PandoraPartyProject

シナリオ詳細

あなたのために白雪を

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●だって、もらったじゃんもらったじゃん? え、もらってない? いいんだよ細けぇことは!

 まだ雪深いバレンタインがすぎれば、今度は乙女たちが浮足立つ季節。
春が近づけば、そう、ホワイトデー。
 いつもはクールな彼女も、見返りはいらないなんて言ってるあの子も、贈り物には顔をほころばせるはず。それが思いのこもった手作りならなおさら。
 渡す相手がいないって? なら作ったものは自分で食べちゃえばいいじゃなーい。お菓子の甘さはささくれた心を癒やすってしんりぐぁく的にも実証されてまっす。
 だけどそのためには立派なキッチンが必要ですよね?

●ギルド・ローレットのチラシ置き場にて

 あなたは一枚のチラシに目をやった。

 洋菓子店クリーム・デュロワでは下記の要領でホワイトデーバーゲンを実施予定。
 ――――――――――――――――――――――――
 お手伝いくださるイレギュラーズの皆さんを募集中。
 できあがったスイーツから一点お持ち帰り可能です。
 ・販売
  店頭で売り子をお願いします。
  レジ・接客以外にも、チラシ配りや呼び込みもやってください。
 ・作成
  キッチンで、マシュマロ・クッキー・ホワイトチョコの
  3種類を主に作成してください。アレンジ大歓迎。
 ――――――――――――――――――――――――
 
 聞き覚えがあるようなないような店だ。もしかすると見かけたことがあるかもしれない。
 たしかに洋菓子を扱っているなら、当日は目の回るような忙しさだろう。ここは一肌脱いでやろうじゃないか。
 べつに報酬につられたわけじゃない。わけじゃないんだったら。

GMコメント

みどりです。お店やさんごっこが大好きです。
このシナリオは性別を問いません。女性も不詳ももちろん男性も無問題。

プレイングにはタグを記入してください。
【販】売り子です。
   スキルを使用したり派手なパフォーマンスをすると来客数が増えるでしょう。
【作】パティシエです。
   該当するスキルを使用したり、凝ったお菓子を作ったり。また、店のNPCパティシエへ具体的な指導をすると貢献度が上がるでしょう。

また、あくまでロールプレイなので、お菓子アイテムの付与はありません。プレイングに○○がほしいと書くのは自由です。

  • あなたのために白雪を完了
  • GM名赤白みどり
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月24日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
叶羽・塁(p3p001263)
此花咲哉
トート・T・セクト(p3p001270)
幻獣の魔物
真寺狩流・季楽鈴(p3p001917)
真封将汝
ルティアニス・ディフ・パルフェ(p3p002113)
おてんば歌姫の冒険
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
XIII(p3p002594)
ewige Liebe
アンジェリーナ・エフォール(p3p004636)
クールミント

リプレイ

●さっそくてんてこまい
 まだ朝の早い時間。イレギュラーズたちがねぼけまなこでキッチンへ入ると、そこでは誰もがコマのようにキリキリ働いていた。理由を聞くと、クリーム・デュロワではこの日のために作り置きのお菓子は一切用意していないのだという。
「なーるほどー、少しでもおいしいものを食べてほしいっていう心意気だね。そーゆーの大好きだなっ! ボクはラブリー魔法少女、まじかる☆きらりん、だょ! 今日一日よろしくだにぃー!」
 テンション高く挨拶をしたのは『真封将汝』真寺狩流・季楽鈴(p3p001917)。くるっとまわるとリボンとフリルたっぷりのパティシエ服に変身。その見事な変身が扇動にもなってキッチンの空気が時ならぬ熱気であふれる。隣の『幻獣の魔物』トート・T・セクト(p3p001270)もやる気満々だ。
「忙しいからこそラブリーテンションきらりーアゲアゲで、いこうにぃっ!」
「そうだな。どこの世界でも、この時期の洋菓子店が地獄の忙しさなのは一緒か…。お菓子作りは好きだし楽しいからな、丁度いい。さて、どこから手を付けるべきか…」
 そうつぶやきながらキッチンをぐるりと見回す『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562)。ぴかぴかに磨かれたボールやふるい、鍋、オーブン、チョコレートや飴細工の温度調節に使う大理石の板まである。さらに大量の砂糖と小麦粉の山。バターにミルク。その他さまざま、材料に不自由することはなさそうだ。
 同じくキッチンを検分しながら『クールミント』アンジェリーナ・エフォール(p3p004636)は色の違う両の瞳を細めてくすくすと微笑む。
「ホワイトデー、私には縁のないイベントではありますが微力ながらお手伝いできればと。お菓子作りの練習にもなりそうですしね」
 そう言いながらボウルへ手を伸ばし、小麦粉の量を図る。まずは基本のクッキーからと言ったところか。なんであれ体得するには基本が大事、練習も大事。数をこなさなければならない。もっとも彼女の場合、料理はもちろん家事全般を心得た優秀なメイドであるようだから仕上がりが楽しみだ。
 そのころ、思案顔で入り口をウロウロしていた『KnowlEdge』シグ・ローデッド(p3p000483)は。
「……ん、ひらめいた。これで行こう。まずは骨からだな」
 何やら得心した顔でにやりと笑うとこちらも小麦粉と砂糖を取りに走った。

 パティシエ志願者が制作にかかりきりになっているあいだ、売り子たちはというと、お互いにあいさつをして茶を嗜んでいた。今日使う予定のチラシがまだ届いていないのだ。
 紅茶へたっぷりジャムを入れている『此花咲哉』叶羽・塁(p3p001263)とミルクの量を加減している『おてんば歌姫の冒険』ルティアニス・ディフ・パルフェ(p3p002113)。そのふたりにはさまれて、『ewige Liebe』XIII(p3p002594)こと通称dreizehnは居心地悪そうにしていた。カップに口をつけようともしない。
「どうしましたdreizehnさん。なにかお困りごとでも?」
「そうだよそうだよ。気になることがあったら言っちゃって。あたしたち力になるから」
 塁とルティアニスの両方から声をかけられ、dreizehnはますます困った顔になり、カップを両手で覆った。金属質の左腕がカップに当たってカチリと硬質な音を立てた。しばらくあって、彼女はおずおずと話し始める。
「その、志願したものの何をどうすればいいのか。キッチンの皆さんのように料理ができるわけでもないですから……」
 普段は明確な作戦にもとづいて行動する彼女は、依頼を受けてみたものの自由にして良いと言われて何を指針にすればいいのかわからなくなってしまったのだという。ルティアニスはそれを聞いて元気よく答えた。
「そういう時は裏方だよ!」
「ウラカタ? 何かの作戦ですか?」
「そう、作戦! あたし達が陽動で、dreizehnさんが遊撃部隊! あたしたちがどんどん人を呼び込むから、dreizehnさんはその整理に回ってほしいな」
「ルティアニスさんのおっしゃるとおりですね。カウンターへ一気に人が押しかけるとレジが大変なことになります。事前に私のコネクションを使って友人たちへ宣伝しておきましたから、この小さなお店ではさばききれなくなる可能性もあります」
「遊撃……わかりました。それならばよく知っています」
 塁たちの言葉に力強くうなずくdreizehn。続けて塁が口を開いた。
「後は礼儀正しくていねいに、くらいでしょうか」
「礼儀正しくていねいに、ですね。了解です、マム」
 そこへどやどやと人の気配が。塁がいち早く席を立った。
「チラシが到着したようですね。私、知り合いのお店を回ってまいります。ひと束もらっていきますね」
「オッケー、検品はあたしたちに任せて」
 ルティアニスもdreizehnも立ち上がった。二人の胸はかすかな不安とそれを上回る期待と楽しみで膨らんでいた。

●クリーム・デュロワ開店
「ふむ、なんとか開店には間に合わせたぞ」
 テーブルの上にはシグの試作品が並べられていた。動物が二体と人形が一体。動物の方は、ホワイトチョコとミルクチョコで塗り分けたパンダ、それからホワイトチョコの白羊とビターチョコの黒羊のセット。そして最後の人形は白い花束を捧げ持ち、花輪をかぶっている少女だ。毛皮の質感や髪の流れの表現にまでこだわった逸品の数々。食べ物とは思えない精巧な出来にキッチンの誰もが目を見張った。
「いかがかな。骨はクッキー、肉付けはマシュマロ、コーティングは見てのとおりチョコレートだ。かじるとチョコの味わいの後にマシュマロのふんわり感とクッキーのかりっとした食感を楽しむことができる」
「すごいすごい! シグりんって器用なんだにぇ☆」
「こんなに手の混んだものは初めてみましたわ……」
「動物が特にいいな。俺もなにか作ってみるか」
 仲間たちの賛辞に気を良くしたシグは彼らにたずねた。
「これは店頭へ飾っておくデモ用の品なんだ。実際には工程を省略し、やや質を落として数を作ろうと思っている。どうだろうか」
「いや、これはもうこのクオリティでいったほうがいい」
 ルナールが言い切った。アンジェリーナも言い添える。
「デモだけ立派で実際の商品はイマイチというのはよくあることではありますが、お客様は店頭の見本を見てご購入されるのですから、実物を見てがっかりということもあり得るでしょう。それはあまりにもったいない話」
「うんうん! こんなにラブリーなら飾ってみてるだけでもたのしいもんにぇ☆ クオリティ重視でいったほうがいいと思うにぃ☆」
 シグはねんのためキッチンのシェフにも聞いてみたが仲間たちと同じ意見だった。
「それでは腕によりをかけて量産するとするか」
 シグが腕まくりをする。
 間もなく店頭に3つの見本が飾られ、「数量限定」の札が貼られた。
 シャッターがあけられると、快晴の空が売り子達を出迎えた。もう既にお客が集まり始めている。
 ルティアニスとdreizehnは思い思いに声を張り上げた。
「クリーム・デュロワ、開店です!」

 チラシ配りのコツは対象の斜めに位置し、かつ迅速に渡したいものを見せること。押し付けがましくない程度に笑顔でささっと。相手が無反応ならすぐに引っ込んで次の人。だがルティアニスほどのカリスマ持ちならば、チラシを断られることはまずない。さっそく三束のチラシを配り、彼女は爽快感に溢れた笑みを見せた。
(冒険者用の衣装を新調したとこだけど、こういう仕事のほうが向いてるのかな? 恋人でも友達でもいい、気持ちを通じ合わせる手伝いになれるといいな)
「よーし、全力で! 売りまくろう!」
 拳をギュッと握りしめ、えいやと天へ掲げる。何事かと寄ってきた人々へはいどうぞと物腰丁寧にチラシを配る。そして店を出る人を見かけたら頭を下げる。気持ちよく買って、気持ちよく帰ってもらいたい。そんな純粋な思いからだった。
 彼女の元気のいい呼び込みに、ちらほらと足を止める女性客も。贈答品にするのか自分たちで食べるのかはしらねど店へ向かっていく。そろそろ店先が混んできた。dreizehnの出番だ。
 彼女の読みどおり、店頭にはお客が団子状に集まっている。
「商品はまだあるので慌てずとも大丈夫です、順番にお並びください」
 そう呼びかけながら、お客の群れを一旦店頭から引き離し、ロープを張って順路を作る。お客をそこへ並ばせると会計がスムーズに進むようになった。しかしそれ以上の勢いでお客が増えていく。レジは大混雑だ。
 そこへチラシを配り終えた塁が戻ってきた。
「あらあらまあまあ。すごいことになっていますね」
 サクラを呼ばなくて正解だったかも、と塁。
「塁さん。私はチラシ配りを一旦終えてレジの応援に入ります」
「よろしくねdreizehnさん。がんばって」
 人でごった返す盛況の中でも、dreizehnの機械ならではの判断力はゆるがなかった。カウンターの中へ入るなり、てきぱきと会計をこなしていく。購入を終えた客には会釈をするのも忘れない。
「さあ私はもう一仕事いたしましょう」
 dreizehnから託されたチラシの束をよいしょと抱え直し、塁はさっとあたりへ視線を滑らせた。前方から歩いてくる男へ流し目チラリ。とたんに雷に打たれたように男が足を止める。その機を逃さずチラシを差し出す。
「いかがですか? ホワイトデーバーゲン実施中です。いまならチラシを持っていくとクッキーを一枚差し上げます」
 聞いているのかいないのか、コクコクと首を縦に振る男。すぐ近くにある店まで走っていく。
(まずはひとり。さて撃墜王になれるでしょうか、なーんて)
 塁がくすりと微笑むとまたそれにつられて男がふらりと寄ってきた。その様は蝶を寄せる花のごとく。塁は男たちの誘惑をいなしながら自身は曇り一つ無い笑顔を浮かべる。
「気になるあの娘に、あなたから声をかけるきっかけにも、どうぞ」
 次々と店へ客を送り出していく塁の姿に、ルティアニスの胸にはがぜん闘争心が湧いてきた。
(あっちが色気なら、こっちは元気! さぁ、声出していこー!)
「いらっしゃい、いらっしゃーい! おいしいお菓子たっぷりあるよ! 持ち帰って一人で楽しむのもよし、みんなで買って分け合うもよし、もちろん交換するのも大歓迎だよー!」

 店先には老若男女が集って長蛇の列を作っている。ルティアニスが呼び込み、dreizehnが会計し、塁が送り出す。
 塁は手元のチラシがなくなると店内へ入った。カウンターの中のものを流し見し、キッチンの入り口まで足を伸ばす。おとないがかえってきてアンジェリーナが顔を出した。
「ご報告です。人気商品はクッキー全般です。お友達にも気軽に送れますから、まとめ買いされる方が多いようです」
「ありがとうございます助かります。それではクッキーを増産いたしますね。ふふ、洋菓子店のお手伝いなんて、滅多にできませんし少し楽しくなってきましたわね」
 そのまま乙女二人で鈴の音のような声で笑い合う。笑みを収めると、いたずらをたくらんでいるかのようにアンジェリーナは言った。
「マカロンを作ってみようと思っているのですけれど、どう思われます?」
「マカロン? まあすてき。女性客も居るし作ったほうがいいでしょう。それにマカロンにはよい意味があるそうですから、特別な贈り物にぴったりです」
「あらそうでしたのね。うふふ。私の好みで言っただけですけれど、思ったよりもいい結果になりそうですね」
 塁と分かれたアンジェリーナはさて、と自分の作業台へ向かった。女性客が思ったより多いのが彼女には予想外だった。生地をこねながら思案する。
「とはいえ基本は男性が女性に贈り物をする日。男性がターゲットならあまりかわいくしすぎないほうがよいでしょうか。それとも渡すのは女性ですから可愛らしい方がよろしいでしょうか」
 などと思案しつつ生地を半分に分け、片方にはココアパウダーを練り込む。バターを塗った容器へ交互に生地を詰め、冷蔵庫で寝かせた後包丁で切っていけばシンプルな市松模様のクッキー生地ができあがる。彼女はそれがオーブンの中で焼かれる間、打ち粉をして白い生地を伸ばし、四つ葉のクローバーの型で型抜きをしていく。正確で手早い。料理に慣れた者の手付きだ。
 クローバーを焼き上げたら粗熱をとってアイシングを施す。カラフルで愛らしいクローバークッキーができあがった。
 市松模様とクローバーの袋詰はキッチンのコックたちにお願いし、次は本命のマカロンづくりに挑戦だ。
 まずは砂糖をたっぷり入れたメレンゲを泡立て、粉砂糖を追加していく。オーブンシートの上にベースを絞り出し、室温でしばらく寝かせた後おもむろに焼成。その間にマカロンの中身を作る。今日はホワイトデーだからホワイトチョコ。チョコを湯煎した後、生クリームを加えてなめらかにしていく。最後にバニラエッセンスをひとたらし。ベースの間にクリームをはさんでいき、ホワイトデーらしい真っ白で甘い甘い一品のできあがり。
 我ながらよくできた、とご満悦のアンジェリーナの肩を、誰かが叩いた。振り返るとルナールがお盆を持って立っている。
「定番商品ばかり作っていたんだが、飽きが来てしまってな。片手間に作ってみたんだ。感想を聞かせてくれ」
 お盆の上にはマシュマロにゃんこ&わんこ。ぷっくりした愛らしい顔とピンク色の肉球のついた手形。焼き上げたばかりの香ばしいクッキーはマシュマロとテイストを変えてちょっとリアルな造形。リラックスして丸くなる猫や背を伸ばす猫、犬などは走りだしてお盆からこぼれそうだ。どれもプレーン生地とチョコ生地をうまくまとめてあり、柄や斑がついていて見る者を飽きさせない。
「じつはかわいいものがお好きなのですか?」
「つい魔が差して……、いや好きか嫌いかといえば可愛いほうがいいとは思うが。こういうものが女性は好きなんだろう? あと味はどうだろうか、過不足はないか?」
 アンジェリーナの問いに逆に質問で返すルナール。勢いに押されて食べ比べてみた結果、アンジェリーナは訳知り顔でうなずいた。
「マシュマロは程よい弾力があってよいですね。クッキーは上品な味ですの。かわいらしさの方向性は違いますが、どちらも女性受けすると思いますわ」
「なになに? 試食会ー!? ボクのも食べてよぅ☆」
 そこへ季楽鈴が割り込んだ。パステルカラーのチョコと杖のようなお菓子を持っている。
 二人はパステルカラーのチョコレートにまず手を伸ばした。赤、黄、水色、夢溢れでる色の洪水が盆の上を賑わせている。そのひとつひとつがキラキラと輝いているのは、ドライフルーツを宝石に見立てた飾りつけがなされているからだ。アラザンが散らばり、アイシングで書かれた花が舞う。どれと一口かじってみれば、本格的なクランチチョコだ。心地よい歯ごたえにドライフルーツがアクセントになっている。
 もうひとつの杖のようなものはマジパンだった。ハート型に弧を描いた先にマシュマロが挿してある。
「これぞマジカル☆ツリー! みんなに夢と希望を与えられる最高に魔法少女なお菓子だょ☆」
「だがこれを食べきるのは至難の業だぞ。うまいのはたしかだが甘いし硬いし」
「ノンノン☆ 魔法少女たるものビターは似合わない! だから徹底的に甘く美味しく! 虫歯? 糖分? どんとこいや! らぶりーきらりー甘さが一番!」
 そんなこんなで店頭にはぞくぞくと追加商品が並び、それを売り子たちが宣伝し、さらにお客が増え……。その日の売上はクリーム・デュロワ初の驚異的な黒字であったと言う。

●またあそぼうね
 店が終わりイレギュラーズたちはようやく一息つくことができた。定番のものだけではここまでの売上は不可能だっただろうと店長は腰を折る。
「あーさすがにずっと料理は腕に来るなぁ……」
「結構バタバタしましたけど、いい経験になりましたわね」
「そうだな。バタバタどころかきりきりまいだった」
 ルナールとアンジェリーナに続き、シグが机に頬杖をついてため息をつく。高品質のチョコフィギュアを延々作っていたのだ。疲れもたまるだろう。だがその努力が実り、作った分は端から売り切れ、店頭へ飾っていたものまで高値でいいから売ってくれと言われたほどだった。
「まあ自分用に1セット確保できたのは御の字だな。みんな、なにか持って帰りたいものはあるかって店長さんが言っていたぞ」
「はいはーい! ボクはアンジェちゃんのカラフルクローバーがいいー! 色も魔法少女っぽいしぃ☆」
 まっさきに手をあげたのは季楽鈴。続いて慎み深くdreizehnが手を挙げる。
「私は季楽鈴さんのマジカル☆ツリーを」
 えっ、と全員が驚愕した。
「……なんというか、未知の塊でして。興味を惹かれたのです」
「私は辞退いたします。みなさんとの思い出がありますから」
 アンジェリーナが柔らかく微笑む。
 それから塁が楽しげに声を弾ませた。
「私はルナールさんのにゃんこさんマシュマロをいただきたいです。ぷにぷにで最高です」
「私もルナールさんのクッキーがほしいな」
 ルティアニスも期待で目を輝かせる。
「ああ、かまわない。残り少ないが仲良く分けてくれ」
「ルナルナはどうするにぃ?」
「申し訳ないが辞退させてもらうな。あー…そうだ、俺も帰ったら何か作らないとなぁ……」
 言外へ恋人の存在を匂わせたルナールはその場にいた全員からニヤニヤされたのだった。

成否

成功

MVP

アンジェリーナ・エフォール(p3p004636)
クールミント

状態異常

なし

あとがき

おつかれさまです。
おかげさまでホワイトデーバーゲンは大盛況でした。
またのご利用をお待ちしています。

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