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シナリオ詳細

桃投げ祭りで桃投げろ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●桃投げ祭り!
 今日は女の子の成長を祝う日である。
 幻想領内でもその土地に伝わる方法でそれぞれ祝われていることだろう。
 その中に、桃投げ祭りという祭りを開催し、女の子の成長を祝い、これからの成長を願うという村があった。
 桃が咲き始める時期なので、昔からこの時期らは桃の花を飾ったり、桃の置物を飾ったりしていたが、いつの頃からかどうせなら皆で楽しもうということで今のような祭りが始まったのだという。
 そのせいか、村の中や周辺には桃の木がたくさんあるし、村の名産品にもなっている。

 桃投げ祭りというだけあって、桃を投げるのだが季節ではないので本物の桃ではない。
 布と綿で作られた柔らかいぬいぐるみのような桃である。
 これを投げつけるわけだが、誰に投げつけるのか?
 村を2チームに分け、お互いに投げつけることになっている。
 今回、祭りを盛り上げるためにイレギュラーズにも参加してくれないか、と声がかかったのである。
 なお、めざましい活躍をした者には桃の季節になると桃が大量に贈られることになっている。
 少しだが賞金も出るらしい。
 参加することにしたイレギュラーズが村を訪れ、桃投げ祭りが今にも始まろうとしていた時。
 突然、それは現れた。

●桃の怪物?
 桃投げ祭りは村のすぐ近くの草原で行われる予定だった。
 そして、村人のほとんどとイレギュラーズが草原に集まり、村長の挨拶も終わってこれから桃投げ祭りが始まるという時である。
「ももおおおぉぉぉぉんんん!」
 空から桃が降ってきた。
 しかも、巨大な桃である。
 大声で叫びながら降ってきてくれたので、人々は急いで避け誰も怪我をしなかったのは幸いだった。
「桃! 桃! アテクシに桃を投げつけて欲しいのだわ!」
 巨大な桃が降ってきたというだけでも驚くのだが、桃投げ祭りで集まっていた人々に話しかけてきた。
 何故かは分からないが、桃を投げつけて欲しいと言っている。
「投げつけてくれないと、暴れるわよん! 反撃しないから皆で安心して投げるといいのだわ」
 何が何だか分からないが、桃を投げつけないと危なそうだ。
 もちろん、投げる桃は桃投げ祭り用の桃しかないが、やるしかない。
 幸い、イレギュラーズが集まっていたこともあり、村人とイレギュラーズで相談して村人は参加せず、イレギュラーズだけで対処することに決まった。
 村人も参加していて、もしこの巨大な桃が暴れたり転がったりすると危険だからだ。
 イレギュラーズであれば、自分の身くらいは守れるだろう。
 もちろん、何が何だかわからないのはここにいる全員が同じである。
 話しかけてきているので、桃本人に聞けば理由を教えてくれるかもしれないが、とりあえず桃を投げないと何をされるか分からないので早く投げようということになった。

 この意味不明な状況に戸惑いながらも、イレギュラーズと巨大桃との戦いが始まったのである。
 戦いというよりも、一方的に桃を投げつけるだけなのだが。

GMコメント

 閲覧ありがとうございます、文月です。
 今回は桃投げ祭りに現れた巨大な桃に桃を投げつけて撃退するのが目的です。
 以下、補足となります。

●成功条件
 ・巨大桃を撃退する
  桃投げ祭り用の桃をとにかく投げつけて撃退してください。
 ・巨大桃に話しかけて原因を突き止める
  こちらに関しては絶対に必要な条件ではありませんが、ただ成功するだけでなく皆がすっきりするための条件となります。お好みでチャレンジしてみてください。

●巨大桃についての確定情報
 ・大きさは8mくらいです。丸っこいので大体どこもそれくらいの大きさだと思ってください。
 ・反撃はしてきません。
 ・桃を投げつけないと暴れます。
 ・会話できます。
 ・桃なので顔などはありません。見た目は完全にただの桃ですが、巨大です。

●その他
 アドリブ不可、アドリブOKなど添えていただけたり、口調や性格等が分かりやすいよう書いていただけたりしますと、大変助かります。アドリブ不可と記載がない場合はアドリブが入ることもありますのでご注意ください。
 皆様のご参加、お待ちしております。

  • 桃投げ祭りで桃投げろ!完了
  • GM名文月
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月19日 21時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
恋歌 鼎(p3p000741)
尋常一様
冬葵 D 悠凪(p3p000885)
氷晶の盾
琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
桜小路・公麿(p3p001365)
幻想アイドル
Bernhard=Altern(p3p001754)
天秤の観測者
エルメス・クロロティカ・エレフセリア(p3p004255)
幸せの提案者

リプレイ

●桃との対話
 桃投げ祭りの会場となっている草原には、近くの村から祭りのために集まってきた村人達とイレギュラーズ、そして巨大な桃がいた。
 巨大な桃はずっと桃を投げてと言い続けている。
 村人達はイレギュラーズにこの巨大な桃の対処を依頼し、イレギュラーズはその依頼に応えてまずはこの巨大な桃と対話持とうとしていた。

 下準備として、『尋常一様』恋歌 鼎(p3p000741)がファミリアーのスキルで小鳥を呼び出し、巨大な桃の周囲を飛ばせエネミースキャンも併用して、何か変化が起こった場合に備える。
 万一、何か変化が起こればこれで対処できるだろう。
 それから『探求者』冬葵 D 悠凪(p3p000885)と『頽廃世界より』エルメス・クロロティカ・エレフセリア、『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)の3人が巨大な桃に声をかけようと近付く。
『イヒヒヒ。それにしてもあのデカブツ、桃をぶつけて欲しいとか随分とアレな要望だなオイ。マゾか?』
 茶化すように言ったのは、結の持つ魔剣ズィーガーだ。
 今回は出番がなさそうなので、喋って存在をアピールしているのかもしれない。
 しかし相手も話せるとは言え、見た目は完全にただの大きな桃なので少し不思議な光景になっている。
「何故ぶつけて欲しいのかしら、傷んだりしないのかしら?」
 最初に声をかけたのはエルメスだが、興味津々といった感じだ。
 その反対側では、『天秤の観測者』Bernhard=Altern(p3p001754)が桃投げ祭りのために用意されていた偽の桃を巨大な桃に向かって投げ始めている。
 投げないと暴れると言っていたので、念のためだ。
 投げ始めると、巨大な桃はぷるんと小さく震えた。
「そうそう! そこのコウモリさん、すごくイイのだわ! それと、アテクシも桃投げ祭りに参加してみたかったのだわ。
 傷んだりもしないのだわ。だって、アテクシは桃の精霊なのだもの! だから、どんどん投げるといいのだわよ!」
 参加したいと何故こうなるのかは分からないが、エルメスの質問への答えを聞く限りでは、悪意があるわけではなさそうだ。
「投げるのは得意じゃないけれど頑張るわ!…えいっ」
 そして、桃の正体が自分の推測通りだったので、エルメスは満足そうに微笑むと精霊に桃を投げ始めた。
 これを見て結も桃を投げ始める。

「精霊さんは、どうしてこういうかたちでお祭りに参加しようと思ったんですか?」
 今度は悠凪が、もう少し突っ込んで質問してみる。
「派手な方がお祭りは盛り上がるのだわ! 大きいと目立つのだわ! それに、的は大きい方が当てやすいでしょう」
 何だか分かるような分からないような、そんな答えが返ってきた。
 とりあえず、桃を投げつけてほしいという以外に精霊の希望も分からないというか、相手が精霊だからなのか思ったようなコミュニケーションが取れないので、悠凪も桃を投げることにした。
 遠距離から空の薬莢をライフルに詰め、その先端に偽桃をさして放とうとする。
 しかし、それを見た精霊が慌てて大声で止める。
 桃を投げつけられたい、と言ってこの祭りに乱入してきた精霊だが、さすがに人の手以外の道具を使って桃が飛んでくるのは想定外だったようだ。
「ちょっとアナタ! それは投げるとは言わないのだわ! というか、こんなに愛らしい姿のアテクシに武器を向けるなんて、ひどくないかしら!?」
 そう言われ、悠凪は精霊にライフルを向けづらくなってしまった。
 仕方なく、自分の手で投げて届く距離まで精霊に近付くと、自分の手で桃を投げ始める。

 結も桃を投げながら精霊に質問してみる。
「何で今年だったの?」
 桃の精霊が正体だというのなら、昔からここにいたはずだ。
 では、何故今年になって突然出現したのか。
 結はそれが気になったのだ。
「毎年、こっそり村の人に混ざって参加はしていたのだわ。でも、それだと目立てないのだもの。
 アテクシはね、目立ちたいのだわ!」
 どうやら彼女は、目立ちたがり屋の精霊だったようだ。
 そして、毎年祭りに参加していたということから考えると、この近くの桃の精霊らしい。
「桃をぶつけられると何かあるのかしら?御利益があがるとか?」
「特にないのだわ! 単に、大きな桃に皆が桃を投げるって面白いと思ったのだわ。
 それに、村人同士で2組に分かれて投げ合うより、この方が皆でやっつけてる感じがするのだわ!」
 さらに結が質問すると、どうやらこの精霊はノリで動いていたらしいことが分かった。
 精霊のイメージが崩れそうである。
 結は他にも要望があるか質問しようと考えていたが、この精霊があまり深く考えずに参加してきたらしいのを見て、それ以上は聞かずに桃を投げつけてやることにした。

●大きな桃とお祭りを
「ノリア、第一桃…投げますの!」
 その間、『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)も精霊に向けて桃を投げつけてみる。
 しかし、ノリアがかつていた場所は水中だ。
 そこでは水の抵抗があるために物を投げる意味がなく、機会もなかった。
 そのため、投げても巨大な桃まで届かないか、全く別の方向に飛んでいってしまい、当たらない。
 何度か試しても当たらず、困り顔になっていくノリア。
「どうしても、投げなければいけませんの…?何か、他の方法でお手伝い、できませんの?」
 儚き花のスキルを使い上目遣いで申し訳なさそうに訊ねるノリアに、巨大桃が答える。
「これは桃投げ祭りだもの! 投げてくれないと困るのだわ」
 ごもっともである。
 ノリアが困っているのを見かねたのだろう。
 少し離れたところで精霊に桃を投げつけていた鼎が、投げ方を教えようと近くまでやってくる。
「ノリア君、泳ぎながらではなく足で立って投げた方がいいかもしれないよ」
 ノリアは普段、空中親和のギフトを使って自分の身長程の空中を泳いでいるが、今もそのままの状態で桃を投げていた。
 そこで鼎は足で立って投げたほうが安定するのではないか、と助言したのだ。
「では、変化して……」
 その助言に従い、ノリアが変化のスキルで足をディープシーのそれから人間のものへと変化させる。
 しかし、ノリアの服装は上半身にシャツを着ているだけだ。
 下半身がディープシーのままであれば問題ないが、人間のそれに変化すると動く時にシャツの裾がはだけないよう気にしてしまう。
「こうなると知ってたら、下に穿くもの、持ってきましたのに……」
 思いっきり動けないため、相変わらず桃を投げづらそうにしているが、先程までよりはましになってきた。
「ふふ、さっきより上手くなってるよ。段々近くに飛んでるから、もうちょっとだよ」
 そうやってノリアに投げ方を教えながらも、スキルで精霊に変化が起きないかをしっかりチェックし続けている。
 正体や主張が大体分かって来たので、そこまで警戒しなくても良いだろうが念のためだ。

 Bernhardも桃を投げながら精霊に声をかけてみる。
「どこにぶつけるのがいいんすかね?」
 Bernhardは射撃を得意とするシューターである。
 精霊が投げてほしい箇所があれば、そこを狙って桃を投げようと考えての質問だった。
 念のために交渉術のスキルも使っている。
「どこでもいいのだわ! 皆がアテクシに向かって桃を投げ、桃投げ祭りが盛り上がればそれでいいのだもの」
 目立ちたがり屋だが、祭りを盛り上げたい気持ちは強いようだ。
「もしかして、毎年参加したいんすか?」
 毎年の参加を精霊が希望するのであれば、村人とも相談する必要がある。
「もちろんなのだわ。 アテクシは、桃投げ祭りに新しい風を巻き起こすのだわ!」
 新しい風どころか、ルールが大きく変わってしまいそうである。
 Bernhardは他にも質問しようと考えていたが、大体のことは他のイレギュラーズが質問していた。
 そこで、Bernhardも祭りを楽しむことにして、あまり深く考えずに精霊に向かって桃を投げつけることにする。
「せっかくのお祭りっす、楽しまなきゃっすよね!」
 イレギュラーズと精霊の会話が聞こえる距離にいる村人が他の村人に話している内容を伝え、少しずつ距離を詰めてきている。
 危険がなさそうなので、好奇心が勝ち始めたのかもしれない。
 それでもまだ、精霊に向かって桃を投げようという村人はいないようだ。
 そんな様子を見て、桃を投げながら精霊に話しかけて打ち解けてきていたエルメスが村人達に声をかける。
「大丈夫みたいよ、一緒に桃を投げて楽しみましょ!」
 これを聞いてようやく、村人達もおそるおそる桃を投げ始める。
「そう! そうよ! すごくいいのだわ! もっと投げるのだわ!」
 桃を投げられて喜んでいる精霊、しかもその姿は巨大な桃である。
 かなりすごい光景になってきているが、村人達は桃を投げる祭りを行おうと集まっていたのだ。
 そう言われて投げているうちに楽しみ始めたのか、精霊に話しかける者も出てきていた。
 形は変わってしまったが、桃投げ祭り本来の楽しさが戻ってきたようだ。

●桃と精霊と祭り
「なんとも見事なるビッグピーチ! ユーがそれを望むのならばピーチ&スピーチをゴッドがスローイングだ!」
 『神格者』御堂・D・豪斗(p3p001181)もずっと精霊に語りかけながら、桃を投げている。
「当然なのだわ! だってアテクシは桃の精霊だもの!」
 見事な桃と言われたのが嬉しいのか、精霊も豪斗の言葉にノリノリのようだ。
「そう、きっとユーはガールのグロウを祝い、願う祈りをその身に受け、そのソウルをガールたちに伝えてきたのであろう!」
「そう! そうなのだわ! アナタよく分かってるのだわ!」
 何だか意気投合し始めている。
「当然だ! ゴッドだからな!」
 豪斗は高笑いしながら桃を両手に持って投げている。
 遠慮も何もないので、用意されていた桃をすごい勢いで減らしていく。
「しかも投げ方も素晴らしいのだわ! さすがゴッドなのだわ!」
「ゴッドには聞こえているからな! ユーのヘルプを求める声が! 自分は何の為に生まれたのか、と! そのパゥワーは人のため、あるいはユー自身の為になっているのかと!」
「アナタ最高なのだわ! 言っていることは、ちょっと分かりにくいけれど!」
 この世界の桃の精霊と異界のゴッドを名乗る男の会話は、一般人から見れば既に異次元へと突入している。
「ゴッドは既にユーのフレンズ! そして今ここに集いしものも皆ユーのフレンズだ、ビッグピーチ!」
「ゴッドオォォォ!」
 今、もしも精霊が人の形をしていたら、豪斗とハグでもしていたかもしれない。
 それくらいの何かが、精霊の叫びには感じられた。

「ずるいずるいずるい! ずるいぞぅ!」
 そう言いつつもバッチリとポーズを決めているのは、『ジャミーズJr.』桜小路・公麿(p3p001365)だ。
 自分よりもかなり目立っている精霊に対し、嫉妬しているらしい。
 それでも桃を投げる気はあるようで、用意されていた桃をいくつか確保すると、準備を整える。
 村人達が精霊に近づき、桃を投げ始めてから動いたのは、その方が目立つからだろうか。
「タダ投げるだけじゃあアイドルの名折れだ。美しくッ! 美美ッと! 投げるヨ!」
 かなりやる気満々のようである。
 公麿なりに準備が整ったのか、精霊に向かって軽く助走をつけると大きくジャンプしながら服を脱ぎ捨てる。
 その瞬間、ギフトの究極的薔薇幻想が発動しイイ感じに背景に薔薇が咲き、服を脱いだことで見えそうになる危ない部分を隠す。
 そのまま空中に飛ぶ薔薇を1本キャッチすると、口に咥えて完璧に美しいと公麿が思えるポーズを取り、トドメに美しくウインクをすると、確保していた桃を投げた。
「な、何だかすごい人がいるのだわ……」
 精霊も公麿の美しすぎるパフォーマンスにタジタジのようだ。
「どうだい? 実に美だったろう?」
 美しく髪をかきあげて言う公麿に、精霊は困ったように答える。
「ま、まあ薔薇がとても綺麗だったのだわ」
「…フフッ、何て愛らしい。けれど村人君達に対して桃を投げなければ暴れる、だなんて脅すのはいただけないよ」
 やんわりと公麿が精霊をたしなめる。
「もしかして、皆アテクシを怖がっていたのかしら? 申し訳ないことをしたのだわ!
 ちょっと緊張感があった方が楽しいかと思ったのだけど、脅かしすぎたかしら……」
 公麿に言われ、ようやく気付いたのか反省している様子だ。

 その後は、村人とイレギュラーズが一緒になって精霊に向かって桃を投げ続けた。
 精霊も楽しそうに笑いながら桃を投げられている。
「ふふふふふ! 盛り上がって来たのだわ! 今年も桃投げ祭りは大盛況なのだわ」
 用意されていたぬいぐるみの桃も、かなり投げられて精霊の周囲にたくさん転がっている。
 それに気付いたのか、精霊が少し寂しそうに問いかける。
「来年も参加して大丈夫かしら?」
 最初は突然空から降ってきた巨大な桃に怯え、遠巻きにしてイレギュラーズに全てを任せていた村人達だが、この問いかけに全員が笑顔で明るく答えた。
「ももおぉぉん来年もおいで!」
 精霊の名前は別にあるだろうが、最初に登場した時の声がよほど印象的だったのか、村人達の間でこの精霊のことは「ももぉん」と呼ぶことになったようだ。
「アテクシの名前はももぉんじゃないのだわ。でも嬉しいのだわ! ありがとう!」
 村人達だけでなく、参加したイレギュラーズからも歓声が上がる。
「嬉しいからお礼しちゃう! そこの緑の服を着たお嬢ちゃんの後ろにある桃の木を見るといいのだわ!」
 よほど嬉しかったのか、何やらお礼をしてくれるようだ。
「ももおぉぉん!」
 またあの掛け声である。
 精霊が声を発し、ぷるぷるんっと小さく揺れると淡い桃色の光が精霊の全身から発せられ、指定された桃の木に向かって飛んでいく。
 その光を浴びた桃の木は、花が落ちてみるみるうちに桃の果実をたくさんつけた。
「桃だ!」
「やったー、桃が食べれる!」
 皆が大喜びしている。
「アテクシは満足したのだわ! そろそろ帰るけど、皆で美味しく食べて欲しいのだわ!」
 皆と桃投げ祭りを楽しく過ごせたことで満足したらしい。
 そう言うと精霊はぷるぷる震え、桃を投げていた村人やイレギュラーズが離れると、来た時と同じように突然空へと消えていった。
 こうして、少しはた迷惑な精霊は満足して帰っていったのだった。

●祭りの後で
 精霊が帰ると、精霊がプレゼントしてくれた季節外れの桃を村人達が収穫し、参加者全員で食べることになった。
「甘くておいしいですの」
 ノリアも、にこにこしながら桃を食べている。
 エルメスは村の女の子や仲間達に、と桃の髪飾りを作りながら桃を食べている。
「桃の花言葉は、『私は貴方の虜』『天下無敵』なの、情熱的よねぇ。それにしても、ここの桃は美味しいわね」
 名産になるだけあって、ここの桃はイレギュラーズも満足の味だった。
 鼎や悠凪、結、ノリアもエルメスと一緒になって髪飾りを作っていた。
「自分で作るとなると、結構難しいですね」
 悠凪は、自分が身につけていた髪飾りを外して目の前のテーブルに置き、参考にしながら髪飾りを作っている。
 髪飾りにつける飾りには桃の花と桃の実、どちらの種類も作るつもりで1つずつ並べてある。
「私不器用だから結構じゃなくて、かなり難しいかも……」
 結もそう言って難しい顔をしながら髪飾りを作っている。
『あんな精霊じゃご利益もそんなになさそうで残念だったな、結!』
 イヒヒと笑いながら結の持つ魔剣がまた茶化してくる。
「女の子の成長を願うっていうから確かに少しは期待してたけど」
 そう言って思わず自分の身体を見下ろしてしまう結だったが、また魔剣に何か言われると腹立たしいので、慌てて髪飾りを作る作業に集中する振りをする。
「心配しなくても大丈夫よ」
 エルメスが笑顔で言うが、結にはそれが髪飾りのことなのか、身体のことなのかはよく分からない。
「でも、こうして作るのは難しいけど楽しいね。エルメス君はすごく器用だし」
 食べていた桃を飲み込むと、鼎も笑ってエルメスを褒める。
「せっかくだから、精霊君にもあげたかったね」
 桃の姿をしていたので、髪飾りを渡してもつけられないかもしれないが、どうやら女性だったらしい精霊にも髪飾りをあげたかったという鼎に、他の4人も笑いながら頷く。

「それにしても精霊さんというのは、不思議なことができるんですね。まさか桃の実がなるだなんて」
 悠凪は、精霊によって桃の実がなった瞬間のことを思い返しているようだ。
「そうだね。お陰で季節じゃないのにこんなに美味しい桃が食べられたし」
 言いながら、鼎は桃の髪飾りを1本完成させてエルメスの髪につけてあげた。
「エルメス君にプレゼントだよ。素敵な提案のお返しに」
「ふふ、ありがとう」
 エルメスは、くすくす笑いながら鼎からのプレゼントを受け取る。

 参加したイレギュラーズの男性陣は皆、村人と桃を食べつつ和やかに話していた。
 皆、イレギュラーズと接するのが珍しいのか、普段どんなことをしているのか聞かれているようだ。
 公麿だけは、パフォーマンスのお陰なのか、村の女性達に囲まれて美しいポーズを取りながら話している。
 なにはともあれ、今年の桃投げ祭りは盛況のうちに終わり、今年からは優勝者を決めずに祭りの後は皆で食事でもしようということになった。
 精霊の参加により、祭りの内容は大きく変わったが、良い変化と言えるだろう。
 来年はきっと、もう少しましな登場をしてくれることだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 大変お疲れ様でした。
 今回は私、文月の担当しましたシナリオにご参加いただきありがとうございました。

 皆様の活躍により、突然お祭りに乱入してきた巨大な桃の正体を突き止め、満足してもらうこともできました。
 彼女も村人達も、皆様に感謝していることと思います。
 来年からは、これまで以上に楽しいお祭りとなっているかもしれません。

 時期的にもひな祭りを意識したお祭りでしたが、男女問わず少しでも楽しんでいただけましたならば幸いです。
 またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

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