PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<星呑み竜>世界防衛戦

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 空にひときわ輝いている星が浮かんでいた。その星は『タハトーディア』と呼ばれ、世間を騒がせていた。
 それは少しずつではあるが、この星に接近しているのがわかったと告げるラジオの声が聞こえる。本来の軌道とは異なる故に発見が遅れたのだという。この星にぶつかるまで、残り24時間。そう告げられた時の人々の混乱は、まるでこの世が地獄になったかのようなありさまだった、人類は秩序を失い、皆思い思いの形で最期を飾ろうとし始めたのである。
 ある者は多額の借金を抱えてでも思い残すことのないようにと死ぬ前に一度は行きたかったという地へと騎乗専用ペガサスをチャーターして向かった。また、ある者は未来に絶望して高層ビルから飛び降りて自害を試みた。またある者は矛先のない怒りを市民に向けて大量虐殺をはじめた。また、ある者は神に祈りを捧げ始めた。

 そしてある者は、軍用ロケットに乗り込み、宇宙へと旅立っていく。
 『タハトーディア』。……宇宙竜の卵から、世界を守るために。

「みなさんの検討を祈ります」
「……タハトーディアに異変が起きたら、こちらもすぐに報告します」
「2発はこっちもミサイルが打てる。といっても卵を破壊できるほどじゃなくて、
 せいぜい隙を作ることができる程度だけどな」
「██████!」

 エーデルの言葉はともかく、アイトワラス……妖精の言葉はさすがにわからない、と眉を下げる一同に、カストルは翻訳してくれた。

「竜の卵は、鳥や蟲の卵とはぜんぜん違うからきをつけてね、だってさ」

 イレギュラーズは頷き、ロケットに乗り込んだ。

NMコメント

こちらのシナリオは『<星呑み竜>世界防衛戦』と連動しているシナリオになります。
『ラストデイズ』の世界を守るために特攻隊的な働きをする方のチームです。
HPに不安がある人は『<星呑み竜>竜卵討伐戦』にご参加ください。
------------------------------------------------------------
●宇宙空間について
命中力と回避力に大きなマイナスの修正を受けます。(命中力、回避力-20)
防御を取る事が難しい為、防御力に大きなマイナス修正を受けます。(防御技術-30)

●ミサイルについて
『竜卵討伐戦』チームと『世界防衛戦』チーム、それぞれ1回ずつ打てます。
ミサイルの効果は
『1度だけm余波による追加ダメージを打ち消すことができる(封印)』
『1ターンの間、宇宙竜の卵の特殊抵抗を半減する(災厄)』

です

●敵について
『攻撃の余波』(低いHP、低い抵抗)
射程は全て「超遠」です。ただし皆さんは遠いのでダメージは半減することとなります。
通常攻撃
 ・咆哮(列攻撃/呪い・苦鳴・ショック)
 ・灼熱(列攻撃/疫病・豪炎・炎獄)
特殊攻撃(宇宙竜の卵のHPが40%未満で発動)
 ・落星(ラストデイズに向かって隕石が落下する。)

攻撃余波はかばうことは不可能ですが攻撃する事でダメージの打ち消しが可能です。
落星に関してはかばうことができます。3回世界に落下した場合、世界は滅びます。

  • <星呑み竜>世界防衛戦完了
  • NM名蛇穴 典雅
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月26日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
陰陽丸(p3p007356)
じゃいあんとねこ

リプレイ

 鉄の船は空を飛ぶ。『ロケット』と呼ばれていたその乗り物のビジュアル、それはまるでガレー船に翼が生えたかのような代物だった。魔力で編み込まれた光の翼が1度羽ばたくたびに、グンと高度を上げていく。船の中では、世界を守るために集まった8人のイレギュラーズたちが、その時を待っていた。雲を抜けて、空を追いかけていく。上へ、上へ、上へ――。



 ラクリマ・イース(p3p004247)はこの船に循環するエネルギーを感じ取って、少し不思議な感覚に酔っていた。魔力に敏感なハーモニア種であるラクリマは、魔力に個性があるのをよく知っている。魔法追跡などは、これの応用でなされるのだ。けれど、この船に循環している魔力は、ラストデイズに住んでいる、エーデル達が用意したもの。その魔力は少しずつ集めたとはいえ、もとは人の抱えていた魔力だ。いわばミックスジュース状態なのである。
 だが、気持ち悪いとは思えない。なぜなら、世界に循環する魔力とは、そういうものだからだ。木には木の、魚には魚の、鳥には鳥の、命のエネルギーが溶けあってできている。

「まるで、世界そのもののような船だな、これは」

 その言葉に、陰陽丸(p3p007356)がなぁおと鳴いた。元の世界にいた巨人である飼い主が、なんだかそんな話をしていたような気がしないでもない。気のせいかもしれないが。

 一同は船を途中で降りる。自分たちはあくまで、余波を食い止めるためにここに来たのだ。
 船から下りれば、そこは無重力。酷く動きにくかったが、活動に支障はない。この世界の宇宙はイレギュラーズにとっては水中で動くかのような感覚に近かった。もっとも、呼吸はできるのだが。
「なんだが不思議な感じです」
「泳いでるのに、飛んでるみたいですね」

 ノースポール(p3p004381)とノリア・ソーリア(p3p000062)は、お互いに頷きあう。タハトーディアーー宇宙ドラゴンの卵はあまりに巨大で、ここからでもよく見える。
  魔力で編まれたレースのような円形のそれに、幼い竜は居た。鱗はなく、まるでそこにだけ絵具を落としたかのような色彩が入り混じり、ドラゴンのシルエットをかたどっている。例えるのなら、そう、これは、この生き物そのものが銀河そのものであるような。そんな錯覚にさえ襲われる。脈打つように、色が揺れる。まるで、肉の器が無い様なそのさまに、イレギュラーズ達は息を飲む。もしも―—もしも、このままこの竜が孵化するのだとしたら。それはきっとどこまでも、美しく、すばらしい外見をしただろう。
 そこにーー赤子の鳴き声が、届いた。

「え?」

 人間の赤子のような、鳴き声。ほぎゃあ、ほぎゃぁ、と繰り返される声は『生きたい』という意思を如実に訴えかけてくる。それは、あまりにも―—あまりにも、残酷な音。それが、ドラゴンのものだと最初に気が付いたのは、陰陽丸だった。

 耳を、ふさぎたい。地上ではあの夫婦が待ち望んでいる赤子とあれは、何が違うのか。どちらも、生まれたくて、仕方なくて。

「陰陽丸さん、オムライスだってそれはおなじです。鶏として生まれたかった命を、食べて生きています。同時に、タハトーディアも、星を食べて生きようとしている」

 弱肉強食。それを誰より理解しているノリアが、陰陽丸にそう告げる。陰陽丸は、その時、ようやく、人間が告げる『いただきます』の本当の価値を、意味を知った。

「残酷かもしれません。でも、産まれてくる赤ちゃんにも、あの素敵なオムライスを食べて欲しいです! その為には……何がなんでも、ここを死守しないとですね。皆さん、よろしくお願いしますっ!」

 ノースポールの決心したような声に励まされて、陰陽丸も、にゃあと元気よく鳴き返す。そうだ、そのとおりだ。自分たちは、あの星にいる幾百、幾千、幾万の命を守るためにここにきている。覚悟ができた様子を見つめては、ラクリマは魔人黙示録を付与する。

「さぁ、生存競争をしましょう、タハトーディアさん」

 響き渡る咆哮の波が押し寄せてくれば、白い魔力で生み出された星々を操り、ノースポールは攻撃を打ち消していく。陰陽丸は『猫パンチ』でノースポールが防ぎ切れなかったものを相殺する。もちろん、いくつかは身体にダメージを負ったが、瞬時にラクリマが癒してくれるので、問題はなさそうに見えた。けれどーー。

(やっぱり、つらい、よな)

 ノースポールと陰陽丸の様子を見つめながら、ラクリマはため息をつく。自分の持っている魔法は、確かに傷を癒す。けれど、心の傷は、治せない。その点、ノリスはしっかりとしていた。世界の、命のありようを理解したうえでここにいた。もし、ノリスがいなかったら、果たして自分はあの二人に適切な言葉を投げかけてあげられただろうか。

 すう、と肺に空気を取り込む。その唇から清廉な歌声があたりを包む。傷を癒す術式だけれど、その歌に込められた思いは、少しでも、彼らの心が穏やかになるようにというものと、ーーせめてあのタハトーディアとよばれるドラゴンの卵の魂が、行くべきところにいけるように、と。その歌声に、別の音が響き渡れば、思わず歌を中断する。今の音は、いったい。

「きます!」

 ノリスの言葉とともに、炎の余波が押し寄せてきた。彼女はノースポールと陰陽丸の前に立ちふさがって、水鉄砲を浴びせるも、すべては鎮火させられない。その身でもって攻撃を受け止める。海神の揺籠と呼ばれた水球が蒸発していく。けれど、その瞬間に白い炎がノリスを覆って、タハトーディアの業火の熱から身を守ってくれた。カウンター能力で、白い炎がタハトーディアの炎を喰らっていく。

 ーー炎と炎の食い合い。まるで今、ここで戦っている生存競争を彷彿とさせた。

 隕石の襲来にそなえて万全でいたいとラクリマが即座にノリスを回復させる。その横で、ずっとタハトーディアを見つめていたノリスが声を漏らす。

「あっ!」

 卵がーー壊れていく。レースが紐解かれていくようにして消えていくのを、4人は見た。同時に、宇宙に響く、不思議な声も。

〈縺セ繧ゅl縺ェ縺上※繝サ縺斐a繧薙↑縺輔>繝サ繧、繝医@繧、繝サ繧上◆縺励ヮ繝サ繧上◆縺励◆縺。繝弱%〉

 その言葉の意味を、ルバイヤートであるラクリマだけが理解し、涙した。

「タハトーディアのあの卵は……母親の思念だったんだ。宇宙ドラゴンは、思念をあんな風にして、形にできるんだ」

 そして、同時に、レースのように見えたあれは、子守唄の楽譜でもあったのだ。歌い手である彼だけが、それを読み解けた。ドラゴン。混沌において、原初の脅威である彼らに残され、親から子へ脈々と受け継がれていた、炎の子守唄。

「にゃ! にゃ!」

 陰陽丸がこちらに向かってくる隕石に気が付いた。涙を拭いて、ラクリマは落ちてくる隕石を見つめる。ノリスとノースポールが、飛び出した。その2人が倒れないようにするのが、自分の仕事だ。陰陽丸の合図で、地上ではミサイルが発射されていることだろう。それまで、この星を守り続けなければならない。

「絶対に、ここは通さないんだから……っ!」

(どんなに痛くても辛くても、絶望的でも諦めない。宇宙竜の卵の元では、別の仲間が頑張っている。だったら私達は、絶対にここを守り通す!!)

 ノースポールの羽が、じりじりと隕石のエネルギー圧で焼けていく。ノリスの肌が、爛れていく。それでも、二人にかけられたラクリマの援護で、その傷は瞬時に癒されていく。陰陽丸は耳をそばだてる。この場にいる誰よりも耳がいい陰陽丸だけが、ミサイルの接近を図ることができた。

3ーー2ーー1ーー

「にゃ!」

 散開するイレギュラーズ。ミサイルは空中でたくさんの魔力障壁を作り上げて、隕石からラストデイズを守った。そしてもう一つ、ミサイルが奥へと飛んでいく。

 遠くで、どおん、という音が響いた。同時に、赤子の断末魔も。
「……終わりました、かね……?」

 ノースポールの言葉に、陰陽丸が頷いた。スピーカーからは、救われたことに関して歓声を上げるエーデル達の声が聞こえる。

「ありがとう、皆のおかげで、この世界は救われた」
「戦争はやめだ。エーデルが全力で親善大使としてこの戦いを終結させるだろう」
「なっ、だから、勝手に決めるなってば!」

 うれしい報告に、笑顔が浮かぶ。けれどーー涙があふれて止まらなかった。ハッピーエンドにするつもりだった。そのはずだった。けれど、なんだろうか。この気持ちは。泣き出す2人を、ノリスとラクリマが、静かに慰めていた。

「どうして」

 ーーどうして、こんなにも世界は残酷なのだろう。




 ラストデイズ。最後の日を舞台にしたこの物語。世界は急激な〈魔力〉枯渇によって滅びると観測されていた。それが、運命なのだという。本来なら、戦争で、エーデルの国と対立していた国が、全世界に向けて発射したミサイルによって、滅びるのだ。

 けれど、《物語》はそれを良しとしなかった。何も残さないその最後を、せめて『何かが遺る』ように。そして、《物語》は決断した。宇宙竜の孵化には星ひとつぶんのエネルギーが必要だ。ならば、いずれ何も残さずに消えていくこの『ラストデイズ』の星を贄しよう。

 そして、新たな《主人公》を作り出そう、と。……だが、《読者》はそれを許さないようだ。この星の《物語》をもっと綴れと言う。ならば、いたし方あるまい。いずれ《読者》も飽きるだろう。その時こそ、本当の《最後の日》だ。

 それは、誰もが防げない、物語の終幕。決められた最後。
 けれど、その日がくるのはーー今日ではない。



成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM