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シナリオ詳細

ゴブリンを一番スタイリッシュにヤッた人が優勝の依頼

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ゴブリンを一番スタイリッシュにヤッた人が優勝の依頼だよ?
「「俺たちはゴツゴウゴブリン!」」
 肌色グリーンの小柄な亜人系モンスターが『逆に希少だろ』ってくらいでこぼこした木の棍棒をほぼ無意味に頭の高さへ掲げたままがに股姿勢で整列していた。
 ご想像いただけましたでしょうか?
「そう、俺たちは都合良く現れ都合良く倒されることに快楽すら覚えるモンスター。魂のドMよ!」
 この辺のリクツは決して覚えていただく必要はないのですがあえて根拠とするために説明させていただきましょう。一行で説明するから読み飛ばしてね。
 混沌世界、とくに幻想王国近辺によく出没するゴツゴウゴブリンは亜人系モンスターの一種である。形状や生態系からしてきわめて一般的なゴブリン性をもつが、彼らはなんかの呪いだか加護だか祝福だかを受けており、都合良く倒されることに本能的幸福を得るようにできているという。マジで都合がいいので人間からゴツゴウゴブリンと呼ばれしかもその名称を自ら受け入れちゃっているくらい都合の良い存在である。
 説明おわり。
 今日の依頼はこのゴブリンをスタイリッシュに倒すことでござる。

●スタイリッシュに依頼して
 ローレットを追い続ける王都在住の記者『ペンシル』。
 ギルド・ローレットが各国に顔見せし始めていた頃からのファンで、二十歳と同時に上京し王都の雑誌記者として働いている。
「こんかいはそんなペンシルさんが写真記事の素材を手に入れたいということで今回の依頼をしてきた次第なのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はそんな風に語ってペンシルを紹介した。
 ペンシルが依頼してきたのはユリーカが述べたそのまま、ローレットの記事素材を手に入れるためのものなのだが……変に意識してしまっては本質を見失うので、あくまでテーマを据えて、依頼の形式をとったという。
 その具体的な依頼内容というのが。
「『ゴブリンをスタイリッシュに倒してください』というものです」

 先ほども説明したゴツゴウゴブリン。
 今回の依頼の気配を察したのか都合良く幻想の田舎町にあるひっろーい牧場の一角へ急に群れで現れたらしい。
 これと戦い、最もスタイリッシュに倒した者が優勝である。
 優勝ったら優勝である。その誉れをトロフィーとしていただきたい。
「皆さんが日頃見せてるカッコイイところを発揮すればオッケーなのです! よろしくお願いします!」

GMコメント

こちらはごぶりんをすたいりっしゅにたおすしなりおです

この一行で説明はほぼ済むのですが、プレイングというか演出のために細部までご説明いたしましょう

・ゴツゴウゴブリン
 皆さんが秒で想像できるアレですアレ。実際ゴブリンの基本形というか原型って全然違うものらしいんですがアレでいいですアレで。
 全員棍棒を装備したまーに弓とか石とか武器にするらしいです。都合良く。
 基本は身長1mくらいのやつなんですがたまに都合良く2mくらいのでかいやつがいるって聞きました。

 数はいっぱいいます。いっぱい。
 だからって一生懸命『範囲に巻き込めるなら範囲攻撃で』とか書かなくて大丈夫なんでホント。いつものカッコイイやつ出してください。効率とかこの際なんでもいいんで。

 普段は山羊をこっそり持ち出したり倉庫の食べ物を盗んだりするって話です。ここは要らない情報なので忘れてください。

 なお、一応それなりの戦闘にはなるのでパンドラが減ったり減らなかったりします。都合良く。

・牧場
 あのすげー広い草原みたいなのあるじゃないですか。森とかに面してて、申し訳程度に柵とかある。ああいう場所ですああいう。
 民間人? 留守ですね都合良く。

  • ゴブリンを一番スタイリッシュにヤッた人が優勝の依頼完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年04月05日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
橘花 芽衣(p3p007119)
鈍き鋼拳
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
スレイ・クラウン(p3p008089)

リプレイ

●ごつごうごぶりん……?
 拳を鳴らし、農場へと立つ『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)。
 ジャケットの前ボタンだけを外すと、吹き抜ける土の香りを深呼吸した。
「だいぶ変わった仕事だが……俺がやることは変わらねぇ。要は、ゴブリンとやらをぶん殴って振り回せばいいってことだな」
「そっ、できるだけスタイリッシュにね!」
 『エアーコンバット』ティスル ティル(p3p006151)は腕輪形態にしていた流体金属を剣形態へと変形。刃の表面を指でスッとなぞると、青と赤のスパークがあとを引いた。
「ふふん、こういうことなら任せて!
 これでも私は踊り子なのです。華麗に舞って見せましょう!」
「そう、私もお気に入りのナイフで……と思ったんですけどね」
 『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)はギターケースめいたナイフホルダーを肩から下ろすと、紫の手袋をはめ顔を半分隠した。
「今日の私は、こっちですよ!」
 開いた指の間から目を見開き、水色の光を煌めかせる。
「私の恋人から直々に教えてもらった魔眼……スーディヴィライ(Pseudo-evil eye)。
 視線に魔力を籠めて、見つめた先に光の柱を迸らせる攻撃魔眼術です!」

 『鈍き鋼拳』橘花 芽衣(p3p007119)は鉄機鋼外殻(ヘカトンケイル)を転送。装着すると、両腕の拳をがんがんと打ち合わせた。
「ごつごうごぶりん? 変な魔物だな……まぁ、魔物は魔物だし、これで少しでも被害が減るなら全力でやらせてもらうよ!」
「……」
 被っていたゴーグルをあげ、鞘から剣を抜くスレイ・クラウン(p3p008089)。
(今回がイレギュラーズとしての初依頼……気を引き締めて……)
 ちらりと見ると、こっちを物陰からこっちをじっと見つめるゴブリンの集団がうっかり見えた。
(気を引き締めて……)
 隙をうかがっているのかと思った矢先、ゴブリンの集団ががに股でじゃかじゃかかけだした後、全員一斉に棍棒を振り上げてこっちをバッて振り向いた。
「我らはゴツゴウゴブリン!」
「ここがお前達の墓場となるのだ!」
「ギギギー!」
 よく見るとみんなの立ってる場所がバミってあった。この動き、相当練習したらしい。「え……なに……」
 思わず身構えたスレイが次の動きに迷っていると、『極夜』ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)が腕組みしたまま物陰にスゥっと隠れていった。
(スタイリッシュねぇ……スタイリッシュにしようと思った時点でそれはもうスタイリッシュじゃないというか……スタイリッシュってなんだっけ?)
 かわりに。
「そこまでだゴブリン!」
「「なにやつ!!」」
 倉庫の屋根から『脚癖が悪い暴風バーテンダー』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)が声を張る。
 都合良く一斉に見上げるゴブリン。
「フフフ……我が名はモカ・ビアンキーニ!」
 トゥ! と屋根から跳躍。
 宙返りをかけて着地。
「『脚癖が悪い暴風バーテンダー』と人は呼ぶ!」
 身体を起こし、片足を上げた姿勢でポーズをとった。
「悪辣非道なゴブリンども、覚悟しろ!」
「ぬかせ!」
「こしゃくな!」
 もっかい棍棒を掲げなおし、ゴブリンたちが一旦ダマになってせーので襲いかかる準備をした。
 よっしゃと言いながらカメラを構える記者のペンシル。そうだそういえばこれ、雑誌取材だった。

●スタイリッシュバトル
 助走をつけてジャンプするゴブリンたち。
 対して一斉に走り出す義弘たちイレギュラーズ。
 義弘はその先陣を切って突入すると、ジャンプしたゴブリンの足を掴んでスイング。
 残る空中のゴブリンたちをたたき落とすと、掴んだゴブリンを一回転の勢いをつけてぶん投げた。
 後続のゴブリンがドミノ倒しになったところで、芽衣がドロップキックによる追撃でエントリー。
「スタイリッシュはわかんないけど……いつも通りでいいよね!」
 芽衣はヘカトンケイルの腰部や背部から蒸気を噴き出すと、円形に取り囲んだゴブリンたちの一斉攻撃を自らの鎧装で受けた。
 両腕をだらんとぶらさげた、まるでリラックスしたような姿勢の彼女に四方八方から棍棒が叩きつけられ肩や頭のまわりで交差する。
 打撃によるぐらつきが起きないことにハッとしたゴブリンたち相手に、芽衣は両腕から炎を発しながら大回転。
 ゴブリン立ちがまとめて吹き飛ばされる。
 空中で身をひねり着地――しようとしたゴブリンの背中をタイミングよく義弘の拳がとらえた。
「――吹っ飛べ」
 要領としてはトスアンドシュート。拳から肩、そして腰までの動きで一度クッションして勢いを殺すと、もう一方の腕と足のふりで力を伝えてゴブリンを『発射』する動きでアル。
 グゲェという悲鳴をあげて飛んだゴブリンが別のゴブリンに激突し、そのままもつれ合って飛んでいく。
 ゴブリンたちはさっきまであんなに流ちょうに喋ってたにもかかわらず『ギャギャ!』と叫んで立ち上がり、ギャッギャいいながら互いに調子をあわせると群れになって突撃をかけた。
 ……が、そんな彼らの間にハンドポケットのリラックスした姿勢で割り込むモカ。
 まるで散歩中のようなのんびりとした姿勢に、ゴブリンたちは侮ったように一斉に飛びかかる。
 頭部を狙った棍棒の打撃――が繰り出される直前。黒い風がゴブリンをさらった。
 否。モカの繰り出した高い後ろ回し蹴りがゴブリンの側頭部をとらえ、まるで空をなぎ払うようにゴブリンを蹴り飛ばしていく。
 横回転しながら飛んでいくゴブリン。
 その様子を近くで目の当たりにしたゴブリンが驚きに目を見開くそのさなか、モカは靴のかかとをキュっとならしてターンアンドダッシュ。
 ゴブリンたちの間をジグザグに駆け抜けると全てのゴブリンに靴跡を残していった。
 最後の一体を踏みつけにし、フウと息をつく。ここまでハンドポケット姿勢のままである。
「こんなところか……あとは頼んだ」
「まっかせて!」
 背後から飛びかかろうとするゴブリン――を今度こそかっさらっていくティスル。
 上空から垂直落下し剣でゴブリンの肩から胸にかけてを貫くと、骨をフックでひっかけたかのようにそのまま上空へと攫っていく。
 まるで鷹の狩りそのものである。
 空中でもがきあばれるゴブリンから剣を引き抜きそのまま転落させるティスル。
「ゴブリンをスタイリッシュに! カッコよく! 倒す!
 スピード型剣士の良いところ、キッチリ見せてあげる!」
 次なる獲物にめをつけターン。
 スプリットS・マニューバで素早く低空飛行状態にうつると、咄嗟に構えたゴブリンめがけて突撃。剣を素早く腕輪状態にすると、高電力を纏って殴りつけた。たまたま金属の鎧を纏っていたゴブリンの腹に、アーク溶接さながらの火花が散り、そして鎧が打ち抜かれた。
 腹をなぐられたのと同じ姿勢になったゴブリンをそのままの勢いで『撥ね』る。ティスルの上を回転しながら飛び、地面をバウンドするゴブリン。
 転がった先にあった倉庫の前。
 沙月は堂々と姿を見せると花模様の大扇子を広げた。
 ギャギャッと叫んで身構えるゴブリンたち。
 警戒する彼らをまるで挑発するように、沙月はゆるやかに舞を披露し始めた。
 戦いをまるで意識していないような舞の様子に、ゴブリンたちは歯を見せて怒った。
 沙月を四方から取り囲み、棍棒を両手でしっかりと握りこむ。
 そして背後からまず攻撃。不意を打たれたところで残る三匹が次々にとりつき引き倒す作戦である。
 が、沙月はそうなることがあらかじめ分かっていたかのように扇子を後方へ投げると、思わず防御したゴブリンめがけてコンパクトな反転からの掌底を放った。
 掌底の反動でスピン。時間差で飛びかかってしまっていたゴブリンたちをそれぞれ視界にとらえると、それぞれの隙をついて手刀を打ち込んだ。
 足、腰、首、姿勢を維持できぬように一発ずつ打撃を与えると、ゴブリンたちはまるで糸でも巻いてあったかのように回転。目を回して地面へと落ちた。
「相手が戦う姿勢をとっていないからといって侮ること。この世界では命取りになりますよ」
 ゴブリンのうち一匹が起き上がり、近くにあった腰から石のナイフを取り出して装備する。ナイフといっても鉛筆を削るような小さなものだ。それでも突き刺さったら怪我は免れない。
「…………」
 ここは私が、という目で間に入るスレイ。
 コンバットナイフを手に取ると、逆手に握って低く構えた。
 両者構え、同時に走る。
 ゴブリンの繰り出したナイフをスレイは逆手持ちのナイフで曲線を描くようにして払い、その反動とセットにするようにゴブリンの胸を蹴りつける。
 よろめいたところにナイフを握った拳で二度ほど殴りつけ、完全に転倒したところを踏みつけにした。
(そうだった、スタイリッシュするんだった……)
 トドメをさそうとして飛び退き、スレイは再び構える。すると、四方をゴブリンが取り囲み舌をだして棍棒を構えていた。そういう訓練でも受けたのかってくらい醜悪さがサマになっていた。
 急に違う話するけど、世界的にも有名なお化け屋敷のゾンビはゾンビ訓練を受けているのでノーメイクでもクソ怖いらしいよ。
 さておき。
 次々と襲いかかるゴブリンをナイフでさばきはじめるスレイ。
 流石に数が多すぎるか……と思われた矢先、ペッカートのファントムチェイサーがゴブリンの後頭部を粉砕した。
「おっと、当たり所が悪すぎたな? いや、悪かったのは運か?」
 下顎から上がなくなったゴブリンを見下ろし、ペッカートは手のひらをかざす。
 攻撃のため……ではない。反撃に飛びかかってきたゴブリンを魔力障壁によって打ち払うためである。
(自分の技を華麗にドンパチ魅せるのもいいがサボっているように見えて仕事はきっちりこなす。縁の下の力持ち……そういうのもスタイリッシュだと思うがな。沈黙のかっこよさっていうのか?)
 ペッカートは魔力の刃を作り出すと障壁で払ったゴブリンを滅多斬りにし始める。
 一通りの戦いが進んだところで、ウィズィニャラァムはゴブリンたちを前に魔眼の構えをとった。
(魔術の基礎なんてない私だったけれど、
 習ったその日に上手くいったのを、あの子は凄く褒めてくれた。
 でも、すぐに上手くいったのは、きっと……あの子をいつも、ずっと見つめてたから、
 想いを視線に乗せる術を、自然とあの子から教わってたからなんだ)
 左手で左の目を隠し、
 右腕は大切な人を抱くように我が身を抱いて、
 右目だけで敵の群れを見る。
 練習したやり方である。
「喰らえ、私の――恋の魔眼!!」
 見開いた目から放たれた光が力となり、ゴブリンたちが次々に血を吹いて倒れていく。
 中には腕や肩を破裂させ崩れ落ちるものもあった。
「私は、誰にも負けない! あの子を想う心が生んだ、最強の眼だ!!」

 都合良くあとから現れる大型ゴブリン。
 ゴブリン一人分くらいのデカい棍棒を肩に担ぎ、首をごきりと鳴らして義弘をにらみつけた。
 対する義弘は大型ゴブリンへと振り返り、強い眼光でぎろりとにらみ返す。
 と、胸に手を当て早脱ぎによって背中の桜吹雪を見せつけた。
 両者、にらみ合ったまま前進。
 そして繰り出す棍棒――を左腕で受け、義弘は渾身の右ストレートをゴブリンの顔面へとたたき込んだ。
 その一方では、別の大型ゴブリンがペッカートの繰り出す悪意の刃群をゴリ押しで突破。ペッカートの首へと手を伸ばす。
 障壁が破られ、手が首に掛かった……ところで、ペッカートはにやりと笑った。
「闇がおまえを蝕むのが早いか、俺の首が取られるのが早いか。どちらの血が流れるか楽しみだな」
 ペッカートから流れ込んだ闇の力がゴブリンの肉体をむしばみ、ゴブリンは目や耳から血を吹き出した。
「では、あなたの相手は私が……」
 もう一体の大型ゴブリン。
 これには沙月が両手をだらんと下げた姿勢で頭を垂れた。
 大きな剣を手に取り、突進をしかけるゴブリン。
 対する沙月は相手の攻撃をもろにうけ――たかに見せて、肩にさりげなくかざした『手のひら』だけで剣の刃を受け止めていた。
 指で剣をつかむ。万力で固定したかのように動かなくなった剣にゴブリンが驚くのもつかの間、沙月の手のひらがゴブリンの胸元へと当てられた。
 さらりとなでた、だけのように見える。
 しかしゴブリンの胸から肩にかけてがいびつに膨らんで破裂し、白目を剥いて崩れ落ちていく。
「あっちは大型の相手かあ。じゃあ私は……ハッ!」
 ティスルはすぐ後ろに追尾してくる飛行物体を感知して振り返った。
 凧に忍者めいて手足を突っ張った飛行ゴブリンである。
「えっ飛ぶの!? ゴブリンって飛ぶの!?」
「ギャギャー!」
 ゴブリンは器用に体当たりを仕掛けてくるが、ティスルはそれを形態変化した剣で防御。
 凧の側面がぎゃりぎゃりと火花を散らす。
 そんな彼女を四方から取り囲むゴブリンたち。
「こうなったら……」
 ティスルは剣を大きく振り、そして天にかざした。
 ドンという破裂音。空にはじける色花火。
 つぎつぎと墜落してくるゴブリンたち。
 芽衣とスレイは身構え、また別のゴブリン集団と戦っていた。
 炎のダブルラリアットによってゴブリンを蹴散らす芽衣とナイフ術によって対抗するスレイ。
 流石の数に二人はだいぶ苦戦しているよづあったが、スレイはゴブリンの一人を剣で貫き、ちらりとウィズィニャラァムを見やった。
 深呼吸をして、手を顔からはずすウィズィニャラァム。
(両腕で、あの子を抱き寄せるイメージで……)
「二人でなら、何処までも行けるって! あのとき約束したからね!!」
 ウィズィニャラァムはカッと両目を見開くと、ゴブリンたちめがけて魔眼の力を解き放った。
 ばちばちとはじける呪力の火花。ゴブリンたちだけが残らず吹き飛んでいく。
「……やった、成功っ!!」
(イーリン、イーリン、イーリン!! 私の恋は、止まらないから!!)

「ギギギ……」
 棍棒を落とし、地面に倒れたゴブリン。
 モカはそんな彼のもとへと歩み寄ると、攻撃をせずに足を止めた。
「私はあなたたちを殺したいわけじゃない。
 もう人間に危害や迷惑をしないよう改心してほしいだけなのだ」
「……」
 ゴブリンはハッとして、膝をついて頭をさげた。
 と見せかけて背に隠してた小さなナイフを素早く繰り出す。
 だがしかし、それを読んでいたモカは二本の指でナイフを止めていた。
「居場所に帰るのだ。あなたたちにも家族がいるだろう」
 自分のはるか上の存在であると察したゴブリンは今度こそ両手と額を地に着け、モカに平服したのであった。

 ――かくして!
 イレギュラーズを題材にした写真記事はいいかんじの人気を収めることになった。
 雑誌は今日も、幻想の街に販売されているという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――任務完了

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