PandoraPartyProject

シナリオ詳細

春告げの唄

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●囁くように春を歌う
 この世界には聖女の歌が響いている。
 囁くように歌われるその唄は、この世界へ降り立った特異運命座標の教えを経て希望を歌えるようになる。それは聖女フレアが志していた愛に溢れた歌。
 しかし聖女フレアはまだ幼く未熟。それでもフレアはおうたが好きだからと今日も今日とてこの世界の人々に希望の唄を囁いていたが……

「疲れたわ……」
「聖女様?」

 唐突に呟いたのは聖女フレアの方だった。

「おうたを歌うのはね、楽しい。楽しかったはずなの。……けれど最近、人々の為に歌うの、とっても疲れるの」
「それは聖女らしからぬ発言ではありますが……」

 けれども、とフラダは思う。
 聖女フレアはまだ幼い少女。この聖女の地位に立っていたとしても、彼女がまだ少女と言う事実には変わりはない。そんな少女が聖女と言うこの世界きっての大役を任されているのだ。寧ろこれまでよく頑張ってきたと言えよう。

「では、お祭りを開きましょう」
「お祭り……?」
 フラダの提案にフレアは首を傾げた。
「題して春告げ祭り。この世界の春を告げるお祭りです。聖女様には一番最後だけ歌っては頂きますが、それまでは世界の民が催す屋台等で楽しく過ごされても良いですよ」
 これまで頑張ってきたご褒美です。そうフラダが告げると、フレアは一気に目を輝かせた。
「ほんと?! じゃあ……お祭り、するー!」

 こうして春告げ祭りの準備が始まった。




「今日はあの眠らせ姫だった聖女様の世界で、新しいお祭り春を告げ祭を盛り上げるお仕事よ」
 そう本を開きながら告げるのは境界案内人、『ホライゾンシーカー』ポルックス・ジェミニ。
「祭りは一日を通して行われるみたいね、朝に献花台に聖女様への花を添えて、昼にその世界の人々が屋台を開いたり、夜は日頃聖女への感謝を込めて世界の人々がパフォーマンスを披露し合ったりして。その最後に聖女様の春を告げる唄が披露されるって言う流れになるみたい」
 一日を通してお祭りが開かれるなんて、幼くても流石聖女様ね! と、ポルックスは笑顔を見せる。

「そんなお祭りを特異運命座標の皆には是非とも盛り上げて欲しいの! ああ、難しく考えないで、あなたが楽しめばそれもまた盛り上がりの一つなのよ!」
 お祭りは皆が楽しむ事が一番の盛り上がりの要素になる。まずは自分自身が楽しい事をしたらいいと思うとポルックスは告げる。
「あ、だからと言って乱暴な事はしちゃダメよ? 悪い事したら、あの聖女に使えている使用人フラダさんに怒られちゃうんだから!」

 そう一通り説明を終えたポルックスは、特異運命座標を本へと見送った。

NMコメント

月熾と言います。初ラリーです。
今回はお祭りワイワイな感じが書けたらと思います。

●関連ライトノベル『眠りの唄』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/2708
※読まなくても楽しめる内容になっています。

●依頼内容
『春告げ祭』を盛り上げる、楽しむ

●詳細
一章:朝『献花台に花を添える』
この世界の森には様々な花が咲いています。
ので、どんな花でも献花する事が出来るでしょう。
ここではフレアとフラダ、両者とお話が出来ます。

二章:昼『屋台を廻る』
この世界の住民の皆さんが様々な屋台を開きます。それはもう色々ですので「この屋台でこれを食べた!」等ご自由に。

※迷った際のこの世界の傾向
この世界では的当てや輪投げなど遊びものが人気のようです。
食べ物は綿あめが人気で、様々な形のカラフルな綿あめのようです。

ここではフレアとお話が出来ます。
フラダは夜の準備で忙しくしています。

三章:夜『パフォーマンスを披露する』
または他の人のパフォーマンスを見る
聖女の唄を聴く

ここではフレアとフラダ、両者と直接お話は出来ませんが
遠くから見かける事はあるかもしれません。

●世界観
前回は森と岩に囲まれた遺跡に聖女と使用人が二人だけでしたが
あれから使用人の数が増えたようです。

靴という概念がなく両名とも裸足で歩いている。
聖女の唄は常に世界に響いている為
子どもの姿に変わる事は避ける事ができません。

今回のお祭りは朝に遺跡の中にある献花台
昼と夜に遺跡の前にある広場を使用して行われるようです。

●NPCについて
聖女フレア。十歳。
おうたが好きな聖女様。
幼いが故に未熟でまだまだ使命や決まり事には疎い様子。
露出度の低い踊り子衣装のようなヒラヒラの衣装。

フラダ。老人。
長年聖女の一族に仕えてきた使用人。
厳しい場面が多いが聖女思い。

●ラリーシナリオについて
・各章5~10名前後の執筆予定です。
募集中人数が上記を上回っても、次章に移るまでは積極的に執筆していきますので、お気軽にご参加下さい!

・途中章からの参加も歓迎です。

・一人一節、個々での描写予定です。
基本ソロになりますので、同行者がいる方は【】やID等記載してください。
フレア、フラダ等のシナリオNPCとの交流の際もご記載下さい。



それではご参加、お待ちしております。

  • 春告げの唄完了
  • NM名月熾
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月22日 17時25分
  • 章数3章
  • 総採用数11人
  • 参加費50RC

第3章

第3章 第1節

 時刻は夜を廻る。
 人々は特設ステージに集まり、そのパフォーマンスを披露するも者、見る者様々な人で更なる賑わいを見せる。
「聖女様、充分に楽しめましたかな?」
「うん! 皆ね、とーっても優しくて、とっても楽しかったわ!」
「それは結構な事です。……なれば、聖女様もちゃんとお仕事を致しましょう、最後を飾るのはいつだって聖女様です。皆の期待を見て下さい」
「わぁ……」
 フラダに言われてステージの影から見えるのはたくさんの人々。ああ、こんなに多くの人々がこの地に集まっているんだ! フレアはそう嬉しさが溢れて。
「まぁ聖女様の出番はまだ先、それまでは皆がステージを温めてくれる事でしょう……聖女様もこのステージの影からならご覧になられては?」
「勿論よ! 今から皆のパフォーマンス、楽しみね!」
 フラダの言葉にフレアは心の底からワクワクしている様子で笑っていた。


第3章 第2節

アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
夏川・初季(p3p007835)
星さがし
ソロア・ズヌシェカ(p3p008060)
豊穣の空


 宴の夜。それはフィナーレへ向かう予兆。
 遺跡の近くに設置された特設ステージでの数々のパフォーマンスに、この国の民も大いに盛り上がっていた。歌は勿論、ダンスや曲芸、手品……それは人の数だけ盛り上がりを見せる。
「……此処に足を運んで良かった」
 そんなステージのパフォーマンスを見て、そう呟いていたのはアリシア・アンジェ・ネイリヴォーム。そのままボーッとアリシアがパフォーマンスを見ていれば、ふとステージ側からスタッフ達と目が合って。
「お嬢さん! ステージに上がって歌わないか?」
「えぇ?」
 駆け寄ってきたそのスタッフに彼女はそうステージへ誘われる。
「私は何も歌えないわよ?」
「大丈夫大丈夫! ここは大会とかじゃない、皆が楽しめば上手いも下手も関係ないのさ!」
「……聖女様程歌に能力は無いけど、それでも宜しければ」
 アリシアは困惑しながらもスタッフからの強い推しに渋々ステージへ上がる。

 謳うは『とある聖女と吸血鬼の祈りを込めた希望詩』。彼女は独唱で、されど聴いている皆様の心に小さな希望の炎を灯せる様に丁寧に。そう思いを込めて謳う。
 アリシアの詩に人々は大きな拍手を贈る。聖女とはまた違った希望の詩、きっとこの国の民にも深く深く届いているはずだ。




「いよいよステージの時間ですね! 何かパフォーマンスを披露すればいいのでしょうか。ええと……どうしましょう……?」
 悩ましげにウンウン唸っているのは夏川・初季。パフォーマンス、パフォーマンス……と考えて、近くに備え付けてあった鏡に映る自分を見て漸く決めた。
「今の私に出来る事といえば魔術です! なのでこう、魔術で何か出来ればと思うのですが……」
 よし、やってみよう! と初季はステージへ駆け上がる。
「……そう例えば、魔力放出を上空に放ち、誰も傷つけないように放ってみましょう!」
 魔力の花火が夜空に上がればそれなりに映えると思いますよ。彼女はそう空へ杖を掲げ魔力を集中させ……解き放つ。
 すると夜空に火の華が鮮やかに咲き誇る。
「ふふ! 大成功、ですね!」
 そんな夜空の華に初季はこっそり腕をグッと握って成功を喜んだ。

「……そろそろフレアさんの出番ですかね」
 一通りパフォーマンスを終えたステージは次の大きなステージの準備に取り掛かっていた。
「前に聞いた時も素敵でしたが、もっと歌声がのびのびとしていると思います」
 聖女はどれ程の成長を遂げているだろう。あれからまだ少ししか経っていないが初季は聖女の成長に心から期待を寄せていた。




「……パフォーマンス、フレアさん以外の参加も受け付けてたのか」
 ……勉強以外はあまりわからないからな、こういうときはちょっと寂しいな。そう少し寂しそうに俯くのはソロア・ズヌシェカ。
「しかし、だ。やることはできなくても、楽しむことは全力でできるぞ!」
 切り替えも早い彼女はどの席が空いてるか、探検するかように席の列を覗く。
 キョロキョロと歩き回るソロアの様子はまるで迷い子と間違えられかねないが、漸くしっくり来そうな席を見つけられたらしくその席へ嬉々として駆け寄る。
「やっぱり見るなら最前列だな!」
 ソロアはその席へどさりと座り込んで、その時をジッと待つ。どんな歌なのだろう……それは期待が膨らむばかり。




「今日のお祭り、皆は楽しめましたか? 皆が楽しんでくれたなら……この唄もきっと春を告げてくれるわ」
 ステージに立つ聖女フレアはもう、少し前の彼女とは別人のようで。それは聖女の如くの言葉、唄……けれど心は童心を失ってはいない。
「私の唄を聴いて……春はすぐそこまで来ているのだから……!」
 吐息混じりのその成に似合わぬ透き通った声が唄になる。フレアは歌がやっぱり好きだ。そして……皆で歌う唄が好きだ。今日この日、彼女は改めてそう思った。
「フレアさんも日々頑張っているのですね
私ももっと頑張ろう、って思えます」
 静かに聞いていた初季は、そう呟きながらその唄に聴きいる。
「今日は遊びに来る事が出来て良かったです。……本当に楽しかった」
 あの少女のような聖女が、ここまで成長を遂げた姿に初季は感動のため息を着く。

「今日は一日楽しかったなー」
 聖女のステージに聴き入りながらソロアもいろいろと思い出す。花言葉を教えてくれた少女が聖女様で、こんなに素敵な唄も歌えて……すごいな、すごいな! と目をキラキラと輝かせながら。



成否

成功


第3章 第3節


 ──ああ、お祭りの時間はなんと短いものなのだろう。
「……フラダ」
「なんですかな、聖女様」
「皆で歌うって、素敵ね」
「左様ですな」
 静まり返るステージを見つめる二つの影。それはフレアとフラダ。
「また、お祭り……出来るかな?」
「……聖女様の頑張り次第でありますな。お祭りと言うものは、人々が聖女様への感謝の気持ちを込めた行事なのです」
「……じゃあ、じゃあ頑張るわ! もっとたくさん歌って……たくさんの人々と唄を歌いたいから……!」
 そうして聖女フレアはまた一つ成長を遂げたのだ。



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