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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 第二幕》未来へと続く一日を

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■あれから一年
「お姉様、いよいよ明日ね」
「ええ、そうね。あっという間だったわ」
 深い森の中にある一件の豪邸。月明かりに照らされたテラスにて、狐人の姉妹が隣り合って立って月を見上げながら会話する。
 姉の名はシルヴィア。妹の名はメルティ。この広大な森をはるか昔より護ってきた一族の、跡取り娘達だ。
 そんな彼女達が感慨深げに語り合うのは、ここより一年前の日の事。
 恋に落ちて周りが見えなくなっていたシルヴィアは駆け落ちをしようとし。そんな姉を止めたくても引っ込み思案だったメルティは何もできなかった。
 けれど、彼女達の運命は。素晴らしき友人達によって変わる事になる。姉の事を側で守り、妹の手を引っ張ってくれた友人達。
「あの人達は…来てくれるかしら。」
「わからないわ…でもきっと、あの人達なら…」
 いつの間にか姿を消してしまっていた友人達。明日、執り行われる結婚式に友人達も招待したかったのだが足取りは掴めずじまい。けれども、不思議な友人達はきっと来てくれる。そんな予感がシルヴィアにはあった。

「おや義兄弟。眠れないのかい?」
「イグニス様…」
 屋敷内の廊下にて、二人の男性が邂逅する。執事服に身を包んだのはコルス。シルヴィアの婚約者。イグニスと呼ばれた貴族風の男は、メルティの婚約者だ。
 つまり彼らは明日から義兄弟の関係になる。しかしぎこちないコルスの対応にイグニスは苦笑を浮かべる。
「呼び捨てで良いと言っただろう?」
「…すいません、どうにも慣れなく…」
 肩を竦ませコルスに近寄り、大げさにあきれて見せるイグニス。対するコルスは真面目に困った表情を浮かべている。
 ま、それはいいさ、と前置きして。イグニスは会話を切り出す。
「君の言う友人達なら大丈夫さ。きっと来てくれる」
「…はい、僕もそう信じています」
 ほぼ全ての招待客は、既にこの屋敷についてそれぞれの部屋で眠っている。
 しかし、コルスが一番呼びたい、お礼を言いたい友人達は。どこにいるともわからず。結局結婚するという話を街に流す程度しかできなかった。
 それでも、きっと友人達は。どこからともなく現れてくれると信じて。あの時のように。

■幸せな未来へ
「以前にあったお話、知っているかな?狐のお姉さんお兄さん達の駆け落ちのお話」
 境界図書館に集まったイレギュラーズ達に、本を片手に切り出すポルックス。
「知ってても知らなくてもいいよ。この本の世界のお話なんだけど、前回皆が頑張ってくれたおかげで続きが出てきたの」
 本を開いてイレギュラーズ達へ向ける。そこには、幸せそうな4人の男女の姿が写っていた。
「ちょうど結婚式をするところのお話。でも彼らには一つだけ心残りがあるの。素敵な友人達…皆が結婚式に来なかった事」
 だから。その心残りをなかった事にして。もっともっと幸せな未来を作ってあげよう、と締めくくる。

NMコメント

 いやー、インフルエンザは強敵でした。以下略です。
 拙作「狐の嫁入り」が皆様のおかげで最高のハッピーエンドを迎えましたので、続きができました。ありがとうございます。
(前作はこちら。読まなくても今回に影響はないです。https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/2382)
 今回の目的は一つ。二組のカップルの合同結婚式を盛大に祝ってあげてください。そうすれば、また新しい未来が出来る事でしょう。
 なお世界の不思議な力が働くので、前回参加した事がない方でも登場人物達は友人達と認識します。
 以下登場人物
■シルヴィア・フォレスト
 フォレスト家長女。前回駆け落ちを実行した行動力は鳴りを潜め、落ち着きのある令嬢として振る舞う。が、皆さんの前では地を見せる事もあるでしょう。
■コルス・フォレスト
 シルヴィアの旦那になる人物。正式にフォレスト姓を名乗る事を許された模様。前回より筋肉質になってますが、性格は変わらず真面目で穏やかです。
■メルティ・ルークス
 フォレスト家次女。前回最初では引っ込み思案な大人しい少女でしたが、最後に父親に啖呵をきった事により成長。今では旦那になるイグニスにも意見をするほどの強い女性に。
■イグニス・ルークス
 前回出る機会を失った元シルヴィアの婚約者。現メルティの旦那様。森の近くにある騎士の家系の出。普段はどこか飄々とした雰囲気も見せるが戦場では苛烈な獣のように戦う。
■アングラー・フォレスト
 現在のフォレスト家の家長。一年で色々あったのか少し痩せた模様。皆さんが絡まない限りは、式場の隅で娘達の晴れ姿に男泣きしてるだけだと思われます。
■スーラク・ルークス
 イグニスの父親。息子と同じく普段は気のいいおじさんだが戦場では暴風の如く荒れ狂う。今回は皆さんからのアクションがない限り、アングラーの隣で息子の晴れ姿を見ているだけです
■屋敷の使用人や、客人達。
 特に何もない背景ですが、もしかしたら面白い話が聞けるかも…?

 以上となります。
 今回は何も危険がないほのぼのなシナリオになる予定ですので、お気軽にご参加くださいませ。

  • 《狐の嫁入り 第二幕》未来へと続く一日を完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月23日 22時25分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

タマモ(p3p007012)
荒ぶる燐火
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す

リプレイ

■狐の嫁入り、開演
 しとしとと雨の降る日。二組の狐の男女は夫婦の契を交わす儀式に取り掛かろうとしていた。
 招待客と、ここまで育ててくれた父親に見守られ。厳かなタキシードと、優雅なドレスに身を包み、式の前の挨拶に、と会場を回る。その扉を開ける者が。
「ま、まあ、皆様!?」
「……やっぱり、来てくれたのですね!」
 彼らからすれば一年前、自分たちの手助けをしてくれたかけがえのない友四人だ。どこへ行ったのかも足取りも掴めずにいたが……
「メルティ、彼らがそうかい?」
「ええ、そうですわ旦那様。私達の恩人で……大切な方々」
 うっすら涙を浮かべる姉妹狐と、顔を綻ばせる執事と騎士の義兄弟。イレギュラーズ達は彼らに近寄り、一礼。
「いやァ、遅れるところだったヨ! 集中すると時間にルーズになるのは悪い癖だネ、治そうとは思ってるんだけど狩りが生き甲斐で天職なもんでサ!」
 外に狩ってきたばかりの大猪があるヨ、と風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)は夫婦に伝え。思わず飛び出しそうになった執事を嫁が嗜める。もう当主を継ぐのですから、配下への指示も大切な仕事ですよ、と。
「うん、なんとか間に合ったね。結婚おめでとう!」
「うむうむ、皆も良き晴れやかな顔をしておる。やはり人の笑顔はいいものじゃて。」
  『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440) と『荒ぶる燐火』タマモ(p3p007012) が見た目幼き笑顔を向ける。変わってないな、と一年前を知る者に印象づけて。
「それにしても皆様、どちらにいらっしゃったのです?」
 シルヴィアの問に、聖職者の服を着た 『就寝中』ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791) は適当に理由をつける。
「ボクは巡礼の最中でしたので……彼女達は一緒に巡っている仲間です。彼はご覧の通り風来坊の狩人なので……連絡がつかないのは仕方ないのです」
 でも、お祝い事にこうして顔を出せたのは、幸福……なのですよ。と。こちらは嘘偽り無く本心を伝え。彼の説明に納得した様子でイグニスが豪快に声を上げる。
「何にせよ、我が妻や義姉、義兄の友人達が出向いてくれたのは感謝だ! 是非参列して……ああ、暫く滞在もして貰いたい。俺も君たちと親睦を深めたいからね!」
「強引ですよイグニスさ……んんっ、イグニス」
 咳払いをして言い直したコルス。どうにも堅苦しさが抜けないのは性分なのだろう。それでも、義兄弟となるイグニスとこれから長く永く付き合うのだ。彼に合わせようとする努力が見て取れる。
「おじいちゃん達の事なら大丈夫サ。時間はたっぷりあるヨ……いっぱい、話をしようヨ」
「そうね! 私も皆とお話いっぱいしたいし!」
 ジュルナットとメリーの言に、タマモもヴィクトールも頷くと姉妹狐は本当に嬉しそうに、ドレスだというのに少しはしたないがぴょんと跳ね。
「それじゃ、お姉様! 客室の用意をしてもらわないと!」
「ええ、そうね。ごめんなさい、手隙の者は客室を用意……そして折角のご好意です。猪もすぐに料理に並べれるように」
 シルヴィアの指示に何人かの使用人が慌ただしく駆けていく。コルスも反射的に動きそうになったが、シルヴィアに腕を掴まれ睨まれ。
「二組とも喧嘩をしても良いが互いに互いを尊重するように生きよ。それが夫婦円満の秘訣らしいぞ。我が友が言っておった」
 タマモが少し遠い過去を思い出すように、しかし強い意味を込めてそう伝えた。

■父親
「アングラー様……と、スーラク様、でしたでしょうか? ……アングラー様、大分おやせになられた気が……」
 主役の父だというのに、式場の片隅でちびちびと酒を呷っていたアングラーと、彼に付き合う男を見つけたイレギュラーズは挨拶に出向いた。
 男……イグニスの父スーラクは気さくに手をあげて返すが、アングラーはじろりと一瞥した後再び酒を口に含み。そして……。
「……痩せもするわい。一応、こちらからの婚約破棄という形になってしまったからな。こやつは気にしなくて良いというがそういう訳にもいかぬ。……這々に駆けずり回って説明をしたり、な」
「カカッ! この度はおめでとうじゃな! 早速親馬鹿を発揮しておるのォ……そんなに娘が嫁に行くのが嬉しいか? このこの」
 長々と口上を述べるアングラーに対し、その内心を察したタマモが悪戯っぽく笑いながら彼の腕を突付く。やはり、少し細くなった、と思いながら。
「……ち……。ああ、そうだ。妹のメルティが生まれてから儂は男手一つで、二人を育て、大切にしてきた……もう必要ないかと思うと、な」
 グラスを見つめ、柄になく弱気に、瞳をうるませるアングラー。
「昨夜からずっとこの調子でな。身体に悪いからやめておけと俺は言ってるんだが」
 肩を竦ませ。しかしその手にはしっかりとグラスを握ったスーラクが言う。言葉とは裏腹に、やけ酒に付き合っていたのだろう。
「私は子供持ちではないけど、昔の、人間の親友の子の成長を見てるからネ。感慨深くなるものサ。」
 ジュルナットが、かつての子の姿を思い出し。小さなグラスを一つ手に取り、アングラーに突き出す。一杯の乾杯くらい、いいだろう? と。アングラーも意図を読み、スーラクと合わせ3人。チン、とグラスを鳴らして。
「あ、そうそう。後で余興で手品やるんだけど、手伝ってねアングラー」
 もうひとり、悪戯娘のメアリーがウインク一つ残していく。

■式場の片隅で
「あの方達のお話? そうねぇ……」
 暇そうにしている使用人をつかまえた一行は、何か面白い話はないかと問うてみる。
「あ、そうそう。昔はシルヴィア様ってお転婆でね。よく森へコルス様を連れて冒険だーって言ってたのよ」
 森は怖いとグズるコルスを無理やり引っ張り、近くの森を散策していたシルヴィア。
 だがある日。うっかりと手負いの狼に遭遇してしまった事が切欠で。シルヴィアは真面目に魔術の修行をするようになったという。
「でもね、不思議と怪我はなかったのよお二人とも。なんでだと思う?」
 コルスが、襲ってくる狼に勇敢に立ち向かい、奇跡か必然か、傷口へのカウンターアタックを決めたからだ、と。それ以降、コルスも執事見習いとしての仕事の傍ら、武術を習い始めたそうだ。
 そしてその時から、二人の恋物語は始まった、とも。

■明日へと続く
「え、えぇ……ボクが、ですかぁ……?」
「牧師様に似た格好をしているのですから、できますでしょう?」
 メルティの提案に困惑の表情を浮かべるヴィクトール。聖職者の格好をした事が災いして牧師の代わりに式を進めて欲しいと頼まれたのだ。当然巡礼とかは嘘な為にできない彼は、どうしたものかと考え、考え。折れた。
「……牧師様のお手伝いなら良いですよ。宗教が違う者が出しゃばっては皆様も困るでしょう……?」
「む。確かに一理ありますわね。ええ、ではそれで」

 とのやり取りがあった為、誓いの言葉を読み上げる牧師の隣にヴィクトールは立っていた。少しだけこの格好をした事に後悔したが、特別な席で彼女達を祝えるのだから、と気を取り直し。
 式は滞りなく進んでいき。指輪交換も、誓いのキスも済ませ。後は思い思いに話をしていた参列者達。彼ら彼女らの前でタマモが赤色の狐火を出しては浮かべ、感嘆の声を貰ったり。
 メアリーがアングラーの財布を手を使わずに運んで見せたり、紙人形を動かし、ファミリアーで呼び出したハトと共に箒に乗って空を飛び、会場を沸かせた。
「ところでメアリーチャン? 財布はきちんと返しなさいヨ?」
「……バレた?」
 悪戯がジュルナットに見破られ、笑いをとったり。

 そして。タマモが二組の夫妻に渡した結婚を祝福する意味を込めた花々は。2つのブーケへと束ねられ。
「皆様、本日は私共の結婚式にご参列頂きありがとうございます!」
「私達は今日より夫婦となり、共に歩んで参ります」
「まだまだ未熟なボク達ですが……皆様、どうか変わらずご指導ご鞭撻を」
「そして親父殿、これまで育ててくれた事に感謝だ。いつか、この恩は返すからな!」

 そして投げられた2つのブーケは。幸せをお裾分けと願いを込めて放物線を描いて舞い。

「夫婦の契りを交わした事、おめでとうと言っておこうかのォ。同じ狐の身としては嬉しいモノよ」
「四人とも、ずっとずっと仲良くしなさいよ? 約束だからね!」
「またいつか、子ができた時にも来るヨ。大切なトモダチ」
「今日この日を迎えられたこと、とても嬉しく思います。どうか、いつまでもお幸せに!」

 狐の嫁入り。その日は必ず森に雨が降る日。
 だというのに今日、この日は。朝は降っていた大粒の雨がいつの間にかやんで、空に虹がかかっていた。
 二組の夫婦の門出を、太陽が見守るかのように。

成否

成功

状態異常

なし

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