PandoraPartyProject

シナリオ詳細

花色パレットパニック

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 爽やかなスカイブルーに燦々と輝く太陽が見守る『花色の国』。
 ヒマワリみたいな笑顔が眩しいあの子は、ご機嫌イエローのワンピース。
 眼鏡が似合う誠実そうな彼は、真っ白なシャツで待ち合わせ場所へ来た。
 何色がいいか、君に一緒に選んで欲しくて。
 しょうがないわねと笑って、手を繋いで向かった先は『フラワーガーデン』だ。
 バラにコスモス、チューリップ。季節に構わず百花が自由に咲き誇る。
 お気に入りを見つけたら、ブラシで花びらに触れて、色のお裾分けをもらうの。
 パレットをカラフルにして、大好きな貴方を私色に染めていこう。

 花色の国にとって、色を分けてくれるフラワーガーデンは宝物だ。
 同じ服や小物でも色を変えれば、雰囲気も気分も変えられる。
 いつでも気軽に色を変えておしゃれを楽しめるのだ。
 おしゃれには興味がない。他に何が出来るのか。
 そんな問いにも、花色の住人は嬉々として答えてくれるだろう。
 青い林檎を赤くして美味しくしたり。黒く汚れた古壁をぴかぴか真っ白な新品にしたり。
 色は生活を豊かにしてくれる。この国には無くてはならないものなのだと力説をして。

「これは何事だ!? 僕達の花が! この国の色が!!」
 とある朝。住人がフラワーガーデンで目の当たりにしたのは、透明な花々が項垂れている姿だった。
 国を支える花の色が、モンスター『色盗鳥』に盗まれてしまったのだ。
 色を失った花々の周りでは、カラフルな鳥達が飛び回っている。
「キャーッ! 来ないでっ、あっちへ行ってーっ!?」
 そして、猛スピードで人々に襲い掛かり何度か啄んで、やがてどこかへと羽ばたき消えていく。
 命の無事にほっと息を吐いたのも束の間。真っ赤に染まった掌を見て、誰かが気を失った。
 それは血ではなく、赤い肌色だった。周りには、青や紫の肌に変えられた人々もいるようだ。
 色盗鳥は人にも家にも木々にも、盗んだ色を無差別に振りまいて暴れている。
 花色の国は、突然降りかかった極彩色の災いにより大混乱に陥っていた。


「この国の人達が、困ってるみたいなの。救けに行ってくれる?」
 ブルーモーメントのグラデーションが煌めく髪と尻尾を揺らして。
 境界案内人のリィン・フリューシェルは、イレギュラーズに虹色の本を差し出した。
「この花色の国で暴れてる、『色盗鳥』を七匹、倒して欲しいの」
 色盗鳥は俊敏だが、とても弱いモンスターだ。
 一撃でも攻撃を当てられればすぐに倒れるし、啄む程度の攻撃しか行ってこない。
「ただ、ね。傷は受けないと思うけど……もしかしたら、この国の人達みたいに、色を勝手に押し付けられちゃうかもしれないの」
 もし色被害にあったとしても、元に戻る方法は必ずあるから安心して欲しい、と。リィンは申し訳なさそうに微笑みながら、説明を付け加えた。
「無事に倒してパニックが落ち着いたら、どうすれば色が戻るか、住民が教えてくれるはずなの。後は好きに過ごして、ね」
 花色の国のフラワーガーデンの花は、どれも見事な美しさだ。
 折角だから、自分のお気に入りの色を見つけてみてもよいかもしれない。
 鳥退治の後は、色探しに花探し。お好きにどうぞ。と、リィンは小さく手を振った。

NMコメント

 OPをご覧いただきありがとうございます。新人ノベルマスターのハザクラです。
 二作目は色とりどりの世界のお届けです。どうぞ宜しくお願い致します。

●世界
 『花色の国』が舞台です。
 フラワーガーデンの花々は、皆に自分の『色』を貸してくれます。
 この国のブラシで花に触れて、パレットに乗せて集めれば、オリジナルの花色パレットに。
 色はそのまま使っても、混ぜて使ってもOKです。
 プレイングで花を指定する場合は、OPにあるような有名な花でも、想像上の花でも構いません。
 この世界で色を変えるという事は、表面的に塗り替えるだけでなく、不思議な魔法の効果が伴う事もあります。
 果物を甘くしたり、老朽化を防いだり。他にも便利な効果があるかもしれません。

●敵モンスター『色盗鳥(いろとりどり)』
 大きさはカラスくらい。イメージは大きなハチドリです。
 合計七匹。盗んだ色により其々、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫、色になっています。
 素早く動き回っていますが、一撃当てれば倒せます。
 攻撃力はありませんが、啄まれると『色被害(勝手に色を押し付けられる)』に遭います。
 色被害にあっても、戦闘後必ず元に戻れますのでご安心を。

●依頼内容
 花色の国で暴れているモンスター『色盗鳥』を七匹倒して下さい。
 素早く飛び回っていますが、色をばら撒いているので非常に目立ち、すぐに見つかります。
 倒し終わったら、盗まれた色を花々に返して、この世界を自由にお楽しみ下さい。
 例えば、色を滅茶苦茶にされた国を元に戻す手伝いをしたり。
 人々からお礼としていただいた真っ白な服や装飾品を、好きな色で彩ったり。
 自分の好きな花や色があれば、自分の持ち物に好きな色をもらったり。
 アイテム発行はございませんが、お好きに過ごしていただいて結構です。

●サンプルプレイング
 花は好きですよ。でも流石に桜の木はないですよね。
 まずは色盗鳥を退治しましょう。
 この辺りは壁が青系ばかりで塗られていて怪しいですね……
 ……いましたね、逃げ回る青い鳥が。
 魔弾を連射して追いつめましょう。
 そんなに青がお好きなら、これでも喰らいなさい!
 逃げるルートを計算して、タイミングよく衝撃の青を放ちます。
 同じように、他の鳥も探しましょう。
 戦闘中の方がいたら、敵が逃げないように魔弾の弾幕を張ってサポートします。
 うわ……私の肌も派手にやられましたね……(色被害、何色でもOK)
 戦闘後は、花に色を返して、自分の色も戻して。
 おや、小さな桜色の花がありますね。これは何という花でしょうか。
 手持ちの書物の表紙に塗らせてもらって、お持ち帰りしましょう。
 あちらに美味しそうな果物がありますね。
 ピンクの苺と赤い苺……砂糖細工のような甘さと、果物本来の甘酸っぱさ。
 どちらもとっても美味しいです。

  • 花色パレットパニック完了
  • NM名ハザクラ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月23日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
sorako*(p3p007426)
カラフルパレット
赫染・霞(p3p007861)
紅玉

リプレイ


 色盗鳥に色を奪われてしまった『花色の国』。
 奪った色は無差別に塗りたくられ、地上は大混乱に陥っていた。
 そんな中、唯一侵色を許さない雄大な空色に身を任せてsorako*(p3p007426)は空を飛んでいた。大好きな空に包まれた世界をその瞳に映す。
「……わくわく、します」
 凪いだ表情はそのままに、感嘆の吐息を零して。愛用の画材用具を入れた鞄を白い掌で撫でた。この世界に来た目的は別にあるけれど、まずは色盗鳥を見つけなければ。
 そんなsorako*の視線が青と藍色に弾ける噴水を捉えたのが先か、色盗鳥が空色に浮かぶ黒鳥を見つけたのが先か。ほぼ同時に放たれた『衝撃の青』と青色の嘴が交差する――。
「やはり、全ては防げませんでしたか……この姿は……ふふ」
 青い色盗鳥は撃墜したものの、もう一方の嘴に啄まれてしまったsorako*の全身は藍色に染まっていた。夜空色に変えられた全身は、ペンキ塗れではしゃぐ子供のように思えて、唇の端が綻んでしまう。鳥を虐めるようで気は進まないけれど。
「その色、返してもらいますよ」
 再び飛びかかる藍色を、青い衝撃波で沈めたのだった。

 一方、色盗鳥が暴れまわる住宅街の一角では、既に壁や街路樹の元の色を探す方が難しいほど、被害は拡大していた。
「変わった鳥も居るものだ。早く退治して、住民達を安心させてやろう」
「色を奪われ勝手に望まない色にされるなんてとてもショックよね。困っている方たちを救えるよう、私がんばりますわ!」
 色被害が激しい場所に色盗鳥はいるはずだ。マリア・レイシス(p3p006685)と赫染・霞(p3p007861)が注意深く探索を行っていると、
「助けてくれえ! あいつらのせいでこの国はもう滅茶苦茶だあ!」
 全身を緑色に変えられた男性が、彼女達に助けを求めて駆けて来る。男性を追うカラフルな影は、この周辺の壁の色と同じ、緑・黄・橙の色盗鳥だ。
「見つけたわよ!」
 霞の銀の杖から放たれた魔法弾は真っすぐに鳥の群れへ飛び込んで、先頭の緑色を撃ち落とした。しかし、残りの黄と橙の二羽は素早い旋回で攻撃を避けると、反撃の嘴を光らせて襲い掛かってくる。
「私が相手だ! こちらへ来い!」
 マリアは男性を安全な路地裏まで避難させると、『アーリーデイズ』で嘗ての力を、元の世界で『雷光殲姫』の異名で謳われた頃の力を、一時的に解き放って鳥達を挑発してみせた。
 背後から真紅のポニーテールが啄まれる前に、雷速の蹴技『電磁加速脚・殲華』のカウンターが黄色の鳥に墜とされる。紅い雷に打たれた鳥の翼はパチパチと電気を放ちながら痙攣していた。
 その間に、続けて矢のように飛んできた橙色の嘴がマリアの純白の軍礼服を掠めて行ったようだ。そして同じく攻撃を受けた霞の髪も同色に染められている。
「赫以外なんて新鮮ね。これはこれで楽しいけれどずっとは嫌だわ。だから倒されてっ?」
 炎のような赤髪を橙に変えられた霞だったが、その瞳の赫い輝きは奪われていない。
「逃がしませんわ……魔弾に灼かれなさいっ!」
 霞をアシストするように、マリアは雷を纏った足で軽く橙の鳥を蹴り上げた。空中で自由を失った色盗鳥に、全力の『マギシュート』が見事に命中する。
「初めての戦闘依頼にしてはよく頑張ったわ、私!」
「ああ、見事な戦いぶりだった」
 拳を握って勝利を噛み締める霞に、マリアは優しく微笑みかけたのだった。

 パステルカラーが可愛らしいショップが並ぶ道は、ビビットな赤と紫に侵色されていた。
 赤の色盗鳥が自分色に染まる街並みを見下ろしながら飛んでいると、突然翼の自由が奪われる。地上に落下した翼に絡まっていたのは、Melting・Emma・Love(p3p006309)の『マリオネットダンス』による透明な糸だ。Loveのスライム状の身体の横でジタバタ暴れる鳥を、『スケフィントンの娘』の黒いキューブが捕まえて闇に堕とす。
「Loveはギフトで色を変えられるから、色が無くなっちゃうのは悲しいの」
 続いて赤色の壁を背にしたLoveは、ギフト『七色の愛』により自分の姿を背景に溶かした。目指すべき相手を見失った紫の色盗鳥は、手当たり次第の壁を突いて紫色を散らかしていく。
「この世界では色が大切なの。頑張って色を取り戻してあげるの」
 そう言って突如、Loveは自身の色を純白に変えた。格好の餌食に向かって、紫の鳥は勢いよく飛び込んでくる。
「Loveが愛(殺)してあげるの」
 白き女神の抱擁は、闇の月に阻まれた。
 『ダークムーン』に飛び込んでしまった色盗鳥の命は、もう、Loveのものなのだ。
「あら、これはなあに?」
 イレギュラーズに倒された色盗鳥は皆、美しい羽根ペンに姿を変えていたのだった。


「さて、後はどうしたものか」
「羽根ペンの色を、筆で触れればいいのでしょうか」
 マリアの召集でフラワーガーデンに集まったイレギュラーズは、それぞれが倒した色盗鳥の亡骸から生まれた羽根ペンを持ち寄っていた。赤・橙・黄・緑・青・藍・紫、七色全てが揃っている。この後どうすれば色が元に戻るのだろうか。試しにsorako*が手持ちの筆で羽根に触れてみるが、何も起こらなかった。
「皆様、我々の国を救って下さり、誠にありがとうございました」
 色被害にあった住民達も続々と集まって来る。国を代表して頭を下げた長老によれば、色を戻す儀式には七つの羽根ペンの力が必要なのだそうだ。
「『彩(いろどり)』の羽根よ。我々の世界に、再び正しき色を与えたまえ!」
 すると、長老の手に集められた七色の羽根ペンが独りでに動いて空中に何かを描き出し、一羽の虹色の鳥を生み出したのだ。役目を終えた羽根ペンも、虹色の一部へと吸収された。
 虹色の鳥が上空を羽ばたくごとに、カラフルな雫を降り注がれると、花々へ本来の美しい色が返されていく。色被害にあった住民もイレギュラーズも雫を受ければ、元の色を取り戻したのだった。
「幻想的ね……」
「色とりどりの世界、素敵なの」
 霞とLoveはその色が降る鮮やかな光景に、暫しの間目を奪われてしまう。
 やがて、彩と呼ばれた鳥は空の彼方へと飛んで行ってしまった。
 この周辺にいた花や人は元通り。だが、街の色被害はそのままのはずだ。これから復旧作業が必要となる。
「なあに、花さえ無事なら良いのです。色は幾らでも塗り直せるのですから」
 住民達の笑顔にも力強い色が戻っていたのだった。

「この家は何色に塗ればいいんだ?」
「そちら白壁と、真紅の屋根でお願いします」
 マリアは様々な花色を借りて、村の復旧作業を手伝っていた。筆で物をなぞるだけで素人でも綺麗に塗れてしまうので、中々に面白いと作業を楽しんでいるようだ。梯子を上って色を塗りながら、遠くを眺める。まだ奇怪な色模様は残るものの、この国自慢の花々は遠目から見ても、まるで天然の宝石が散りばめられたような輝きに満ちていた。
「本来の色が戻ればここまで美しいのか……」
 元に戻せて本当に良かった。マリアがこの世界を救った余韻に浸っていると、下から住民に声をかけられた。
「良ければ一緒に祝杯をあげませんか。この国の花から作った自慢の酒があるのです」
 花酒とは珍しい。マリアは喜んでと手を振り、軽やかに梯子から飛び降りたのだった。

「戻す色も明るくて可愛い色にしてあげるのも面白そうなの」
「ええ、私達も日ごろ気分で色を変え続けているのです。どうぞお好きな色に」
 色盗鳥のように乱暴に塗られては困るけれど。自分好みの色に塗って良いと許可を得たので、Loveは可愛らしい店とその周囲の道をファンシーな色で彩ってみた。スライムの下半身で動き回りながら、自分の色も自在に変えてご機嫌に。
「貴方様は、フリーカラーフラワーのようですね」
「聞いたことがない名前なの。この世界にしか無いお花なら見てみたいの」
 Loveが案内されたのは、フラワーガーデンの奥地に咲く小さな花の前だった。
 この花は人のようにその日の気分で色を変える、なんとも気ままな花らしい。
 今日はガーベラのようなピンクと、カスミソウの白色を纏って風に揺られている。
 花言葉は共に『感謝』。花を代表して、お礼を伝えてくれているのかもしれない。
 あなたたちも、この世界を愛しているの?
 Loveも身体を花とお揃いの色に変えて、愛おしそうに微笑んだ。

「色塗りはもうおしまい?」
「はい、これで殆どの色を塗り直せました」
 復旧作業を手伝い終えた霞は、再びフラワーガーデンに戻る。彼女には無事に依頼を終えたら探したい花があったのだ。
 お目当ての花、白いデイジーに筆を当てる。パレットに貰った色を、手持ちのリボンに触れさせて。そして、炎のように波打つ赤髪を雪白のリボンで飾り付けた。
 くるり、くるり。他の花に見せびらかすようにまわって、ふふり。愛らしく笑う。
「赫い私によく映えるでしょう、きっと」
 デイジーの花言葉は『平和』と『希望』。そして白なら『無邪気』だ。
 純白の魔法を手に入れた魔法少女は、元の世界に帰った後も、無邪気に平和を守り、人々に希望をもたらす事だろう。

 sorako*は住民に教えてもらった、フラワーガーデンの丘に腰掛けていた。
 この国で一番見晴らしの良い花咲く丘で、この世界の風景を描きたい。
 それが彼女の目的だったのだ。
「お借りしますね」
 選り取り見取りの色とりどり。この世界はきっと、この花でないと描けない。
(こんなに素敵な経験ができるなんて……)
 風景から色を貰いながら、その風景を描く。目の前の光景を『本当に』この筆で閉じ込めている。画家の端くれとして、この夢のような経験を紙の上に乗せて帰ろう。
(――ああ、うれしい)
 黙々淡々と筆を踊らせるsorako*の胸には、幸福色の花が満開に咲き誇っていた。

成否

成功

状態異常

なし

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