シナリオ詳細
<菓想世界>お菓子の世界で遊ぼう!~渓谷編~
オープニング
●お菓子の世界『ドルフェイト』
ドルフェイド。それは、ありとあらゆるものがお菓子でできている世界。雲は綿菓子、屋根瓦は焼き八つ橋、海はサイダーで、小石はチョコレート。
一番の特徴は『この世界は【イノチの核】と呼ばれる金平糖によく似たモノさえ残っていれば翌日には修復されるから、いくら食べても大丈夫』という夢のような世界。
とはいえ【イノチの核】を奪われてしまうと修復されなくなってしまうのだという。【イノチの核】は生物や人によって身につけていたり体に埋まっていたりとそれぞれ違うようだが形は全てが星の形をしているらしい。
取り外し可能なので、たまにおっちょこちょいな生き物は【イノチの核】を盗まれたりするんだとか。【イノチの核】は他人に装着しても効果があるが、有限でもあるようで、溶けて消えてしまうらしい。
男女という概念はなく、その代わりに、毎年、金平糖が降り注ぐといわれる流星の日に7つ、世界に【イノチの核】が産み落とされるのだという。
●ティラミス・オペラ谷
地層がいくつも折り重なる渓谷。
しかし、風が吹いても立つのは土ぼこりではなくココアパウダーだ。
オペラと呼ばれるチョコレートケーキと、ティラミスによく似た渓谷に流れる川はアップルティーソーダ。どこもかしこも、すべてお菓子でできている。見たところ『イノチの核』は見当たらず、誤って食べてしまう、なんてことはなさそうだ。
ここでティーパーティをするのも悪くないかもしれない。
「せっかくだから、スイーツ作成対決なんてどうだい?」
カストルが瞳を輝かせて問いかける。おいしいものが食べたいと如実にその目は訴えかけていた。イレギュラーズがその様子に苦笑したのを見れば、目を反らして。
「その、ポルックスがさ、異世界のおいしいスイーツを毎日見せてくるから、興味があるっていうか。
それに、ポルックスだってこの世界を探検するって言っていたし!
こんなにハッピーの塊みたいな世界を独り占めするなんてずるいだろう!?」
後半がおそらく彼の本音だろうなぁなんて思いつつ、けれど、境界案内人が頑張っているのは事実。たまにはねぎらうのも悪くない。……はずだ。
- <菓想世界>お菓子の世界で遊ぼう!~渓谷編~完了
- NM名蛇穴 典雅
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年02月20日 22時05分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●お菓子の世界はおかしな世界
菓想世界〈ドルフェイド〉。——それは、ありとあらゆるものがお菓子でできている世界。雲は綿菓子、屋根瓦は焼き八つ橋、海はサイダーで、小石はチョコレート。地面はパフェで出来ていて、掘った深さで味が変わる。コーンフレーク、生クリーム、はたまたどうなっているのか、ホワイトチョコレートでコーティングされた果物がでてくる始末。……だけれど、イレギュラーズが踏んだとしても沈まない。魔訶不識なコトワリを持つこの菓想世界〈ドルフェイド〉。
だが、一番の特徴は『この世界は【イノチの核】と呼ばれる金平糖によく似たモノさえ残っていれば翌日には修復されるから、いくら食べても大丈夫』という夢のようなコトワリによって構造されている世界という事だ。
「おおお……!」
話では聞いていたものの、本当にそんな世界があるのかと半信半疑だったイレギュラーズだったか、実際にやってきて目を見張る。深呼吸をすれば、甘い香りが胸いっぱいに広がった。
「にしても……不思議だ。空がピンクとうすいムラサキ色のグラデーションをしている」
「ヘンゼルとグレーテルがみたら喜びそうな、メルヘンな世界だねえ」
『虚空』奏多 リーフェ 星宮が、綿菓子でできた雲が本当にあるのだろうかと空を見上げてみると、混沌とはまるっきり異なるその色にぽかんと口をあけて呟けば、『闇之雲』武器商人(p3p001107) が口元を袖で隠しながら、クスクスと笑う。視界の端では己の番である『皆の翼』ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155) が、なんとも愛らしい様子で目を輝かせてきょろきょろと周囲を見渡していた。『凡才の付与術師』回言 世界(p3p007315) と言えば、さっそく食べ歩くことにしたようで、渓谷を掬ったのちに、勇気を出してぱくりと口に入れてみる。ほろ苦いエスプレッソの利いたチョコレイトの香り。どうやら本当にこの渓谷はティラミスで出来ているらしい。
「まさに夢のような場所だな。……素晴らしい! どうせならこんな世界に生まれたかったもんだ」
世界の様子に、好奇心のまま、ヨダカも崖から生えている小枝を折って口に含む。そして目をまんまるにした。
「どお? 我(アタシ)の小鳥。どんな味がする?」
「レモンティーの味がするキャンディだ……」
「それはまたなんとも驚きだねぇ」
彼はサクッとココアパウダーをふるいにかけて、小石のチョコレートをアクセントに加えるべく拾ったり、地面を掘って出てきたジャムや果物を掬い取ったりと楽しそうに調理をしている。
せっかくだし、と武器商人がヨダカに向きなおる。かわいいかわいい番がこんなに瞳を輝かせている世界も珍しい。
「小鳥、何か食べたいのある?」
「食べたいもの…沢山あるから選ぶのが難しい…けど紫月が作ってくれた物は全部嬉しい…」
「そう、選ぶのが難しいか。じゃあ、無難にココアクッキーでも焼こうか。他に食べたいものがあれば後で作ってあげるからね。味もそれなり、でよければだけど」
「クッキーを焼くなら、一緒につくろう」
「なにも作らなくても、こんなに素敵な世界ならいるだけで満足しそうなものだが、作るのも楽しそうだな。俺は審査員に徹するけど」
世界はせっせとクッキーを作り始める奏多と武器商人と、手伝いをするヨダカを見て、微笑んだ。
●第一村人発見!
型でもって花や蝶をモチーフにしたクッキーが焼きあがる。
ジュースをアイスキャンディーにすることすらできないヨダカにとって、クッキーが『クッキー』として出来上がったのは奇跡に近いようで、自分が作った不格好な小鳥のクッキーを、まるで希少な宝石を見ているかのような扱い方をするので、イレギュラーズたちは大いに笑った。
奏多が用意したのは甘さのないストレートティーだが、この世界ならうってつけのだろう。世界も一口味見したけれど、まさにベストセレクトといったもので、親指を立てて彼を褒めた。
さぁ、ティーパーティーの準備は整った。カストルを呼びだせば、彼も一緒になって午後三時の愉快なお茶会を楽しんだ。彼は『スイーツ作成対決』なんて言っていたが、3人が作ったクッキーを口にすると、それだけで満足したのか『これは全員、優勝でいいんじゃないかな?』なんて笑っていた。
「ヨダカ。それ、食べないのかい」
世界が声をかけると、ヨダカはぎくりと肩を震わせる。彼が後生大事にしている手作りの小鳥クッキーは、彼のお皿にこそちょこんと乗っているものの、まだ手を付けられていなかった。
「あ、う、……食べる、けど……」
すこしもったいなくて、と眉を下げるヨダカ。けれど、意を決して手を伸ばしたその時だった。
ひゅるり、と空気が変わる。渓谷に流れていた川のせせらぎすら、音を止めた。突然の静寂。突然の『イレギュラーな事態』に、イレギュラーズは立ち上がる。
何事だ、と思って警戒を始めた刹那、ピンクとムラサキが混じる空から、光が――ヨダカのお皿に落ちてきた。
「っ!」
「……!」
「な、なんだ」
「まぶしい……!」
光が収まったと思った時、そこには……
「ぴぃ!」
……ヨダカの作った小鳥が『動いて』お皿の上に鎮座していた。胸にはオレンジ色の星が煌めていて。
「もしかして、これが『イノチの核』……?」
世界のつぶやきと共に『わー!』という声が遠くで上がった
「観測日とは違う日に落ちてきたと思ったら!
なんということじゃ! 〈パティシエール〉をみることになるとはのう!」
口元に白いおひげを生やしたマシュマロでできているらしい人間が、ぽきゅぽきゅとコミカルな音を立てながらやってきた。彼の胸にも、キミドリ色の星が煌めいている。どうやらこの世界の住民のようだった。
「『流星の日』を観測し続けて100年。こんな日がくるなんて、ワシは思ってもみなかったわい」
「あの、貴方はどちらさまですか?」
「おお、そうじゃった。〈パティシエール〉の皆さまにご挨拶が遅れて申し訳ない。ワシは『マシュマロ族』の『シュマー博士』と呼ばれている者じゃ」
『マシュマロ族』。『シュマー博士』。その言葉にイレギュラーズは顔を見合わせた。
まさか、この世界の物だけではなく、この世界の住民そのものも――
「もしかして、おかし、で、できている……?」
●神とよばれるもの
「『オカシ』というのはわからんが、パティシエール様方が作ってできたものであることには間違いありませんですじゃ」
「パティシエール、というのは」
「我々の創造主ですじゃ」
奏多の問いかけにこたえてくれたシュマー博士の言葉から察するに、パティシエールというのはこの世界において『神』を表すものだという事はわかった。彼曰く、空も雲も大地もすべて、パティシエールが作ったのだという。世界は『ハイティースタンド』と呼ばれる3段の層で出来ていて、天空層、地上層、地底層があるのだと。そして、……世界は平面で有限なのだと。
「さながら寿命は消費期限(エクスパイリィ)ってところか……?」
それを指しているのがこのイノチの核なのだとすれば、なんとも不思議な世界である。
「それにしても、クッキー族の小鳥なんて初めて見ましたなぁ。新種誕生の瞬間に立ち会えるなんて、いやはや、長生きするものですなぁ」
研究レポートを書き上げなくては! と張り切ったシュマー博士の背中を見送りながら、イレギュラーズはこの世界のおかしな仕組みに、目を点にしていた。
「いやはや、収集しがいのある物語だね」
もぐもぐとカストルだけが、イレギュラーズの作ったクッキーをおいしそうに頬張っていたのであった。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
●メイン目標
ティラミス・オペラ谷で面白おかしくティーパーティをする
●サブ目標
この世界を好きになる
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