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シナリオ詳細

チョコミントにご用心! ~神郷 蒼矢のグラオ・クローネ2020~

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ダメ男のグラオ・クローネ
「えぇっ、そんな美味しいイベントがあるのかい!?」
 依頼を終えた後で緊張から解き放たれ、ゆるーく雑談する特異運命座標と『境界案内人』神郷 蒼矢(しんごう あおや)。
 その他愛もない話の中で、彼が知ったのは『グラオ・クローネ』というイベントだった。
 街にはショコラの甘い香りが漂い、大切な人への贈り物と温かな笑顔が満ちる特別な日――日頃より女子高生ばりの甘党を主張する彼にとって、これほど気になる祝いの日はないだろう。
「僕達は幻想に行く事は出来ないけれど、こうして君達を通じて繋がってるんだ。お祝いしたってバチは当たらないよね」

 蒼矢は願う。この図書館を通して出会った特異運命座標と親友(とも)のような存在になりたいと。
 しかし背中を預けて戦えるような力はなく、向かった先の異世界ではサポートにまわるので精一杯。
 おまけに甘えて迷惑をかけた事もあり、彼ら彼女らには返しきれない感謝と恩が積もりに積もっている訳で。

(このお祝いで、少しでも日頃の"ありがとう"の気持ちを皆に届けるんだ!)

 普段は面と向かって伝えられない感謝を伝えられるなら、今回くらいは頑張ってみよう。
「赤斗にも相談しなくちゃなぁ。……睨まれそうだけど、やると言ったら僕はやるぞ!」
 そんな時だ。積み上げられた未確認の本の山に、甘い香りが仄かに漂う一冊を見つけられたのは。

●Cafe&Bar『Intersection』
「今回はとっても甘い依頼を用意したよ!」
 集まった特異運命座標に蒼矢が見せた本は、普通の読み物の本というより、カフェのメニューのような装丁だった。
 開けばショートケーキにフルーツタルト。美味しそうなケーキの写真が"私を食べて"と言わんばかりに主張してくる。

 蒼矢いわく、この異世界は一件のお店が中心になった異世界でありながら、店主不在で物語が先に進まなくなってしまった世界なのだという。

「そこでカフェタイムは僕、バータイムは腐れ縁の神郷 赤斗(しんごう あかと)っていう境界案内人が店主を務める事になったんだ。
 君達はカフェタイムに訪れたお客さんとして、このお店を楽しむ事で異世界を活性化させて欲しい」

 お店の中が活気づけば、その異世界の住人がお店に戻って来るに違いない――という作戦らしいのだが。

 いつもヘタレてばかりの蒼矢に、果たしてカフェの店主が務まるのだろうか?
 彼を知る特異運命座標の中には一抹の不安を覚えた者もいたが、その予感は異世界に渡った後、一息つく暇もなく的中する事になる。

「ごめん! 本当になんか、作ってる途中にオカシイナーとは思ったんだけど……止めどころが分からないうちに、こんなに大きく育っちゃって……」

 きょるるるるーーー!!

 そのハプニングは、店に着いて一息つく間もなくやって来た。
 甲高く咆哮をあげながら厨房から飛び出してきたのはチョコミントのケーキから四肢と頭、尻尾の生えた、オカシなお菓子なスイーツドラゴン!
 子分の子ドラ――こちらはスコーンで出来ている――を従えて、目が覚めるほどの爽やかなミントのブレスを吐きつつ、特異運命座標の方へ店内の物をひっくり返しながら襲いかかって来る。

「とりあえず、なんとかしてよ特異運命座標!」

 もはや自分ではどうにもならないと匙を投げ、カウンターの奥に隠れながら叫ぶ蒼矢。
 彼と入れ替わるように席から立ちあがる特異運命座標は、各々思うところありながらも武器を構えたのだった。

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
『神郷 蒼矢のグラオ・クローネ2020』開催です。チョコミント戦争(物理)!
※蒼矢と会った事のない特異運命座標も、ぜひぜひご参加ください!

●目的
 モンスターを討伐し、カフェでのひと時を楽しむ

●エネミーデータ
『チョコミント・ドラゴン』×1
 胴体がチョコミントのドラゴン。四肢や尻尾もチョコレートで出来ています。
 全長3メートルで恐るべきカロリーを誇りますが、攻撃自体はそれほど強力ではないようです。

 吐き出すミントブレスが爽やかすぎて、目や鼻に直撃するとツーンとくるかもしれません。
 対策出来れば戦闘がぐっと楽になるでしょう。

『チョコミントスコーン・ミニドラ』×5
 全長1.5メートルの小さなドラゴンです。こちらの胴体はチョコミントのスコーン。
 こちらも戦闘力はそれほど高くありませんが、動きが機敏なようです。
 足止めの方法を用意しておくと討伐しやすいかもしれません。

 加熱するような技を当てるとスコーンのほっくりサクサクな匂いが辺りにただよいます。スイーツ!

●登場人物
『境界案内人』神郷 蒼矢(しんごう あおや)
 いつも気だるげで猫のように気まぐれな男。仕事はしたくないが、困っている人がいれば一歩を踏み出すための力になりたいと思っている境界案内人。
 今回はカフェ店主の装いで異世界に渡っている。戦闘が終わった後は美味しいコーヒーや紅茶で特異運命座標をもてなすつもりのようですが……?

『境界案内人』神郷 赤斗(しんごう あかと)
 オープニングで名前だけ出て来た境界案内人。今回は同行しないのでリプレイには出てきません。
 今回の世界でバータイムを任された様子。蒼矢と同じ身体を共有している謎多き境界案内人です。

●場所
 異世界にあるCafe&Bar『Intersection(インターセクション)』の店内。
 食べ物がモンスター化する事が日常的にあるのか、どれだけ暴れてもティーカップひとつ壊れない。
 店内の備品は謎の力で守られているようなので、特異運命座標も思いっきり戦えるようです。

 店の外はレンガ造りの建物が並ぶ大通りになっているので、
 広い場所で戦いたい場合はそちらに敵を誘導してもいいかもしれません。

●討伐した後について
 どのドラゴンも討伐すれば食べれるようです。また、店内が平和になれば他にも食べたいケーキやスイーツが蒼矢から振舞われるようになるでしょう。
 皆で楽しく食べてもよし、蒼矢と話すもよし。楽しいグラオ・クローネをお過ごしください!

――それでは、よい旅を!

  • チョコミントにご用心! ~神郷 蒼矢のグラオ・クローネ2020~完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月22日 22時45分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
スー・リソライト(p3p006924)
猫のワルツ
奏多 リーフェ 星宮(p3p008061)
お嬢様の恋人
片白・蘇芳(p3p008107)
メサージュ・ド・ローズ

リプレイ

●スイーツ大戦勃発!?
「なんて美味しそうなショートケーキ……!」
 大粒のイチゴとふわふわしろーいホイップクリーム。
 誕生日に、お祝いにーー。ショートケーキは幸せの象徴だ。
『慈愛の英雄』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)はキラッキラと赤茶色の瞳を輝かせた。
「私、ショートケーキには目が無くって!」
 しかも今回の依頼は、お客さんとして純粋にティータイムを楽しむだけでいいのだとか。
 持ち帰る事も叶うなら、店番を任せている妹にも持って帰ろうーー。

 そんなドキドキした気持ちで席に座っていたのは、ほんの数分前までの事である。

「えーっと……」
 視界に広がる光景は甘味がたくさん。それは変わらないのだが、スイーツのひとつひとつに手足が生えている。チョコレートで出来た固そうな尻尾がブォン! と空を切り、ユーリエの前髪を靡かせた。
「甘い物、楽しみー……に、してたんだけどなー?」
 呆然として立っているユーリエの隣で、『猫のワルツ』スー・リソライト(p3p006924)が人差し指を顎に当てて呟いた。店のカウンターに隠れながらすまなそうにしている『境界案内人』神郷 蒼矢と目が合うと、悪戯成功とばかりにクスッと笑う。
「……ふふふ、じょーだんじょーだん! でも、これが終わった後は…期待して良いんでしょっ?」
 そう。目の前のハプニングさえ片付ければ、優雅な時間が待っている筈なのだ。
「お菓子でできたエネミーって、何だか不思議だよね」
 テーブルを横倒しにして盾代わりにしつつ、『虚空』奏多 リーフェ 星宮(p3p008061) は暴走し放題のスイーツドラゴン達を見つめた。大きさは店に収まるほどだが、ばっさばっさとはためく翼が棚のリキュールボトルをガタガタ揺らしている。落として割るのは最早時間の問題かもしれない。
「僕自身戦うのは好きじゃないんだけど……まあ、人が困ってるなら戦わないとね」
 奏多の呟きが耳に届き、ようやくユーリエもハッと我に返った。
「私達のティータイムを返してもらわなくては!」
 気持ちを新たに拳を握ったところで、ドラゴン達がこちらの声に気づいたように、のそのそと身体を向けてくる。するとーー。

 ヒュガッ!!

 ボス格のチョコミント・ドラゴンの足元に、一輪の薔薇が花びらを散らせて突き刺さった。
 何者だとドラゴン達が長い首を擡げると、そこには凛として立ちはだかる 『メサージュ・ド・ローズ』片白・蘇芳(p3p008107)の姿。
「ラド・バウの闘士、片白・蘇芳と申します。店を騒がし続けるつもりであれば、どうぞお覚悟を」
 彼女が敵前へと駆け出したのを皮切りに、各々が自分に出来る事を信じて立ち向かう!

「すごいなぁ」
 怯えて隠れていた蒼矢が、カウンターから顔を出す。
 日頃は安全な場所から彼らを見てきたが、こんなに間近で雄姿を拝めるのは珍しい。恐れはありつつも、目に焼き付けようと唾をのむ。
「皆、気を付けてね!」

●情熱のバトルステージ
 真っ先に動いたのはチョコミント・ドラゴンだ。

 きょるるるーー!!

 開いた大口から噴き出される緑色の炎が、強いミントの香りを纏って放たれる!
「この程度の刺激で、闘志の花は折れません」
「ミントの香りはあまり好きじゃないんですよね」
 猛火を前に立ちはだかったのは蘇芳とユーリエだ。
 蘇芳は『過酷体制』で刺激を無視してやり過ごし、ユーリエは纏っていたマント『深紅のとばり』を裂き、スカーフのように口元に巻いて匂いを防ぐ。
「匂いは絶てど、炎が身を焦がす事は変わりませんね」
 反撃のバトンを託すように蘇芳が手にした薔薇を放る。その先には『Trance』で高揚したスーが立っていた。
「ドキドキしちゃうね。どんな異世界でも……初めてのステージはっ!」
 受け取った薔薇を口に加え、ダダンッ! とヒールで床にリズムを刻み、鳴らす手拍子で敵の気をひく。
「オーレっ!」
 本来であればフラメンコは薔薇をくわえて踊るダンスではない。しかし踊りを多くの人に知って貰えるきっかけになるならと、あえて"そういうイメージ"で広めた先人の意思に、スーは敬意を感じていた。心惹かれたミニドラへ、一緒に踊りましょう? と誘導をかける。
(隙が出来た、この隙に……!)
 残されたチョコミント・ドラゴン。その死角から、奏多が飛び出し『魔力撃』を纏った双剣をもって、翼膜を突き破る!
「はあああぁーーっ!!」
 飛べなくなったチョコミント・ドラゴンが怒って暴れだそうとすると、蘇芳と奏多は背中を合わせ、今一度敵へと互いの得物を手に身構えた。
「アナタの剣技も素晴らしいですね」
「蘇芳君だって、これから凄いの見せてくれるんだよね?」
「--無論」

 剣士2人が大型のドラゴンに挑んでいる中、ユーリエはミニドラを伴ったスーの援護に駆けつけていた。店の外の赤い煉瓦が印象的な西洋風の大通り。幸い人の気配はなく、戦うにはうってつけの場所だ。
「お店の中で暴れたら荒れちゃうなぁと思ってたんですけど、これなら遠慮せずに頑張れそうですね!」
 ひらりひらりと情熱的に踊りながら攻撃を躱していくスーに、攻撃しようと躍起になって飛び跳ねていたミニドラ達はいつの間にか疲弊してしまったようだ。出会った頃より足取りが重くなっているのが見て取れる。その緩慢な胴体を、ユーリエの『闇の束縛』が狙い撃つ!
「ユーリエさん! 駆けつけてくれたんだねっ!」
「気にしてた事はスーさんと同じでしたね! 後はまとめて……焼ききりますっ!」
 アンカーで引かれる力を借りながら、ミニドラとスーの元へ急速に近づくユーリエ。その手に握る剣に、宿ったのは緋色の炎。
 ゴウッ!! ……ほこほこ。
「すごいよ、ユーリエさんっ! 全部一気に燃やしちゃったーっ!」
「スーさんが囮になってくれたおかげです」
 ミニドラ達が目を×の字にして、どさどさーっと地面に倒れていく。見事な連携に思わずハイタッチする2人だったが、その鼻孔に何やら新たな美味しい香りが……。
「そっか、ミニドラってスコーンだったね! ……うぅぅ、お腹すいたなぁ」
「焼けてほっくりしてますね。このまま食べれたりするのでしょうか?」
 とりあえずカフェへ持ち帰ろう。火傷に気を付けながら2人でミニドラを両脇に抱え、お店の方へ戻っていくと、今まさにチョコミント・ドラゴンの巨体が大きく揺らいだ所だった。ドラゴンの足を蘇芳が削りきり、最後にスパッと鮮やかなる一閃をもって切り放したのだ。
「僕に出来る全力を……!」
 奏多がすかさずトドメとばかりにドラゴンの首を跳ねる。刹那ーー咆哮を上げたドラゴンは、白い煙を上げて大きなチョコミントのホールケーキに姿を変えた。つられるようにユーリエとスーが抱えてきたミニドラ達も、焼き立ての香りはそのままに美味しそうなスコーンへと姿を変える。
「すごい! 恰好よかったよ、得意運命座標!」
 4人の活躍を見ていた蒼矢が興奮気味に拍手を送る。かくしてカフェの治安は守られた!

●Sweet time.
 戦いの終わった店内は文字通り怪物が通り過ぎたような惨状だったが、掃除を全て終わらせる頃には店の中は超満員! ミニドラを外で倒したのがお店のパフォーマンスと思われたようで、閑古鳥が鳴いていた店内はいつの間にやら活気が戻ってきていた。
「悪いなぁ、手伝ってもらって」
「いいえ、ステキなグラオ・クローネの体験ができました!」
 チョコミント風のカフェウェイトレスの制服に身を包んだユーリエは、楽しそうにケーキを運んで手伝っている。
 お客が来た事で活き活きしはじめたのは、この特異運命座標も同じだった。
『ラド・バウの闘士、片白・蘇芳と申します。闘技場にお立ち寄りの際はどうぞごひいきに!』
 軽く会釈をした蘇芳に、お客さんの拍手が降る。チョコレートを花弁のように刻んでつくった薔薇の花細工に、ギフトによってもたらされた恩恵ーー『メサージュ・ド・ローズ』によって込めた挨拶のメッセージが、多くの人の心に届いたのだ。

「あまーーいっ! ドラゴンってこんなに美味しいものなんだねっ!?」
 念願のスイーツをようやく食べられて、スーはとても幸せそうだ。ふわふわの白い耳が嬉しそうに揺れている。口休めに啜る紅茶は、ミントの刺激で傷んだ身体を優しく癒してくれた。
「奏多さんが持って来てくれた紅茶、いい匂いでホッとしちゃうなぁ」
「スー君にも気に入ってもらえて良かったよ。最初は僕が飲みたいから持って来ただけだったんだけど、思いのほか好評だったね」
「もしかして飲みすぎちゃった……?」
「もっと飲んで欲しいくらいだよ。お茶っ葉の缶って、綺麗なものが多いのに、一度買うとなかなか減らなくて新しい物に手が出しづらいから」
 分かるー、とカウンターで頷く蒼矢こと店主。運んできたアフタヌーンティーセットには、三段組みのお皿の上に、色とりどりの甘いお菓子が並んでいる。店が落ち着き手伝いから解放されたユーリエも、これには再び目を輝かせた。
「すごいですね、プリンにチョコに……あっ、ショートケーキも!」
「今日はオススメぜーんぶ……いや、オススメ以外もぜーんぶ食べるつもりで来てるからねっ!」
「今回の事件もそうだけど、今日は日頃の感謝を込めて腕によりをかけるよ。沢山食べてね」
 蒼矢の話を聞いて、ふと疑問に思った奏多が口を開く。
「この甘味、全て蒼矢君が作ってるんだ?」
 それは凄い、とスーが興味津々に蒼矢を見つめた。
「あっ、そうだ。今度チョコレート作りをする事になったんだけど、コツとか……あるかなっ?」
「コツは勿論、食べてもらう人の事を思う事だよ。それからーー」

 きょるるるーー!!

「お菓子をモンスターにする事……ですか?」
「嘘でしょお!?」
 再び厨房からモンスターの鳴き声が響く。
 既視感を感じつつも、得意運命座標たちは再び武器を手に取ったのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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