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シナリオ詳細

三塔ヘルプデスク 浄忌機関巨兵の巻

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●浄忌機関巨兵
 探求都市国家アデプト。通称練達には有名な研究機関がある。
 カスパール率いる『探求の塔』、マッドハッター率いる『想像の塔』、佐伯操率いる『実践の塔』からなる総合研究機関『賢者の三塔』である。
 彼らは元世界の帰還を目的とし、観測値Dを含む世界の様々な謎を研究し、その家庭で様々なアイテムを作成、排出していた。
 が、彼らの目的が『安全で便利な道具の製造』ではない以上、『危険で厄介な道具』が生まれそして結局のところ制御できずに暴走するなんてことはザラ中のザラである。
 今日はそんなザラのうちのひとつ、『浄忌機関巨兵』というケースについてご説明……もとい依頼したい。

「ヨッ、よくきたな希望の戦士。団体名はなんだっけ? アー、ロー……そうそうローレットローレット。今日も頼むぜ。ビシッと仕事してくれよな」
 白いスーツに白い帽子。ネクタイだけが赤い男。なぜだか顔の印象だけが一切記憶に残らない彼は『Mr.W』と名乗った。
 Mr.Wは『実践の塔』に所属する研究員であり、佐伯と同種の現代日本系世界からのウォーカーだと説明した。
「研究内容はクッソ難しいから省くけどよ、この前ローレットを呼んで共同研究した時期があったよな? あのとき作った『浄忌機関巨兵』がついに完成したんだよ。スゲーだろ?」
 と言って、Mr.Wは窓の外を指さした。

 家より大きな鋼の巨人が、両肩や腰部から青紫色の煙を吐き出しながら歩き回っている。
 動きは随分と鈍重だが、巨人から吹き出る煙は奇妙な陰影がつき、まるで無数の嘆き顔が浮かぶように見えた。
 実際それは嘆く人間の怨念であるらしく、霊魂から生み出される燃焼エネルギーを用いた『浄忌機関』によって動く機械らしい。
 そんな浄忌機関巨兵が、近くの民家を思い切り踏みつけて粉砕し、目から青紫のビームを放って近隣の道路や駐輪場を爆発させた。

「そ、暴走暴走。大暴走だよ。完成させるんじゃーなかったよなー」
 Mr.Wは笑いながら、そういった。

●暴走兵器破壊作戦
 浄忌機関巨兵は練達下層のタエバという街におりたち、現在暴走状態にあるらしい。
「タエバっつーのは要するに裏池袋だよ。ネジレ観測地として別層世界に転写さ……れ……あ? 悪い悪い、わっかんねー話しちまったな。
 お前の仲間に現代日本系の世界から来た奴っているか? いるならざっくり『都市っぽい』って説明で通じるぜ。道路はコンクリート舗装されてて建物は大体四角くて縦に長い。最近じゃ電気自動車やら自転車やらが流通してっけど混沌証明のせいで燃費クソわりいし速度でねえからな、オシャレアイテムだぜあんなもん」
 要不要の境目なく言いたいことだけ言うMr.W。
 彼は勝手にからからと笑うと、性格に書き込まれた地図をデスクに広げて見せた。
「ここ。スクランブル交差点があるのが分かるか? ここで迎撃、破壊するって手はずになってる。
 塔の連中はイイ戦力なんだけど、俺って嫌われてんだよなー。ゼンゼン戦力貸してくれねえの。そこでローレットの出番ってわけだよ。
 浄忌機関巨兵は排出する浄忌を怨霊兵に変えて散布できる性能があるから、まずはそいつらの排除になるわな。
 でもって、到着した浄忌機関巨兵との戦闘。撃破だ。
 破壊したらそのまま放置しといてくれや。俺んとこのチームで回収するからよ。
 パーツをパクっても……ンー、ダメじゃねえけど身を滅ぼす覚悟しとけな? 俺は責任とらねーぞ。
 っつーワケだ。こっからはローレット、あんたらの仕事だぜ」

GMコメント

■オーダー
・浄忌機関巨兵の破壊

 段階として『排出される怨霊兵たちの撃滅』『浄忌機関巨兵との戦闘』という2パート制が予想されます。

●怨霊兵
 排気された浄忌によって怨霊兵が作成、自動配備されます。
 怨霊兵は外見上、顔が螺旋状にねじれた人間に見えます。
 彼らは自らの保有する霊力を用いて戦闘を仕掛けてくるでしょう。
 攻撃力が高く【呪縛】や【反動】がついているのが殆どです。攻撃射程は大体0~2くらいです。
 数が沢山いるので、効率的な排除が望ましいでしょう。

●浄忌機関巨兵
 すさまじいパワーとビームによるなぎ払いで攻撃する巨大な人型兵器です。
 がっつり暴走しちゃってるので壊しましょう。壊すしかねえこんなもんは。
 格闘攻撃には【弱点】がついており、ビームには【必殺】【呪縛】がつきます。
 そのほかちょいちょい武装がはえており、ちょっとしたBSまじりの攻撃をしてくることがあるでしょう。
 ステータス敵には8人がかりでぶつかるべきボス級ですので、ばっちり連携して戦ってください。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • 三塔ヘルプデスク 浄忌機関巨兵の巻完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年03月01日 01時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
ルウ・ジャガーノート(p3p000937)
暴風
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
橘花 芽衣(p3p007119)
鈍き鋼拳
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
桐神 きり(p3p007718)
リサ・ディーラング(p3p008016)
蒸気迫撃

リプレイ

●怨念兵器
「日本出身だし池袋もわかるけど、裏池袋なんて知らないわよ!
 っていうか呑気に笑ってるんじゃないわよ!
 ……ああもう!」
 『学級委員の方』藤野 蛍(p3p003861)は依頼主であるMr.Wに指定されたスクランブル交差点までママチャリを猛烈な速度でこいでいた。
 なじみ深いアスファルトと道路標識。建物の材質やつくりまで彼女のしる日本のそれだ。
 一時停止の道路標識までご丁寧にたっている。もちろん、景観のためにたっているだけで全く用をなしていないらしいが……。
「あー、この街、なんか見た事ある感じの雰囲気ですね。
 私の居た世界も、何百年か前はこんな感じだったらしいです。
 人が集まり、ビルが乱立する都市に現れる突如現れる怪物軍団……ゲームでよくある設定ですし」
 桐神 きり(p3p007718) はどこかのほほんとしたテンションで、コーラカラーのベンチから立ち上がった。
 サバイバルナイフを腰の革製ホルスターに納め、一方でトリガー式マジックソードをアタッシュケースから取り出した。セーフティレバーをはずし戦闘態勢へ。
「まぁ今回はリアル死人が出かねない事態な上、ゲームのようにリセットとはいきません。真面目に頑張りましょう」

 一方こちらは『虚言の境界』リュグナー(p3p000614) 。
「人間の怨念がエネルギーとは、相変わらず練達の技術は訳が分からぬな。
 ふざけた仕組みやも知れぬが、その強さは本物……。
 故に、これが味方であれば心強かったのやも知れぬが……牙を向けられたのであれば致し方あるまい」
 ククク、とファーストフード店のカウンター席でコーヒーカップをの中身を飲み干した。
 カップを握りつぶし、ダストボックスへと背中越しに放り込む。
 直後、ズドンと大地を巨大な金槌で叩いたかのような振動でゴミ箱が倒れた。
 心臓に。脳に。肉体と空気全体で感じる巨大さ。
 ビルの合間から顔を見せたのは、いまだ遠い巨大スチームウォーカー(超蒸気機関式二足歩行機械)であった。
「ーーさあ、スクラップになる準備はできたか?」

(おうおうおう!
 テメーらで放り出したクソの始末もできねえなんてよぉ!
 態度もデカいし、WだかMだか知らねえが、なんかブン殴ってやりたくなるな!
 それに人間の怨念みてーなもんエネルギーにしてるって、どう考えてもやべーだろ!
 連中の頭の中にゃ脳ミソの代わりにガラクタでも詰まってんじゃねえのか?)
 ……と、舌打ちひとつにここまでの気持ちを圧縮してこめる『暴猛たる巨牛』ルウ・ジャガーノート(p3p000937) 。
 依頼を受けている手前露骨に表出させないルウではあるが、かわりに『鈍き鋼拳』橘花 芽衣(p3p007119) が言ってくれた。
「うーん……言っちゃ悪いけどさぁ、なんで怨念とかそういうヤバいものを動力源に使おうとかって思ったのかなぁ? こうなること予測できただろうに」
「そうねえ。依頼人さん、盛大にやらかしちゃってない?」
 ゼファー(p3p007625) はそんなふうに同意したが、これが練達国家全体規模、ないしは『塔』内程度でも問題になっていないことが、『ローレットの1チームに外部委託されたこと』によってわかる。
 仮にこれが国家規模のおおごとであるなら、トップが兵を率いて乗り込んできている頃である。
 そうでないということは……。
「これ、日常茶飯事なの?」
「もっというと、『わかってて実行しちゃう』のもね」
 練達の悲願は神のルールの突破である。未知や禁忌はのぞむところなのかもしれない。
「だから天義と仲悪いんだよ。都市としてのタフさはすごいけど、ここの技術をあんまり取り入れたくないんだろうなあ」
 『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233) はものすごく他人事みたいに言った。
 実際のところ、彼にとってこの世界は他人事。ワールド単位での盛大な家出をした彼にとって心のよりどころは海洋女王の御許であり、そういう意味でかれはこの世界を冷静に客観視することができていた。
 逆に、異世界来訪者でありながらぜんぜん客観視とかできないコがこちら。『ザ・ハンマーの弟子』リサ・ディーラング(p3p008016) である。
「あのロボットについている『浄忌機関』、完成したは良いものの動けなかったんすけど……申し訳ないっすけど動いている所は感慨深いっすー!」
 蒸気機関は専門中の専門という彼女。こっちへきて最初にうけたでかい仕事がこの兵器の組み立てと開発だったらしく、感動もひとしおだった。
 案外練達民って、こういう感覚でヤバイ兵器をワンチャン動かそうとしていたりするのかもしれない。
「それはそれとして止めないとっす!! 責任という言葉は怖いっすし……!
 あ、でも動作停止後にあの機関の研究はしてみたいっすー!」
 とにもかくにも出撃っす! と、歯車じかけのアンカーシューターを起動。上記吹き出し口から激しく煙りをふき、空へとのぼっていく。

●怨霊兵
 空を青紫色の煙が覆っていく。
 浄忌機関巨兵が背骨につたうようにならんだ制御棒から噴出している煙が空気中の成分と融合し、怨霊兵士となって次々と降り注いでいく。
 彼らは両手に呪いの力を生み出し剣とすると、スクランブル交差点に陣取ったイレギュラーズめがけて一斉に突撃してきた。
「貴様らに恨みは無いが……これも依頼故、許せ。 せめて我が、死した魂の正しき在り場に送ってやろう」
 リュグナーはどこからともなく降ってきた鎌を手に取ると、空間を横一文字に切り裂いた。
 目の前の……ではない、離れた空。それも怨霊兵たちの頭上にある空間を切り裂き、そして異界の地獄と接続した。
 まるで巨人が目を開くかのように開放された穴から、大量の炎が槍となって降り注ぐ。
「よっしゃ、モヤモヤした気分はデカいモンぶっ倒して晴らすとすっか!」
 ルウはここぞとばかりに剣をつかみ、怨霊兵たちへと突撃する。
 アスファルト道路をがりがりと引きずって削る剣が火花を散らし、もった熱がそのまま暴力となって兵士たちを横薙ぎに切り裂いていく。
 不思議なもので、切りつけるとまるで煙をかきけしたかのように揺らめき、そして悲鳴をあげて消滅していくのだ。
 鉄機鋼外殻(ヘカトンケイル)を装着し、後に続く芽衣。
 鋼に覆われた拳が怨霊兵を殴り飛ばし、腕から吹き出たファイヤージェットの勢いでぐるぐると回転をはじめる。
 ダブルラリアットの勢いで群れの中を突き進む芽衣に怨霊兵たちは次々と吹き飛ばされていった。
 炎のコマと化した彼女に続く形で、きりとリサも攻撃を開始。
 きりが空中へ大量に作り出したホッピングパネルを次々に蹴り、怨霊兵たちの頭上をとる。
「一気に行きますよ、援護たのみます……!」
「――うっす!」
 リサが近隣のビル二階から顔をだし、ボルトシューターをセット。
 鋼鉄のアンカーを打ち出す代わりに貫通式の炸裂ボルトを発射するように組み替えると、発射レバーを押し込んだ。
「発射っす!」
 バシュンと激しい蒸気をあげて打ち出されたボルトが怨霊兵たちの中央に突き刺さり、尾部が点滅。しかる後に大爆発を起こし、周囲の怨霊兵をのみこんでいく。
 そこへ急降下をしかけたきりが、トリガーをひいて雷撃の魔力を込めた剣を超大上段斬りによって打ち込んだ。
 大地を走る電撃の波。
 よけようと構えた怨霊兵たちがたちまちのうちに消し飛んでいく。
「いい具合に穴が開いたわね。さ、行くわよ」
 めがねをかけなおし、バンドでとじていた教科書のひとつを手に取る委員長もとい蛍。
「作戦名は?」
 同じく委員長(というか生徒会長)系の史之がクロスでぬぐっていためがねをかけなおして振り返った。
「え……なにかしら」
「『衝撃と畏怖』とか『火牛の計』とか『妖精の小瓶作戦』とかそういうの」
「えっと……怨霊をアレのホイホイみたいにアレするから……『ホイホイ作戦』?」
「あらかわいい」
 ゼファーが片眉をあげて笑い、そして三人そろって突撃した。
 手順は簡単。
「さあいらっしゃい。なんで出てきたのかもわからないくらい、跡形も残さず、記憶にも残らず、消してあげるわ」
 ゼファーが地面にがつんと槍をさし、わざと隙をさらして怨霊兵たちをおびき寄せた。
 彼女の誘因によって怨霊兵は集合し、集合したことに乗じた集中攻撃効果を狙ってさらに集合。
 仮に彼女が鉄壁の防御力をほころうとも、数でごり押しすれば倒せると踏んだのだ。
 たしかにそうかもしれない。この世に無敵の個体戦力なんてものはない。
 だが。
「適切に連携し効果的に実行すれば、『無敵』は再現できるのよ」
 ゼファーの横に並んで日本古代の詩集を音読し始める蛍。
 そのたびに彼女の周囲に古い文字の光が流れ、らせん状に伸びていく。
 彼女を含めその場の全員の治癒を目的とした『直立不動の音読』である。もちろん隙だらけに見えるが……しかし対策していない彼女ではない。
 あちこちから跳躍したメイドロボたちが次々と着地し、蛍の四方を囲むように展開。鋼鉄のモップやはたきを手に、襲いかかる怨霊兵たちの攻撃を防御、相殺していく。
 ここまで的確に防御ができるのは、なにも彼女たちだけの実力ではない。
 後ろに控えていた史之が指輪から放たれる『人工的な異能』によって彼女たちを強化しているのだ。
 ドーム状に広がったフィールドには四季の風景が風のように流れ、そして舞い散る花弁や葉や雪がむらがる怨霊兵『だけ』を破壊していく。
「さあみんな、いよいよ本番だよ」
 見上げる史之。こちらを最優先破壊対象と認識したらしい浄忌機関兵器が、ついに戦闘距離まで近づいていた。

●浄忌機関兵器(アミダカタブラ)
 一つ目の巨人。鈍色をした鋼の肌に、いびつな手。
 大地を打ち続ける巨大な金槌めいた足音が、本能によびかける。
 キュン、とはしった十字の光。
 浄忌機関特有の怨念エネルギーからなる滅相波動光が右から左へ風景をなぎ払っていく。
 が、しかし。リュグナーはひるむどころかズンと足を踏み出し、『アモンの脊髄』をもってして空間を再び切り裂いた。
 『地獄の大総裁オセ』の狂気だけが吹き出し、リュグナーの視界を通して巨人へ浴びせられる。
「どうした、節々が痛むか? 膝をついても構わぬぞ」
「とにかくあのビームが厄介だよね。まずはあれを封印しようか」
 史之は腕時計のパネルを操作すると『逆結界』を起動。
 開いたレンズを照準器がわりにして巨人へ次々と理力弾を撃ち込んでいく。
 着弾したそばからごく小規模ながら『内向きの障壁』が生み出され、巨人の能力を阻害していく。
「――」
 それが致命的な結果を招くことを理解したのだろうか。巨人は史之めがけてピンポイントで光線を連射。
「あっやば、今日は防御用の障壁あんまり出せな――」
「任せて」
 蛍は六法全書を持ち出すと、それを顔の前にかざして刑法について力強く読み始めた。
 途端、蛍の眼前に法の壁が出現。それすら打ち抜いたごくわずかなエネルギーでさえ、彼女の読み上げた条文によってたちまち無力化、ないしは賠償治癒されていく。
「巨大な敵が相手だって大丈夫よ。信じ合って連携すれば、8人分の力が2倍にも3倍にもなるんだから……!」
「そいうチームワーク、キライじゃないっす!」
 リサはボルトシューターに徹甲ボルトをセット。
 激しく加熱したシューターを握りこむと、巨人の下腹部めがけて打ち込んだ。
 わずかに刺さる。が、しかし。
 巨人は大きくよろめき、そして下腹部を庇うように後じさりした。
「……何したの?」
「『霊魂の中心』を射撃したっす。浄忌機関は私の世界にあった魔道蒸気機関と似た作りをしてるはずっす。つまり肉体は臓器でなく霊魂によって動作するって考え方っす。だから、コアは大体ヘソのあたりにあるものっす!」
「うん……最初の一単語からして全然わからなかったけど、とにかくあれが弱点なのね?」
「っす!!!!」
 ガッツポーズをとってみせるリサ。
「聞いた? みんな!」
 蛍や史之が振り返ると、芽衣とルウがにやりと笑って身構えた。
「まずはあの堅い装甲をぶち破ればいいんだな? 得意分野だぜ」
「あの紫色の煙でガードしてるみたいだけど、この拳で振り払うよ」
 せーの! と叫んでから肘からジェット噴射。
 芽衣はロケットのごとく飛行すると、猛烈なパンチを巨人の腹へとたたき込んだ。
 更に突撃をかけ、スネから足関節にかけてを強引に剣で殴りつけて破壊していくルウ。
 二人の猛攻に、巨人はついにがくりと膝をついた。
「サイズがサイズだけど……人の形をしてるなら壊せるわよね?」
「道理ですね?」
 ゼファーときりはかくんと首をかしげあい、そして笑みをかわした。
 お先にどうぞと手で示すきりに対し、ゼファーは勢いよく書けだした。
「獲物はデカくて身持ちが固い方が燃えるってもんよ」
 キラリと目を光らせ、槍を投擲。
 足部に突き刺さった槍を踏み台にして激しく跳躍。腹部装甲にムーンサルトキックをたたき込んだ。
 打撃、というより斬撃に近い蹴りである。
 それまで仲間達がうちこんだダメージによって疲労していた装甲はパカンと陶器を割るかのように砕け、内部のぐにゃぐにゃとした器官を露出させた。
「めしあがれ?」
「いただきます――っと」
 きりは巨人がやぶれかぶれに発射した小型のビームを跳躍によって回避すると、ビルの壁面を走って更に跳躍。
 トリガーを引いた剣からエネルギーを逆流させ、自らの肉体をブーストした。
 赤く発光する肉体が、体感時間を引き延ばしていく。
 クロックアップされた身体が、巨人の臓腑を恐ろしい速度で八つ裂きにした。
 内側からおこる爆発。
 きりは回転しながら飛び退き、ぐるんとターンをかけながら着地。振り抜いた剣を止めた。

●街は今日も平常運転
 後日談ではない
 あれだけ破壊がなされたはずの街は、七日とたたずに元に戻っていた。
 まるで何事もなかったかのように主婦が犬の散歩をし、ストリートミュージシャンが安っぽい愛について歌っている。
 だがこの平和を守ったのが他ならぬイレギュラーズたちであることを、彼らはちゃんと知っていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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