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シナリオ詳細

クソザコ美少女とアリさんダンジョン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アリとクソザコ美少女
 フィートアンツダンジョンを知っているだろうか。
 その名の通り30センチほどのアリによって作られた巣である。
 主に岩山をくりぬく形で作られ、いくつにも分岐するさまから巣窟系ダンジョンのひとつに数えられている。
 また、駆除しては増え駆除しては増えを繰り返すことから新米冒険者にうってつけのハードルとしても知られていた。
「そんなダンジョンについに挑む……わたくし!」
 椅子に足を乗っけて、依頼書を高らかに翳す謎の仮面美少女がいた。
 仮面美少女っていうか『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)だった。
 ここはギルド・ローレット。
 イレギュラーズたちの視線を浴びて、クソザコ美少女は上機嫌だった。
 掲げた依頼書をわっさわっさ振り始める。
「デビューが恐ろしきモンスターの巣窟だなんて、なーんて勇敢なのかしら。わたくし、さすが! 自分に惚れ惚れしちゃう。あらやだ鏡に映ってる美少女だれかしら!? そう、わたくし!」
 横ピースでウィンクするクソザコ美少女。一人でどこまでもテンションが上がっていきそうだったので依頼書をピッと取り上げると、涙目になって宙を掻いた。
「ああっ! やめて返して! おねがいちゃんとやるからぁ! わたくしちゃんとやるからぁ!」
 返してみる。
「オーッホッホッホ! わたくし最強伝説の始まりですわね! 著者、わたくし!」
 取り上げてみる。
「いやぁああ! かえして! おしごとさせてぇ! ほかにできるお仕事ないのぉ! わたくし何にも出来ないクソザコなのぉ!」
 この愉快なクソザコ美少女が、今回の仲間だという。

●無能な同行者
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)は依頼書をとりあげたまま、涙目で『かえしてーかえしてー』と宙を掻くクソザコ美少女を見下ろしていた。ちらりと周りのイレギュラーズたちを見やる。
「知ってのとおり、この依頼はダンジョン探索。
 ローレットは過去にもフィートアンツの巣を駆除した経験があるからね、その実績からまた同じ依頼が来たってわけさ。
 場所は違うし巣の構造も異なるけど、要領は一緒だよ。
 途中に遭遇するモンスター。所々に仕掛けられた毒の罠。暗い穴を突き進み、最後は女王との対決……って具合さ。
 まあ、心配事があるとすれば……」
 もう一度クソザコ美少女を見下ろした。
 『おねがいぃ、おねがいよぉ』と言いながらその場にへたり込んでいた。ガチ泣きしていた。
「お父様に立派な冒険者になるまでお家に帰らないって約束しちゃったのぉ。お金は底を突くしメイドは雇えないし、依頼が受けられなきゃわたくしおしまいよぉ!」
 見てると哀れになってくるが、依頼書をサッと渡してやるとこの通り。
「フ、オホホ、オーッホッホッホッホ! わたくしにかかればこんなダンジョン、イチコロですわ! ザ・グレイテスト余裕! オーッホッホッホ!」
 ショウは全員をもう一度見ると、こっくりと頷いて見せた。
「……頑張ってね!」

GMコメント

【依頼内容】
 『フィートアンツの駆除』が依頼内容です。
 新たに巣ができ、土地を納めている貴族が流れるようにローレットへ依頼を出しました。

・表の成功条件は『女王の撃破』。
 ダンジョン最奥に住まう女王と戦い、撃破すれば最低成功条件が満たされます。

・裏の成功条件は『クソザコ美少女に依頼を完遂させること』。
 びっくりするほど弱いクソザコ美少女が重傷を負ったりすることなくスムーズに依頼の経験値をゲットさせることができれば、それがイレギュラーズたちの経験となります。
 これはダンジョン探索と同時進行するクソザコ育成ゲームなのです。

【フィートアンツダンジョン】
・分岐するルート
 いくつも分岐する岩穴です。
 進行中頻繁に『フィートアンツ』が出現し、
 分岐のルートを間違うと戦闘回数が増えてしまいます。
 スキルによる補正もさることながら、プレイングによる工夫によって正答率を上げ無駄な戦闘を減らしましょう。

・毒の罠
 ダンジョン内にはアンツ以外に反応する毒の罠が仕掛けられています。
 罠が発動してしまうと味方全員に『小ダメージ+【毒】』がかかってしまいます。
 スキルやプレイングによって罠の発動率を下げることができます。

【エネミー】
・フィートアンツ
 複数形なのは群れで出てくるからなのです。
 『かじりつく(至近/物理/単体)』で攻撃してきます。
 個体の能力は低いので、皆で力を合わせればばったばったと倒していけるのですが、とにかく数が無限かなってくらいに沸いてくるので休憩する暇がありません。
 APを節約すると最後の最後で楽になれます。

・フィートアンツの女王
 このモンスターを倒すことが依頼成功条件となります。
 初期からフィートアンツ5体を周囲に陣取らせており、毎ターン追加で呼び寄せます。
 一部のフィートアンツは女王に主行動の『かばう』を適用して盾になるため、まずはこちらから排除する必要があります。
 女王の能力値は他のフィートアンツよりちょっと高い程度です。

 女王撃破後は絶望して逃げ惑うフィートアンツを適当に狩りながら洞窟を脱出しましょう。
 ※ペース配分に余裕があれば脱出パートはカットされることがあります。

【クソザコ美少女】
 このシナリオには『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)がイレギュラーズ仲間として参加しています。
 NPCページ: https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3n000015
 彼女はびっくりするほど貧弱で、頭が悪く、貧乏です。
 具体的にはファンブル値が恐ろしく高いので大抵の判定をミスします。
 志が高いのにメンタルがクソザコなのでプレッシャーをかけられすぎると最悪嘔吐します。
 記憶力や計算力も低く、覚えたことを端から忘れたり一桁の計算を間違えたりします。
 そんなクソザコ美少女を力強く引っ張っていくことができれば、それは皆さんの立派な経験となるでしょう。

 今回の装備はノービスナックルとノービスクロース。
 クラスは妄想家。
 スキルは格闘(クソザコパンチ)と蹴戦(クソザコキック)です。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • クソザコ美少女とアリさんダンジョン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月25日 22時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Suvia=Westbury(p3p000114)
子連れ紅茶マイスター
マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)
緋色の鉄槌
白神 揺(p3p000473)
特異運命座標
逢魔ヶ時 狂介(p3p000539)
きぐるいドラゴン
真白 純白(p3p001691)
特異運命座標
シュリエ(p3p004298)
リグレットドール
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
鳴神 香澄(p3p004822)
巫女見習い

リプレイ

●冒険の入り口
 岩山にぽっかりとあいた穴。
 まるで何かを誘うように開いたそれに入るには、相応の準備と覚悟がいるだろう。
 なぜなら……。
「巨大な蟻と罠だらけのダンジョン、ですか」
 『巫女見習い』鳴神 香澄(p3p004822)は改めて気を引き締めると、装備品の杖をしっかりと握りしめた。
 文字通りモンスターの巣窟に入るのである。香澄の知っている色々な物語で考えても、緊張する場面だ。
 そんな彼女の隣で、『年中ティータイム』Suvia=Westbury(p3p000114)が素足の指で土をにぎにぎとやっていた。
「アリさん退治、頑張りましょうね」
 Suviaはぐっと片腕でガッツポーズをとり『茶葉を買うお金を稼ぐために!』と変わったベクトルで気合いを入れた。
「そうですよね、団長!」
「だ、だんちょう!?」
 急に振り返ると、『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)がびっくりしてのけぞった。落ちそうになった仮面を慌てて押さえる。
「応援団長です」
「おうえんだんちょう」
 いまいちピンときていないクソザコ美少女に、『装紅者』マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)は顔の端から不安を滲ませた。
 が、一緒に依頼を受けたからには逃げ去ることはできない。なれば、クソザコが同行していようが成功させねばならない。
 ぽんと肩を叩き、マグナは言った。
「アンタは確かに戦闘じゃクソザコかもしれねぇ。だが、アンタにはアンタにしかない力がある。アンタ、良家の出なんじゃねえか? ……そうか、やっぱりな」
「えっわたくしまだなにも」
「アンタには、ただそこにいるだけで味方の士気を上げる力、カリスマってやつがある」
 言葉をかぶせるように言ってやると、クソザコ美少女『かりしゅま』と表情を変えた。
「で、でもわたくしぃ……」
 もう片方の肩をぽんと叩く『演劇ユニット』Tricky・Stars(p3p004734)。
「ステータスなど気にするな! どんなに優れた戦士も、始めは皆ザコなんだ」
 すごいこと言うなという目をさらっとスルーして、Tricky Starsは頷いた。
「自分を信じぬ者に明日はやって来ないぞ」
「だから、アンタにはこの役目を任せたい」
 マグナがそっと取り出したタスキには『応援団長』と書かれていた。
「しっ、しかたありませんわね! わたくし! 引き受けて差し上げますわ! 応援団長! いーい響きですわ、オーッホッホッホ!」
「…………」
 マグナもSuviaも、そして香澄も、表情の端から不安が更ににじみ出た。
「いやー、なかなか愉快な娘さんだにゃ」
 『リグレットドール』シュリエ(p3p004298)がマイペースに呟くと、クソザコ美少女のそばにそっと近づいた。
「ところでその仮面どこで売ってるにゃ? 特注品?」
「オートクチュール!」

 一方。
「ま、調子に乗ろうがビビろうが、自分の足で立っていてくれるのなら構わないが……ケンカの心構えくらいはしておいて欲しいところではあるね」
 本人には聞こえないところで、『特異運命座標』真白 純白(p3p001691)たちが軽く打ち合わせをしていた。
 『きぐるいドラゴン』逢魔ヶ時 狂介(p3p000539)はなんとも分からない反応をしている。
 『傲慢ちきな人間なら腐るほど見てきたが、ここまでバカな女は初めて見るぜ。同行者連中はこの女を団長と持ち上げられるそうだがそれが成功したらウケるな』と心の中で思っているらしい。
 『特異運命座標』白神 揺(p3p000473)がコホンと咳払いした。
「基本は後方で待機しつつ見てて貰う形になると思うんよ。余裕があれば色々やってみて貰う事にはなるんかな?」
「ま、そんなところか」
「瀕死に留めた雑魚アントのトドメとか、完全に無力化した罠を触って貰う位ならええと思う」
「賛成だ。できる限りはやっておくよ」
「前向きやなあ」
 純白は刀の柄をぽんと叩いて、洞窟へと向き直った。
「『何があっても、諦めない』……アタシのモットーだ」

●罠とモンスターのダンジョン
「白神さん、何かありますね」
「罠やろか。先にうちが行ってみるな?」
 揺がそっと土の盛り上がり部分に近づいて、武器の先端でそっと払っていく。
 すると毒の塗られた針が見つかった。
「やっぱりや。毒の罠やね」
「では、解除のほうはわたしが」
 Suviaは手袋をきゅっとはめると、丁寧に罠を解除していった。
 『わたくしもわたくしもー』と言って寄ってこないかと、クソザコ美少女をそっと振り返るSuvia。当人はSuviaが渡したお菓子に手をつけるでもなく、『がんばって! あなたならできますわ!』とひたすら罠解除の応援に勤しんでいた。チャレンジ精神は旺盛だが約束は破らない性格らしい。
 言われなくても、という具合にSuviaと揺はしっかりと罠を解除し、後続が安全なように倒して土に埋めた。
 その先は分かれ道だ。間違った方向へ進めば遠回りになり、その分敵に遭遇しやすくなるだろう。
「ちょっと下がるにゃ」
 シュリエが前に出て耳に手を翳す。
 その一方で狂介が餌などを女王のいる巣穴に運んだ痕跡を探索スキルで探していた。
 シュリエの役目は僅かな音を聴いて道が深い方を探ることだ。完璧とはいかないまでも、今回はそれなりに良い確率で探り当てることができそうだった。
「がんばって! あなたならできますわ!」
「く……もとい謎の美少女うるさいにゃ。声量9割9分落とせにゃ」
「できますわー」
 小声で応援するクソザコ美少女。さっきから応援のレパートリーが二個か三個しかないのは、才能のせいだろうか。
「ところでわたくし、後ろばかり歩いていていいのかしら。団長は前に出なくても?」
「くそざ……もとい謎の美少女、お前もちゃんと皆が歩いた道を通るにゃ。お前の実力なら楽勝なのにゃー」
 などと言いくるめておくシュリエである。
 そうしていると、シュリエとTricky Starsが何かを聞きつけた。
「んにゃ?」
「敵だね」
「そういうことでしたら――」
 腕まくりして前に出ようとするクソザコ美少女の後頭部を、マグナがクラブハンドで掴んだ。
「いたたたたハサミ、ハサミで掴むのやめてくださいまし!」
「右手は武器でふさがってんだ。下がってな、応援団長だろ」
 代わりに、純白が刀をすらりと抜いて前に出る。
「や、やればできますわ!」
「アンタそればっかりだな」
 等と言いながら、近づいてくるフィートアンツにこちらから急速に接近していった。
 慌てて口を開くフィートアンツ――に正面から刀を突き刺し、足をかけて引っこ抜く。
 一匹が倒れた所で、Tricky Starsが飛び込んでいった。
『戦闘となりゃ俺の出番っしょー! 稔クンとチェーンジ! 美少女ちゃんは、俺らの後ろで勝利の女神役(応援)よろしくぅ☆』
 Tricky Starsはマジックフラワーを発動させ、フィートアンツの眼前でばちばちと火花を飛ばした。
 火花の直撃をうけたフィートアンツは顔を焼かれ、もがいている間に香澄が練り上げた魔法の力を発射した。
 パンッ、というはじけた音と共にはじき飛ばされ、動かなくなるフィートアンツ。
 それを最後に、周囲の騒がしい音は消えた。
 ずっと遠くでかちかちと何かが威嚇する音が聞こえるばかりである。
「近くにもう敵はいないみたいですね。では……」
 香澄は洞窟の外から連れてきた小動物を放ち、ファミリアーの能力で偵察を始めた。

 暫く、Suviaと揺が罠を解除し、シュリエと香澄が主な偵察と構造把握。残るメンバーが主だった戦闘を行なう(クソザコ美少女は応援)といった役割分担が続いた。
 そんな中……。
「来てるな。後ろからと……」
「前からもです」
 一本道で前後からフィートアンツが近づいてくるという挟撃に見舞われた。
 よし、と呟いて最後尾に回り込む純白と狂介。
 Tricky Starsとシュリエは前方のまま。残る四人は遊撃としてそれぞれの配置についたが……。
「ひいいっ、挟み撃ちですわ! もうおしまいですわぁ!」
 クソザコ美少女が早くも絶望していた。割とガチで泣いていた。
「泣くな!」
 純白が一喝し、Suviaがお菓子を口に突っ込んで置いた。
「団長が応援してくだされば、あんなザコは団長が出るまでもなく倒せますし」
「ほ、ほんとですの?」
「ほんとほんと」
 とりあえずで話を合わせておく揺。
 とはいえ、油断はできない状況だ。
 おぞましい足音をたてて駆け寄ってくるフィートアンツたち。
 狂介は格闘で迎え撃ち、純白は刀を大胆に振り上げて飛び込んだ。
 フィートアンツの歯と刃がぶつかりあう。
 一方でTricky Stars(虚サイド)はマジックフラワーを放ち、シュリエは霊力を高め、紋章を淡く光らせた。
「これでもくらうにゃ!」
 Tricky Starsが弱らせた敵に霊力を放って吹き飛ばす。
「遠術展開、”ヘルファイア”!」
 その真横を掠めるかのような絶妙さでマグナが赤い魔力の塊を発射。
 直撃をうけたフィートアンツに、揺がスピアー突撃を仕掛けた。
 フィートアンツを貫通して岩面に食い込む槍。
 もがくフィートアンツにトドメをさすべく、香澄が連続して魔法を打ち込んでいった。マグナが怪我をしたらしい揺に緑の抱擁をかけて回復を始める。
 一方、後方を抜けてきたフィートアンツが歯をガチガチとならす。
 Suviaは毒の入った茶筒を取り出すと、口を開いてフィートアンツへ投げつけた。
 ギギイと嫌な声を上げてもがくフィートアンツ。毒がうまく回っているのだろう、しばらくもがいて起き上がろうとしたが、新たに茶筒を構えたSuviaを前にぐったりと崩れ落ちた。
 ふうと額の汗をぬぐうSuvia。
 ふと見ると、シュリエが倒したフィートアンツにまだ息があった。戦闘はできないくらいに衰弱しているが……。
「やるかにゃ?」
 シュリエがクソザコ美少女にトドメを促した。
「わ、わたくしですの?」
「さすがに動かない敵には当てられるにゃ」
「……わ、わかりましたわ」
 戦闘とはまた別の、弱った生き物を殺すという経験である。
 失敗はしなかった。揺はその一部始終を見届けてから、ふうと息をついた。

●女王
 道中、たまに危ない時はあったものの、大きな障害もなくフィートアンツダンジョン最奥へとたどり着いたイレギュラーズ一行。
 他のフィートアンツよりも一回り強そうな『女王』とその取り巻きを前に、最後の戦いを始めようとしていた。
「まずは取り巻きからだ」
「任しときっ」
 揺は堂々と槍を翳すと、わざと目立つように大見得をきった。
「数ばっかり多いけど邪魔させへんよ? 君らの相手はこの揺さんが引き受けるんやからね!」
 直撃というと言葉は変だが、工夫の甲斐あって取り巻きのうち半数ほどが揺へと飛びかかっていった。
「残りは頼むで」
 純白は『ン』と小さく短く答えると、刀をしっかり両手で握って女王へと突撃した。
 庇うように立ち塞がるフィートアンツ。
 だが関係のないことだ。純白は構うこと無く正面から刀を突き込み、フィートアンツの硬い殻を刃で突き破っていった。
 そして強引に振り払う。
 女王が無防備になった所で、他のアリたちが駆けつけてくる。
 そうはさせるかとばかりに狂介とマグナが間に割り込み、増援のフィートアンツをマークし始めた。
「存分に暴れさせてもらうぜ。近術解放、”スティンガー”!」
 クラブハンドに魔力を集中させ、フィートアンツを殴りつけるマグナ。
 魔力がフィートアンツを貫いていく。隣では狂介が格闘によってフィートアンツを倒していく。
 これで女王は完全に無防備だ。
 そのチャンスを逃すこと無く、香澄はこれまでとは一段違う魔法を唱え始めた。
 魔法というよりも、神威と言ったほうが正しいのだろうか。
 香澄は練り上げた力の塊を、女王めがけて解き放つ。がばっと身を乗り出すクソザコ美少女。
「今!? 今こそわたくしのキックが火を噴く時ですの!?」
「団長の応援こそが皆さんの力になるので応援をお願いします!」
「応援ですわね! がんばって!」
 レパートリーの少ない応援を受けて、香澄はさらなる追撃をはかる。
 シュリエとTricky Starsも負けじと飛びかかる。
「お前達の女王は強いけど、なんとこっちのくそざこ美少女は妾達より弱いのにゃー!」
「なんて?」
「参ったかにゃー!」
 シュリエは霊力を右手に集め、女王の額に触れた。
 はしる衝撃。びくんとのたうつ女王の身体。
 女王はやけになったのかシュリエを突き飛ばし、駆け抜けようとする。
 狙いは誰だ。クソザコ美少女だろうか。
 しかしTricky Starsが間に割り込み、ぱっと手を翳した。
『下がってな美少女ちゃん。怪我したら親父さん悲しむだろうしさ』
 ド派手にいくぜ。そう叫ぶと、Tricky Starsは至近距離で魔力を叩き込んだ。
 シュリエの打ち込んだ魔力と重なりみるみる弱っていく女王。
 Suviaはここぞとばかりに魔力をわき上がらせると、火花に変えて女王へと打ち込んだ。
 洞窟の中ではじける無数の火花。
 幾度かのフラッシュの後、女王は目の色をなくし、その場に崩れて動かなくなった。
「や、やりましたわー! う、うええー」
 ついでに膝から崩れ落ちるクソザコ美少女。
「は、初めてうまくいきましたわー! 皆さんがいなかったらわたくし、わたくし、うええー」
 軽くえずき始めたところで背中をばしんと叩く純白。
「立て、さっさと脱出だ」
 女王が死んだことで個の生存を優先するようになったのか、フィートアンツたちがこぞって逃げ出していく。
 その中を、イレギュラーズたちは勢いよく駆け抜けていった。

「団長の応援、感動しました♪ みなさん、おつかれさまー」
 依頼も無事に終わり、お茶を配るSuvia。
 マグナも揺も、女王戦でしっかり暴れられてちょっと満足できたようだ。表情も悪くない。香澄もほっと一息ついている状態だ。
 安全になった所で狂介が突然ビューティーに依頼目的とは関係なく過度な暴行を加えようとしたので拘束したが、それ以外のトラブルはナシだ。
「なかなか楽しかったにゃ。愉快な奴は嫌いじゃないにゃ」
 仲間に襲われかけて顔面蒼白になったクソザコ美少女をぽんぽんとやるシュリエ。
 純白やTricky Starsもトラブルを処理し終えて一段落といった様子である。
「さて、それじゃあギルドに戻るか」
 一同は依頼の達成報告をすべく、ギルドへと歩き出した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

逢魔ヶ時 狂介(p3p000539)[監視]
きぐるいドラゴン

あとがき

 お疲れ様でした。まずはゆっくり身体をお休めになってくださいませ。

【クソザコ美少女の成長】
・慎重さを学んでファンブル値が下がりました
・徹底して前に出さなかったので遠距離攻撃を覚えるようになりました。
・応援を沢山させた結果クラスが祈祷師/鼓舞になりました。


【運営より補足】

 本依頼のプレイングにおきまして、ローレットのハイ・ルールに違反する、著しく問題のあるプレイングが確認されましたので、該当キャラクターに『監視処置』を加え、シナリオ参加権利を当面凍結いたします。
 又、同一ユーザーによる登録キャラクターも同様の参加禁止処置を加えます。

 以上、宜しくお願いいたします。

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