PandoraPartyProject

シナリオ詳細

猫の怒りを鎮められるのは猫だけなのです

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●猫カフェが大変だ
 荒れ果てた室内。倒されたキャットタワー。散乱するごはん皿。蹴倒された無線スピーカー。
 そんな中で、けたたましく声が響く。
「ワーオ!」
「ナーーオ!!」
 声の主は猫たちだ。大小さまざま、毛色も様々、総勢10匹ほどのにゃんこたちが、あっちこっちで喧嘩をしている。
「アーーーオ!!!」
「マーーーオ!!!」
 もう、うるさいったらしょうがない。なにせこの場所にいる全ての猫たちが、喧嘩の真っ最中で大声を上げているのだから。
 人間のスタッフさんたちは既にひっかき傷だらけでスタッフルームの中。店内のお客さんは全員避難済み。
 ここにはただ、猫ばかりがいて、みんな何かに突き動かされるかのように喧嘩をしていた。
 これは、大変だ。
「「マ゛ーーーーオ!!!!」」

●その大変なのを収めるのに仕掛けがあるらしい
「ん……初めまして、って挨拶は必要だろうけど、先に案件の説明をしちゃおうかー」
 境界案内人、『雑踏の黒猫又』稲森・千河は小さくあくびを零しながら、その場の特異運命座標を見渡した。
 この度新たに異世界から渡って来た彼女の言うことによれば、とある世界が何やら危機的状況に瀕しているらしい。
「世界としては、そうねー……文明は結構進んでるかな、世界全体で人も情報も行き来できて、食物は豊富、病気もあるけど人間はどんどん増えている。
 こっちにも似た世界から来た人、いるんじゃないかなー?要するに『地球』をイメージしてくれれば、それで大体合ってるわよ」
 そう話す千河は一本立てた指をくるくる回しながら笑った。
 機械文明が発展し、魔法の力が無いながら魔法のような出来事が日常的に起こる世界。人がどんどん増え、寿命を延ばして、楽しく生きる世界。
 今回はそんな世界の、とある国、とある都市が舞台だ。
 いったいそんな世界の、何が問題なんだ、と問う特異運命座標の一人に、千河は動かしていた指先を自分の顎へと当てた。
「んーとね、皆、『猫カフェ』って聞いたことあるー?猫がいっぱいいて、ちゃんと餌とか繁殖とか管理された中で暮らしていて、その猫とお客さんが触れ合えるお店。
 そこが、なんかちょっと大変なことになっているわけなのよー」
 目を見張る特異運命座標がいる中で千河は説明を始める。
 何でも、猫カフェで飼われている猫たちが突然に凶暴化、互いに喧嘩を始めてしまい、営業どころではないのだそうだ。
 スタッフが何とか宥めようにも手の付けようがない、無理やり引き離そうとすれば逆に暴れて引っ掻かれる始末。完全に商売あがったりだ。
「猫たちを大人しくさせて、なんで凶暴化したのか、その理由を突き止めてもらいたいわけよー。何か絶対、トラブルの原因が店内にあるはずだからねー。
 ただ、さっきも言った通り猫慣れしているスタッフさんたちでも抑えられていない状況だからー……んー……この案件に参加する人、みんな『猫になってもらう』わ」
 千河が欠伸をしながら告げた内容に、特異運命座標が揃ってきょとんとした。
 猫になってもらう?
 全くなんでもないことのようにとんでもないことを言いだした猫又の少女に、全員が視線を集中させた。
 が、当の本人はぐっと目を瞑った後に、真剣な表情になってその目を見返してくる。
「聞こえなかったー?もう一度言うわね、『猫になってもらう』。猫になって、猫目線で、このトラブルを収めてほしいって寸法よ。
 あ、変身技能とかなくても全然大丈夫よー、あっちに着いたらあたしの術で変えてあげるから」
 曰く、猫又である彼女はその手の妖術に長けているとのこと。人間数人を思い思いの姿に変身させることなど、訳もないのだそうだ。
 猫の目線で、猫の間に発生したトラブルを解決する。そしてそのトラブルの原因を排除する。
 これが今回の依頼の主軸だ。
 説明が終わったことを確認した千河が、ひらりと羽織をはためかせる。開かれるポータルの向こうから喧騒が聞こえてきた。
「準備はいいかしらー?それじゃ、よろしく頼むわねー……ふあ」

NMコメント

 特異運命座標の皆様、こんにちは。
 屋守保英です。
 にゃんこになっていただくライブノベルです。にゃーん。

●目的
 ・猫カフェに発生した問題を排除する。

●特記事項
 このシナリオに参加する皆さんは、全員例外なく「猫になっていただきます」。
 どんな猫になりたいか、品種や毛色は何か、プレイング中でご指示をいただければそれに合わせます。

●場面
 地球によく似た世界の、日本によく似た国の首都にある猫カフェ「ごめんNE!」です。
 中では12匹の猫が飼われており、それらの猫たちと触れ合い、一緒に時間を過ごせるというコンセプトのお店です。
 しかし今は猫たちが全員何らかの理由で怒って大暴れしており、店内はぐちゃぐちゃです。
 スタッフさんは暴れる猫たちを抑えようとして失敗し、腕や足にたくさん引っかき傷を作ってスタッフルームに撤退しています(お願いすれば水や猫のごはん、おやつなどの提供といったサポートをしてくれます)。
 お客さんは中にはいません。全員避難しています。
 店内にはキャットタワー、猫の隠れられるハウス、クッションや爪とぎが散乱しています。また、音楽をかけるための無線スピーカーが一台あります。

 それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしております。

  • 猫の怒りを鎮められるのは猫だけなのです完了
  • NM名屋守保英
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月09日 21時40分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ライセル(p3p002845)
Dáinsleif
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)
煌めきの王子

リプレイ

●猫カフェ「ごめんNE!」店内にて
「それじゃ、皆準備はいいかしらー?」
 猫の喚き声が響く猫カフェ店内の真ん中で『雑踏の黒猫又』稲森・千河が呼びかけると、四人の特異運命座標はこくりと頷いた。
「俺が、猫に……楽しそうだなぁ」
「猫になっての仕事なんて生まれて初めてなのです」
 『Dáinsleif』ライセル(p3p002845)が楽しげに言うと、隣で『白き歌』ラクリマ・イース(p3p004247)もにこりと微笑む。
 その横では、『煌めきの王子』クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)が随分自信ありげに笑っている。
「つい少し前には犬になってきた僕ならば……動物の気持ちを理解できるはず!」
 経験があるとは言え、猫ではなく、犬だけれど。それでも同じ動物。きっと何とかなる。
 対して、『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)は過去に別の世界で、正しく猫になった経験がある。自信満々に胸を叩いた。
「ふっふっふ。猫経験者の私にお任せあれ!」
「おぉー、頼りにしてます!」
 経験者のノースポールに、ラクリマがキラキラした目を向けた。その視線に胸がチクリと痛む。あの時は、ごろごろ過ごしていただけだったから。
「店員さんへのお願いは、もう済んでるんだね?」
「大丈夫。ちゅー○も猫缶もかつおぶしもお願いしてある」
 仕事をするにあたり、クリスティアンがライセルに確認の視線を向けると、彼はこくりと頷く。ぬかりはない。
 準備が整ったことを確認したところで、千河も頷いた。指を天井へと伸ばして呪文を唱える。
「じゃあいくわねー。跳梁跋扈、急急如律令!」
 途端、指先から放たれた光に四人が包まれて、光が収まった頃には。
「にゃー」
 短毛で凛々しい黒猫のライセルと。
「にゃん!」
 薔薇の眼帯を付けた茶虎のラクリマと。
「うにゃー!」
 真っ白なもっふもふ長毛でちまっとしたノースポールに。
「なーお!」
 ラグドール並に大きなレッドタビーのクリスティアン。
「みゃーん」
 あれ、この青眼の白猫は誰だ?
「あ、ライセルさんの犬にも術がかかっちゃったみたい。まぁいいかー」

●以降の台詞は猫語を翻訳してお送りします
『なんだとコラー!』
『やんのかー!』
 猫になって、周りの猫の言葉も分かるようになって。
 四人と一匹はぐるりと周囲を見渡した。クリスティアンが呆れたように呟く。
『いやぁ、見事に喧嘩しているねぇ』
『さて、どうしようか』
『なんかちょっと目線が違って楽しいのです!』
 何から動こうかと思案するライセルの隣で、ラクリマはうきうきと楽しそうだ。
 何しろ、自分が猫になるという経験しがたい状況。自然と心も沸き立つ。
 視線を動かすと、早速ノースポールが近くで喧嘩していた灰色猫に声をかけている。
『あのっ、どうしたんですか? 何かお困り事ですか!?』
『うっせー割り込むな!』
『うぅん、聞いてくれそうにありません~』
 噛みつかれるように追い返され、耳をしゅんとさせて戻ってくるノースポールにライセルが優しく頬を寄せる。
『心配するな、こんな時のためにあれをお願いしてあるんだ』
『そうだとも、おっ、噂をすれば!』
 クリスティアンがスタッフルームの方に視線を向ければ。ドアがかちゃりと開く音と共に、おやつを手に持ったスタッフが。
「おやつの時間ですよ~」
 呼びかけの声と共に、切られるちゅー○の封。皿に開けられる減塩かつおぶし。たまらない香りがカフェの中に広がっていく。
『来たっ!』
『ちゅー○にカニカマ、かつおぶしー!』
 真っ先に駆け寄ったのはクリスティアンだ。ライセルとジョニーも後に続く。
『くんくん、なんて美味しいそうな匂いなんだ! 僕も猫になってしまっているからか、この匂いを我慢できないにゃ!』
『味覚も猫に変わっているようだ。ちゅー○が美味しく感じるよ』
『美味しいです、ご主人!』
 ライセルとジョニーも、普段は味わうことの無い猫用おやつにご満悦。二人と一匹がおやつを堪能している姿に、他の猫たちも反応した。
『おやつの時間だったっけ?』
『喧嘩してたらお腹空いちゃったー』
 やはり、おやつの力は偉大。八匹の猫が喧嘩をやめ、おやつに群がり始めた。
『何匹か、落ち着いてくれたようだ』
『だが、まだやってる子もいるにゃ……』
 それを見ながら、二人が互いを見て笑う。確かに、まだ喧嘩中の猫はいる。そちらには別途、対応しないとならないだろう、が。
『まぁ、それは後の二人に任せよう』
『美味しいにゃ~! 皆も好きに食べるといいのにゃ!』
 今は楽しいおやつタイム。楽しまねば損というものだ。

●喧嘩の原因は
『ざけんなコラー!』
 灰色猫がタビー柄の猫に吠えかかり、一緒にその右手を振りかぶる。
 と、そこに割り込んでくる白いもふもふ。
『ストーップ、ですにゃあ!』
『同じくストーップ!』
 ノースポールが喧嘩している二匹の間にぼふっと割り込んだ。同時にクリスティアンが瞳をキラーンと輝かせる。
 びっくりした猫が、背中の毛を膨らませて二人を睨みつけた。
『なっ、なんだオメーら!』
『何故喧嘩をするのでしょうか!?』
 喧嘩腰の猫に、ノースポールがきりっと目尻を持ち上げながら声をかける。
 と、興奮が収まらない様子の灰色猫が、再びその右手を振り上げた。
『何当たり前のこと言ってんだ! お前もこうして――』
『ねこぱーんち!』
『ぐほっ!?』
 猫パンチがノースポールに炸裂する間際、別方向から猫パンチが飛んでくる。ラクリマだ。
 猫パンチと言っておきながら、その威力は絶大。何しろ威力975だから。灰色猫は勢いよく吹き飛び、キャットタワーにぶつかって止まる。
『安心しろ、峰打ちだ』
 とても峰打ちの威力じゃありませんラクリマさん。
 よそで喧嘩をしていた二匹もびっくりして喧嘩を止める。よし、静かになった。
『で、なんで喧嘩をしているんですか?』
『スタッフさんたちも困っているのにゃ~』
 ラクリマとクリスティアンが喧嘩に加わっていた猫たちに話しかけると、彼等は互いに顔を合わせた。信じられないと言いたげに特異運命座標を見る。
『お前ら、気付いてないのか? この音だよ』
 猫たちが天井を見上げるのに釣られて、三人は天井を見た。確かに店内には最近流行りのJ-POPが流されている。
『音楽ですか? 確かにちょっと耳障りに聞こえる気もしますけれど……』
 ラクリマが眉根を寄せると、猫たちは揃って不満げな顔をした。
『ここに流れる音は一日中同じでさ。今日はずっとこの耳障りな音なんだ。それでイライラしてたってわけ』
 猫たちの言葉に、ノースポールが頷く。
 無線スピーカーが店に入った当初から気になっていたのだが、ビンゴだったようだ。
『なるほど……あれが当たりだったわけですね』
 事件の原因が判明したところで、ライセルとジョニーが近づいてきた。ラクリマの身体を毛繕いするようにぺろりと舐める。
『解決したかい?』
『あっ、ライセルさ――くすぐったいのです! 恥ずかしいのです!』
『うわぁー!』
 恥ずかしがったラクリマが再びの猫パンチ(威嚇術)。ライセルは敢え無く吹っ飛んだ。
『千河さんに報告して、音楽を止めてもらうのです!』
 吹っ飛ばされたライセルにクリスティアンが駆け寄る中、ノースポールが千河の元へと走る。足元に寄って、顔を見上げて一鳴き。
「ん? ふんふん、なるほどー。ちょっと待ってて」
 しゃがみ込んでノースポールと二言三言交わした千河が、スタッフルームの方に歩いていく。話しかけた当のノースポールは目を丸くしていた。
『通じたのです!?』
『千河ちゃんも猫だからかな?』
 猫パンチの衝撃から復帰したライセルが尻尾をふさり。
 そして程なくして、無線スピーカーから流れる音楽が止まった。
『はー、ようやく収まった』
 途端に落ち着いた様子になる猫たち。これで事態は解決だ。
 気持ちが落ち着いたらしい猫たちへと、クリスティアンが声をかける。
『猫の皆! 怪我もさせちゃっているのにゃ、一緒にごめんなさいしようなのにゃ! せーの』
 呼びかけに応じた猫たちが横一列になり、床に伏せ、揃えた前脚に顔を埋めて眠るようなポーズを取る。その姿勢を見て、出てきた千河とスタッフが笑みを零した。
「あ……ふふっ」
「『ごめんNE!』ですね」
 そう、「ごめん寝」。それはまさに、このカフェの店名でもあった。

●猫は寝子なのです
「おーい、皆ー」
 スタッフが仕事に戻り、避難したお客さんも戻ってくる中、千河が特異運命座標に呼び掛けた。
 駆け寄る四人と一匹にしゃがみ込んだ千河が笑いかける。
「これで事件は解決だけど……もう帰る?」
 その言葉に、四人は揃って頭を振った。
『猫を満喫してから帰ります!』
『お客さんとの触れ合いも楽しみたいしね』
『疲れたのでお昼寝したいにゃ!』
『私はもっと遊びたいです!』
 どうやら、まだまだ猫の時間を楽しみたいのは全員一緒らしい。その言葉に千河はくすりと笑みを零した。
「なるほど。いいよー、戻りたくなったら声かけてねー……ふあ」
 欠伸を一つ零して立ち上がった千河は他の猫と遊びに行って。
 そうして四人と一匹の猫は、思い思いの場所に駆けていった。ラクリマは早速、日当たりのいいカラーボックスの上に陣取っていてお昼寝モードだ。
『ここぽかぽか暖かいのです……』
『じゃあ俺もそこで寝ようかなぁ』
『くっ、最高のお昼寝スポットを取られてしまったにゃ!』
 そのラクリマに寄り添うようにライセルも丸まって、クリスティアンが悔し気に爪を研ぐ。
 キャットタワーの最上段に飛び乗ったノースポールが、二人の姿を見下ろしながら笑っていた。
『わぁ、高い所は楽しいですねっ! そして……ふふっ、ラクリマさんとライセルさんは仲良しなんですね~♪』
 そう言って、ノースポールもキャットタワーの上で丸くなる。
 猫の時間は、まだまだ終わりそうにない。

成否

成功

状態異常

なし

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