。
 果敢無き涙のその先に貴方は――。

GMコメント

 鉄瓶ぬめぬめです。今年の1月から始まった依頼コンテンツですがこの3ヶ月間で、イレギュラーズの皆様はこの世界にきて、何を思い、何を得て、何を手に入れたのでしょうか?
 ぬめも、マスターという業務を初めて始めてからはや3ヶ月でいろいろ皆様の人生をみせてもらえました。 というわけで、今回はここで一度皆様の過去、現在、そしてまだ見ぬ未来の設定を公開して自分自身の見直したり、未来への布石を表現してみませんかという趣旨の依頼になります。
 
・この依頼のルール・

【1】
 ウォーカーの貴方は元の世界に戻っています。
 それはこの世界にくる直前の出来事でもかまいませんし、数カ月後帰った状況でも構いません。その状況をプレイングにかいてください。
 その世界はきっといいものかもしれませんし、悪いものかもしれません。その世界から帰ってくるのも帰ってこないのも貴方次第です。
 
 無辜なる混沌生まれのみなさんは、自分が得たい未来。自分の過去、もしくは別の世界に転送されてしまった状態の場所にいます。
 その状態をプレイングにかいてください。


【2】
 とはいえ、その貴方が『今』みているものは実は幻覚です。貴方は幻想に帰ってこないといけません。その世界に対してなんらかの違和感を覚えます。その違和感を看過して強く幻想にもどりたいと思えば戻ってこれます。
 しかし、RPとして戻らない選択もあると思います。違和感に気づかずにその世界に残るのも構いません。
 とはいえそれだとゲーム上問題があるので、以下【3】の戦闘の勝利によって無理やり戻されることになります。
 その場合引き戻された貴方は重症として5日間の眠りについています。
(もちろんその間PPPのゲームプレイに支障はありませんので、返却後もお好きなようにRPしてください。眠っているので動かないというRPもありだと思います!)

【3】
 幻覚の世界から帰ってきた皆様の眼の前には巨大な瞳の怪物がいます。怪物はそれほど強くはありませんので、倒してください。
 体当たり、怒りを伴う遠距離攻撃をしてきます。
 最低一人が戦うと宣言してくだされば十分に倒せる強さです。
 幻覚から戻ってきたみなさんは同時に目を覚ますという形で大丈夫です。(帰ってこない方は戦闘には参加しないという判定になります)
 全員帰ってこなかったら、探しにきてたローレットの方が倒してくれるので帰ってこれます。

 この3パートでプレイングをかいていただきます。どの部分をメインでかくのかは各自にお任せいたしますのでご自由にどうぞ。3が最低限でも構いません。
 なによりもロールを大事にしてください。

 ご相談では、あまり相談することはないとは思うのですが、もしよろしければ、幻覚の世界にいったロールの練習でも各々楽しんでいただけるといいかなと思います。(決めてなかった方はそこでロールすることで思い浮かぶとかはあると思いますし)
 ぜひ相談までがっつり美味しく頂いてください!

 なおプロフィールも熟読させていただきたいので、プロフィールにかけることがあればなるべくかいておいてもらえるとたすかります!
 
 あなたのロールが活性化するいとぐちになればいいと思います。ぜひご利用くださいませ!
 変則的な依頼になりますが、楽しんでいただけると嬉しいです。

  • 儚き瞳の幻想曲-ファンタジア-完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年03月27日 21時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
ジェームズ・バーンド・ワイズマン(p3p000523)
F●●kin'Hot!!!!!
トラオム(p3p000608)
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護
アリソン・アーデント・ミッドフォード(p3p002351)
不死鳥の娘
Morgux(p3p004514)
暴牛
Svipul(p3p004738)
放亡

リプレイ


 過ぎさりし去を臨む。それは幸せであったり、不幸せであったり。
 人はその過去という財産を経て、現を過ごし、未来を望見する。

 はらりと、先程判をついた書類が初夏の風に翻弄され、落ちそうになるのを『暴牛』Morgux(p3p004514)は冷静に受け止める。
 いつもの光景、いつもの事務作業、たまの現場作業で世界を歩くのも、数年に一度の休日には仲間を誘って馬鹿騒ぎ。そんな極普通の当たり前の毎日。
 仕事漬けの毎日は最高に楽しい。ワーカホリック極まりないこの世界はアレルヤ! なんて充実しているのか。
 それでも、とうの昔に分かっていた。ここが彼のいた『パラゼキア』ではない、ということが。
 それでも彼はこの幻覚の『パラゼキア』を楽しみたかった。郷愁、だったのだろうか。
 だから、彼は、椅子をけとばして立ち上がる。やることがあるのだ。
 部下に言って『彼』にアポイントメントをとる。
 ――さあ、会いに行くか。
 闘争神Vain――俺の上に居る神に。

 ここは黄昏の地。
 運命の交差するラグランジュポイント。若しくは……。
 主は既にいない。迫り来る巨人とロキの子らを迎え撃ち、見事。見事返り討ちにあった。
 はらりと兜に飾ってあった羽根が堕ちた。彼女は『放亡』Svipul(p3p004738)は微笑みを浮かべている。
 そして目を閉じ、もう一度開ければ。
 豪奢なヴィクトリアン朝の調度品が並ぶ屋敷。
 眼の前には同僚の女騎士。その隣には官職を持つ立派な男性だと言うのにべったりと女騎士の弟御が付いている。
 随分と懐いているのだなとワインの肴にしながら笑めば、かの御仁はバツが悪そうに目をそらした。
 ふふ、と目を閉じ開ければ、自分の持つ巨大な槍が敵を穿つ。
 頬に血が跳ねる。熱いその血は直ぐに冷め、汚れに変わる。次の敵は何処だ。彼女が振り向けば、同僚がドレスをまとい、こちらに手を振っている。そうだ彼女の結婚式の最中であった、弟御は案の定泣いている。全く仕方がないと手を伸ばせば、主が私の手を取ろうと伸ばしていらしゃる。
 くるくると虚実入り混じりふたつの情景が風見鶏のように変わっていく――。

 ふわりふわりと海の中。見上げれば太陽が水の中にエンジェルハイロウを描く。見下ろせば仄暗く深く深い深淵。
 天と深淵をつなぐ母なる海。其処こそが自分の過ごしていたゆりかご。
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は半透明のゼラチン質の尾びれを揺らし揺蕩う。
 色とりどりの魚がマリンスノーを散らしながら泳ぎ、彼女の頬にキスをした。いつもの光景。いつもの優しい毎日。

「あとごふん」
 『フランスパン現在販売中』上谷・零(p3p000277)は温かい布団のなかで目を覚ます。まどろみの中というものほど気持ちのいい時間はない。しかし五分後のスヌーズがけたたましくアラームを鳴らしそんなまどろみを打ち消した。
 仕方ないと目をこすり起き上がった零は、めしどうすっかなと冷蔵庫を開けるが、ろくなものはない。昨日のうちに買い物を済ませておけばよかったと思うが後の祭り。一人暮らしには憧れたけど、思いの外面倒なのだ。
 rrrrrr
 電話のベルが鳴る。はいはーいと返事しながら受話器を上げれば懐かしい家族の声。仕送りはどう? 足りてる? そんな他愛のない言葉なのになぜか無性に懐かしくてそして――嬉しかった。

 人通りのない路地裏のその奥。そこに彼の家はある。
 革張りのソファには科学の資料や怪しげなオカルト書が乱雑に積み重なっている。その背後の書棚にも同じような本が溢れんばかりに詰め込まれている。ぼう、と揺らめく炎が彼、『ガスライト』ジェームズ・バーンド・ワイズマン(p3p000523)を照らしている。
「ああ、私は帰ってきたのだ。帰ってきてしまったのだ」
 なんとあっけない、あっけない帰還だ。茫洋と立ち尽くしてしまう。ふと、ふと思い起こす。
 そうだ! まだ完成していない研究があったはずだ……! ちらりと目にはいる書類はその研究のレポート。彼はそれをかき寄せ、胸に抱く。目の端になにか光るものがあった。

 はあ、ハズレだったか。良かったのか悪かったのか。依頼はハズレ。後は帰って報告だと思ったトラオム(p3p000608)は突如意識が薄れる感覚に囚われ、そして目を覚ます。
 ここは、……俺が生まれて、育った村だ。何の変哲もない、何もない田舎だ。
「お兄ちゃん、帰ってきてすぐ寝ちゃって! 冒険のお話聞かせてくれるっていったのに!」
 妹が頬を膨らませている。まったくしかたないなと、ベッドから起き上がり、妹を撫でると両親の待つ、居間に向かう。居間では母親の謹製のシチューが湯気をたて、なんともいえない香気を放っている。父親もまた随分とねぼすけだった自分に苦笑しているが、彼の土産話を楽しみにいているのはそのそわそわとした様子でわかる。
 いつもの光景。いつもの幸せな毎日。そう、俺の名前が■■■■だったころの。
 
 かえってきたの? ほんとに? 
 『不死鳥の娘』アリソン・アーデント・ミッドフォード(p3p002351)は元の世界にいる。そんなに経ってはいないはずだがやたらと懐かしく感じる。
 それは心の何処かで、帰れないかもしれないって思ってたからなのかもしれない。
 とん、と地面を蹴れば、重力などないようにふわりと体が浮かび上がる。炎だって自由自在。これが不死の鳥である私の力。
 じゃあ、いこうか。彼女は家族のようなあの人達の元に向かう。人間ではない私を優しくむかえいれてくれた、大切な人たちのもとに。
 きっと驚くわ。それとも「また何処か冒険に行ってたのか」って笑われるかもしれない。どちらでも良かった。あのひとたちに、私の冒険の物語を聞いてもらわないと! 空中でくるりと一回転すると懐かしい我が家に帰る。


 どんなに素晴らしいものを見ても、得ても、復讐の炎は胸を焦がす。
 感動することもある。しかし、その感動すらも炎は容赦なく焼き尽くし灰にしてします。それこそが自分という本性。
 『輝煌枝』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)の眼の前には下卑た笑みを浮かべる密猟者とそして、最愛の息子が血に沈む姿。
 息子は動かない。ああ、ああ。視界が歪む。彼らの種族の宝石の角は価千金の価値がある。輝煌枝それが彼ら、狩られるものの名前だ。
 密猟者は自分にも向かってくる。逃げなくては、逃げなくては。本能が警鐘を鳴らすが、彼はその足を後ではなく前に進めた。そう、憎き密猟者を屠るために。
 憎悪が彼の胸を焦がす。熱い、熱い熱い。熱い。息子も孫も殺された。だから復讐をしなくては。殺さなくてはいけない。
 ひとりめ。首が堕ちた。一緒に大切なものも指をすり抜けおちていく。
「あれ、僕の願いってなんだったんだろう」
 ふたりめ、額を割り、黄褐色の脳髄が豪奢な髭を汚した。
「しっていたのに。復讐は、失うためのものだ。そうすることで心ごと憎悪を燃やし尽くすもの」
 さんにんめ。命乞いをしていた。そんなもの聞こえない。
「僕には救う力もあった。なのに、そんな可能性は何処かにいってしまった」
 よにんめが倒れた。もうだれもいない。
 たっているのはじぶんだけ。
「こんなはずじゃなかった」
 立ち尽くす自分は一体、心ごと復讐で殺した自分は、こころない自分はなにものなのか。その答えはどこにもない。
 ならば――。自分の手が自らの首にかかった。消えてしまえば。答えはみつかるのだろうか。
 ことん。
 小さな音。注意深く聞いていなければ聞こえないほどの。でも、彼は聞こえてしまった。
 だから目を下にむければ、きれいなきれいな。輝く同族――息子の形見――の角。
 まるで彼を諌めるかのように。れきとした存在感を持って輝く。
 そして、思い出す。自分を命がけで守ってくれた息子。そして自分が命がけで守った、あの獣王に翻弄された少年を。
 結晶となって砕け散るだけだった彼をこの世界にとどめたときのあの感動は、ムスティスラーフにとって輝く宝石。焼き尽くすことなんてできるはずもない唯一のひかり。彼に、この素晴らしい世界を見てほしいと望んだ、その願いの果て。
 角を拾い上げ強く強く握り、願う。強い力があふれる。
「ごめんね、大丈夫。もう前を向いて歩いていけるから」
 それは幻覚。起こることはなかった結末。過去の後悔の残滓。だからそれは捨てて前に向かう。
 僕には、帰るべき世界があるから。息子たちの分も生きるために。そして幸せになるために。
 思い出した。それが
 それこそが、僕のささやかで平凡で、大切な願い。

 あれ? 私、どうやって帰ってきたの?
 突如アリソンの胸に疑問が落ちる。ゆっくりと記憶の糸を手繰る。……もどってなんかない。私はあの森で。
 家族が心配そうな顔でアリソンを見る。
 だからアリソンは極力明るく言う。
「戻らないと…まだまだ冒険の途中でやる事があるんだったわ」
「また行っちゃうの? 寂しいよ」
 泣きそうな声であの子がぐずる。そうだ。このこは泣き虫だった。
「あのね、お姉ちゃんは大切なお仕事があるの。それは世界を救うお仕事。そうすることで、あなた達も守れるから」
「やだよ。ずっと一緒にいたい」
 泣き出してしまったあのこの頭を撫でる。
「こういう時は……いってらっしゃいって、見送って頂戴な! ちゃんと帰ってくるから」
 自分の使命をわすれるなんて。このこたちがずっと幸せでいれるように世界は守る。だから。
「いい子でまっていてね!」
 私は、一歩踏み出した。

 これは俺の夢だ。見るはずもない。俺のユメだ。トラオムは気づく。
 理由もわからず故郷は消え去った。それは厳しい現実だ。
 それを飲み込み自分は復讐者となった。
 その瞬間自分は自分のユメをみることを失った。それが現実。
 おにいちゃん。妹が手を伸ばす。■■■■。両親も手を伸ばす。手をとればきっと楽だろう。しかしそれは禁忌だ。
 手をとれば立ち止まってしまう。それはできない。ここにとらわれるわけにはいかないのだ。
 俺が囚われるとしたら、それは俺の剣が目指すその先。
 「またいつか」
 そう、またいつか。その希望は夢ではない。いつかの先に俺は向かう。
 だから幻想を切り裂く。現実という強い意思とともに。
 家族が薄れていく。妹の口がひらいた。「■■■」。ああ、ああ。分かっている。その言葉をいつか本当にするために。

 見えた。見えてしまったのだ。
 鏡に映るのは醜悪な、その頭部。忌まわしき炎のそれ。
「あああああああああああああああ!!」
 喉が張り裂けんばかりにジェームズは叫んだ。内側から燃え上がる黒い黒い衝動!
 悪夢だ。悪夢だ! 悪夢なのだ!
 悪夢を映す鏡を割れば高い音。戻れない。足りない。
 論文をぶちまける。目につくオカルト書を暖炉にぶちこめば、華氏451度の炎が書物を燃やし尽くす。足りない。
 灰かきぼうをやたらめったらに振り回せばカーテンが引き裂かれる。足りない。
 そうだ、あの日のように。もつれる足で玄関のドアを開ける。外は見慣れた路地裏。足りない。
「駄目だ……駄目だ駄目だ駄目だ!! 私は、まだ、私の顔を、取り戻していない!」
 慟哭のようなその叫びは誰もいない路地裏にこだまする。ああ、そうだ。
 ジェームズは部屋に戻り暖炉の炎を手で掴み書類に投げる。火傷なんて知ったことじゃない。もともと熱さには鈍いんだ。燃えつきろ。燃え尽きてしまえ。なにもかも。

「学生生活はたのしいよ、まあなんつうか、飯がさ。こう、なんつうかな。パンでもぱっとでてこれば楽なのに。今日の夢が傑作でさ。ちょっと念じたらパンが生まれるんだ。これ、俺パン屋さんできるんじゃ……」
 言って彼は思い出す。自分に宿ったギフト。パンを手にだすという能力。夢であったように手に力を込めればそこにパンが「在る」
「……は?」
 在る、のだ。そして気づく。夢はこちらであるということに。現実の彼は今《混沌》に召喚されている。
「あ、いや、ごめん、……俺さ、今から行く所があるんだ、だから……一度電話切るぜ」
 受話器をおろそうとしたその向こうで心配される声が小さく届いた。ごめんな。だけどいかないとダメなんだ。
 ここにいても家族に合うことはできない。
「帰ってくるから」
 零は立ち上がる。その目には決意。幻想に戻るという、覚悟。そして小さな勇気を手に。
 生きてここではない、幻想でもない、いつか本当の自分の現実に戻るために。
 彼は玄関のドアをあける。――そう、あの日のように。
「……ったく。なんて良い夢だ」

 いつものゆらゆら。ゆらゆら。なのにどうして? どうして ひとりなのはいつものこと。なのに。悲しい。どうしてこんなふうに胸をしめつけるの?
 ノリアは苦しくなる。だから泳いだ。拙い、まるで泣きじゃくる子供のような泳ぎ。
 広い海のむこうにいきたかった。届くはずもないのに。
 独りが寂しいなんて思ったことなかったはずなのに。ようやくきづいてしまった。
 ローレットの、そしてギルドの喧騒が心地よくて、人がいることが幸せだと、手放せない大切なものがあると知っているから。
 わたしは故郷を裏切っているのだろうか。故郷はわたしを裏切ったのだろうか。
 後ろめたさはある。なのに、どうしてどうして陸が恋しいのだろう。陸にある温かいものが恋しかった。
 だから……帰りたい。ノリアは涙を流し、そう思った。

 空を飛んでいる。
 主人達を斃れた。愛しきここのつは海中に没した。
 残る筈の善良なあのひとたちは森とともに焼き尽くされた。
 黄昏のうみ。青と橙が水平線の向こうでホリゾントを描く。灰色の残骸。
 私だけがそこにいた。

 長きに渡る勅任を終え、凱旋するはずだった友人は小さな棺になっていた。
 遺体は埋葬されない。この寂しい地下に安置されるのだという。
 彼女は主の御許に向かうこともかなわないままこの世界という牢獄に繋がれた。
 そして
 私だけがそこにいた。
 だから否定した。つよく、つよく否定した。
 詩篇と記憶。
 否定した。そうすることしか出来なかったから。

「久し振りだな、Vain」
 案外と優しい声が出た。相手が幻だと知っていたからだろうか。彼に伝えたところで届くこともないことなんて知っている。だけど、彼は自分の神だ。
 これは、タダの通過儀礼。自分への宣言。そして、親愛なる神への誓い。
「俺は使命を果たしに元の世界へ戻るぜ。それだけは伝えておく。仕事仲間にも宜しく言っといてくれ…いや、幻なんだが。一応な」
 笑みが浮かぶ。随分と楽しい夢だ。眼の前の神は頷いた気がした。本物もきっと似たような反応だとも思う。
 だから。
 ――闘争神Vain。どうか、俺の進む道を見守っていてくれ。
 口には出さすにそう願った。度し難いけれど、悪い気分ではない。
「さぁて、起きるか。ひさびさの仕事は楽しかった。最高の気分だ!」


 イレギュラーズはみな、同時に起き上がった。
 少々バツの悪い思いをする面々、気分が良さそうなもの、未だ怒りが収まらないもの。様々だ。
 涙を流すノルニルの瞳は、程なく彼らに倒された。
 
 夢のあとさき。過去と現在、そして未来の邂逅点。
 それは彼らの心に新しくも強い思いを灯した。
 

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 依頼のご参加ありがとうございます。みなさまの素敵な過去、そして未来を描けて嬉しく思います。
 貴方はなにか変わったかもしれませんし変わってないかもしれません。それでも、この先の未来で貴方が向かう先への一筋の光になれたのなら嬉しく思います。

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